【解決手段】医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および密封性容器の内側に存在する、ある量の不活性化物質、たとえば顆粒状またはペレット状の活性炭を備えた、デバイスを含むシステム、およびそのシステムのデバイスを含むキットを含む一般用医薬品廃棄システム。
【背景技術】
【0002】
経口摂取、注射などによる処方箋調剤薬、特に麻薬および他の規制物質の乱用の誘惑および可能性は周知である。この広範な乱用問題は、モルヒネ、オキシコンチン、フェンタニールおよび他の多数のものに関連する現在の問題により代表される。
【0003】
残念ながら、医薬品に関連する問題は乱用性麻薬に限らない。AP通信社による最近の調査報告によれば、アメリカ人は毎年2億5000万ポンドの医薬を下水に流している(
たとえば、Living on Earth.org online interview with the EPA, October 3, 2008を参照)。さらに、この医薬組成物廃棄の習慣により全米の多数の主要都市の飲料水供給施設
が汚染されている(たとえば、Air Force Print News Today, March 24, 2008を参照)。
【0004】
これらの汚染物質は、環境にリスクを課す;人類、魚類および野生生物に悪影響を及ぼしている。潜在的問題には、異常な生理的プロセス、生殖障害、癌の証拠の増加、および抗微生物剤耐性生物の出現が含まれる(参考文献: Kansas Dept of Health and Environment, March 22, 2007)。医薬による環境汚染の主要な根源は、未使用または期限切れの医
薬品の廃棄にある(参考文献:eMedicineHealth March 21, 2008)。歴史的に、これらの医薬はトイレに流され、あるいは屑籠に捨てられ、それらは最終的に地下水供給源に集積する結果となる可能性を伴なう。トイレに流すのをFDAが黙認している唯一の医薬品は、乱用の可能性がある規制物質である。したがって、多くの人々は未使用または期限切れの医薬をどのようにして廃棄するのが最良であるかというジレンマに直面する。
【0005】
特に重要なことは、経皮パッチ技術に含まれる医薬品に関連する乱用または環境への放出の可能性である。
【0006】
残念ながら、経皮パッチについては、患者がそれらを処方された期間装着した後に、著しい量の薬物がパッチに残留している。この過剰量の薬物の必要性は周知である;経皮適用では装着期間全体において適切な駆動力を保証することが要求される。たとえば、完全に72時間の装着期間装着されたDuragesic(登録商標)(Johnson &
Johnsonの商標)パッチの公表された試験では、フェンタニールの元の装填量の28〜84.4%がなおパッチに残留していた。その試験の著者らは、残留量は乱用および誤用に十分な量であり、致死的な可能性すらあると結論した(Marquardt et al, Ann Pharmacother, 1995, 29:969-71)。
【0007】
環境および乱用の問題が経皮パッチ剤形中の医薬品に限らないことは確かである。事実、医薬品は経口用の丸剤または液剤の剤形のものが最も多い。未使用または期限切れの経口用医薬品が廃棄されると、これらの医薬品を他の者が屑籠から回収して乱用する可能性がある。さらに、大量の廃棄医薬品から化合物が経時的に地下水供給源へ放出されるのは避けられない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
医薬品廃棄システムを提供する。これらのシステムの側面には、医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および密封性容器の内側に存在する、ある量の不活性化物質、たとえば顆粒状またはペレット状の活性炭を備えた、デバイスが含まれる。本発明の側面には、さらにそれらのシステムを作成および使用する方法、ならびにそのシステムのデバイスを含むキットが含まれる。
【0012】
本発明をより詳細に記載する前に、本発明は記載する特定の態様に限定されず、したがってもちろん変更できることを理解すべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲のみによって限定されるので、本明細書中で用いる技術用語は特定の態様を記述する目的のためのものにすぎず、限定ではないことも理解すべきである。
【0013】
