【解決手段】レーザ加工機(1)は、加工用レーザ(L1)を発するレーザ発振器(4)と、加工用レーザをワーク(W)に照射する照射光学系(15)と、複数のレーザ素子がアレイ状に配置され、複数のレーザ素子の出力によって照明用レーザ(L2)を発するレーザアレイ(5)と、照明用レーザによりワークを照明する照明光学系(25)と、照明用レーザにより照明されるワークを撮像する撮像部(6)と、を備える。
前記レーザアレイは、前記照明用レーザが前記照明光学系を経由して結像する焦点が前記ワークの表面と異なる位置に配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
前記照明光学系の光軸方向において、前記レーザアレイと前記照明光学系との相対的な位置関係を変更可能な位置変更部を備える、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
前記駆動部と前記レーザアレイとは、前記放熱部材を挟むように配置され、前記放熱部材を貫通する穴を経由する配線によって電気的に接続される、請求項12に記載のレーザ加工機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、各方向(例、X方向)において、矢印の向きを+側(例、+X側)と称し、その反対側を−側(例、−X側)と称する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るレーザ加工機1を示す図である。レーザ加工機1は、加工ヘッド2、ヘッド駆動部3、レーザ発振器4、レーザアレイ5、撮像部6、画像処理部8、制御部9、及び記憶部10を備える。レーザ加工機1は、例えば数値制御によって、ワークWに対して切断加工を施す。制御部9は、例えば数値制御プログラムに従って、レーザ加工機1の各部を包括的に制御する。
【0015】
加工ヘッド2は、ノズル11を有し、加工用レーザL1および照明用レーザL2は、ノズル11に形成される出射口(ノズル11に貫通されている貫通孔)の内側を通して、ワークWに向けて照射される。加工ヘッド2は、X方向、Y方向、及びZ方向の各方向において、ワークWと相対的に移動可能に設けられる。ヘッド駆動部3は、移動部12および光学系駆動部13を備える。ヘッド駆動部3は、制御部9に制御され、移動部12によって加工ヘッド2をX方向、Y方向、及びZ方向の各方向に移動させる。また、ヘッド駆動部3は、制御部9に制御され、ノズル11から照射される光の焦点を光学系駆動部13によって調整する。レーザ加工機1は、加工ヘッド2をワークWに対して相対的に移動させながら、加工ヘッド2のノズル11から加工用レーザL1をワークWに照射することで、切断加工を行う。
【0016】
レーザ発振器4は、加工用レーザL1として、例えば赤外レーザ光を発生する。加工ヘッド2の内部には、照射光学系15が設けられ、照射光学系15は、レーザ発振器4で発生した加工用レーザL1を、ワークWに向けて案内することにより、ノズル11の出射口を通してワークWに照射する。照射光学系15は、光ファイバ16、コリメータ17、ビームスプリッタ18、及び集光レンズ19を備える。光ファイバ16は、その一端(光入射側の端部)がレーザ発振器4と接続され、その他端(光出射側の端部)が加工ヘッド2に接続される。レーザ発振器4からの加工用レーザL1は、光ファイバ16を介して加工ヘッド2に導入される。
【0017】
コリメータ17は、レーザ発振器4からの加工用レーザL1を平行光に変換するか、もしくは平行光に近づける。コリメータ17は、例えば、その物体側(光入射側)の焦点(後述する照明側焦点)が光ファイバ16の光出射側の端部の位置と一致するように配置される。ビームスプリッタ18は、コリメータ17を通った加工用レーザL1が入射する位置に配置される。ビームスプリッタ18は、加工用レーザL1が反射し、かつ照明用レーザL2(後述する)が透過する特性を有する波長選択ミラー(例、ダイクロイックミラー)である。ビームスプリッタ18は、コリメータ17の光軸17aに対して、約45°の角度で傾斜している。ビームスプリッタ18は、+Z側に向かうにつれて+X側に向かうように傾いている。
【0018】
集光レンズ19は、ビームスプリッタ18からの加工用レーザL1が入射する位置に配置される。コリメータ17を通った加工用レーザL1は、ビームスプリッタ18で反射して光路がX方向からZ方向(−Z側)へ約90°折れ曲がり、集光レンズ19に入射する。集光レンズ19は、コリメータ17からの加工用レーザL1を集光する。ヘッド駆動部3の光学系駆動部13は、例えば集光レンズ19を、集光レンズ19の光軸19aに沿って移動させることで、照射光学系15のワーク側の焦点(後述するワーク側焦点)を調整可能である。ワークWの表面における加工用レーザL1のスポット径は、照射光学系15の焦点がワークWの表面から離れるほど(デフォーカス量が大きいほど)、大きくなる。ワークWの表面における加工用レーザL1のスポット径が変化すると、加工用レーザL1によって形成されるワークW上の切断溝の幅(カーフ幅、切断幅)が変化する。
【0019】
実施形態に係るレーザ加工機1は、ワークWを照明用レーザL2で照明しながら、ワークWを撮像することによって、加工状態に関する情報を取得可能である。レーザアレイ5は、照明用レーザL2として、加工用レーザL1と異なる波長の光を発する。また、レーザアレイ5は、後述する照明光学系25の一部(コリメータ26等)と共に、照明ユニット28として構成される(照明ユニット28の筐体内に格納される)。照明ユニット28は、加工ヘッド2に着脱自在に接続される。これにより、照明ユニット28を加工ヘッド2に接続する場合に、従来の半導体レーザと比較して軽量化された照明光源(レーザアレイ5)を含んだユニット構成であるため、持ち運びの負担が軽減される。
