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特開2017-192265スイッチング電源装置およびスイッチング制御回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-192265(P2017-192265A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置およびスイッチング制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20170922BHJP
【FI】
   H02M3/28 C
   H02M3/28 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-82161(P2016-82161)
(22)【出願日】2016年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 悠介
(72)【発明者】
【氏名】辻本 健悟
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB61
5H730DD04
5H730EE03
5H730EE08
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD41
5H730FF09
5H730FF18
5H730FG05
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
5H730XX47
(57)【要約】
【課題】シンプルな構成を実現できるスイッチング電源装置を得る。
【解決手段】本発明のスイッチング電源装置は、1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、1次側巻線に接続されたスイッチング回路と、2次側巻線に接続され、2次側巻線から出力された交流電圧を直流電圧に変換する変換回路とを含むスイッチング電源回路と、直流電圧、および変換回路におけるデューティ比に基づいて、変換回路が所定の電圧を出力可能な負荷電流の最大値を示す最大負荷電流値を求め、その最大負荷電流値に基づいて、スイッチング電源回路が所定の垂下動作を行うように、スイッチング回路の動作を制御する制御回路とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、前記1次側巻線に接続されたスイッチング回路と、前記2次側巻線に接続され、前記2次側巻線から出力された交流電圧を直流電圧に変換する変換回路とを含むスイッチング電源回路と、
前記直流電圧、および前記変換回路におけるデューティ比に基づいて、前記変換回路が所定の電圧を出力可能な負荷電流の最大値を示す最大負荷電流値を求め、その最大負荷電流値に基づいて、前記スイッチング電源回路が所定の垂下動作を行うように、前記スイッチング回路の動作を制御する制御回路と
を備えたスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記交流電圧に基づいて前記デューティ比を検出する検出回路をさらに備えた
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記直流電圧および前記デューティ比と、前記最大負荷電流値との対応関係を示すテーブルを有し、そのテーブルを用いて前記最大負荷電流値を求める
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記所定の垂下動作は、前記負荷電流と前記直流電圧との積が一定になるような動作である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記スイッチング回路の入力電流に基づいて前記負荷電流を求め、前記負荷電流の電流値が前記最大負荷電流値以上である場合に、前記スイッチング電源回路が前記所定の垂下動作を行うように、前記スイッチング回路の動作を制御する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記スイッチング回路の入力電流の電流値が、前記最大負荷電流値に対応する最大入力電流値以上である場合に、前記スイッチング電源回路が前記所定の垂下動作を行うように、前記スイッチング回路の動作を制御する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
スイッチング電源回路における変換回路により交流電圧から変換された直流電圧、および、前記変換回路におけるデューティ比に基づいて、前記変換回路が所定の電圧を出力可能な負荷電流の最大値を示す最大負荷電流値を求め、その最大負荷電流値に基づいて、前記スイッチング電源回路が所定の垂下動作を行うように、前記スイッチング電源回路の動作を制御する