ある範囲の数値を提示する場合、その範囲の上限と下限の間にある各数値(状況から明らかにそうではないことが要求されない限り、その下限の単位の10分の1まで)、およびその明記した範囲内の他のいずれかの明記した数値または間にある数値は、本発明の範囲に含まれることを理解すべきである。これらのより小さい範囲の上限と下限は、独立して、それらのより小さい範囲に含めることができ、その明記した範囲のいずれかの限界が具体的に除外されることを仮定して、同様に本発明の範囲に包含される。明記した範囲がその限界の一方または両方を含む場合、それらの内包される限界のうち一方または両方を除いた範囲も本発明に含まれる。
【0014】
特定の範囲は、本明細書中で用語“約”を前に付けた数値で提示される。この用語“約”は、本明細書中で、それに続く厳密な数字、およびその用語に続く厳密な数字に近接または近似する数字に対する、文字通りの支持を提供するために用いられる。ある数字が具体的に列挙した数字に近接または近似するかどうかを判定する際、その近接または近似する列挙していない数字は、それが提示される状況で、具体的に列挙した数字の実質的な均
等物を提供する数字であればよい。
【0015】
別途定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の専門家が一般的に理解しているものと同じ意味をもつ。本明細書に記載するものと類似するかまたは同等な方法および材料はいずれも同様に本発明の実施または試験に使用できるが、代表的な具体的方法および材料を以下に記載する。
【0016】
本明細書に引用するすべての刊行物および特許は、それぞれ個々の刊行物または特許が具体的かつ個別に本明細書に援用すると指示されたと同様に本明細書に援用され、それに関してそれらの刊行物が引用された方法および/または材料を開示および記載するために本明細書に援用される。いずれの刊行物の引用も、出願日以前のそれの開示内容についてであり、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先立つ権利がないと認めるものと解釈すべきではない。さらに、提示された発行日は実際の発行日と異なる可能性があり、それを個別に確認する必要があろう。
【0017】
本明細書および特許請求の範囲で用いる単数形“a”、“an”および“the”は、そうではないことが状況から明らかに示されない限り複数表記を含むことを明記する。さらに、特許請求の範囲は何らかの任意選択要素を除外するように作成された可能性があることを明記する。したがって、この記述は、特許請求要素の列挙に関して“専ら(solely)”、“単に(only)”などの除外用語の使用、または“負の”限定の使用のための前提条件として用いることを意図したものである。
【0018】
この開示内容を読むと当業者に明らかになるように、本明細書に記載および説明した個々の態様はそれぞれ別個の構成要素および特徴をもち、それらは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく容易に他の幾つかの態様のいずれかの特徴から分離し、またはそれらと組み合わせることができる。列挙する方法はいずれも、列挙した事象の順序で、または論理的に可能な他のいずれかの順序で実施できる。
【0019】
本発明の多様な態様をさらに記載する際に、まずデバイスの側面をより詳細に説明し、続いてそれらのデバイスを使用する態様を詳細に記載し、それらのデバイスを含むキットを概説する。
【0020】
デバイス
前記に概説したように、医薬組成物の廃棄に使用するためのデバイスを提供する。デバイスの側面は、密封性容器および容器内に存在するある量の不活性化剤を含む。密封性容器は、いずれか好都合な形状をもつことができる。ある場合には、密封性容器は不活性化すべき医薬組成物を収容する寸法のものである。容器について着目される形状には、ボトル、バッグ、パウチなどが含まれるが、これらに限定されず、その際、容器の壁は希望に応じて剛性または可撓性であってよい。容器が医薬組成物を収容する寸法のものである態様において、容器の内部容積は医薬組成物を容器の内側に配置できるものであろう;その際、ある場合には、医薬組成物をその内側に配置した際に、ある容量の液体、たとえば1/4から2カップまで、またはそれ以上の液体を収容するための、余分な空間もある。したがって、容器の容積は、ある場合には50から500mlまで、たとえば100から400mlまでまでの範囲であってもよく、これには200から375mlまでが含まれる。容器がパウチまたはバッグの形状をもつ場合、そのサイズは、ある場合には2×3インチから8×10インチまでの範囲で変更できる。容器の壁の厚さは変更できるが、ある場合には壁は0.1から2.0mmまで、たとえば0.1から1.0mmまでの範囲の厚さをもつ。容器は液体、たとえば水性液体に対して不透過性であるいずれか好都合な材料から作成でき、その際、着目される材料にはポリマー材料(たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニルなど)が含まれ、それらの材料は希望に応じて透明、半透明