【0020】
図2(A)はレーザアレイ5の外観を示す図であり、
図2(B)は垂直共振器面発光型レーザの構造を概略して示す図である。
図2(A)に示すように、レーザアレイ5は、アレイ状に配置(配列)された複数のレーザ素子21を備える。レーザアレイ5は、複数のレーザ素子21の出力によって、照明用レーザL2を発する。複数のレーザ素子21は、それぞれ垂直共振器面発光型レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting LASER、以下VCSELという)である。以下、レーザ素子21を適宜VCSEL21という。複数のVCSEL21は、YZ面に平行な面に2次元的に(二次元状で)配置されている。複数のVCSEL21は、
図2(A)のように概ね円形の領域に配置されるが、矩形状あるいはライン状に配列されてもよく、その配列パターンは任意である。レーザアレイ5が備えるVCSEL21の数は任意であるが、例えば、1mm×1mmのチップに512個のVCSEL21が配列されたものがある。また、VCSELは、端面発光型レーザと比較して、高密度にアレイ化することが容易であり、半導体製造工程における素子分離前にウエハ上でテストできるため、劈開しないでも半導体レーザを製造でき、低コスト化できる。なお、垂直共振器面発光型レーザ素子は、当該レーザ素子が実装される基板面に直交する方向にレーザを出射する。端面発光型レーザ素子は、当該レーザ素子が実装される基板面に対して平行する方向にレーザを出射する。
【0021】
図2(B)に示すようにVCSEL21は、一対の共振ミラー22a、22bと、一対の共振ミラー22a、22bの間に配置される発光層23とを備える。一対の共振ミラー22a、22bのうち、アパーチャ(光出射開口)側の共振ミラー22aは、所定波長の光を反射する特性を有する。発光層23の各部は、駆動電力が供給されることで励起状態となり、基底状態に戻る際に光を発する。発光層23で発生した光のうち上記の所定波長の光は、一対の共振ミラー22a、22bのそれぞれで反射することにより、一対の共振ミラー22a、22bの間を何度も往復する。これにより、発光層23において誘導放出が発生し、そのゲインが1を超えることでレーザ発振する。共振ミラー22aの所定波長の光に対する反射率は、ゲインが1を超える範囲内で反射率が100%未満となるように設定され、レーザ発振によって生じた所定波長の照明用レーザL2の一部は、共振ミラー22aを通って、アパーチャから外部へ出射する。
【0022】
複数のVCSEL21のそれぞれから出射するレーザ光L2aの位相は、VCSEL21ごとに揃っているが、他のVCSEL21に対してはランダムであり、一般的に他のVCSEL21の位相とずれている。すなわち、複数のVCSEL21から出射する全体の照明用レーザL2は、レーザアレイ5に設けられるVCSEL21の数に応じた分散を有しており、単一のレーザ素子から出射するレーザ光と比較して、コヒーレンス(可干渉性)が低い。また、複数のVCSEL21のそれぞれから出射するレーザ光L2aの波長は、一対の共振ミラー22a、22bとの間の光学的距離、発光層23の組成などに依存する。上記の光学的距離、発光層23の組成等は、設計上の値が複数のVCSEL21で同一であっても製造誤差などによりばらつきを有する。そのため、複数のVCSEL21から出射する全体の照明用レーザL2は、単一のレーザ素子から出射するレーザ光と比較して、波長幅(例、半値幅)が広く、コヒーレンスが低い。
【0023】
図1の説明に戻り、加工ヘッド2の内部には、照明光学系25が設けられ、照明光学系25は、レーザアレイ5で発生した照明用レーザL2でワークWを照明する(照明用レーザL2を、ワークWに向けて案内することにより、ノズル11の出射口を通してワークWに照射する)。照明光学系25は、コリメータ26、ハーフミラー27、ビームスプリッタ18、及び集光レンズ19を備える。ここでは、照明光学系25は、ビームスプリッタ18および集光レンズ19が照射光学系15と共用であり、集光レンズ19を介して落射照明する。照明光学系25の光出射側の光軸(集光レンズ19の光軸19a)は、照射光学系15の出射側の光軸(集光レンズ19の光軸19a)と同軸であり、照明用レーザL2は、加工用レーザL1と同じ光路を通ってワークWに照射される。また、照明光学系25は、物体側の焦点(以下、照明側焦点と称する)と、照明側焦点から発した光が照明光学系25を介して集光する像側の焦点(以下、ワーク側焦点と称する)を有し、これらの焦点は光学的に共役な位置関係にある。よって、例えば、ワーク側焦点をワークWの表面に定め、対応する照明側焦点の位置に光源を配置することにより、照明光学系25を介してワークWの表面に集光できる。
【0024】
コリメータ26は、レーザアレイ5から照明用レーザL2が入射する位置に配置される。コリメータ26は、レーザアレイ5からの照明用レーザL2を平行光に変換するか、もしくは平行光に近づける。照明光学系25のワーク側焦点をワークの対象位置に合わせる場合、コリメータ26は、例えば、その照明側焦点がレーザアレイ5(
図2のVCSEL21)の位置と一致するように配置される。
【0025】
