(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-192152(P2017-192152A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】容量結合した複合ループアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 7/00 20060101AFI20170922BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20170922BHJP
H01Q 9/36 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q9/30
H01Q9/36
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2017-144126(P2017-144126)
(22)【出願日】2017年7月26日
(62)【分割の表示】特願2014-539426(P2014-539426)の分割
【原出願日】2012年11月5日
(31)【優先権主張番号】61/556,145
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】514052966
【氏名又は名称】ドックオン エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ジェイムス・オルシ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ロバート・フォスター
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ポワランヌ
(57)【要約】
【課題】マルチバンドアンテナを提供する。
【解決手段】磁気ループ及び電界レジエータを含むマルチバンドアンテナである。磁気ループは第1平面上に少なくとも部分的に置かれる且つ磁界を生じさせ、下流部分と上流部分を含み、上流部分は供給に接続され、下流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する容量性ギャップによって上流部分から分離され、上流部分は、第1周波数帯域で第1電界を放射するように構成され、下流部分は、第1平面上の第1部分、第1平面上の第2部分、第1部分を第2部分に結合させる第2平面上の第3部分に分離される。第1平面上に置かれた電界ラジエーターは、供給に対して約90度の電気角の位置、供給に対して約270度の電気角の位置、又は、磁気ループを通って流れる電流が反射して最小となる反射最小点で、磁気ループの下流部分に結合される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ループアンテナであって、該複合ループアンテナは:
第1平面上に置かれる且つ磁界を生じさせる磁気ループであって、該磁気ループは、下流部分と上流部分を含み、該下流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する容量性ギャップによって上流部分から分離され、ここで、容量性ギャップは、第1容量リアクタンスをアンテナの合計の容量リアクタンスに加える、磁気ループ;及び
第1平面上に置かれる電界ラジエーターであって、該電界ラジエーターは、磁気ループに結合され且つ磁界に直交する電界を放射するように構成され、ここで、アンテナの合計の誘導リアクタンスは、容量リアクタンスの合計と実質的に一致する、電界ラジエーターを含むことを特徴とする、複合ループアンテナ。
【請求項2】
磁気ループに結合したラジエーター供給を更に含み、ここで、電界ラジエーターは、ラジエーター供給の隣に位置し、電界ラジエーターは、電界ラジエーターを容量的に供給する第2容量性ギャップによってラジエーター供給から分離され、第2容量性ギャップは、合計の容量リアクタンスに加える第2容量リアクタンスを有することを特徴とする、請求項1に記載の複合ループアンテナ。
【請求項3】
磁気ループにラジエーター供給を結合する電気トレースを更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の複合ループアンテナ。
【請求項4】
電気トレースは、接続点でラジエーター供給と磁気ループを結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含むことを特徴とする、請求項3に記載の複合ループアンテナ。
【請求項5】
ラジエーター供給は、磁気ループに直接結合されることを特徴とする、請求項3に記載の複合ループアンテナ。
【請求項6】
磁気ループに電界ラジエーターを結合する電気トレースを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合ループアンテナ。
【請求項7】
電気トレースは、接続点で電界ラジエーターと磁気ループを結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含むことを特徴とする、請求項6に記載の複合ループアンテナ。
【請求項8】
電気トレースは、第1平面より下の第2平面に置かれることを特徴とする、請求項6に記載の複合ループアンテナ。
【請求項9】
電界ラジエーターは、接続点で磁気ループと結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、及び磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合ループアンテナ。
【請求項10】
磁気ループの第1部分の第1幅は、磁気ループの第2部分の第2幅より長い又は短いことを特徴とする、請求項1に記載の複合ループアンテナ。
【請求項11】
磁気ループに沿った容量性ギャップの位置の調整は、アンテナのインピーダンスを調整することを特徴とする、請求項1に記載の複合ループアンテナ。
【請求項12】
マルチバンド複合ループアンテナであって、該マルチバンド複合ループアンテナは:
第1平面に置かれ且つ磁界を作る磁気ループであって、磁気ループの第1部分は、第1周波数帯域で磁界に直交する第1電界を放射するように構成される、磁気ループ;
第1平面に置かれ且つ第1電気トレースを介して磁気ループに結合されるラジエーター供給であって、該ラジエーター供給は、第1周波数帯域で磁気ループの第1部分と同相で共振するように構成される、ラジエーター供給;及び
第1平面に置かれる電界ラジエーターであって、該電界ラジエーターは、第1平面より下の第2平面に位置する第2電気トレースを介して磁気ループに結合され、電界ラジエーターは、ラジエーター供給に隣接して位置付けられ、容量性ギャップによってラジエーター供給から分離され、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で、及び磁界に直交する第2電界を放射するように構成され、ここで、アンテナの合計の誘導リアクタンスは、合計の容量リアクタンスに実質的に一致する、電界ラジエーター
