(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-193036(P2017-193036A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】組立装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20170929BHJP
B25J 13/00 20060101ALN20170929BHJP
【FI】
B23P19/06 M
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-86433(P2016-86433)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 文男
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 拓夫
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707BS06
3C707FS01
3C707HT20
3C707LS00
3C707MT04
3C707NS24
(57)【要約】
【課題】吸着したねじを所定の作業ポイントまで確実に移載できる組立装置の提供。
【解決手段】ねじに係合するビット63を内包しかつビット63に対して相対移動可能なスクリューガイド68と、スクリューガイド68内へねじを吸引する吸引手段と、スクリューガイド68をワークへ接近離可能な往復移動手段5と、スクリューガイド68を水平方向へ移動可能な水平移動手段2と、往復移動手段5および水平移動手段2へ指令を送る制御装置4とを備える。制御装置4は、スクリューガイド68およびビット63を一段階下降させた後、ワークWの作業ポイントPの上空へ水平移動させ、さらにもう一段階下降させる制御を行う。このように、スクリューガイド68が立設する壁面に沿って水平移動して作業ポイントPの上空まで移動できるので、コ字状の壁面を備えたワークWのなど狭所へのねじ締めが良好に行える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望部品に係合する工具と、この工具を内包するとともに前記工具に対して相対移動可能なスクリューガイドと、このスクリューガイド内へ前記部品を吸引可能な吸引手段と、前記工具およびスクリューガイドをワークへ接近あるいは離反する方向に移動自在な往復移動手段と、前記工具およびスクリューガイドを水平方向へ移動自在な水平移動手段と、前記往復移動手段および前記水平移動手段へ動作指令を送る制御装置とを備え成る組立装置において、
前記制御装置は、前記往復移動手段へ動作指令を送り前記スクリューガイドおよび工具を第一の目標位置へ垂直移動させた後、前記水平移動手段へ動作指令を送り前記スクリューガイドおよび工具を第二の目標位置であるワークの作業ポイント上空へ水平移動させ、この後、前記往復移動手段へ動作指令を送り前記スクリューガイドの先端をワークに当接させこの当接したスクリューガイドに対して前記工具を相対移動するよう制御して成ることを特徴とする組立装置。
【請求項2】
前記スクリューガイドは、前記作業ポイントから所定の距離を空け対向に立設する両壁面の間隔よりも短い外径を備えて成り、
前記制御装置は、前記スクリューガイドを前記両壁面に沿わせ水平移動するよう制御して成ることを特徴とする請求項1に記載の組立装置。
【請求項3】
前記工具は、所定の回転数およびトルクによって回転駆動可能なモータに接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組立装置。
【請求項4】
前記往復移動手段は、前記工具およびスクリューガイドを支持する支持部材と、この支持部材に取り付けられ回転自在な可動ナットと、この可動ナットに螺合し前記スクリューガイドの延びる方向と平行に配されたボールねじ軸と、このボールねじ軸を回転駆動するとともにボールねじ軸の回転角度に応じたパルスを前記制御装置へ出力するACサーボモータとを備えて成ることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着した部品を所定の作業ポイントまで確実に移載可能な組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の組立装置は、特許文献1に示すように、部品の一例であるねじを一時的に保持するチャックユニットと、このチャックユニットに対して相対的に往復移動可能かつ回転自在なビットとを備えて成り、さらに、前記チャックユニットを移動途中で一旦停止させるための第1ストッパと、一旦停止したチャックユニットを水平移動させるスライドユニットと、前記第1ストッパの解除後再下降するチャックユニットをワークに近接する位置で停止させるための第2ストッパとを備えて成る。
