特開2017-191835(P2017-191835A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-191835電子回路モジュール及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-191835(P2017-191835A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】電子回路モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20170922BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20170922BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   H01L23/28 F
   H01L23/00 C
   H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-79765(P2016-79765)
(22)【出願日】2016年4月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義弘
(72)【発明者】
【氏名】横澤 友英
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 道隆
(72)【発明者】
【氏名】青木 琢朗
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 正史
【テーマコード(参考)】
4M109
5F061
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA04
4M109CA21
4M109EE07
5F061AA01
5F061BA04
5F061CA21
5F061CB02
5F061CB07
5F061DA01
(57)【要約】
【課題】モールド樹脂の上面に形成された金属シールドを容易に且つ確実に電源パターンに接続する。
【解決手段】電源パターン24を有する基板20と、基板20の表面21に搭載された電子部品32と、電子部品32を埋め込むよう、基板20の表面21を覆うモールド樹脂40と、モールド樹脂40を覆う金属シールド50と、モールド樹脂40を貫通して設けられ、金属シールド50と電源パターン24とを接続する貫通導体60とを備える。本発明によれば、モールド樹脂40を貫通する貫通導体60を介して金属シールド50と電源パターン24が接続されることから、電子回路モジュールの側面に接続用の金属導体を形成する必要がなく、製造が容易となる。しかも、貫通導体60によって金属シールド50が確実に電源パターン24に接続されるため、接続信頼性についても大幅に高められる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源パターンを有する基板と、
前記基板の表面に搭載された電子部品と、
前記電子部品を埋め込むよう、前記基板の前記表面を覆うモールド樹脂と、
前記モールド樹脂を覆う金属シールドと、
前記モールド樹脂を貫通して設けられ、前記金属シールドと前記電源パターンとを接続する貫通導体と、を備えることを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項2】
前記貫通導体は、平面視で前記電子部品を囲むよう、複数個設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子回路モジュール。
【請求項3】
前記貫通導体は、前記モールド樹脂の側面に露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子回路モジュール。
【請求項4】
前記金属シールドは、前記モールド樹脂の上面の全面を覆っていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項5】
前記金属シールドには、前記モールド樹脂の上面を露出させる開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項6】
前記金属シールドは、前記電子部品を覆う位置に選択的に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子回路モジュール。
【請求項7】
前記モールド樹脂を覆って設けられ、前記金属シールドとは絶縁分離された金属導体と、
前記モールド樹脂を貫通して設けられ、前記金属導体に接続された別の貫通導体と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項8】
