【解決手段】中間型12にワークWを載置したまま、上型3と下型4を複数回の型閉じ動作を行うことで、樹脂供給動作と前記トランスファ機構13を動作させて樹脂モールド動作を各々行うとともに、上型チャック機構8と下型チャック機構9による保持動作を切り替えて上型3から下型4へ中間型12の保持状態を切り替える。
前記トランスファ機構には、前記第1金型と前記第2金型の開閉動作に応じて、前記第1金型チャック機構の開閉動作を切り替える第1アクチュエータと前記第2金型チャック機構の開閉動作を切り替える第2アクチュエータが設けられている請求項1記載の樹脂モールド装置。
前記第2金型に支持された前記第3金型にワークを載置したまま、1回目の型閉じ動作で前記第1金型チャック機構を動作させて前記第3金型を前記第1金型に保持させて前記ワークをクランプすると共に前記第2金型に設けられた前記樹脂装填部へ樹脂供給が行われる請求項1又は請求項2記載の樹脂モールド装置。
2回目の型閉じ動作で前記トランスファ機構を動作させて樹脂モールドすると共に更なる型閉じ動作により前記第1金型チャック機構による保持状態を解除すると共に前記第2金型チャック機構を動作させて前記第3金型を保持させて前記第1金型より前記第2金型へ前記第3金型が受け渡される請求項3記載の樹脂モールド装置。
前記第1金型には、前記ワーク及び前記第3金型を貫通して成形品に向かって各々突き出して離型させる複数の第1エジェクタピンが設けられ、前記第2金型には、前記第3金型を貫通してキャビティ凹部内の成形品及び前記第2金型の樹脂装填部に連なる樹脂路に残存する成形品に各々に突き出して離型させる複数の第2エジェクタピンが設けられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
開閉可能に設けられた第1金型と第2金型との間に配置され、いずれか一方の金型との間でワークをクランプして樹脂モールドするキャビティ凹部及びこれに連なる金型開閉方向に貫通するゲートが形成された第3金型を用意する工程と、
前記第3金型が前記第2金型に支持されたまま前記第3金型の前記キャビティ凹部に位置合わせしてワークを供給する工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを1回目の型閉じを行って、第1金型チャック機構に前記第3金型が保持されて前記ワークを前記第1金型との間でクランプすると共に前記第2金型に設けられた樹脂装填部に樹脂を装填する工程と、
2回目の型閉じを行って前記第3金型が前記第1金型と前記第2金型にクランプされたまま、トランスファ機構を作動して前記樹脂装填部に装填された溶融樹脂を前記第3金型のゲートを通じて前記キャビティ凹部へ充填して樹脂モールドすると共に、更なる型閉じ動作によって前記第1金型チャック機構による保持状態を解除すると共に第2金型チャック機構を動作させて前記第3金型を前記第2金型に保持する工程と、
前記ワークを載置した前記第3金型を前記第2金型と共に前記第1金型から型開きする工程と、
前記第3金型から成形後の前記ワークを離型させて取り出す工程と、を含むことを特徴とする樹脂モールド方法。
前記第1金型と前記第2金型を3回目の型閉じを行って前記第2金型チャック機構による保持状態を解除すると共に前記第1金型チャック機構を動作させて前記第3金型を前記第1金型に保持する工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを離間させて前記第3金型より不要な成形品を分離して前記第2金型に付着したまま型開きを行う工程と、
前記第2金型に付着した前記不要な成形品を離型させて除去する工程と、を更に有している請求項7記載の樹脂モールド方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トランスファ成形における一般的な成形金型は、金型内にセットされた基板(半導体チップが実装されたリードフレーム、樹脂基板等)上に端面側に樹脂路となるランナが設けられる。このような成形金型では、樹脂路となるランナが金型上と基板上とを跨いで形成されるため、金型と基板との境界の隙間から樹脂が漏れる場合がある。
また圧縮成形擦る場合には、ランナは不要であるが、キャビティ内に樹脂圧が伝わる難いため、樹脂をオーバーフローさせてモールドすることが行われる。しかしながら、このようなオーバーフローは成形後のワーク外周に樹脂残りが発生しやすく、後工程におけるハンドリングがし難くなる。
【0005】
特に、近年低分子低粘度化した樹脂や、例えばLED(Light Emitting Diode)のような受発光デバイス用の透明樹脂(レンズ成形用の低粘度樹脂)は、樹脂漏れを起こし易い。また、基板上にランナを設置する場合、そのためのスペースを確保する必要がある。更に、成形後のランナゲートとして残存する樹脂は、成形品として付加価値もなく不要な成形品(スクラップ樹脂)とは分離して除去する必要がある。これに対して、バーティカルゲート構造を有する中間型は、基板上をランナゲートが走らないため、基板上に成形品ゲートが残る問題もなく、更に半導体チップ上に直接樹脂が充填されるためボンディングワイヤにワイヤ配線方向に樹脂が広がるため、ワイヤ流れも発生し難い。このため、トランスファ成形には、バーティカルゲート構造を備える中間型を用いることが有効であると考えられる。また、圧縮成形には、中間型をオーバーフローさせる樹脂路として用いることで成形品と金型との分離が容易に行えると考えられる。