を含むことを特徴とする、マルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項13】
電界ラジエーター及びラジエーター供給は、磁気ループの内部に位置することを特徴とする、請求項12に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項14】
電界ラジエーター及びラジエーター供給は、磁気ループの外部に位置することを特徴とする、請求項12に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項15】
第1電気トレースは、接続点で磁気ループを結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含むことを特徴とする、請求項12に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項16】
第2電気トレースは、接続点で磁気ループに結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含むことを特徴とする、請求項12に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項17】
磁気ループの第1部分の第1幅は、磁気ループの第2部分の第2幅より長い又は短いことを特徴とする、請求項12に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項18】
容量性ギャップは、容量リアクタンスをアンテナの合計の容量リアクタンスに加え、容量性ギャップの位置の調整は、アンテナのインピーダンスを調整することを特徴とする、請求項12に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項19】
マルチバンド複合ループアンテナであって、該マルチバンド複合ループアンテナは:
第1平面上に置かれる且つ磁界を生じさせる磁気ループであって、該磁気ループは、下流部分と上流部分を含み、該下流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する容量性ギャップによって上流部分から分離され、上流部分は、第1周波数帯域で及び磁界に直交する第1電界を放射するように構成され、容量性ギャップは、アンテナの合計の容量リアクタンスに第1容量リアクタンスを加える、磁気ループ;及び
第1平面上に置かれた電界ラジエーターであって、該電界ラジエーターは、電気トレースを介して磁気ループに結合され、磁気ループの上流部分及び下流部分に結合した電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁界に直交する第2電界を放射するように構成され、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁気ループの上流部分及び下流部分と同相で共振し、アンテナの合計の誘導リアクタンスは、アンテナの合計の容量リアクタンスと実質的に一致する、電界ラジエーター
を含むことを特徴とする、マルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項20】
電界ラジエーターは磁気ループの内部に位置付けられことを特徴とする、請求項19に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項21】
電気トレースは、接続点で磁気ループに結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含むことを特徴とする、請求項19に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項22】
磁気ループの下流部分の第1部分の第1幅は、磁気ループの下流部分の第2部分の第2幅より長い又は短いことを特徴とする、請求項19に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項23】
容量性ギャップは、アンテナの合計の容量リアクタンスに容量リアクタンスを加え、容量性ギャップの位置の調整は、アンテナのインピーダンスを調整することを特徴とする、請求項19に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項24】
下流部分は、第1平面上の第1部分及び第1平面上の第2部分に分離され、第1部分を第2部分に結合させる第1平面から離れて伸びる3次元ワイヤーを含むことを特徴とする、請求項19に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項25】
下流部分は、第1平面上の第1部分、第1平面上の第2部分、第1部分を第2部分に結合させる第2平面上の第3部分に分離されることを特徴とする、請求項19に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項26】
第3部分の幅及び長さは、アンテナを調整するために使用されることを特徴とする、請求項25に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【請求項27】
第3部分の物理的形状は、アンテナの合計の誘導リアクタンスにインダクタンスを加えるために使用されることを特徴とする、請求項25に記載のマルチバンド複合ループアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2011年11月4日に出願された米国仮出願第61/556,145号の、米国特許法(e)に下づく利益を主張し、その内容は、その全体における引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
実施形態は、複合ループアンテナ(CPL)、及び特に容量的に供給した磁気ループ及び/又は容量的に供給した電界ラジエーター及び/又は直接供給した電界ラジエーターを含むCPLアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現代の電気通信装置の、常に減少するサイズは、改善されたアンテナ設計のニーズを創生する。モバイル/携帯電話のようなデバイスにおける既知のアンテナは、性能での主な限定のうちの1つを提供し、ほとんど常に、いずれかの方法において妥協している。
【0004】
アンテナの効率は、特にデバイスの性能に主な影響を及ぼすことができる。より効率的なアンテナは、送信機から供給されたエネルギーを高い比率で放射するであろう。同様に、アンテナの固有の相互作用により、より効率的なアンテナは受信機によって処理するためにもっと受信信号を電気エネルギーに変換するであろう。
【0005】
