【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るルータ装置を実施するための実施形態及びその変形例が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態及びその変形例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。
【0011】
(1)実施形態
<情報提供システムの構成>
図1は、情報提供システムの構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の情報提供システム1は、サーバ装置2、携帯型通信端末装置3及び複数のルータ装置4
1〜4
m(mは2以上の整数)を主な構成要素として備える。
【0012】
サーバ装置2は、携帯型通信端末装置3からのアクセスに応じて情報を提供する機器であり、例えばWAN等の第1のネットワークN1に接続可能となっている。
【0013】
本実施形態のサーバ装置2は、複数の支部を管理する本部に設けられており、当該本部における事業やサービス等に関する動画配信サイト、音声配信サイト、通販サイト、プロモーションサイト等の各種のサイトを開設している。
【0014】
また本実施形態のサーバ装置2は、本部における事業やサービス等に関する動画ファイル、静止画ファイル、音楽ファイル、アプリケーションファイル、書籍ファイルなど複数のファイルF
1〜F
n(nは2以上の整数)を保持している。サーバ装置2は、これらファイルF
1〜F
nのうち、携帯型通信端末装置3からの要求に対応するファイルF
1、F
2、……又はF
nを適宜配信するようになっている。
【0015】
携帯型通信端末装置3は、有線又は無線で通信する機能を有する携帯型機器であり、サーバ装置2が接続可能なネットワークよりも狭い範囲となる例えばLAN等の第2のネットワークN2に接続可能となっている。このような携帯型通信端末装置3としては、例えば、スマートフォンなどの携帯電話機、携帯ゲーム機、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)などが挙げられる。
【0016】
本実施形態の携帯型通信端末装置3は、ルータ装置4
1〜4
mのいずれかを介してサーバ装置2にアクセスし、当該サーバ装置2に対してファイルF
1〜F
nのいずれかの配信要求を示すデータを送信し得るようになっている。また、本実施形態の携帯型通信端末装置3は、配信要求結果として配信されるファイルF
1〜F
nのいずれかを取得した場合、それをユーザに通知するようになっている。
【0017】
ルータ装置4
1〜4
mは、2以上の異なるネットワーク間でデータを受け継ぐ中継機能を有する機器であり、当該サーバ装置2と携帯型通信端末装置3との間でデータを授受させ得るようになっている。
【0018】
本実施形態のルータ装置4
1〜4
mは、例えば、それぞれ互いに異なる支部に設けられており、サーバ装置2で配信可能な複数のファイルF
1〜F
nのうち、当該サーバ装置2で指定される例えばファイルF
1を保持している。なお、支部としては、例えば、店舗、乗り物などが挙げられる。
【0019】
また本実施形態のルータ装置4
1〜4
mは、携帯型通信端末装置3からデータを受信した場合には、サーバ装置2に対するファイルF
1の配信要求を示すデータであるか否かを解析する。
【0020】
ここで、サーバ装置2に対するファイルF
1の配信要求を示すデータでなかった場合、ルータ装置4
1〜4
mは、データ転送先に関する経路を示すルーティングテーブルを用いて、受信したデータを転送する。これに対して、サーバ装置2に対するファイルF
1の配信要求を示すデータであった場合、ルータ装置4
1〜4
mは、受信したデータを転送せずに破棄し、自己で保持しているファイルF
1をサーバ装置2になり代わって携帯型通信端末装置3に配信するようになっている。
【0021】
<サーバ装置の構成>
次に、サーバ装置2の構成について説明する。
図2は、サーバ装置の構成を示す図である。サーバ装置2は、入力部11、記憶部12、表示部13及び制御部14を含む構成とされる。
【0022】
入力部11は、ユーザの操作に応じた命令や設定値などの各種の情報を入力可能な部分である。入力部11の具体例としては、マウス、キーボード、可搬型の半導体メモリのコネクタ、ネットワーク通信やシリアル通信を経由して情報を授受する通信インターフェイスなどが挙げられる。なお、半導体メモリとしては、USB(Universal Serial Bus)メモリやCF(Compact Flash)メモリなどが挙げられる。
【0023】