スイッチング制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を用いて電圧変換を行うスイッチング電源装置、およびそのようなスイッチング電源装置において用いられるスイッチング制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置では、しばしば、負荷電流が過大になったときに出力電圧を垂下させることにより、電源装置およびその負荷となる装置を安全な状態に保つように制御される。例えば、特許文献1には、入力電圧、出力電圧、およびデューティ比に基づいて、負荷電流が過大であることを検出するスイッチング電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−305873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子機器では、一般にシンプルな構成が望まれており、スイッチング電源装置においても、シンプルな構成が期待されている。
【0005】
したがって、シンプルな構成を実現できるスイッチング電源装置およびスイッチング制御回路を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチング電源装置は、スイッチング電源回路と、制御回路とを備えている。スイッチング電源回路は、1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、1次側巻線に接続されたスイッチング回路と、2次側巻線に接続され、2次側巻線から出力された交流電圧を直流電圧に変換する変換回路とを含んでいる。制御回路は、直流電圧、および変換回路におけるデューティ比に基づいて、変換回路が所定の電圧を出力可能な負荷電流の最大値を示す最大負荷電流値を求め、その最大負荷電流値に基づいて、スイッチング電源回路が所定の垂下動作を行うように、スイッチング回路の動作を制御するものである。
【0007】
本発明のスイッチング制御回路は、スイッチング電源回路における変換回路により交流電圧から変換された直流電圧、および、変換回路におけるデューティ比に基づいて、変換回路が所定の電圧を出力可能な負荷電流の最大値を示す最大負荷電流値を求め、その最大負荷電流値に基づいて、スイッチング電源回路が所定の垂下動作を行うように、スイッチング電源回路の動作を制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスイッチング電源装置およびスイッチング制御回路によれば、直流電圧、および変換回路におけるデューティ比に基づいて最大負荷電流値を求め、その最大負荷電流値に基づいて、スイッチング回路の動作を制御するようにしたので、シンプルな構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るスイッチング電源装置の一構成例を表す回路図である。
図2図1に示したルックアップテーブルの一構成例を表す表である。
図3図1に示したスイッチング電源装置の一動作例を表す波形図である。
図4図1に示したスイッチング電源装置の一動作状態を表す説明図である。
図5図1に示したスイッチング電源装置の他の動作状態を表す説明図である。
図6図1に示したスイッチング電源装置における垂下動作の一例を表す説明図である。
図7】変形例に係るスイッチング電源装置の一構成例を表す回路図である。
図8】他の変形例に係るスイッチング電源装置の一構成例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1)の一構成例を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係るスイッチング制御回路は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0012】
スイッチング電源装置1は、この例では、入力端子T1,T2に接続された電源PSから入力された直流の入力電圧Vinを電圧変換する(降圧する)ことにより、直流の出力電圧Voutを生成し、この出力電圧Voutを出力端子T3,T4を介して負荷Lへ供給するものである。スイッチング電源装置1は、入力平滑コンデンサCinと、電流検出回路8と、スイッチング回路10と、トランス20と、整流回路30と、平滑回路40と、電圧検出回路9と、制御部50とを備えている。
【0013】
入力平滑コンデンサCinは、入力端子T1に接続された1次側高圧ラインL1Hと入力端子T2に接続された1次側低圧ラインL1Lとの間に配置されており、電源PSから入力端子T1、T2間に入力された直流の入力電圧Vinを平滑化するためのものである。
【0014】
電流検出回路8は、1次側高圧ラインL1H上において、入力端子T1とスイッチング回路10との間に配置されており、この1次側高圧ラインL1H上を流れる入力電流Iinを検出するとともに、この検出した入力電流Iinに対応する検出信号を制御部50に供給するものである。電流検出回路8は、この例では、カレントトランス8Aを用いて構成されている。
