特開2017-19204(P2017-19204A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-19204(P2017-19204A)
(43)【公開日】2017年1月26日
(54)【発明の名称】研磨パッド用の材料の溶融装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/24 20060101AFI20170105BHJP
【FI】
   B29C39/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-138948(P2015-138948)
(22)【出願日】2015年7月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000116127
【氏名又は名称】ニッタ・ハース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 克己
(72)【発明者】
【氏名】繁田 好胤
(72)【発明者】
【氏名】山越 雅仁
【テーマコード(参考)】
4F204
【Fターム(参考)】
4F204AC05
4F204AM32
4F204EA03
4F204EB01
4F204EF01
4F204EF23
4F204EF27
4F204EK07
(57)【要約】
【課題】 本発明は、溶融した材料の品質を安定させる研磨パッド用の材料の溶融装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に係る研磨パッド用の材料の溶融装置は、投入された固形の材料を溶融する溶融部と、該溶融部で溶融した材料を流通させる流通路と、該流通路に流体的に接続される濾過部であって、前記溶融部で溶融した材料を濾過する濾過部本体を有する濾過部と、を備え、前記流通路は、前記溶融部によって溶融した材料を循環させる循環路を有し、前記濾過部は、該循環路に流体的に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された固形の材料を溶融する溶融部と、
該溶融部で溶融した材料を流通させる流通路と、
該流通路に流体的に接続される濾過部であって、前記溶融部で溶融した材料を濾過する濾過部本体を有する濾過部と、を備え、
前記流通路は、前記溶融部によって溶融した材料を循環させる循環路を有し、
前記濾過部は、該循環路に流体的に接続される
研磨パッド用の材料の溶融装置。
【請求項2】
前記濾過部本体は、それぞれの目の粗さが異なり且つ互いに重なり合う複数の濾材を有し、
該複数の濾材のそれぞれは、目の粗いものほど溶融した材料の流れる方向における上流に配置される請求項1に記載の研磨パッド用の材料の溶融装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッドを製造するための材料を溶融する研磨パッド用の材料の溶融装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、研磨パッドは、種々の液状の材料を混ぜ合わせた混合液を硬化させることによって製造されている(例えば、特許文献1参照)。そのため、研磨パッドを製造するにあたり、固形の材料を溶融する研磨パッド用の材料の溶融装置(以下、溶融装置という)が用いられている。
【0003】
溶融装置は、例えば、固形の材料が投入される投入部と、該投入部に投入された固形の材料を溶融する溶融部と、溶融部によって溶融した材料を流通させる流通路であって、溶融した材料を溶融部の外部に送り出す流通路とを備える。
【0004】
このような溶融装置では、投入部に投入された固形の材料が溶融部によって溶融されて液状に変化し、液状に変化した材料が流通路を介して研磨パッド用の材料として送り出される。
【0005】
ところが、従来の溶融装置において、溶融部から送り出された材料には、投入部に投入された固形の材料に含まれる異物や、未溶融の材料等の固形物が含まれていることがあるため、製造した研磨パッドに該固形物が含まれることがある。そのため、製造した研磨パッドが研磨対象物に研磨傷を付け易くなることがある。
【0006】