記憶部12は、入力部11又は制御部14から与えられるデータを記憶し、当該記憶したデータを読み出す部分である。記憶部12の具体例としては、SSD(Solid State Drive)やHD(Hard Disk)などが挙げられる。なお、記憶部12は、サーバ装置2内に設けられていても良く、所定のインターフェイスを介してサーバ装置2外に設けられていても良い。
【0024】
この記憶部12には、各種のプログラムを格納する第1格納領域と、入力部11から入力される設定データなどの各種のデータを格納する第2格納領域と、当該プログラムやデータを展開する展開領域とが含まれる。
【0025】
本実施形態の第1格納領域には管理プログラムP1が格納される。この管理プログラムP1は、自己で管理するルータ装置4
1〜4
m及び新たに管理すべきルータ装置に保持させるべきファイルを管理する処理を実行させるプログラムである。
【0026】
また、本実施形態の第2格納領域にはユーザ管理データベースDB1やデバイス管理データベースDB2が格納される。ユーザ管理データベースDB1は、所定の登録処理により割り当てられたユーザIDやパスワードなどのユーザ識別子と、当該登録処理の日時などとを関連付けたデーブルである。デバイス管理データベースDB2は、自己の管理対象であるルータ装置4
1〜4
mを識別するためのデバイス情報と、当該ルータ装置4
1〜4
mの状況を識別するためのデバイス状況情報とを関連付けたテーブルである。
【0027】
デバイス情報には、例えば、ルータ装置に割り当てられる固有のID情報と、当該ルータ装置が設置される郵便番号、住所などの設置場所を示す設置場所情報と、当該ルータ装置を設置する場所で行われる事業の種類などを示す事業情報とが含まれる。デバイス状況情報には、例えば、ルータ装置におけるCPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ストレージ等の種類や使用頻度等を示すスペック情報と、ルータ装置にアクセスした日時や回数を示すアクセス情報と、当該ルータ装置に保持されているファイルやそのファイルの配信回数などを示すファイル情報とが含まれる。
【0028】
さらに、本実施形態の第2格納領域にはファイル指定データが格納される。このファイル指定データは、どのルータ装置にどのファイルを保持させるべきかを指定するデータであり、例えば入力部11から入力される内容に基づいて制御部14により生成される。
【0029】
表示部13は、制御部14から与えられるデータに示される情報を表示する部分である。表示部13の具体例としては、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ又はプラズマディスプレイなどが挙げられる。
【0030】
制御部14は、記憶部12の第1格納領域に記憶されるプログラムや、当該記憶部12の第2格納領域に記憶されるデータに基づいて各種処理を実行し、必要に応じて処理状況や処理結果を表示部13に表示するようになっている。
【0031】
例えば、制御部14は、携帯型通信端末装置3から自己の開設するサイトへの接続要求を受けた場合、携帯型通信端末装置3から送信されたユーザ識別子と、記憶部12の第2格納領域に格納されるユーザ管理データベースDB1とに基づいて認証処理を実行する。携帯型通信端末装置3から送信されたユーザ識別子がユーザ管理データベースDB1にあった場合、制御部14は、携帯型通信端末装置3に対して自己の開設するサイトへの接続要求を許可する。またこの場合に、サイトで提供するファイルの配信要求が携帯型通信端末装置3からあると、制御部14は、その配信要求に対応する例えばファイルF
nを配信する処理を実行する。
【0032】
また、制御部14は、記憶部12の第1格納領域に記憶された管理プログラムP1を記憶部12の展開領域に展開した場合、当該記憶部12の第2格納領域に格納される管理テーブル及びファイル指定データに基づいて管理処理を実行する。
【0033】
この管理処理は、
図3に示すフローチャートに従って実行される。すなわち、制御部14は、例えば、サーバ装置2に電源が投入された時点を契機として管理処理を開始し、受信ステップSP1に進む。
【0034】
制御部14は、受信ステップSP1では、通信端末装置から送信されるパケットを受信するまで待機し、当該パケットを受信した場合には内容解析ステップSP2に進む。
【0035】
制御部14は、内容解析ステップSP2では、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元がルータ装置であるか否かを認識する。
【0036】
ここで、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元がルータ装置でない場合、このことは、デバイス管理データベースDB2を用いて管理すべきルータ装置以外の機器からのアクセスであることを意味する。この場合、制御部14は、受信ステップSP1に戻る。なお、この場合、受信ステップSP1で受信したパケットに示される内容に従って、管理プログラムP1に基づく管理処理とは別の処理が他のプログラムに従って制御部14により実行される。