【0006】
本発明の目的は上記従来技術の課題を解決し、中間型を用いたモールド金型を有する新規な樹脂モールド装置及びこれを用いた新規な樹脂モールド方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
開閉可能に設けられる第1金型及び第2金型と、前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、いずれか一方の金型との間でワークをクランプして樹脂モールドするキャビティ凹部及びこれに連なる金型開閉方向に貫通するゲートが形成された第3金型と、前記第1金型に設けられ、前記第3金型を着脱可能に保持する第1金型チャック機構と、前記第2金型に設けられ、前記第3金型を着脱可能に保持する第2金型チャック機構と、前記第1金型若しくは第2金型のいずれかに設けられた樹脂装填部に装填される樹脂を、前記ゲートを通じて前記キャビティ凹部へ充填するトランスファ機構と、を具備し、前記第3金型にワークを載置したまま、前記第1金型と前記第2金型を複数回の型開閉動作を行うことで、樹脂供給動作と前記トランスファ機構による樹脂モールド動作を各々行うとともに、前記第1金型チャック機構と前記第2金型チャック機構による保持動作を切り替えて前記第1金型と前記第2金型とで前記第3金型の保持状態を切り替えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、モールド金型を開閉する動作によって第3金型が第2金型と第1金型のいずれかに保持されるため、既存のトランスファモールド装置に第1,第2金型チャック機構を設けるだけで第3金型を用いた樹脂モールドが安価で簡易な構成で実現することができる。よって、格別な駆動源を必要とせずに第3金型を第1金型と第2金型とのいずれかに保持してトランスファモールドを行うことができる。
【0009】
前記トランスファ機構には、前記第1金型と前記第2金型の開閉動作に応じて、前記第1金型チャック機構の保持動作を切り替える第1アクチュエータと前記第2金型チャック機構の保持動作を切り替える第2アクチュエータが設けられているのが望ましい。
これにより、別な駆動源を設けなくても、型開閉動作に伴って第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを動作させて、第1金型チャック機構及び第2金型チャック機構の保持動作を各々切り替えて第3金型の保持状態を切り替えることができる。
【0010】
前記第2金型に支持された前記第3金型にワークを載置したまま、1回目の型閉じ動作で前記第1金型チャック機構を動作させて前記第3金型を前記第1金型に保持させて前記ワークをクランプすると共に前記第2金型に設けられた前記樹脂装填部へ樹脂供給が行われるのが好ましい。
これにより、1回目の型閉じ動作によって第3金型へのワークの供給と第2金型の樹脂装填部への樹脂の供給を行うことができる。
【0011】
2回目の型閉じ動作で前記トランスファ機構を動作させて樹脂モールドすると共に更なる型閉じ動作により前記第1金型チャック機構による保持状態を解除すると共に前記第2金型チャック機構を動作させて前記第3金型を保持させて前記第1金型より前記第2金型へ前記第3金型が受け渡されるのが好ましい。
これにより、2回目の型開閉動作によってキャビティ凹部に溶融した樹脂を充填して樹脂モールドするとともに第3金型を第1金型から第2金型へ受け渡すことができる。よって、型開きするだけで、成形後のワークが第3金型に載置されたまま第1金型より分離して取り出すことができる。
【0012】
前記第1金型には、前記ワーク及び前記第3金型を貫通して成形品に向かって各々突き出して離型させる複数の第1エジェクタピンが設けられ、前記第2金型には、前記第3金型を貫通してキャビティ凹部内の成形品及び前記第2金型の樹脂装填部に連なる樹脂路に残存する成形品に各々に突き出して離型させる複数の第2エジェクタピンが設けられていることが好ましい。
【0013】
これにより、樹脂モールド後に金型を型開きすると、第1エジェクタピンが突き出して第1金型よりワークを離型させ、型開きが完了すると、第2エジェクタピンが第3金型を貫通してキャビティ凹部内の成形品を第3金型から離型させ取り出すことができる。
また、再度金型の開閉動作を行うと、第1エジェクタピンが第3金型を貫通して樹脂路に残存する不要な成形品を第3金型から離型させ、第2エジェクタピンが樹脂路に突き出すことにより、不要な成形品を第2金型から離型させることができる。
よって、樹脂モールド後に型開閉動作を行うだけで、成形品の第3金型からの分離と成形品から分離させた不要な成形品の分離除去を効率良く行うことができ、ディゲートするための格別な装置構成や装置エリアを設ける必要がなくなる。
【0014】
また、他の樹脂モールド装置として、開閉可能に設けられる第1金型及び第2金型と、前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、いずれか一方の金型に保持されたワークを保持したままクランプされる第3金型と、前記第1金型に設けられ、前記第3金型を着脱可能に保持する第1金型チャック機構と、前記第2金型に設けられ、前記第3金型を着脱可能に保持する第2金型チャック機構と、前記第1金型若しくは第2金型のいずれかに設けられ、キャビティ駒とこれを囲んで配置される可動クランパとで形成されるキャビティ凹部と、前記可動クランパに形成され前記キャビティ凹部に連通するオーバーフローキャビティと、を具備し、前記第1金型若しくは前記第2金型と前記第3金型とでワークを保持したまま、前記第1金型と前記第2金型を複数回の型開閉動作を行うことで、前記キャビティ凹部に対する樹脂供給動作と圧縮成形動作を各々行うとともに、第1金型チャック機構と前記第2金型チャック機構による保持動作を切り替えて前記第1金型と前記第2金型とで前記第3金型の保持状態を切り替えることを特徴とする。
