【課題】本開示は、内部熱交換器を備えた車両用空調装置に関し、熱負荷が変動しても高い成績係数を維持することができる車両用空調装置を提供すること、及び高い成績係数を維持できる車両用空調装置を備えた車両を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る車両用空調装置は、圧縮機2、凝縮器3、膨張装置4及び蒸発器5を配管61〜66で接続して冷媒を循環させる冷媒回路9と、凝縮器3から膨張装置4に導かれる冷媒が流れる第1の熱交換部11と蒸発器5から圧縮機2の吸入側に導かれる冷媒が流れる第2の熱交換部12との間で冷媒の熱交換を行う内部熱交換器10と、を有する冷凍サイクル1と、冷凍サイクル1の熱負荷を検出する熱負荷検知装置40と、熱負荷が所定の熱負荷よりも高いとき、内部熱交換器10での熱交換を抑制する熱交換量調整機構50と、を備える。
圧縮機、凝縮器、膨張装置及び蒸発器を配管で接続して冷媒を循環させる冷媒回路と、前記凝縮器から前記膨張装置に導かれる前記冷媒が流れる第1の熱交換部と前記蒸発器から前記圧縮機の吸入側に導かれる前記冷媒が流れる第2の熱交換部との間で前記冷媒の熱交換を行う内部熱交換器と、を有する冷凍サイクルと、
前記冷凍サイクルの熱負荷を検出する熱負荷検知装置と、
前記熱負荷が所定の熱負荷よりも高いとき、前記内部熱交換器での前記熱交換を抑制する熱交換量調整機構と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
前記熱負荷検知装置は、前記蒸発器と前記第2の熱交換部との間の前記冷媒の圧力及び温度を検出する冷媒状態検出装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
前記熱交換量調整機構は、前記熱負荷が高くなるにつれて前記内部熱交換器での前記熱交換の抑制度合いを連続的又は段階的に高くすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように、冷凍サイクルに内部熱交換器を備えることで、成績係数(COP)を向上することができるが、次に説明するように、冷凍サイクルの周囲の熱負荷によっては成績係数が低下し、改善の余地がある。
【0007】
すなわち、熱負荷が高く凝縮器での放熱量が少ない場合、凝縮器から内部熱交換器に流入する冷媒のエンタルピが高いため、蒸発器から内部熱交換器に流入する冷媒に移動する熱量が多くなり、圧縮機が吸入する冷媒の過熱度が大きくなる。さらに、蒸発器での吸熱量も多いから、圧縮機に吸入される冷媒の過熱度は大きくなりやすい。そして、過熱度が大きくなる割合が、蒸発器の冷房能力が増大する割合よりも大きいので、成績係数(COP)が低下する。
【0008】
本開示は、内部熱交換器を備えた車両用空調装置に関し、熱負荷が変動しても高い成績係数を維持することができる車両用空調装置を提供すること、及び高い成績係数を維持できる車両用空調装置を備えた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両用空調装置は、圧縮機、凝縮器、膨張装置及び蒸発器を配管で接続して冷媒を循環させる冷媒回路と、前記凝縮器から前記膨張装置に導かれる前記冷媒が流れる第1の熱交換部と前記蒸発器から前記圧縮機の吸入側に導かれる前記冷媒が流れる第2の熱交換部との間で前記冷媒の熱交換を行う内部熱交換器と、を有する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの熱負荷を検出する熱負荷検知装置と、前記熱負荷が所定の熱負荷よりも高いとき、前記内部熱交換器での前記熱交換を抑制する熱交換量調整機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る車両用空調装置では、前記熱交換量調整機構は、(1)第1の熱交換部を迂回して、前記凝縮器から前記膨張装置に前記冷媒を導く第1の迂回路、若しくは(2)第2の熱交換部を迂回して、前記蒸発器から前記圧縮機の吸入側に前記冷媒を導く第2の迂回路、のいずれか一方又は両方を有する内部熱交換器迂回路と、前記冷媒回路と前記内部熱交換器迂回路とを流れる前記冷媒の比率を変更する比率調整手段と、該比率調整手段を制御する比率制御装置と、を有し、該比率制御装置は、前記熱負荷が前記所定の熱負荷より高いとき、前記内部熱交換器迂回路に流れる前記冷媒の比率を増加させることが好ましい。熱負荷が高いとき、内部熱交換器迂回路を通流する冷媒の比率を増加させ、すなわち、内部熱交換器を通流する冷媒の比率を減少させて、圧縮機が吸入する冷媒の過熱度が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0011】