ハーフミラー27は、コリメータ26を通った照明用レーザL2が入射する位置に配置される。ハーフミラー27は、照明用レーザL2の一部が反射し、一部が透過する特性を有する反射透過部材である。ハーフミラー27は、例えば、照明用レーザL2のうち透過光の比率が約50%となり、反射光が約50%となるように、設定される。ハーフミラー27は、コリメータ26の光軸26aに対して、約45°の角度で傾斜している。ハーフミラー27は、+Z側に向かうにつれて−X側に向かうように傾いている。
【0026】
コリメータ26を通った照明用レーザL2の一部は、ハーフミラー27で反射して光路がX方向からZ方向(−Z側)へ約90°折れ曲がり、ビームスプリッタ18に入射する。上述のようにハーフミラー27は、集光レンズ19の光軸に対して一方向(例、+Z側に向かうにつれて−X側へ向かう方向)に傾いており、ビームスプリッタ18(波長選択ミラー)は、集光レンズ19の光軸に対してハーフミラー27が傾斜する方向と反対の方向(例、+Z側に向かうにつれて+X側に向かう方向)に傾いている。ビームスプリッタ18およびハーフミラー27を透過する光は、ビームスプリッタ18での屈折により光路がシフトし、ハーフミラー27での屈折により光路がシフトする。ビームスプリッタ18およびハーフミラー27との間で光軸19aに対する傾きが互いに反対である場合、ハーフミラー27での光路のシフトによって、ビームスプリッタ18での光路のシフトの少なくとも一部を相殺することができる。
【0027】
集光レンズ19は、ビームスプリッタ18から照明用レーザL2が入射する位置に配置される。集光レンズ19は、ビームスプリッタ18からの加工用レーザL1を集光する。ワークW上において照明用レーザL2が照射される照明領域は、ワークW上において加工用レーザL1が照射される照射領域を含むように、設定される。また、レーザアレイ5のサイズ及び照明光学系25の光学倍率に基づき定まるレーザアレイ5の照明する領域(以下、投影領域と称する)は、ノズル11の出射口の全域(照明用レーザL2の出射方向に直交する断面の全域)を内包するように設定されるように、レーザアレイ5及び照明光学系25が構成される。
【0028】
図3は、照明光学系の光学倍率に関する説明図である。上記投影領域のサイズD2は、レーザアレイ5のサイズD1(VCSEL21が配列される領域のサイズ)、コリメータ26の焦点距離f1、及び集光レンズ19の焦点距離f2に依存し、以下の式(1)で決定される。また、式(1)において、光学倍率はf2/f1である。
D2≒(f2/f1)×D1 ・・・(1)
このため、D2がD1より大きい場合に、D1やf1を設定することによって、レーザアレイ5の位置決め等の機械的誤差(位置ずれ)、或いは、ビームスプリッタ18の光軸のシフトがあっても、ワークWの観察したい部位を照明用レーザL2で照明できる。
図3(B)には、照明光学系25の光学倍率を変更した際の投影領域PR1〜PR5とノズル11の出射口領域APとの関係を示した。なお、照明光学系25の光学倍率は、例えば、異なるf1のコリメータ26を選定することで変更される。投影領域PR1〜PR5のうち、投影領域PR1は光学倍率が最も低倍率であり、PR2、PR3、PR4、PR5の順に光学倍率が高倍率である。一方で、D2を大きくするために、f1を小さく設定し過ぎると、照明ムラが大きくなり、ワークWの観察に悪影響を及ぼす。また、D2を大きくするために、D1を大きく設定し過ぎると、駆動電流の増大によりエネルギー効率が低下する。従って、f2に応じた適切なf1、D1を選択することが望ましい。なお、ノズル11の出射口ではなく、例えばワークの観察部位自体を上記投影領域の包含関係の基準としてもよい。この場合には、経験則も踏まえてワークの観察部位のサイズを定め、上記投影領域がカバーできるようにすればよい。
【0029】
撮像部6は、撮像光学系31および撮像素子32を備える。撮像部6は、照明用レーザL2の照明によりワークWから放射される光を、撮像光学系31を介して撮像素子32によって検出する。撮像光学系31は、集光レンズ19、ビームスプリッタ18、ハーフミラー27、波長選択フィルタ33、及び結像レンズ34を備える。撮像光学系31は、集光レンズ19、ビームスプリッタ18、及びハーフミラー27が照明光学系25と共用であり、撮像部6の撮像画像を用いると照明光学系25と同軸でワークを観察することが可能である。
【0030】
ワークWからの光(以下)、戻り光という)は、集光レンズ19を通ってビームスプリッタ18に入射する。戻り光は、例えば、照明用レーザL2のうちワークWで反射散乱した光、及び加工用レーザL1のうちワークWで反射した光を含む。ビームスプリッタ18に入射した戻り光のうち照明用レーザL2に由来する光は、ビームスプリッタ18を通って、ハーフミラー27に入射する。また、ビームスプリッタ18に入射した戻り光のうち加工用レーザL1に由来する光は、ビームスプリッタ18で反射し、ビームスプリッタ18からハーフミラー27に向かう光路から除かれる。
【0031】
なお、加工用レーザL1の照射によってワークWが溶融した溶融金属がワークWの表面などに存在する場合、戻り光は、溶融金属から放射される赤色から近赤外の波長帯の光を含む。また、加工用レーザL1の照射によるワークWの溶融・蒸発に伴いプラズマが発生した場合、戻り光は青色から紫外の波長帯の光を含む。溶融金属あるいはプラズマに起因する光のうち、加工用レーザL1と異なる波長の光は、ビームスプリッタ18を通って、ハーフミラー27に入射する。
【0032】