【0037】
これに対し、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元がルータ装置である場合、このことは、自己の管理するルータ装置4
1〜4
m又は新たに管理すべき新規のルータ装置からのアクセスであることを意味する。この場合、制御部14は、要求認識ステップSP3に進む。
【0038】
制御部14は、要求認識ステップSP3では、受信ステップSP1で受信したパケットに示される要求内容が初期登録の要求であるか更新チェックの要求であるかを認識する。
【0039】
ここで、初期登録の要求である場合、このことは、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元が新たに管理すべき新規のルータ装置からのアクセスであることを意味する。この場合、制御部14は、登録ステップSP4に進む。
【0040】
制御部14は、登録ステップSP4では、新たに管理すべき新規のルータ装置に関する情報を記憶部12の第2格納領域に格納されるデバイス管理データベースDB2に登録するとともに、当該新規のルータ装置に対してファイル指定データで指定されるファイルF
1を適宜保存させ、受信ステップSP1に戻る。
【0041】
なお、新規のルータ装置に関する情報は上記のデバイス情報及びデバイス状況情報であり、当該情報は受信ステップSP1で受信したパケットに示される内容に基づいて認識される。また、受信ステップSP1で受信したパケットに基づいて認識したデバイス情報及びデバイス状況情報に欠落がある場合、制御部14は、デバイス管理データベースDB2に登録すべきデバイス情報及びデバイス状況情報を再送すべきことを新規のルータ装置に要求し、当該情報を再取得するようになっている。
【0042】
これに対し、更新チェックの要求である場合、このことは、既に管理状態にあるルータ装置4
1〜4
mのいずれかからのアクセスであることを意味する。この場合、制御部14は、更新確認ステップSP5に進む。
【0043】
制御部14は、更新確認ステップSP5では、どのルータ装置にどのファイルを保持させるべきかを指定するファイル指定データに変更があったか否かを確認する。
【0044】
ここで、ファイル指定データに変更がない場合、このことは、自己の管理するルータ装置4
1〜4
mに既に保持させているファイルF
1を新たなファイルに更新させることなくそのまま維持させることを意味する。この場合、制御部14は、応答ステップSP6に進んで、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元である例えばルータ装置4
1に対して更新しない応答をした後、当該受信ステップSP1に戻る。
【0045】
これに対し、ファイル指定データに変更がある場合、このことは、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元である例えばルータ装置4
1に保持させたファイルF
1を新たな例えばファイルF
nに更新させるべきことを意味する。この場合、制御部14は、解析ステップ7に進む。
【0046】
制御部14は、解析ステップSP7では、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元である例えばルータ装置4
1が新たに変更すべきファイルF
nを配信可能であるか否かを解析する。
【0047】
例えば、制御部14は、受信ステップSP1で受信したパケットの送信元である例えばルータ装置4
1にデバイス状況情報を要求し、当該要求に対する応答結果としてルータ装置4
1から受信されるデバイス状況情報を新たに取得する。そして、制御部14は、新たに取得したデバイス状況情報に含まれるスペック情報、アクセス情報、ファイル情報と、新たに変更すべきファイルF
nのファイル容量等に基づいて、ルータ装置4
1が新たに変更すべきファイルF
nを配信可能であるか否かを解析する。なお、制御部14は、記憶部12の第2格納領域に格納されるデバイス管理データベースのうち、ルータ装置4
1デバイス状況情報を新たに取得したデバイス状況情報に更新する。
【0048】
ここで、新たに変更すべきファイルF
nをルータ装置4
1が配信可能でない解析結果を得た場合、制御部14は、通知ステップSP8に進んで、当該解析結果及び更新させるべきファイルを再変更すべきことを表示部13等で通知し、解析ステップSP7に戻る。
【0049】
これに対し、新たに変更すべきファイルF
nをルータ装置4
1が配信可能である解析結果を得た場合、制御部14は、更新ステップSP9に進んで、当該ルータ装置4