トランシーバー(送信機と受信機の両方として動作するデバイス)とアンテナの間でエネルギー(送信と受信モードの両方での)の最大の転送を保証するために、両方のインピーダンスは、大きさが互いに一致するべきである。2つの間の任意の誤った組み合せは、次善(sub−optimal)の性能を結果として生じ、そして送信する場合に、エネルギーは、アンテナから送信機に、後ろに反射される。受信機として動作する場合、アンテナ次善の性能は、さもないと可能である性能より低い受信電力を結果として生じる。
【0006】
既知の単純なループアンテナは典型的に、現在供給されるデバイスであり、それは磁(H)界を第一義的に生成する。そのため、それらは典型的に、送信機として適切ではない。これは、小さなループアンテナ(即ち、より小さいか、或いは一波長未満の直径を有している)に特に該当する。対照的に、ダイポールのような電圧供給アンテナは、電(E)界及びH界の両方を生成し、送信モード及び受信モードの両方で使用され得る。
【0007】
ループアンテナによって受信された、又はループアンテナから送信されたエネルギーの量は、一部において、その領域によって測定される。典型的に、ループの領域が半分にされるごとに、受信され得る/送信され得るエネルギー量は、初期のサイズ、周波数などのアプリケーション・パラメーターに依存して、およそ3dB少なくされる。この物理的な拘束は、実施の際に非常に小さなループアンテナを使用することができないことを意味する傾向がある。
【0008】
複合アンテナは、横磁気(TM)モード及び横電気(TE)モードが、より高い帯域幅(低いQ)、より大きな線強度/能力/利得、並びにより大きな効率などのより高い性能上の利点を達成するために起動されるものである。
【0009】
1940年代後半に、WheelerとChuが、最初に電気的に短い(ELS)アンテナの特性を試験した。彼らの行動を通じて、様々な方程式が作成され、物理的サイズが減少するというアンテナの限界を記載した。WheelerとChuによって言及されたELSアンテナの限界のうちの1つは、特定に重要であり、放射するよりも、時間平均エネルギーを格納するという点で、大きなラジエーション品質係数(radiation quality factor)Qを有することである。WheelerとChuによれば、ELSアンテナは高いラジエーションQを有し、アンテナ又はマッチングネットワークの最も小さな抵抗性損失を結果として生じ、典型的には、1−50%の間で非常に低い放射効率につながる。その結果、1940年代以来、ELSアンテナに狭い帯域幅と貧弱なラジエーション効率があることが、一般に科学界に容認されている。ELSアンテナを利用する無線通信システムでの現代の業績の多くは、変調スキームの正確な実験と最適化から、及び空気プロトコル上で起こったが、今日、商業上利用されるELSアンテナは、WheelerとChuが最初に確立した、狭い帯域幅、低い効率を未だに反映している。
【0010】
1990年代の初めに、Dale M.GrimesとCraig A.Grimesは、WheelerとChuの理論によって確立された低放射Q制限を越えるELSアンテナ中で共に動作するTMモードとTEモードの数学上見出される特定の組み合わせを有することを主張した。GrimesとGrimesは、1995年5月に電磁適合性部会のIEEEトランザクションで公表された「Bandwidth and Q of Antennas Radiating TE and TM Modes」と題するジャーナルに自身の仕事について記載している。これらの要求は多くの討論の口火を切り、TMモード又はTEモードのいずれかが単独で起動される場合、「単一フィールドアンテナ」に対立するものとしてTMモードとTEモードの両方が起動される用語「複合フィールドアンテナ」につながった。複合領域アンテナの利点は、「U.S. Naval Air Warfare Center Weapons Division」によって雇用されたグループを含む、数人の評判の高いRFエキスパートによって数学上証明され、彼らは、Wheeler−Chu限界より低いラジエーションQの証拠、即ち増加したラジエーション強度、指向性(利得)、放射された電力、及び放射された効率を結論づけた(P.L.Overfelft、D.R. Bowling,D.J.White,「Colocated Magnetic Loop,Electric Dipole Array Antenna(Preliminary Results)」Interim rept.,1994年9月)。
【0011】
複合フィールドアンテナは、エレメント接続の望まれない効果と、電気ラジエーターと磁気ラジエーターを組み合わせるために低損失受動ネットワークを設計する際の関連する困難性により、複雑で、物理的に実施するのが難しいことが分かった。
【0012】
2次元の非複合アンテナの多くの例があるが、それらは一般に回路基板上の金属の印刷されたストリップから成る。しかしながら、これらのアンテナは電圧供給式である。そのようなアンテナの一例は、平面の逆Fアンテナ(PIFA)である。類似のアンテナ設計の大多数は、また主として1/4波長(或いは1/4波長の幾つかの倍数)、電圧供給、ダイポールアンテナから成る。
【0013】
プレーナアンテナも当該技術において知られている。例えば、Zahnらに発行された特許文献1はアンテナが動作するために高価なテフロン(登録商標)基板、又は同様の材料を必要とする。Shigaに発行された特許文献2は、マイクロ波信号を受信できるが送信はしない、プレーナアンテナを教示する。Shigaのアンテナは、高価な半導体基材を更に必要とする。Nalbandianに発行された特許文献3は、プレーナアンテナに関するもので、1:3から1:1の透磁率に対して誘電率を有する基板を必要とし、HF及びVHFの周波数範囲(3〜30MHz及び30〜300MHz)でのみ動作することができる。FR−4のような安価なガラス強化エポキシ積層シート上に幾つかの低い周波数デバイスを印刷することは知られているが、それは通常のプリント回路基板に一般に使用されるものであり、FR−4における誘電損失は高すぎると考えられ、誘電率はそのような基板がマイクロ波振動数で使用されるには充分にしっかりと制御されていないと考えられる。これらの理由で、アルミナ基板はより一般に使用される。加えて、これらのプレーナアンテナのどれもが複合ループアンテナではない。
【0014】
複合フィールドアンテナの増加した性能の根拠は、帯域幅、効率、利得及びラジエーション強度によって、アンテナの近い領域に格納されたエネルギーの効果に由来する。RFアンテナ設計において、放射された電力中にアンテナに与えられたエネルギーが可能な限り移ることが望ましい。アンテナの近い領域で格納されたエネルギーは、歴史的に無効電力と呼ばれており、放射することができる電力の量を制限する役割を果たす。複合電力について議論する場合、現実の部分及び仮想上の部分(しばしば、「無効の」という)部分が存在する。実電力はソースを残し、戻らないが、一方で想像上の電力又は無効電力は、ソースの固定された位置(半波長内)に関して振れる傾向があり、ソースと相互に作用し、それによって、アンテナの動作に影響する。多重ソースからの実電力の存在は直接付加的であり、一方で仮想上の電力の多重ソースは付加的になり得る、又は負(取り消すこと)になり得る。複合アンテナの利益は、エンジニアが単純なフィールドアンテナにおいて前に利用できなかった無効電力取り消しを利用する設計を作成することを可能にする、TMソース(電気ダイポール)及びTEソース(磁気ダイポール)の両方によって駆動されることで、アンテナの実電力伝送品質を改善することである。
