特開2017-192482(P2017-192482A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-192482(P2017-192482A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】昇降棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 51/00 20060101AFI20170929BHJP
   A47B 77/04 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
   A47B51/00 501B
   A47B51/00 501G
   A47B77/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-83492(P2016-83492)
(22)【出願日】2016年4月19日
(71)【出願人】
【識別番号】390013321
【氏名又は名称】株式会社ダイドー
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】山田 和義
【テーマコード(参考)】
3B060
【Fターム(参考)】
3B060EA02
(57)【要約】
【課題】簡素な構造としながらも、棚部材を前後方向に大きく移動させずに収納状態と降下完了状態とに切換え可能な昇降棚を提供する。
【解決手段】下方開口状のケーシング6の左右両側夫々に後方下傾状に設けられた傾斜状レール5,5と、傾斜状レール5に沿って傾斜往復移動自在なスライド部材3と、スライド部材3と棚部材1とを連結する平行リンク部材2と、左右各側壁部61,61側に枢着されると共に平行リンク部材2を構成する第1リンク部材21及び第2リンク部材22の一方に枢着され上記スライド部材3の斜め後下方への移動に伴って平行リンク部材2を下方へ揺動させる規制連動アーム部材7と、を備え、スライド部材3の傾斜往復移動と平行リンク部材2の上下揺動によって、棚部材1が昇降するように構成した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方開口状のケーシング(6)の左右両側夫々に後方下傾状に設けられた傾斜状レール(5)(5)と、該傾斜状レール(5)に沿って傾斜往復移動自在なスライド部材(3)と、該スライド部材(3)と棚部材(1)とを連結する平行リンク部材(2)と、上記左右各側壁部(61)(61)側に枢着されると共に上記平行リンク部材(2)を構成する第1リンク部材(21)及び第2リンク部材(22)の一方に枢着され上記スライド部材(3)の斜め後下方への移動に伴って上記平行リンク部材(2)を下方へ揺動させる規制連動アーム部材(7)と、を備え、
上記スライド部材(3)の傾斜往復移動と上記平行リンク部材(2)の上下揺動によって、上記棚部材(1)が昇降するように構成したことを特徴とする昇降棚。
【請求項2】
上記平行リンク部材(2)の上下揺動途中状態において上記平行リンク部材(2)を上方へ押し上げる方向に上記規制連動アーム部材(7)を弾発付勢するための弾発付勢部材(80)を備えた請求項1記載の昇降棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納物を載置するための棚部材と、棚部材を収容するためのケーシングと、を備え、ケーシングの側壁部に平行リンク部材の一端部を枢着すると共に、棚部材に平行リンク部材の他端部を枢着したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−286131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の昇降棚は、収納状態の棚部材を引き出すと、棚部材が収納位置から前方に膨出する円弧状の軌跡を描きつつ、前方(使用者側)へ大きく引き出されて、棚降下完了状態となる。従って、調理台や流し台の上方位置にケーシングを固設した場合に、棚降下完了状態のままでは棚部材が邪魔となって、調理台や流し台を使用することが困難という問題があった。また、棚部材は、円弧状の軌跡を描きつつ、前後方向に大きく移動するため、前後方向の慣性力によって収納物が倒れる虞や落下する虞があり危険であった。