1に対してファイルF
nを送信し、過去にルータ装置4
1に保持させたファイルF
1をファイルF
nに更新させた後、受信ステップSP1に戻る。
【0050】
このようにして制御部14は、管理処理を停止すべき契機が与えられるまで、自己で管理するルータ装置4
1〜4
m及び新たに管理すべきルータ装置に保持させるべきファイルを管理するようになっている。
【0051】
<ルータ装置の構成>
次に、ルータ装置4
1〜4
mの構成について説明する。ただし、ルータ装置4
1〜4
mはそれぞれ同じ構成であるため、ここではルータ装置4
1の構成について説明する。
【0052】
図4は、ルータ装置の構成を示す図である。
図4に示すように、ルータ装置4
1は、入力部21、記憶部22、表示部23及び制御部24を含む構成とされる。
【0053】
入力部21は、ユーザの操作に応じた命令や設定値などの各種の情報を入力可能な部分である。具体例としては、上記サーバ装置2の入力部11で挙げたものと同じものが挙げられる。
【0054】
記憶部22は、入力部21又は制御部24から与えられるデータを記憶し、当該記憶したデータを読み出す部分である。この記憶部22は、サーバ装置2で配信可能なファイルF
1〜F
nの少なくとも1つのファイルの容量以上の記憶容量を有するものとされる。少なくとも1つのファイルとしては、サーバ装置2で配信可能なファイルF
1〜F
nのなかで最も大きいファイルであることが望ましい。なお、記憶部22の具体例としては、上記サーバ装置2の記憶部12で挙げたものと同じものが挙げられる。
【0055】
この記憶部22には、各種のプログラムを格納する第1格納領域と、入力部11から入力される設定データなどの各種のデータを格納する第2格納領域と、当該プログラムやデータを展開する展開領域とが含まれる。
【0056】
本実施形態の第1格納領域にはファイル配信プログラムP2が格納される。このファイル配信プログラムP2は、自己で保持するファイルを適宜配信する処理を実行させるプログラムである。
【0057】
表示部23は、制御部24から与えられるデータに示される情報を表示する部分である。表示部23の具体例としては、上記サーバ装置2の表示部13で挙げたものと同じものが挙げられる。
【0058】
制御部24は、記憶部22の第1格納領域に記憶されるプログラムや、当該記憶部22の第2格納領域に記憶されるデータに基づいて各種処理を実行するようになっている。
【0059】
例えば、制御部24は、携帯型通信端末装置3からサーバ装置2の開設するサイトへの接続要求を示すパケットのデータを受けた場合、当該パケットのヘッダに示される宛先を認識する。また制御部24は、記憶部22の第2格納領域に格納されるルーティングテーブルに基づいて、宛先となるホストまでパケットを送信する例えば最短の経路を選択するとともに、当該経路のなかで次に転送すべき隣接するデバイスに自己で受信したパケットを転送する。
【0060】
また、制御部24は、記憶部22の第1格納領域に記憶されたファイル配信プログラムP2を記憶部22の展開領域に展開した場合、当該ファイル配信プログラムP2に基づいてファイル配信処理を実行し、必要に応じて処理状況や処理結果を表示部23に表示するようになっている。
【0061】
このファイル配信処理は、
図5に示すフローチャートに従って実行される。すなわち、制御部24は、例えば、サーバ装置2で指定されそのサーバ装置2から送信されたファイルF
1を記憶部22の第2格納領域に格納した時点を契機としてファイル配信処理を開始し、パケット受信ステップSP11に進む。
【0062】
制御部24は、パケット受信ステップSP11では、通信端末装置から送信されるパケットを受信するまで待機し、当該パケットを受信した場合には、宛先認識ステップSP12に進む。
【0063】
制御部24は、宛先認識ステップSP12では、パケット受信ステップSP11で受信したパケットのヘッダに示される宛先を認識する。
【0064】
ここで、サーバ装置2以外の宛先がヘッダに示されている場合、制御部24は、転送ステップSP13に進んでパケット受信ステップSP11で受信したパケットを転送した後、パケット受信ステップSP11に戻る。これに対し、サーバ装置2の宛先がヘッダに示されている場合、制御部24は内容解析ステップSP14に進む。
【0065】
制御部24は、内容解析ステップSP14では、パケット受信ステップSP11で受信したパケットのヘッダ又はデータ部に基づいて、自己で予め保持される例えばファイルF
1の配信をサーバ装置2に対して要求することを示すパケットであるか否かを認識する。
【0066】
ここで、ファイルF
1の配信をサーバ装置2に対して要求することを示すパケットでない場合、制御部24は、転送ステップSP13に進んでパケット受信ステップSP11で受信したパケットを転送した後、パケット受信ステップSP11に戻る。