【0015】
複合アンテナにおいて無効電力を取り消すことを可能にするために、電界及び磁界は互いに直角に動作する必要がある。磁界を生成するために必要な、電界ラジエーターの多くの構成、及び磁界を発生するために必要な磁気ループの多くの構成が提案されているが、全てのそのような設計は必ず三次元アンテナで例外なく解決されている。例えば、McKLeanに発行された特許文献4は1組の磁気ループを、当該1組の磁気ループの間に配された第3の平行な面上の電気ダイポールと平行な面内で必要とする。Grimesらに発行された特許文献5は、互いに物理的に直角に配列されることを2組の磁気ループおよび電気ダイポールに要求する。McKLeanによって出願された特許文献6は、磁気ダイポールと電気ダイポールが未だに直交平面にある配置を教示する。
【0016】
共通して所有される特許文献7は、直線的に極性化した、多層の平面の複合ループアンテナを教示する。共通して所有される特許文献8は、直線的に極性化した、片側複合ループアンテナを教示する。最後に、共通して所有される特許文献9は、直線的に極性化した、自給型複合ループアンテナを教示する。これら共通して所有される特許及び特許出願は、McLeanとGrimesらによるアンテナの設計におけるような磁気ループと電界ラジエーターの三次元配列を必要とするのではなく、二次元で物理的に配置される、1つ以上の磁気ループと1つ以上の電界ラジエーターを有する複合ループアンテナであるという点で、以前のアンテナとは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,061,938号明細書
【特許文献2】米国特許第5,376,942号明細書
【特許文献3】米国特許第6,677,901号明細書
【特許文献4】米国特許第7,215,292号明細書
【特許文献5】米国特許第6,437,750号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0080878号公報
【特許文献7】米国特許第8,144,065号明細書
【特許文献8】米国特許出願第12/878,018号公報
【特許文献9】米国特許第8,164,528号明細書
【発明の概要】
【0018】
本明細書に記載される実施形態は、容量結合した磁気ループ及び/又は容量結合した電界ラジエーターを含むCPLアンテナで構成される。実施形態は、単一バンドCPLアンテナ及びマルチバンドCPLアンテナを含む。CPLアンテナは、ループ及び/又はラジエーターを容量的に供給することにより、物理的サイズを減少した。実施形態は、容量結合される又は容量結合されない少なくとも1つのe−フィールド放熱素子、容量結合される少なくとも1つの磁気ループ素子を含む。磁気ループの連続は、ワイヤー(3D)、又は第2層(2D)への接続の何れかにより、持続され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、容量的に供給された磁気ループ及び容量的に供給された電界ラジエーターを備えるアンテナの実施形態の正面図を示す。
【
図4】
図4は、供給点と接地接続を備えるアンテナの実施形態を示す。
【
図5】
図5は、2.4/5.8GHzのマルチバンドCPLアンテナの実施形態の正面図を示す。
【
図8】
図8は、
図5−7で示した実施形態の2.4/5.8GHz帯に関する反射減衰量のダイアグラムを示す。
【
図9】
図9は、2.4/5.8GHzのマルチバンドアンテナの実施形態の正面図を示す。
【
図12】
図12は、容量結合した磁気ループを有するマルチバンドCPLアンテナの実施形態の正面図を示す。
【
図13】
図13は、容量結合した磁気ループを有するマルチバンドCPLアンテナの実施形態の背面図を示す。
【
図14】
図14は、容量結合した磁気ループを有するマルチバンドCPLアンテナの実施形態の透視図を示す。
【
図15】
図15は、負荷に接続された時の、
図12−14の実施形態の供給点及び接地接続を示す。
【
図17】
図17は、ループを達成する、容量結合した磁気ループ及びカットループワイヤを有するマルチバンドCPLアンテナの実施形態の正面図を示す。
【
図18】
図18は、ループを達成する、容量結合した磁気ループ及びカットループワイヤを有するマルチバンドCPLアンテナの実施形態の背面図を示す。
【
図19】
図19は、ループを達成する、容量結合した磁気ループ及びカットループワイヤを有するマルチバンドCPLアンテナの実施形態の透視図を示す。
【
図21】
図21は、第2層の上で達成されるループを有する、容量結合した磁気ループを有する両側マルチバンドCPLアンテナの実施形態の正面図を示す。
【
図22】
図22は、第2層の上で達成されるループを有する、容量結合した磁気ループを有する両側マルチバンドCPLアンテナの実施形態の背面図を示す。
【
図23】
図23は、第2層の上で達成されるループを有する、容量結合した磁気ループを有する両側マルチバンドCPLアンテナの実施形態の透視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
複合ループアンテナは、送信モードと受信モードの両方で動作することができ、それにより、既知のループアンテナより大きな性能を可能にする。複合ループ(CPL)アンテナの2つの主な構成要素は、磁界(H界)を生成する磁気ループ、及び電界(E界)を放射する電界ラジエーターである。H界とE界は、アンテナによって放射された電磁波が間隔を空けて効率的に広がるのを可能にするため、互いに直交していなければならない。この効果を達成するために、電界ラジエーターは、磁気ループに沿って、およそ90度の電気的な位置、又はおよそ270度の電気的な位置に位置する。H界とE界の直交性はまた、磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある場合、磁気ループに沿った点に電界ラジエーターの位置を決めることにより、達成することができる。電流が反射する最小にあるCPLアンテナの磁気ループに沿った点は、磁気ループの幾何学的配列に依存する。例えば、電流が反射する最小にある点は、磁気ループの第1領域として最初に識別され得る。インピーダンスマッチングを達成するため磁気ループに金属を加える、又は除去した後、電流が反射する最小にある点は、第1領域から第2領域へと変化し得る。
【0021】