前記電源パターンは前記基板の前記表面に設けられており、前記貫通導体の底部は前記電源パターンの上面と接していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項9】
前記金属シールドは、前記モールド樹脂側の表面が粗面化されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項10】
前記基板に埋め込まれた半導体チップをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項11】
電源パターンを有する集合基板の表面に電子部品を搭載する第1の工程と、
前記電子部品を埋め込むよう、前記集合基板の前記表面をモールド樹脂で覆うとともに、前記モールド樹脂の上面を金属シールドで覆う第2の工程と、
前記モールド樹脂に貫通孔を形成することにより前記電源パターンを露出させる第3の工程と、
前記貫通孔の内部に貫通導体を形成することにより、前記金属シールドと前記電源パターンとを接続する第4の工程と、
前記集合基板を切断することにより、電子回路モジュールを個片化する第5の工程と、を備えることを特徴とする電子回路モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記第2の工程は、金型の空洞部に樹脂と金属箔を導入することによって、前記モールド樹脂と前記金属シールドを同時に形成することを特徴とする請求項11に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記金属箔は、前記樹脂と接する側の表面が粗面化されていることを特徴とする請求項12に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記第2の工程を行った後、前記第4の工程を行う前に、前記金属シールドを一旦除去する工程をさらに備え、
前記第4の工程においては、メッキ加工を行うことにより、前記貫通孔の内部に前記貫通導体を形成すると同時に、前記モールド樹脂の前記上面に再び金属シールドを形成することを特徴とする請求項13に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記第4の工程においては、前記モールド樹脂の前記上面の一部に前記金属シールドが形成されないよう、選択的にメッキ加工を行うことを特徴とする請求項14に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記金属シールドの一部を除去することにより、前記モールド樹脂の前記上面の一部を露出させる工程をさらに備えることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記電源パターンは前記集合基板の前記表面に形成されており、前記第3の工程においては前記電源パターンの上面を露出させることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか一項に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記第5の工程においては、前記貫通孔を分断する位置で前記集合基板を切断することを特徴とする請求項11乃至17のいずれか一項に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路モジュール及びその製造方法に関し、特に、モールド樹脂の上面が金属シールドで覆われた電子回路モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどの電子機器には、多数の電子部品がモジュール化された電子回路モジュールが広く用いられている。電子回路モジュールは、動作時に電磁ノイズを放射したり、外来ノイズの影響を受けたりすることがあることから、これを抑制するためにモールド樹脂の表面が金属シールドによって覆われることがある(特許文献1参照)。
【0003】
金属シールドを正しく電磁シールドとして機能させるためには、金属シールドをグランドなどの電源パターンに接続する必要がある。このため、従来の電子回路モジュールにおいては、電子回路モジュールの上面及び側面を金属シールドで覆い、側面に形成された金属シールドを電源パターンに接続することによって金属シールド全体を接地していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−225752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子回路モジュールの側面に金属シールドを形成することは必ずしも容易ではなく、製造コストが増加する原因になるという問題があった。しかも、側面の金属シールドと電源パターンとの接続は、基板の側面に露出した薄いグランド配線を金属シールドで覆うことによって達成されるため、接続信頼性が不十分となるおそれもあった。
【0006】