また、従来の溶融装置では、投入部に投入される固形の材料の性質(例えば、大きさや、成分の分布等)が個々に異なるため、投入された固形の材料に応じて、吐出部から吐出される材料の溶け具合や混ざり具合にばらつきが生じることがある。そのため、製造した研磨パッドの性質がばらつくことがある。
【0007】
このように、従来の溶融装置で溶融した材料の品質がばらつく結果、製造した研磨パッドの品質もばらつくことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−137355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、溶融した材料の品質を安定させる研磨パッド用の材料の溶融装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る研磨パッド用の材料の溶融装置は、
投入された固形の材料を溶融する溶融部と、
該溶融部で溶融した材料を流通させる流通路と、
該流通路に流体的に接続される濾過部であって、前記溶融部で溶融した材料を濾過する濾過部本体を有する濾過部と、を備え、
前記流通路は、前記溶融部によって溶融した材料を循環させる循環路を有し、
前記濾過部は、該循環路に流体的に接続される。
【0011】
かかる構成によれば、溶融部で溶融した材料を流通させる流通路に対して濾過部が流体的に接続されるため、溶融部で溶融した材料を濾過部に流通させることができる。これにより、溶融部に投入された固形の材料に含まれる異物や未溶融の材料等の固形物が濾過部本体に留まるため、該固形物が溶融した材料から分けられる。
【0012】
また、濾過部が溶融した材料を循環させる循環路に対して流体的に接続されるため、溶融した材料が循環路を循環する。これにより、溶融した材料が撹拌されて分子レベルで均質化される。さらに、溶融した材料は、循環路を循環するに伴って、何度も濾過部を通過するため、溶融した材料から固形物がより確実に分けられる。
【0013】
このように、前記研磨パッド用の材料の溶融装置は、固形物を分けるとともに、溶融した材料を均質化することによって、該材料の品質を安定させることができる。
【0014】
本発明に係る研磨パッド用の材料精製システムの他態様として、
前記濾過部本体は、それぞれの目の粗さが異なり且つ互いに重なり合う複数の濾材を有し、
該複数の濾材のそれぞれは、目の粗いものほど溶融した材料の流れる方向における上流に配置されていてもよい。
【0015】
このようにすれば、溶融した材料に含まれる固形物が大きいものから順に濾材に留まるため、各濾材の目詰まりを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の研磨パッド用の材料の溶融装置によれば、溶融した材料の品質を安定させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る研磨パッド用の材料の溶融装置を含む材料精製システムの概要図である。
図2図2は、同実施形態に係る溶融装置の概要図である。
図3図3は、同実施形態に係る溶融装置の説明図であって、溶融装置が投入された固形の材料を溶融している状態の説明図である。
図4図4は、同実施形態に係る溶融装置の説明図であって、溶融装置が溶融した材料を送り出している状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る溶融装置は、投入された固形の材料を溶融することによって、液体の材料を精製する。本実施形態では、図1に示すように、溶融装置1が研磨パッド用の材料を精製する材料精製システム(以下、材料精製システムという)の一部に用いられることを前提に以下の説明を行う。
【0020】
より具体的に説明する。本実施形態に係る材料精製システムは、投入された固形の材料を溶融することによって、液体の材料を精製する溶融装置1と、溶融装置1に固形の材料を投入するための投入装置2と、溶融した材料を撹拌して均質化する均質化装置3とを備える。また、材料精製システムは、均質化装置3によって均質化された材料を吐出するための吐出装置4が接続される。なお、本実施形態では、固形の材料を固形材料とし、溶融して固体から液体に変化した材料を液体材料として以下の説明を行う場合がある。
【0021】