本発明に係る車両用空調装置では、前記内部熱交換器は、前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とが対をなす内部熱交換ユニットを複数有し、前記内部熱交換ユニットは、それぞれ前記冷媒回路に対して並列的に接続され、前記熱交換調整機構は、前記内部熱交換ユニットの各々に流す前記冷媒の分配度を変更する分配度調整手段と、該分配度調整手段を制御する分配度制御装置と、を有し、該分配度制御装置は、前記熱負荷が前記所定の熱負荷よりも高いとき、前記内部熱交換ユニットの各々に流す前記冷媒の分配度を偏らせることが好ましい。熱負荷が高いとき、内部熱交換ユニットを通流する冷媒の分配度を偏らせて、圧縮機が吸入する冷媒の過熱度が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0012】
本発明に係る車両用空調装置では、前記熱交換調整機構は、(1)前記冷媒回路と前記第1の熱交換部とを複数の位置で接続し、前記第1の熱交換部に対して接続部が直列的に配置される第1の接続配管部、若しくは(2)前記冷媒回路と前記第2の熱交換部とを複数の位置で接続し、前記第2の熱交換部に対して接続部が直列的に配置される第2の接続配管部のいずれか一方又は両方を有する接続配管部と、前記第1の接続配管部若しくは第2の接続配管部のいずれか一方又は両方に設けられて前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部のうち熱交換する有効面積を変更する熱交換面積調整手段と、該熱交換面積調整手段を制御する有効面積制御装置と、を有し、該有効面積制御装置は、前記熱負荷が前記所定の熱負荷よりも高いとき、前記熱交換のための有効面積を減少させることが好ましい。熱負荷が高いとき、内部熱交換器での熱交換のための有効面積を減少させて、圧縮機が吸入する冷媒の過熱度が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0013】
本発明に係る車両用空調装置では、前記熱負荷検知装置は、車両の外気温度を検知する外気温度検出装置であることが好ましい。熱負荷をより適正に検出できる。
【0014】
本発明に係る車両用空調装置では、前記熱負荷検知装置は、前記蒸発器と前記第2の熱交換部との間の前記冷媒の圧力及び温度を検出する冷媒状態検出装置であることが好ましい。圧縮機に吸入される冷媒の過熱度が一定となるように内部熱交換器での熱交換量を制御できるので、安定的に高い成績係数を得ることができる。
【0015】
本発明に係る車両用空調装置では、前記熱交換量調整機構は、前記熱負荷が高くなるにつれて前記内部熱交換器での前記熱交換の抑制度合いを連続的又は段階的に高くする形態を包含する。
【0016】
本発明に係る車両用空調装置では、前記熱交換量調整機構は、前記第2の熱交換部での前記冷媒の通流を抑制することが好ましい。第2の熱交換部での通路抵抗の増加を抑制することで、圧縮機による吸入圧力をより小さくでき、圧縮機の動力をより低下させることができる。
【0017】
本発明に係る車両用空調装置では、前記熱交換量調整機構は、前記第1の熱交換部での前記冷媒の通流を抑制することが好ましい。第2の熱交換部を流れる冷媒の過熱度の上昇が抑制され、圧縮機による吸入圧力をより小さくでき、圧縮機の動力をより低下させることができる。
【0018】
本発明に係る車両は、本発明に係る車両用空調装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、内部熱交換器を備えた車両用空調装置に関し、熱負荷が変動しても高い成績係数を維持することができる車両用空調装置を提供すること、及び高い成績係数を維持できる車両用空調装置を備えた車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0022】
図1は、本実施形態に係る車両用空調装置の一例を示すシステム図である。本実施形態に係る車両用空調装置は、圧縮機2、凝縮器3、膨張装置4及び蒸発器5を配管61〜66で接続して冷媒を循環させる冷媒回路9と、凝縮器3から膨張装置4に導かれる冷媒が流れる第1の熱交換部11と蒸発器5から圧縮機2の吸入側に導かれる冷媒が流れる第2の熱交換部12との間で冷媒の熱交換を行う内部熱交換器10と、を有する冷凍サイクル1と、冷凍サイクル1の熱負荷を検出する熱負荷検知装置40と、熱負荷が所定の熱負荷よりも高いとき、内部熱交換器10での熱交換を抑制する熱交換量調整機構50と、を備える。
【0023】
冷媒回路9は、圧縮機2と凝縮器3と膨張装置4と蒸発器5とを配管61〜66で接続した閉回路であり、内部を冷媒が循環する。冷媒は、例えば、R134aなどのフロン系物質、HFO−1234yf、又は二酸化炭素である。冷媒回路9は、内部を循環する冷媒がフロン系物質の場合、凝縮器3の内部、又は凝縮器3と内部熱交換器10との間に、気体状の冷媒と液体状の冷媒とを分離するとともに、冷媒の一部を貯留するリキッドタンク(不図示)を備える。冷媒回路9は、内部を循環する冷媒が二酸化炭素の場合、蒸発器5と圧縮機2との間に、冷媒の一部を貯留するアキュムレータ(不図示)を備える。