これによりモールド金型を開閉する動作によって第3金型が第2金型と第1金型のいずれかに保持されるため、既存の圧縮成形装置に第1,第2金型チャック機構を設けるだけで第3金型を用いた樹脂モールドが安価で簡易な構成で実現することができる。よって、格別な駆動源を必要とせずに第3金型を第1金型と第2金型とのいずれかに保持して圧縮成形を行うことができる。また、樹脂モールド後のワークとオーバーフロー樹脂は、第3金型の保持状態を切り替えて型開きするだけで容易に分離することができる。
【0015】
また、樹脂モールド方法においては、開閉可能に設けられた第1金型と第2金型との間に配置され、いずれか一方の金型との間でワークをクランプして樹脂モールドするキャビティ凹部及びこれに連なる金型開閉方向に貫通するゲートが形成された第3金型を用意する工程と、前記第3金型が前記第2金型に支持されたまま前記第3金型の前記キャビティ凹部に位置合わせしてワークを供給する工程と、前記第1金型と前記第2金型とを1回目の型閉じを行って、第1金型チャック機構に前記第3金型が保持されて前記ワークを前記第1金型との間でクランプすると共に前記第2金型に設けられた樹脂装填部に樹脂を装填する工程と、2回目の型閉じを行って前記第3金型が前記第1金型と前記第2金型にクランプされたまま、トランスファ機構を作動して前記樹脂装填部に装填された溶融樹脂を前記第3金型のゲートを通じて前記キャビティ凹部へ充填して樹脂モールドすると共に、更なる型閉じ動作によって前記第1金型チャック機構による保持状態を解除すると共に第2金型チャック機構を動作させて前記第3金型を前記第2金型に保持する工程と、前記ワークを載置した前記第3金型を前記第2金型と共に前記第1金型から型開きする工程と、前記第3金型から成形後の前記ワークを離型させて取り出す工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上記樹脂モールド方法によれば、2回の型開閉動作を行うことで第3金型を第2金型若しくは第1金型に保持してワーク及び樹脂の供給と樹脂モールド動作及び成形後のワークの取り出しを行うことができるので、無駄な樹脂を用いることなく、しかもワーク上に樹脂路を設けずに高品質に樹脂モールドすることができるうえに、第3金型を第2金型又は第1金型に保持させる動作を、格別な駆動源を設けることなく、既存のトランスファモールド金型を用いて簡易な構成で実現することができる。また、型開閉動作だけで、成形後のワークを不要な成形品と分離して取り出すことができ、離型のための設備やスペースも省略することができる。
【0017】
また、前記第1金型と前記第2金型を3回目の型閉じを行って前記第2金型チャック機構による保持状態を解除すると共に前記第1金型チャック機構を動作させて前記第3金型を前記第1金型に保持する工程と、前記第1金型と前記第2金型とを離間させて前記第3金型より不要な成形品を分離して前記第2金型に付着したまま型開きを行う工程と、前記第2金型に付着した前記不要な成形品を離型させて除去する工程と、を更に有していてもよい。
これにより、樹脂モールド後に更に型開閉動作を行うことで、第3金型から不要な成形品を離型させて第2金型と共に型開きするうえに型開きが完了すると第2金型からも不要な成形品を離型することができる。よって、型開閉動作だけで第3金型並びに第2金型から成形品を分離することができる。
【発明の効果】
【0018】
上述した樹脂モールド装置及び方法を用いれば、ワーク上に成形品ゲートが残る問題もなく、無駄な樹脂を使用することなく成形品質を向上させ、しかも成形後のワークや成形品の金型からの分離を容易に行うことができる。また、既存のモールド装置に第3金型のチャック機構を設けるだけで装置コストを抑えて装置の汎用性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法の好適な実施の形態について、
図1乃至
図11の添付図面を参照して詳述する。以下では、ワークWとして例えば基板(リードフレーム)1上に半導体チップ2が片面に実装(ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装)されたものが用いられる(
図2参照)。
【0021】
また、樹脂モールド装置は、駆動源からトグルリンク等を用いて駆動伝達する公知の型開閉装置を備えている。更には、以下の説明では、一例として上型(第1金型)3を固定型、下型(第2金型)4を可動型とし、上型3は上型プラテン5(固定プラテン)に支持され、下型4は下型プラテン6(可動プラテン)に支持されているものとして説明する。このように、樹脂モールド装置は、
図1乃至
図11に示すように、中間型12(第3金型)を上型3若しくは下型4に保持した状態で上型3及び下型4を開閉可能に構成されている。なお、上型3及び下型4には図示しないヒータが設けられており、後述するワークWや樹脂18と共に中間型12を加熱して成形するものとする。矩形状の上型プラテン5は、四隅に設けられたガイドポスト7の上端に固定されており、矩形状の下型プラテン6はガイドポスト7に対して四隅において摺動可能に連繋している。
