【課題】抗体に付着した、突然変異させた弱毒化されたポリペプチドリガンドであって、抗体が、突然変異リガンドを、前記抗体が結合する抗原をその表面上に発現する細胞および前記リガンドの受容体に向けさせるポリペプチドリガンドを含む、ポリペプチド構築物を提供する。
【解決手段】本発明は、細胞表面関連抗原と結合する抗体またはその抗原結合部分と連結したペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドを含むポリペプチド構築物であって、リガンドが、前記抗原の発現を欠く細胞に対するその効力を低下させる少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含むポリペプチド構築物を提供する。
細胞表面関連抗原と結合する抗体またはその抗原結合部分と連結したペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドを含むポリペプチド構築物であって、リガンドが、前記抗原の発現を欠く細胞に対するその効力を低下させる少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含む、ポリペプチド構築物。
ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドが、直接または1〜20個のアミノ酸の長さのリンカーを介して抗体またはその抗原結合部分と連結している、請求項1または請求項2に記載のポリペプチド構築物。
ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドが、抗体またはその抗原結合部分の軽鎖または重鎖定常領域のC末端と連結している、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドがIFN、IL-4およびIL-6からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドがIFNα、IFNβ、およびIFNγからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
IFNαのアミノ酸配列が配列番号1〜3、80〜90、434および435から選択され、IFNαが、前記抗原の発現を欠く細胞に対するその効力を低下させる少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含む、請求項6に記載のポリペプチド構築物。
少なくとも1つのアミノ酸置換を含むIFNαのアミノ酸配列が、R144A(配列番号30)、R144S(配列番号40)、R144T(配列番号41)、R144Y(配列番号43)、R144I(配列番号35)、R144L(配列番号37)、A145D(配列番号44)、A145H(配列番号47)、A145Y(配列番号58)、A145K(配列番号49)、R33A+YNS(配列番号65)、R33A(配列番号16)およびR144A+YNS(配列番号68)からなる群から選択される、請求項7に記載のポリペプチド構築物。
抗体またはその抗原結合部分が抗原と結合し、抗原が、12,600コピー/細胞を超えるまたは15,000コピー/細胞を超える密度で細胞上に存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
抗体またはその抗原結合部分が、50nMから、25nMから、10nMから、または5nMから1pMまでの親和性で細胞表面関連抗原と結合する、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
細胞表面関連抗原が、CD38、HM1.24、CD56、CS1、CD20、CD74、IL-6R、Blys(BAFF)、BCMA、HLA-SR、キニノーゲン、ベータ2ミクログロブリン、FGFR3、ICAM-1、マトリプターゼ、CD52、EGFR、GM2、アルファ4-インテグリン、IFG-1R、KIR、CD3、CD4、CD8、CD24、CD44、CD69、CD71、CD83、CD86、CD96、HLA-DR、PD-1、ICOS、CD33、CD115、CD11c、CD14、CD52、CD14、FSP1、FAP、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、ASGR1、ASGR2、FSP1、RTI140/Ti-アルファ、HTI56、VEGF受容体、RCHE遺伝子の産物CD241、CD117(c-kit)、CD71(トランスフェリン受容体)、CD36(トロンボスポンジン受容体)、CD34、CD45RO、CD45RA、CD115、CD168、CD235、CD236、CD237、CD238、CD239およびCD240からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