ハーフミラー27に入射した戻り光は、その一部がハーフミラー27を通って波長選択フィルタ33に入射し、その一部がハーフミラー27で反射する。波長選択フィルタ33は、照明用レーザL2の照明によりワークWで反射される第1波長帯の光を反射する特性を有する。また、波長選択フィルタ33は、加工用レーザL1の照射によりワークWから放射される第2波長帯の光を透過する特性を有する。波長選択フィルタ33は、例えばダイクロイックミラー或いはノッチフィルターである。なお、透過した第2波長帯の光を、例えば、光量センサ等の別途の検出手段によって検出し、カーフ幅とは異なる点で加工状態を計測してもよい。
【0033】
図4は、波長選択フィルタ33の特性を示す図である。
図4において、横軸は波長であり、縦軸は、波長選択フィルタ33の各波長に対する透過率である。波長選択フィルタ33の反射波長帯R1(第1波長帯)は、例えば、照明用レーザL2の波長に対する光強度の分布において最大となる波長を含む狭帯域に設定される。
【0034】
図1の説明に戻り、上記戻り光のうち、照明用レーザL2に由来する光は、波長選択フィルタ33で反射し、結像レンズ34に入射する。これにより、上記戻り光に含まれる上記外乱光を遮断できるので、画像のS/N比が向上する。結像レンズ34は、波長選択フィルタ33で反射した光を撮像素子32に集光する。結像レンズ34および集光レンズ19は、ワークWの像を撮像素子32に投影する。
【0035】
撮像素子32は、例えばCCDあるいはCMOSのイメージセンサが用いられ、撮像光学系31が形成した像を撮像する。撮像素子32には二次元的に配列された複数の画素が設けられ、各画素にはフォトダイオードなどの受光素子が設けられる。撮像素子32は、受光素子に光が入射することにより各画素に発生する電荷(信号)を順に読出し、この信号を増幅、A/D変換して画像形式に配列することで、撮像画像のデジタルデータ(以下、撮像画像データという)を生成する。撮像素子32は、生成した撮像画像データを画像処理部8に出力する。
【0036】
ここでは、撮像素子32は、アライメント装置35に保持されており、アライメント装置35によって撮像光学系31に対する位置を調整可能である。例えば、結像レンズ34の光軸34aと平行な方向(X方向)において撮像光学系31の焦点(像面の位置)が撮像素子からずれた場合、アライメント装置35によって撮像素子32を移動させることで、撮像素子32の位置を撮像光学系31の焦点に合わせることができる。
【0037】
画像処理部8は、撮像素子32と有線または無線によって通信可能に接続される。画像処理部8は、撮像素子32の撮像結果(撮像画像データ)を処理する。ここでは、画像処理部8は、撮像素子32の制御部を兼ねている。画像処理部8は、制御部9と有線または無線によって通信可能に接続され、制御部9から撮像を実行する旨の指令を受け取る。画像処理部8は、制御部9からの指令に応じて、撮像素子32に撮像を実行させる。また、画像処理部8は、撮像素子32から撮像画像データを取得し、撮像画像データを用いた画像処理によって加工状態に関する情報を生成する。例えば、画像処理部8は、加工用レーザL1を用いた切断加工におけるカーフ幅を測定し、その測定結果を加工状態に関する情報として制御部9に供給する。画像処理部8は、例えば、カーフ幅を検出する際に、撮像素子32が撮像した画像を処理し、レーザ加工による切断溝のエッジに相当するエッジの位置を検出した後、画像上のエッジ間の距離(例、ピクセル単位)を実スケールの距離(例、mm単位)に変換する。
【0038】
本実施形態においては、照明用レーザL2の光源として複数のVCSEL21(
図2参照)が配列されたレーザアレイ5を用いるので、照明用レーザL2のコヒーレンスが低下しており、撮像素子32による撮像画像に干渉縞、スペックルパターンが写り込むことが低減される。そのため、画像処理部8は、撮像画像を用いた画像処理によって、加工状態に関する情報(例、カーフ幅)を高精度に検出することができる。
【0039】
ところで、VCSEL21においては、単位面積あたりの照度が高く、出射光が狭いため(高い平行度を有するため)、
図2に示したように、複数のVCSEL21が配列されることによって、レーザアレイ5において照明用レーザL2が出射する端面では、光の強度分布は、各VCSEL21の位置ごとに極大を有する不均一な分布になる。そのため、照明光学系25のワーク側焦点が、ワークWの表面の位置と一致すると、光源であるレーザアレイ5がそのまま投影されるため、ワークWの表面の照度が不均一になる。そこで、本実施形態では、レーザアレイ5は、照明光学系25のワーク側焦点と光学的に共役な照明側焦点からはずれた位置に配置されるようにした。換言すれば、レーザアレイ5が発する照明用レーザL2が照明光学系25を経由して結像する焦点がワークWの表面と異なる位置に、レーザアレイ5を配置する。これにより、レーザアレイ5における照明用レーザL2の光強度分布を均一にならすことができるため、撮像素子32の撮像画像を観察しやすくできる。
【0040】
図5は、本実施形態に係るレーザアレイ5および照明光学系25の一部(照明ユニット28としてユニット化される)を示す図である。
図5(A)には、レーザアレイ5が照明光学系25の照明側焦点F1から外れた位置に配置された状態を示し、
図5(B)には、レーザアレイ5が照明光学系25の照明側焦点F1の位置に配置された状態を示した。コリメータ26は、筒状のケース41(鏡筒)に固定されており、レーザアレイ5は、ケース41に対してスライド可能に設けられている。以下、詳しく説明する。
【0041】