【0022】
上型3は上型プラテン5に支持されている。上型3には、上型チャック機構8が設けられている。また上型3には、基板分離用の第1エジェクタピン3a、不要な成形品離型用の第2エジェクタピン3bが突き出し可能に設けられている。第2エジェクタピン3bの長さは第1エジェクタピン3aより長いものが使用されている。第1エジェクタピン3a及び第2エジェクタピン3bは図示しないコイルばね等により突出する向きに常時付勢されている。
【0023】
ここで、上型チャック機構8(第1金型チャック機構)の一例について説明する。
上型チャックアーム8aは、上型面より下方に垂れ下がるように設けられる。この上型チャックアーム8aは一端部(上端部)が支点8bを中心として回動可能に上型3に設けられている。上型チャックアーム8aの他端部(下端部)には、先端側に向かって下面側が傾斜して幅狭となる先端テーパー形状(くさび形状)をした上型チャック爪8cが設けられている。また、上型チャックアーム8aの支点8bの近傍は、当該上型チャックアーム8aと交差(直交)する上型作動アーム8dが一体に形成されている。この上型作動アーム8dの上側にはコイルばね8eが弾発して上型3内に設けられており、上型作動アーム8dは図示の部分では支点8bを中心として反時計回り方向に常時付勢されている。上型作動アーム8dの下側には押動ピン8fが鉛直方向に抜け止めされて設けられており、上端部は上型作動アーム8dに押動されて下端部が上型3より下方に突設されている。また、上型チャックアーム8aの近傍には、断面L字状に形成された上型爪保持部8gが突設されている。この上型爪保持部8gは、上型3と下型4とが型開きした際に上型チャック爪8cを所定の高さに保持する。上型爪保持部8gの水平方向に折れ曲がって形成されたアーム部には、後述する第1アクチュエータが挿入可能な貫通孔8hが設けられている。貫通孔8hの位置は、上記押動ピン8fの直下に設けられている。また上型3の下面には、後述する下型爪保持部9fが進入する上型逃げ凹部3cが設けられている。
【0024】
このように、上型チャック機構8は、中間型12の縁に沿う位置において、上述した上型チャックアーム8aや上型チャック爪8c等の構成を複数組備えることで、中間型12を上型3に保持することができる。すなわち、上型爪保持部8gに保持された上型チャック爪8cが上型チャックアーム8a等を介して前後に動作させ、上型3に中間型12を保持する状態と、下型4に中間型12を引き渡し可能な状態とを切り替えることができる。
【0025】
下型4は下型プラテン6に対して離間して支持されている。下型4には下型チャック機構9が複数設けられている。また下型4には、後述するキャビティ凹部12aに成形された成形品19を離型する第1エジェクタピン4a、不要な成形品20を離型する第2エジェクタピン4bが突き出し可能に設けられている。第1エジェクタピン4aの長さは第2エジェクタピン4bの長さより長く、図示しないエジェクタピンプレートに立設されている。また、下型4のクランプ面には、下型カル4c、下型ランナ4dが彫り込まれている。下型カル4cの中心部には、下型ポット10が設けられており、下型プランジャ11が昇降可能に挿入されている(樹脂装填部)。
【0026】
ここで、下型チャック機構9(第2金型チャック機構)の一例について説明する。
下型4には下型チャックアーム9aが、下型面より上方に突出して設けられている。下型チャックアーム9aの一端部(上端部)には、先端側に向かって上面側が傾斜して幅狭となる先端テーパー形状(くさび形状)をした下型チャック爪9cが設けられている。下型チャックアーム9aの他端部(下端部)は、支点9bを中心に回動可能に設けられている。また、下型チャックアーム9aの支点9bの近傍は、当該下型チャックアーム9aと交差(直交)する下型作動アーム9dが一体に形成されている。この下型作動アーム9dの下側にはコイルばね9eが弾発して下型4内に設けられており、下型作動アーム9dは図示の部分では支点9bを中心として時計回り方向に常時付勢されている。また、下型面には、下型チャックアーム9aの近傍には、断面L字状に形成された下型爪保持部9fが突設されている。この下型爪保持部9fは、上型3と下型4とが型開きした際に下型チャック爪9cを所定の高さに保持する。また、下型4の上面には、上型爪保持部8gが進入する下型逃げ凹部4eが設けられている。更には下型4には、後述する第1可動ロッド14が挿入される貫通孔4fが設けられている。貫通孔4fの位置は、上型爪保持部8gに形成された貫通孔8hの位置に対向して形成されている。
【0027】
このように、下型チャック機構9は、中間型12の縁に沿う位置において、上述した下型チャックアーム9aや下型チャック爪9c等の構成を複数組備えることで、中間型12を下型4に保持することができる。すなわち、下型爪保持部9fに保持された下型チャック爪9cが下型チャックアーム9a等を介して前後に動作させ、下型4に中間型12を保持する状態と、上型3側に中間型12を引き渡し可能な状態とを切り替えることができる。
【0028】