【0015】
スイッチング回路10は、入力電圧Vinを交流電圧に変換するフルブリッジ型のスイッチング回路である。このスイッチング回路10は、スイッチング素子SW11〜SW14を有している。
【0016】
スイッチング素子SW11〜SW14は、例えば、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの素子が使用可能である。この例では、スイッチング素子SW11〜SW14は、全てNチャネルのMOS−FETにより構成されている。スイッチング素子SW11のゲートにはSW制御信号S11が供給され、ソースはスイッチング素子SW12のドレインに接続され、ドレインは1次側高圧ラインL1Hに接続されている。スイッチング素子SW12のゲートにはSW制御信号S12が供給され、ソースは1次側低圧ラインL1Lに接続され、ドレインはスイッチング素子SW11のソースに接続されている。スイッチング素子SW13のゲートにはSW制御信号S13が供給され、ソースはスイッチング素子SW14のドレインに接続され、ドレインは1次側高圧ラインL1Hに接続されている。スイッチング素子SW14のゲートにはSW制御信号S14が供給され、ソースは1次側低圧ラインL1Lに接続され、ドレインはスイッチング素子SW13のソースに接続されている。また、スイッチング素子SW11のソースおよびスイッチング素子SW12のドレインは、トランス20の1次側巻線21(後述)の一端に接続されている。また、スイッチング素子SW13のソースおよびスイッチング素子SW14のドレインは、共振用インダクタLrを介して、この1次側巻線21(後述)の他端に接続されている。この共振用インダクタLrは、スイッチング素子SW11〜SW14内の寄生容量素子、およびトランス20のリーケージインダクタと共に所定のLC共振回路を構成している。
【0017】
この構成により、スイッチング回路10では、制御部50から供給されるSW制御信号S11〜S14に応じてスイッチング素子SW11〜SW14をオンオフ制御することにより、直流の入力電圧Vinを交流電圧に変換するようになっている。
【0018】
トランス20は、1次側と2次側とを直流的に絶縁するとともに交流的に接続するものであり、1次側巻線21および2次側巻線22A,22Bを含んで構成された3巻線型のトランスである。トランス20の1次側巻線21と2次側巻線22A,22Bとは、フォワード接続されている。1次側巻線21の一端はスイッチング回路10に接続され、他端は共振用インダクタLrを介してスイッチング回路10に接続されている。2次側巻線22Aの一端および2次側巻線22Bの一端は、整流回路30に接続されている。そして、2次側巻線22A,22Bの他端同士はセンタタップCTで互いに接続されるとともに、2次側高圧ラインL2Hに接続されている。1次側巻線21の巻数はNpであり、2次側巻線22A,22Bの巻数はそれぞれNsである。これらの巻数比Np:Nsは、例えば10:1に設定される。
【0019】
この構成により、トランス20は、1次側巻線21の両端間に供給された交流電圧を“Ns/Np”倍に降圧し、2次側巻線22A,22Bから出力するようになっている。
【0020】
整流回路30は、トランス20から供給される交流電圧を整流する回路である。この整流回路30は、ダイオード31,32を有している。ダイオード31のカソードは2次側巻線22Bの一端に接続され、アノードは2次側低圧ラインL2Lに接続されている。ダイオード32のカソードは2次側巻線22Aの一端に接続され、アノードは2次側低圧ラインL2Lに接続されている。
【0021】
平滑回路40は、チョークコイルLchと出力平滑コンデンサCoutとを有している。チョークコイルLchは、2次側高圧ラインL2H上に挿入配置されており、その一端はトランス20のセンタタップCTに接続され、他端は出力端子T3に接続されている。出力平滑コンデンサCoutは、チョークコイルLchの他端と2次側低圧ラインL2Lとの間に配置されている。
【0022】
この構成により、平滑回路40は、整流回路30によって整流されセンタタップCTから出力される交流の信号(交流電圧Vac)を平滑化して直流の出力電圧Voutを生成し、この出力電圧Voutを出力端子T3,T4間に接続された負荷Lに供給するようになっている。
【0023】
電圧検出回路9は、2次側高圧ラインL2Hと2次側低圧ラインL2Lとの間に配置されており、出力端子T3,T4間の出力電圧Voutを検出するとともに、この検出した出力電圧Voutに対応する検出信号を制御部50に供給するものである。電圧検出回路9は、例えば、出力電圧Voutを所定の分圧比を有する抵抗回路を用いて分圧し、この分圧された電圧を出力するように構成することができる。
【0024】
