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特開2017-191844ハウジング、カメラ、交換レンズ、携帯電子機器、及びハウジング部材の接合方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-191844(P2017-191844A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】ハウジング、カメラ、交換レンズ、携帯電子機器、及びハウジング部材の接合方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20170922BHJP
   G03B 17/08 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   H05K5/06 D
   G03B17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-79983(P2016-79983)
(22)【出願日】2016年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】城野 方博
【テーマコード(参考)】
2H101
4E360
【Fターム(参考)】
2H101CC01
2H101CC52
4E360AB11
4E360AB33
4E360AB42
4E360BD03
4E360EA11
4E360EC05
4E360ED03
4E360ED07
4E360GA53
4E360GB01
4E360GC08
4E360GC14
(57)【要約】
【課題】ハウジング部材同士の接合部が複雑な形状であっても、シール部材をハウジング部材同士の接合部に良好に施工することができるハウジングの提供。
【解決手段】第1のハウジング部材と第2のハウジング部材(1、2、3)とが接合された状態において、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材(1、2、3)との間を塞ぐシール部材(4、5)と、を備えるハウジングである。シール部材(4、5)は、第1のシール部材(4)と、第1のシール部材(4)と異なる特性を有する第2のシール部材(5)とを備える。第1のシール部材(4)と、第2のシール部材(5)とは、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材(1、2、3)とが接合された状態において、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材(1、2、3)との間に挟まれており、弾性を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジング部材と、
前記第1のハウジング部材と接合されている第2のハウジング部材と、
前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合された状態において、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材との間を塞ぐシール部材と、を備え、
前記シール部材は、第1のシール部材と、前記第1のシール部材と異なる特性を有する第2のシール部材と、を備え、
前記第1のシール部材と、前記第2のシール部材とは、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合された状態において、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材との間に挟まれており、弾性を有する、
ハウジング。
【請求項2】
前記第1のシール部材は、前記第1のハウジング部材及び前記第2のハウジング部材のいずれか一方において、粘性流体が硬化したものであり、
前記第2のシール部材は、弾性を有する弾性テープ本体と、前記弾性テープ本体の主面に配置される粘着層とを備え、
前記粘着層は、前記第1のハウジング部材及び前記第2のハウジング部材のいずれか一方に接着している、
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合している接合面は、前記第1のシール部材によって塞がれる第1のシール面と、前記第2のシール部材によって塞がれる第2のシール面と、を有し、
前記第2のシール面は、第1の平面と、前記第1の平面と交差する第2の平面と、を有し、
前記第2の平面が前記第1の平面に対して角度αで傾斜している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記第2の平面が前記第1の平面に対して傾斜している角度αは、30°以上である、
ことを特徴とする請求項3に記載のハウジング。
【請求項5】
前記第1のシール面は、一方向に延びる第1の領域と、前記第1の領域と接続する第2の領域と、を有し、
前記第2の領域は、前記第1の領域の延びる方向と異なる方向に延びる、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のハウジング。
【請求項6】
前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合している接合面は、前記第1のシール部材と前記第2のシール部材とが互いに重なり合うオーバーラップ領域を、さらに有する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハウジング。
【請求項7】
前記第1のシール部材は、光を前記粘性流体に照射して、硬化させたものである、
ことを特徴とする請求項2、請求項2を引用する請求項3、請求項2を引用する請求項4、請求項2を引用する請求項5、及び、請求項2を引用する請求項6のいずれか1項に記載のハウジング。
【請求項8】