本実施形態において、レーザアレイ5およびその駆動部42(ドライバ)は、放熱部材43に取り付けられている。放熱部材43は、駆動部42とレーザアレイ5とにそれぞれ接触している。放熱部材43は、例えば、アルミニウム、銅などのように熱伝導率が高く、熱容量が小さい材質からなる。放熱部材43は、本体部44、収容部45、及びフィン46を備える。本体部44、収容部45、及びフィン46は、鋳造などによって一体成型されたものでもよいし、溶接などで互いに接合されて分解不能に一体化されたものでもよく、ボルトなどで互いに接合されて分解可能に一体化されたものでもよい。
【0042】
本体部44は、回転体の形状であり、一方の面44a、その反対を向く面44bとを有する。レーザアレイ5は、面44aにマウントされており、本体部44と接触している。駆動部42は、レーザドライバIC42aとプリント基板42bと不図示の電子部品等から構成される。レーザドライバIC42aは、レーザアレイ5を例えば定電流パルス駆動するためのICであり、プリント基板42b上に実装されており、本体部44(面44b)と接触している。駆動部42(プリント基板42b)は、固定部材48によって本体部44と固定されている。このように、駆動部42とレーザアレイ5とは、例えば、放熱部材43の本体部44を挟むように配置される。なお、レーザアレイ5と面44aとの間、及び、駆動部42と面44bとの間の少なくとも一部に隙間ができないように、熱伝導性のペーストを塗布してもよく、放熱シートを挟んでもよい。また、放熱部材43が、レーザアレイ5のマウントと、駆動部42のケースを兼用していることにより、照明ユニット28の小型、軽量化に効果がある。
【0043】
本体部44には、面44aと面44bとに通じる貫通孔44cが形成されており、駆動部42とレーザアレイ5とは、放熱部材43の本体部44の内部(貫通孔44c)を経由する配線49によって電気的に接続される。駆動部42は、画像処理部8(
図1参照)によって制御され、レーザアレイ5に対して配線49を介して電力(電流)を供給することで、レーザアレイ5のVCSEL21を駆動する。加工ヘッド2に対してワークWは相対的に高速で移動しているため、加工状態を高精度に把握するためには、短時間の露光で撮影することが望ましい。このため、レーザアレイ5を大電流でパルス駆動することが要求される。上記の構成により、配線49を最短経路にできるので、抵抗成分や誘導負荷成分が小さくなり、レーザドライバIC42aによるレーザアレイ5の駆動電流の立ち上がり特性が俊敏になるため、大電流のパルス駆動に対して良好な性能を得ることができる。収容部45は、本体部44の面44b側の端部を囲む枠状(環状)の部分である。駆動部42は収容部45の内側に配置され、収容部45は、駆動部42の収容ケースを兼ねている。フィン46は、収容部45の外周面から放射状に複数設けられ、放熱部材43の表面積を増加させることで放熱性を高める。放熱部材43は、例えば自然空冷であるが、ファンモータを設けて、強制空冷してもよい。又は、放熱部材43は、水冷などのように熱媒体を介して放熱するものでもよい。
【0044】
本体部44は、面44aをコリメータ26に向けた姿勢で、ケース41の内側に挿入されている。本体部44は、取付部材51によって、ケース41に取り付けられている。ケース41には、コリメータ26の光軸26aと平行な方向(X方向)に延びるスリット52が形成されており、取付部材51は、スリット52の内側を通して本体部44と固定されている。また、取付部材51の端部(頭部)は、スリット52の幅よりも大きく、コリメータ26の光軸26aと交差する方向(Y方向、Z方向)においてケース41に対する本体部44のガタつきを抑制する。放熱部材43は、X方向の力が加わることで、取付部材51がスリット52の内側を移動する。放熱部材43の可動範囲は、スリット52のサイズにより規定される。
【0045】
例えば、
図5(A)において、取付部材51は、スリット52の+X側の端に接している。この状態において、レーザアレイ5において照明用レーザL2が出射する位置P1と、コリメータ26の照明側焦点F1との距離(デフォーカス量)が最大になる。また、
図5(B)において、レーザアレイ5は
図5(A)よりも−X側に移動しており、取付部材51は、スリット52の−X側の端に接している。この状態において、レーザアレイ5において照明用レーザL2が出射する位置P1と、コリメータ26の照明側焦点F1とがほぼ同じ位置になり、デフォーカス量が最小になる。このように、レーザアレイ5(VCSEL21)は、照明光学系25のワーク側焦点と光学的に共役な焦点(照明側焦点F1)との相対的な位置関係が可変なように取り付けられる。ここでは、レーザアレイ5(VCSEL21)をコリメータ26(照明光学系25)に対してスリット52(位置変更部)を介して移動可能にすることで、レーザアレイ5と照明側焦点F1(照明光学系25)との相対的な位置関係を可変にしている。なお、コリメータ26をレーザアレイ5(VCSEL21)に対して移動可能にしてもよい(後に
図7で説明する)。
【0046】
図1の説明に戻り、画像処理部8は、レーザアレイ5の制御部を兼ねている。画像処理部8は、レーザアレイ5の駆動部42(