リガンド受容体を保有する抗原陰性細胞に対するペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドの効力を、抗原陰性細胞と比較した場合にリガンド受容体をより高い程度で保有する抗原陽性細胞に対するリガンドの効力を維持したままで低下させる方法であって、抗原陰性細胞に対するその効力を低下させる少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失をリガンドが含むように、リガンドを改変させるステップと、改変されたリガンドを抗体またはその抗原結合部分と連結させるステップとを含み、抗体またはその抗原結合部分が、抗原陽性細胞上の細胞表面関連抗原に特異的であるが抗原陰性細胞上のものには特異的でない方法。
ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドが、直接または1〜20個のアミノ酸の長さのリンカーを介して抗体またはその抗原結合部分と連結している、請求項23または請求項24に記載の方法。
ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドがIFNα、IFNβ、およびIFNγからなる群から選択される、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
改変が、R144A(配列番号30)、R144S(配列番号40)、R144T(配列番号41)、R144Y(配列番号43)、R144I(配列番号35)、R144L(配列番号37)、A145D(配列番号44)、A145H(配列番号47)、A145Y(配列番号58)、A145K(配列番号49)、R33A+YNS(配列番号65)、R33A(配列番号16)およびR144A+YNS(配列番号68)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項28に記載の方法。
抗体またはその抗原結合部分が、50nMから、25nMから、10nMから、または5nMから1pMまでの親和性で細胞表面関連抗原と結合する、請求項23から29のいずれか一項に記載の方法。
細胞表面関連抗原が、CD38、HM1.24、CD56、CS1、CD20、CD74、IL-6R、Blys(BAFF)、BCMA、HLA-SR、キニノーゲン、ベータ2ミクログロブリン、FGFR3、ICAM-1、マトリプターゼ、CD52、EGFR、GM2、アルファ4-インテグリン、IFG-1R、KIR、CD3、CD4、CD8、CD24、CD44、CD69、CD71、CD83、CD86、CD96、HLA-DR、PD-1、ICOS、CD33、CD115、CD11c、CD14、CD52、CD14、FSP1、FAP、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、ASGR1、ASGR2、FSP1、RTI140/Ti-アルファ、HTI56、VEGF受容体、RCHE遺伝子の産物CD241、CD117(c-kit)、CD71(トランスフェリン受容体)、CD36(トロンボスポンジン受容体)、CD34、CD45RO、CD45RA、CD115、CD168、CD235、CD236、CD237、CD238、CD239およびCD240からなる群から選択される、請求項23から30のいずれか一項に記載の方法。
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【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の構築物は、細胞表面受容体に対する弱毒化リガンドの作用が原因でシグナル伝達経路を活性化させることに関して上昇した抗原特異性指数を示す、抗体-弱毒化リガンド構築物である。これらの構築物は、抗体-リガンド構築物のコンテキストにおいて、リガンド部分を、抗原陽性細胞に対するリガンド活性が弱毒化される場合でも少量のみである一方で、抗原陰性細胞に対するリガンド活性が劇的に弱毒化されるように突然変異させることができるという驚くべき発見に基づいている。そのような構築物は、遊離リガンドよりも、抗原陰性細胞と比較した抗原陽性細胞に対して1、2、3、4または5桁高い効力を示す。一実施形態では、抗体-弱毒化リガンド構築物は、弱毒化されていない遊離(すなわち抗体と付着していない)リガンドとして、抗原陽性細胞に対する効力の少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%を保持する。さらに、一実施形態では、抗体-弱毒化リガンド構築物は、弱毒化されていない遊離(すなわち抗体と付着していない)リガンドの最大活性の少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%を保つ。このコンテキストにおいて、「最大活性」とは、薬剤のさらなる増加が応答の量をさらに増加させない、用量応答曲線の高いプラトー部分でのシグナル伝達活性(またはその下流効果)の量を意味すると理解されるべきである)。
【0057】