まず、投入装置2について説明する。投入装置2は、固形材料を供給するための供給口、及び供給された固形材料を溶融装置1(溶融装置1の後述する投入部)に排出する排出口を有するホッパー20を有する。また、投入装置2は、ホッパー20の排出口と、溶融装置1との間に配置される開閉弁21を有する。そして、投入装置2は、固形材料が貯蔵される貯蔵タンク22であって、管部材23を介してホッパー20の供給口に接続される貯蔵タンク22を有する。
【0022】
投入装置2では、上述のように、開閉弁21がホッパー20の排出口と溶融装置1との間に配置される。そのため、投入装置2では、開閉弁21が開かれると、ホッパー20から溶融装置1への固形材料の投入が許容され、開閉弁21が閉じられると、ホッパー20から溶融装置1への固形材料の投入が規制される。
【0023】
図2に示すように、溶融装置1は、固形材料が投入される投入部10と、該投入部10に投入された固形材料を溶融する溶融部11とを備える。また、溶融装置1は、溶融部11によって溶融させた材料を貯留する貯留部12を有する。そして、溶融装置1は、溶融部11によって溶融した材料を流通させる流通系13を有する。さらに、溶融装置1は、貯留部12及び流通系13が内部に配置される筺体14と、該筺体14の内部の温度を所定の温度(溶融した材料を液体の状態で維持できる温度)で保つための保温部15とを備える。
【0024】
投入部10は、円筒状である。投入部10の中心線方向における一方の端部には、溶融部11に接続される。そのため、本実施形態に係る投入部10では、開閉弁21を介してホッパー20内から排出された固形材料が該投入部10の中心線方向における他方の端部から投入される。
【0025】
投入部10には、熱溶融性を有する材料が投入される。例えば、本実施形態に係る投入部10には、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(いわゆる、MOCA)が材料として投入される。なお、投入部10には、MOCAを含む材料や、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジエチレントルエンジアミン(いわゆるDETDA)、トリメチロールプロパン等の材料が投入されてもよい。
【0026】
溶融部11は、投入部10に投入された固形材料を加熱することによって、該材料を固体から液体に変化させる。そして、貯留部12には、溶融部11によって固体から液体に変化させた材料が貯留される。
【0027】
流通系13は、貯留部12に対して流体的に接続される流通路130を有する。また、流通系13は、流通路130に接続され且つ流通路130を流通する材料を濾過する濾過部131を有する。さらに、流通系13は、該流通路130に接続されるストレーナ132と、該流通路130に接続され且つストレーナ132よりも下流に配置される送出ポンプ133と、を有する。
【0028】
流通路130は、貯留部12内の液体材料が流入する送出管130aと、該送出管130a及び貯留部12のそれぞれに流体的に接続される接続管130bと、を有する。また、流通路130は、送出管130aに流体的に接続され且つ外部(本実施形態では、均質化装置3)に液体材料を送り出す供給管130cを有する。
【0029】
本実施形態に係る流通系13は、送出管130aと接続管130bとを連通させた状態と、送出管130aと供給管130cとを連通させた状態とに切替可能な供給弁134をさらに有する。
【0030】
そのため、供給弁134が送出管130aと接続管130bとを連通させた状態に切り替えられると、送出管130aと、接続管130bと、貯留部12と、が互いに連通することによって、溶融装置1内で液体材料を循環させる循環路としての溶融路が形成される。そして、送出管130aから供給管130cへの液体材料の流通(すなわち、均質化装置3に対する液体材料の供給)が規制される。
【0031】
一方、供給弁134が送出管130aと供給管130cとを連通させた状態に切り替えられると、送出管130aから供給管130cへの液体材料の流通(均質化装置3に対する液体材料の供給)が許容される。そして、送出管130aから接続管130bへの液体材料の流通が規制される。
【0032】
濾過部131は、内部に液体材料を流通させるホルダ131aと、該ホルダ131a内に配置される濾過部本体131bとを有する。この濾過部131は、流通路130(送出管130a)における送出ポンプ133よりも下流に配置される。
【0033】