制御部50は、電流検出回路8が検出した入力電流Iin、電圧検出回路9が検出した出力電圧Vout、およびセンタタップCTにおける交流電圧Vacに基づいて、スイッチング回路10におけるスイッチング動作を制御するものである。制御部50は、デューティ比検出回路51と、バッファ52と、抵抗器R53と、平滑回路55と、バッファ56と、抵抗器R57と、制御回路58と、SW制御部61と、トランス62と、SW駆動部63とを有している。
【0025】
デューティ比検出回路51は、センタタップCTにおける交流電圧Vacに基づいて、デューティ比DRを検出する回路である。デューティ比検出回路51は、デューティ比DRを検出することができるような様々な構成を用いることができる。具体的には、デューティ比検出回路51は、例えば、交流電圧Vacに基づいて、交流電圧Vacの波高値を所定の波高値に揃えた信号を生成し、その信号の平均値を検出することによりデューティ比DRを検出するように構成することができる。
【0026】
バッファ52は、インピーダンス変換の機能を有するとともに、例えば電圧検出回路9から供給された信号の電圧レンジを変換して出力する回路である。抵抗器R53は、バッファ52の出力信号のノイズを除去し、あるいは、サージ電圧、過電流などを制限することにより、バッファ52および制御回路58を保護する機能を有するものである。
【0027】
平滑回路55は、電流検出回路8から供給された検出信号を電圧に変換し、その電圧を平滑化する回路である。バッファ56は、インピーダンス変換の機能を有するとともに、例えば平滑回路55から供給された信号の電圧レンジを変換して出力する回路である。抵抗器R57は、抵抗器R53と同様に、バッファ56の出力信号のノイズを除去し、あるいは、サージ電圧、過電流などを制限することにより、バッファ56および制御回路58を保護する機能を有する。この構成により、制御回路58には、入力電流Iinの平均値(平均入力電流Iindc)が供給されるようになっている。
【0028】
制御回路58は、例えば、マイクロコントローラ(MCU)などを用いて構成されるものであり、出力電圧Vout、デューティ比DR、および平均入力電流Iindcに基づいて、SW制御部61に制御信号を供給することにより、スイッチング回路10の動作を制御するものである。具体的には、制御回路58は、スイッチング電源装置1の負荷電流Iloadが、最大負荷電流Ilimitよりも低い場合には、出力電圧Voutが一定になるように、スイッチング回路10の動作を制御する。また、制御回路58は、スイッチング電源装置1の負荷電流Iloadが、最大負荷電流Ilimit以上である場合には、出力電力(=Vout×Iload)を一定に維持しつつ出力電圧Voutが垂下するように、スイッチング回路10の動作を制御するようになっている。制御回路58は、ルックアップテーブル(LUT;Look Up Table)59を有している。ルックアップテーブル59は、出力電圧Voutおよびデューティ比DRと、最大負荷電流Ilimitとの対応関係を示すものである。
【0029】
図2は、ルックアップテーブル59の一例を表すものである。この図2は、出力電圧Vout(横軸)およびデューティ比DR(縦軸)に対応する、最大負荷電流Ilimitの値を任意単位で示している。
【0030】
制御回路58は、スイッチング電源装置1が動作している間、出力電圧Vout、デューティ比DR、および平均入力電流Iindcを、例えば所定の時間間隔(例えば1[msec]間隔)で継続してモニタする。そして、制御回路58は、出力電圧Vout、デューティ比DR、および平均入力電流Iindcに基づいて、負荷電流Iloadを継続して求める。すなわち、まず、次の式(EQ1)に示すように、出力電圧Voutおよびデューティ比DRを用いて、入力電圧Vinを求めることができる。
Vin = Vout × N / DR …(EQ1)
ここで、“N”はトランス20の巻線比(Ns/Np)である。そして、次の式(EQ2)に示すように、入力電圧Vin、平均入力電流Iindc、および出力電圧Voutを用いて、負荷電流Iloadを求めることができる。
Iload = Vin × Iindc × n / Vout …(EQ2)
ここで、“n”は、スイッチング電源装置1における変換効率である。
【0031】
また、制御回路58は、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて、ルックアップテーブル59(図2)を用いて、最大負荷電流Ilimitを継続して求める。その際、制御回路58は、ルックアップテーブル59に基づいて、補間処理を行うことにより、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて、最大負荷電流Ilimitを高い精度で求める。
【0032】
そして、制御回路58は、式(EQ1),(EQ2)を用いて求めた負荷電流Iloadが、この最大負荷電流Ilimit以上である場合に、ルックアップテーブル59を用いて出力電圧Voutを垂下させるようになっている。
【0033】