前記第2のシール部材の前記弾性テープ本体は、発泡プラスチックからなる、
ことを特徴とする請求項2、請求項2を引用する請求項3、請求項2を引用する請求項4、請求項2を引用する請求項5、請求項2を引用する請求項6、及び請求項2を引用する請求項7のいずれか1項に記載のハウジング。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載されたハウジングを備えるカメラ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載されたハウジングを備える交換レンズ。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載されたハウジングを備える携帯電子機器。
【請求項12】
第1のハウジング部材及び第2のハウジング部材の少なくとも一方に、粘性流体を硬化させることによって、第1のシール部材を施工する第1のシール工程と、
前記第1のハウジング部材及び前記第2のハウジング部材の少なくとも一方に、第2のシール部材の粘着層を接着させて、前記第2のシール部材を施工する第2のシール工程と、
前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とを突き合わせて、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とを接合させる接合工程と、を含む、
ハウジング部材の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハウジング、カメラ、交換レンズ、携帯電子機器、及びハウジング部材の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラのハウジングは、複数のハウジング部材同士を接合させることによって、形成される。特許文献1には、ホットメルト剤をあらかじめケース部材の接合面に介在させ、その上でケース部材を一体的に組み立てた水中カメラのハウジングが開示されている。この水中カメラのハウジングでは、ホットメルト剤がシール部材として機能し、防水等の気密性を得るために使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−327954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、より優れたデザインを有するカメラが要求されることが多い。その結果、カメラのハウジング部材同士の接合部の形状も複雑化する傾向にある。複雑化した形状を有する接合部の部位にシール部材を塗布すると、部位に応じて塗布量が均一にならない等、良好に施工することができないことがあった。
【0005】
本発明にかかるハウジングは、ハウジング部材同士の接合部が複雑な形状であっても、シール部材をハウジング部材同士の接合部に良好に施工するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるハウジングは、
第1のハウジング部材と、
前記第1のハウジング部材と接合されている第2のハウジング部材と、
前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合された状態において、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材との間を塞ぐシール部材と、を備え、
前記シール部材は、第1のシール部材と、前記第1のシール部材と異なる特性を有する第2のシール部材と、を備え、
前記第1のシール部材と、前記第2のシール部材とは、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合された状態において、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材との間に挟まれており、弾性を有する。
【0007】
また、前記第1のシール部材は、前記第1のハウジング部材及び前記第2のハウジング部材のいずれか一方において、粘性流体が硬化したものであり、前記第2のシール部材は、弾性を有する弾性テープ本体と、前記弾性テープ本体の主面に配置される粘着層とを備え、前記粘着層は、前記第1のハウジング部材及び前記第2のハウジング部材のいずれか一方に接着していることを特徴としてもよい。
また、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合している接合面は、前記第1のシール部材によって塞がれる第1のシール面と、前記第2のシール部材によって塞がれる第2のシール面とを有し、前記第2のシール面は、第1の平面と、前記第1の平面と交差する第2の平面と、を有し、前記第2の平面が前記第1の平面に対して角度αで傾斜していることを特徴としてもよい。
また、前記第2の平面が前記第1の平面に対して傾斜している角度αは、30°以上であることを特徴としてもよい。
また、前記第1のシール面は、一方向に延びる第1の領域と、前記第1の領域と接続する第2の領域と、を有し、前記第2の領域は、前記第1の領域の延びる方向と異なる方向に延びることを特徴としてもよい。
また、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とが接合している接合面は、前記第1のシール部材と前記第2のシール部材とが互いに重なり合うオーバーラップ領域を、さらに有することを特徴としてもよい。
また、前記第1のシール部材は、光を前記粘性流体に照射して、硬化させたものであることを特徴としてもよい。
また、前記第2のシール部材の前記弾性テープ本体は、発泡プラスチックからなることを特徴としてもよい。
【0008】
本発明にかかるカメラは、上記したハウジングを備えるカメラである。また、本発明にかかる交換レンズは、上記したハウジングを備える交換レンズである。また、本発明にかかる携帯電子機器は、上記したハウジングを備える携帯電子機器である。