【0005】
そこで、本発明は、簡素な構造としながらも、棚部材を前後方向に大きく移動させずに棚収納状態と棚降下完了状態とに切換え可能な昇降棚の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の昇降棚は、下方開口状のケーシングの左右両側夫々に後方下傾状に設けられた傾斜状レールと、該傾斜状レールに沿って傾斜往復移動自在なスライド部材と、該スライド部材と棚部材とを連結する平行リンク部材と、上記左右各側壁部側に枢着されると共に上記平行リンク部材を構成する第1リンク部材及び第2リンク部材の一方に枢着され上記スライド部材の斜め後下方への移動に伴って上記平行リンク部材を下方へ揺動させる規制連動アーム部材と、を備え、上記スライド部材の傾斜往復移動と上記平行リンク部材の上下揺動によって、上記棚部材が昇降するように構成したものである。
また、上記平行リンク部材の上下揺動途中状態において上記平行リンク部材を上方へ押し上げる方向に上記規制連動アーム部材を弾発付勢するための弾発付勢部材を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、棚部材を前後方向にほとんど移動させることなく、昇降させることができる。従って、棚降下完了状態であっても、流し台や調理台を使用できる。棚収納状態と棚降下完了状態と切り換える際に棚部材が前後方向に大きく移動せず、収納物が倒れにくくなって安全に使用できる。構造を簡素にでき、コンパクト化が図れる。平行リンク部材の長さ寸法よりも長く棚部材を下方へ引き出すことができて、低い位置で収納物の載置や取り出しが容易となり、使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態を示す斜視図である。
図2】棚収納状態の要部断面側面図である。
図3】棚昇降途中状態の要部断面側面図である。
図4】棚昇降途中状態の要部断面側面図である。
図5】棚降下完了状態の要部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る昇降棚は、図1乃至図5に示すように、前壁部60と左右各側壁部61,61とを有する下方開口状のケーシング(固定筐体)6と、ケーシング6の左右両側夫々(左右各側壁部61,61側)に後方下傾状に設けられた傾斜状レール5,5と、各傾斜状レール5,5に沿って傾斜往復移動自在な左右一対のスライド部材3,3と、一対のスライド部材3,3と棚部材1の左右両側(左右側縁部11,11)とを夫々連結する左右一対の平行リンク部材2,2と、を備えている。
【0010】
ケーシング(キャビネット)6は、平面視矩形状であって、図示省略の流し台や調理台の上方位置の壁面や柱等の固設部に固着されている。
棚部材1は、平面視矩形状であって、左右側縁部(左右側壁部)11,11の前方突出部を左右方向に連結する棒状の取手部10と、収納物Kが載置される水平面状の載置部16と、載置部16の下方位置に配設される水受けトレー17と、を有している。なお、載置部16は、図示のような平面板状に限らず、柵状(メッシュ状)やパンチングメタル等の孔開き板材、等自由である。
【0011】
傾斜状レール5は、ケーシング6の側壁部61に、水平面Z(図3参照)に対して所定傾斜角度θをもって固着されている。所定傾斜角度θは、10度以上45度以下、好ましくは15度以上30度以下に設定する。下限値未満であると、スライド部材3の上下移動量が小さくなる。上限値を超えると、スライド部材3の前後移動量が小さくなると共にケーシング6の上下寸法が長くなる。
【0012】
スライド部材3は、傾斜状レール5に沿って傾斜往復移動自在(後方下傾方向に移動可能かつ前方上傾方向に移動可能)な走行部材31と、走行部材31に垂下状に固着される取付部材32と、を備えている。
