特開2017-192573(P2017-192573A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-192573(P2017-192573A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】ミシンの糸調子装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 47/02 20060101AFI20170929BHJP
【FI】
   D05B47/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-84875(P2016-84875)
(22)【出願日】2016年4月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】今井 力
(72)【発明者】
【氏名】日塔 隆
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CB03
3B150CD01
3B150CE23
3B150FD02
3B150FD15
(57)【要約】
【課題】ミシンの高速回転時における糸調子皿の振動を防止して糸張力が緩む問題を解消する。
【解決手段】ミシンの糸を挟持する一対の糸調子皿と、その一対の糸調子皿1・2の一方を他方に押し付けて糸に付与する張力を可変とする駆動装置とを備える糸調子装置において、前記一対の糸調子皿1・2の外側に皿押さえ11・12をそれぞれ配置し、前記一方の糸調子皿1の外側に配置した第一皿押さえ11に、前記一方の糸調子皿1の外側面に対し円周方向等間隔に三点で当接する突起11aを設ける。そして、前記他方の糸調子皿2とその外側に配置した第二皿押さえ12との間に弾性部材13を配置する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に軸孔を有し、ミシンの糸を挟持する一対の糸調子皿と、
その一対の糸調子皿の一方を他方に押し付けて糸に付与する張力を可変とする駆動装置とを備える糸調子装置において、
前記一対の糸調子皿の外側には中心部に軸孔を有する第一皿押さえと第二皿押さえをそれぞれ配置し、
前記一方の糸調子皿の外側に配置した前記第一皿押さえに、前記一方の糸調子皿の外側面に対し円周方向等間隔に三点で当接する突起を設けて、
前記他方の糸調子皿とその外側に配置した前記第二皿押さえとの間に弾性部材を配置したことを特徴とするミシンの糸調子装置。
【請求項2】
一端側から他端側にかけて軸心に挿通穴を設け、他端側に軸心に沿って直径方向に貫通するスリットを有し、前記スリットは前記挿通穴と連通し、前記一対の糸調子皿及び前記第一皿押さえと第二皿押さえを軸心に沿って移動可能に支持する糸調子軸と、
前記糸調子軸の前記挿通穴に前記軸心に沿って移動可能に挿入された押圧軸と、
を備え、
前記第一皿押さえの軸孔は中央リブによって一対の孔部に区切られ、
前記駆動機構の駆動によって前記押圧軸を前記第一皿押さえの中央リブに当接させ、前記一方の糸調子皿を前記他方の糸調子皿に向けて押し付けることを特徴とする請求項1に記載のミシンの糸調子装置。
【請求項3】
前記糸調子軸の前記一端側に組み付けられた糸調子台と、
前記糸調子軸の前記他端側に組み付けられ、前記一対の糸調子皿の移動を規制する保護カバーと、
を備え、
前記第一皿押さえは、前記一方の糸調子皿と前記糸調子台の間に配置され、
前記第二皿押さえは、前記他方の糸調子皿と前記保護カバーの間に配置されることを特徴とする請求項2に記載のミシンの糸調子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの糸に張力を付与する糸調子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンの糸を挟持する一対の糸調子皿と、その一対の糸調子皿の一方を他方に押し付けて糸に付与する張力を可変とする駆動装置(電磁ソレノイド)とを備える糸調子装置は公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3836362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の糸調子装置は、ミシンの高速回転時において、ミシンフレームの振動が伝わって糸調子皿が振動し、糸張力が緩む問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ミシンの高速回転時における糸調子皿の振動を防止して糸張力が緩む問題を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
中心部に軸孔を有し、ミシンの糸を挟持する一対の糸調子皿と、その一対の糸調子皿の一方を他方に押し付けて糸に付与する張力を可変とする駆動装置とを備える糸調子装置において、
前記一対の糸調子皿の外側には中心部に軸孔を有する第一皿押さえと第二皿押さえをそれぞれ配置し、
前記一方の糸調子皿の外側に配置した前記第一皿押さえに、前記一方の糸調子皿の外側面に対し円周方向等間隔に三点で当接する突起を設けて、
前記他方の糸調子皿とその外側に配置した前記第二皿押さえとの間に弾性部材を配置したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のミシンの糸調子装置であって、
一端側から他端側にかけて軸心に挿通穴を設け、他端側に軸心に沿って直径方向に貫通するスリットを有し、前記スリットは前記挿通穴と連通し、前記一対の糸調子皿及び前記第一皿押さえと第二皿押さえを軸心に沿って移動可能に支持する糸調子軸と、
前記糸調子軸の前記挿通穴に前記軸心に沿って移動可能に挿入された押圧軸と、を備え、
前記第一皿押さえの軸孔は中央リブによって一対の孔部に区切られ、
前記駆動機構の駆動によって前記押圧軸を前記第一皿押さえの中央リブに当接させ、前記一方の糸調子皿を前記他方の糸調子皿に向けて押し付けることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載のミシンの糸調子装置であって、
前記糸調子軸の前記一端側に組み付けられた糸調子台と、