【0067】
これに対し、ファイルF
1の配信をサーバ装置2に対して要求することを示すパケットである場合、このことは、サーバ装置2に対して配信要求しているファイルF
1を、当該サーバ装置2になり代わって配信できることを意味する。この場合、制御部24は配信ステップSP15に進む。
【0068】
制御部24は、配信ステップSP15では、パケット受信ステップSP11で受信したパケットを破棄するとともに、記憶部22の第2格納領域に保持しているファイルF
1をそのファイルF
1の配信を要求した要求元である例えば携帯型通信端末装置3に配信する。また、制御部24は、ファイルF
1の配信を要求した要求元にそのファイルF
1の配信を完了した場合には、サーバ装置2に対してファイルF
1を配信したことを示すログを送信した後、パケット受信ステップSP11に戻る。
【0069】
このようにして制御部24は、ファイル配信処理を停止すべき契機が与えられるまで、パケットのルーティング処理を実行しつつも、サーバ装置2になり代わって自己で保持するファイルF
1を配信するようになっている。
【0070】
<小括>
以上のとおり、本実施形態のルータ装置4
1は、所定のサーバ装置2で配信可能なファイルF
1〜F
nの少なくとも1つのファイルの容量以上の記憶容量を有する記憶部22と、当該記憶部22を制御する制御部24とを備える。制御部24は、記憶部22に保持されるファイルF
1の配信をサーバ装置2に対して要求することを示すパケットを受信した場合には、パケットを破棄するとともに当該パケットの要求元に対して記憶部22に保持されるファイルF
1を配信する。
【0071】
このため、ルータ装置4
1は、サーバ装置2によって本来配信されるべきファイルF
1を、当該サーバ装置2になり代わって配信することができ、そのファイルF
1を配信する処理の負荷分をサーバ装置2から削除させることがきる。したがって、このルータ装置4
1によれば、サーバ装置2の負荷を低減させることができる。
【0072】
なお、ルータ装置4
1から配信されるファイルF
1は、携帯型通信端末装置3を操作するユーザの意図に応じたものであり、当該ユーザの意図にかかわらずルータ装置4
1によって強制的に配信されるものではない。このため、ルータ装置4
1は、携帯型通信端末装置3側ではあたかもサーバ装置2からの配信であるかのように捉えさせつつ、サーバ装置2の負荷を低減させることができる。
【0073】
(2)変形例
上記実施形態のサーバ装置2は、ルータ装置4
1〜4
mに保持させたファイルF
1及びF
2を、当該ファイルF
1及びF
2の本来の配信元である自身にも保持していた。しかしながら、サーバ装置2は、ルータ装置4
1〜4
mに保持させたファイルF
1及びF
2を削除し、自身に保持しないようにしても良い。
【0074】
また上記実施形態のサーバ装置2は、配信可能であるファイルF
1〜F
nのうち1つのファイルF
1をルータ装置4
1〜4
mに保持させた。しかしながら、サーバ装置2は、配信可能であるファイルF
1〜F
nの2以上のファイルをルータ装置4
1〜4
mに保持させても良い。
【0075】
また上記実施形態のサーバ装置2は、ルータ装置4
1〜4
mそれぞれに同じファイルF
1を保持させた。しかしながら、サーバ装置2は、ルータ装置4
1〜4
mごとに異なるファイルをルータ装置4
1〜4
mに保持させても良く、所定のカテゴリに属するルータ装置4ごとに異なるファイルをルータ装置4
1〜4
mに保持させても良い。なお、カテゴリとしては、例えば、県や市などの地域、会社、当該会社の事業やサービスなどが挙げられる。
【0076】
また上記実施形態のルータ装置4
1は、自己で保持するファイルF
1を配信完了するごとにログを送信していた。しかしながら、ルータ装置4
1は、定期的に、もしくは、サーバ装置2の要求に応じてサーバ装置2に送信するようにしても良い。なお、サーバ装置2はルータ装置4
1〜4
mごとに、当該ルータ装置で保持されるファイルの配信回数を統計し、当該統計結果を表示部13等を介して通知するようにしても良い。
【0077】
上記実施形態のルータ装置4
1は、受信したパケットに基づいて自己で予め保持される例えばファイルF
1の配信をサーバ装置2に対して要求することを示すパケットであるか否かを自ら識別した。また、ファイルF
1の配信をサーバ装置2に対して要求することを示すパケットである場合、ルータ装置4
1は、受信したパケットをサーバ装置2側に転送することなく、当該パケットの要求元である携帯型通信端末装置3にファイルF
1を配信した。
しかしながら、ルータ装置4
1は、当該ルータ装置4
1に保持されるファイルF
1の配信をサーバ装置2に対して要求することを示すパケットであるか否かを識別することなくサーバ装置2側に転送するようにしても良い。