本明細書に記載される実施形態は、容量的に供給した磁気ループ及び/又は容量的に供給した電界ラジエーターを含むCPLアンテナで構成される。本明細書に記載される実施形態は、単一バンドの2.4GHzのCPLアンテナ及び2.4/5.8GHzのマルチバンドCPLアンテナに関して記載されるであろう。しかし、本明細書に記載される原理は、他の周波数帯域で単一バンド及びマルチバンドのアンテナを作るために適用することができることを、理解すべきである。これらCPLアンテナは、ループ及び/又はラジエーターを容量的に供給することにより物理的サイズを減少した。そのようなアンテナの実施形態の基礎的な特性は、少なくとも1つのe−フィールド放熱素子が容量的に結合される、又は容量的に結合されないこと、少なくとも1つの磁気ループ素子が容量結合されること、及びアンテナが高性能を維持することである。加えて、磁気ループの連続は、ワイヤー(3D)、又は第2層(2D)への接続の何れかにより持続され得る。
【0022】
図1は、容量的に供給された磁気ループ及び容量的に供給された電界ラジエーターを備える2.4GHzアンテナの実施形態を示す。
図1はアンテナの正面図を示し、
図2はアンテナの背面図を示し、
図3はアンテナの透視図を示す。素子Cは、およそ0.25ミリメートルでもよく、磁気ループの左下部分に磁気ループの残りを容量的に供給させる容量性ギャップである。容量性ギャップの次元が小さいほど、磁気ループのもたらす周波数は低い。容量性ギャップが大きすぎる場合、容量結合は不足し(fail)始め、アンテナの共振は消滅する。容量性ギャップCの位置は、磁気ループの左側に沿って垂直に移動させることにより、インピーダンスマッチングに影響を及ぼす。故に、容量性ギャップCを上下に移動させることは、アンテナインピーダンスを調整するために使用され得る。
【0023】
およそ0.25mmでもある素子Dは、電界ラジエーターのための容量性ギャップである。
図1−3で示すように、電界ラジエーターは、磁気ループの内部の、及び容量性ギャップDの右に対する、より大きな長方形素子(10)である。容量性ギャップDの左側に、ほぼ長方形に形成されたラジエーターフィード(12)がある。ラジエーターフィードは、微量要素(14)を介して磁気ループに結合され得る。電界ラジエーターは、
図2に関して図示され且つ更に記載されるように、アンテナのバックプレイン上のトレースFを介して磁気ループに結合され得る。電界ラジエーターのための容量性ギャップDは、あまり大きくなくてもよく、そうでなければ、電界ラジエーターの容量結合は不足し始め、共振は消滅する。電界ラジエーターのための容量性ギャップDの位置はまた、インピーダンスマッチングに影響を及ぼし、アンテナインピーダンスを調整するために水平に(左及び右)移動させることができる。
【0024】
容量性ギャップCを形成する磁気ループ上の切り欠きは、素子Gによって示される、磁気ループの左下部分上で生成されているモノポール共振をもたらし得る。モノポール共振は、容量性ギャップCの位置の調整により、及びモノポール共振素子Gの長さを調整することにより、調整され得る。モノポール共振Gも、アンテナ設計をマルチバンドアンテナに変えるために調整され得る。
【0025】
磁気ループの右側を指す素子Eは、容量性ギャップCにおいて容量リアクタンスと一致するために、磁気ループの残りよりも薄く作られ得る(誘導リアクタンス)。
図1が容量性ギャップC及び磁気ループの左側の磁気ループの広い部分を備えるアンテナを示す一方で、実施形態は、容量性ギャップC及び磁気ループの右側の磁気ループの広い部分、並びに磁気ループの左側にある磁気ループのより薄い部分Eを備えるアンテナから成り得る。
【0026】
磁気ループのインダクタンス及び静電容量は、磁気ループの様々な部分の幅の調整により、調整され得る。例えば、磁気ループの頂部の幅は、そのインダクタンス及びリアクタンスを調整するために増加され得る又は減少され得る。磁気ループの幾何学的特徴に対する変更も、アンテナ性能を調整するために行なわれ得る。例えば、ほぼ長方形の磁気ループの角は、45度などの角度でカットされ得る。
【0027】
図2は、
図1のアンテナの背面図を示す。上述のように、素子Fは、アンテナの底層上のトレースを示し、磁気ループに電界ラジエーターを接続する。単層アンテナ設計を作るために、トレースも最上層に置かれ得る。
図3の透視図は、トレースFが底層に置かれ、トレースFが、容量結合した電界ラジエーターに磁気ループを直接接続し得ることを示す。
【0028】
図4は、供給点A及び接地接続Bを備えるアンテナを示す。本明細書に記載される実施形態が、アンテナが磁気ループの左の端点に供給点を、磁気ループの右の端点に接地接続を有することを示す一方で、代替的な実施形態は、磁気ループの右の端点に供給点を、磁気ループの左の端点に接地接続を有するアンテナを含み得る。
【0029】
図1−4の2.4GHzのアンテナの実施形態は、容量的に供給された磁気ループ及び容量的に供給された電界ラジエーターを含む。しかし、電界ラジエーターを容量的に供給する必要はない。代わりに、実施形態は、容量的に供給されないが、磁気ループに直接結合される又はトレースを介して磁気ループに結合される、電界ラジエーターから成り得る。アンテナはまた、磁気ループの内部の1より多くの電界ラジエーターを含み得る。1より多くの電界ラジエーターを含む場合、第1電界ラジエーターは容量的に供給され、一方、第2電界ラジエーターは容量的に供給されない。代替的に、ラジエーターはすべて、容量的に供給され、磁気ループに直接結合され、トレースを介して磁気ループに結合され、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0030】
単純なループアンテナと比較して、本明細書に記載される実施形態は、複合フィールドアンテナであり、調整が容易であり、磁気ループから放射パターンにおける空白を満たし、効率を増加させ、帯域幅を増加させ、及び物理的サイズが小さいアンテナ設計であるという利点を有する。モノポールと比較して、本明細書に記載される実施形態は、複合フィールドアンテナであり、安定し、効率を増加させ、及び帯域幅を増加させたアンテナ設計であるという利点を有し得る。
【0031】
電界ラジエーターは、容量結合したギャップによって分離された、第1セグメントと第2セグメント(ラジエーター供給)に接続されたトレース、アンテナ(又は第1及び第2セグメントを介して)のバックプレイン上の戻り(return)を介して接続された、第2セグメントと磁気ループを備える、短くされた磁気ループとして見なされ得る。戻りは、ラジエーターの電気的長さを増加させる。
【0032】
2.4GHzの周波数で、容量的に供給された電界ラジエーター及び容量結合した磁気ループは、互いに同相で放射する。特に、電界ラジエーター、及び容量性ギャップCに隣接する磁気ループの一部は、2.4GHzで互いに同相で放射する。
図1−4に示されたアンテナに対する2.4GHz帯の遠距離プロット(farfield plot)は、アンテナの遠距離パターンがダイポールパターンに類似して全方向性であることを示す。
【0033】