前記糸調子軸の前記他端側に組み付けられ、前記一対の糸調子皿の移動を規制する保護カバーと、を備え、
前記第一皿押さえは、前記一方の糸調子皿と前記糸調子台の間に配置され、
前記第二皿押さえは、前記他方の糸調子皿と前記保護カバーの間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ミシンの高速回転時における糸調子皿の振動を防止して糸張力が緩む問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用した糸調子装置の一実施形態の外観を示す側面図である。
図2図1の糸調子装置の左側のケース内を透視状態で示した図である。
図3図1の糸調子装置の右側の糸調子皿を取り除いて弾性部材を示した斜視図である。
図4図1の糸調子装置の分解斜視図である。
図5図4の分解部品を左側から見た図である。
図6図1の糸調子装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1から図3は本発明を適用した糸調子装置の一実施形態の外観、その左側のケース内を透視状態、及び右側の糸調子皿を取り除いて弾性部材をそれぞれ示したもの、図4及び図5は構成部品を分解して左右からそれぞれ示したもの、図6は拡大断面を示したものである。
図中、1・2は糸調子皿、3は糸調子軸、4は押圧軸、5は糸取りばね、6は糸調子台、7は保護カバー、8は挿入部材、11は第一皿押さえ、12は第二皿押さえ、13は弾性部材である。
【0012】
糸調子装置は、図示のように、中心部に軸孔1a・2aを有した一対の糸調子皿1・2と、その一対の糸調子皿1・2を貫通して支持する糸調子軸3と、その糸調子軸3を貫通して左側の糸調子皿1を押す押圧軸4と、糸調子軸3の外側に配置されるねじりコイルばねによる糸取りばね5と、その糸取りばね5を覆う糸調子台6と、を備える。また、糸調子台6はミシンフレームに固定されている。
さらに、左側の糸調子皿1の外側と糸調子台6の間に配置した第一皿押さえ11と、右側の糸調子皿2の外側と保護カバー7の間に配置した第二皿押さえ12と、その第二皿押さえ12と右側の糸調子皿2との間の弾性部材13と、その保護カバー7内及び糸調子軸3に挿入される挿入部材8と、を備える。保護カバー7は右側の第二皿押さえ12の外側面に当接する。また、第一皿押さえ11と第二皿押さえ12の中心部には軸孔が設けられており、軸孔は中央リブ11b・12bによって一対の孔部に区切られている。
【0013】
一対の糸調子皿1・2を貫通して支持する糸調子軸3は、軸心に挿通穴3cと、中間部の軸線方向に沿った溝3aと、略右半部に軸線方向に沿って直径方向に貫通するスリット3bを有しており、挿通穴3cとスリット3bは連通している。スリット3bは第一皿押さえ11と第二皿押さえ12の軸孔を貫通して支持している。そして、挿通穴3c内にピン形状の押圧軸4がスライド可能に挿入されている。この押圧軸4が相通穴3c内を移動してスリット3b側に突出して、第一皿押さえ11のスリット3b内に位置する中央リブ11bに当接する。
【0014】
糸取りばね5は、そのねじりコイルばねの一端部に糸掛け部5aを有し、他端部が糸調子軸3の溝3aに挿入されて、糸調子軸3の左側上に組み付けた糸調子台6で覆われる。この糸調子台6は、右側の開放端周囲が第一皿押さえ11の外側面に当接となっている。
【0015】
そして、第一皿押さえ11には、左側の糸調子皿1の外側面に対し円周方向等間隔に三点で当接する突起11aが一体に形成されている。
【0016】
また、右側の糸調子皿2とその外側の第二皿押さえ12との間にゴムによる弾性部材13が配置されている。
さらに、第二皿押さえ12の外側面に、糸調子軸3の右半部上に組み付けられた保護カバー7の左端部周囲が当接して、その保護カバー7の右端部側から挿入部材8が保護カバー7内に挿入され、さらに挿入部材8は糸調子軸3のスリット3b内に挿入される。
【0017】
なお、左側の糸調子皿1を右側の糸調子皿2に押し付けて糸に付与する張力を可変とする駆動装置として図示しない電磁ソレノイドが備えられ、そのソレノイドをオンにして押圧軸4を右側に押すことにより、図6の状態から、第一皿押さえ11を経て左側の糸調子皿1を右側の糸調子皿2に押し付けて、糸張力を調整する。
また、ソレノイドをオフにすると、押圧軸4は図示しない戻しばねの付勢により左側の初期位置に戻る(図6参照)。
【0018】
以上のように、第一皿押さえ11に一体に形成した突起11aが、左側の糸調子皿1の外側面に対し円周方向等間隔に三点で当接することにより、押圧力を三点に集中することができる。
一方、従来の皿押さえは、糸調子皿1を平坦な面で押しているので、押圧力が分散される。
本実施形態は、三点の突起11aに押圧力を集中するので、振動が加わった場合でも糸調子皿1と第一皿押さえ11との接触状態を維持することができ、従来の皿押さえに比べて、糸調子皿1を安定的に押すことができる。
【0019】
そして、右側の糸調子皿2と、保護カバー7で外側面が固定された第二皿押さえ12との間に配置した弾性部材13により、右側の糸調子皿2を弾性的に支持することができる。
従って、ミシンの高速回転時において、糸調子皿1・2の振動を防止して糸張力が緩む問題を解消することができる。
【0020】
以上、実施形態の糸調子装置によれば、左側の糸調子皿1の外側に配置した第一皿押さえ11に、左側の糸調子皿1の外側面に対し円周方向等間隔に三点で当接する突起11aを設けたので、糸調子皿を平坦面で押す従来の皿押さえよりも糸調子皿1を安定的に押すことができ、さらに、右側の糸調子皿2とその外側の第二皿押さえ12との間に弾性部材13を配置したので、ミシンの高速回転時における糸調子皿1・2の振動を防止して糸張力が緩む問題を解消することができる。
【0021】
(変形例)
以上の実施形態の他、皿押さえ及び突起の形状、弾性部材の形状は任意であり、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1 糸調子皿
2 糸調子皿
3 糸調子軸
4 押圧軸
5 糸取りばね
6 糸調子台
7 保護カバー
8 挿入部材
11 第一皿押さえ
11a 突起
11b 中央リブ
12 第二皿押さえ
13 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6