【解決手段】 外層容器と内袋とを有し、内袋に収容される内容物の減少に伴って内袋が外層容器から剥離して収縮する二重容器である。胴部の周面には、複数の稜線部が互いに略平行に形成されており、各稜線部は容器の高さ方向に対して斜めに傾斜して形成されている。稜線部と稜線部の間の領域は、例えば湾曲面を有する凹部である。稜線部の傾斜角度は、例えば水平面に対して40°〜80°である。稜線部は螺旋状に形成されていてもよい。
口部と胴部を有するとともに、口部と胴部の間には、口部に向かって次第に縮径する肩部を有し、前記稜線部は前記肩部には形成されていないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の二重容器。
【背景技術】
【0002】
従来、外層容器と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が収縮する容器本体と、外層容器と内袋の間の中間空間と容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節する逆止弁とを備える二重容器(いわゆる積層剥離容器)が知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
特許文献1に開示される積層剥離容器では、容器本体の口部に取り付けるキャップに弁が内蔵されている。特許文献2に開示される積層剥離容器では、外殻の胴部の内側に弁が設けられている。
【0004】
ところで、前述のような外層容器と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が収縮する二重容器においては、内袋が円滑に剥離することが重要になる。内容物の注出に伴って内袋が外層容器から速やかに剥離しないと、円滑な注出が難しくなるおそれがあり、外層容器が変形する等のトラブルが発生する原因にもなる。
【0005】
そこで、容器形状を工夫することで、内袋を剥離し易くする試みがなされている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3には、外層体の胴部に、注出口の側から底部の側へ向けて延びる外層リブを設け、この外層リブの、内層体の側を向く内面の横断面形状を、アンダーカット形状とし、内層体に、外層リブの内面に対応した横断面形状の内層リブを設けるとともに外層リブと内層リブとの間に隙間を設けた二重容器が開示されている。係る二重容器においては、隙間を介して外層体と内層体の間へ流入させることができるので、内層体を外層体から剥がれ易くして、この二重容器の内層体の剥離不良や外層体の変形を防止することができる、としている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した二重容器の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の二重容器1は、いわゆる積層剥離容器であり、容器本体2を主体とするものである。そして、容器本体2は、内容物を収容する収容部3と、収容部3から内容物を吐出する口部4を備えている。また、口部4には、ヒンジを介して開閉されるキャップ30が装着されている。
【0015】
一方、
図3及び
図4に示すように、容器本体2は、収容部3及び口部4において、外殻である外層容器11と内袋12を備えており、内容物の減少に伴って内袋12が収縮する。
【0016】
外層容器11と内袋12は、多層パリソンとしてブロー成形に供され、一体に接合された状態で成形されるが、その使用形態としては、例えば使用前に予め外層容器11から内袋12を剥離しておき、内袋12が外層容器11に接するまで内容物を充填する。内容物を押し出すことで、円滑に内袋12が収縮する。あるいは、内袋12が外層容器11に接合された状態のままとし、内容物の排出に伴って内袋12が外層容器11から剥離して収縮するようにしてもよい。
【0017】
容器本体2の層構成についてさらに説明すると、容器本体2は、前記の通り、外層容器11と内袋12を備え、外層容器11は、復元性が高くなるように、内袋12よりも肉厚に形成されている。
【0018】
外層容器11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層容器11は、単層又は複数層構成であり、その最内層と最外層の少なくとも一方に滑剤を含有することが好ましい。外層容器11が単層構成の場合、その単層が最内層であり且つ最外層であるので、その層に滑剤を含有させればよい。外層容器11が2層構成の場合、容器内面側の層が最内層となり、容器外面側の層が最外層となるので、その少なくとも一方に滑剤を含有させればよい。外層容器11が3層以上で構成される場合、最も容器内面側の層が最内層であり、最も容器外面側の層が最外層となる。外層容器11は、
図5に示すように、最内層11bと最外層11aの間にリプロ層11cを備えることが好ましい。リプロ層とは、容器の成形時に発生するバリをリサイクルして使用した層をいう。外層容器11が複数層構成の場合、その最内層と最外層の両方に滑剤を含有することが好ましい。
【0019】
滑剤としては、一般に滑剤として市販されているものを使用することができ、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アマイド系、金属石鹸系の何れであってもよく、2種以上を併用してもよい。炭化水素系滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどが挙げられる。脂肪酸系滑剤としては、ステアリン酸やステアリルアルコールなどが挙げられる。脂肪族アマイド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドの脂肪酸アミドや、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドのアルキレン脂肪酸アミドなどが挙げられる。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。