スライド部材3は、図2に示す棚部材1の収納状態においては、側面視で、ケーシング6内で、傾斜状レール5に沿った所定の斜め前上方位置に配設され、図5に示す棚降下完了状態においては、傾斜状レール5に沿った所定の斜め後下方位置に配設される。
【0013】
平行リンク部材2は、第1リンク部材21と第2リンク部材22から成る。
第1リンク部材21の一端部21aと第2リンク部材22の一端部22aとはスライド部材3の取付部材32に左右水平状枢着軸心をもって枢着している。
第1リンク部材21の他端部21bと第2リンク部材22の他端部22bとは棚部材1の側縁部11に左右水平状枢着軸心をもって枢着している。
なお、第1リンク部材21の一端部21a及び第2リンク部材22の一端部22aを、平行リンク部材2の一端部2aと呼び、第1リンク部材21の他端部21b及び第2リンク部材22の他端部22bを、平行リンク部材2の他端部2bと呼ぶ場合がある。
【0014】
そして、平行リンク部材2の各枢着点は、側面視で平行四辺形の頂点位置に配設されている。図例においては第1リンク部材21の一端部21aとスライド部材3との枢着点(スライド枢着点)P1は、第2リンク部材22の一端部22aとスライド部材3の枢着点P2よりも後方かつ上方位置に配設している。
【0015】
さらに、第1リンク部材21のリンク中間部21dにアーム先端部7bが枢着されると共に、側壁部61側にアーム基端部7aが枢着された規制連動アーム部材7を備えている。
アーム基端部7aは側壁部61に(取着補助部材を介して)枢着し、側面視で、その枢着点(アーム揺動中心点)Paは、傾斜状レール5の後部の上方位置に配設している。
【0016】
規制揺動アーム部材7と第1リンク部材21との枢着点(アーム先端枢着点)Pbは、スライド枢着点P1寄りに配設し、図2の棚収納状態においては、スライド枢着点P1よりも後方位置に配設されると共にスライド枢着点P1よりも上下略同位置(又は僅かに下方位置)に配設している。図5の棚降下完了状態においては、スライド枢着点P1よりも下方かつ後方位置に配設している。
【0017】
したがって、規制連動アーム部材7のアーム先端部7b(アーム先端枢着点Pb)は、側面視で、アーム揺動中心点Pa廻りに、前下方へ膨出する円弧状の軌跡を描くように揺動し、スライド部材3の斜め後下方への移動に伴って第1リンク部材21の他端部21bをスライド枢着点P1廻りに(平行リンク部材2の他端部2bを枢着点P1,P2廻りに)下方へ揺動させる。
【0018】
さらに、平行リンク部材2の上下揺動途中状態(棚昇降途中状態)において平行リンク部材2の他端部2bを上方へ押し上げる方向(図3の矢印D)に規制連動アーム部材7を弾発付勢するための弾発付勢部材80と、弾発付勢部材80の弾発力を規制連動アーム部材7に伝達するための伝達リンク機構部8と、をケーシング6の側壁部61側に設けている。
【0019】
弾発付勢部材80は、渦巻きバネであって、ケーシング6の側壁部61に(取着補助部材を介して)取着している。
伝達リンク機構部8は、側壁部61に(取着補助部材を介して)取着され弾発付勢部材80からの弾発力を(直接的に)受けると共に先端部81bが上下に揺動可能な伝達部材81と、伝達部材81の先端部81bとアーム基端部7aとを連結するL字状の連結リンク部材82と、を備えている。
【0020】
側面視で、伝達部材81の先端部81bと連結リンク部材82の一端部82eとの接続枢着点Peを、アーム揺動中心点Paよりも前方かつ下方位置に配設している。
また、アーム基端部7aと連結リンク部材82の他端部82fとの連結枢着点Pfを、アーム揺動中心点Paよりも後方位置に配設している。そして、図3に示すように、平行リンク部材2の上下揺動途中状態において、伝達部材81は、弾発付勢部材80によって先端部81bが前方かつ下方へ揺動しようとする方向(矢印F方向)の力を受け、連結リンク部材82は、伝達部材81から受けた力によってアーム基端部7aにおいてアーム揺動中心点Paよりも後方側を下方(矢印E方向)へ揺動するように引っ張り、規制連動アーム部材7は、アーム揺動中心点Paを支点としたシーソー状に揺動して、アーム先端部7bに上方へ揺動しようとする(矢印D方向の)力を発生させて、平行リンク部材2の他端部2bを上方へ押し上げる力が付与されるように構成している。