1つの実施形態において、複合ループアンテナは、第1平面上に置かれる且つ磁界を生じさせる磁気ループを含み、該磁気ループは、下流部分と上流部分を含み、該下流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する容量性ギャップによって上流部分から分離され、ここで、磁気ループは、アンテナの合計の誘導リアクタンスに加える第1誘導リアクタンスを有し、容量性ギャップは、第1容量リアクタンスをアンテナの合計の容量リアクタンスに加える。複合ループアンテナは、第1平面上に置かれる電界ラジエーターを更に含み、該電界ラジエーターは、磁気ループに結合され且つ磁界に直交する電界を放射するように構成され、ここで、電界ラジエーターは、合計の容量リアクタンスに加える第2容量リアクタンスを有し、電界ラジエーターと磁気ループの間の物理的配列は、合計の容量リアクタンスに加える第3容量リアクタンスをもたらし、合計の誘導リアクタンスは、容量リアクタンスの合計と実質的に一致する。
【0034】
実施形態において、アンテナは、磁気ループに結合したラジエーター供給を更に含み、ここで、電界ラジエーターは、ラジエーター供給の隣に位置し、電界ラジエーターは、電界ラジエーターを容量的に供給する第2容量性ギャップによってラジエーター供給から分離され、第2容量性ギャップは、合計の容量リアクタンスに加える第4容量リアクタンスを有する。実施形態において、アンテナは、磁気ループにラジエーター供給を結合する電気トレースを更に含み得る。実施形態において、電気トレースは、接続点でラジエーター供給と磁気ループを結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含む。実施形態において、ラジエーター供給は、磁気ループに直接結合され得る。
【0035】
実施形態において、アンテナは、磁気ループに電界ラジエーターを結合する電気トレースを更に含み得る。実施形態において、電気トレースは、接続点で電界ラジエーターと磁気ループを結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含む。実施形態において、電気トレースは、第1平面より下の第2平面に置かれ得る。
【0036】
実施形態において、電界ラジエーターは、接続点で磁気ループと結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、及び磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含む。実施形態において、磁気ループの第1部分の第1幅は、磁気ループの第2部分の第2幅より長い又は短くてもよい。実施形態において、磁気ループに沿った容量性ギャップの位置の調整は、アンテナのインピーダンスを調整し得る。
【0037】
実施形態は、少なくともデュアルバンド共振をもたらす複合ループアンテナに配向され得る。本明細書における実施形態は、WiFi周波数をカバーする2.4/5.8GHzのアンテナに関して記載され得る。実施形態はまた、マルチ入力マルチ出力(MIMO)アプリケーションに使用され得る。少なくとも3つの構成が記載されるであろう:(1)磁気ループと、磁気ループの内部に容量的に供給される電界ラジエーターを備えるCPLアンテナから成る第1構成、(2)磁気ループと、磁気ループの外部に容量的に供給される電界ラジエーターを備えるCPLアンテナから成る第2構成;及び(3)第1e−フィールドを生じさせる容量的に供給された磁気ループと、第2e−フィールドを生じさせるために磁気ループと結合する磁気ループの内部に接続される電界ラジエーターを備えるCPLアンテナから成る第3構成。
【0038】
図5は、2.4/5.8GHzのマルチバンドCPLアンテナの実施形態の正面図を示す。
図6はアンテナの背面図を示し、
図7はアンテナの透視図を示す。アンテナは、連続的な磁気ループの内部に位置する、容量的に供給された電界ラジエーターを含む。電界ラジエーターは、磁気ループの内部に位置する、より大きな長方形素子であり、ラジエーター供給は、磁気ループの内部に位置する、より小さな長方形素子である。ラジエーター供給は、トレースを介して磁気ループに結合される。電界ラジエーターは、電界ラジエーターを容量的に供給する容量性ギャップによって、ラジエーター供給から分離される。電界ラジエーターは、
図6に示されるようなアンテナの裏面にあるトレースを介して磁気ループに結合される。電界ラジエーターは、点線(16)で示されるように、2.4GHz帯をカバーし、磁気ループの右下部分は、破線(18)で示されるように、5.8GHz帯をカバーする。特に、磁気ループの右下部分及び右側は、5.8GHz帯のための放射素子である。
【0039】
図6に示されるように、アンテナの裏面の誘導トレース(20)は、容量的に供給された電界ラジエーターを磁気ループに接続する。誘導トレースのインダクタンスは、電界ラジエーターとラジエーター供給の間の容量性ギャップによってもたらされた静電容量を補う。容量性ギャップは、電流が地面に流れる経路として作用する。実施形態において、アンテナの裏面の誘導トレースはまた、アンテナの前側側面に置かれ得る。最終的に、
図5−7に示されるアンテナが連続的なループを含む一方で、マルチバンドアンテナの実施形態は、容量的に供給された磁気ループを備えるアンテナから成り得る。
【0040】
図8は、
図5−7で示した実施形態の2.4/5.8GHz帯に関する反射減衰量のダイアグラムを示す。ダイアグラムは、およそ2.5GHz帯及び5.3512GHz帯で反射減衰量が最小となるが、2.4及び5.8GHzの所望のバンド内で動作することを示す。
【0041】
図9は、2.4/5.8GHzのマルチバンドアンテナの実施形態の正面図を示し、容量的に供給された電界ラジエーター(22)は磁気ループ(24)の外部に位置する。電界ラジエーターは、点線(26)で示されるようにバンド、2.4GHz帯をカバーし、磁気ループ及びラジエーター供給の右下部分は、破線(28)で示されるように、5.8GHz帯をカバーする。
図10は、
図9の実施形態の背面図を示し、帰線(return trace)(30)を示す。
図11は、
図9及び10の実施形態の透視図を示す。
【0042】
実施形態において、マルチバンド複合ループアンテナは次のものを含み得る:第1平面に置かれる且つ磁界を作る磁気ループであって、該磁気ループは、アンテナの合計の誘導リアクタンスに加える第1誘導リアクタンスを有し、磁気ループの第1部分は、第1周波数帯域で磁界に垂直な第1電界を放射するように構成される、磁気ループ;第1平面に置かれ且つ第1電気トレースを介して磁気ループに結合されるラジエーター供給であって、該ラジエーター供給は、第1周波数帯域で磁気ループの第1部分と同相で共振するように構成される、ラジエーター供給;及び、第1平面に置かれる電界ラジエーターであって、該電界ラジエーターは、第1平面より下の第2平面に位置する第2電気トレースを介して磁気ループに結合され、電界ラジエーターは、ラジエーター供給に隣接して位置付けられ、容量性ギャップによってラジエーター供給から分離され、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で、及び磁界に垂直な第2電界を放射するように構成され、ここで、電界ラジエーターは、合計の容量リアクタンスを加える第2容量リアクタンスを有し、電界ラジエーターと磁気ループの間の物理的配列は、合計の容量リアクタンスを加える第3容量リアクタンスをもたらし、合計の誘導リアクタンスは、合計の容量リアクタンスに実質的に一致する、電界ラジエーター。
