特開2017-193375(P2017-193375A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017193375-包装体 図000005
  • 特開2017193375-包装体 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-193375(P2017-193375A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/38 20060101AFI20170929BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
   B65D77/38
   B65D81/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-79194(P2017-79194)
(22)【出願日】2017年4月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-83704(P2016-83704)
(32)【優先日】2016年4月19日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】高畑 弘明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 昌範
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB83
3E067BA10A
3E067BB06A
3E067BB14A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA03
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA11
3E067EA34
3E067FC01
3E067GC06
3E067GD08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包装体を開封したときに、包装体が密封されていたかどうかを容易に確認することができる包装体を提供すること。
【解決手段】基材層2及び基材層上に設けられた易剥離層4を有するシート20と、シート20の易剥離層上に設けられた通気性不織布6と、を備える包装体10。通気性不織布6のシート側の面の周縁部と、シートの易剥離層側の面の周縁部とが熱融着されて、これらの面の間に収容部8が形成されている。易剥離層4が、融点が72〜95℃のエチレン共重合体を含有する。通気性不織布6が、高密度ポリエチレン繊維の不織布である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、及び、前記基材層上に設けられた易剥離層を有する、シートと、
前記シートの前記易剥離層上に設けられた通気性不織布と、
を備える包装体であって、
前記通気性不織布の前記シート側の面の周縁部と、前記シートの前記易剥離層側の面の周縁部とが熱融着されて、これらの面の間に収容部が形成されており、
前記易剥離層が、融点が72〜95℃のエチレン共重合体を含有し、
前記通気性不織布が、高密度ポリエチレン繊維の不織布である、包装体。
【請求項2】
前記エチレン共重合体において、エチレンに由来する構成単位の含有量が、前記エチレン共重合体の全質量を基準として、73〜89質量%である、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記高密度ポリエチレン繊維の密度が、300〜500kg/mである、請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート系フィルム又はポリプロピレン系フィルムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項5】
ガス滅菌用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。より詳細には、本発明は、例えば、ガス滅菌用の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
医療器具などを滅菌する方法の一つとして、ガス滅菌が知られている。ガス滅菌は、例えば以下のようにして行われる。まず、包装体内に滅菌対象物を収容し、包装体を密封する。ガス滅菌用の包装体は、一般的に、菌を通さないが、通気性を有する。次いで、包装体をガス環境下に置く。その結果、包装体内にガスが充満し、滅菌対象物が滅菌される。
【0003】
例えば、特許文献1には、通気性の不織布シートと合成樹脂シートとがヒートシール剤層を介して重ね合わされたガス滅菌用包装体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−129720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガス滅菌では、滅菌対象物を包装体内に収容した後に、包装体が密封されることが重要である。包装体が密封されていないと、ガス滅菌後に菌が包装体内に侵入して、滅菌対象物が菌で再び汚染されるおそれがある。ガス滅菌後に滅菌対象物を包装体から取り出して使用するときは、包装体が密封されていたことを充分に確認することが求められる。
【0006】