中間型12は、上型3と下型4との間に配置され、いずれか一方の金型に保持される。また、中間型12とワークWとが上型3と下型4との間にクランプされた状態で樹脂モールドが行われる。本実施例では、上型3と中間型12との間でワークWがクランプされた状態で樹脂モールドされる。中間型12の上面(上型対向面)には、キャビティ凹部12a及びこれに連なる金型開閉方向に貫通するバーティカルゲート12bが形成されている。また、中間型12には、第2エジェクタピン3bが挿入されるエジェクタピン貫通孔12cが設けられている。エジェクタピン貫通孔12cは、下型カル4cと重なる位置に形成されている。また、中間型12の外周縁部には上型チャック爪8cや下型チャック爪9cが係止する係止部12dが設けられている。
【0029】
また、下型プラテン6には、トランスファ機構13が一体に支持されている。トランスファ機構13は、ポット10内に装填されて溶融した樹脂を単数若しくは複数設けられたプランジャ11を上昇させて、下型カル4c、下型ランナ4d、更には中間型12に形成されたバーティカルゲート12bを通じてキャビティ凹部12aへ充填する。
【0030】
下型4には、トランスファ機構13の動作(具体的にはプランジャ11の昇降動作)に対応し、上型チャック機構8の保持動作を切り替える第1可動ロッド14(第1アクチュエータ)と下型チャック機構9の保持動作を切り替える第2可動ロッド15(第2アクチュエータ)が各々設けられている。具体的には、下型4における中間型12の搭載位置の反対側(下面側)には、可動プレート16が所定の隙間を開けた状態でコイルばね17により吊り下げ支持されている。この可動プレート16上に第1可動ロッド14と第2可動ロッド15が立設されている。これにより、下型4では、可動プレート16を昇降させることで、第1可動ロッド14及び第2可動ロッド15を連動させて昇降させることができる。第1可動ロッド14は、下型4の貫通孔4fを貫通して下型面より突設されている。また、第2可動ロッド15は下型4内に挿入され、コイルばね9eによって支点9bを中心に時計回り方向に一端が付勢された下型作動アーム9dの他端側端部に突き当てられ、下型チャックアーム9aがそれ以上回転しないように中立位置で支持している。
【0031】
また、トランスファ機構13には、プランジャ11を昇降させるブロックの周囲に駆動ピン13aが突設されている。可動プレート16の下面には、駆動ピン13aに対向して従動ピン16aが設けられている。下型プラテン6が上昇すると、駆動ピン13aが従動ピン16aに当接したまま押し上げることで、可動プレート16が押し上げられ、第1可動ロッド14及び第2可動ロッド15が上昇するようになっている(
図6参照)。すなわち、プランジャ11の昇降動作に連動して第1可動ロッド14及び第2可動ロッド15を昇降させることができる。
これにより、格別な駆動源を設けなくても、型開閉動作に伴って昇降するトランスファ機構13の昇降動作に伴って第1可動ロッド14と第2可動ロッド15を動作させて、上型チャック機構8及び下型チャック機構9の保持動作を各々切り替えて中間型12の保持状態を切り替えることができる。
【0032】
ここで、樹脂モールド動作の一例について
図1乃至
図11を参照して説明する。
本実施形態において示す樹脂モールド装置では、
図1に示す初期状態において、上型3と下型4が型開きした状態では中間型12は下型4に載置された状態にある。ここで、上型チャック機構8(上型チャック爪8c)は、中間型12の係止部12dに係止可能なチャック位置にある。また、下型チャック機構9(下型チャック爪9c)はトランスファ機構13が動作していない状態(停止状態)にあるため、上昇しておらず、下型チャック爪9cが中間型12の係止部12dに係止しない中立位置にある。上型3の第1エジェクタピン3aはクランプ面と面一かクランプ面より突出した状態、第2エジェクタピン3bはクランプ面より突出した状態にある。
【0033】
次に
図2において、図示しないワークローダにより、ワークWを中間型12上にセット(搭載)する。ワークWは半導体チップ2がキャビティ凹部12aに収容されるように位置合わせして供給される。また、下型4に形成されたポット10は中間型12に閉塞されているので、この段階では樹脂を供給することができない。
【0034】
次に
図3において、型開閉機構を駆動して1回目の型閉じ動作を行う。下型プラテン6を上昇させて、下型4及び中間型12を上昇させる。このとき、上型チャック爪8cの先端の傾斜に、中間型12の係止部12dを押し当てながら上昇させることで、上型チャック爪8cを退避させながら、中間型12の係止部12dを上型チャック爪8cの上まで移動させることができる。これにより、コイルばね8eの付勢により上型チャック爪8cが係止部12dの下側に差し込まれ、係止部12dに上型チャック爪8cが係止することにより、中間型12は上型3に保持されることになる。
【0035】
なお、第1可動ロッド14の先端側で、上型爪保持部8gの貫通孔8hを挿通して押動ピン8fをコイルばね8eの付勢力に抗して押し込んでもよい。この場合、上型チャックアーム8aは支点8bを中心に一時的に時計回り方向に回転し、上型チャック爪8cが中間型12の上昇に伴って退避位置へ移動する。この状態で、中間型12の係止部12dを上型チャック爪8cの上まで移動させると共に、上型チャックアーム8aを再度反時計回り方向に回転させて、上型チャック爪8cが中間型12の外周縁部に設けられた係止部12dに係止して保持する。これにより、中間型12は、下型4から上型3に受け渡される。尚、下型チャック爪9cは中立位置にあるため、中間型12と干渉することはない。