【0020】
外層容器11の最内層は、内袋12に接触する層であり、外層容器11の最内層に滑剤を含有させることによって外層容器11と内袋12の間の剥離性を向上させることができる。一方、外層容器11の最外層は、ブロー成形の際に金型に接触する層であり、外層容器11の最外層に滑剤を含有させることによって離型性を向上させることができる。
【0021】
外層容器11の最内層と最外層の一方又は両方は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体で形成することができる。これによって、外殻である外層容器11の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。
【0022】
ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5〜35mol%が好ましい。この含有量は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよく、エチレンが特に好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、エチレンの含有量は、5〜30mol%が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ランダム共重合体の重量平均分子量は、10〜50万が好ましく、10〜30万がさらに好ましい。この重量平均分子量は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
また、ランダム共重合体の引張弾性率は、400〜1600MPaが好ましく、1000〜1600MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、形状復元性が特に良好であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
なお、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層容器11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層容器11を構成することができる。
【0025】
内袋12は、容器外面側に設けられたEVOH層13aと、EVOH層12aの容器内面側に設けられた内面層12bと、EVOH層12aと内面層12bの間に設けられた接着層12cを備える。EVOH層12aを設けることで、ガスバリア性、及び外層容器11からの剥離性を向上させることができる。
【0026】
EVOH層12aは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25〜50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層12aの柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層12aは、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層12aに含有させることにより、EVOH層12aの酸素バリア性をさらに向上させることができる。
【0027】
EVOH樹脂の融点は、外層容器11を構成するランダム共重合体の融点よりも高いことが好ましい。外気導入孔15は、加熱式の穿孔装置を用いて外層容器11に形成することが好ましいが、EVOH樹脂の融点をランダム共重合体の融点よりも高くすることによって、外層容器11に外気導入孔15を形成する際に、孔が内袋13にまで到達することを防ぐ。この観点から、(EVOHの融点)−(ランダム共重合体層の融点)の差は大きい方がよく、15℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。この融点の差は、例えば5〜50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0028】
内面層12bは、二重容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。内面層12bを構成する樹脂の引張弾性率は、50〜300MPaが好ましく、70〜200MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、内面層13bが特に柔軟であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0029】
接着層12cは、EVOH層12aと内面層12bとを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層12cの一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
【0030】
また、収容部3の肩部においては、外層容器11に凹部7aが形成され、ここに大気導入孔15が穿設されている。大気導入孔15は、外層容器11にのみ設けられた貫通孔であり、内袋12には到達していない。そして、この大気導入孔15から空気が導入されることで、外殻である外層容器11と内袋12の間に中間空間21が形成される。すなわち、中間空間21と外部空間は、この大気導入孔15によって互いに連通されることになる。
【0031】
大気導入孔15には、弁部材5が設けられており、弁部材5は、外気導入孔15に挿通され且つ外気導入孔15に対してスライド移動可能な軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間S側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。