このようにする場合、サーバ装置2は、受信したパケットとデバイス管理データベースDB2とに基づいて、当該パケットの転送経路のうち送信元の携帯型通信端末装置3に最も近いルータ装置4
1に、送信元で配信を要求するファイルF
1が保持されていることを識別する。また、サーバ装置2は、パケットの送信元で配信を要求するファイルF
1がルータ装置4
1に保持されていることを識別した場合、当該ルータ装置4
1に対して送信元にファイルF
1を配信すべき要求を送信する。
このようにすれば、上記実施形態と同様に、ルータ装置4
1は、サーバ装置2によって本来配信されるべきファイルF
1を、当該サーバ装置2になり代わって配信することができ、そのファイルF
1を配信する処理の負荷分をサーバ装置2から削除させることがきる。
【0078】
具体例として、サーバ装置2は、
図6に示すフローチャートに従ってファイル配信処理を実行することが可能である。
すなわち、サーバ装置2の制御部14は、例えば、サーバ装置2に電源が投入された時点を契機としてファイル配信処理を開始し、受信ステップSP21に進む。
制御部14は、受信ステップSP21では、通信端末装置から送信されるパケットを受信するまで待機し、当該パケットを受信した場合には内容解析ステップSP22に進む。
制御部14は、内容解析ステップSP22では、受信ステップSP21で受信したパケットのヘッダ又はデータ部に基づいて、ルータ装置4
1〜4
mに記憶させた例えばファイルF
1の配信を要求することを示すパケットであるか否かを認識する。
ここで、ファイルF
1の配信を要求していない場合、制御部14は、受信ステップSP21に戻る。なお、この場合、受信ステップSP21で受信したパケットに示される内容に従って、本ファイル配信処理とは別の処理が制御部14により実行される。
これに対して、ファイルF
1の配信を要求している場合、このことは、サーバ装置2でファイルF
1を配信せずに、ルータ装置4
1〜4
mのいずれかから配信可能であることを意味する。この場合、制御部14は、第1解析ステップSP23に進む。
制御部14は、第1解析ステップSP23では、ルーティングテーブルに基づいて、当該パケットの転送経路のうち送信元の携帯型通信端末装置3に最も近い例えばルータ装置4
1を認識する。次いで、制御部14は、デバイス管理データベースDB2におけるデバイス状況情報に基づいて、ルータ装置4
1のスペック及びアクセス状況や、当該ルータ装置4
1に記憶されるファイルF
1の容量などのデバイス状況を解析する。そして、制御部14は、解析結果から、現時点でルータ装置4
1がファイルF
1を配信できる状態にあるかを認識する。
ここで、ルータ装置4
1がファイルF
1を配信できる状態にある場合、制御部14は、受信ステップSP21で受信したパケットの転送経路にあるルータ装置4
1にファイルF
1を配信させるべきであると決定する。この場合、制御部14は、要求ステップSP24に進んで、ルータ装置4
1に対して送信元にファイルF
1を配信すべき要求を送信した後、受信ステップSP21に戻る。
これに対して、ルータ装置4
1がファイルF
1を配信できる状態にない場合、制御部14は、受信ステップSP21で受信したパケットの転送経路にあるルータ装置4
1にファイルF
1を配信させるべきではないと決定する。この場合、制御部14は、第2解析ステップSP25に進む。
制御部14は、第2解析ステップSP25では、ルーティングテーブルと、デバイス管理データベースDB2における設置場所情報とに基づいて、ルータ装置4
1以外の他のルータ装置から配信可能であるか否かを解析する。具体的には、例えば、ルータ装置4
1が設置されている地域と同じ地域にあるルータ装置があるか否かが探索され、当該ルータ装置がある場合には上記の第1解析ステップSP23と同様にして現時点でファイルF
1を配信できる状態にあるかが認識される。
ここで、他のルータ装置からファイルF
1を配信可能である場合、制御部14は、要求ステップSP24に進んで、そのルータ装置にファイルF
1を配信すべき要求を送信した後、受信ステップSP21に戻る。
これに対して、他のルータ装置からファイルF
1を配信可能でない場合、制御部14は、要求ステップSP26に進んで、自己で記憶しているファイルF
1を送信元に配信した後、受信ステップSP21に戻る。
このようにしてサーバ装置2は、必要に応じて自己になり代わってルータ装置にファイルを配信させることで、当該ファイルを配信する処理の負荷分を低減することがきる。
【0079】
なお、情報提供システム1における各構成要素は、上述した実施形態や上記の変形例に示された内容以外に、適宜、本願目的を逸脱しない範囲で組み合わせ、省略、変更、周知技術の付加などをすることができる。