【0043】
実施形態において、電界ラジエーター及びラジエーター供給は、磁気ループの内部に位置し、又は磁気ループの外部に位置し得る。
【0044】
実施形態において、第1電気トレースは、接続点で磁気ループを結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含む。実施形態において、第2電気トレースは、接続点でと磁気ループを結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含む。
【0045】
実施形態において、磁気ループの第1部分の第1幅は、磁気ループの第2部分の第2幅より長い又は短くてもよい。実施形態において、容量性ギャップの位置の調整は、アンテナのインピーダンスを調整し得る。
【0046】
図12、13及び14はそれぞれ、容量結合した磁気ループを備えるマルチバンドアンテナの実施形態の、正面図、背面図、及び透視図を示す。この実施形態は、2.4/5.8GHz帯で動作し、物理的サイズがおよそ0.217×0.35インチであり、本明細書に記載されるアンテナのコンパクトサイズをさらに示す。2.4GHzでのこの実施形態に関する遠距離パターンは、パターンがダイポールパターンのように全方向性であることを示す。2.4GHzでのこの実施形態に関するe−フィールドプロットは、点線(32)によってほぼ示されるように、第1非CPLのe−フィールドがループによって生じさせられ、第2CPLのe−フィールドがラジエーターとループの組み合わせによって生じさせられることを示す。特に、磁気ループは、容量性ギャップによって上流部分と下流部分へ分離されると思われる。上流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する。
ループの上流部分は、第1周波数帯域で第1e−フィールドを放射する。上流部分の一部と下流部分の一部と組み合わせて、電気トレースを介して磁気ループに結合される電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁界に直交する第2電界を放射する。従って、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁気ループの上流部分及び下流部分と同相で共振する。加えて、そのようなCPLアンテナのように、アンテナの合計の誘導リアクタンスは、アンテナの合計の容量リアクタンスと実質的に一致する。
【0047】
図12−14の実施形態において、容量性ギャップ(34)はおよそ0.018インチである。この次元が小さくなるほど、ループの周波数は低くなる。容量性ギャップ(34)はあまり大きくなり(あまり遠く離れ)すぎてはならず、又は容量結合は不足し始め、共振は消滅し得る。容量性ギャップの垂直位置は、アンテナのインピーダンスマッチングに影響を及ぼし、従って、ギャップの位置の上下移動は、アンテナを調整するために使用され得る。ラジエーター(36)も、アンテナを調整するために使用することができる。
磁気ループの痩せた(skinnier)要素(38)は、誘導リアクタンスのため、及び容量性ギャップ(34)の容量リアクタンスと一致させるために、より薄く形成される。磁気ループの長さ及び磁気ループの第1レッグ(40)は、
図16の反射減衰量チャートで示されるような二次共振のためのモノポールとして作用し、それは、およそ2.4GHz及び5.8GHzで最小限にされた反射減衰量を示す。
図15は、負荷に接続された時の実施形態の供給点(42)及び接地接続(44)を示す。
【0048】
図17、18、及び19はそれぞれ、ループを達成する、容量結合した磁気ループ及びカットループワイヤを有するマルチバンドCPLアンテナの実施形態の、正面図、背面図、及び透視図を示す。この実施形態は、
図12−15の実施形態と同じ方法で動作し、2.4/5.8GHz帯で動作する。この実施形態は、しかし、物理的サイズがおよそ0.195×0.359インチであり、本明細書に記載されるCPLアンテナのコンパクトサイズを更に示す。
図19に示されるように、供給点(50)及び接地接続(52)は、負荷に接続され得る(図示せず)。容量性ギャップ(54)は、およそ0.018インチであり、ラジエーター(56)、及び痩せた整合素子(58)であり得る。ループ長さ及びループの第1レッグ(60)は、二次共振のためのモノポールとして作用し得る。3次元(3D)ワイヤー(62)は、アンテナが位置するプリント回路基板(PCB)上で、より小さな2次元(2D)空間を維持する間にループを達成するために使用され得る。空間がスマートフォン又は他のモバイルデバイスのPCBの上などのように高値であると、
図12−14の実施形態と
図17−19の実施形態の間の0.022インチの差は、重大であり得る。この実施形態のための反射減衰量チャートは、
図20に示され、それは、およそ2.4GHz及び5.8GHzで最小限にされた反射減衰量を示す。
【0049】
図21、22、及び23はそれぞれ、第2層の上で達成されるループを有する、容量結合した磁気ループを有する両側マルチバンドCPLアンテナの実施形態の、正面図、背面図、及び透視図を示す。この実施形態は、2.4/5.8GHz帯において前の2つの実施形態と同じ方法で動作するが、物理的サイズはおよそ0.17×0.359インチであり、
図17−19に示された実施形態よりわずかに薄く作られる。
図25に示されるように、供給点(70)及び接地接続(72)は、負荷に接続され得る(図示せず)。容量性ギャップ(74)は、およそ0.022インチであり、ラジエーター(76)、及び痩せた整合素子(78)であり得る。ループ長さ及びループの第1レッグ(80)は、二次共振のためのモノポールとして作用し得る。第2層(82)に対する拡張は、アンテナが位置するPCB上で、より小さな2D空間を維持する間にループを達成するために使用され得る。拡張(82)の幅及び長さはまた、アンテナを調整するために使用され、必要であれば、物理的形状は、アンテナにより多くのインダクタンスを加えるために曲げられる(meandered)こともある。この実施形態のための反射減衰量チャートは、
図24に示され、それは、およそ2.4GHz及び5.8GHzで最小限にされた反射減衰量を示す。
【0050】