しかしながら、従来のガス滅菌用包装体では、包装体を開封したときに、包装体が密封されていたかどうかを確認するのは容易ではなく、更なる改善が求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、包装体を開封したときに、包装体が密封されていたかどうかを容易に確認することができる包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、基材層及び当該基材層上に設けられた易剥離層を有するシートと、シートの易剥離層上に設けられた通気性不織布とを備える包装体である。当該包装体では、通気性不織布のシート側の面の周縁部と、シートの易剥離層側の面の周縁部とが熱融着されて、これらの面の間に収容部が形成されている。易剥離層は、融点が72〜95℃のエチレン共重合体を含有する。通気性不織布は、高密度ポリエチレン繊維の不織布である。
【0009】
本発明の包装体では、通気性不織布をシートから剥離して包装体を開封したとき、シートにおける通気性不織布と熱融着していた部分には、連続する明瞭な剥離痕跡が観察される。そのため、本発明の包装体では、包装体を開封したときに、シート上の剥離痕跡を観察することで、包装体が密封されていたかどうかを容易に確認することができる。
【0010】
上記エチレン共重合体において、エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン共重合体の全質量を基準として、73〜89質量%であってもよい。
【0011】
上記高密度ポリエチレン繊維の密度は、300〜500kg/mであってもよい。
【0012】
上記基材層は、ポリエチレンテレフタレート系フィルム又はポリプロピレン系フィルムであってもよい。
【0013】
上記包装体は、ガス滅菌用であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、包装体を開封したときに、包装体が密封されていたかどうかを容易に確認することができる包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る包装体の一例を示す断面図である。
図2図2は、本実施形態に係るシートの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書に記載される数値範囲の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0017】
図1は、本実施形態に係る包装体の一例を示す断面図である。本実施形態に係る包装体10は、図1に示されるように、シート20と、シート20の易剥離層4上に設けられた通気性不織布6とを備える。シート20は、基材層2、及び、基材層2上に設けられた易剥離層4を有する。包装体10では、通気性不織布6のシート20側の面の周縁部と、シート20の易剥離層4側の面の周縁部とが熱融着されて、これらの面の間に収容部8が形成されている。収容部8には、滅菌対象物などの収容物を収容することができる。図2は、本実施形態に係るシートの一例を示す断面図である。図1のシート20は、図2のシート20を成型したものである。
【0018】
基材層2は、基材層2上に易剥離層4を設けることができるものであれば特に制限されない。基材層2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート系フィルム又はポリプロピレン系フィルムであってよい。ポリエチレンテレフタレート系フィルムは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするフィルムである。ポリエチレンテレフタレート系フィルム中、ポリエチレンテレフタレートの含有量は、ポリエチレンテレフタレート系フィルムの全質量を基準として、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってよい。ポリエチレンテレフタレート系フィルムは、ポリエチレンテレフタレートのみからなっていてもよい。ポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレンを主成分とするフィルムである。ポリプロピレン系フィルム中、ポリプロピレンの含有量は、ポリプロピレン系フィルムの全質量を基準として、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。ポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレンのみからなっていてもよい。
【0019】
易剥離層4は、基材層2と通気性不織布6とをヒートシールにより接着するための層である。また、易剥離層4は、シート20から通気性不織布6を剥離したときに、剥離痕跡が観察される層である。易剥離層4は、融点が72〜95℃のエチレン共重合体を含有する層である。エチレン共重合体の融点は、80〜93℃、又は85〜93℃であってもよい。融点は、DSC法により測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。エチレン共重合体の融点は、例えば、エチレン共重合体に含まれる、エチレンに由来する構成単位の含有量、又は、エチレン以外の共重合成分(コモノマー)の種類を変更することによって、調整することができる。
【0020】
易剥離層4において、エチレン共重合体の含有量は、易剥離層4の全質量を基準として、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。易剥離層4は、エチレン共重合体のみからなっていてもよい。
【0021】
