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特開2017-192621放射線画像撮影装置、および放射線画像撮影方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-192621(P2017-192621A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】放射線画像撮影装置、および放射線画像撮影方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20170929BHJP
【FI】
   A61B6/00 300X
   A61B6/00 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-85830(P2016-85830)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】東芝電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】小高 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA04
4C093CA08
4C093CA15
4C093CA39
4C093EB13
4C093EB17
4C093EC33
4C093FA03
4C093FA15
4C093FA22
4C093FA42
4C093FA54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数回の撮影を行う際に撮影間隔を短くすることができる放射線画像撮影装置、および放射線画像撮影方法を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置は、放射線発生器と、前記放射線発生器から照射され、被検体を透過した前記放射線を検出する第1の放射線検出器と、第2の放射線検出器と、前記第1の放射線検出器を前記被検体の長手方向に移動させる第1の移動部と、前記第2の放射線検出器を前記被検体の長手方向に移動させる第2の移動部と、前記第1の放射線検出器、および前記第2の放射線検出器により検出された前記放射線の強度分布に基づいて放射線画像信号を作成する画像構成部と、前記第1の移動部、および前記第2の移動部を制御する制御部と、を備えている。前記被検体の長手方向と直交する方向における前記第2の放射線検出器と前記被検体との間の距離は、前記第1の放射線検出器と前記被検体との間の距離よりも短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を発生させる放射線発生器と、
前記放射線発生器から照射され、被検体を透過した前記放射線を検出する第1の放射線検出器と、
前記放射線発生器から照射され、前記被検体を透過した前記放射線を検出する第2の放射線検出器と、
前記第1の放射線検出器を前記被検体の長手方向に移動させる第1の移動部と、
前記第2の放射線検出器を前記被検体の長手方向に移動させる第2の移動部と、
前記第1の放射線検出器、および前記第2の放射線検出器により検出された前記放射線の強度分布に基づいて放射線画像信号を作成する画像構成部と、
前記第1の移動部、および前記第2の移動部を制御する制御部と、
を備え、
前記被検体の長手方向と直交する方向における前記第2の放射線検出器と前記被検体との間の距離は、前記第1の放射線検出器と前記被検体との間の距離よりも短い放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の移動部を制御して、前記第2の放射線検出器が前記放射線を検出している間に、前記第1の放射線検出器を移動させる請求項1記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記放射線の検出回数が3回以下の場合には、前記第1の放射線検出器と、前記第2の放射線検出器とが交互に前記放射線を検出する請求項1または2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の移動部を制御して、前記被検体の長手方向と直交する方向からみて、第1回目の前記放射線の検出が行われた際の前記第1の放射線検出器の有効画素領域の一部と、第2回目の前記放射線の検出が行われる位置に配置された前記第2の放射線検出器の有効画素領域の一部とが所定の距離だけ重なるようにする請求項1〜3のいずれか1つに記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の移動部を制御して、前記被検体の長手方向と直交する方向から見て、第2回目の前記放射線の検出が行われた際の前記第2の放射線検出器の有効画素領域の一部と、第3回目の前記放射線の検出が行われる位置に配置された前記第1の放射線検出器の有効画素領域の一部とが所定の距離だけ重なるようにする請求項1〜4のいずれか1つに記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