本明細書中で使用する「特異性」とは、必ずしも絶対的な指定ではなく、多くの場合は抗原陰性細胞と比較した抗原陽性細胞について抗体-リガンド融合タンパク質構築物の選択性の度合を示す相対的な用語である。したがって、たとえば、構築物は「抗原陰性細胞と比較して抗原陽性細胞について100倍の特異性」を有すると言われる場合があり、これは、構築物が、抗原を発現しない細胞と比較して発現する細胞に対して100倍高い効力を有することを示す。一部の事例では、抗原陽性対抗原陰性細胞を比較するこの構築物の特異性の度合は、抗原陽性対抗原陰性細胞に対する構築物の効力の絶対的な比に基づくのではなく、同じ種類の細胞に対する遊離の弱毒化していないリガンドの効力と比較したそれぞれの種類の細胞に対する構築物の効力に基づく場合がある。抗体-リガンド構築物の特異性の度合を定量するためのこの「比の比」手法は、異なる細胞種に対するリガンド効力のすべての固有の差異を考慮に入れており、Table 25(表26)中の抗原特異性指数(ASI)の計算によって例示されている。抗体-リガンド融合構築物の効力を決定するためのアッセイは実施例中に例示されており、増殖、アポトーシス、受容体および細胞内タンパク質のリン酸化、遊走、分化(たとえば、無処置のCD4+T細胞のTh1、Th17、Th2対Treg細胞への分化)、遺伝子発現または遺伝子産物の培地内への分泌の増加または減少などについての細胞に基づくアッセイが含まれる。
【0058】
したがって、第1の態様では、本発明は、細胞表面関連抗原と結合する抗体またはその抗原結合部分と連結したペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドを含むポリペプチド構築物であって、リガンドが、前記抗原の発現を欠く細胞に対するその効力を低下させる少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含むポリペプチド構築物を提供する。
【0059】
一実施形態では、本発明は、腫瘍関連抗原と結合する抗体またはその抗原結合部分と連結したIFNを含むポリペプチド構築物であって、IFNが、前記抗原の発現を欠く細胞に対するその効力を低下させる少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含むポリペプチド構築物を提供する。そのようなポリペプチドは、体内の抗原陰性の非腫瘍細胞に対してはるかにより低い効力を発揮する一方で、抗原陽性腫瘍細胞に対するIFNの抗増殖活性を高い効力で発揮することができる。
【0060】
第2の態様では、本発明は、本発明のポリペプチド構築物を対象に投与するステップを含む、対象において腫瘍を処置する方法を提供する。
【0061】
本明細書中で使用する用語「抗体-リガンド構築物」とは、抗体に対応する抗体を発現しない細胞に対するリガンドの効力を低下させる1つまたは複数の置換または欠失によって弱毒化されたシグナル伝達リガンドと共有結合した抗体またはその抗原結合断片をいう。
【0062】
本明細書中で使用する用語「抗体」とは、4本のポリペプチド鎖、すなわち2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖、またはIg分子の必須のエピトープ結合特長を保持しているその任意の機能的断片、突然変異体、変異体、もしくは誘導体からなる、任意の免疫グロブリン(Ig)分子を広くいう。そのような突然変異体、変異体、または誘導体の抗体様式は当分野で知られており、その非限定的な実施形態を以下に記述する。
【0063】
完全長抗体では、それぞれの重鎖は重鎖可変領域(本明細書中でHCVRまたはVHと略記する)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は3つのドメイン、すなわちCH1、CH2およびCH3からなる。それぞれの軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書中でLCVRまたはVLと略記する)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は1つのドメイン、すなわちCLからなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存的な領域が散在した相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域へとさらに細分画することができる。それぞれのVHおよびVLは3つのCDRおよび4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。免疫グロブリン分子は任意の種類(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0064】
本明細書中で使用する用語、抗体の「抗原結合ドメイン」または「抗原結合部分」とは、抗原と特異的に結合する能力を保持している抗体またはタンパク質の1つまたは複数の断片をいう(たとえばCD38)。抗体の抗原結合機能を完全長抗体の断片によって行うことができることが示されている。また、そのような抗体の実施形態は、2つ以上の異なる抗原と特異的に結合する、二重特異的(bispecific、dual specific)、または多特異的の様式であってもよい。