エチレン共重合体において、エチレンと共重合するコモノマーとしては、例えば、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、及び、メタクリル酸、アクリル酸などの(メタ)アクリル酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種のコモノマーを用いることができる。易剥離性などの観点からは、コポリマーとしては、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、又はアクリル酸メチルが好ましい。エチレン共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、又はエチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)が好ましい。
【0022】
エチレン共重合体において、エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン共重合体の融点と相関性が見られるため、エチレン共重合体の融点が本発明の上記範囲内となるように調整することができる。共重合比率に言い換えた場合、エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン共重合体の全質量を基準として、73〜89質量%、78〜88質量%、又は82〜88質量%であってもよい。
【0023】
易剥離層4と基材層2との間に中間層が介在してもよい。中間層は、例えば、易剥離層4と基材層2とを接着する接着剤層であることができる。中間層の材料としては、例えば、ポリオレフィンの無水マレイン酸グラフト変性樹脂などの接着性樹脂、及び、2液硬化型脂肪族ポリエステル系接着剤、2液硬化型脂肪族ポリエーテル系接着剤、ポリエーテルイミン系接着剤などの接着剤を用いることができる。接着性樹脂は、例えば、易剥離層4と基材層2とともに共押出法で同時に押し出すことにより多層シートを製造したり、易剥離層4と基材層2としてそれぞれシートとフィルムを用意し、これらの間に接着性樹脂を押し出して易剥離層4と基材層2とを接着させる押出ラミネーション法により多層シートを製造したりする際に用いられる。一方、接着剤は、例えば、易剥離層4と基材層2としてそれぞれシートとフィルムを用意し、一方のシート又はフィルムの表面に接着剤を塗布して、易剥離層4と基材層2とを接着させることにより多層シートを製造するドライラミネーション法に使用される。中間層は複数層あってもよい。
【0024】
ホットメルト系樹脂等の従来の易剥離層を用いて通気性不織布とヒートシールした場合、包装体を製造した後の時間が経過すると、易剥離層の材料が結晶化するなど経時変化を起こして、易剥離層の材料の一部が易剥離層から脱離し易くなり、包装体内の収容物を汚染する可能性があった。本実施形態に係る包装体では、易剥離層4が上記の特定のエチレン共重合体を含有することにより、易剥離層4の材料が易剥離層4から脱離し難く、収容物が汚染される可能性が極めて低い。また、本実施形態に係る包装体では、易剥離層4が上記の特定のエチレン共重合体を含有することにより、通気性不織布6をシート20から剥離するときに、剥離強度が高い場合であっても、よりストレスなく剥離することができる。
【0025】
図2に示されるような、基材層2及び易剥離層4を有するシート20を成形する方法としては、例えば、押出ラミネート法、共押出法などを挙げることができる。例えば、まず、易剥離層4を押出成形により成形する。次いで、易剥離層4に、押出ラミネート法により基材層2をラミネートすることで、シート20を成形することができる。別法では、まず、易剥離層4と中間層とを有する積層シートを共押出法により成形する。次いで、積層シートの中間層を、押出ラミネート法や接着剤等により、基材層2に対してラミネートすることで、シート20を成形することができる。また、基材層2と易剥離層4とを有するシート20を、共押出法によって一度に成形することもできる。
【0026】
基材層2の厚みは特に限定されないが、例えば、200〜600μmであってよい。易剥離層4の厚みは特に限定されないが、例えば、5〜30μmであってよい。シート20の厚みは特に限定されないが、例えば、205〜800μmであってよい。中間層の厚みは特に限定されないが、例えば、1〜50μmであってよい。
【0027】
通気性不織布6は、包装体10に通気性を付与するための不織布である。包装体10がガス滅菌に用いられる場合、通気性不織布6は、菌を通さないことが好ましい。通気性不織布6は、高密度ポリエチレン繊維の不織布である。当該不織布中、高密度ポリエチレン繊維の含有量は、不織布の全質量を基準として、80質量%以上であってよい。高密度ポリエチレン繊維の不織布は、高密度ポリエチレン繊維のみからなっていてもよい。
【0028】
高密度ポリエチレンは、密度が930kg/m以上のポリエチレンである。高密度ポリエチレン繊維の密度は、300kg/m以上、又は350kg/m以上であってもよい。高密度ポリエチレン繊維の密度の上限は特に限定されないが、例えば、500kg/mであってよい。本明細書中、ポリエチレン繊維(又はポリエチレン)の密度は、JIS K7100に準拠して調整を行った試料について、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。
【0029】
高密度ポリエチレン繊維の材料としては、例えば、エチレンの単独重合体;エチレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
【0030】