【0003】
この従来の組立装置は、前記チャックユニットおよび前記ビットの下降途中で前記第1ストッパを作動させ、前記スライドユニットを作動させる。これにより、下降途中の前記チャックユニットおよび前記ビットは、前記ワークに設けられた作業ポイント上空へ水平移動し、この後、前記第1ストッパの解除によって再び下降する。また、前記第2ストッパは、再下降したチャックユニットのみをワークの表面から若干の隙間を空けて下降停止させる。よって、前記ビットは、停止した前記チャックユニットに対して相対移動してチャックユニットに保持されたねじを作業ポイントに締付ける。
【0004】
このように、従来の組立装置は、チャックユニットをワークの表面に近接する下降前に水平方向へ移動可能なため、上方へ突出した突起部を備えたワークへのねじ締めを可能とする。つまり、ワークの突起部へ向かって下降するチャックユニットが突起部上面に衝突し難いため、チャックユニット内に保持したねじを作業ポイントへ確実に移載でき、ねじ締め作業を行えるという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-156650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の組立装置は、作業ポイントをコ字状に取り囲む突起部を備えたワークであると、前記スライドユニットによって水平方向に移動するチャックユニットが前記突起部の側面開口部の間口から入り込めずこの突起部に干渉するという問題があった。このため、従来の組立装置は、水平方向へ移動するチャックユニットによりワークを水平方向へ押出し正規の位置から位置ズレさせる問題や突起部を破損させるといった問題があった。
【0007】
また、従来の組立装置は、前記チャックユニットがコ字状の突起部に入り込む大きさに設定され突起部の側面側から干渉することなく入り込む構成であったとしても、前記チャックユニットが保持していたねじをここから通過させる際、その先端が開くので、チャックユニットの開動作時に開いたチャックユニットが前記突起部の壁面に干渉するという問題もあった。つまり、前記チャックユニットが突起部の壁面に衝突して十分に開くことができないことから、保持していたねじを作業ポイントへ確実に移載できない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組立装置は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、所望部品に係合する工具と、この工具を内包するとともに前記工具に対して相対移動可能なスクリューガイドと、このスクリューガイド内へ前記部品を吸引可能な吸引手段と、前記工具およびスクリューガイドをワークへ接近あるいは離反する方向に移動自在な往復移動手段と、前記工具およびスクリューガイドを水平方向へ移動自在な水平移動手段と、前記往復移動手段および前記水平移動手段へ動作指令を送る制御装置とを備え成る組立装置において、前記制御装置は、前記往復移動手段へ動作指令を送り前記スクリューガイドおよび工具を第一の目標位置へ垂直移動させた後、前記水平移動手段へ動作指令を送り前記スクリューガイドおよび工具を第二の目標位置であるワークの作業ポイント上空へ水平移動させ、この後、前記往復移動手段へ動作指令を送り前記スクリューガイドの先端をワークに当接させこの当接したスクリューガイドに対して前記工具を相対移動するよう制御して成ることを特徴とする。なお、前記スクリューガイドは、前記作業ポイントから所定の距離を空け対向に立設する両壁面の間隔よりも短い外径を備えて成り、前記制御装置は、前記スクリューガイドを前記両壁面に沿わせ水平移動するよう制御して成ることが望ましい。また、前記工具は、所定の回転数およびトルクによって回転駆動可能なモータに接続されていることが望ましい。さらに、前記往復移動手段は、前記工具およびスクリューガイドを支持する支持部材と、この支持部材に取り付けられ回転自在な可動ナットと、この可動ナットに螺合し前記スクリューガイドの延びる方向と平行に配されたボールねじ軸と、このボールねじ軸を回転駆動するとともにボールねじ軸の回転角度に応じたパルスを前記制御装置へ出力するACサーボモータとを備えて成ることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組立装置は、前記工具の外周よりも若干大径のスクリューガイドに部品を吸引させ、このスクリューガイドをワークの両壁面に沿わせて水平方向へ移動しているため、作業面から上方へ突出した壁面を有するワークであっても所定の作業ポイントまで良好に部品搬送が行えるという利点がある。また、本発明の組立装置は、複数の作業ポイントを間隔の狭い前記壁面で仕切った端子台などがワークであっても、対向する壁面の間にスクリューガイドが干渉すること無く入り込むので、スクリューガイドが水平方向へ移動する際、スクリューガイド内の部品をワーク上へ落下させるような問題も起こり難い利点もある。