したがって、本発明は、モールド樹脂の上面に形成された金属シールドを容易に且つ確実に電源パターンに接続することが可能な電子回路モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電子回路モジュールは、電源パターンを有する基板と、前記基板の表面に搭載された電子部品と、前記電子部品を埋め込むよう、前記基板の前記表面を覆うモールド樹脂と、前記モールド樹脂を覆う金属シールドと、前記モールド樹脂を貫通して設けられ、前記金属シールドと前記電源パターンとを接続する貫通導体と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、モールド樹脂を貫通する貫通導体を介して金属シールドと電源パターンが接続されることから、電子回路モジュールの側面に接続用の金属導体を形成する必要がなく、製造が容易となる。しかも、貫通導体によって金属シールドが確実に電源パターンに接続されるため、接続信頼性についても大幅に高められる。
【0009】
本発明において、前記貫通導体は、平面視で前記電子部品を囲むよう、複数個設けられていることが好ましい。これによれば、電子部品から放射される電磁ノイズや、電子部品に入射される外来ノイズを遮蔽することが可能となる。
【0010】
本発明において、前記貫通導体は、前記モールド樹脂の側面に露出していることが好ましい。これによれば、側面に露出する貫通導体が側面の電磁シールドとして機能することになる。また、集合基板から複数の電子回路モジュールを多数個取りする場合において、1つの貫通導体が2つ以上の電子回路モジュールに共有されることになるので、電子回路モジュールの平面サイズを小型化することも可能となる。
【0011】
本発明において、前記金属シールドは、前記モールド樹脂の上面の全面を覆っていても構わない。これによれば、上面側における電磁シールド効果を高めることが可能となる。或いは、前記金属シールドには、前記モールド樹脂の上面を露出させる開口部が設けられていても構わない。これによれば、モールド樹脂に含まれる水分がリフロー時に開口部を介して放出されるので、製品の信頼性を高めることが可能となる。
【0012】
本発明において、前記金属シールドは、前記電子部品を覆う位置に選択的に設けられていても構わない。これによれば、電磁シールドが不要な箇所が低背化されるとともに、金属シールドと他の電子部品とのショートも発生しにくくなる。
【0013】
本発明による電子回路モジュールは、前記モールド樹脂を覆って設けられ、前記金属シールドとは絶縁分離された金属導体と、前記モールド樹脂を貫通して設けられ、前記金属導体に接続された別の貫通導体と、をさらに備えていても構わない。これによれば、金属シールドと金属導体に異なる電位を与えることができるので、例えば金属導体をアンテナの放射導体として利用することも可能となる。
【0014】
本発明において、前記電源パターンは前記基板の前記表面に設けられており、前記貫通導体の底部は前記電源パターンの上面と接していることが好ましい。これによれば、貫通孔が基板を貫通しないことから、貫通導体60の存在によって基板の裏面の利用可能面積が減少することがない。
【0015】
本発明において、前記金属シールドは、前記モールド樹脂側の表面が粗面化されていることが好ましい。これによれば、金属シールドとモールド樹脂との密着性を高めることが可能となる。
【0016】
本発明による電子回路モジュールは、前記基板に埋め込まれた半導体チップをさらに備えることが好ましい。これによれば、より高機能な電子回路モジュールを提供することが可能となる。
【0017】
本発明による電子回路モジュールの製造方法は、電源パターンを有する集合基板の表面に電子部品を搭載する第1の工程と、前記電子部品を埋め込むよう、前記集合基板の前記表面をモールド樹脂で覆うとともに、前記モールド樹脂の上面を金属シールドで覆う第2の工程と、前記モールド樹脂に貫通孔を形成することにより前記電源パターンを露出させる第3の工程と、前記貫通孔の内部に貫通導体を形成することにより、前記金属シールドと前記電源パターンとを接続する第4の工程と、前記集合基板を切断することにより、電子回路モジュールを個片化する第5の工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、モールド樹脂を貫通する貫通導体によって金属シールドと電源パターンが接続されることから、電子回路モジュールの側面に接続用の金属導体を形成する必要がなく、製造が容易となる。しかも、貫通導体によって金属シールドが確実に電源パターンに接続されるため、接続信頼性についても大幅に高められる。
【0019】
本発明において、前記第2の工程は、金型の空洞部に樹脂と金属箔を導入することによって、前記モールド樹脂と前記金属シールドを同時に形成することが好ましい。これによれば、金属シールドを別途形成する必要が無くなるため、製造工程数を削減することが可能となる。
【0020】