第1の放射線検出器により被検体を透過した放射線を検出し、第1の放射線画像信号を作成する第1の工程と、
前記被検体の長手方向において、前記第1の放射線検出器とは異なる位置に配置された第2の放射線検出器により前記被検体を透過した放射線を検出し、第2の放射線画像信号を作成する第2の工程と、
前記第1の放射線画像信号と、前記第2の放射線画像信号と、をつなぎ合わせる工程と、
を備え、
前記被検体の長手方向と直交する方向における前記第2の放射線検出器と前記被検体との間の距離は、前記第1の放射線検出器と前記被検体との間の距離よりも短い放射線画像撮影方法。
【請求項7】
前記第2の放射線検出器が前記放射線を検出している間に、前記第1の放射線検出器を移動させる工程をさらに備えた請求項6記載の放射線画像撮影方法。
【請求項8】
前記放射線の検出回数が3回以下の場合には、前記第1の工程と、前記第2の工程と、が交互に行われる請求項6または7に記載の放射線画像撮影方法。
【請求項9】
前記被検体の長手方向と直交する方向からみて、前記第1の工程における前記第1の放射線検出器の有効画素領域の一部と、前記第2の工程における前記第2の放射線検出器の有効画素領域の一部とが所定の距離だけ重なるようにする請求項6〜8のいずれか1つに記載の放射線画像撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線画像撮影装置、および放射線画像撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像撮影装置の一例にX線画像撮影装置がある。X線画像の撮影においては、下肢や脊髄などの被検体の長手方向の撮影を行う場合がある。この様な撮影は、X線長尺撮影などと呼ばれている。
従来のフィルムを用いたX線長尺撮影においては、長尺のフィルムと増感紙を収納した長尺のカセッテが用いられていた。近年においては、X線検出器を用いたX線長尺撮影が主流になりつつある。X線検出器を用いたX線長尺撮影においては、1台のX線検出器の位置を変えて複数回の撮影を行い、撮影した複数のX線画像をつなぎ合わせて1つの長尺のX線画像を得ている。
【0003】
ここで、1台のX線検出器を用いて複数回の撮影を行う場合には、撮影の度にX線検出器を所定の位置まで移動させなければならない。この場合、複数回の撮影を行っている間は、被検体はできる限り動かないようにすることが好ましい。しかしながら、被検体が人間などの場合には、複数回の撮影を行っている間、被検体が動かないでいるようにすることが難しい。特に、撮影間隔が長くなると被検体が動いてしまうおそれがある。被検体が動いてしまうと、長尺のX線画像の品質が低下するおそれがある。
そこで、複数回の撮影を行う際に撮影間隔を短くすることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−141904号公報
【特許文献2】特開2008−148836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数回の撮影を行う際に撮影間隔を短くすることができる放射線画像撮影装置、および放射線画像撮影方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る放射線画像撮影装置は、放射線を発生させる放射線発生器と、前記放射線発生器から照射され、被検体を透過した前記放射線を検出する第1の放射線検出器と、前記放射線発生器から照射され、前記被検体を透過した前記放射線を検出する第2の放射線検出器と、前記第1の放射線検出器を前記被検体の長手方向に移動させる第1の移動部と、前記第2の放射線検出器を前記被検体の長手方向に移動させる第2の移動部と、前記第1の放射線検出器、および前記第2の放射線検出器により検出された前記放射線の強度分布に基づいて放射線画像信号を作成する画像構成部と、前記第1の移動部、および前記第2の移動部を制御する制御部と、を備えている。
前記被検体の長手方向と直交する方向における前記第2の放射線検出器と前記被検体との間の距離は、前記第1の放射線検出器と前記被検体との間の距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】X線画像撮影装置100を例示するための模式図である。