さらに、本発明の組立装置は、工具に所定の回転数およびトルクによって回転駆動可能なモータに接続しているので、部品がワークに螺入されるねじであれば、狭所の締付け作業に対応できるという利点もある。また、本発明の組立装置は、前記ボールねじ軸の回転角度に応じたパルスを制御装置へ出力するACサーボモータを備えるため、前記可動部材と一体に下降するビットの高さを前記第一下降指令および前記第二下降指令に分けて位置制御できる。これにより、本発明の組立装置は、複数段階の下降制御を1つの駆動源であるACサーボモータにより行うので、スクリューガイドを下降方向へ駆動する駆動源の数を従来に比べて削減でき、安価でかつ下降制御の位置などの設定変更にも柔軟に対応できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る組立装置の一実施形態を示す一部切欠き断面説明図である。
【
図3】本発明に係る組立装置の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の組立装置を
図1ないし
図3に基づき説明する。本発明の組立装置1は、所望部品に係合可能な工具の一例であるビット63と、このビット63を内包し前記所望部品の一例であるねじ(図示せず)を内包可能なスクリューガイド68と、このスクリューガイド68に接続されスクリューガイド68の先端側からエアを吸引可能な吸引手段(図示せず)と、前記ビット63およびスクリューガイド68をワークWの作業ポイントPへ接近あるいは離反する方向へ移動自在な往復移動手段5と、前記ビット63およびスクリューガイド68を水平方向へ移動自在な水平移動手段2と、前記往復移動手段5および水平移動手段2へ動作指令を送り制御可能な制御装置4とを備えて成る。
【0012】
前記ビット63は、その一端に前記ねじの頭部に係合する係合部を備えて成る一方、その他端に後記ビット回転モータ62の回転を受けて回転する連結部材64を固定して成り、前記連結部材64は、ギアユニット61の出力軸61aに連結されている。また、このギアユニット61は、所定の回転数およびトルクによって回転駆動するビット回転モータ61に連結されており、前記ビット回転モータ62は、その回転量に応じた回転パルス信号を外部出力するACサーボモータである。よって、ビット63は、前記係合部に係合したねじを前記ビット回転モータ62の回転を受けてワークWへ螺入することができる。
【0013】
前記ギアユニット61は、その出力軸61aおよび前記連結部材64を回転自在にして支持する固定部材65に取り付けられ、前記取付部材65は、前記スクリューガイド68に連結したスクリューガイドホルダ66を前記ビット63に対して相対移動可能に摺動自在に支持して成る。また、前記取付部材65とスクリューガイドホルダ66との間にはばね67が配置されており、このばね67は、前記スクリューガイドホルダ66を常時伸長する方向へ付勢して成る。これにより、前記スクリューガイド68は、前記ビット63に対して相対移動可能に構成されており、常時は前記ビット63の係合部をその一端から突出させない位置関係を保っている。
【0014】
前記スクリューガイド68は、その全長に渡って前記ビット63を通過可能な通過穴を備えて成り、肉厚1mm程度の円筒形状を成す。前記通過穴は、その一端から所定の深さまで前記ねじを挿通可能な直径に設定されており、前記スクリューガイドホルダ68に設けられた吸引穴69に連通している。また、前記吸引穴69は、エア吸引可能な吸引手段(図示せず)に接続されているため、前記吸引手段が作動するとスクリューガイド68の先端側からエアが吸引可能となる。これにより、前記スクリューガイド68の先端側からねじを吸引してスクリューガイド内に留めることができる。また、前記ビット63を内包した状態のスクリューガイド68は、
図1に示すように、チャックユニット70内に位置している。
【0015】
前記チャックユニット70は、ねじを1個づつ供給する部品供給装置(図示せず)に接続されており、部品供給装置から供給された前記ねじを一時的に吊り下げて保持可能に構成されている。具体的には、前記部品供給装置から供給されるねじを通過可能かつビットに対して所定の角度傾斜したスイングパイプ72と、このスイングパイプ72を通過した前記ねじを吊下して保持可能なチャック爪71とを備えて成る。前記スイングパイプ72は、チャックユニット70内を通過する前記スクリューガイド68に押されることで、傾斜状態から垂直姿勢となる方向に揺動可能に構成されている。一方、チャック爪71は、対向配置された一対の爪で構成されており、その内周面71aを前記スクリューガイド68に押されることでそれぞれの爪が離反する方向へ揺動して押し広げられるように構成される。なお、このチャックユニット70は、前記往復移動手段5の一端側に固定されており、常時は