【0024】
圧縮機2は、エンジン(図示せず)からの駆動力を受けて、又は電力によって駆動するモータ(図示せず)の駆動力を受けて、低温低圧の気化状態の冷媒を圧縮して、高温高圧の気化状態の冷媒にする。圧縮機2は、例えば、固定容量型圧縮機、又は可変容量型圧縮機である。
【0025】
凝縮器3は、一般的に車両の先端部(前方)のエンジンルーム内でラジエータの前面に配置される。凝縮器3は、熱交換器であり、圧縮機2から吐出された高温高圧の気化状態の冷媒を、フロントグリルなどの車両の前面部に設けられグリル開口部(不図示)から導入される車両前方の外気によって冷却し、高温高圧の液化状態の冷媒にする。グリル開口部から導入される外気は、車両の走行若しくは冷却ファン(不図示)の稼働のいずれか一方又は両方によって生成される。
【0026】
膨張装置4は、凝縮器3で凝縮された冷媒を、絞り作用によって減圧・膨張させて、低温低圧の霧状の冷媒(気液混合状の冷媒)とするとともに、冷媒の流量の調整を行う。膨張装置4は、例えば、感温式膨張弁又は電子制御式膨張弁である。
【0027】
蒸発器5は、熱交換器であり、膨張装置4で気液混合状となった冷媒を気化させ、そのときの蒸発熱によって蒸発器5を通過する送風空気を冷却除湿する。
【0028】
内部熱交換器10は、冷媒回路9上に配置される。内部熱交換器10は、凝縮器3から膨張装置4に導かれる冷媒が流れる第1の熱交換部11と蒸発器5から圧縮機2の吸入側に導かれる冷媒が流れる第2の熱交換部12とを有し、第1の熱交換部11を流れる相対的に高温の冷媒と第2の熱交換部12を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行う。
【0029】
内部熱交換器10は、第1の熱交換部11と第2の熱交換部12とを交互に並列した積層構造の内部熱交換器であるか、又は第2の熱交換部12を構成する外管の内部に第1の熱交換部11を構成する内管を配置した二重管構造の内部熱交換器であってもよい。
【0030】
配管61は、圧縮機2の出口と凝縮器3の入口とを直接的又は間接的に接続する。配管62は、凝縮器3の出口と第1の熱交換部11の入口とを直接的又は間接的に接続する。配管63は、第1の熱交換部11の出口と膨張装置4の入口とを直接的又は間接的に接続する。配管64は、膨張装置4の出口と蒸発器5の入口とを直接的又は間接的に接続する。配管65は、蒸発器5の出口と第2の熱交換部12の入口とを直接的又は間接的に接続する。配管66は、第2の熱交換部12の出口と圧縮機2の入口とを直接的又は間接的に接続する。
【0031】
熱負荷検知装置40は、車両の外気温度を検知する外気温度検出装置であることが好ましい。熱負荷をより適正に検出できる。外気温度検出装置は、例えば、外気温度センサである。
【0032】
また、熱負荷検知装置40は、蒸発器5と第2の熱交換部12との間の冷媒の圧力及び温度を検出する冷媒状態検出装置であることが好ましい。蒸発器5から流出した冷媒の過熱度を検知して冷凍サイクルが現時点で受けている熱負荷を好適に検知することができるので、安定的に高い成績係数を得ることができる。冷媒状態検出装置は、冷媒の圧力を検出する圧力検出部と冷媒の温度を検出する温度検出部とを有する装置である。圧力検出部は、例えば圧力センサであり、温度検出部は、例えば温度センサである。冷媒状態検出装置は、例えば、蒸発器5の冷媒出口管(不図示)、又は、蒸発器5の出口と第2の熱交換部12の入口とを直接的又は間接的に接続する配管65の内部を流れる冷媒と、測定点が接触するように取り付けられる。あるいは、冷媒状態検出装置のうち圧力センサについては、蒸発器5の冷媒出口管又は配管65の内部を流れる冷媒と接触点が接触するように取り付け、温度センサについては、蒸発器5の冷媒出口管又は配管65の外周と接触点が接触するように取り付けてもよい。
【0033】
熱交換量調整機構50は、冷凍サイクル1の熱負荷に応じて、内部熱交換器10での熱交換量を変更させる機構である。熱交換量調整機構50は、熱負荷が所定の熱負荷よりも高いとき、第1の熱交換部11若しくは第2の熱交換部12のいずれか一方又は両方での冷媒の通流を抑制することが好ましい。熱交換量調整機構50は、例えば、
図2〜
図4に示す第一例〜第三例の熱交換量調整機構であることが好ましい。
【0034】