【0036】
また、上型爪保持部8gは下型逃げ凹部4eに進入し、下型爪保持部9fは、上型逃げ凹部3cに進入するため、干渉することはない。また、上型3の第2エジェクタピン3bは中間型12のエジェクタピン貫通孔12cに挿入され、第1エジェクタピン3aは、基板1のクランプと共に上型3内に押し戻される。上型3と中間型12とでワークW(基板1)をクランプすると型閉じ動作を完了する。
【0037】
次に、型開閉機構により型開きを行うと、可動プラテン6は下降して下型4に伴って中間型12も下降しようとする。しかしながら、上型チャック爪8cが中間型12の係止部12dに係止したままとなっているので、中間型12は上型3に保持されたままとなる。
図4に示すように、上型3と下型4の型開きが完了すると、下型4のみが下型プラテン6と共に下降した状態となる。よって、下型4の上方の開放されたスペースを利用してポット10に樹脂18(例えばタブレット樹脂や液状樹脂)を供給する。
【0038】
次に、型開閉機構により2回目の型閉じ動作を行う。ここでも
図3と同様に下型プラテン6を上昇させて、下型4を上昇させる。そして、上型3に保持された中間型12と下型4とでワークW(基板1)をクランプし型閉じが完了する。
【0039】
そして、
図5に示すように、トランスファ機構13を作動させることでプランジャ11をポット10内で上昇させて、溶融した樹脂18を下型カル4c,下型ランナ4d,バーティカルゲート12bを通じてキャビティ凹部12aに充填する。
次いで、
図6に示すように、型開閉機構を型閉じ方向に駆動して下型プラテン6を更に上昇させると、キャビティ凹部12a内への樹脂18の充填が完了する。この状態で上型3と中間型12とにより樹脂18を加熱硬化させる。
【0040】
この場合、
図6に示すように、プランジャ11の上昇に連動して、上型チャック爪8cを中間型12の係止部12dから外すと共に、下型チャック爪9cを中間型12の係止部12dに係止することで、上型3に保持されていた中間型12を下型4に受け渡し可能な状態とすることができる。
【0041】
具体的には、駆動ピン13aが従動ピン16aに当接したまま押し上げ、コイルばね17が押し縮められて可動プレート16が押し上げられる。これにより、第1可動ロッド14が押動ピン8fをコイルばね8eの付勢力に抗して押し込み、第2可動ロッド15が上昇して下型作動アーム9dをコイルばね9eの付勢力に抗して支点9bを中心に反時計回り方向に回転させる。
【0042】
このとき、上型チャックアーム8aは支点8bを中心に時計回り方向に回転して上型チャック爪8cが係止部12dより外れて、下型チャックアーム9aが支点9bを中心に反時計回り方向に回転するので下型チャック爪9cが中間型12の係止部12dに係止する。これにより上型3から下型4に中間型12を引き渡し可能な状態となる。また、図示しないエジェクタピンプレートが押動され、上型3の第1エジェクタピン3aはクランプ面より突出した状態となってワークWの基板1側を押圧する。
【0043】
次に、型解開閉機構により型開き動作を行って、上型3と下型4を型開きする。この場合、
図7に示すように、中間型12は下型チャック機構9により下型4に保持されたまま型開きされることになる。また、第1エジェクタピン3aによって上方向から押圧された状態で型開きされるため、ワークWも中間型12に保持された状態で型開きされることになる。また、上型チャック機構8は、第1可動ロッド14が押動ピン8fより離れると、コイルばね8eの付勢力により上型チャックアーム8aは、支点8bを中心に反時計回り方向に回転して上型チャック爪8cがチャック位置へ復帰する。
【0044】
次いで
図8に示すように、下型プラテン6が下降して図示しないエジェクタピンプレートが押動されると、第1エジェクタピン4aがキャビティ凹部12a内へ突き出して、成形品19をゲート位置で分離する。中間型12から離型した成形後のワークWは図示しない搬送手段(アンローダ等)により金型より取り出される。また、中間型12と下型4との間の樹脂路には、成形品19に連なっていた不要な成形品(成形品ランナゲート及び成形品カル)20が残存している。
【0045】
次に、
図9において、型開閉機構により3回目の上型3と下型4の型閉じ動作を行う。
図3と同様に下型プラテン6を上昇させて、下型4及び中間型12を上昇させる。この際に、チャック位置へ復帰している上型チャック爪8cにより1回目の型閉じ動作の際と同様に中間型12の係止部12dに係止し、下型4から上型3へ中間型12が受け渡される。このとき、上型3の第2エジェクタピン3bは、中間型12のエジェクタピン貫通孔12cに挿入されて不要な成形品(成形品ランナゲート及び成形品カル)20への押圧を強める。また、下型チャック機構9は、下型4の上昇に伴ってコイルばね17が伸びるため第2可動ロッド15の位置が後退する一方でコイルばね9eの付勢力が強まるため、下型チャックアーム9aが支点9bを中心に時計回り方向に回転して下型チャック爪9cが中間型12の係止部12dより退避する。
【0046】
次いで
図10に示すように、型解開閉機構により型開き動作を行って、上型3と下型4を型開きする。中間型12は上型チャック機構8により上型3にチャックされ、上型3の第2エジェクタピン3bは、中間型12のエジェクタピン貫通孔12cより下方に突出して不要な成形品(成形品ランナゲート及び成形品カル)20を中間型12から離型させて下型4に残ったまま、下型4が型開きする。