または不透明であってよい。
【0021】
前記に概説したように、容器は密封性である。したがって、容器は密封性クロージャー器具(たとえば、再封性クロージャー器具)を含み、それを開くと医薬組成物を容器内へ投入するための入口が得られる。容器またはパウチを閉じるための密封性クロージャー器具は、使用済み医薬品を廃棄するための閉鎖システムも提供する。この閉鎖システムは、医薬組成物を容器内に密封するための接着シールまたはプラスチック容器再封器具、たとえば商標ZIPLOC(登録商標)に関連するものを含むことができる。
【0022】
容器の内側にはある量の不活性化物質が存在する。着目される不活性化物質は、医薬組成物の有効薬剤と接触した際に、有効薬剤を少なくとも部分的に不活性化する物質、すなわち有効薬剤の活性を破壊しないとしても少なくとも低減する物質である。着目される不活性化物質には結合剤が含まれるが、これらに限定されない;その際、用語“結合剤”は、接触した際に有効薬剤を固定化するかあるいは他の形で失活させる物質または物質の組合わせを意味する。着目される結合剤には、有効薬剤を吸着する吸着性物質または有効薬剤を化学結合する化学吸着剤が含まれる。着目される物質は、医薬組成物の有効薬剤と接触した際に直ちに固定化または他の失活作用を開始するものである。
【0023】
着目される結合剤には、医薬品を固定化して、普通に利用できる手段で将来分離するのを妨げる作用剤が含まれる。そのような作用剤の具体例には、限定ではなく、ゼオライト、クレー、シリカゲル、酸化アルミニウムおよび活性炭が含まれる。活性炭は、フェンタニールなどの合成オピオイドを含めた有効薬剤を吸着または化学吸着するために適切である。用語“活性炭”はそれの一般的な意味で、500m
2を超える表面積が得られるように処理された形態のカーボンを表わすために用いられる。活性炭は、結合剤として存在する場合、粉末状、顆粒状またはペレット状であってもよい。粉末状の活性炭は0.25mm以下、たとえば0.15から0.25mmまでの平均粒度をもつ粒状(particular)カーボン組成物であり、一方、顆粒状またはペレット状の活性炭は0.25mm以上、たとえば0.25から5.0mmまでの平均サイズをもつ粒子またはペレットから構成される。活性炭が粉末状(他の形状も同様)で存在するある場合には、活性炭は容器内で自由に流動しないであろう;すなわち、以下にさらに詳細に記載するように、活性炭は容器の他の構成要素、たとえば容器の壁、容器内の固体支持体(support)、または容器の内側のパウ
チに、安定に付随しているであろう。活性炭が顆粒状またはペレット状で存在するさらに他の例では、顆粒状またはペレット状の活性炭は容器内で自由に流動してもよい。
【0024】
結合剤のほかに、またはその代わりに、不活性化物質は、何らかの様式で医薬組成物の有効薬剤を使用不可能にする他の物質を含むことができる。したがって、不活性化物質は拮抗物質、酸化性化合物、刺激性化合物、または乱用防止用忌避剤(anti-abuse distressing agent)のうち1以上を含有することができる。そのような化合物を単独で、または組み合わせて、結合剤の代わりに、または結合剤のほかに、不活性化物質中に使用できる。結合剤と組み合わせて用いる場合、希望に応じてそのような化合物を結合剤の一部に予め吸着させておいてもよい。着目される拮抗物質は、医薬組成物の有効薬剤に対して拮抗作用を示すもの、たとえばオピオイドに対するナロキソンまたはナルトレキソンである。そのような酸化剤の例には、ペルボレート、ペルカーボネート、ペルオキシド、および次亜塩素酸塩が含まれる。刺激性化合物の例には、カプサイシンまたは吐根が含まれる。乱用防止用忌避剤の例には、苦味剤、たとえばデヒドロコール酸が含まれる。
【0025】
容器内の不活性化物質の量は変更でき、それのためにデバイスが構成された医薬組成物中の有効薬剤の量を実質的に不活性化するのに理論的に要求される量より多くなるように選択できる。厳密な量は変動する可能性があるが、ある場合には、有効薬剤に対する不活性化物質(たとえば、活性炭)の重量比は2(すなわち、2/1)以上、たとえば3以上
であり、これには4以上、たとえば5以上が含まれる。
【0026】