図2は、第一例の熱交換量調整機構を説明するための図である。第一例の熱交換量調整機構は、(1)第1の熱交換部11を迂回して、凝縮器3から膨張装置4に冷媒を導く第1の迂回路151A、若しくは(2)第2の熱交換部12を迂回して、蒸発器5から圧縮機2の吸入側に冷媒を導く第2の迂回路151B、のいずれか一方又は両方を有する内部熱交換器迂回路151と、冷媒回路9と内部熱交換器迂回路151(151A,151B)とを流れる冷媒の比率を変更する比率調整手段152(152A,152B)と、比率調整手段152(152A,152B)を制御する比率制御装置153と、を有し、比率制御装置153は、熱負荷が所定の熱負荷より高いとき、内部熱交換器迂回路151(151A,151B)に流れる冷媒の比率を増加させることが好ましい。
【0035】
本実施形態は、内部熱交換器迂回路151として、第1の迂回路151A及び第2の迂回路151Bの両方を有する形態(
図2に図示)、第1の迂回路151Aを有し、かつ、第2の迂回路151Bを有さない形態(不図示)、又は第1の迂回路151Aを有さず、かつ、第2の迂回路151Bを有する形態(不図示)を包含する。このうち、少なくとも第2の迂回路151Bを有する形態であることが好ましい。すなわち、熱交換量調整機構が、第2の熱交換部12での冷媒の通流を抑制することが好ましい。第2の熱交換部12に通流する冷媒の流量が少ないほど、第2の熱交換部12での通路抵抗の増加量が抑制される。そして、圧縮機2による吸入圧力をより小さくでき、圧縮機2の動力をより低下させることができる。
【0036】
第1の迂回路151Aは、一端が配管62に接続され、他端が配管63に接続される。
【0037】
第2の迂回路151Bは、一端が配管65に接続され、他端が配管66に接続される。
【0038】
比率調整手段152(152A,152B)は、例えば、三方弁(
図2に図示)である。比率調整手段152(152A,152B)が三方弁であるとき、三方弁は、配管62と第1の迂回路151Aとの接続点及び/又は配管65と第2の迂回路151Bとの接続点に配置されることが好ましい。また、比率調整手段152(152A,152B)は、電磁弁又は感温弁であることが好ましく、感温弁であることがより好ましい。
【0039】
比率調整手段152Aは、第1の熱交換部11と第1の迂回路151Aとを流れる冷媒の比率を変更する。
【0040】
比率調整手段152Bは、第2の熱交換部12と第2の迂回路151Bとを流れる冷媒の比率を変更する。
【0041】
比率制御装置153は、例えば、CPU、ROM及びRAMなどを含むマイクロコンピュータである。比率制御装置153は、空調制御ユニット(不図示)に搭載されるか、又はエンジンコントロールユニットに搭載されることが好ましい。
【0042】
比率制御装置153による制御を、内部熱交換器迂回路として第1の迂回路151Aを有さず、かつ第2の迂回路151Bを有する場合を例にとって説明する。
【0043】
まず、比率制御装置153は、熱負荷検知装置40から熱負荷の情報が入力され、当該熱負荷と所定の熱負荷とを対比する(ステップ11)。
【0044】
ステップ11において熱負荷が所定の熱負荷より高いと判定したとき、比率制御装置153は、比率調整手段152Bを制御して、第2の迂回路151Bを通流する冷媒の比率を増加させる(ステップ12)。ステップ12では、比率制御装置153は、熱負荷が高くなるにつれて第2の迂回路151Bを通流する冷媒の比率を増加させる。また、熱負荷の値によっては、第2の迂回路151Bに冷媒を通流させ、第2の熱交換部12には冷媒を通流させなくてもよい。ステップ12によって、熱負荷が高いとき、第2の熱交換部12を通流する冷媒の比率が減少されることで、内部熱交換器10での熱交換が抑制される。その結果、圧縮機2が吸入する冷媒の過熱度が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0045】
ステップ11において、熱負荷が所定の熱負荷以下であると判定したとき、比率制御装置153は、比率調整手段152Bを制御して、第2の迂回路151Bを通流する冷媒の比率を減少させる(ステップ13)。ステップ13では、第2の熱交換部12に冷媒を通流させ、第2の迂回路151Bには冷媒を通流させないことが好ましい。ステップ13によって、熱負荷が低いとき、第2の熱交換部12を通流する冷媒の比率が増加して、圧縮機2が吸入する冷媒の湿り度を低くできる。このため、圧縮機2が吸入する冷媒について液体状の冷媒が混入する割合を低減し、圧縮機2を駆動する動力の増加を抑制することができる。
【0046】
ここまで、内部熱交換器迂回路として第1の迂回路151Aを有さず、かつ、第2の迂回路151Bを有する場合の制御を説明してきたが、内部熱交換器迂回路として第1の迂回路151Aを有し、かつ、第2の迂回路151Bを有さない場合、又は内部熱交換器迂回路として第1の迂回路151A及び第2の迂回路151Bの両方を有する場合も、内部熱交換器迂回路として第1の迂回路151Aを有さず、かつ、第2の迂回路151Bを有する場合と同様の制御をすることで、同様の作用効果を奏する。
【0047】