【0047】
最後に、
図11に示すように、下型プラテン6が下降して図示しないエジェクタピンプレートが押動されると、第1エジェクタピン4aが下型4の上方に突き出すとともに第2エジェクタピン4bが下型ランナ4d位置から突き出して、成形品ランナゲートを押し上げることにより、不要な成形品20を下型4から離型させる。この不要な成形品20は図示しない搬送手段(チャックハンド、アンローダ等)により金型より取り出され廃棄される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態における樹脂モールド装置によれば、トランスファ機構13の動作により型閉じしたときに中間型12を上型3から下型4のいずれかに保持させることができる。これにより、1回目の型閉じ動作で下型4から上型3に中間型12を保持してワーク及び樹脂の供給が行われ、2回目型の型閉じ動作によって樹脂モールドが行われる共に上型3から下型4へ中間型12の受け渡しが行われて成形後のワークの取り出しまで行えるので、既存のトランスファモールド設備に上型及び下型チャック機構を設けるだけで中間型を用いた樹脂モールドが安価で簡易な構成で実現することができる。よって格別な駆動源を必要とせずに中間型を上型3と下型4とのいずれかに保持して型開閉動作を行うことができる。
【0049】
また、3回目の型閉じ動作を行うと、中間型の樹脂路に残存する不要な成形品20を離型させ、型開きすると、不要な成形品20を下型4からから離型させることができる。よって、型開閉動作を繰り返し行うだけで、成形後のワークWの中間型12からの分離とワークWから分離させた不要な成形品20の分離除去を効率良く行うことができ、ディゲートするための格別な装置構成や装置エリアを設ける必要もなくなる。
【0050】
上記実施例では、上型チャック機構8及び下型チャック機構9は、チャックアームがコイルばねの付勢により回動するように設けられていたが、ソレノイド、エアシリンダ等の駆動源が駆動伝達して回動するようにしてもよい。
また、上型チャック機構8及び下型チャック機構9を駆動するタイミングを制御するのに用いられるロッド部材(第1可動ロッド14や第2可動ロッド15)やピン部材(例えば駆動ピン13aや従動ピン16a)の長さを可変としてもよい。例えば、これらのロッド部材やピン部材の長さを可変とすることで、上型チャック機構8及び下型チャック機構9の駆動(開閉)タイミングを任意に設定することができる。これにより、例えば中間型12やワークWの厚みが変更となったりした場合にも容易に調整可能となる。これらのロッド部材やピン部材の長さの可変構造としては、これらの部材を複数部品の繋ぎ合わせにより構成することで交換して長さを変えたり、これらのロッド部材やピン部材の支持箇所や中途箇所に雄ネジと雌ネジとの組み合わせを設けることで回転させて長さを可変としたり、ボールネジとモータなど直動機構によって能動的に長さを可変にするなどの各種の長さの可変構造を採用することができる。
また、キャビティ凹部12a及びバーティカルゲート12bを上記実施例とは逆の面に設け、下型4と中間型12とでワークWを挟み込んだ状態となるようにクランプし樹脂モールドする構成であって良い。
また、上型プラテン5と下型プラテン6は、上型側が固定で下型側が可動であったが、上型側が可動で下型側が固定であっても良く、双方が可動であってもよい。
また、下型4にポット10及びプランジャ11並びにトランスファ機構が設けられていたが、上型3に設けられていてもよい。
更には、ワークWは基板1に半導体チップ2が実装されたものについて説明したが、リードフレームにリフレクタ等が予め成形されたものであってもよく、モータコア等であってもよい。
【0051】
次に、中間型を用いた圧縮成形装置について
図12乃至
図16を参照して説明する。上型プラテン及び下型プラテンの図示は省略し、金型の構成を中心に説明する。ワークWは、一例としてシリコンウエハ基板1に半導体チップ2が多層に実装されているものを想定している。上型チャック機構8及び下型チャック機構9は、上記実施例の上型3及び下型4に設けられた機構と同様であるものとして説明を援用する。
【0052】
上型21のクランプ面の外周縁部には、環状に形成された中間型22を保持可能な上型チャック機構8が設けられている。上型チャック機構8は、上型チャック爪8cが中間型22を係止する位置に複数設けられ、型閉じ動作や図示しないトランスファ機構等の動作によって上型チャックアーム8aを揺動させると上型チャック爪8cが中間型22から係止解除するようになっている。中間型22の内周側下端には、ワーク外周縁部を支持するワーク保持爪22aが径方向内側に向かって突設されており、ワークWの外周縁部を保持する。これによりワークWの外周はワーク保持爪22aにより保護されることで樹脂が付着するのを防止することができる。またワーク保持爪22aのクランプ面側はくさび状に傾斜したガイド面22bが形成されている。中間型22の外周面には、上型チャック爪8c又は下型チャック爪9cが係止する係止部22cが突設されている。
【0053】