前記に示したように、ある場合には不活性化物質は容器の内側で自由に流動しない。言い換えると、不活性化物質は容器の他の何らかの構成要素、たとえば容器の内壁、容器内に存在する支持体、または容器の内側の液体透過性パウチなどに、安定に付随している。“安定に付随している”とは、少なくとも容器の使用前は、たとえば液体を容器に入れる前は、不活性化物質が他の構成要素に対して固定化されていることを意味する。したがって、ある場合には、不活性化物質を容器の内面に、たとえば容器の内面上の層として接着させることができる。所望により、液体透過性カバー(すなわち、ライナー)をこの層上に配置してもよい。他の態様において、支持体(たとえば、可撓性または剛性で、透過性または不透過性の固体構造物)を容器の内側に、接着させずに配置してもよく、その際、不活性化物質は支持体の1以上の表面に安定に付随している。
【0027】
ある場合には、不活性化物質は液体透過性、たとえば透水性のエンクロージャー(たとえば、パウチ)中に存在してもよく、このエンクロージャーは液体をそのエンクロージャーの内側へ通過させるが、少なくとも液体と接触させる前はエンクロージャーの内容物をエンクロージャーの内側に保持する。ある場合には、エンクロージャーは、そのエンクロージャーを液体と接触させた後でも不活性化物質をエンクロージャーの内側に保持している透水性材料から作成される。内側エンクロージャーにはいずれか好都合な材料を使用でき、それには一般にティーバッグに用いられる材料、たとえばセルロース材料などが含まれる。ある場合には、材料は液体、たとえば水に溶解するものである;すなわち、その材料は水溶性である。そのような態様において、着目されるパウチ材料にはたとえばポリマー材料が含まれ、それらをフィルムまたはシートに成形する。たとえばパウチ材料は、たとえばポリマー材料のキャスチング、吹込み成形、押出、または吹込み押出により得ることができる。パウチとして使用するのに適したポリマー、コポリマーまたはその誘導体には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド類、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル類、セルロースエステル類、セルロースアミド類、ポリ酢酸ビニル類、ポリカルボン酸類および塩類、ポリアミノ酸類またはペプチド類、ポリアミド類、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸コポリマー類、デンプンおよびゼラチンを含む多糖類、天然ゴム、たとえばキサンタム(xanthum)およびカラガム(carragum);ポリアクリレート類および水溶性アクリレートコポリマー類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアルコールコポリマー類、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ならびにその組合わせ。ポリマーはいずれかの重量平均分子量、たとえば1000から1,000,000まで、たとえば10,000から300,000までをもつことができ、これには20,000から150,000までが含まれる。ポリマーの混合物もパウチ材料として使用できる。これは、コンパートメントまたはパウチの用途および要求されるニーズに応じてその機械的特性および/または溶解特性を制御するのに有益な可能性がある。適切な混合物には、たとえば1種類のポリマーが他のポリマーより高い水溶性をもつ混合物、および/または1種類のポリマーが他のポリマーより高い機械的強度をもつ混合物が含まれる。同様に適切なものは、異なる重量平均分子量をもつポリマーの混合物である;たとえば、重量平均分子量10,000〜40,000、たとえば約20,000のPVAまたはそのコポリマーと重量平均分子量100,000〜300,000、たとえば150,000のPVAまたはそのコポリマーとの混合物。同様に本発明に適したものは、たとえば加水分解性ポリマーと水溶性ポリマーのブレンドを含むポリマーブレンド組成物、たとえばポリラクチドおよびポリビニルアルコールであり、これはポリラクチドとポリビニルアルコールを混合することにより得られ、たとえば約1〜35重量%のポリラクチドおよび約65重量%〜99重量%のポリビニル
アルコールを含む。内側エンクロージャーは容器に連結していてもよく、連結していなくてもよい。
【0028】
ある場合には、容器はさらに容器に追加の機能を付与する1以上の賦形剤を含む。たとえば、有効薬剤の吸着によって最適な不活性化をもたらすpHにpH調整するための緩衝剤が容器に内包されていてもよい。使用中に望ましいpHにするためのいずれか好都合な緩衝剤を使用できる。着目される他のタイプの賦形剤は、たとえば二価金属カチオン塩などの塩類であり、その際、たとえば二価金属カチオンはCa