図3は、第二例の熱交換量調整機構を説明するための図である。本実施形態に係る車両用空調装置では、内部熱交換器10は、第1の熱交換部11a,11b,11cと第2の熱交換部12a,12b,12cとが対をなす内部熱交換ユニット10A,10B,10Cを複数有し、内部熱交換ユニット10A,10B,10Cは、それぞれ冷媒回路9に対して並列的に接続され、第二例の熱交換調整機構は、内部熱交換ユニット10A,10B,10Cの各々に流す冷媒の分配度を変更する分配度調整手段252(252A,252B,252C)と、分配度調整手段252(252A,252B,252C)を制御する分配度制御装置253と、を有し、分配度制御装置253は、熱負荷が所定の熱負荷よりも高いとき、内部熱交換ユニット10A,10B,10Cの各々に流す冷媒の分配度を偏らせることが好ましい。
【0048】
内部熱交換ユニット10Aは、第1の熱交換部11aと第2の熱交換部12aとを有し、第1の熱交換部11aと第2の熱交換部12aとの間で冷媒の熱交換を行う内部熱交換器である。内部熱交換ユニット10Bは、第1の熱交換部11bと第2の熱交換部12bとを有し、第1の熱交換部11bと第2の熱交換部12bとの間で冷媒の熱交換を行う内部熱交換器である。内部熱交換ユニット10Cは、第1の熱交換部11cと第2の熱交換部12cとを有し、第1の熱交換部11cと第2の熱交換部12cとの間で冷媒の熱交換を行う内部熱交換器である。
【0049】
内部熱交換ユニット10A,10B,10Cは冷媒回路9に対して並列的に接続される。具体例としては、配管62が3つに分岐されて各第1の熱交換部11a,11b,11cの入口に接続され、配管63が3つに分岐されて各第1の熱交換部11a,11b,11cの出口に接続される。これによって、凝縮器3から流出した冷媒を、複数の第1の熱交換部11a,11b,11cに分流させ、第1の熱交換部11a,11b,11cの下流で合流させて、膨張装置4へ導くことができる。また、配管65が3つに分岐されて各第2の熱交換部12a,12b,12cの入口に接続され、配管66が3つに分岐されて各第1の熱交換部12a,12b,12cの出口に接続される。これによって、蒸発器5から流出した冷媒を、複数の第2の熱交換部12a,12b,12cに分流させ、第2の熱交換部12a,12b,12cの下流で合流させ、圧縮機2へ導くことができる。
【0050】
内部熱交換ユニット10A,10B,10Cの数は、2個以上であればよく、本発明は、内部熱交換ユニットの数に限定されない。
図3では、一例として内部熱交換ユニット10A,10B,10Cの数が3個である形態を示した。
【0051】
分配度調整手段252(252A,252B,252C)は、内部熱交換ユニット10A,10B,10Cで熱交換される冷媒の流通を開閉する弁であり、例えば、ストップバルブである。
図3では、一例として、分配度調整手段252(252A,252B,252C)が第2の熱交換部12a,12b,12cに設けられた形態を示したが、分配度調整手段は、第1の熱交換部11a,11b,11cに設けられるか、又は、第1の熱交換部11a,11b,11c及び第2の熱交換部12a,12b,12cの両方に設けられてもよい。このうち、少なくとも、第1の熱交換部11a,11b,11cに設けられることが好ましい。すなわち、熱交換量調整機構が、第1の熱交換部11での冷媒の通流を抑制することが好ましい。第1の熱交換部11a,11b,11cを通流する冷媒の偏りが多いほど、第2の熱交換部12を流れる冷媒の過熱度の上昇が抑制される。そして、圧縮機2による吸入圧力をより小さくでき、圧縮機2の動力をより低下させることができる。
【0052】
分配度制御装置253は、例えば、CPU、ROM及びRAMなどを含むマイクロコンピュータである。分配度制御装置253は、空調制御ユニット(不図示)に搭載されるか、又はエンジンコントロールユニットに搭載されることが好ましい。
【0053】
第二例の熱交換調整機構は、第1の熱交換部と対をなさず、蒸発器5から圧縮機2の吸入側に導かれる冷媒が流れる内部熱交換器迂回用配管67、若しくは、第2の熱交換部と対をなさず、凝縮器3から膨張装置4に導かれる冷媒が流れる内部熱交換器迂回用配管(不図示)のいずれか一方又は両方と、内部熱交換器迂回用配管67へ流す冷媒の流量を変更する分配度調整手段252Dと、を更に有することが好ましい。
【0054】
分配度制御装置253による制御を、分配度調整手段252が第2の熱交換部12の冷媒の流通を開閉する場合を例にとって説明する。
【0055】
まず、分配度制御装置253は、熱負荷検知装置40から熱負荷の情報が入力され、当該熱負荷と所定の熱負荷とを対比する(ステップ21)。
【0056】