本実施形態に係る包装体は、例えば、以下の方法により製造することができる。図2に示されるシート20を、図1に示されるトレイ状のシート20に成型する。通気性不織布6の一方の面の周縁部と、トレイ状に成型されたシート20の易剥離層4側の面の周縁部(環状のフランジ部)とを、ヒートシールにより熱融着する。
【0031】
シート20の成型方法としては、例えば、真空成型法、圧空成形法などが挙げられる。
【0032】
包装体10をガス滅菌に用いる場合は、収容部8に滅菌対象物を収容し、包装体10を密封する。そして、包装体10をガス環境下に置くことで、滅菌対象物を滅菌することができる。滅菌対象物としては、例えば、シリンジ等の医療器具が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係る包装体によれば、上述の易剥離層4を有しているため、通気性不織布6をシート20から剥離して包装体10を開封したとき、シート20における通気性不織布6と熱融着していた部分には、連続する明瞭な剥離痕跡が観察される。そのため、本実施形態の包装体10では、包装体10を開封したときに、シート20上の剥離痕跡を観察することで、包装体10が密封されていたかどうかを容易に確認することができる。剥離痕跡は、通気性不織布6の形状に由来する。
【0034】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限られず、様々な変形態様を採用することができる。
【0035】
例えば、収容部8の大きさ及び形状は、収容物の大きさ又は形状に応じて適宜設定できる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
<シートの作製>
(実施例1)
実施例1では、以下の方法により、シート20を製造した。幅が500mmで、厚みが270μmである非晶性ポリエステルシート(ポリエチレンテレフタレート、オージェイケイ株式会社製、製品名:PET26)を、基材層2として準備した。融点90℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、総厚みが30μmである易剥離性フィルム(三井化学東セロ株式会社製、製品名:CMPS101C)を、易剥離層4として準備した。易剥離性フィルムのシール面ではない一方の面をコロナ処理した。易剥離性フィルムのコロナ処理面に、有機溶剤で希釈した2液硬化型脂肪ポリエステル系接着剤を塗布した後、有機溶剤を乾燥により除去した。塗布された2液硬化型脂肪ポリエステル系接着剤(接着剤層)の乾燥後の膜厚は、2μmであった。非晶性ポリエステルシートの一方の面と、易剥離性フィルムのコロナ処理面とを重ね合わせ、熱処理して接着して、実施例1のシート20を得た。実施例1のシート20の厚み、及び、易剥離層4の厚みを表1に示す。
【0038】
(実施例2)
実施例1で用いた非晶性ポリエステルシートの代わりに、幅が500mmで、厚みが370μmである非晶性ポリエステルシート(ポリエチレンテレフタレート、オージェイケイ株式会社製、製品名:PET26)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のシート20を製造した。実施例2のシート20の厚み、及び、易剥離層4の厚みを表1に示す。
【0039】
(実施例3)
実施例1で用いた非晶性ポリエステルシートの代わりに、幅が500mmで、厚みが500μmである非晶性ポリエステルシート(ポリエチレンテレフタレート、オージェイケイ株式会社社製、製品名:PET26)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のシート20を製造した。実施例3のシート20の厚み、及び、易剥離層4の厚みを表1に示す。
【0040】
(実施例4)
実施例3で用いた易剥離性フィルムの代わりに、実施例3とは異なる易剥離性フィルム(東ソー株式会社製、製品名:MX07)を用いた。この易剥離性フィルムは、融点83℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、厚みが20μmである易剥離層4と、低密度ポリエチレンを主成分とし、厚みが37μmである中間層と、からなるものであった。易剥離性フィルムの中間層側の面に対してコロナ処理を施した。以上の点を除いては実施例3と同様にして、実施例4のシート20を製造した。実施例4のシート20の厚み、及び、易剥離層4の厚みを表2に示す。
【0041】
(実施例5)
実施例3で用いた易剥離性フィルムの代わりに、実施例3とは異なる易剥離性フィルム(東ソー株式会社製、製品名:MX633)を用いた。この易剥離性フィルムは、融点82℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、厚みが20μmである易剥離層4と、低密度ポリエチレンを主成分とし、厚みが37μmである中間層と、からなるものであった。易剥離性フィルムの中間層側の面に対してコロナ処理を施した。以上の点を除いては実施例3と同様にして、実施例5のシート20を製造した。実施例5のシート20の厚み、及び、易剥離層4の厚みを表2に示す。
【0042】
(実施例6)
実施例3で用いた易剥離性フィルムの代わりに、実施例3とは異なる易剥離性フィルム(東ソー株式会社製、製品名:MX06)を用いた。この易剥離性フィルムは、融点81℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、厚みが20μmである易剥離層4と、低密度ポリエチレンを主成分とし、厚みが37μmである中間層と、からなるものであった。易剥離性フィルムの中間層側の面に対してコロナ処理を施した。以上の点を除いては実施例3と同様にして、実施例6のシート20を製造した。実施例6のシート20の厚み、及び、易剥離層4の厚みを表2に示す。