SW制御部61は、制御回路58から供給された制御信号に基づいて、SW駆動部63を制御するものである。具体的には、SW制御部61は、SW制御信号S11〜S14の基となる制御信号を生成し、トランス62を介してSW駆動部63へ供給するようになっている。SW駆動部63は、SW制御部61からトランス62を介して供給された制御信号に基づいて、SW制御信号S11〜S14を生成し、スイッチング回路10のスイッチング素子SW11〜SW14へそれぞれ供給するものである。
【0034】
ここで、トランス20は、本開示における「トランス」の一具体例に対応する。スイッチング回路10は、本開示における「スイッチング回路」の一具体例に対応する。整流回路30および平滑回路40は、本開示における「変換回路」の一具体例に対応する。制御回路58は、本開示における「制御回路」の一具体例に対応する。デューティ比検出回路51は、本開示における「検出回路」の一具体例に対応する。ルックアップテーブル59は、本開示における「テーブル」の一具体例に対応する。
【0035】
[動作および作用]
次に、本実施の形態のスイッチング電源装置1の動作および作用について説明する。
【0036】
(全体動作概要)
まず最初に、図1を参照して、スイッチング電源装置1の動作を説明する。スイッチング回路10は、SW制御信号S11〜S14に基づいてスイッチング素子SW11〜SW14をスイッチングすることにより、電源PSから供給された直流の入力電圧Vinを交流電圧に変換し、トランス20の1次側巻線21の両端間に供給する。そしてトランス20は、この交流電圧をNs/Np倍に変圧(降圧)し、2次側巻線22A,22Bから、変圧された交流電圧を出力する。整流回路30は、この交流電圧を整流する。平滑回路40は、この整流された信号を平滑化して直流の出力電圧Voutを生成し、その出力電圧Voutを、出力端子T3,T4に接続された負荷Lに供給する。
【0037】
制御部50において、デューティ比検出回路51は、交流電圧Vacに基づいてデューティ比DRを検出する。そして、制御回路58は、出力電圧Vout、デューティ比DR、および平均入力電流Iindcに基づいて、スイッチング回路10の動作を制御する。具体的には、制御回路58は、出力電圧Vout、デューティ比DR、および平均入力電流Iindcに基づいて、負荷電流Iloadを継続して求めるとともに、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて、ルックアップテーブル59を用いて、最大負荷電流Ilimitを継続して求める。そして、制御回路58は、スイッチング電源装置1の負荷電流Iloadが、最大負荷電流Ilimitよりも低い場合には、出力電圧Voutが一定になるように、スイッチング回路10の動作を制御する。また、制御回路58は、スイッチング電源装置1の負荷電流Iloadが、最大負荷電流Ilimit以上である場合には、出力電力(=Vout×Iload)を一定に維持しつつ出力電圧Voutが垂下するように、スイッチング回路10の動作を制御する。
【0038】
(スイッチング動作について)
図3は、スイッチング電源装置1の動作を表すものであり、(A)〜(D)はSW制御信号S11〜S14の波形をそれぞれ示す。この例では、スイッチング素子SW11〜SW14は、そのゲートに印加されたSW制御信号S11〜S14が高レベルの時にオン状態となり、低レベルの時にオフ状態になるものである。
【0039】
図3に示したように、SW駆動部63は、SW制御信号S11,S14が同時に高レベルになる期間T11を有するように、SW制御信号S11,S14を生成する(図3(A),(D))。これにより、図3(E)に示したように、この期間T11(電力伝達期間P)において、入力電流Iinが、トランス20の1次側巻線21に流れ、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達される。同様に、SW駆動部63は、SW制御信号S12,S13が同時に高レベルになる期間T12を有するように、SW制御信号S12,S13を生成する(図3(B),(C))。これにより、図3(E)に示したように、この期間T12(電力伝達期間P)において、入力電流Iinが、トランス20の1次側巻線21に流れ、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達される。ここで、周期Tの時間における電力伝達期間Pの時間(T11+T12)の占める割合がデューティ比DRである。
【0040】
その際、SW駆動部63が生成するSW制御信号S11,S12は、同時に高レベルになることはなく(図3(A),(B))、同様に、SW制御信号S13,S14は、同時に高レベルになることはない(図3(C),(D))。言い換えれば、スイッチング素子SW11,SW12は、同時にオン状態になることはなく、同様に、スイッチング素子SW13,SW14は、同時にオン状態になることはない。つまり、スイッチング電源装置1では、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとが電気的に短絡しないようになっている。なお、SW制御信号S11が高レベルになる期間と、SW制御信号S12が高レベルになる期間とは、互いにデッドタイムTdだけ離れて設定されており、同様に、SW制御信号S13が高レベルになる期間と、SW制御信号S14が高レベルになる期間とは、互いにデッドタイムTdだけ離れて設定される。このデッドタイムTdは、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとが電気的に短絡するのを回避するためにとられる時間である。