ホルダ131aは、流通路130内の液体材料が流入する流入口と、内部の液体材料を流通路130に送り出す流出口と、を有する。
【0034】
濾過部本体131bは、流入口と、流出口との間に配置される。濾過部本体131bは、それぞれの目の粗さが異なり且つ互いに重なり合う複数の濾材131cを有する。各濾材131cは、平板状である。
【0035】
各濾材131cの目の粗さは、ストレーナ132の目の粗さよりも細かい。さらに、複数の濾材131cは、目の粗さが粗いものほど流入口に近い位置(すなわち、溶融した材料が流れる方向における上流側)に配置される。なお、濾材131cには、不織布や、濾紙等が採用される。
【0036】
ストレーナ132は、例えば、金属製のメッシュや、パンチングメタル等によって構成される。
【0037】
本実施形態に係る流通系13では、送出ポンプ133として、ギヤポンプが採用される。なお、送出ポンプ133は、貯留部12内の材料を流通系13に流通させることができれば、ギヤポンプに限定されない。
【0038】
筺体14は、内外に亘って貫通する排気口140を有する。筺体14には、内外に亘って連通する接続口141であって、保温部15が接続される接続口141を有する。筺体14は、排気口140を通じて内部の空気を外部に排出することができる。
【0039】
保温部15は、接続口141を介して筺体14内に熱風を送るように構成される。そのため、溶融装置1は、接続口141を介して保温部15から筺体14内に送り込まれた熱風によって該筺体14内の温度を所定の温度に維持することができる。従って、溶融装置1は、溶融した材料を液体の状態で維持しつつ溶融路に循環させることができる。
【0040】
図1に示すように、均質化装置3は、溶融装置1から送り出された液体材料を貯留する貯留槽30と、該貯留槽30内の液体材料を流通させる移送系31とを有する。
【0041】
貯留槽30には、溶融装置1の供給管130cが流体的に接続される。
【0042】
移送系31は、貯留槽30に対して流体的に接続される移送路310を有する。また、移送系31は、貯留槽30内の液体材料を移送路310内に送り込むための吸引ポンプ311を有する。
【0043】
移送路310は、貯留槽30内の液体材料が流入する流入管310aと、該流入管310a及び貯留槽30のそれぞれに流体的に接続される連結管310bとを有する。また、移送路310は、該送出管130aと吐出装置4とのそれぞれに流体的に接続される吐出管310cを有する。
【0044】
本実施形態に係る移送系31は、流入管310aと連結管310bとを連通させた状態と、流入管310aと吐出管310cとを連通させた状態とに切替可能な吐出弁312を有する。
【0045】
そのため、吐出弁312が流入管310aと連結管310bとを連通させた状態に切り替えられると、流入管310aと、連結管310bと、貯留槽30と、が互いに連通することによって、均質化装置3内で液体材料を循環させる循環路としての均質路が形成される。そして、流入管310aから吐出管310cへの液体材料の流通(すなわち、吐出装置4に対する液体材料の供給)が規制される。
【0046】
一方、吐出弁312が流入管310aと吐出管310cとを連通させた状態に切り替えられると、流入管310aから吐出管310cへの液体材料の流通(吐出装置4に対する液体材料の供給)が許容される。そして、流入管310aから連結管310bへの液体材料の流通が規制される。
【0047】
なお、本実施形態において、均質化装置3が均質化可能な材料の処理量は、溶融装置1が溶融可能な材料の処理量よりも多い。本実施形態において、均質化装置3が均質化可能な材料の処理量は、溶融装置2が溶融可能な材料の処理量よりも多い。より具体的に説明する。均質化装置3の均質路を循環する液体材料の量は、溶融装置2の溶融路を循環する液体材料の量よりも多い。
【0048】
吐出装置4は、均質化装置3における移送系31から液体材料が供給される本体部40と、該本体部40内の液体材料を吐出する吐出部41とを備える。
【0049】
本体部40には、移送路310の吐出管310cが流体的に接続される。そのため、吐出装置4では、吐出管310cを介して均質化装置3から本体部40に供給された液体材料が吐出部41から吐出される。なお、本体部40には、均質化装置3から供給される材料とは別の材料が供給されてもよい。すなわち、本体部40には、異なる種類の材料が供給されてもよい。