図5に示す)と有線または無線によって通信可能に接続される。画像処理部8は、撮像素子32が撮像を実行するタイミングと同期してレーザアレイ5から照明用レーザL2が出射するように、レーザアレイ5を発光させるための制御信号をレーザアレイ5の駆動部42に供給する(後述するパルス駆動によりレーザアレイ5が駆動する)。駆動部42は、この制御信号が有効な期間のみレーザアレイ5を定電流駆動することによりレーザ光を照射させる。例えば、制御信号はパルス状であり、画像処理部8は、レーザアレイ5に関する各パルスの立ち上がりから立下りまでの期間(1つのパルス幅の期間)の少なくとも一部が、撮像素子32が電荷を蓄積する期間(電荷蓄積期間)と重複するように、撮像素子32に撮像を実行させる。1つのパルス幅の期間は、電荷蓄積期間以下とすることが望ましいが、同じ長さでもよいし、電荷蓄積期間よりも長くてもよい。なお、画像処理部8は、撮像素子32とレーザアレイ5との少なくとも一方を制御しなくてもよく、例えば、制御部9は、画像処理部8の代わりに撮像素子32とレーザアレイ5との少なくとも一方を制御してもよい。なお、レーザアレイ5を駆動させる制御信号は、撮像素子32から駆動部42に供給してもよい。
【0047】
次に、上述のレーザ加工機1の構成に基づき、実施形態に係るレーザ加工方法について説明する。
図6は、制御部9および画像処理部8の動作を示すシーケンス図である。制御部9は、ステップS1において加工準備(前処理)を行う。例えば、制御部9は、ワークWをロードさせ、アシストガスの準備を行う。制御部9は、ステップS2において、測定の開始指令を画像処理部8に送信する。画像処理部8は、ステップS3において、開始チェックに開始指令を反映させる。開始チェックは、例えば、開始指令を受けたか否かを示すフラグである。例えば、開始チェックのフラグは、開始指令を受けていない状態で「0」であり、ステップS2の開始指令が受信されることで、開始指令を受けた状態を表す「1」に切り替わる。
【0048】
制御部9は、ステップS4において加工を開始させる。例えば、制御部9は、アシストガスの噴射を開始させ、また、レーザ発振器4から加工用レーザL1を出力させることで、照射光学系15からワークWに加工用レーザL1を照射させる。また、制御部9は、ヘッド駆動部3によって加工ヘッド2を移動させ、ワークWにおいて加工用レーザL1が照射される位置を制御する。
【0049】
画像処理部8は、ステップS5において、測定を開始するか否かを判定する。例えば、画像処理部8は、ステップS3の開始チェックのフラグが開始指令を受けていない状態であることを示す場合に測定を開始しないと判定(ステップS5;No)し、ステップS3の処理へ戻る。画像処理部8は、ステップS3の開始チェックのフラグが開始指令を受けた状態であることを示す場合に測定を開始すると判定する(ステップS5;Yes)。すなわち、画像処理部8は、制御部9から測定の開始指令を受けるまで、ステップS5の処理を繰り返し行い、待機する。
【0050】
画像処理部8は、測定を開始すると判定した場合(ステップS5;Yes)、画像処理部8は、ステップS6において、レーザアレイ5を発光可能な状態に準備させる。画像処理部8は、ステップS7において、撮像部6を初期化する。例えば、画像処理部8は、ステップS7において、撮像部6のシャッタ速度などの撮像条件を設定し、撮像部6を撮像可能な状態に準備させる。
【0051】
制御部9は、ステップS8において、モード指定を画像処理部8に供給する。モード指令は、加工状態を測定するモードを指定する指令である。ここでは、測定のモードが2種類であるものとし、1つの測定のモードがカーフ幅を測定するモード(以下、カーフ幅測定モードという)であり、もう1つの測定のモードが他の項目の測定を行うモード(以下、他の測定モードという)であるものとして説明する。なお、測定のモードは、1種類でもよいし、3種類以上でもよい。
【0052】
ステップS9において、画像処理部8は、モード指令により指定されている測定のモードをチェックし、ステップS10において、いずれの測定のモードを実行するかを判定する。例えば、画像処理部8は、モードチェックに表された測定のモードがカーフ測定モードであるか否かを判定する。画像処理部8は、制御部9から指定された測定のモードがカーフ測定モードである場合にカーフ測定モードを実行すると判定し(ステップS10;Yes)、モードチェックに表された測定のモードがカーフ測定モードでない場合に他の測定モードを実行すると判定する(ステップS10;No)。
【0053】
画像処理部8は、カーフ測定モードを実行すると判定した場合(ステップS10;Yes)、ステップS11において、カーフ測定モードを実行する。ステップS11におけるステップS12において、画像処理部8は、ワークWの画像を取得させる。例えば、画像処理部8は、撮像素子32に撮像を実行させる指令を送信し、撮像素子32から撮像画像データを取得する。画像処理部8は、ステップS12において、レーザアレイ5を発光させるための制御信号を駆動部42に供給する。駆動部42は上記制御信号が有効な期間のみレーザアレイ5を定電流駆動することでレーザ光を発生させる。S13において、画像処理部8は、カーフ幅を測定する。画像処理部8は、撮像素子32から取得した撮像画像データを用いた画像処理によって、カーフ幅を測定する。ステップS14において、画像処理部8は、ステップS13において測定したカーフ幅の測定値を出力する。例えば、画像処理部8は、カーフ幅の測定値を制御部9に送信し、制御部9は、ステップS16においてカーフ幅の測定値を画像処理部8から取得する。制御部9は、例えば、画像処理部8から取得した加工状態の情報(例、カーフ幅の測定値)を、加工中のワークWの加工位置情報(例えば、加工ヘッド2のXYZ座標値)と関連付けて、記憶部10に記憶させる。なお、画像処理部8は、測定結果を出力しなくてもよく、例えば、画像処理部8の内部の記憶部(不図示)或いは記憶部10等に測定結果を記憶させてもよい。また、画像処理部8は、ステップS10において他の測定モードが指定された場合、ステップS17において他の測定モードを実行する。
【0054】