2+およびMg
2+からなる群から選択される。そのような塩類は、パッチが医薬組成物である場合にヒドロゲルパッチの“膨潤”(吸水)を阻止するのに十分な量で使用できる。イオンの例は、カルシウム塩またはマグネシウム塩の使用であり、それを用いてリドデルム(Lidoderm)ヒドロゲルパッチの吸水および膨潤を最小限に抑えることができる。着目されるさらに他の賦形剤は、懸濁化剤である。たとえば、容器は、活性炭と医薬品を一緒に粘稠なスラリー状に懸濁させてスラリー全体にわたって活性炭と溶存医薬品の密な接触を達成することができる量の、ゲル化剤を内包することができる。着目されるゲル化剤のひとつは、ある量の水と混合した際に重量で0.5から5.0%(w/w)までの濃度のHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)である。粘稠なゲルは溶解した形の医薬品を含有する混合物を容器内に保持するのに役立つので、ゲル化剤を用いる方法は追加の利点をもつ;たとえば、それは、容器に裂け目があった場合に粘稠ではない溶液であれば漏出するように容易に漏出することはないであろう。上記の賦形剤は、単独で、または組み合わせて使用でき、不活性化物質と分離して、または不活性化物質と組み合わせて、容器内に付与することができる。
【0029】
所望により、容器は通気孔を含むことができる。通気孔は、そのデバイスの使用中に発生した気体が容器の内側から外側へ通過できるいずれかの形状をもつことができる。着目される通気孔には、気体を容器の内側から容器の外側へ通過させるけれども逆は不可能な一方向の通気孔、たとえばコーヒーバッグに一般にみられる通気孔、たとえばU.S. Patent No. 4,000,846に記載されるものが含まれる。
【0030】
ここで図面に戻ると、
図1Aは、本発明の1態様による医薬組成物廃棄デバイス100を示す。デバイス100には、ZIPLOC(登録商標)タイプのシール120を頂部に備えた再封性パウチ110の形態の容器が含まれる。容器110の内側には内部パウチ130があり、それは、ある量の顆粒状活性炭150を内包した透水性/顆粒状活性炭不透過性のバリヤー140を含む。
図1Bに示すのは
図1Aに示すデバイスの変形であり、それはシール120近くにある一方向通気孔160を含む。
【0031】
本発明のデバイスは、いずれか好都合な手順に従って作成できる。そのような方法には、一般に、ある量の不活性化物質、たとえば顆粒状またはペレット状の活性炭を、たとえば前記の再封性容器内に入れることを含む。作成は、たとえば前記のように、さらに他の構成要素、たとえば賦形剤を再封性容器内に入れることを含む。
【0032】
使用方法
本発明の側面はさらに、前記のデバイスの使用により医薬組成物を廃棄する方法を含む。本発明の方法を実施する際、廃棄すべき医薬組成物をその容器の内側に入れる。多種多様なタイプの医薬組成物を本発明の態様により廃棄することができ、その際、医薬組成物は液体または固体であってもよく、固体医薬組成物は他の剤形のうち特に丸剤(すなわち、錠剤)、カプセル剤、局所組成物、たとえばパッチまたはテープであってもよい。
【0033】
医薬組成物が液体である場合、液体医薬組成物を単に容器に入れ、追加の液体を容器に装入せずに容器を密封すればよい。医薬組成物が固体である場合、ある容量の液体、たと
えば水性媒体、たとえば清水を用いて、医薬組成物からの有効薬剤と不活性化物質の接触を高めることができる。特定の態様において、液体の量は医薬組成物を完全に溶解するのに必要な量より少ない。たとえば、薬物が1グラム/リットルで溶解するならば、1グラムの薬物を吸着するには1リットル未満の添加が最終的にはより効果的であろう。したがって、特定の態様には、失活させる医薬品に対する溶解容量未満の水の添加が含まれる。液体を用いる場合、その容量はある例においては1/4カップから2カップまでの範囲で変動してもよい。そのような例における手順は多様であってよく、液体を医薬組成物の前に容器に装入するか、あるいは医薬組成物を液体の前に容器に装入する。医薬組成物および液体を容器に装入した後、容器を密封する。
【0034】
所望により、たとえば容器を撹拌する、容器が可撓性であるならば手で操作することなどにより、密封した容器の内容物を混合してもよい。しかし、ある例において、本方法は容器を密封した後に容器の内容物のいかなる混合も含まない。たとえば、医薬組成物が局所組成物、たとえばパッチまたはテープである場合、方法は単に組成物をある量の液体と共に容器に装入して容器を密封することを含めばよく、その後の混合を行なわない。医薬組成物がパッチである場合、パッチを容器に入れる前に、たとえば取扱いやすくするために、透水層、たとえばティッシュペーパーで覆ってもよい。所望により、パッチを容器に入れる前に、たとえば半分に折りたたんでもよい。