【0041】
図4,5は、スイッチング電源装置1の動作を表すものであり、図4は、期間T11における動作を示し、図5は、期間T12における動作を示す。なお、これらの図では、説明の便宜上、スイッチング素子SW11〜SW14を、その動作状態(オン状態もしくはオフ状態)を表すスイッチの形状で示す。また、説明の便宜上、その説明に直接必要のない回路ブロックや素子などについては、適宜図示を省略する。
【0042】
期間T11では、スイッチング回路10のスイッチング素子SW11,SW14がオン状態になるとともに、スイッチング素子SW12,SW13がオフ状態になる(図3(A)〜(D))。これにより、スイッチング電源装置1の1次側では、図4に示したように、1次側ループ電流Ia1が、スイッチング素子SW11、トランス20の1次側巻線21、共振用インダクタLr、スイッチング素子SW14、電源PSおよび入力平滑コンデンサCinの順に流れる。そして、2次側では、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達されることにより、2次側ループ電流Ia2が、ダイオード32、トランス20の2次側巻線22A、チョークコイルLch、負荷Lおよび出力平滑コンデンサCoutの順に流れる。
【0043】
一方、期間T12では、スイッチング回路10のスイッチング素子SW12,SW13がオン状態になるとともに、スイッチング素子SW11,SW14がオフ状態になる(図3(A)〜(D))。これにより、スイッチング電源装置1の1次側では、図5に示したように、1次側ループ電流Ib1が、スイッチング素子SW13、共振用インダクタLr、トランス20の1次側巻線21、スイッチング素子SW12、電源PSおよび入力平滑コンデンサCinの順に流れる。そして、2次側では、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達されることにより、2次側ループ電流Ib2が、ダイオード31、トランス20の2次側巻線22B、チョークコイルLch、負荷Lおよび出力平滑コンデンサCoutの順に流れる。
【0044】
このように、スイッチング電源装置1では、期間T11,T12(電力伝達期間P)において、トランス20の1次側から2次側へ電力が伝達され、2次側ループ電流Ia2,Ib2が流れる。この期間T11,T12の長さは、図3に示したように、SW制御信号S11,S14間の位相差φ、およびSW制御信号S12,S13間の位相差φにより制御される。すなわち、例えば、位相差φが小さくなると、期間T11,T12(電力伝達期間P)の長さが長くなってデューティ比DRが大きくなり、2次側ループ電流Ia2,Ib2が流れる時間が長くなるため、生成される出力電圧Voutが高くなる。制御部50は、このようにして位相差φを制御することにより、出力電圧Voutを制御する。
【0045】
(垂下動作について)
制御部50の制御回路58は、スイッチング電源装置1が動作している間、出力電圧Vout、デューティ比DR、および平均入力電流Iindcを、例えば所定の時間間隔で継続してモニタする。そして、制御回路58は、出力電圧Vout、デューティ比DR、および平均入力電流Iindcに基づいて、負荷電流Iloadを継続して求めるとともに、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて、ルックアップテーブル59を用いて、最大負荷電流Ilimitを継続して求める。そして、制御回路58は、負荷電流Iloadが最大負荷電流Ilimit以上である場合に、ルックアップテーブル59を用いて出力電圧Voutを垂下させる。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0046】
図6は、スイッチング電源装置1における出力電圧特性を表すものである。図6において、横軸は負荷電流Iloadを示し、縦軸は出力電圧Voutを示す。この例では、スイッチング電源装置1は、負荷電流Iloadが最大負荷電流Ilimitよりも低い場合において、出力電圧Voutが“17V”に維持されるように構成されている。
【0047】