図2】X線検出器1a、1bを例示するための模式断面図である。
図3】検出部10を例示するための模式斜視図である。
図4】(a)〜(d)は、X線画像の撮影手順を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本実施の形態に係る放射線画像撮影装置は、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出器を備えている。放射線検出器には、大きく分けて直接変換方式と間接変換方式がある。
以下においては、一例として、間接変換方式の放射線検出器を例示するが、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置に設けられる放射線検出器は、直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
すなわち、放射線検出器は、放射線を信号電荷に変換する光電変換膜を有し放射線を直接的に検出する直接変換方式の放射線検出器、または、放射線をシンチレータと協働して検出する間接変換方式の放射線検出器であればよい。
なお、直接変換方式の放射線検出器には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0009】
また、放射線画像撮影装置は、例えば、一般医療などに用いることができるが、用途に限定はない。
また、以下に例示をする放射線画像撮影装置は、X線のほかにもγ線などの各種放射線に適用させることができる。ここでは、一例として、放射線の中の代表的なものとしてX線に係る場合を例にとり説明をする。したがって、以下の実施形態の「X線」を「他の放射線」に置き換えることにより、他の放射線にも適用させることができる。
また、以下においては一例として、立位撮影台を有する放射線画像撮影装置を例示するがこれに限定されるわけではない。例えば、放射線画像撮影装置は、臥位撮影台などを有するものであってもよい。
【0010】
図1は、X線画像撮影装置100を例示するための模式図である。
図2は、X線検出器1a、1bを例示するための模式断面図である。
図3は、検出部10を例示するための模式斜視図である。
図1に示すように、X線画像撮影装置100には、X線検出器1a(第1の放射線検出器の一例に相当する)、X線検出器1b(第2の放射線検出器の一例に相当する)、画像構成部2、撮影台3、移動部4a(第1の移動部の一例に相当する)、移動部4b(第2の移動部の一例に相当する)、X線発生器5、操作部6、および制御部7が設けられている。
【0011】
X線検出器1a、1bは、X線発生器5から照射され、被検体200を透過したX線を検出する。
図2に示すように、X線検出器1a、1bには、検出部10、筐体20、および支持部30が設けられている。なお、X線検出器1bの構成は、X線検出器1aの構成と同じとすることができる。
図3に示すように、検出部10には、アレイ基板11、回路基板12、およびシンチレータ13が設けられている。
【0012】
アレイ基板11は、シンチレータ13によりX線から変換された蛍光(可視光)を信号電荷に変換する。
アレイ基板11は、基板11a、光電変換部11b、制御ライン(又はゲートライン)11c1、データライン(又はシグナルライン)11c2などを有する。
なお、光電変換部11b、制御ライン11c1、およびデータライン11c2の数などは例示をしたものに限定されるわけではない。
【0013】
基板11aは、板状を呈し、無アルカリガラスなどの透光性材料から形成されている。 光電変換部11bは、基板11aの一方の表面に複数設けられている。
光電変換部11bは、矩形状を呈し、制御ライン11c1とデータライン11c2とにより画された領域に設けられている。複数の光電変換部11bは、マトリクス状に並べられている。なお、1つの光電変換部11bは、1つの画素(pixel)に対応する。
【0014】
複数の光電変換部11bのそれぞれには、光電変換素子11b1と、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)11b2が設けられている。また、光電変換素子11b1において変換した信号電荷を蓄積する蓄積キャパシタ11b3を設けることができる。蓄積キャパシタ11b3は、例えば、矩形平板状を呈し、各薄膜トランジスタ11b2の下に設けることができる。ただし、光電変換素子11b1の容量によっては、光電変換素子11b1が蓄積キャパシタ11b3を兼ねることができる。 光電変換素子11b1は、例えば、フォトダイオードなどとすることができる。