【0009】
本発明にかかるハウジング部材同士の接合方法は、
第1のハウジング部材及び第2のハウジング部材の少なくとも一方に、粘性流体を硬化させることによって、第1のシール部材を施工する第1のシール工程と、
前記第1のハウジング部材及び前記第2のハウジング部材の少なくとも一方に、第2のシール部材の粘着層を接着させて、前記第2のシール部材を施工する第2のシール工程と、
前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とを突き合わせて、前記第1のハウジング部材と前記第2のハウジング部材とを接合させる接合工程と、を含む。
【0010】
このような構成によれば、ハウジング部材同士の接合部が複雑な形状であっても、シール部材をハウジング部材同士の接合部に良好に施工することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるハウジングは、ハウジング部材同士の接合部が複雑な形状であっても、シール部材をハウジング部材同士の接合部に良好に施工する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかるカメラの斜視図である。
図2】実施の形態1にかかるカメラのハウジングの分解斜視図である。
図3】実施の形態1にかかるカメラの要部の斜視図である。
図4】実施の形態1にかかるカメラの要部の斜視図である。
図5】実施の形態1にかかるカメラの背面図である。
図6】実施の形態1にかかるカメラの要部の断面図である。
図7】実施の形態1にかかるカメラの要部の断面図である。
図8】実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図9】実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図10】実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図11】実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図12】実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図13】実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図14】実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図15】実施の形態1にかかるカメラの要部の断面図である。
図16】実施の形態1にかかるカメラの要部の断面図である。
図17】実施の形態2にかかる交換レンズの側面図である。
図18】実施の形態2にかかる交換レンズの断面図である。
図19】実施の形態2にかかる交換レンズの拡大断面図である。
図20】実施の形態2にかかる交換レンズの組み立て方法を示す図である。
図21】関連する技術のカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図22】関連する技術のカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図23】関連する技術のカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図24】関連する技術のカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
図25】関連する技術のカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
まず、図1図7を参照して実施の形態1にかかるカメラの構成について説明する。図1は、実施の形態1にかかるカメラの斜視図である。図2は、実施の形態1にかかるカメラのハウジングの分解斜視図である。図3及び図4は、実施の形態1にかかるカメラの要部の斜視図である。図5は、実施の形態1にかかるカメラの背面図である。図6及び図7は、実施の形態1にかかるカメラの要部の断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、カメラ10は、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とを含む。カメラ10は、必要に応じて、他のハウジング部材、例えば、正面ハウジング部材(図示略)を含んでもよい。
【0015】
上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とを接合することで、カメラ10のハウジングを形成することができる。カメラ10のハウジングは、適宜、デジタルスチルカメラとしての動作をするための撮像部等を保持する。撮像部等は、水、水分、塵、埃等の異物との接触が好ましくないものであってもよい。上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とは、カメラ10がカメラとして必要な機能を有するよう、必要に応じて透過板や操作入力部等の各部材を備えるとよい。カメラ10が高い意匠性を有するように、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との互いの接合面は、複雑な形状を有する傾向にある。
【0016】