用語、抗体の「抗原結合部分」内に包含される結合断片の例には、(i)Fab断片、すなわちVL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab')2断片、すなわち、ヒンジ領域の一部分に加えて2つのFab断片を含み、ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された二価断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)単一の可変ドメインを含むドメイン抗体(dAb)(本明細書中に参照により組み込まれているWardら、1989、Nature、341 544〜6頁、Winterら、PCT公開WO 90/05144 A1号)、ならびに(vi)単離した相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされているが、これらは組換え方法を使用して合成リンカーによって結合させることができ、それにより、これらをVLおよびVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製することができる(単鎖Fv(scFv)として知られ、たとえば、Birdら、1988、Science、242 423〜6頁、Hustonら、1988、Proc Natl Acad Sci U S A、85 5879〜83頁を参照されたい)。そのような単鎖抗体も用語、抗体の「抗原結合部分」内に包含されることを意図する。また、ジアボディーなどの単鎖抗体の他の形態も包含される。ジアボディーとは、VHおよびVLドメインを単一のポリペプチド鎖上で発現させるが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を許容するには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインが別の鎖の相補的ドメインと対合することを強制して2つの抗原結合部位を作製する、二価の二重特異性抗体である(たとえば、Holliger, P.ら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:6444〜6448頁、Poljak, R. J.ら、1994、Structure、2:1121〜1123頁を参照)。そのような抗体結合部分は当分野で知られている(KontermannおよびDubel編、Antibody Engineering、2001、Springer-Verlag. New York.、790頁、ISBN 3-540-41354-5)。一実施形態では、抗体結合部分はFab断片である。
【0065】
本明細書中に記載の抗体はヒト化抗体であり得る。用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体からのFR上または内に移植または挿入した非ヒト種(たとえば、マウスもしくはラットまたは非ヒト霊長類)からの抗体からのCDRが含まれるヒト様可変領域を含むタンパク質をいうと理解されるべきである(この種の抗体は「CDR移植抗体」とも呼ばれる)。また、ヒト化抗体には、ヒトタンパク質の1つもしくは複数の残基が1つもしくは複数のアミノ酸置換によって修飾されている、および/またはヒトタンパク質の1つもしくは複数のFR残基が対応する非ヒト残基によって置き換えられているタンパク質も含まれる。また、ヒト化抗体は、ヒト抗体中にも非ヒト抗体中にも見られない残基も含み得る。タンパク質の任意の追加の領域(たとえばFc領域)は一般にヒトのものである。ヒト化は、当分野で知られている方法、たとえば、US5225539号、US6054297号、US7566771号またはUS5585089号を使用して行うことができる。また、用語「ヒト化抗体」には、超ヒト化抗体、たとえばUS7,732,578号に記載されているものも包含される。
【0066】
本明細書中に記載の抗体はヒトのものであり得る。本明細書中で使用する用語「ヒト抗体」とは、ヒト、たとえばヒト生殖系列もしくは体細胞中で見つかる可変および任意選択で定常抗体領域を有するタンパク質、またはそのような領域を使用して生成したライブラリーからのタンパク質をいう。「ヒト」抗体には、ヒト配列によってコードされていないアミノ酸残基、たとえばin vitroでランダムまたは部位特異的突然変異によって導入された突然変異(特に保存的置換に関与する突然変異、またはタンパク質の少数の残基、たとえばタンパク質の残基のうちの1、2、3、4もしくは5個の突然変異)が含まれる場合がある。これらの「ヒト抗体」は必ずしもヒトの免疫応答の結果として生じる必要はなく、むしろ、これらは、組換え手段(たとえばファージディスプレイライブラリーのスクリーニング)を使用して、および/またはヒト抗体の定常および/もしくは可変領域をコードしている核酸を含むトランスジェニック動物(たとえばマウス)によって、および/または誘導選択(たとえばUS5,565,332号に記載)を使用して、生じさせることができる。また、この用語には、そのような抗体の親和性成熟型も包含される。本開示の目的のために、ヒトタンパク質には、ヒト抗体からのFRまたはヒトFRのコンセンサス配列からの配列を含むFRを含み、CDRのうちの1つまたは複数がランダムまたはセミランダムであるタンパク質、たとえばUS6300064号および/またはUS6248516号に記載のものも含まれるとみなされる。
【0067】