この場合、前記金属箔は、前記樹脂と接する側の表面が粗面化されていることが好ましい。これによれば、粗面化された金属箔の表面形状がモールド樹脂の表面に転写されるため、高い密着性を確保することが可能となる。
【0021】
さらにこの場合、前記第2の工程を行った後、前記第4の工程を行う前に、前記金属シールドを一旦除去する工程をさらに備え、前記第4の工程においては、メッキ加工を行うことにより、前記貫通孔の内部に前記貫通導体を形成すると同時に、前記モールド樹脂の前記上面に再び金属シールドを形成することが好ましい。これによれば、金属シールドに所定の開口部を形成する場合であっても、金属シールドをパターニングする工程が不要となる。例えば、前記第4の工程において、前記モールド樹脂の前記上面の一部に前記金属シールドが形成されないよう、選択的にメッキ加工を行えば、金属シールドをパターニングすることなく、金属シールドに所定の開口部を形成することが可能となる。
【0022】
本発明による電子回路モジュールの製造方法は、前記金属シールドの一部を除去することにより、前記モールド樹脂の前記上面の一部を露出させる工程をさらに備えても構わない。これによれば、モールド樹脂に含まれる水分がリフロー時に開口部を介して放出されるので、製品の信頼性を高めることが可能となる。
【0023】
本発明において、前記電源パターンは前記集合基板の前記表面に形成されており、前記第3の工程においては前記電源パターンの上面を露出させることが好ましい。これによれば、貫通孔が基板に達しないことから、基板の裏面の利用可能面積が減少することがない。
【0024】
前記第5の工程においては、前記貫通孔を分断する位置で前記集合基板を切断することが好ましい。これによれば、1つの貫通導体が2つ以上の電子回路モジュールに共有されることになるため、電子回路モジュールの平面サイズを小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明によれば、モールド樹脂の上面に形成された金属シールドを容易に且つ確実に電源パターンに接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による電子回路モジュール11の外観を示す略斜視図である。
図2図2は、電子回路モジュール11の上面図である。
図3図3は、電子回路モジュール11の底面図である。
図4図4は、電子回路モジュール11の側面図である。
図5図5図2に示すA−A線に沿った断面図である。
図6図6は、図5に示す領域Bの拡大図である。
図7図7は、電子回路モジュール11の製造方法を説明するための工程図である。
図8図8は、電子回路モジュール11の製造方法を説明するための工程図である。
図9図9は、電子回路モジュール11の製造方法を説明するための工程図である。
図10図10は、電子回路モジュール11の製造方法を説明するための工程図である。
図11図11は、電子回路モジュール11の製造方法を説明するための工程図である。
図12図12は、電子回路モジュール11の製造方法を説明するための工程図である。
図13図13は、本発明の第2の実施形態による電子回路モジュール12の外観を示す略斜視図である。
図14図14は、電子回路モジュール12の断面図である。
図15図15は、電子回路モジュール12の製造方法を説明するための工程図である。
図16図16は、電子回路モジュール12の製造方法を説明するための工程図である。
図17図17は、電子回路モジュール12の製造方法を説明するための工程図である。
図18図18は、本発明の第3の実施形態による電子回路モジュール13の外観を示す略斜視図である。
図19図19は、電子回路モジュール13の断面図である。
図20図20は、本発明の第4の実施形態による電子回路モジュール14の外観を示す略斜視図である。
図21図21は、電子回路モジュール14の断面図である。
図22図22は、本発明の第5の実施形態による電子回路モジュール15の外観を示す略斜視図である。
図23図23は、電子回路モジュール15の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態による電子回路モジュール11の外観を示す略斜視図である。また、図2図4はそれぞれ電子回路モジュール11の上面図、底面図及び側面図であり、図5図2に示すA−A線に沿った断面図である。
【0029】
図1図5に示すように、本実施形態による電子回路モジュール11は、半導体チップ31が埋め込まれた基板20と、基板20に搭載された複数の電子部品32と、電子部品32を埋め込むよう基板20の表面を覆うモールド樹脂40と、モールド樹脂40の上面を覆う金属シールド50とを備えている。特に限定されるものではないが、電子回路モジュール11のx方向における長さは約6mm、y方向における幅は約3mm、z方向における高さは約1mmである。
【0030】