上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との間は、それらが互いに接合された状態では、弾性テープや硬化樹脂等のシール部材によって塞がれる。具体的には、図3及び図4に示すように、硬化樹脂4(第1のシール部材と称してもよい。)が、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との互いの接合面1a、2a(第1のシール面1a、2aと称してもよい。)に施工された後で、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とを突き合わせることで、接合させる。また、弾性テープ5(第2のシール部材と称してもよい。)が、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との互いの接合面1b(第2のシール面1bと称してもよい。)に、施工された後で、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とを突き合わせることで、接合させる。
【0017】
硬化樹脂4は、硬化する前において粘性流体であり、硬化した後において弾性を有する樹脂である。硬化樹脂4は、硬化した後において、水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐように、シール部材として必要な機械的性質を有する。本明細書では、水分は、空気中に含まれる水蒸気及び水滴の少なくとも一つを含む。硬化樹脂4は、例えば、湿分硬化型樹脂や光硬化樹脂であり、光硬化樹脂の具体例として紫外線硬化樹脂が挙げられる。光が照射される前において光硬化樹脂は粘性を有する粘性流体であり、光が照射されると光硬化樹脂は硬化して弾性体となる。
【0018】
硬化樹脂4の一具体例として、重量平均分子量が10,000〜30,000である(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーと、ポリチオール化合物とを含む光硬化性シーリング用材料が挙げられる。また、硬化樹脂4の他の一具体例としては、1分子中に少なくとも平均1個を超える架橋性シリル基を有する数平均分子量1,00〜50,000である有機重合体と、1分子中に少なくとも平均1個を超えるアクリロイル基を有する数平均分子量1,000〜50,000である有機重合体と、から選ばれる少なくとも1種、及び硬化触媒と、を必須成分として含有する硬化樹脂が挙げられる。さらに、硬化樹脂4は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂であってもよい。
【0019】
硬化樹脂4は、硬化される前の粘性流体であるとき、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との互いの接合面(例えば、接合面1a、2a)に配置される。硬化樹脂4は、配置された後で、硬化される。硬化樹脂4は、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とが接合した状態において、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との間に設けられることになる。硬化樹脂4は、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との間を塞ぎ、カメラ10のハウジング内部に、その外部から水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐ。
【0020】
弾性テープ5は、弾性を有するテープ状体であり、そのテープ状体の表面は粘着性を有する。弾性テープ5は、水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐようにシール部材として必要な機械的性質を有する。具体的には、弾性テープ5は、弾性テープ本体5aと、弾性テープ本体5aの主面上に設けられている粘着層5bとを備える。弾性テープ本体5aは、弾性を有する材料からなるテープ状体であればよく、このような材料として、例えば、ゴムスポンジ材が挙げられる。ゴムスポンジ材として、例えば、発泡ウレタンフォーム等の発泡プラスチックが挙げられる。
【0021】
弾性テープ5は、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との互いの接合面(例えば、接合面1b)に配置される。上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とが接合した状態において、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との間に設けられることになる。弾性テープ5は、硬化樹脂4と同様に、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3との間を塞ぎ、カメラ10のハウジング内部に、その外部から水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐ。
【0022】
さらに、図5及び図6を参照して上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2との接合部の詳細について説明する。図5及び図6に示すように、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2との接合面1bに、弾性テープ5が設けられている。上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2とは、適宜ビスなどを用いることによって互いに突き合わされており、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2とは、弾性テープ5を押圧して圧縮させている。なお、上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2とを互いに突き合わすために、適宜ビス等を用いてもよい。上記したように、弾性テープ5は、弾性を有するため、撓むことができるし、シール部材として必要な機械的性質を有する。そのため、弾性テープ5は、水、水分、埃、塵などの異物が上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2との間からカメラ10の内部へ侵入することを抑制する。さらに、弾性テープ5が弾性を有するため、上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2とを分解した後でも、上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2との再接合は容易である。