下型23は、下型ベースブロック24に下型キャビティ駒25が支持されている。下型キャビティ駒25の外周側には、下型可動クランパ26が下型ベースブロック24にコイルばね27によりフローティング支持されている。下型キャビティ駒25及びこれを囲む下型可動クランパ26により下型キャビティ凹部28が形成されている。下型可動クランパ26のクランプ面には、ワークW(シリコンウエハ)に当接するクランプ部26a、下型キャビティ凹部28に連通しガイド面22bと対向して樹脂路が形成される傾斜溝26b、傾斜溝26bが連通するオーバーフローキャビティ26cが各々彫り込まれている。下型可動クランパ26の外周側には、下型ガイドブロック29が下型ベースブロック24に支持されている。下型ガイドブロック29には、中間型22を保持可能な下型チャック機構9が設けられている。下型チャック機構9は、図示しない下型プラテンの上昇や図示しないトランスファ機構等の動作によって下型チャックアーム9aを揺動させて先端部に設けられた、下型チャック爪9cが中間型22を係止する。
【0054】
尚、下型キャビティ凹部28は、図示しないリリースフィルム(以下単に「フィルム」という)に覆われていてもよい。フィルムは、耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するもの、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEPフィルム、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリジン等を主成分とした単層膜又は複層膜が好適に用いられる。
【0055】
樹脂モールド動作の一例について
図12乃至
図16を参照して説明する。
図12に示すように、型開きした上型21にワークWを吸着保持し、上型チャック機構8の上型チャックアーム8aにより中間型22を上型21に保持する。このとき、上型チャック爪8cが係止部22cに係止しており、中間型22のワーク保持爪22aがワークWの外周縁部を保持している。
【0056】
また、下型23の下型キャビティ凹部28には、1回のモールドに必要な樹脂18を供給しておく。樹脂量は下型キャビティ容積より多いものとし、樹脂18の形態は、固形、液状、顆粒状、粉状、シート状のいずれでもよい。尚、型開閉機構により型閉じを行って、下型可動クランパ26がワークWをクランプすると、下型チャック機構9が下型チャックアーム9aを揺動させて下型チャック爪9cが中間型22をチャックするようにしてもよい。
【0057】
図13に示すように、型開閉機構により型閉じが進行すると、下型可動クランパ26のクランプ部26aがワークWに当接したままコイルばね27が押し縮められてキャビティ容積が所定容積まで圧縮され、溶融した樹脂18が下型キャビティ凹部28より傾斜溝26bを通じてオーバーフローキャビティ26cへオーバーフローさせる。ここで、溶融した樹脂18は、傾斜溝26bを通じて中間型22の下側に流れることになる。このため、通常の金型のように樹脂18がワークWの外周を介してオーバーフローすることで、樹脂18がワークWの側面に付着してしまうのを防止することができる。このように、樹脂18をオーバーフローさせたうえで最終樹脂圧を加えながら加熱硬化させて圧縮成形が行われる。このように樹脂18をオーバーフローさせながら加熱加圧することで、例えば複数の半導体チップ2をフリップチップ実装したワークWに対して、積み重ねられたチップの隙間やチップとワークの隙間に樹脂18を確実に充填させることができる。
【0058】
この場合、中間型22は上型チャック爪8cにより係止された状態にあり、下型チャック爪9cは中間型22の係止部22cと係止解除された状態にある。
次いで型開閉機構により型開きを行うと、
図14に示すように、中間型22は上型21にチャックされたまま型開きするので、成形後のワークWは上型21に保持されたまま下型可動クランパ26にオーバーフローした不要な成形品20(オーバーフロー樹脂)が樹脂路(傾斜溝26b、オーバーフローキャビティ26c)に残ったまま成形品19と分離する。
【0059】
次いで
図15に示すように、下型可動クランパ26のクランプ面設けられた樹脂路(傾斜溝26b、オーバーフローキャビティ26c)に残存する不要な成形品20を図示しないエジェクタピン等により離型させて取り出して廃棄する。
【0060】
最後に、
図16に示すように、型開閉機構により2回目の型閉じ動作を行って
図12に示すように上型21と下型23をクランプする。このとき、図示しない下型プラテンの上昇によって上型チャック機構8の上型チャック爪8cを中間型22の係止部22cと係止解除状態とし、下型チャック機構9の下型チャック爪9cを中間型22の係止部22cと係止にしてから、再度型開閉機構により型開きを行う。
これにより、中間型22を上型21から下型23(下型可動クランパ26)に受け渡したまま型開きが行われる。この後、上型21に吸着保持された成形後のワークWの吸着を解除して搬送手段(チャックハンド、アンローダ等)により取り出すことで圧縮成形が完了する。
【0061】
よって、格別な駆動源を必要とせずに、中間型22を上型21と下型23とのいずれかに保持して圧縮成形を行うことができる。また、樹脂モールド後のワークWと不要な成形品20(オーバーフロー樹脂)は、中間型22の保持状態を切り替えて型開きするだけで容易に分離することができる。
【0062】
上記実施例では、1枚の中間型12、22を上下型の間に挟み込む構成について説明したが、複数枚の中間型を積み重ねるように挟み込む構成としても良い。この場合にも、トランスファ機構13の動作により複数枚の中間型を任意の金型に保持させることができる。