【0043】
(実施例7)
実施例3で用いた易剥離性フィルムの代わりに、実施例3とは異なる易剥離性フィルム(東ソー株式会社製、製品名:MX55)を用いた。この易剥離性フィルムは、融点95℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、厚みが20μmである易剥離層4と、低密度ポリエチレンを主成分とし、厚みが37μmである中間層と、からなるものであった。易剥離性フィルムの中間層側の面に対してコロナ処理を施した。以上の点を除いては実施例3と同様にして、実施例7のシート20を製造した。実施例7のシート20の厚み、及び、易剥離層4の厚みを表2に示す。
【0044】
(比較例1)
実施例3の易剥離性フィルムの代わりに、融点98℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、総厚みが30μmである、実施例3とは異なる易剥離性フィルム(三井化学東セロ株式会社製、製品名:CMPS008C)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、比較例1のシートを製造した。比較例1のシートの厚み、及び、易剥離層の厚みを表1に示す。
【0045】
(比較例2)
実施例3の易剥離性フィルムの代わりに、エチレン共重合体を含有せずにポリエチレンを主成分とし、総厚みが30μmである、実施例3とは異なる易剥離性フィルム(三井化学東セロ株式会社製、製品名:CMPS017C)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、比較例2のシートを製造した。比較例2のシートの厚み、及び、易剥離層の厚みを表1に示す。
【0046】
(比較例3)
実施例3の易剥離性フィルムの代わりに、エチレン共重合体を含有せずにポリエチレンを主成分とし、総厚みが30μmである、実施例3とは異なる易剥離性フィルム(三井化学東セロ株式会社製、製品名:CMPS013C)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、比較例3のシートを製造した。比較例3のシートの厚み、及び、易剥離層の厚みを表1に示す。
【0047】
[エチレン共重合体の融点の測定]
実施例1〜7及び比較例1でそれぞれ用いた易剥離性フィルムの易剥離層に含まれるエチレン共重合体の融点を以下の方法により測定した。易剥離性フィルムから、12mgの試片を切り出したものを測定用サンプルとした。測定用サンプルを、示差熱量計(DSC)を用いて、30mL/minの窒素流量下において、20℃/minの昇温速度で200℃まで昇温した後、20℃/minの降温速度で30℃まで降温して、一度目のDSC曲線を得た。続いて、30℃で5分間保持した後、20℃/minの昇温速度で20℃昇温して、二度目のDSC曲線を得た。二度目のDSC曲線におけるエチレン共重合体由来の融解ピークの頂点の温度を、エチレン共重合体の融点として求めた。結果を表1又は2に示す。
【0048】
[剥離強度の測定]
実施例1〜7及び比較例1〜3のシート、並びに、高密度ポリエチレンからなる通気性不織布(旭・デユポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社製、製品名:タイベック)のそれぞれから、TD方向(MD方向に垂直な方向、又は、幅方向ともいう)の長さが100mmで、MD方向(流れ方向ともいう)の長さが90mmである試片を切り出した。得られたシートの試片の易剥離層側の面と、通気性不織布の試片の一方の面とを重ね合わせた。所定のシール温度に調節したヒートシール設備を用いて、シール時間5秒、シール圧力0.3MPaで、シートの試片と通気性不織布の試片とをTD方向に熱融着させて、積層体を得た。シール温度は、タイベックが溶融し、透明化する温度(150℃程度)以下である135℃、140℃、145℃又は150℃とした。得られた積層体を、TD方向の長さが15mmで、MD方向の長さが90mmである試片に切り出したものを、測定用サンプルとした。剥離試験機(株式会社島津製作所製、製品名:AGS220K)を用いて、剥離速度300mm/秒、剥離角度180°で、測定用サンプルから通気性不織布を剥離する剥離試験を行い、15mm幅あたりの剥離強度を測定した。結果を表1又は2に示す。
【0049】
[剥離痕跡の評価]
上記の剥離試験後の測定用サンプルにおいて、シート上の剥離痕跡を目視にて観察し、剥離痕跡を下記の基準で評価した。結果を表1又は2に示す。
A:剥離痕跡が、明瞭であり、連続している。
B:剥離痕跡が、不明瞭及び/又は不連続である。
C:通気性不織布が易剥離層から上手く剥離されず、易剥離層が破断している。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1及び2に示す結果から明らかなように、本発明に係る包装体では、通気性不織布をシートから剥離して包装体を開封したときに、シートにおける通気性不織布と熱融着していた部分には、連続する明瞭な剥離痕跡が観察される。そのため、本発明の包装体では、包装体を開封したときに、シート上の剥離痕跡を観察することで、包装体が密封されていたかどうかを容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0053】
2…基材層、4…易剥離層、6…通気性不織布、8…収容部、10…包装体、20…シート。
図1
図2