【0050】
本実施形態に係る材料精製システムは、以上の通りである。続いて、本実施形態に係る材料精製システムの動作について、添付図面を参照して説明を行う。
【0051】
図3に示すように、本実施形態に係る溶融装置1によって固形の材料を溶融するにあたり、投入装置2によって、溶融装置1に固形材料を投入する。
【0052】
より具体的に説明する。まず、開閉弁21を閉じた後に、管部材23を介して貯蔵タンク22からホッパー20に固形材料を供給する。そして、開閉弁21を開いてホッパー20内の固形材料を投入部10に投入した後に、開閉弁21を閉じる。
【0053】
このように、本実施形態では、ホッパー20から投入部10に固形材料を間欠的に投入するにあたり、固形材料をホッパー20に一旦貯留する。これにより、本実施形態では、ホッパー20から投入部10への固形材料の投入量を均一化している。
【0054】
そして、投入部10に投入された固形材料を溶融部11によって溶融する。これにより、投入部10に投入された固形材料は、溶融部11で固体から液体に変化し、貯留部12に流れ込む。そして、貯留部12内の液体材料は、送出ポンプ133の動力によって送出管130aに送り出され、ストレーナ132を通過した後に濾過部131を通過する。
【0055】
このとき、液体材料が濾過部131を通過するに伴い、該液体材料に含まれる異物や、未溶融の材料等の固形物が濾過部本体131bに留まる。これにより、液体材料と固形物とが分けられる。さらに、未溶融の材料は、濾過部本体131bに留まった状態において液体材料に曝されるため、液体材料の熱によって溶融されると、濾過部本体131bを通過する。
【0056】
さらに、本実施形態では、溶融部11によって固形材料を溶融するにあたり、供給弁134の状態を切り替えて送出管130aと、接続管130bとを連通させる。すなわち、送出管130aと、接続管130bと、貯留部12と、によって溶融路を形成した状態において、溶融部11によって固形材料を溶融する。
【0057】
そのため、送出ポンプ133の動力によって貯留部12から送出管130aに送り出された液体材料は、濾過部131を通過した後に、接続管130bを介して貯留部12に送り出される。
【0058】
このようにして、溶融装置1では、液体材料が溶融路を循環するため、該液体材料が何度も濾過部131を通過する。そのため、溶融装置1は、液体材料に含まれる異物や、未溶融の材料等の固形物を濾過部本体131bにより確実に留めることができる。
【0059】
また、濾過部本体131bに留まる未溶融の材料は、溶融路を循環する液体材料に曝され続けることによって、より確実に溶融される。さらに、本実施形態に係る溶融装置1では、保温部15によって筺体14内の温度が前記所定の温度で維持されるため、濾過部本体131bに留まる未溶融の材料は、溶融路を循環する液体材料によってさらに確実に溶融される。
【0060】
そして、濾過部本体131bの複数の濾材131cは、上述のように、目が粗いものほど流入口に近い位置に配置される。そのため、液体材料は、流入口からホルダ131a内に流れこんだ後に、目の粗い濾材131cから順に各濾材131cを通過して流出口からホルダ131a外に流れ出る。
【0061】
そして、供給弁134の状態を切り替えることによって、送出管130aと供給管130cとを連通させると、図4に示すように、送出ポンプ133の動力によって貯留部12から送出管130aに送り出された液体材料が、供給管130cを介して均質化装置3の貯留槽30に送り出される。これにより、液体材料が溶融装置1から均質化装置3に供給される。
【0062】
本実施形態では、溶融装置1から均質化装置3に液体材料を供給するにあたり、吐出弁312の状態を切り替えて流入管310aと、連結管310bとを連通させる。すなわち、流入管310aと、連結管310bと、貯留槽30とによって均質路を形成する。
【0063】
そのため、供給管130cから貯留槽30に流入した液体材料は、吸引ポンプ311によって流入管310aに送り出された後に、連結管310bを通じて貯留槽30に送り出される。このように、均質化装置3では、吸引ポンプ311の動力によって液体材料が均質路を循環する。これにより、均質化装置3内で液体材料が撹拌されることによって、均質化される。
【0064】