制御回路58は、負荷電流Iloadが十分に低い場合において、この例では、デューティ比DRが“20%”程度になるように、スイッチング回路10の動作を制御する。デューティ比検出回路51は、交流電圧Vacに基づいて、このデューティ比DRを検出する。そして、制御回路58は、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて、ルックアップテーブル59を用いて、最大負荷電流Ilimitを求める。この例では、出力電圧Voutは“17V”であり、デューティ比DRは“20%”程度であるので、制御回路58は、ルックアップテーブル59(図2)を用いて、最大負荷電流Ilimitの値“550”(任意単位の値)を得る。この例では、負荷電流Iloadは、この最大負荷電流Ilimitを下回る程度に十分に低い。このように、負荷電流Iloadが最大負荷電流Ilimitよりも低い場合には、制御回路58は、出力電圧Voutが一定になるように、スイッチング回路10の動作を制御する。
【0048】
そして、例えば、負荷電流Iloadが徐々に増えていき、負荷電流Iloadが最大負荷電流Ilimit以上になると、制御回路58は、出力電力(=Vout×Iload)を一定に維持しつつ出力電圧Voutが垂下するように、スイッチング回路10の動作を制御する。例えば、図6の例では、負荷電流Iloadが“566”(任意単位の値)になった場合には、制御回路58は、デューティ比DRが“51%”程度になるように、スイッチング回路10の動作を制御する。これにより、出力電圧Voutが“15V”になる。その際、制御回路58は、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて、最大負荷電流Ilimit(過電流点)を継続して求める。例えば、制御回路58は、負荷電流Iloadが最大負荷電流Ilimitを超えた場合には、最大負荷電流Ilimitを大きい値に変化させる。このように、制御回路58は、最大負荷電流Ilimitを変化させることにより、出力電力(=Vout×Iload)を一定に維持しつつ出力電圧Voutが垂下するように、スイッチング回路10の動作を制御する。このようにして、スイッチング電源装置1は、出力できる電力を調整する。
【0049】
このように、スイッチング電源装置1では、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて垂下動作を制御するようにしたので、構成をシンプルにすることができる。すなわち、例えば、入力電圧Vinに基づいて、過電流点のばらつきを抑えて垂下動作を制御するように構成した場合には、その入力電圧Vinについての情報を制御回路に伝えるために、トランスなどの電気的な絶縁部材が必要になってしまう。この場合には、部品数が増加してしまうため、コストが増加するとともに、この絶縁部材により、スイッチング電源装置自体のサイズが大きくなってしまうおそれがある。一方、スイッチング電源装置1では、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて垂下動作を制御するようにしたので、入力電圧Vinを検出する必要がないので、このような絶縁部材を省くことができ、構成をシンプルにすることができる。その結果、スイッチング電源装置1では、コストを削減することができ、スイッチング電源装置を小型化することができる。
【0050】
また、スイッチング電源装置1では、センタタップCTにおける交流電圧Vacに基づいてデューティ比DRを検出するようにしたので、例えばスイッチング回路10における交流電圧に基づいてデューティ比DRを検出する場合に比べ、絶縁部材を省くことができるため、構成をシンプルにすることができる。
【0051】
[効果]
以上のように本実施の形態では、出力電圧Voutおよびデューティ比DRに基づいて垂下動作を制御するようにしたので、シンプルな構成を実現することができる。
【0052】
[変形例1]
上記実施の形態では、出力電力(=Vout×Iload)を一定に維持しつつ出力電圧Voutが垂下するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、ルックアップテーブル19を変更することにより、様々な垂下特性を実現することができる。具体的には、例えば、負荷電流Iloadを一定に維持しつつ出力電圧Voutが垂下するような特性を実現することができる。
【0053】
[変形例2]
上記実施の形態では、最大負荷電流Ilimitを用いてルックアップテーブル59を構成し、負荷電流Iloadと、このルックアップテーブル59により得られた値(最大負荷電流Ilimit)に基づいてスイッチング回路10の動作を制御したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、最大負荷電流Ilimitを、入力電流に換算した値を用いてルックアップテーブル59を構成し、平均入力電流Iindcと、このルックアップテーブル59により得られた値に基づいてスイッチング回路10の動作を制御してもよい。
【0054】
[変形例3]