ステップ21において、熱負荷が所定の熱負荷よりも高いと判定したとき、分配度制御装置253は、分配度調整手段252(252A,252B,252C,252D)を制御して、内部熱交換ユニット10A,10B,10Cの各々に流す冷媒の分配度を偏らせる(ステップ22)。例えば、分配度調整手段252A,252Bを開とし、分配度調整手段252C,252Dを閉とする。そうすると、内部熱交換ユニット10A,10Bでは冷媒の熱交換が行われるが、内部熱交換ユニット10Cでは冷媒の熱交換は行われない。その結果、内部熱交換器10での熱交換量が、すべての内部熱交換ユニット10A,10B,10Cで熱交換を行った場合と比較しておおよそ2/3に抑制される。また、分配度調整手段252Aを開とし、分配度調整手段252B,252C,252Dを閉とすると、内部熱交換器10での熱交換量が、すべての内部熱交換ユニット10A,10B,10Cで熱交換を行った場合と比較しておおよそ1/3に抑制される。
【0057】
ステップ22では、分配度制御装置253は、熱負荷が高くなるにつれて、閉とする分配度調整手段252A,252B,252Cの数を1個、2個・・と段階的に増やすことが好ましい。また、分配度調整手段252A,252B,252Cを閉とし、分配度調整手段252Dを開として、内部熱交換器10(内部熱交換ユニット10A,10B,10C)では熱交換を行わずに冷媒を圧縮機2へ流してもよい。ステップ22によって、熱負荷が高いとき、内部熱交換器10での熱交換が抑制され、圧縮機が吸入する冷媒の過熱度が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0058】
ステップ21において、熱負荷が所定の熱負荷以下であると判定したとき、分配度制御装置253は、分配度調整手段252(252A,252B,252C,252D)を制御して、内部熱交換ユニット10A,10B,10Cの各々に流す冷媒の分配度を均一化する(ステップ23)。すなわち、分配度調整手段252A,252B,253Cを開とするとともに、分配度調整手段252Dを閉とする。ステップ23によって、圧縮機2が吸入する冷媒の湿り度を低くできる。
【0059】
ここまで、分配度調整手段252(252A,252B,252C,252D)が第2の熱交換部12の冷媒の流通を開閉する場合の制御を説明してきたが、分配度調整手段が第1の熱交換部11の冷媒の流通を開閉する場合、又は、分配度調整手段が第1の熱交換部11及び第2の熱交換部12の冷媒の流通を開閉する場合も、分配度調整手段252(252A,252B,252C,252D)が第2の熱交換部12の冷媒の流通を開閉する場合と同様の制御をすることで、同様の作用効果を奏する。
【0060】
図4は、第三例の熱交換量調整機構を説明するための図である。第三例の熱交換調整機構は、冷媒回路9と第2の熱交換部12とを複数の位置で接続し、第2の熱交換部12に対して接続部T1,T2,T3が直列的に配置される接続配管部351(351A,351B,351C)と、接続配管部351(351A,351B,351C)に設けられて第2の熱交換部12のうち熱交換する有効面積を変更する熱交換面積調整手段352(352A,352B,352C)と、熱交換面積調整手段352(352A,352B,352C)を制御する有効面積制御装置353と、を有し、有効面積制御装置353は、熱負荷が所定の熱負荷よりも高いとき、熱交換のための有効面積を減少させることが好ましい。
【0061】
接続配管部351(351A,351B,351C)は、配管65の冷媒の流れ方向に沿って設けられた複数の接続部S1,S2,S3と、第2の熱交換部12の冷媒の流れ方向に沿って設けられた複数の接続部T1,T2,T3とをそれぞれ接続する配管である。第2の熱交換部12に設けられた接続部T1,T2,T3のうち一つの接続部T1は、第2の熱交換部12の冷媒の流れ方向の上流側(この例では蒸発器5側)の端部に設けられることが好ましい。その他の接続部T2,T3は、第2の熱交換部12の途中、例えば、接続部T1よりも下流側(この例では圧縮機2側)、かつ、下流側の端部よりも上流側に設けられる。隣り合う接続部T1,T2,T3間の距離は、
図4に示すように均等であるか、又は不均等であってもよい。接続配管部351は、例えば、第2の熱交換部12の上流側の端部に接続された上流接続配管部351Aと、第2の熱交換部12の途中に接続された中流接続配管部351Bと、第2の接続配管部351Bよりも下流側に接続された下流接続配管部351Cとを包含する。複数の接続配管部351A,351B,351Cは、相互に交差しないことが好ましく、相互に並行に配置されることがより好ましい。
【0062】
熱交換面積調整手段352(352A,352B,352C)は、接続配管部351(351A,351B,351C)の冷媒の流通を開閉する弁であり、例えば、ストップバルブである。
【0063】