【0032】
蓋部5cは、外層容器11を圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状になっている。また、係止部5bは、外層容器11が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。外層容器11を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に向かって移動し、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
【0033】
この状態で外層容器11をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内袋12が圧縮されて、内袋12内の内容物が吐出される。また、外層容器11への圧縮力を解除すると、外層容器11が自身の弾性によって復元しようとする。この際、蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには外層11に当接する部位に突起5dが設けられており、突起5dが外層容器11に当接することによって、外層容器11と係止部5bの間に隙間が設けられる。なお、突起5dを設ける代わりに、係止部5bに溝を設けることによって係止部5bが外気導入孔15を閉塞させることを防いでもよい。
【0034】
次に、前述の構成を有する二重容器1の使用時の動作を説明する。
【0035】
図6(a)〜(c)に示すように、内容物が充填された製品を傾けた状態で外層容器11の側面を握って圧縮して内容物を吐出させる。使用開始時は、内袋12と外層容器11の間に実質的に隙間がない状態であるので、外層容器11に加えた圧縮力は、そのまま内袋12の圧縮力となり、内袋12が圧縮されて内容物が吐出される。
【0036】
キャップ30は、逆止弁を内蔵しており、内袋12内の内容物を吐出させることはできるが、内袋12内に外気が逆流することはない。そのため、内容物の吐出後に外層容器11へ加えていた圧縮力を除くと、外層容器11が自身の復元力によって元の形状に戻ろうとするが、内袋12はしぼんだままで外層容器11だけが膨張することになる。そして、
図6(d)に示すように、内袋12と外層容器11の間の中間空間21内が減圧状態となり、外層容器11に形成された外気導入孔15を通じて中間空間21内に外気が導入される。中間空間21が減圧状態になっている場合、弁部材5は、大気導入孔15に押し付けられないので、外気の導入が妨げられない。
【0037】
次に、
図6(e)に示すように、再度、外層容器11の側面を握って圧縮した場合、弁部材5が大気導入孔15に当接して閉塞することによって、中間空間21内の圧力が高まり、外層容器11に加えた圧縮力は中間空間21を介して内袋12に伝達され、この力によって内袋12が圧縮されて内容物が吐出される。内容物の吐出後に外層容器11へ加えていた圧縮力を除くと、
図6(f)に示すように、外層容器11は、外気導入孔15から中間空間21に外気を導入しながら、自身の復元力によって元の形状に復元される。
【0038】
以上が本実施形態の二重容器1の基本的構造及び使用形態であるが、本実施形態の二重容器1においては、その形状を工夫することで内袋12が円滑に剥離するようにしている。以下、本実施形態の二重容器1における形状の工夫について詳述する。
【0039】
本実施形態の二重容器1は、容器本体2を主体とするものであり、容器本体2は、内容物を収容する収容部3と、収容部3から内容物を吐出する口部4とから構成されているが、収容部3は、さらに概ね一定の径を有する胴部31と、口部4に向かって次第に縮径する肩部32に細分される。
【0040】
本実施形態の二重容器1では、胴部31の周面に稜線部41が形成されていることが特徴である。ここで、稜線部41は、胴部31の周面の全周に亘り略等間隔で複数形成されており、また、これら複数の稜線部41は互いに略平行に形成され、さらに、各稜線部41は二重容器1の高さ方向に対して斜めに傾斜して形成されている。
【0041】
前記稜線部41は、稜線部41と稜線部41の間の領域42を、平坦面、あるいは凹部(例えば湾曲した凹部)とすることで形成されるものであり、帯状の各領域42の間において、若干突出する線状部として形成されるものである。したがって、二重容器1の使用時に、胴部31を手で握って押圧すると、この稜線部41に力が加わることになる。
【0042】
また、前記稜線部41は、前述の通り二重容器1の高さ方向に対して斜めに傾斜して形成されており、その傾斜角度は任意であるが、例えば
図2に示すように、稜線部41の二重容器1の高さ方向(二重容器1の載置面に対して垂直方向)に対する角度αとして、40°≦α≦80°とすることが好ましい。傾斜角度αが前記範囲を外れると、剥離促進効果が低下するおそれがある。
【0043】
前記稜線部41は、直線状に斜めに傾斜して形成されていてもよいし、曲線状(いわゆる螺旋状)に形成されていてもよい。後者の場合、中央部分の接線の傾きが前記角度範囲内であればよい。
【0044】
前記稜線部41は、胴部31の高さ方向全体に亘って形成されていることが好ましいが、これに限らず、胴部31の高さ方向の一部に形成されていてもよい。ただし、前記肩部32には稜線部41は形成されていないことが好ましい。肩部32に形成される外気導入孔15近傍における内袋12の剥離状態に悪影響を及ぼす可能性あるからである。
【0045】
同様に、前記稜線部41は、内袋12の剥離促進のためには、胴部31の周面の全体(全周)に亘って形成されていることが好ましいが、これに限らず、例えば胴部31の周面において、周方向に間欠的に形成されていてもよい。また、稜線部41の間隔(すなわち帯状の領域42の幅)についても任意であるが、数mm〜数cmとすることが好ましい。稜線部41の間隔が開きすぎても、逆に間隔が狭すぎても、内袋12の剥離促進が難しくなるおそれがある。