制御部9は、ステップS18において、加工を終了するか否かを判定する。例えば、制御部9は、数値制御プログラムに定められた全ての工程が終了した場合に、加工を終了すると判定し(ステップS18;Yes)、数値制御プログラムに定められた工程の一部が終了していない場合に、加工を終了しないと判定する(ステップS18;No)。制御部9は、加工を終了しないと判定した場合(ステップS18;No)、残りの工程を実行させ、またステップS16に戻る。制御部9は、加工を終了すると判定した場合(ステップS18;Yes)、ステップS19において画像処理部8に終了指令を送信する。画像処理部8は、ステップS20において、終了チェックに終了指令を反映させる。終了チェックは、例えば、終了指令を受けたか否かを示すフラグである。例えば、終了チェックのフラグは、終了指令を受けていない状態で「1」であり、ステップS19の終了指令が受信されることで、終了指令を受けた状態を表す「0」に切り替わる。
【0055】
画像処理部8は、ステップS21において、測定を終了するか否かを判定する。ステップS20の終了チェックのフラグが終了指令を受けていない状態であることを示す場合に測定を終了しないと判定(ステップS21;No)し、ステップS10に戻り(図中「A」で表す)、ステップS10以降の処理を繰り返し行う。画像処理部8は、ステップS20の終了チェックのフラグが終了指令を受けた状態であることを示す場合に測定を終了すると判定(ステップS21;Yes)し、ステップS22において撮像部6の撮像動作を終了させる。また、画像処理部8は、ステップS23において、照明を消灯させる。例えば、画像処理部8は、レーザアレイ5の駆動を停止させる指令を駆動部42に送信する。制御部9は、ステップS24において加工を終了する。
【0056】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図7は、本実施形態に係るレーザアレイ5、照明光学系25の一部、及び放熱部材43Bを示す図である。本実施形態において、放熱部材43Bは、固定部材61によってケース41に固定されている。すなわち、レーザアレイ5は、放熱部材43Bを介してケース41に固定されている。コリメータ26(照明光学系25)は、後述するスリット64(位置変更部)を介してレーザアレイ5に対して移動可能である。
【0057】
コリメータ26は、保持部材62に保持されている。保持部材62は、ケース41の内側に挿入されている。保持部材62は、コリメータ26の光軸26aと平行な方向(X方向)において、ケース41に対してスライド可能である。保持部材62は、取付部材63によって、ケース41に取り付けられている。ケース41には、コリメータ26の光軸26aと平行な方向(X方向)に延びるスリット64が形成されており、取付部材63は、スリット64の内側を通して保持部材62と固定されている。また、取付部材63の端部(頭部)は、スリット64の幅よりも大きく、コリメータ26の光軸26aと交差する方向(Y方向、Z方向)においてケース41に対する保持部材62のガタつきを抑制する。取付部材63がスリット64の内側をX方向に移動すると、保持部材62に保持されたコリメータ26は、ケース41に対してX方向に移動する。コリメータ26の可動範囲は、スリット64のサイズにより規定される。
【0058】
例えば、
図7(A)において、取付部材63は、スリット64の−X側の端に接している。この状態において、レーザアレイ5において照明用レーザL2が出射する位置P2と、コリメータ26の照明側焦点F1との距離(デフォーカス量)が最大になる。また、
図7(B)において、レーザアレイ5は
図7(A)よりも+X側に移動しており、取付部材63は、スリット64の+X側の端に接している。この状態において、レーザアレイ5において照明用レーザL2が出射する位置P2と、コリメータ26の照明側焦点F1とがほぼ同じ位置になり、デフォーカス量が最小になる。このように、レーザアレイ5(VCSEL21)は、例えば、照明光学系25のワーク側焦点と光学的に共役な焦点(照明側焦点F1)との相対的な位置関係が可変なように取り付けられる。
【0059】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図8は、本実施形態に係るレーザアレイ5、照明光学系25の一部、放熱部材43、拡散部材65、及び絞り部材66を示す図である。レーザアレイ5、照明光学系25の一部、及び放熱部材43については、
図4あるいは
図7と同様でよい。
【0060】
本実施形態において、レーザアレイ5とワークW(
図1参照)との間の光路には、拡散部材65が配置される。拡散部材65は、レーザアレイ5と照明光学系25(コリメータ26)との間の光路に配置される。拡散部材65は、例えば、コリメータ17までの距離と比べて、レーザアレイ5までの距離が短くなるように配置されてもよい。
図8では、拡散部材65は、ケース41に固定されているが、レーザアレイ5との相対的な位置関係が調整可能に構成されていてもよい。レーザアレイ5からの照明用レーザL2を拡散する。拡散部材65は、例えばすりガラスなどでもよいし、回折格子などでもよい。
【0061】
図2を参照して説明したように、レーザアレイ5は、複数のVCSEL21が配列されており、レーザアレイ5において照明用レーザL2が出射する端面では、光の強度分布は、VCSEL21の位置ごとに高い照度部分を有する不均一な分布になる。本実施形態においては、複数のVCSEL21からの照明用レーザL2は、拡散部材65で拡散され、ワークW上での照度が均一化される。なお、レーザアレイ5(VCSEL21)は、第1実施形態あるいは第2実施形態と同様に、コリメータ26と相対的に移動可能でもよいし、コリメータ26との相対位置が固定でもよい。