【0035】
医薬組成物(および場合により液体)を容器の内側に入れて容器を再封した後、容器を最終的にたとえば地方自治体の衛生システムで廃棄する前の保存期間中、容器を保管することができる。採用する場合、容器を1日から2週間まで、たとえば1日から7日までの範囲の期間保存できる。保存期間中は、容器をいずれか好都合な温度、たとえば室温に保持できる。
【0036】
図2A〜2Gは、
図1Aに示した本発明のデバイスを用いて医薬組成物を廃棄する方法の連続イメージを示す。
図2Aに、ある量の顆粒状カーボンを収容した内部パウチを内包する密封デバイスを示す。使用する際に、容器を開き(
図2Bを参照)、多数の丸剤を容器の内側に入れる(
図2C)。次に、丸剤およびパウチを覆うのに十分な量の水を容器の内側に入れ(
図2D)、そして容器を再封する(
図2E)。
図2Fは、丸剤およびそれに含有されていた有効薬剤が水に溶解する様子を示す。
図2Gは、内部パウチの内側に存在する顆粒状活性炭に有効薬剤が吸着された状態を示す。
【0037】
有用性
本発明のデバイスは多種多様なタイプの医薬組成物を廃棄する際に有用であり、その際、医薬組成物は液体または固体であってもよく、固体医薬組成物は他の剤形のうち特に丸剤(すなわち、錠剤)、カプセル剤、局所組成物、たとえばパッチまたはテープであってもよい。本発明の方法およびデバイスは、乱用される可能性のあるもの、たとえばオピオイドおよび他の鎮痛剤、ホルモン剤などを含めたあらゆるタイプの有効薬剤を、乱用を防止しかつ環境にやさしい様式で(たとえば、それは有効薬剤が生態系に侵入するのを防止するという点で)廃棄するのに有用である。
【0038】
キット
本明細書に記載する特定の方法を実施するために用いるキットも提供される。特定の態様において、キットは1以上の前記のデバイスを含む。特定の態様において、キットは前記方法に使用するための追加の構成要素、たとえば前記のように容器に装入するためのある量の液体、ティッシュペーパーなどを含む。2以上の組成物を含むあるキットにおいて、それらの組成物は個別にパッケージされるか、あるいは共通の容器内に存在してもよい。
【0039】
特定の態様において、キットはさらに、本発明の方法を実施するための指示、またはそれを入手するための手段(たとえば、それらの指示を提供するウェブページへ利用者を案内するウェブサイトURL)を含むであろう;その際、これらの指示は基体に印刷されていてもよく、この場合、基体は下記のうちの1以上であってもよい:パッケージ挿入物、包装材料、試薬容器など。本発明のキットにおいて、1以上の構成要素は簡便性または希望に応じて同一または異なる容器内に存在する。
【0040】
さらに他の態様
1.ある量の医薬組成物を廃棄する際に使用するためのデバイスであって、
医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および
密封性容器の内側に存在する、ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭
を含むデバイス。
【0041】
2.密封性容器が再封性容器である、節1に記載のデバイス。
【0042】
3.容器がパウチとして構成されている、節1または2に記載のデバイス。
【0043】
4.顆粒状またはペレット状の活性炭が、0.25〜5mmの範囲のサイズの顆粒状またはペレット状の活性炭粒子を含む、節1、2または3に記載のデバイス。
【0044】
5.ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭が、密封性容器の内側の液体透過性エンクロージャーに内包されている、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0045】
6.液体透過性エンクロージャーが透水性エンクロージャーである、節5に記載のデバイス。
【0046】
7.デバイスがさらに乱用防止用忌避剤を含む、節5に記載のデバイス。
【0047】
8.乱用防止用忌避剤を顆粒状活性炭と組み合わせた、節7に記載のデバイス。
【0048】
9.乱用防止用忌避剤が苦味剤である、節7に記載のデバイス。
【0049】
10.顆粒状活性炭の量が、それのためにデバイスが構成された医薬組成物の量を実質的に不活性化するのに理論的に要求される量より多くなるように選択される、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0050】