本発明のポリペプチドの抗体部分は任意のクラス、好ましくはIgG1、IgG2またはIgG4の完全長抗体であり得る。そのような抗体の定常ドメインは好ましくはヒトである。そのような抗体の可変領域は、非ヒト起源、または好ましくはヒト起源もしくはヒト化されたものであり得る。また、抗体断片も完全長抗体の代わりに使用し得る。
【0068】
また、用語「抗体」には操作した抗体も含まれる。理解されるように、操作した抗体の数多くの変形が存在する(たとえば、マウスモノクローナル、キメラ、ヒト化およびヒトモノクローナル抗体、単鎖可変抗体断片(scFv)、ミニボディ、アプタマー、ならびに上述の二重特異性抗体およびジアボディー)。
【0069】
単一可変領域ドメイン(dAbと呼ばれる)は、たとえば、(Wardら、Nature、341:544〜546頁、1989、Hamers-Castermanら、Nature、363:446〜448頁、1993、DaviesおよびRiechmann、FEBS Lett.、339:285〜290頁、1994)に開示されている。
【0070】
ミニボディは、単鎖中に完全抗体の必須元素をコードしている、完全抗体の小さなバージョンである。適切には、ミニボディは、たとえば米国特許第5,837,821号に開示されているように、免疫グロブリン分子のヒンジ領域およびCH3ドメインと融合した、ネイティブ抗体のVHおよびVLドメインからなる。
【0071】
代替実施形態では、操作した抗体は非免疫グロブリン由来のタンパク質フレームワークを含み得る。たとえば、抗原結合のために選択された、CDRを作製するためにランダム化された2つのループを有する4ヘリックス束のタンパク質チトクロムb562を開示している(KuおよびSchutz、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、92:6552〜6556頁、1995)を参照し得る。
【0072】
本発明の構築物中の抗原結合ドメインとして利用し得る非抗体認識タンパク質またはタンパク質ドメイン足場が大量に存在する。これらには、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)(Evibody、US 7,166,697号)、ヒトトランスフェリン(トランスボディ)、タンパク質AのZ-ドメインからの3ヘリックス束(アフィボディ)、単量体または三量体のヒトC型レクチンドメイン(テトラネクチン)、10番目のヒトフィブロネクチンIII型ドメイン(アドネクチン)、ヒトまたはウシトリプシン阻害剤のクニッツ型ドメイン、昆虫デフェンシンA(IICA29)、APPI(クニッツドメイン)、リポカリン、FABP、ビリン結合タンパク質、アポロプロプテイン(Apoloproptein)D(アンチカリン)、ヒトα-クリスタリンまたはユビキチン分子(アフィリン)、トリプシン阻害剤II(マイクロボディ)、α2p8またはアンキリン反復(反復モチーフタンパク質)、カリブドトキシン(サソリ毒素)、Min-23、セルロース結合ドメイン(ノッチン)、ネオカルジノスタチン、CBM4-2ならびにテンダミスタットに基づく足場が含まれる。
【0073】
さらに、上述の抗体由来ドメインまたは非抗体フォールド(fold)によって提供される足場に加えて、本発明においてリガンド結合ドメインとして利用し得る天然に存在するリガンド結合タンパク質またはタンパク質ドメインが存在する。たとえば、リガンド結合特性を保有するタンパク質ドメインには、受容体の細胞外ドメイン、Ras結合タンパク質AF-6などのシグナル伝達タンパク質のPDZモジュール、接着分子、および酵素が含まれる。
【0074】
本発明には、対象抗体中のアミノ酸の化学類似体がさらに包含される。アミノ酸の化学類似体の使用は、とりわけ、対象に投与することが必要である場合などに分子を安定化するために有用である。本明細書において企図されているアミノ酸の類似体には、それだけには限定されないが、側鎖の修飾、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の合成中における非天然アミノ酸および/またはその誘導体の取り込み、ならびにタンパク質分子またはその類似にコンホメーションの束縛を課す架橋結合剤および他の方法の使用が含まれる。
【0075】
本発明によって企図される側鎖修飾の例には、アルデヒドを用いた反応、次いでNaBH
4を用いた還元による還元性アルキル化によるものなどの、アミノ基の修飾、メチルアセトイミデート(methylacetimidate)を用いたアミド化(amidination)、無水酢酸を用いたアシル化、シアネートを用いたアミノ基のカルバモイル化、2、4、6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いたアミノ基のトリニトロベンジル化、コハク酸無水物およびテトラヒドロフタル酸無水物を用いたアミノ基のアシル化、ならびにピリドキサル-5-リン酸を用いたリシンのピリドキシル化、次いでNaBH
4を用いた還元が含まれる。
【0076】
アルギニン残基のグアニジン基は、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサールおよびグリオキサールなどの試薬を用いた複素環式縮合物の形成によって修飾し得る。