有効面積制御装置353は、例えば、CPU、ROM及びRAMなどを含むマイクロコンピュータである。有効面積制御装置353は、空調制御ユニット(不図示)に搭載されるか、又はエンジンコントロールユニットに搭載されることが好ましい。
【0064】
第三例の熱交換調整機構は、第2の熱交換部には接続されず、蒸発器5から圧縮機2の吸入側に導かれる冷媒が流れる内部熱交換器迂回用配管68と、内部熱交換器迂回用配管68へ流す冷媒の流量を変更する熱交換面積調整手段352Dと、を更に有することが好ましい。
【0065】
第三例の熱交換調整機構を採用するとき、内部熱交換器10は、二重管構造の内部熱交換器であることが好ましい。
【0066】
ここまで、第三例の熱交換調整機構が、冷媒回路9と第2の熱交換部12とを複数の位置で接続し、第2の熱交換部12に対して接続部T1,T2,T3が直列的に配置される接続配管部(以降、第2の接続配管部ということもある。)351を有する形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されない。第三例の熱交換調整機構は、冷媒回路9と第1の熱交換部11とを複数の位置で接続し、第1の熱交換部11に対して接続部が直列的に配置される第1の接続配管部(不図示)を有していてもよい。本実施形態は、熱交換調整機構として、第1の接続配管部を有さず、第2の接続配管部351を有する形態(
図4に図示)、第1の接続配管部を有し、第2の接続配管部351を有さない形態(不図示)、又は第1の接続配管部及び第2の接続配管部351の両方を有する形態(不図示)を包含する。このうち、少なくとも第2の接続配管部351を有する形態であることが好ましい。すなわち、熱交換量調整機構が、第2の熱交換部12での冷媒の通流を抑制することが好ましい。第2の熱交換部12に通流する冷媒の流量が少ないほど、第2の熱交換部12での通路抵抗の増加量が抑制される。そして、圧縮機2による吸入圧力をより小さくでき、圧縮機2の動力をより低下させることができる。
【0067】
有効面積制御装置353による制御を、第2の接続配管部351を有する場合を例にとって説明する。
【0068】
まず、有効面積制御装置353は、熱負荷検知装置40から熱負荷の情報が入力され、当該熱負荷と所定の熱負荷とを対比する(ステップ31)。
【0069】
ステップ31において、熱負荷が所定の熱負荷よりも高いと判定したとき、有効面積制御装置353は、熱交換面積調整手段352を制御して、熱交換のための有効面積を減少させる(ステップ32)。例えば、上流接続配管部351Aの熱交換面積調整手段352A及び下流接続配管部351Cの熱交換面積調整手段352Cを閉とし、中流接続配管部351Bの熱交換面積調整手段352Bを開とする。そうすると、蒸発器5から流出した冷媒が第2の熱交換部12の途中(接続部T2)から流入されて、熱交換のための有効面積が、第2の熱交換部12の接続部T2よりも下流の領域に減少される。また、熱交換面積調整手段352A,352Bを閉とし、熱交換面積調整手段352Cを開とすると、熱交換のための有効面積が、第2の熱交換部12の接続部T3よりも下流の領域に減少される。このように、冷媒を流す接続配管部351A,351B,351Cを選択することによって、熱交換が行われる有効面積を変更することができる。内部熱交換器10での熱交換量を、内部熱交換器10の全領域で熱交換を行った場合と比較して抑制することができる。
【0070】
ステップ32では、有効面積制御装置353は、熱負荷が高くなるにつれて、熱交換が行われる有効面積を少なくすることが好ましい。例えば、有効面積制御装置353は、熱負荷が高くなるにつれて、開とする熱交換面積調整手段352を352A,352B,352Cのように上流側から下流側に移行させる。また、熱交換面積調整手段352A,352B,352Cを閉とし、熱交換面積調整手段352Dを開として、内部熱交換器10では熱交換を行わずに冷媒を圧縮機2へ流してもよい。ステップ32によって、熱負荷が高いとき、熱交換のための有効面積が減少されて、圧縮機2が吸入する冷媒の過熱度が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0071】
ステップ31において、熱負荷が所定の熱負荷以下であると判定したとき、有効面積制御装置353は、熱交換面積調整手段352を制御して、熱交換のための有効面積を増加させる(ステップ33)。例えば、上流接続配管部351Aの熱交換面積調整手段352Aを開とし、中流接続配管部351B,下流接続配管部351Cの熱交換面積調整手段352B,352Cを閉とする。そうすると、蒸発器5から流出した冷媒が第2の熱交換部12の上流側の端部(接続部T1)から流入されて、第2の熱交換部12の全域で熱交換が行われる。ステップ33によって、熱負荷が低いとき、熱交換のための有効面積を増加して、圧縮機が吸入する冷媒の湿り度を低くできる。
【0072】