基板20は、内部に半導体チップ31が埋め込まれた多層回路基板であり、その表面21には複数のランドパターン23及び複数の電源パターン24が形成されている。本発明において、基板20に半導体チップ31が埋め込まれていることは必須でないが、半導体チップ31を内蔵することにより高機能な電子回路モジュールを提供することが可能となる。例えば、本実施形態による電子回路モジュール11が電源制御モジュールであれば、半導体チップ31として電源コントローラを用いればよい。半導体チップ31は、厚みが100μm以下に薄型化されたものを用いることが好ましい。
【0031】
ランドパターン23は、電子部品32と接続するための内部電極であり、両者は図示しないはんだを介して電気的且つ機械的に接続される。電子部品32としては、例えばキャパシタやコイルなどの受動部品が挙げられる。ランドパターン23は、基板20に形成された図示しない内部配線を介して、半導体チップ31にも接続される。電源パターン24は、平面視で(z方向から見て)基板20の外周部に設けられており、後述する貫通導体60に接続される。電源パターン24は、典型的には、接地電位が与えられるグランドパターンであるが、固定電位が与えられるパターンであればグランドパターンに限定されるものではない。
【0032】
基板20の裏面22には、複数の外部端子25,26が設けられている。外部端子25は例えば信号の入出力端子であり、図3に示すように、基板20の裏面22の中央部に配列されている。一方、外部端子26は例えばグランド端子であり、図3に示すように、外部端子25を取り囲むよう、基板20の裏面22の外周部に配列されている。実使用時においては、電子回路モジュール11が図示しないマザーボードなどに実装され、マザーボード上の端子電極と電子回路モジュール11の外部端子25,26とが電気的に接続される。
【0033】
モールド樹脂40は、電子部品32を埋め込むよう基板20の表面21を覆って設けられている。本実施形態においては、平面視で電子回路モジュール11の外周部に沿ってモールド樹脂40に複数の貫通孔41が設けられており、その底部には電源パターン24が露出している。後述するように、貫通孔41は2つの電子回路モジュール11に共有されるため、最終製品においては貫通孔41の内壁は閉じておらず、電子回路モジュール11の側面に開放されている。したがって、本発明において「貫通孔」とは閉じた内壁を持つ筒状体に限定されるものではなく、モールド樹脂40がz方向に削除されることによって、モールド樹脂40の上面と下面を繋ぐ切り欠きであれば足りる。
【0034】
貫通孔41の内壁には貫通導体60が形成される。これにより、貫通導体60の底部は電源パターン24の上面と接し、両者は電気的に接続されることになる。また、本実施形態においては、モールド樹脂40の貫通孔41が側面に開放されていることから、貫通導体60もモールド樹脂40の側面に露出することになる。図1及び図2に示すように、貫通導体60は電子回路モジュール11の側面に所定の間隔で配列されており、これにより側面方向における電磁シールドとして機能する。貫通導体60の配列ピッチは、本実施形態による電子回路モジュール11が取り扱う信号又は電源の周波数に応じて決定すればよい。つまり、電子回路モジュール11が取り扱う信号又は電源の周波数に応じた電磁ノイズを遮蔽可能なピッチで貫通導体60を配列すればよい。
【0035】
モールド樹脂40の上面は、銅などからなる金属シールド50で覆われている。金属シールド50は、複数の貫通導体60を介して電源パターン24に接続されることから固定電位(例えばグランド電位)が与えられ、これにより上面方向における電磁シールドとして機能する。本実施形態においては、モールド樹脂40の上面の全面が金属シールド50で覆われており、これによりシールド効果が高められている。
【0036】
このように、本実施形態による電子回路モジュール11は、上面方向については金属シールド50が電磁シールドとして機能し、側面方向については複数の貫通導体60が電磁シールドとして機能することから、モールド樹脂40の全体が金属のシールドケースに覆われた場合と同じ状態を得ることができる。これにより、放射ノイズ及び外来ノイズを効果的に遮蔽することが可能となる。しかも、貫通導体60は、基板20の表面21に形成された電源パターン24に接続されていることから、基板20の側面部分で接続を図る場合とは異なり、接続不良などが生じる可能性がほとんどない。
【0037】
図6は、図5に示す領域Bの拡大図である。図6に示すように、本実施形態においては金属シールド50の下面51と上面52の表面性が相違している。具体的には、金属シールド50の上面52は比較的平坦な表面性を有しているのに対し、モールド樹脂40と接する下面51は粗面化されている。そして、粗面化された下面51の表面性がモールド樹脂40の上面に転写されており、これによって両者の密着性が高められている。このような構造は、後述する製造方法に起因するものである。
【0038】