【0023】
また、図5及び図7を参照して上側ハウジング部材1と接眼ハウジング部材3との接合部の詳細について説明する。図5及び図7に示すように、上側ハウジング部材1と、接眼ハウジング部材3との接合面1aに、硬化樹脂4が設けられている。上側ハウジング部材1と、接眼ハウジング部材3とは、互いに突き合わされており、上側ハウジング部材1と接眼ハウジング部材3とは、弾性テープ5を押圧して圧縮させている。なお、上側ハウジング部材1と接眼ハウジング部材3とを互いに突き合わすために、適宜ビス等を用いてもよい。上記したように、硬化樹脂4は、弾性を有し、シール部材として必要な機械的性質を有する。そのため、硬化樹脂4は、水、水分、埃、塵などの異物が上側ハウジング部材1と接眼ハウジング部材3との間からカメラ10の内部へ侵入することを抑制する。さらに、硬化樹脂4が弾性を有するため、上側ハウジング部材1と接眼ハウジング部材3とを分解した後でも、上側ハウジング部材1と接眼ハウジング部材3との再接合は容易である。
【0024】
以上より、実施の形態1にかかるカメラの構成によれば、弾性テープが、所定の傾斜角度で傾斜する接合面に施工されており、さらに、硬化樹脂が、所定方向に曲がる領域を有する接合面に施工されている。これによって、弾性テープと硬化樹脂とをいずれもカメラのハウジング部材同士の接合面に良好に施工することができる。
【0025】
(ハウジング部材同士の接合方法)
次に、図8図14を参照して、実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法について説明する。図8図14は、実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法を示す図である。
【0026】
まず、図8図10に示すように、弾性テープ5を上側ハウジング部材1の接合面1bに施工する(弾性テープ施工ステップS1(第1のシール工程とも称する。))。接合面1bは、その部位に応じて所定の傾斜角度で傾斜する面であり、具体的には、第1の平面F1及び第2の平面F2を有する。なお、ここでの高さ方向は、Y軸マイナス側である。第1の平面F1及び第2の平面F2は、いずれも実質的に平面であり、第2の平面F2は第1の平面F1と交差している。第2の平面F2は、第1の平面F1に対して角度αで傾斜している。角度α[°]は、硬化樹脂4が施工可能な最大角度β(後述)よりも大きければよく、具体的には、好ましくは、30°以上であり、さらに好ましくは45°以上である。なお、第2の平面F2と第1の平面F1とが交差してなす角度γ[°]と、角度α[°]との関係は、下記の式1で表わすことができる。
α+γ=180 (式1)
具体的には、まず、ピンセットP1を用いて、弾性テープ5を把持し、弾性テープ5の粘着層5bの一部位を第1の平面F1に押圧して、接着させる。また、弾性テープ5の粘着層5bの残りの部位を第2の平面F2に押圧して、接着させる。弾性テープ5は、弾性を有するため、撓む。そのため、弾性テープ5は、接合面1aの第1の平面F1及び第2の平面F2に倣うよう撓むことができ、第1の平面F1及び第2の平面F2に密着して施工させることができる。言い換えると、弾性テープ5を接合面1aに施工しても、シワやヨレが弾性テープ5には発生し難い。つまり、弾性テープ5を接合面1aに良好に施工することができる。また、ピンセットP1を用いるため、複雑な装置や設備を必要とすることなく、簡易な装置や設備を用いて、弾性テープ5を施工することができる。
【0027】
次に、図11及び図13に示すように、硬化樹脂4を上側ハウジング部材1の接合面1a、背面ハウジング部材2の接合面2aに施工する(硬化樹脂施工ステップS2(第2のシール工程とも称する。))。具体的には、ディスペンサD1を用いて、粘性流体40を接合面1aに配置させる。ここで、粘性流体40が硬化すると、硬化樹脂4が形成される。つまり、硬化樹脂4は、粘性流体40が硬化したものである。硬化樹脂4は、CPIG(Cured In Place Gasket)方式で、上側ハウジング部材1の接合面1aに形成される。ディスペンサD1は、所定の量の粘性流体40を保持し、その先端から単位時間当たりに所定の量を吐出することができる。ディスペンサD1は、移動可能な支持装置(図示略)に支持されており、予め決められた軌跡に沿って、移動することができる。移動可能な支持装置として、直交ロボット、水平多関節ロボット、三次元駆動ロボットの各種ロボット等を利用することができる。三次元駆動ロボットは、例えば、垂直多関節ロボットである。直交ロボット、水平多関節ロボットは、垂直多関節ロボット等の三次元駆動ロボットよりも、簡易な構成を有するため、装置コストを抑制することができて好ましい。直交ロボット又は水平多関節ロボットは、ディスペンサD1を、予め決められた三次元空間における軌跡に沿って移動させることができるものの、三次元駆動ロボットと比較してディスペンサD1の吐出方向を適宜変化させにくい傾向にある。接合面1aの傾斜角度や勾配が所定範囲に収まると、直交ロボット又は水平多関節ロボットを用いた場合、粘性流体40を、接合面1aの部位に応じることなく均一な塗布量で塗布させることができる。
【0028】
図12に示すように、上側ハウジング部材1の接合面1aは、一方向(ここでは、X軸方向)に延びる第1の領域11aと、第1の領域11aと接続する第2の領域12aと、を有する。第2の領域12aは、第1の領域11aと異なる方向(ここでは、略Z軸マイナス側)に延びる。