薄膜トランジスタ11b2は、蓄積キャパシタ11b3への電荷の蓄積、および、蓄積キャパシタ11b3に蓄積されている電荷の放出のスイッチングを行う。
【0015】
回路基板12は、フレキシブルプリント基板14a、14bを介してアレイ基板11と電気的に接続されている。
回路基板12には、読み出し回路、増幅・変換回路、および制御回路が設けられている。
【0016】
読み出し回路は、薄膜トランジスタ11b2のオン状態とオフ状態を切り替える。読み出し回路は、X線画像の走査方向に従って、対応する制御ライン11c1に制御信号S1を入力する。制御ライン11c1に入力された制御信号S1により薄膜トランジスタ11b2がオン状態となり、光電変換素子11b1からの信号電荷(画像データ信号S2)が受信できるようになる。
【0017】
増幅・変換回路は、積分アンプ、並列−直列変換回路、およびアナログ−デジタル変換回路を有している。積分アンプは、データライン11c2と電気的に接続されている。並列−直列変換回路は、積分アンプと電気的に接続されている。アナログ−デジタル変換回路は、並列−直列変換回路と電気的に接続されている。
積分アンプは、光電変換部11bからの画像データ信号S2を順次受信する。そして、積分アンプは、一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を並列−直列変換回路へ出力する。この様にすれば、所定の時間内にデータライン11c2を流れる電流の値(電荷量)を電圧値に変換することが可能となる。すなわち、積分アンプは、シンチレータ13において発生した蛍光の強弱分布に対応した画像データ情報を、電位情報へと変換する。
並列−直列変換回路は、電位情報へと変換された画像データ信号S2を順次直列信号に変換する。
アナログ−デジタル変換回路は、直列信号に変換された画像データ信号S2をデジタル信号に順次変換する。
【0018】
シンチレータ13は、複数の光電変換素子11b1の上に設けられ、入射するX線を蛍光すなわち可視光に変換する。シンチレータ13は、基板11a上の複数の光電変換部11bが設けられた領域(有効画素領域A)を覆うように設けられている。
シンチレータ13は、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)などを用いて形成することができる。この場合、真空蒸着法などを用いて、シンチレータ13を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ13が形成される。
また、シンチレータ13は、例えば、酸硫化ガドリニウム(GdS)などを用いて形成することもできる。この場合、複数の光電変換部11bごとに四角柱状のシンチレータ13が設けられるように、マトリクス状の溝部を形成することができる。
【0019】
その他、検出部10には、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、シンチレータ13の表面側(X線の入射面側)を覆うように図示しない反射層を設けることができる。
また、空気中に含まれる水蒸気により、シンチレータ13の特性と図示しない反射層の特性が劣化するのを抑制するために、シンチレータ13と図示しない反射層を覆う図示しない防湿体を設けることができる。
【0020】
筐体20は、カバー部21、入射窓22、および基部23を有する。
カバー部21は、箱状を呈し、X線の入射側、およびX線の入射側とは反対側に開口部を有している。
カバー部21は、例えば、ステンレスなどの金属を用いて形成することができる。また、カバー部21は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;Carbon-Fiber-Reinforced Plastic)などを用いて形成することもできる。
【0021】
入射窓22は、板状を呈し、カバー部21の、X線の入射側の開口部を塞ぐように設けられている。入射窓22は、X線を透過させる。入射窓22は、X線吸収率の低い材料を用いて形成されている。入射窓22は、例えば、炭素繊維強化プラスチックなどを用いて形成することができる。
【0022】
基部23は、板状を呈し、カバー部21の、X線の入射側とは反対側の開口部を塞ぐように設けられている。基部23の材料は、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。基部23の材料は、例えば、カバー部21の材料と同様とすることができる。
【0023】
支持部30は、支持板31と支持体32とを有する。
支持板31は、板状を呈し、筐体20の内部に設けられている。支持板31の入射窓22側の面には、アレイ基板11とシンチレータ13が設けられている。支持板31の基部23側の面には、回路基板3が設けられている。