次に、本実施形態による電子回路モジュール11の製造方法について説明する。
【0039】
図7図12は、本実施形態による電子回路モジュール11の製造方法を説明するための工程図である。
【0040】
まず、図7に示すように、複数の半導体チップ31が埋め込まれた集合基板20Aを用意する。集合基板20Aの表面21には、ランドパターン23及び電源パターン24が形成されている。また、集合基板20Aの裏面22には、外部端子25,26が形成されている。なお、図7に示す破線Cは、その後のダイシング工程において切断されるべき部分を指している。図7に示すように、集合基板20Aの表面21に形成された電源パターン24は、平面視で破線Cと重なる位置に設けられている。
【0041】
次に、図8に示すように、ランドパターン23に接続されるよう、集合基板20Aの表面21に複数の電子部品32を搭載する。具体的には、ランドパターン23上にはんだを供給した後、電子部品32を搭載し、リフローを行うことによって電子部品32をランドパターン23に接続すればよい。
【0042】
次に、図9に示すように、電子部品32を埋め込むよう、集合基板20Aの表面21をモールド樹脂40で覆うとともに、モールド樹脂40の上面を金属シールド50で覆う。具体的には、図示しない金型の空洞部に樹脂と金属箔を導入し、この状態でモールド成形することにより、モールド樹脂40と金属シールド50を同時に形成することが好ましい。この方法によれば、金属シールド50を別途形成する必要がないことから、製造工程数を削減することができる。
【0043】
この場合、使用する金属箔は、樹脂と接する側の表面が粗面化されていることが好ましい。これによれば、軟化した樹脂に金属箔の表面性が転写されることから、図6を用いて説明したように、高い密着性を得ることができる。しかも、モールド樹脂40を粗面化するための専用の工程も不要である。但し、本発明においてモールド樹脂40と金属シールド50を同時に形成することは必須でなく、モールド樹脂40を形成した後、その上面に金属シールド50を別途形成しても構わない。
【0044】
次に、図10に示すように、モールド樹脂40に貫通孔41を形成することによって電源パターン24を露出させる。貫通孔41の形成方法については特に限定されないが、レーザー加工やドリル加工を用いることができる。レーザー加工を用いる場合は、貫通孔41を形成すべき位置の金属シールド50を除去することによってモールド樹脂40の上面を露出させ、この部分にレーザービームを照射することによって貫通孔41を形成すればよい。レーザー加工においては、電源パターン24がストッパとして機能することから、制御性に優れるという利点がある。一方、ドリル加工を用いる場合は、ドリルの先端が電源パターン24に接した時点でドリルの降下を停止させればよい。ドリル加工は、短時間で多くの貫通孔41を形成できるという利点を有している。
【0045】
次に、図11に示すように、メッキ加工を行うことによって貫通孔41の内部に貫通導体60を形成する。この時、金属シールド50の上面にもメッキが成膜される。上述の通り、貫通孔41の底部には電源パターン24が露出していることから、貫通導体60は、電源パターン24と金属シールド50を電気的に接続することになる。但し、貫通導体60の形成方法はメッキに限定されるものではない。
【0046】
そして、図12に示すように、破線Cと一致するダイシングラインDに沿って集合基板20Aを切断すれば、個片化された複数の電子回路モジュール11を取り出すことができる。本実施形態においては、ダイシングラインDに沿って貫通孔41が配列されているため、ダイシングラインDに沿って集合基板20Aを切断すると、1つの貫通導体60が2つに分割され、これらが隣り合う電子回路モジュール11にそれぞれ属することになる。これにより、モールド樹脂40の側面が有効に利用されることから、電子回路モジュール11の平面サイズを小型化することができる。
【0047】
このように、本実施形態による電子回路モジュール11の製造方法によれば、集合基板20Aを切断することによって電子回路モジュール11を個片化すれば、主要な工程は全て完了しており、その後、切断面である側面に対して導体の形成などの追加工程を行う必要がない。このため、側面に接続用の導体を形成する従来の方法と比べ、製造工程を簡素化することが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態による電子回路モジュール11は、モールド樹脂40をz方向に貫通して設けられた貫通導体60を介して、電源パターン24と金属シールド50が接続されていることから、両者の接続信頼性が高められるとともに、ダイシングによる切断面に対して導体を形成する必要がないことから、製造工程を簡素化することができる。
【0049】