第1の接続配管部を有する場合、又は第1の接続配管部及び第2の接続配管部の両方を有する場合も、第2の接続配管部351を有する場合と同様の制御をすることで、同様の作用効果を奏する。
【0073】
図5は、熱交換の抑制度合いとCOPとの関係を示す図であり、(a)は熱負荷とCOPとの関係を示すグラフであり、(b)は熱負荷と熱交換の抑制度合いを示すグラフである。
図5(b)において、横軸は、熱負荷を示し、縦軸から離れるほど(右側ほど)熱負荷が大きくなり、縦軸は、内部熱交換器での熱交換の抑制度合いを示し、横軸から離れるほど(上側ほど)抑制度合いが大きくなる。抑制度合いが0%とは、内部熱交換器10が本来有する熱交換能力を発揮している状態を意味する。抑制度合いが100%とは、内部熱交換器10が熱交換を一切行わないことを意味する。線800は、内部熱交換器を有し、かつ、内部熱交換器での熱交換を抑制しない車両用空調装置(以降、従来の車両用空調装置という。)における熱交換の抑制度合い、線900,901,902は本実施形態に係る車両用空調装置における熱交換の抑制度合いを示す。
図5(a)において、横軸は
図5(b)の横軸と同軸であり、縦軸は、COPを示し、横軸から離れるほど(上側ほど)COPが大きくなる。線80は線800の制御をしたときのCOP、線90は線900,901,902の制御をしたときのCOPを示す。
【0074】
図5を参照して、本実施形態に係る車両用空調装置の作用効果を説明する。従来の車両用空調装置では、
図5(b)の線800のように内部熱交換器10での熱交換を抑制しないため、熱負荷が大きくなるにつれて圧縮機2に吸入される冷媒の過熱度が大きくなりやすい。その結果、
図5(a)の線80のように、熱負荷が大きくなるにつれてCOPが低下する割合が大きくなる。これに対して、本実施形態に係る車両用空調装置では、第一例〜第三例の熱交換量調整機構が、
図5(b)の線900,901,902のように、熱負荷が所定の熱負荷h
0よりも高いとき、内部熱交換器10での熱交換を抑制する。このため、圧縮機2が吸入する冷媒の過熱度が大きくなりすぎることが防止される。その結果、
図5(a)の線90のように、熱負荷が大きくなってもCOPが低下する割合が従来の車両用空調装置(線80)よりも小さくなる。また、本実施形態に係る車両用空調装置では、成績係数の最大値が、従来の車両用空調装置よりも大きく、かつ、従来の車両用空調装置よりも高熱負荷側で得られる。一方、熱負荷が所定の熱負荷h
0以下であるとき、従来の車両用空調装置及び本実施形態に係る車両用空調装置ともに、内部熱交換器で熱交換が行われることで、圧縮機が吸入する冷媒の湿り度を低くすることができる。その結果、車両用空調装置が内部熱交換器を有さない場合と比較してCOPを向上することができる。このように、本実施形態に係る車両用空調装置は、熱負荷が高いときは圧縮機が吸入する冷媒の過熱度が大きくなることを防止するとともに、熱負荷が低いときは圧縮機が吸入する冷媒の湿り度を低くすることができ、冷凍サイクルの高い成績係数を安定して得ることができる。
【0075】
第一例〜第三例の熱交換量調整機構は、
図5(b)に示すように、熱負荷が高くなるにつれて内部熱交換器での前記熱交換の抑制度合いを連続的又は段階的に高くする形態を包含する。
【0076】
抑制度合いを連続的に高くする形態は、例えば、
図5の線900のように右肩上がりの直線状に高くする形態、又は
図5の線901のように右肩上がりの曲線状に高くする形態である。抑制度合いを連続的に高くする制御方法は、例えば、
図2に示す第一例の熱交換量調整機構において、内部熱交換器迂回路151(151A,151B)に流れる冷媒の比率を連続的に増加させる方法である。
【0077】
抑制度合いを段階的に高くする形態は、例えば、
図5の線902のように右肩上がりの階段状に高くする形態である。
図5では一例として三段階に高くする形態を示したが、本発明は段階の数に限定されない。抑制度合いを段階的に高くする制御方法は、例えば、
図2に示す第一例の熱交換量調整機構において、内部熱交換器迂回路151(151A,151B)に流れる冷媒の比率を段階的に増加させる方法、
図3に示す第二例の熱交換量調整機構において、内部熱交換ユニット10A,10B,10Cの各々に流す冷媒の分配度を段階的に偏らせる方法、又は、
図4に示す第三例の熱交換量調整機構において、熱交換のための有効面積を段階的に減少させる方法である。
【0078】
また、抑制度合いを高くする形態は、連続的と段階的との組合せであってもよい。抑制度合いを連続的と段階的との組合せで高くする制御方法は、例えば、
図2に示す第一例の熱交換量調整機構において、内部熱交換器迂回路151(151A,151B)に流れる冷媒の比率を連続的に増加させたり段階的に増加させたりする方法である。
【0079】
本実施形態に係る車両は、本実施形態に係る車両用空調装置を備える。