上記実施の形態では、デューティ比検出回路51を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図7に示すスイッチング電源装置1Cのように、デューティ比検出回路51を設けなくてもよい。このスイッチング電源装置1Cは、制御部50Cを有している。制御部50Cは、SW制御部61Cを有している。SW制御部61Cは、上記実施の形態に係るSW制御部61と同様に、制御回路58から供給された制御信号に基づいてSW駆動部63を制御するものである。また、SW制御部61Cは、制御回路58から供給された制御信号に基づいて、デューティ比DRを求める機能をも有している。すなわち、SW制御部61Cは、SW制御信号S11〜S14の基となる制御信号を生成しSW駆動部63は、この制御信号に基づいてSW制御信号S11〜S14(図3)を生成するので、SW制御部61Cは、デューティ比DRを求めることができる。
【0055】
[変形例4]
上記実施の形態では、整流回路30はダイオードにより整流を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、いわゆる同期整流を行うものであってもよい。以下にその詳細を説明する。
【0056】
図8は、同期整流を行うスイッチング電源装置1Dの一構成例を表すものである。スイッチング電源装置1Dは、整流回路30Dと、制御部50Dとを備えている。
【0057】
整流回路30Dは、トランス20から供給される交流電圧を整流する整流回路として機能するものである。この整流回路30Dは、スイッチング素子SW21,SW22を有している。スイッチング素子SW21,SW22は、スイッチング回路10のスイッチング素子SW11〜SW14と同様に、例えば、MOS−FETやIGBTなどの素子が使用可能である。この例では、スイッチング素子SW21,SW22は、NチャネルのMOS−FETにより構成されている。スイッチング素子SW21のゲートにはSW制御信号S21(後述)が供給され、ソースが2次側低圧ラインL2Lに接続され、ドレインがトランス20の2次側巻線22Bの一端に接続されている。また、スイッチング素子SW22のゲートにはSW制御信号S22(後述)が供給され、ソースが2次側低圧ラインL2Lに接続され、ドレインがトランス20の2次側巻線22Aの一端に接続されている。
【0058】
制御部50Dは、SW制御部61Dと、SW駆動部64Dとを有している。SW制御部61Dは、SW制御信号S11〜S14の基となる制御信号を生成し、トランス62を介してSW駆動部63へ供給するとともに、SW制御信号S21,S22の基となる制御信号を生成し、SW駆動部64Dへ供給するものである。SW駆動部64Dは、SW制御部61Dからの指示に基づいてSW制御信号S21,S22を生成して、スイッチング素子SW21,SW22に対して供給するものである。SW制御信号S21は、例えば、図3において、期間T12において高レベルとなり、他の期間において低レベルとなる信号である。また、SW制御信号S22は、例えば、図3において、期間T11において高レベルとなり、他の期間において低レベルとなる信号である。
【0059】
このような構成でも、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0060】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0061】
例えば、上記実施の形態では、スイッチング回路10は、フルブリッジ構成としたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばハーフブリッジ構成やプッシュプル構成などにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1C,1D…スイッチング電源装置、8…電流検出回路、8A…カレントトランス、9…電圧検出回路、10…スイッチング回路、20…トランス、21…1次側巻線、22A,22B…2次側巻線、30,30D…整流回路、31,32…ダイオード、40…平滑回路、50,50C,50D…制御部、52,56…バッファ、R53,R57…抵抗器、55…平滑回路、58…制御回路、59…ルックアップテーブル、61,61C,61D…SW制御部、62…トランス、63…SW駆動部、64D…SW駆動部、Cin…入力平滑コンデンサ、Cout…出力平滑コンデンサ、CT…センタタップ、DR…デューティ比、Ia1,Ib1…1次側ループ電流、Ia2,Ib2…2次側ループ電流、Iin…入力電流、Iindc…平均入力電流、Ilimit…最大負荷電流、Iload…負荷電流、L…負荷、Lch…チョークコイル、P…電力伝達期間、PS…電源、SW11〜SW14,SW21,SW22…スイッチング素子、S11〜S14,S21,S22…SW制御信号、T…周期、Td…デッドタイム、T1,T2…入力端子、T3,T4…出力端子、T11,T12…期間、Vin…入力電圧、Vout…出力電圧、φ…位相差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8