しかも、本実施形態においては、複数の貫通導体60によってモールド樹脂40の側面が囲まれていることから、モールド樹脂40に覆われた全ての電子部品32に対して電磁シールドを施すことが可能となる。さらに、本実施形態においては、貫通孔41が基板20を貫通するものではないため、基板20の裏面22を効率的に利用することが可能となる。
【0050】
<第2の実施形態>
図13は、本発明の第2の実施形態による電子回路モジュール12の外観を示す略斜視図である。また、図14は電子回路モジュール12の断面図である。
【0051】
図13及び図14に示すように、本実施形態による電子回路モジュール12は、金属シールド50に複数の開口部53が形成されている点において、第1の実施形態による電子回路モジュール11と相違している。その他の構成については、第1の実施形態による電子回路モジュール11と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】
金属シールド50に設けられた開口部53は、x方向及びy方向に規則的に配列されており、この部分においてモールド樹脂40の上面が露出している。これにより、モールド樹脂40に含まれる水分が開口部53から外部に放出されることから、リフロー時における水分の膨張による信頼性の低下を防止することが可能となる。開口部53の数、大きさ、配列方法については特に限定されず、金属シールド50による電磁シールド効果を損なわないよう、対象とする周波数帯域を考慮して任意に設計すればよい。例えば、シールドすべき周波数帯域に応じて、開口部53の数、大きさ、ピッチをエリア毎に最適化しても構わないし、開口部53の形状及びレイアウトによって製品の品番やロット番号を示す二次元コードを構成することも可能である。図13に示す例では、左下角部に位置する開口部53のサイズを1つだけ大きくすることにより、これを方向性マークとして利用している。
【0053】
図15は、本実施形態による電子回路モジュール12の製造方法の一例を説明するための工程図である。本例では、図7図12を用いて説明した各工程を完了した後、図15に示すように、金属シールド50をパターニングして開口部53を形成することにより、モールド樹脂40の上面の一部を露出させる。金属シールド50のパターニングは、フォトリソグラフィー法によって行うことができる。これにより、任意の数、位置、形状を持った開口部53を形成することができる。
【0054】
図16及び図17は、本実施形態による電子回路モジュール12の製造方法の別の例を説明するための工程図である。本例では、図7図9を用いて説明した各工程を完了した後、図16に示すように、金属シールド50を一旦全て除去する。金属シールド50の除去方法としては、例えば酸を用いたウェットエッチングなどを用いることができる。これにより、金属シールド50は一旦全て無くなるが、金属シールド50の粗面化された下面51の表面性がモールド樹脂40の上面に転写されていることから、モールド樹脂40の上面は極めて高密度に粗面化された状態となる。
【0055】
次に、モールド樹脂40に貫通孔41を形成することによって電源パターン24を露出させる。本工程は、図10を用いて説明した通りであり、レーザー加工やドリル加工を用いることができる。尚、上記の工程とは逆に、先に貫通孔41を形成し、その後、金属シールド50を除去しても構わない。
【0056】
次に、図17に示すように、開口部53を形成すべき箇所にマスク54を形成した状態でメッキ加工を行う。これにより、貫通孔41の内部に貫通導体60が形成されると同時に、モールド樹脂40の上面に再び金属シールド50aが形成される。この方法によれば、マスク54によって選択的にメッキ加工されるため、その後、金属シールド50aをパターニングする工程を省略することが可能となる。しかも、再び形成された金属シールド50aは、高密度に粗面化されたモールド樹脂40の上面に形成されるため、最初に形成した金属シールド50と同様、モールド樹脂40に対して極めて高い密着性を得ることができる。
【0057】
<第3の実施形態>
図18は、本発明の第3の実施形態による電子回路モジュール13の外観を示す略斜視図である。また、図19は電子回路モジュール13の断面図である。
【0058】
図18及び図19に示すように、本実施形態による電子回路モジュール13は、貫通導体60がモールド樹脂40の側面に露出しておらず、平面視で所定の領域Eを囲むように複数個設けられている点において、第2の実施形態による電子回路モジュール12と相違している。その他の構成については、第2の実施形態による電子回路モジュール12と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
本実施形態においては所定の領域Eが平面視で基板20の略中央部に位置している。この領域Eは、ノイズ源となる、或いは、外来ノイズの影響を強く受ける電子部品32aが搭載された領域である。そして、平面視で電子部品32aが複数の貫通導体60によって取り囲まれるとともに、電子部品32aの上方が金属シールド50によって覆われることから、ノイズ源となる、或いは、外来ノイズの影響を強く受ける電子部品32aを正しくシールドすることが可能となる。別の電子部品32bは領域Eの外部に位置しており、したがって、貫通導体60によって取り囲まれていない。