具体的には、接合面1aは、実質的に平面(ここでは、ZX平面)において略U字状に延びており、第1の領域11a及び第2の領域12aは、それぞれ略直線上に沿って延びている。直交ロボット又は水平多関節ロボットを用いて、ディスペンサD1を接合面1aの延びる方向に沿って移動させることができるので、粘性流体40を接合面1aに均一な塗布量で塗布させることができる。
【0029】
図13に示すように、背面ハウジング部材2の接合面2aは、一方向(ここでは、X軸方向)に延びる第1の領域21aと、第1の領域21aと接続する第2の領域22aと、を有する。第2の領域22aは、第1の領域21aと異なる方向(ここでは、Z軸マイナス側)に延びる。
具体的には、接合面2aは、実質的に平面(ここでは、ZX平面)において略U字状に延びており、第1の領域21aは、略直線上に沿って延び、第2の領域22aは、曲線上に沿って延びている。直交ロボット又は水平多関節ロボットを用いて、ディスペンサD1を接合面2aの延びる方向に沿って移動させることができるため、粘性流体40を接合面2aに均一な塗布量で塗布させることができる。
【0030】
図14に示すように、接合面1aは、その部位に応じて所定の傾斜角度で傾斜する面を有し、具体的には、第3の平面F3と、第4の平面F4とを含む。なお、ここでの高さ方向は、Y軸マイナス側である。第3の平面F3と、第4の平面F4とは、いずれも実質的に平面であり、第4の平面F4は、第3の平面F3と交差している。第4の平面F4は、第3の平面F3に対して角度δ[°]で傾斜している。
角度δ[°]は、硬化樹脂4が施工可能な最大角度βよりも小さければよく、具体的には、好ましくは、45°未満であり、さらに好ましくは30°未満である。この硬化樹脂4が施工可能な最大角度βは、直交ロボット又は水平多関節ロボットを用いてディスペンサD1から吐出した場合において、接合面に均一な塗布量で塗布できなくなる接合面の最小の角度である。硬化樹脂4が施工可能な最大角度βは、硬化樹脂4の成分に応じて変化し、例えば、30°から90°までの範囲内にある。なお、第3の平面F3と、第4の平面F4とが交差してなす角度ε[°]と、角度δ[°]との関係は、式2で表すことができる。
δ+ε=180 (式2)
角度δ[°]は、硬化樹脂4が施工可能な最大角度βよりも小さいため、直交ロボット又は水平多関節ロボットを用いてディスペンサD1から粘性流体40を吐出させても、硬化樹脂4を接合面1aに良好に施工することができる。
【0031】
最後に、上側ハウジング部材1と、背面ハウジング部材2と、接眼ハウジング部材3とを互いに突き合わせて、接合させる(接合工程S3)。適宜ビスなどを用いてもよい。
なお、本ハウジング部材同士の接合方法は、弾性テープ施工ステップS1、硬化樹脂施工ステップS2、接合工程S3の順に実施したが、硬化樹脂施工ステップS2、弾性テープ施工ステップS1、接合工程S3の順に実施してもよい。
以上より、実施の形態1にかかるカメラのハウジング部材同士の接合方法によれば、弾性テープを、所定の傾斜角度で傾斜する接合面に施工し、さらに、硬化樹脂を、所定方向に曲がる領域を有する接合面に施工する。これによって、弾性テープと硬化樹脂とをいずれも接合面に良好に施工することができる。
【0032】
(ハウジング部材同士の接合部の他の具体例)
次に、図15及び図16を参照して、ハウジング部材同士の接合部の他の具体例について説明する。図15及び図16は、実施の形態1にかかるカメラの要部の断面図である。
【0033】
図15に示すように、上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2との接合部の他の具体例の一つである接合部1cがある。接合部1cは、硬化樹脂4と弾性テープ5とによって塞がれている。具体的には、硬化樹脂4と弾性テープ5とが接合部1cの全面を覆うように設けられており、硬化樹脂4の先端部41と弾性テープ5の先端部51とは、互いに突き合わすように密着している。なお、硬化樹脂4と弾性テープ5とは重なり合っていない。
【0034】
図16に示すように、上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2との接合部の他の具体例の一つである接合部1dがある。接合部1dは、硬化樹脂4と弾性テープ5とによって塞がれている。硬化樹脂4と弾性テープ5とが接合部1cの全面を覆うように設けられており、オーバーラップ領域ov1では、硬化樹脂4と弾性テープ5とが重なり合っている。図16に示す例において、オーバーラップ領域ov1では、弾性テープ5の先端部51が、硬化樹脂4の先端部41近傍を覆うように設けられている。なお、オーバーラップ領域ov1を有する接合部を形成する場合、硬化樹脂施工ステップS2、弾性テープ施工ステップS1、接合工程S3の順に実施するとよい。硬化樹脂施工ステップS2を実施すると、粘性流体が硬化して、硬化樹脂を形成し、続いて、弾性テープ施工ステップS1を実施すると、形成した硬化樹脂に弾性テープを塗布するため、弾性テープと硬化樹脂とを容易に接着し得てよい。
【0035】
以上より、接合部1dのオーバーラップ領域ov1では、硬化樹脂4と弾性テープ5とが重なり合っている。そのため、接合部1dは、水、水分、塵、埃などの異物が上側ハウジング部材1と背面ハウジング部材2との間から、カメラ10の内部へ侵入することを、接合部1c(図15参照)と比較して、より確実に抑制し得る。また、粘性流体40の塗布による硬化樹脂4の施工精度と弾性テープ5の施工精度とが低下し、硬化樹脂4の先端部41と弾性テープ5の先端部51とが離れたとしても、接合部1c(図15参照)と比較して、硬化樹脂4と弾性テープ5とを良好に施工し得る。
【0036】
(実施の形態2)
次に、図17図19を参照して、実施の形態2にかかる交換レンズの構成について説明する。図17は、実施の形態2にかかる交換レンズの側面図である。図18は、実施の形態2にかかる交換レンズの断面図である。図19は、実施の形態2にかかる交換レンズの拡大断面図である。
【0037】