図1に示すように前記スクリューガイド68をその内部に位置させている。
【0016】
前記往復移動手段5は、所定の回転数およびトルクを発揮するACサーボモータ52と、このACサーボモータ52の出力軸52aに固定されたカップリング53と一体に回転するボールねじ軸54と、このボールねじ軸54に螺合した可動ナット55と、この可動ナット55を回転自在に支持し可動ナット55とともにボールねじ軸54の延びる方向に沿って往復移動する支持部材56と、前記水平移動手段2に連結されるベース板51とを備えて成る。また、前記支持部材56は、ボールねじ軸54の延びる方向に対して直交する方向へ突出し前記固定部材65を固定して成り、前記ビット63を前記ボールねじ軸54に対して平行に支持して成る。
【0017】
前記水平移動手段2は、前記往復移動手段5を垂直方向へ延びるよう取り付けたアーム2bと、このアーム2bを取り付け水平方向に旋回自在な旋回ユニット2aと、この旋回ユニット2aを水平方向に前進あるいは後退自在な直動ユニット2cとから構成される。また、前記直動ユニット2cは、垂直方向に立設するコラム2dに取り付けられており、後記制御装置4の指令を受けて作動し、前記旋回ユニット2aをコラム2dの前進あるいは後方へ移動可能に構成される。また、前記直動ユニット2cは、前記報復移動手段5と同様の構成であり、前記支持部材56に相当するスライドテーブル(図示せず)に前記旋回ユニット2aを固定して成る。前記旋回ユニット2aは、前記ビット63の延びる方向に平行な旋回軸が設定されており、この旋回軸を基準に前記アーム2bを水平方向に旋回可能に構成されている。さらに、これら旋回ユニット2aおよび直動ユニット2cに搭載されている駆動源は何れも前記往復移動手段5に搭載したACサーボモータと同等品であり、それぞれのACサーボモータが出力する回転パルス信号を後記制御装置4へ送るように制御装置4へケーブル接続している。
【0018】
前記制御装置4は、前記往復移動手段5のACサーボモータ52に接続されたZ駆動部42と、前記水平移動手段2の旋回ユニット2aおよび直動ユニット2cの駆動源に接続されたYθ駆動部43と、前記往復移動手段5および水平移動手段2の動作に係る動作プログラムを記憶可能な記憶部44と、この記憶部44に記憶した動作プログラムなどをキー入力可能な入力部45と、この記憶部44に記憶した設定やエラーメッセージなどを適宜表示する表示部46と、これら各部をそれぞれ接続するとともに高速に演算処理などを行う制御部47とから構成されている。
【0019】
前記Z駆動部42は、前記ACサーボモータ52へ回転駆動指令を発信可能である一方、ACサーボモータ52の回転角度情報の基となる前記回転パルス信号を受信可能に構成されており、受信した回転パルス信号を数値へ変換し前記制御部47へ送信している。これと同様に、前記Yθ駆動部43は、これに接続されているそれぞれの駆動源へ回転駆動指令を発信可能であり、これら駆動源から発せられた回転パルス信号をそれぞれ受信可能であり、受信したそれぞれの回転パルス信号を個別に数値へ変換し前記制御部47へ送信している。
【0020】
前記記憶部44は、前記入力部45から入力された動作プログラムあるいは前記制御部47によって算出された結果などを記憶可能に構成されている。具体的に、記憶部44に記憶する動作プログラムは、前記ビット63の垂直方向および水平方向の目標位置であったり、前記往復移動手段5および水平移動手段2の駆動源の動作移動順序などを組み合わせたものであり、本実施形態においては、
図3の矢印に示すように前記スクリューガイド68およびおよびこれに内包したビット63を段階的に作業ポイントPへ接近させるよう構成される。
【0021】
前記入力部45は、図示しない作業者によって操作されており、テンキーなどを配列したものである。また、前記表示部46は、液晶パネルであり、前記制御部47を介して入力部45から入力した情報や記憶部44に記憶した前記目標位置等の各種情報を表示可能に構成されている。
【0022】
前記制御部47は、これらZ駆動部42、Yθ駆動部43、記憶部44、入力部45、表示部46にそれぞれ接続されており、前記ビット63の垂直座標および平面座標を前記Z駆動部42および前記Yθ駆動部43から送信される前記数値に基づき算出し、この算出した各座標と前記目標位置とが一致するか否か判断するよう構成される。また、制御部47は、前記記憶部44に記憶した動作プログラムに基づき前記Z駆動部42およびYθ駆動部43へ動作指令を送り、前記ビット63およびスクリューガイド68の垂直および水平方向への移動を制御している。
【0023】
このように構成された本発明の組立装置1の動作を説明する前に、前記ねじを締め付けるワークWの構成について説明する。前記ワークWは、