さらに、溶融装置1から均質化装置3に液体材料を供給した後に、管部材23を介して貯蔵タンク22からホッパー20内に新たに固形材料を供給する。そして、開閉弁21を再び開くことによって、ホッパー20内の固形材料を投入部10に投入した後に、開閉弁21を閉じる。
【0065】
投入部10に新たに投入された固形材料も、溶融部11で溶融されることによって固体から液体に変化し、貯留部12に貯留される。そして、貯留部12内の液体材料は、送出ポンプ133の動力によって送出管130aに送り出され、ストレーナ132を通過した後に、濾過部131を通過する。
【0066】
本実施形態では、投入部10に新たに投入された固形材料を溶融部11で溶融するにあたり、供給弁134の状態を切り替えて送出管130aと接続管130bとを再び連通させる。すなわち、送出管130aと、接続管130bと、貯留部12とによって、再び溶融路を形成する。そのため、送出ポンプ133の動力によって貯留部12から送出管130aに送り出された液体材料は、ストレーナ132及び濾過部131を通過した後に、接続管130bを通じて貯留部12に送り出される。
【0067】
そして、供給弁134の状態を切り替えることによって、送出管130aと供給管130cとを連通させると、送出ポンプ133の動力によって送り出された液体材料は、供給管130cを通過した後に均質化装置3の貯留槽30に送り出される。
【0068】
上述のように、均質化装置3が均質化可能な材料の処理量は、溶融装置1が溶融可能な材料の処理量よりも多いため、後に溶融させた材料は、均質化装置3の貯留槽30に送り出されると、先に均質化装置3に供給された液体材料(先に溶融させた材料)とともに均質路を循環する。これにより、均質化装置3において、先に溶融させた材料と、後に溶融させた材料とが撹拌されて混ぜ合わされて均質化される。
【0069】
そして、吐出弁312の状態を切り替えることによって、流入管310aと、吐出管310cとを連通させると、均質化された液体材料が研磨パッド用の材料として吐出部41から吐出される。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る材料精製システムの溶融装置1では、溶融部11で溶融した材料を濾過部131に流通させることによって、溶融部11に投入された固形の材料に含まれる異物や未溶融の材料等の固形物を濾過部131の濾過部本体131bに留めることができる。従って、溶融装置1は、液体材料から固形物を分けることができる。
【0071】
そして、溶融装置1では、液体材料を溶融路に循環させることができるため、該液体材料を撹拌して分子レベルで均質化することができる。また、溶融装置1では、液体材料が循環路を循環することによって何度も濾過部131を通過するため、固形物が液体材料からより確実に分けられる。
【0072】
このように、溶融装置1は、液体材料に固形物が含まれることを抑えつつ、液体材料を均質化することができる。これにより、溶融装置1は、液体材料の品質を安定させることができる。
【0073】
また、濾過部本体131bに留まる未溶融の材料は、液体材料に曝されるため、該液体材料の熱によって溶融する。従って、溶融装置1は、未溶融の材料を濾過部本体131bに留めて液体材料に曝すことで溶融することができるため、投入部10に投入された固形材料を無駄にすることなく、研磨パッド用の材料として用いることができる。
【0074】
さらに、本実施形態では、保温部15によって、筺体14内の温度が溶融した材料を液体の状態で維持できる温度で維持するため、濾過部本体131bに留まる未溶融の材料をより確実に溶融することができる。
【0075】
なお、本実施形態において、複数の濾材131cは、目の粗さが粗いものほど流入口に近い位置に配置される。そのため、濾過部131では、各濾材131cの目詰まりが抑えられつつ、固形物が液体材料から分けられる。
【0076】
また、本実施形態に係る溶融装置1は、供給弁134の状態を切り替えることによって、液体材料を溶融路内に循環させる状態と、液体材料を外部に送り出す状態とに切替可能であるため、投入部10に投入された固形材料全体を完全に溶融したうえで、液体材料を外部に送り出すことができる。
【0077】
また、本実施形態に係る溶融装置1には、溶融した材料を均質化する均質化装置3が接続されるため、溶融装置1で固体から液体に変化させた材料が均質化装置3で撹拌されることによって均質化される。