11.容器がさらに賦形剤を含む、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0051】
12.賦形剤が緩衝剤である、節11に記載のデバイス。
【0052】
13.賦形剤が塩を含む、節11に記載のデバイス。
【0053】
14.塩が二価金属カチオン塩である、節13に記載のデバイス。
【0054】
15.二価金属カチオンがCa
2+およびMg
2+からなる群から選択される、節14に記載のデバイス。
【0055】
16.デバイスが通気孔を含む、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0056】
17.容器がさらにある量の液体を含む、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0057】
18.液体が水性液体である、節17に記載のデバイス。
【0058】
19.デバイスが懸濁化剤を含む、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0059】
20.ある量の医薬組成物を廃棄する方法であって、
ある量の医薬組成物を、密封性容器の内側に存在するある量の顆粒状またはペレット状の活性炭を含む密封性容器に入れ;そして
密封性容器を密封する
ことを含む方法。
【0060】
21.密封性容器がある量の液体を含む、節20に記載の方法。
【0061】
22.液体が水性液体である、節21に記載の方法。
【0062】
23.その方法が、ある量の液体を密封性容器に装入することを含む、節21に記載の方法。
【0063】
24.液体の量が、医薬組成物を完全に溶解するのに必要な量より少ない、節21に記載の方法。
【0064】
25.その方法が、容器の密封後に容器の内容物の何らかの混合を含まない、前記節のいずれかに記載の方法。
【0065】
26.医薬組成物が液体である、前記節のいずれかに記載の方法。
【0066】
27.医薬組成物が固体である、前記節のいずれかに記載の方法。
【0067】
28.医薬組成物が錠剤である、節27に記載の方法。
【0068】
29.医薬組成物がカプセル剤である、節27に記載の方法。
【0069】
30.医薬組成物がパッチである、節27に記載の方法。
【0070】
31.その方法が、パッチを密封性容器に入れる前にパッチを折りたたむことを含む、節30に記載の方法。
【0071】
32.その方法が、パッチを密封性容器に入れる前に、ティッシュペーパーをパッチの接着層と接触させておくことを含む、節30に記載の方法。
【0072】
33.その方法が、容器を廃棄する前に密封容器をある保温期間中、保管することを含む、前記節のいずれかに記載の方法。
【0073】
34.保温期間が1日から7日までの範囲である、節33に記載の方法。
【0074】
35.その方法が、容器を地方自治体の衛生システムに廃棄することを含む、節33に記載の方法。
【0075】
36.下記のものを含むキット:
密封性容器;および
ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭。
【0076】
37.ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭が密封性容器の内側に存在する、節36に記載のキット。
【0077】
38.ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭が、密封性容器の内側の液体透過性エンクロージャーに内包されている、節36または37に記載のキット。
【0078】
39.キットがさらにある量の液体を含む、節36、37または38に記載のキット。
【0079】
40.キットがさらにティッシュペーパーを含む、前記節のいずれかに記載のキット。
【0080】
41.ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭を再封性容器に入れることを含む方法。
【0081】
42.ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭が、液体透過性エンクロージャーに内包されている、節41に記載の方法。
【0082】
43.その方法がさらに、ある量の乱用防止用忌避剤を再封性容器に入れることを含む、節41または42に記載の方法。
【0083】
44.その方法がさらに、ある量の賦形剤を再封性容器に入れることを含む、節41、42または43に記載の方法。