図3に示すように三方に立設した壁面と、これら壁面に囲われるように配設されためねじとを備えて成り、前記めねじが前記作業ポイントPに相当する。また、ワークWの対向に配置された2つの壁面の対向距離は、前記スクリューガイド68の先端径よりも若干大きい寸法となるよう設定されているため、ワークWは、スクリューガイド68を対向配置された2つの壁面に沿わせるよう水平方向あるいは垂直方向から侵入可能に構成されている。
【0024】
次に、本発明の組立装置1の動作を説明する。本発明の組立装置1は、前記ワークWの斜め上方に待機しており、前記部品供給装置から供給されたねじをチャックユニット70内で保持する。この後、前記制御部47は、記憶部44に記憶した動作プログラムを読み込み、前記Z軸駆動部42を介して往復移動手段5のACサーボモータ52を制御する。これにより、スクリューガイド68は、ビット63を内包した状態でチャックユニット70内を下降しスイングパイプ72に接触してこのスイングパイプ72を揺動させる。また、このスクリューガイド68の下降と同時に前記ビット回転モータ62および前記吸引手段がそれぞれ作動するので、スイングパイプ72を揺動させたスクリューガイド68は、エアを吸引しチャック爪71に吊下したねじを回転するビット63の先端に接触するまで吸引する。さらに、ねじを吸引したスクリューガイド68は、引き続きチャックユニット70内を下降するので閉じた状態のチャック爪71に当接し、このチャック爪71をそれぞれ揺動させチャック爪71を開き突出する。
【0025】
このスクリューガイド68は、前記動作プログラムに設定されている第一の目標位置である
図3の矢印Aに示す位置まで下降する。つまり、前記制御部47は、Z駆動部42を介して検出したビット63の垂直座標が前述した第一の目標位置に到達するまでZ駆動部42へ動作指令を送り、到達すればZ駆動部42へ停止指令を送る。なお、この
図3の矢印Aに示すスクリューガイド68の先端位置は、作業ポイントPから所定距離だけ水平方向に離れ位置し、かつ、作業ポイントPの表面から若干高く前記壁面上面よりも低い位置となっている。
【0026】
次に、スクリューガイド68は、前記動作プログラムに設定されている第二の目標位置である
図3の矢印Bに示す位置まで水平移動する。つまり、前記制御部47は、Yθ駆動部43を介して検出したビット63の平面座標が前述した第二の目標位置に到達するまでYθ駆動部43へ動作指令を送り、到達すればYθ駆動部43へ停止指令を送る。なお、この
図3の矢印Bに示すスクリューガイド68の先端位置は、上述の矢印Aの高さから変わらず水平方向へのみ移動しており、スクリューガイド68と作業ポイントPとの軸線が一致する関係にある。この水平移動の際、スクリューガイド68の外周は、ワークWの対向する壁面に沿って所定の作業ポイントPの上空へ移動することができるため、例えば、ワークWが所謂受け治具に載せられ回り止めを防止する程度の保持状態であれば、水平方向に多少位置ズレしていても壁面がスクリューガイド68の外周に倣って正規の位置状態となる。
【0027】
この後、スクリューガイド68は、
図3の矢印Cに示す位置まで下降し、前記作業ポイントPの表面に当接する。つまり、制御部47は、前記動作プログラムに設定されている第三の目標位置にビット63の垂直座標が到達するようZ駆動部42へ動作指令を送り、到達すればZ駆動部42へ停止指令を送る。この第三の目標位置となるビット63の高さは、作業ポイントPの表面よりも下方に設定されている。よって、スクリューガイド68の奥方に位置していたビット63は、スクリューガイド68が作業ポイントPの表面に当接した後、スクリューガイド68に対して下方へ相対移動し、前記ねじを作業ポイントPへ螺入する。また、螺入されるねじに予め設定した締付けトルクが負荷されると、前記ビット回転モータ62が回転停止するとともに、図示しないドライバコントローラからトルクアップ信号が発せられ、このトルクアップ信号が制御部47へ送られる。これにより、前記制御部47は、前記Z駆動部42へ停止指令を送り、ねじ締め作業を完了する。
【0028】
なお、本実施形態において、組立装置1は、前記部品をねじとしこれをワークに螺入するねじ締め装置の形態として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、部品をピンとしこれをワークに挿入するような部品挿入装置として実施することもできる。また、前記水平移動手段2は、前記旋回ユニット2aおよび前記直動ユニット2cを備えた構成に限定されるものではなく、例えば前記直動ユニット2cを直交に2個配置したような構成であってもよく、平面座標を移動できる構成であればよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 組立装置
2 水平移動手段
5 往復移動手段
63 ビット
68 スクリューガイド
W ワーク
P 作業ポイント