【0060】
このように、本発明においては、全ての電子部品32a,32bを貫通導体60によって取り囲むことは必須ではなく、シールドすべき特定の電子部品32aだけを貫通導体60によって取り囲んでも構わない。また、本発明においては、貫通導体60がモールド樹脂40の側面に露出していることも必須でない。本実施形態のように、貫通導体60がモールド樹脂40の側面に露出しない構造の場合、ダイシング工程において貫通導体60を切断する必要がないことから、ダイシング条件が緩和されるという利点もある。
【0061】
また、図18に示す例では、領域Eにおいては金属シールド50に開口部53が設けられておらず、これによりシールド効果が高められている。一方、領域Eの外部においては金属シールド50に複数の開口部53が設けられており、これによってリフロー時における水分の放出が促進される。
【0062】
<第4の実施形態>
図20は、本発明の第4の実施形態による電子回路モジュール14の外観を示す略斜視図である。また、図21は電子回路モジュール14の断面図である。
【0063】
図20及び図21に示すように、本実施形態による電子回路モジュール14は、金属シールド50が領域Eに選択的に設けられている点において、第3の実施形態による電子回路モジュール13と相違している。その他の構成については、第3の実施形態による電子回路モジュール13と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
本実施形態においては、平面視で領域Eの外部に位置する領域Fは電磁シールドが不要な領域であり、この領域Fにおいて金属シールド50が削除されている。このように、金属シールド50がモールド樹脂40の上面の全領域に形成されていることは必須でなく、シールドすべき特定の電子部品32aを覆う位置に選択的に設けられていても構わない。この場合、領域Fにおける電子回路モジュール14の高さを低背化することができるとともに、金属シールド50と他の電子部品とのショートも発生しにくくなる。また、ダイシング工程において金属シールド50及び貫通導体60を切断する必要がないことから、ダイシング条件がより緩和されるという利点も有する。さらに、領域Fにおいてはモールド樹脂40の上面が完全に露出していることから、モールド樹脂40に含まれる水分がリフロー時に容易に外部に放出される。
【0065】
<第5の実施形態>
図22は、本発明の第5の実施形態による電子回路モジュール15の外観を示す略斜視図である。また、図23は電子回路モジュール15の断面図である。
【0066】
図22及び図23に示すように、本実施形態による電子回路モジュール15は、モールド樹脂40の上面のうち、領域Gには金属シールド50が設けられ、別の領域Hには金属シールド50とは絶縁分離された金属導体55が設けられている。金属導体55は、別の貫通導体61を介して配線パターン27に接続されている。その他の構成については、第1の実施形態による電子回路モジュール11と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
金属導体55は、例えばアンテナの放射導体である。この場合、配線パターン27及び貫通導体61は、図示しないアンテナ回路に接続された給電パターンを構成する。このような構成は、金属シールド50の一部をパターニングすることによって得ることができる。このように、モールド樹脂40の上面に設けられた金属シールド50の一部を電気的に分離し、これをアンテナの放射導体など別の用途に利用しても構わない。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0069】
例えば、上述した各実施形態による電子回路モジュールは、いずれも複数の貫通導体60を備えているが、本発明においてこの点は必須でなく、側面方向のシールド効果が不要であれば、単一の貫通導体60を用いて金属シールド50と電源パターン24を電気的に接続しても構わない。
【符号の説明】
【0070】
11〜15 電子回路モジュール
20 基板
20A 集合基板
21 基板の表面
22 基板の裏面
23 ランドパターン
24 電源パターン
25,26 外部端子
27 配線パターン
31 半導体チップ
32,32a,32b 電子部品
40 モールド樹脂
41 貫通孔
50,50a 金属シールド
51 金属シールドの下面
52 金属シールドの上面
53 開口部
54 マスク
55 金属導体
60,61 貫通導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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