【0062】
また、本実施形態において、拡散部材65と照明光学系(コリメータ26)との間の光路に絞り部材66が配置される。絞り部材66は、拡散部材65で拡散された照明用レーザL2のうち、コリメータ26の外側に向かう光を遮るように、開口の寸法が設定される。絞り部材66は、例えば拡散部材65と一体化され、ケース41に固定される。
【0063】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図9は、照明用レーザの焦点を示す図である。本実施形態では、照明用レーザL2が照明光学系25を経由して結像する焦点(ワーク側焦点)のデフォーカスをより詳しく述べる。
【0064】
本実施形態では、レーザ加工機1は、ワークWを規定の支持面により支持する支持部材70を備える。支持部材70は、
図9で示すように、複数の針状の棒で構成され、これら針状の棒の先端が一体となって規定の支持面を形成する剣山である。
【0065】
ここで、レーザ加工機1は、各種の加工条件(例えば、ワークWの材質等のパラメータが含まれる)に基づき任意のワークWにレーザ加工を施す。レーザ加工が施される際に、加工条件に応じて、ワーク表面と加工ヘッドの先端との間隔(以下、ノズルギャップと称する)等が設定される。このため、照明用レーザF2が結像する焦点をワーク表面から加工ヘッド側に外した場合であっても、加工条件の変更に伴いノズルギャップも変更されると、ワーク表面に焦点が位置してしまうことがありえる。なお、レーザ加工機1は、ノズルギャップを測定する検出部を有し、検出部の検出値に基づいて、任意のノズルギャップになるように加工ヘッドを駆動可能である。
【0066】
本実施形態では、上記の事情を考慮し、照明用レーザF2の焦点が加工ヘッド2の内部(ノズル11の内部も含まれる)に収まる位置(ワーク表面よりノズル側にある位置)に、レーザアレイ5を配置する。例えば、加工ヘッド2の内部において、ノズル11の先端と集光レンズ19との間に、照明用レーザF2の焦点が位置する。これにより、ノズルギャップの変動に関らず、ワークに対して、レーザアレイ5の照明用レーザL2の光強度分布を確実にならす(平坦化する)ことができる。また、レーザ加工機1は、加工条件等に応じて、光学系駆動部13が光軸19aに沿って集光レンズ19を移動させる。よって、集光レンズ19の移動範囲のうちで最もワークW側に集光レンズ19が近接する近接位置と、ノズル11の先端との間に、照明用レーザF2の焦点が位置するように、レーザアレイ5を配置することが望ましい。これにより、適切に照明用レーザF2を集光レンズ19に通過させた上で、確実に、照明用レーザF2をワーク表面とは異なる位置に集光させることができる。
【0067】
なお、本実施形態以外の態様で構成することも可能である。例えば、レーザ加工機1において、加工ヘッド側(ノズル側)の位置、かつ加工ヘッド2の内部に収まらない位置で、レーザアレイ5を配置してもよい。特に、加工条件等に応じて設定される全てのノズルギャップのうち最小のノズルギャップ内(最もノズル11に近接するワークWの表面とノズル11の先端との間)に、照明用レーザF2の焦点が位置した状態で、レーザアレイ5を配置してもよい。この場合でも、ノズルギャップの変動に関らず、確実に、照明用レーザF2の焦点をワークWに対してデフォーカスできる。あるいは、ワーク表面より支持部材70側(加工ヘッド2の反対側)に、照明用レーザF2の焦点が位置した状態で、レーザアレイ5を配置してもよい。この場合でも、ワークWを超えて支持部材70側に照明用レーザF2の焦点が位置するため、確実にワークに対してデフォーカスすることが可能である。ただし、加工ヘッド2から支持部材70まで一定の距離があるため、加工ヘッド側に配置する場合に比べて、物理的な制約を受けやすい。
【0068】
上述の実施形態において、制御部9は、例えばコンピュータシステムを含む。制御部9は、記憶部10に記憶されている制御プログラムを読み出し、この制御プログラムに従って各種の処理を実行する。この制御プログラムは、例えば、コンピュータに、加工用レーザを発生させて加工用レーザをワークに照射させる制御と、複数の垂直共振器面発光型レーザが配列されたレーザアレイから照明光を発生させて照明光によりワークを照明させる制御と、照明光により照明されるワークを撮像させる制御と、を実行させる。この制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
【0069】
なお、上述の実施形態において、照明光学系25は、撮像光学系31と同軸で照明用レーザL2により落射照明するが、例えば、撮像光学系31の光軸(集光レンズ19の光軸19a)に対して、斜方から照明用レーザL2によって照明してもよい。また、波長選択フィルタ33は、照明用レーザL2の波長帯(第1波長帯)の光が透過し、その他の波長帯(第2波長帯)の光が反射する特性を有するものでもよい。この場合、撮像素子32は、波長選択フィルタ33の透過側に配置される。
【0070】
なお、上述の実施形態において、レーザ加工機1は切断加工を行うが、レーザ加工として溶接を行うもの、マーキング加工を行うもの、切断加工およびマーキング加工を行うものに適用することもできる。また、レーザ加工機1は、レーザ加工およびパンチ加工を行う複合機の一部であってもよい。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。