【0021】
次に、本発明の昇降棚の使用方法(作用)について説明する。
図2に示すように、棚収納状態においては、弾発付勢部材80の弾発付勢力(規制連動アーム部材7による吊り持ち)によって棚部材1の自重や収納物Kの荷重による降下が阻止されている。また、棚部材1の上昇、平行リンク部材2の他端部2bの上方揺動、スライド部材3の斜め上昇走行、アーム先端部7aの上方揺動、の少なくとも1つを、図示省略の上昇ストッパ部で阻止している。従って、棚部材1及び平行リンク部材2は水平状姿勢に保持され、スライド部材3は所定の斜め前上方位置に配設される。
【0022】
棚部材1の取手部10を、使用者が把持して、弾発付勢力よりも大きな所定操作力をもって下方へ引っ張ると、図3乃至図4に示すように、スライド部材3が斜め前上方位置から斜め後下方へスライド移動(走行)すると共に、平行リンク部材2の他端部2bが下方へ揺動し、棚部材1が水平状姿勢を保持したままスムーズに降下する。
規制連動アーム部材7によって、スライド部材3の斜め後下方への移動に伴って平行リンク部材2が下方へ揺動(連動)する。つまり、平行リンク部材2は、一端部2aが後方かつ下方(斜め後下方)に移動しつつ、他端部2bが下方へ揺動して、棚部材1を降下させる。
【0023】
そして、図5に示すように、棚部材1が所定の降下完了位置まで降下すると、側面視で接続枢着点Peとアーム揺動中心点Paとを結ぶ一直線J上に連結枢着点Pfが配設され(デッドポイントに配設され)、又は、連結枢着点Pfが一直線Jよりも僅かに上方位置に配設されて、弾発付勢部材80の弾発力が規制連動アーム部材7に作用しないように構成している。従って、棚部材1が所定降下完了位置に配設された状態で、棚部材1の降下、平行リンク部材2の揺動、スライド部材3の斜め降下走行、規制連動アーム部材7の下方への揺動、の少なくとも1つを、図示省略の降下ストッパ部で阻止することで、棚部材1は、自重によって、降下完了位置(姿勢)で保持される。
【0024】
このように、スライド部材3が斜め後下方へ移動(斜め降下走行)することで、平行リンク部材2の一端部2aは、棚収納状態の位置と比較して、スライド部材3の後方移動量(前後移動量)L及び下方移動量(上下移動量)Sをもって、後方かつ下方へ配設されたことになる。
【0025】
つまり、平行リンク部材2の下方揺動による棚部材1の前方移動量から、スライド部材3による後方移動量Lが、減算されながら(相殺しながら)、棚部材1は降下することとなり、ケーシング6の略真下に配設される。
従って、図5に二点鎖線で示すように、スライド部材3を設けずに(スライド部材3が移動せずに)平行リンク部材2が下方へ揺動した参考例を示す二点鎖線の場合と比べて、棚部材1が後方移動量Lの分だけ後方位置に配設される。
【0026】
また、平行リンク部材2の下端部2bが下方揺動によって降下した移動量に、スライド部材3による下方移動量(降下量)Sが加算されつつ(増幅しつつ)、棚部材1が降下する。従って、参考例の場合と比べて、棚部材1が下方移動量Sの分だけ下方位置に配設される。
【0027】
そして、棚降下完了状態から、取手部10を使用者が把持して棚部材1を上昇させようと操作すれば、平行リンク部材2の他端部2bが上昇揺動を開始すると共にスライド部材3が斜め上昇走行を開始する、この上昇開始に伴ってアーム先端部7bが僅かに上昇すれば、図4に示すように連結枢着点Pfが一直線Jよりも下方位置に配設され(デッドポイントから外れて)、規制連動アーム部材7に弾発付勢部材80の弾発力が作用して、アーム先端部7bを上昇へ移動させようとする。したがって、使用者が受ける収納物Kや棚部材1等の荷重が軽減され、棚部材1を容易に上昇させることが可能となる。言い換えると、弾発付勢部材80と伝達リンク機構部8と規制連動アーム部材7によって、棚部材1を上昇させるための操作力を軽減する上昇負荷軽減手段(上昇アシスト手段)を構成している。また、規制連動アーム部材7によって、スライド部材3の斜め前上方への移動に伴うように平行リンク部材2が上方へ揺動し(連動し)、棚部材1はスムーズに上昇する。
【0028】