支持板31の材料は、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。支持板31の材料は、例えば、ステンレスやアルミニウム合金などの金属、炭素繊維強化プラスチックなどとすることができる。
【0024】
支持体32は、柱状を呈し、筐体20の内部に設けられている。支持体32は、支持板31と基部23との間に設けることができる。支持体32と支持板31の固定、および、支持体32と基部23の固定は、例えば、ネジなどの締結部材を用いて行うことができる。支持体32の材料は、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。支持体32の材料は、例えば、ステンレスやアルミニウム合金などの金属、炭素繊維強化プラスチックなどとすることができる。
なお、支持体32の形態、配設位置、数などは例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、支持体32は、板状を呈し、カバー部21の内側面から突出するように設けることもできる。すなわち、支持体32は、筐体20の内部において、支持板31を支持することができるものであればよい。
【0025】
画像構成部2は、X線検出器1a、およびX線検出器1bにより検出されたX線の強度分布に基づいてX線画像信号を作成する。
画像構成部2は、配線2aを介して、回路基板12に設けられたアナログ−デジタル変換回路と電気的に接続されている。
なお、配線2aを介さずとも、無線通信などの通信手段を用いてデジタル信号に変換された画像データ信号S2の送信を行うことも出来る。
画像構成部2は、アナログ−デジタル変換回路によりデジタル信号に変換された画像データ信号S2に基づいて、X線画像信号を作成する。なお、X線画像信号の作成には既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0026】
またさらに、画像構成部2は、複数のX線画像信号をつなぎ合わせて1つのX線画像信号を作成する。例えば、画像構成部2は、移動部4a、4bからのX線検出器1a、1bに関する位置情報に基づいて、複数のX線画像信号をつなぎ合わせる。
作成されたX線画像信号は、表示部6aに向けて出力される。なお、作成されたX線画像信号は、X線画像撮影装置100の外部に設けられた機器に向けて出力することもできる。
【0027】
撮影台3は、被検体200を立位の姿勢で載せるための台である。また、撮影台3には、移動部4a、4bが設けられている。
移動部4aは、X線検出器1aを保持し、X線検出器1aを被検体200の長手方向(例えば、人間の体軸方向)に移動させる。
移動部4bは、X線検出器1bを保持し、X線検出器1bを被検体200の長手方向(例えば、人間の体軸方向)に移動させる。
この場合、X線検出器1bの移動方向は、X線検出器1aの移動方向と平行となるようにすることができる。
【0028】
被検体200の長手方向と直交する方向におけるX線検出器1bと被検体200との間の距離は、X線検出器1aと被検体200との間の距離よりも短くなっている。
また、移動部4a、4bは、X線検出器1a、1bに関する位置情報を検出する。移動部4a、4bは、配線2bを介して画像構成部2と電気的に接続されている。検出された位置情報は、配線2bを介して画像構成部2に入力される。
なお、配線2aを介さずとも、無線通信などの通信手段を用いて検出された位置情報を画像構成部2に入力することも出来る。
移動部4a、4bは、例えば、直線運動軸受などを備えたガイド機構、ボールネジなどを備えた伝動機構、サーボモータなどを備えた駆動機構、エンコーダなどの位置検出器などを備えたものとすることができる。
【0029】
X線発生器5は、例えば、X線を発生させる真空管とすることができる。
X線発生器5は、フィラメント5aおよびターゲット5bを有する。
フィラメント5aは、例えば、タングステンなどから形成され、図示しない高圧電源のマイナス側に電気的に接続されている。
ターゲット5bは、例えば、銅、タングステン、モリブデンなどから形成され、図示しない高圧電源のプラス側に電気的に接続されている。
X線発生器5には、X線の照射に必要な電力(管電流、管電圧)が図示しない高圧電源から供給される。X線発生器5は、フィラメント5aにおいて電子を発生させ、供給された高電圧により加速させた電子をターゲット5bに衝突させることで、有効視野領域内にある被検体200に向けてX線を照射する。なお、X線発生器5とX線検出器1a、1bとの間には、X線発生器5から照射されたX線ビームの形状を整形する図示しないコリメータを設けることができる。