【0078】
また、均質化装置3における均質化可能な材料の処理量が溶融装置1における溶融可能な材料の処理量よりも多いため、先に溶融させた材料を均質化装置3で撹拌しつつ、後に溶融させた材料を均質化装置3に供給することによって、双方の材料を均質化装置3で撹拌して混ぜ合わすことができる。このように、材料精製システム1は、先に溶融させた材料の質と、後に溶融させた材料の質とを均質化することによって、より均質性の高い材料を精製することができる。
【0079】
さらに、材料精製システム1は、均質化装置3が液体材料を循環させる均質路を有するため、溶融装置1によって新たに溶融した材料と、先に溶融装置1から均質化装置3に供給された液体材料とを混ぜ合わせたうえで、均質路に循環させて撹拌できる。従って、材料精製システム1は、精製された材料の均質性がより高まる。
【0080】
なお、本発明に係る溶融装置は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0081】
上記実施形態において、流通路130は、貯留部12内の材料が流入する送出管130aと、該送出管130a及び貯留部12のそれぞれに流体的に接続される接続管130bと、送出管130aと均質化装置3(均質化装置3の後述する貯留槽30)とに流体的に接続される供給管130cとを有するが、この構成に限定されない。例えば、流通路130は、液体材料を濾過部131に通過させることができれば、接続管130bを備えていなくてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、溶融装置1は、液体材料を貯留槽30に対して間欠的に供給していたが、液体材料を貯留槽30に対して連続的に液体材料を供給してもよい。
【0083】
上記実施形態では、投入部10に固形材料を間欠的に投入する場合について説明したが、この構成に限定されない。例えば、投入部10に固形材料を連続的に投入しつつ、溶融部11で固形材料を溶融してもよい。
【0084】
このように、溶融装置1は、液体材料を濾過部131に通過させることができれば、異物や、未溶融の材料を濾過部本体131bに留めることができ、さらに、濾過部本体131bに留めた材料を液体材料に曝して溶融することができるため、固形材料の投入の仕方や、外部への液体材料の送り出し方(本実施形態では、均質化装置3への液体材料の供給の仕方)が限定されるものではない。
【0085】
上記実施形態において、保温部15は、筺体14内に熱風を送り込むことによって、該筺体14内の温度を所定の温度に維持していたが、筺体14の内部の温度を所定の温度に維持することができれば、筺体14内に熱風を送り込むように構成されたものに限定されない。
【0086】
上記実施形態において、濾過部本体131bは、複数の濾材131cを有するが、この構成に限定されない。例えば、濾過部本体131bは、単一の濾材131cを有していてもよい。なお、濾過部本体131bが単一の濾材131cを有する場合、互いに重なり合う複数の濾材131cのそれぞれを接合することによって、単一の濾材131cとしてもよい。
【0087】
上記実施形態において、溶融装置1には、溶融した材料を撹拌して均質化する均質化装置3が接続されるが、この構成に限定されない。例えば、溶融装置1は、吐出装置4に直接的に液体材料を供給するようにしたり、液体材料を型枠等に注ぐように構成したりしてもよい。そのため、供給管130cは、均質化装置3の貯留槽30に流体的に接続される物に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
1…溶融装置、2…投入装置、3…均質化装置、4…吐出装置、10…投入部、11…溶融部、12…貯留部、13…流通系、14…筺体、15…保温部、20…ホッパー、21…開閉弁、22…貯蔵タンク、23…管部材、30…貯留槽、31…移送系、40…本体部、41…吐出部、130…流通路、130a…送出管、130b…接続管、130c…供給管、131…濾過部、131a…ホルダ、131b…濾過部本体、131c…濾材、132…ストレーナ、133…送出ポンプ、134…供給弁、140…排気口、141…接続口、310…移送路、310a…流入管、310b…連結管、310c…吐出管、311…吸引ポンプ、312…吐出弁
図1
図2
図3
図4