【0046】
前述のように胴部31に斜めに稜線部41を形成した二重容器1においては、胴部31を手で握って押圧すると、稜線部41に力が加わり、突出する形で形成されていた稜線部41の形状が反転し、谷部となる。この反転の際の急激な変形により、内袋12が外層容器11から剥離する。すなわち、稜線部41の反転を起点に、内袋12の剥離が進行する。
【0047】
また、稜線部41を斜めに傾斜して形成しているので、押圧した稜線部41のみならず、その近隣の稜線部41においても形状の反転が誘発される。その結果、押圧部の周辺において、内袋12の剥離の起点が複数形成されることになり、内袋12の剥離がより一層円滑に進行する。
【0048】
前述の二重容器1においては、内袋12を外層容器11から予め剥離させる予備剥離工程を施しておくことも、好ましい使用形態である。
【0049】
予備剥離工程は、例えば
図7に示すように、容器本体2の収容部3を外側から押圧手段で押圧して圧縮しながら容器本体2を回転させることによって、収容部3の全周において内袋12を外層容器11から予備剥離させる(全周予備剥離工程)。押圧手段は、それぞれがローラー部48b,49bを有する第1及び第2押圧体48,49を有する。収容部3は、ローラー部48b,49bの間に挟まれて押圧される。この状態で、
図7に示すように、容器本体2を中心軸52を中心に矢印A方向に回転させるとローラー部48b,49bが中心軸48a,49aを中心に矢印B方向に回転しながら収容部3を押圧することによって収容部3の全周に渡って内袋12が外層容器11から予備剥離される。容器本体2及びローラー部48b,49bは、上記実施形態とは逆向きに回転させてもよい。また、容器本体2を回転させたときにローラー部48b,49bの少なくとも一方が回転しないようにしてもよい。
【0050】
容器本体2の押圧は、収容部3がその直径の5〜30%(好ましくは10〜20%)圧縮されるように行うことが好ましい。圧縮の程度が小さすぎると全周予備剥離が起こりにくく、圧縮の程度が大きすぎると内袋12が容器本体2の中央に向かって凹んでしまって後工程で内容物を注入しにくくなる場合があるからである。また、外層容器11を潰しすぎると、押圧後に外層容器11が復元せずに容器として不良となるという問題もある。
【0051】
なお、
図7の構成例において、容器本体2を中心軸52を中心に回転可能に支持した状態で、ローラー部48b,49bの少なくとも一方を回転駆動することによって容器本体2を回転させるようにしてもよい。また、容器本体2の外周に沿って押圧手段を移動させるようにしてもよい。具体的な構成例としては、
図8に示すように、第1及び第2押圧体48,49を連結部材53で連結した状態で連結部材53を容器本体2の中心軸52を中心に回転させる構成が挙げられる。この構成例では、連結部材53を矢印B方向に回転させると、第1及び第2押圧体48,49は、中心軸48a,49aを中心にして矢印B方向に自転しながら、中心軸52を中心に容器本体2の外周に沿って移動する。この構成例では、容器本体2は、回転してもしなくてもよい。
【0052】
押圧手段のさらに別の構成例を
図9に示す。この構成例では、押圧手段は、それぞれがベルト部48c,49cを有する第1及び第2押圧体48,49を有する。この構成例では、全周予備剥離工程は、ベルト部48cとベルト部49cの間に収容部3を挟んで収容部3を押圧して圧縮しながらベルト部48cをベルト部49cに対して相対移動させることによって、容器本体2を回転させながら一方向(矢印C方向)に搬送することによって行われる。ベルト部48cは、一対の支持柱48eで支持され、ベルト部49cは、一対の支持柱49eで支持されている。ベルト部48cは、一対の支持柱48eの少なくとも一方を回転駆動するか、又はベルト部48cに噛み合う駆動軸を別途設けて、この駆動軸を回転駆動することによって矢印C方向に移動させることができる。ベルト部49cは、ベルト部48cよりも低速で矢印C方向に移動させてもよく、移動させないようにしてもよく、ベルト部48cよりも低速で矢印Cとは反対方向に移動させてもよい。何れの場合でもベルト部48c,49cの間の相対移動に伴って容器本体2が回転しながら矢印C方向に搬送される。この構成例は、多数の容器本体3を連続的に処理することができるので、製造ラインへの組み込みに適している。
【0053】
また、一対の支持柱48eの間に支持板50を配置し、一対の支持柱49eの間に支持板51を配置してもよい。支持板50,51は、図示しないベースに固定されていて容易には撓まないように構成されている。支持柱48e,49eから離れた部位ではベルト部48c,49cの撓みによって収容部7が十分に押圧されにくくなる場合があるが、支持板50,51を上記の位置に配置することによって、ベルト部48c,49cの撓みが抑制されて収容部7を確実に押圧して圧縮することができる。また、ベルト部48c,49cは、収容部3との接触面に凹凸を設けることが好ましい。この場合、収容部3とベルト部48c,49cの間のグリップ力が増大して、容器本体2がより確実に回転しながら搬送されるからである。
【0054】
全周予備剥離工程は、任意のタイミングで行うことができる。全周予備剥離工程の前にエアー吹込予備剥離工程を行うことは必須ではないが、予め内袋12の一部の領域が外層容器11から予備剥離されていると、その予備剥離されている領域がきっかけとなって全周予備剥離が起こりやすいので、全周予備剥離工程の前にエアー吹込予備剥離工程を行うことが好ましい。この場合、全周予備剥離工程は、エアー吹込予備剥離工程の後の任意のタイミングで行うことができる。
【0055】
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。