また、X線発生器5を被検体200の長手方向に移動させる図示しない移動部を設けることもできる。なお、図示しない移動部の構成は、例えば、移動部4a、4bと同様とすることができる。
【0030】
操作部6は、画像構成部2と電気的に接続されている。
操作部6は、表示部6aおよび入力部6bを有する。
表示部6aは、入力されたX線画像信号に基づいて光学画像であるX線画像を作成し、X線画像を表示する。表示部6aは、例えば、フラットパネルディスプレイなどとすることができる。
入力部6bは、画像構成部2に文字情報などを入力する。入力部6bは、例えば、キーボードなどとすることができる。
なお、操作部6は、必ずしも必要ではなく、必要に応じて設けるようにすることができる。
【0031】
制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と記憶装置を備えたコンピュータなどとすることができる。
制御部7は、X線画像撮影装置100に設けられた各要素の動作を制御する。
例えば、制御部7は、X線発生器5の動作とX線検出器1a、1bの動作を同期させる。例えば、制御部7は、X線発生器5を制御して、X線発生器5からX線を照射させる。そして、制御部7は、X線検出器1a、1bを制御して、X線の入射に同期させて撮影に必要な動作を実行させる。
なお、X線発生器5に、X線検出器1a、1bからの同期信号によってX線を照射する機能が設けられている場合には、制御部7は、X線検出器1a、1bの動作を制御する。また、X線検出器1a、1bに、X線の入射を検出する機能が設けられている場合には、制御部7は、X線発生器5の動作を制御する。
【0032】
また、制御部7は、移動部4a、4bを制御して、X線検出器1a、1bを所定の撮影位置に移動させる。
【0033】
次に、X線画像撮影装置100の作用とともに、本実施の形態に係るX線画像撮影方法について説明する。
なお、X線発生器5からのX線の照射、X線検出器1a、1bからの画像データ信号S2の出力、画像構成部2によるX線画像信号の作成、画像構成部2による複数のX線画像信号のつなぎ合わせは、前述したものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
ここでは主に、X線画像の撮影手順を説明する。
【0034】
図4(a)〜(d)は、X線画像の撮影手順を例示するための模式図である。
なお、図中の矢印Y、−Yは、被検体200の長手方向に平行な方向である。また、矢印−Yは、矢印Yとは逆の方向である。
また、煩雑となるのを避けるために、図4(a)〜(d)においては、X線検出器1a、1b、被検体200以外のものを省いて描いている。
【0035】
まず、図4(a)に示すように、X線検出器1aを第1回目の撮影位置に配置する。この際、被検体200の長手方向と直交する方向から見て、X線検出器1aの有効画素領域AとX線検出器1bの筐体20とが重ならない位置にX線検出器1bを配置する。この場合、X線検出器1aの有効画素領域AとX線検出器1bの筐体20との間の距離が短くなるようにすることが好ましい。
X線検出器1a、1bの配置後、X線検出器1aにより第1回目の撮影を行う。
この場合、X線検出器1bによる撮影は行わない。
【0036】
次に、図4(b)に示すように、X線検出器1bを−Y方向に移動させて、X線検出器1bを第2回目の撮影位置に配置する。この際、被検体200の長手方向と直交する方向から見て、第1回目の撮影が行われた際のX線検出器1aの有効画素領域Aの一部と、第2回目の撮影位置に配置されたX線検出器1bの有効画素領域Aの一部とが所定の距離だけ重なるようにする。この様にすれば、第1回目の撮影領域の一部と、第2回目の撮影領域の一部とを重複させることができるので、撮影漏れをなくすことができる。
【0037】
X線検出器1bの配置後、X線検出器1bにより第2回目の撮影を行う。
この場合、X線検出器1aによる撮影は行わない。X線検出器1aは、第3回目の撮影位置に向けて、Y方向に移動させる。
第2回目の撮影位置までの距離は短いので、X線検出器1bの移動時間は短くなる。そのため、第1回目の撮影と、第2回目の撮影との間隔を短くすることができる。
また、第2回目の撮影の間に、X線検出器1aの移動(第3回目の撮影の準備)を行うことができる。
【0038】
次に、図4(c)に示すように、X線検出器1aを第3回目の撮影位置に配置する。この際、被検体200の長手方向と直交する方向から見て、第2回目の撮影が行われた際のX線検出器1bの有効画素領域Aの一部と、第3回目の撮影位置に配置されたX線検出器1aの有効画素領域Aの一部とが所定の距離だけ重なるようにする。この様にすれば、第2回目の撮影領域の一部と、第3回目の撮影領域の一部とを重複させることができるので、撮影漏れをなくすことができる。