また、左右一方のアーム基端部7aと左右他方のアーム基端部7aとを左右方向に連結する棒状のアーム連結部材79を備えている。
アーム連結部材79によって左右一対の規制連動アーム部材7,7の動作が同期し、左右で相違することなく揺動可能としている。
また、左右一方のスライド部材3と左右他方のスライド部材3とを左右方向に連結する棒状のスライド連結部材39を備えている。スライド連結部材39によって、左右一対のスライド部材3,3が同期して走行(同速度で移動)し、左右で走行量が相違せず、スムーズな往復移動を可能としている。
【0029】
なお、本発明は、設計変更可能であって、傾斜状レール5と走行部材31のスライド構造は、傾斜状レール5と走行部材31の間に複数の球体が介装された構造や、走行部材31に設けた車輪が傾斜状レール5に沿って転動する構造、リニアガイド構造等自由である。ケーシング6は、天板を設けたり、後壁部を省略しても良い。弾発付勢部材80をコイルバネとするも良い。アーム先端部7bを第2リンク部材22に枢着しても良い。ケーシング6は枠形状であっても良い。
【0030】
また、本発明において、ケーシング6の左右両側夫々に設ける(枢着や取着、固着)とは、ケーシング6の左右両側に配設されていればよく、側壁部61に直接的又は取着補助部材(ケーシング固定部)を介して間接的に取着した場合や、前壁部60や後壁部62の左右側縁部寄りに直接的又は間接的に取着した場合を、含む。つまり、傾斜状レール5、弾発付勢部材80、規制連動アーム部材7、伝達リンク機構部8を、側壁部61に直接的又は間接的に取着した場合に限らず、傾斜状レール5の前端部を前壁部60に固着すると共に後端部を後壁部62に固着して側壁部61近傍(寄り)に設けた場合や、後壁部62又は前壁部60の左右側縁部からケーシング内方へ突設した取着補助部材(ケーシング固定部)に、弾発付勢部材80や規制連動アーム部材7、伝達リンク機構部8等を取着して、側壁部61近傍(寄り)に設けた場合を含む。
なお、本発明に於て、平行リンク部材2の「平行リンク」とは、側面視で各枢着点が非平行四辺形の矩形の頂点位置に配設される変形平行リンクの場合を含む。
【0031】
以上のように、本発明の昇降棚は、下方開口状のケーシング6の左右両側夫々に後方下傾状に設けられた傾斜状レール5,5と、傾斜状レール5に沿って傾斜往復移動自在なスライド部材3と、スライド部材3と棚部材1とを連結する平行リンク部材2と、左右各側壁部61,61側に枢着されると共に平行リンク部材2を構成する第1リンク部材21及び第2リンク部材22の一方に枢着されスライド部材3の斜め後下方への移動に伴って平行リンク部材2を下方へ揺動させる規制連動アーム部材7と、を備え、スライド部材3の傾斜往復移動と平行リンク部材2の上下揺動によって、棚部材1が昇降するように構成したので、棚部材1を前後方向に大きく移動させることなく、昇降させることができる。従って、棚降下完了状態であっても、流し台や調理台を使用できる。棚収納状態と棚降下完了状態と切り換える際に棚部材1が前後方向に大きく移動せず、収納物Kが倒れにくくなって安全に使用できる。構造を簡素にでき、コンパクト化が図れる。平行リンク部材2の長さ寸法よりも長く棚部材1を下方へ引き出すことができて、収納物の載置や取り出しが容易となり、使い勝手を向上できる。棚部材1を略真下に降下可能かつ略真上に上昇可能としながら、ケーシング6の上下寸法を小さくできる。
【0032】
また、平行リンク部材2の上下揺動途中状態において平行リンク部材2を上方へ押し上げる方向に規制連動アーム部材7を弾発付勢するための弾発付勢部材80を備えたので、収納物Kや棚部材1の荷重が軽減され、棚部材1を容易に上昇させることが可能となる。棚部材1の急激な降下も防止でき安全に降下させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 棚部材
2 平行リンク部材
3 スライド部材
5 傾斜状レール
6 ケーシング
7 規制連動アーム部材
21 第1リンク部材
22 第2リンク部材
80 弾発付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5