図17及び図18に示すように、交換レンズ20は、ハウジング201と、ハウジング201に保持されているレンズ29とを備える。交換レンズ20は、所望のレンズ特性に応じて、レンズ29以外のレンズを複数保持することができる。交換レンズ20は、様々なレンズ特性を有しており、カメラの本体に取り付けられることによって使用される。ハウジング201は、複数のハウジング部材から構成されている。
【0038】
具体的には、図19に示すように、交換レンズ20は、硬化樹脂24と、弾性テープ25と、レンズ29とをさらに備える。ハウジング201は、第1のハウジング部材201aと、第2のハウジング部材201bと、第3のハウジング部材201cとを有する。第1のハウジング部材201aは、第2のハウジング部材201bをその内側に保持することができるような内径を有する略円筒状部を含む。第2のハウジング部材201bは、第3のハウジング部材201c及びレンズ29をその内側に保持することができるような内径を有する略円筒状部を含む。
【0039】
硬化樹脂24は、硬化樹脂4(図3参照)と同様に、硬化する前において粘性流体であり、硬化した後において弾性を有する樹脂である。硬化樹脂24は、硬化した後において、水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐように、シール部材として必要な機械的性質を有する。硬化樹脂24は、例えば、光硬化樹脂であり、具体的には、紫外線硬化樹脂である。光が照射される前において光硬化樹脂は粘性を有する粘性流体であり、光が照射されると光硬化樹脂は硬化して、弾性体となる。
【0040】
硬化樹脂24は、硬化される前の粘性流体であるとき、レンズ29と第2のハウジング部材201bとの接合面に、配置される。硬化樹脂24は、配置された後で、硬化される。硬化樹脂24は、レンズ29と第2のハウジング部材201bとが接合した状態において、レンズ29と第2のハウジング部材201bとの間に設けられることになる。レンズ29と第2のハウジング部材201bとの接合面は、所定の方向に曲がる領域を含んでもよい。硬化樹脂24は、レンズ29と第2のハウジング部材201bとの間を塞ぎ、交換レンズ20のハウジング内部に、その外部から水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐ。
【0041】
弾性テープ25は、弾性テープ5(図3参照)と同様に、弾性を有するテープ状体であり、そのテープ状体の表面は粘着性を有する。弾性テープ25は、水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐようにシール部材として必要な機械的性質を有する。具体的には、弾性テープ25は、弾性テープ本体(図示略)と、弾性テープ本体の主面上に設けられている粘着層(図示略)とを備える。この弾性テープ本体は、弾性を有する材料からなるテープ状体であればよく、このような材料として、例えば、発泡ウレタンフォーム等のゴムスポンジ材が挙げられる。
【0042】
弾性テープ25は、第1のハウジング部材201aと第2のハウジング部材201bとの接合面に施工されている。第1のハウジング部材201aと第2のハウジング部材201bとの接合面は、所定の傾斜角度で傾斜する面を有してもよい。弾性テープ25は、第1のハウジング部材201aと、第2のハウジング部材201bとが接合した状態において、第1のハウジング部材201aと、第2のハウジング部材201bとの間に設けられることになる。言い換えると、弾性テープ25は、第1のハウジング部材201aと、第2のハウジング部材201bとの間に挟まれている。弾性テープ25は、第1のハウジング部材201aと、第2のハウジング部材201bとの間を塞ぎ、交換レンズ20のハウジング内部に、その外部から水、水分、埃、塵等の異物の侵入を防ぐ。
【0043】
以上より、実施の形態2にかかる交換レンズの構成によれば、弾性テープが、所定の傾斜角度で傾斜する接合面に施工されており、さらに、硬化樹脂が、所定方向に曲がる領域を有する接合面に施工されていることがある。このような場合であっても、弾性テープと硬化樹脂とをいずれも交換レンズのハウジング部材同士の接合面に良好に施工することができる。
【0044】
(交換レンズの組み立て方法)
次に、図20を参照して、実施の形態2にかかる交換レンズの組み立て方法について説明する。図20は、実施の形態2にかかる交換レンズの組み立て方法を示す図である。
【0045】
図20に示すように、硬化樹脂24を第2のハウジング部材201bの底部に、ディスペンサD1(図11参照)等を用いて、施工する。具体的には、まず、第3のハウジング部材201cを組み付けたレンズ29を、第2のハウジング部材201bの内側底部に押し込む。すると、第3のハウジング部材201cが第2のハウジング部材201bとレンズ29との間に挟み込まれ、圧縮される。硬化樹脂24は、第2のハウジング部材201bとレンズ29との間に挟み込まれ、交換レンズ20の径方向(ここでは、Z軸方向)において圧縮される。レンズ29は、第3のハウジング部材201c及び硬化樹脂24を介して、第2のハウジング部材201bに保持される。
【0046】
さらに、弾性テープ25を第1のハウジング部材201aの内壁面に設ける。第2のハウジング部材201bに保持されたレンズ29を、第1のハウジング部材201aの内側へ押し込む。すると、弾性テープ25は、第1のハウジング部材201aと第2のハウジング部材201bとの間に挟み込まれ、交換レンズ20の径方向(ここでは、Z軸方向)において圧縮される。
【0047】
以上より、交換レンズ20(図19参照)を製造することができる。
【0048】
(関連する技術)
ところで、図21に示す上側ハウジング部材91、及び、図23に示す背面ハウジング部材92がある。上側ハウジング部材91の接合面91a、91b及び背面ハウジング部材92の接合面92aに弾性テープ95を施工する場合と、背面ハウジング部材92に硬化樹脂4を施工する場合とについて説明する。