また、被検体200の長手方向と直交する方向から見て、第3回目の撮影位置に配置されたX線検出器1aの有効画素領域Aと、X線検出器1bの筐体20とが重ならない様に、X線検出器1bを−Y方向に移動させる。
【0039】
X線検出器1a、1bの配置後、X線検出器1aにより第3回目の撮影を行う。
この場合、X線検出器1bによる撮影は行わない。
【0040】
前述したように、第2回目の撮影の間に、X線検出器1aの移動を行うことができる。また、X線検出器1bの移動距離は短いので、X線検出器1bの移動時間は短くなる。そのため、第2回目の撮影と、第3回目の撮影との間隔を短くすることができる。
【0041】
次に、図4(d)に示すように、X線検出器1aをY方向に移動させて、X線検出器1aを第4回目の撮影位置に配置する。この際、被検体200の長手方向と直交する方向から見て、第3回目の撮影が行われた際のX線検出器1aの有効画素領域Aの一部と、第4回目の撮影位置に配置されたX線検出器1aの有効画素領域Aの一部とが所定の距離だけ重なるようにする。この様にすれば、第3回目の撮影領域の一部と、第4回目の撮影領域の一部とを重複させることができるので、撮影漏れをなくすことができる。
X線検出器1aの配置後、X線検出器1aにより第4回目の撮影を行う。
この場合、X線検出器1bによる撮影は行わない。
【0042】
以降同様にして、第5回目以降の撮影を行うことができる。
なお、図4(d)に示すように、必要に応じてX線発生器5を被検体200の長手方向に移動させて、X線の照射位置をY方向にずらすこともできる。この場合、X線の有効視野領域は広いので、X線発生器5の移動量は、X線検出器1a、1bの移動量よりも少なくて済む。そのため、X線発生器5を移動させるようにしても撮影間隔が長くなることはない。
【0043】
なお、図4(a)〜(d)においては、被検体200である患者の頭部側から脚部側に向かって順次撮影を行ったが、患者の脚部側から頭部側に向かって順次撮影を行うこともできる。患者の脚部側から頭部側に向かって順次撮影を行う場合には、Y方向におけるX線検出器1aとX線検出器1bとの位置関係が逆になるようにすればよい。
また、撮影回数は例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、少なくとも2回の撮影が行われるようにすることができる。
【0044】
以上に説明したように、本実施の形態に係るX線画像撮影方法は、以下の工程を備えることができる。
X線検出器1aにより被検体200を透過したX線を検出し、第1のX線画像信号を作成する第1の工程。
被検体200の長手方向において、X線検出器1aとは異なる位置に配置されたX線検出器1bにより被検体200を透過したX線を検出し、第2のX線画像信号を作成する第2の工程。
第1のX線画像信号と、第2のX線画像信号とをつなぎ合わせる工程。
この場合、被検体200の長手方向と直交する方向におけるX線検出器1bと被検体200との間の距離は、X線検出器1aと被検体200との間の距離よりも短くなっている。
【0045】
また、X線検出器1bがX線を検出している間に(X線検出器1bによる撮影中に)、X線検出器1aを移動させる工程をさらに備えることができる。
また、X線の検出回数(撮影回数)が3回以下の場合には、第1の工程と、第2の工程とが交互に行われるようにすることができる。
また、被検体200の長手方向と直交する方向からみて、第1の工程におけるX線検出器1aの有効画素領域Aの一部と、第2の工程におけるX線検出器1bの有効画素領域Aの一部とが所定の距離だけ重なるようにすることができる。
なお、各工程における内容は、前述したものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0046】
以上に説明したように、本実施の形態に係るX線画像撮影装置100、およびX線画像撮影方法によれば、複数回の撮影を行う際の撮影間隔を短くすることができる。そのため、撮影の最中に被検体200が動くのを最小限に抑えることができるので、長尺のX線画像の品質を向上させることが可能となる。
【0047】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
1a X線検出器、1b X線検出器、3 撮影台、4a 移動部、4b 移動部、5 X線発生器、6 操作部、7 制御部、10 検出部、11 アレイ基板、11b 光電変換部、11b1 光電変換素子、12 回路基板、13 シンチレータ、20 筐体、100 X線画像撮影装置、200 被検体
図1
図2
図3
図4