【0084】
45.賦形剤が、緩衝剤、二価カチオンの塩類、またはその組合わせからなる群から選択される、節44に記載の方法。
【0085】
46.ある量の医薬組成物を廃棄する際に使用するためのデバイスであって、
医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および
密封性容器の内側に存在するある量の不活性化物質であって、自由に流動する形態では存在しない不活性化物質
を含むデバイス。
【0086】
47.不活性化物質が活性炭である、節46に記載のデバイス。
【0087】
48.活性炭が粉末状、顆粒状またはペレット状で存在する、節47に記載のデバイス。
【0088】
49.ある量の不活性化物質が液体透過性パウチ内に存在し、あるいはある量の不活性化物質が容器の内面の少なくとも一部に接着されており、あるいはある量の不活性化物質が容器の内面の一部に液体透過性ライナーにより固定されており、あるいはある量の不活性化物質が固体支持体の表面に接着されている、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0089】
50.デバイスがさらに乱用防止用忌避剤を含む、前記節のいずれかに記載のデバイス。
【0090】
51.乱用防止用忌避剤を顆粒状活性炭と組み合わせた、節50に記載のデバイス。
【0091】
52.乱用防止用忌避剤が苦味剤である、節50に記載のデバイス。
【0092】
以下の実施例は説明のために提供され、限定のためではない。詳細には、以下の実施例は本発明を実施するための具体的態様である。それらの実施例は説明のためのものにすぎず、決して本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0093】
1.一般用医薬品失活システムの試験;A)溶液と直接接触する顆粒状活性炭を使用、およびB)水透過性内部パウチにそれ自体が内包された顆粒状活性炭を使用
A.方法
4mgのデキサメタゾン丸剤をモデル薬物として用い、30個の丸剤を、下記のものが内包された5つのパウチにそれぞれ入れた:1)吸収剤なし(対照);2)45グラムの一般的な猫砂;3)45グラムの使用済みコーヒーかす;4)MedsAway(商標)デザイン“A”:45グラムの自由に接近できる顆粒状活性炭(
図1Aに示すデバイスと同じであるが、内部パウチがなく、遊離した顆粒状活性炭を含む);および5)MedsAway(商標)デザイン“B”:内部の水透過性/カーボン不透過性パウチに内包された45グラムの顆粒状活性炭(
図1Aと同様)。1カップの水道水を各パウチに添加し、続いて7日間の保温期間を置く。水溶液に含有される薬物を分析する。最終洗出試験で、各パウチの含有物を1ガロンの水道水中に希釈し、1日間、定期的に混合し、水に放出されたデキサメタゾンをHPLCにより分析する。
【0094】
B.結果
この実験の結果を
図3にグラフで示す。MedsAwayデザイン“A”またはMedsAwayデザイン“B”のいずれにも測定可能なデキサメタゾンは放出されなかった。他のすべての条件で有意量のデキサメタゾンが放出された。
【0095】
以上の本発明は理解を明らかにする目的で具体的な説明および例によってある程度詳細に記載されているが、それに対して特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく特定の変更および改変をなしうることは、本発明の教示を考慮して当業者には容易に認められる。
【0096】
したがって、以上は本発明の原理を説明するものにすぎない。本明細書には明瞭に記載されてはいないけれども本発明の原理を具体化することができる、本発明の精神および範囲に含まれる多様な改変を当業者が考案できるであろうということは認識されるであろう。さらに、本明細書に列挙したすべての例示および条件を表わす言語は、主に、技術を拡張するために本発明者らが寄与した本発明の原理および概念を読者が理解する際の補助とするためのものであり、そのような具体的に列挙した例および条件に限定するものではないと解釈すべきである。さらに、本発明の原理、側面および態様を列挙した本明細書の記述、ならびにその具体例はすべて、それの構造および機能均等物を共に包含するものとする。さらに、そのような均等物には現在既知の均等物、および将来開発される均等物、すなわち構造に関係なく同じ機能を行なう開発されたいずれかの要素を共に含むものとする。したがって、本発明の範囲は本明細書に提示および記載した代表的態様に限定されないものとする。むしろ、本発明の範囲および精神は特許請求の範囲によって具体的に示される。