【0049】
(弾性テープ95の施工)
図21に示す上側ハウジング部材91は、上側ハウジング部材1と同じ構成を有し、その各構成要素は、対応する名称及び符号を付けられている。弾性テープ95は、弾性テープ5と同じ構成を有し、その各構成要素は、対応する名称及び符号を付けられている。
【0050】
弾性テープ95を上側ハウジング部材91の接合面91bに接着させると、弾性テープ5を上側ハウジング部材1の接合面1bに接着させたときと同様に、接合面91bに良好に施工することができる。
【0051】
一方、弾性テープ95を上側ハウジング部材91の接合面91aに押圧することによって接着させようとする。図22に示すように、接合面91aは、一方向(ここでは、X軸方向)に延びる第1の領域911aと、第1の領域911aと接続しており、第1の領域911aと異なる方向(ここでは、略Z軸マイナス側)に延びる第2の領域912aとを有する。そのため、弾性テープ95は、接合面91aの形状に倣うことができない。さらに、弾性テープ95を接合面91aの形状に倣うように撓ませたようとすると、シワやヨレが弾性テープ95に発生する。弾性テープ95を接合面91aに良好に施工することができなかった。
【0052】
また、弾性テープ95を背面ハウジング部材92の接合面92aに押圧することによって接着させようとする。図23に示すように、接合面92aは、一方向(ここでは、X軸方向)に延びる第1の領域921aと、第1の領域921aと接続しており、第1の領域921aと異なる方向(ここでは、Z軸プラス側)に延びる第2の領域922aとを有する。そのため、弾性テープ95は、接合面92aの形状に倣うことができない。さらに、弾性テープ95を接合面92aの形状に倣うように撓ませたようとすると、シワやヨレが弾性テープ95に発生する。弾性テープ95を接合面92aに良好に施工することができなかった。
【0053】
ところで、実施の形態1にかかるカメラの構成によれば、弾性テープが、所定の傾斜角度で傾斜する接合面に施工されており、さらに、硬化樹脂が、所定方向に曲がる領域を有する接合面に施工されている。そのため、実施の形態1にかかるカメラの構成では、上記した弾性テープ95の施工と比較して、シール部材としての弾性テープと硬化樹脂とをいずれもカメラ又は交換レンズのハウジング部材同士の接合面に良好に施工することができる。
【0054】
(硬化樹脂94の施工)
図24に示す粘性流体940、ディスペンサD91はそれぞれ、粘性流体40、ディスペンサD1と同じ構成を有する。
【0055】
ディスペンサD91を用いて粘性流体940を上側ハウジング部材91の接合面91aに吐出させると、粘性流体40を上側ハウジング部材1の接合面1aに吐出させたときと同様に、粘性流体940を接合面91aの部位によることなく均一な塗布量で塗布させる。その後、粘性流体940が硬化して、硬化樹脂94(図示略)が接合面91bに形成される。その結果、硬化樹脂94を良好に施工することができる。なお、硬化樹脂94は、硬化樹脂4と同じ構成を有する。
【0056】
図25に示すように、ディスペンサD91を用いて粘性流体940を上側ハウジング部材91の接合面91bに吐出させる。ディスペンサD91は、直交ロボット又は水平多関節ロボットによって移動される。
ここで、接合面91bは、その部位に応じて所定の傾斜角度で傾斜する面であり、具体的には、第1の平面F91と、第2の平面F92とを有し、第1の平面F91と第2の平面F92とは交差している。第2の平面F92が第1の平面F91に対して角度γ9[°]で傾斜している。角度γ9[°]は、硬化樹脂4が施工可能な最大角度βよりも大きい。
したがって、粘性流体940を上側ハウジング部材91の第1の平面F91に、第1の平面F91の部位によることなく均一な塗布量で塗布させることができるものの、粘性流体940を第2の平面F92には、均一な塗布量で塗布させることができなかった。
【0057】
ところで、実施の形態1にかかるカメラの構成によれば、弾性テープが、所定の傾斜角度で傾斜する接合面に施工されており、さらに、硬化樹脂が、所定方向に曲がる領域を有する接合面に施工されている。そのため、実施の形態1にかかるカメラの構成では、上記した硬化樹脂94の施工と比較して、シール部材としての弾性テープと硬化樹脂とをいずれもカメラのハウジング部材同士の接合面に良好に施工することができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記した実施の形態1にかかるカメラ10のハウジングは、デジタルスチルカメラのハウジングであるが、スマートフォンのハウジング等、各種携帯電子機器のハウジングとして利用されてもよい。カメラ10のハウジングと同様な構成のハウジングを有するスマートフォン及び各種携帯電子機器は、カメラ10のハウジングと同様に、硬化樹脂と弾性テープとをシール部材として、ハウジング部材の接合面に良好に施工することができる。その結果、水、水分、塵、埃等の異物がハウジング部材同士の間からハウジング内部に侵入することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 カメラ
1 上側ハウジング部材
1a 接合面(第1のシール面) 1b 接合面(第2のシール面)
1c、1d 接合部
11a 第1の領域 12a 第2の領域
2 背面ハウジング部材 2a 接合面
3 接眼ハウジング部材 4 硬化樹脂
5 弾性テープ
5a 弾性テープ本体 5b 粘着層
40 粘性流体
41 先端部 51 先端部
20 交換レンズ
201a 第1の領域 202a 第2の領域
24 硬化樹脂 25 弾性テープ
D1 ディスペンサ
F1、F2、F3、F4 平面 ov1 オーバーラップ領域
P1 ピンセット
S1 弾性テープ施工ステップ S2 硬化樹脂施工ステップ
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25