実施形態において、マルチバンド複合ループアンテナは次のものを含み得る:第1平面上に置かれる且つ磁界を生じさせる磁気ループであって、該磁気ループは、下流部分と上流部分を含み、該下流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する容量性ギャップによって上流部分から分離され、上流部分は、第1周波数帯域で及び磁界に直交する第1電界を放射するように構成され、容量性ギャップは、アンテナの合計の容量リアクタンスに第1容量リアクタンスを加える、磁気ループ;及び、第1平面上に置かれた電界ラジエーターであって、該電界ラジエーターは、電気トレースを介して磁気ループに結合され、磁気ループの上流部分及び下流部分に結合した電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁界に直交する第2電界を放射するように構成され、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁気ループの上流部分及び下流部分と同相で共振し、アンテナの合計の誘導リアクタンスは、アンテナの合計の容量リアクタンスと実質的に一致する、電界ラジエーター。
【0051】
実施形態において、電界ラジエーターは磁気ループの内部に位置付けられ得る。実施形態において、電気トレースは、接続点で磁気ループに結合し、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角度位置を含む。実施形態において、磁気ループの下流部分の第1部分の第1幅は、磁気ループの下流部分の第2部分の第2幅より長い、又は短い。
【0052】
実施形態において、容量性ギャップは、アンテナの合計の容量リアクタンスに容量リアクタンスを加え、容量性ギャップの位置の調整は、アンテナのインピーダンスを調整し得る。
【0053】
実施形態において、下流部分は、第1平面上の第1部分及び第1平面上の第2部分に分離され、第1部分を第2部分に結合させる第1平面から離れて伸びる3次元ワイヤー、又は第1部分を第2部分に結合させる第2平面上の第3部分を含む。実施形態において、第3部分の幅及び長さは、アンテナを調整するために使用され得、第3部分の物理的形状は、アンテナの合計の誘導リアクタンスにインダクタンスを加えるために使用され得る。
【0054】
本開示が様々な実施形態を示し且つ記載する一方、本明細書に記載される技術は、多くの追加の使用及び適用を有し得ることを理解されたい。従って、本発明は、そのような実施形態の原理の様々な実施形態及び適用を単に示すこの明細書に含まれる特定の記載及び様々な図面に制限されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2017年7月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチバンドアンテナであって、該マルチバンドアンテナは:
第1平面上に少なくとも部分的に置かれる且つ磁界を生じさせる磁気ループであって、該磁気ループは、下流部分と上流部分を含み、該上流部分は供給に接続され、該下流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する容量性ギャップによって上流部分から分離され、上流部分は、第1周波数帯域で第1電界を放射するように構成され、下流部分は、第1平面上の第1部分、第1平面上の第2部分、第1部分を第2部分に結合させる第2平面上の第3部分に分離される、磁気ループ;及び
第1平面上に置かれた電界ラジエーターであって、該電界ラジエーターは、供給に対して約90度の電気角の位置、供給に対して約270度の電気角の位置、又は、磁気ループを通って流れる電流が反射して最小となる反射最小点で、磁気ループの下流部分に結合され、ここで、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁界に直交する第2電界を放射するように磁気ループの上流部分及び下流部分に結合し、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁気ループの上流部分及び下流部分と同相で共振する、電界ラジエーター
を含むことを特徴とする、マルチバンドアンテナ。
【請求項2】
電界ラジエーターは磁気ループの内部に位置付けられることを特徴とする、請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。
【請求項3】
電界ラジエーターは、接続点で電気トレースを介して磁気ループに結合され、該接続点は、磁気ループの駆動点、又は磁気ループを通って流れる電流が反射して最小となる反射最小点から、およそ90度又はおよそ270度の電気角の位置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。
【請求項4】
磁気ループの下流部分の第1部分の第1幅は、磁気ループの下流部分の第2部分の第2幅より長い又は短いことを特徴とする、請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。
【請求項5】
容量性ギャップの位置の調整は、アンテナのインピーダンスを調整することを特徴とする、請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。
【請求項6】
第1電界及び第2電界は同じ周波数であり、同じ周波数で同相で放射されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。
【請求項7】
第1電界及び第2電界は異なる周波数であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。
【請求項8】
マルチバンドアンテナであって、該マルチバンドアンテナは:
第1平面上に少なくとも部分的に置かれる且つ磁界を生じさせる磁気ループであって、該磁気ループは、下流部分と上流部分を含み、該上流部分は供給に接続され、該下流部分は、磁気ループの下流部分を容量的に供給する容量性ギャップによって上流部分から分離され、上流部分は、第1周波数帯域で第1電界を放射するように構成され、下流部分は、第1平面上の第1部分、第1平面上の第2部分、第1部分を第2部分に結合させる第2平面上の第3部分に分離される磁気ループ;及び
第1平面上に置かれた電界ラジエーターであって、該電界ラジエーターは、供給に対して約90度の電気角の位置、供給に対して約270度の電気角の位置、又は、磁気ループを通って流れる電流が反射して最小となる反射最小点で、磁気ループの下流部分に結合され、ここで、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁界に直交する第2電界を放射するように磁気ループの上流部分及び下流部分に結合し、電界ラジエーターは、第2周波数帯域で磁気ループの上流部分及び下流部分と同相で共振する、電界ラジエーター
を含むことを特徴とする、マルチバンドアンテナ。
【請求項9】
第3部分の幅及び長さは、アンテナを調整するために使用されることを特徴とする、請求項8に記載のマルチバンドアンテナ。
【請求項10】
第3部分の物理的形状は、アンテナの合計の誘導リアクタンスにインダクタンスを加えるために使用されることを特徴とする、請求項8に記載のマルチバンドアンテナ。
【外国語明細書】