【0077】
カルボキシル基は、O-アシルイソ尿素の形成を介したカルボジイミドの活性化、次いでたとえば対応するアミドへの続く誘導体化によって修飾し得る。
【0078】
スルフヒドリル基は、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドを用いたカルボキシメチル化、システイン酸への過ギ酸酸化、他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成、マレイミド、無水マレイン酸または他の置換マレイミドとの反応、4-クロロ水銀安息香酸、4-クロロ水銀フェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノールおよび他の水銀剤を使用した水銀誘導体の形成、アルカリ性pHでシアネートを用いたカルバモイル化などの方法によって修飾し得る。
【0079】
トリプトファン残基は、たとえば、N-ブロモスクシンイミドを用いた酸化または2-ヒドロキシ-5-臭化ニトロベンジルもしくはハロゲン化スルフェニルを用いたインドール環のアルキル化によって修飾し得る。他方では、チロシン残基は、テトラニトロメタンを用いたニトロ化によって改変して3-ニトロチロシン誘導体を形成し得る。
【0080】
ヒスチジン残基のイミダゾール環の修飾は、ヨード酢酸誘導体を用いたアルキル化またはジエチルピロカーボネートを用いたN-カルボエトキシ化によって達成し得る。
【0081】
ペプチド合成中に非天然アミノ酸および誘導体を取り込ませる例には、それだけには限定されないが、ノルロイシン、4-アミノ酪酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、t-ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸、2-チエニルアラニンおよび/またはアミノ酸のD-異性体の使用が含まれる。本明細書中で企図される非天然アミノ酸のリストをTable 1(表2)に示す。
【0085】
架橋結合剤は、たとえば、(CH2)nスペーサー基(式中n=1からn=6)を有する二官能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのホモ二官能性架橋結合剤、ならびに通常はN-ヒドロキシスクシンイミドなどのアミノ反応性部分およびマレイミドもしくはジチオ部分(SH)またはカルボジイミド(COOH)などの別の基に特異的な反応性部分を含有するヘテロ二官能性試薬を使用して、3Dコンホメーションを安定化させるために使用することができる。
【0086】
当分野で周知の方法を使用して、たとえば親和性成熟によって結合を増加させる、または予測されるMHCクラスII結合モチーフを除去することによって免疫原性を減少させる。本明細書中に記載の抗体の治療的有用性は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞毒性(CDC)、血清半減期、体内分布およびFc受容体との結合またはこれらのうちの任意のものの組合せなどの、その機能的特徴を変調することによってさらに増強させることができる。この変調は、タンパク質工学、糖鎖工学または化学的方法によって達成することができる。必要な治療的応用に応じて、これらの活性のうちの任意のものを増加または減少させることが有利な場合がある。
【0087】
糖鎖工学の一例ではShinkawa T.ら、2003(J Biol Chem、278:3466〜73頁)に記載のPotelligent(登録商標)方法を使用した。
【0088】
抗体の親和性成熟のための数々の方法が当分野で知られている。これらの多くは、突然変異誘発、次いで改善された親和性のための選択および/またはスクリーニングによって変異タンパク質のパネルまたはライブラリーを作製する、一般的な戦略に基づいている。突然変異誘発は、しばしばDNAレベルで、たとえば、誤りがちなPCRによって(Thie、Voedischら、2009)、遺伝子シャフリングによって(KolkmanおよびStemmer、2001)、突然変異原性化学薬品もしくは放射線照射の使用によって、誤りがちな複製機構を有する「突然変異誘発」株の使用によって(Greener、1996)、または天然の親和性成熟機構を装備する体細胞超変異手法によって(Peled、Kuangら、2008)行う。また、突然変異誘発は、RNAレベルで、たとえばQβレプリカーゼの使用によって行うこともできる(Kopsidas、Robertsら、2006)。改善された変異タンパク質のスクリーニングを可能にする、ライブラリーに基づく方法は、ファージ、酵母、リボソーム、細菌または哺乳動物細胞などの様々なディスプレイ技術に基づくことができ、当分野において周知である(Benhar、2007)。親和性成熟は、より定方向/予測的な方法によって、たとえば3Dタンパク質モデリングからの発見によって導かれる部位特異的突然変異誘発または遺伝子合成によって達成することができる(たとえば、Queen、Schneiderら、1989または米国特許第6,180,370号または米国特許第5,225,539号を参照)。
【0089】
ADCCを増加させる方法は、Ferrara、Brunkerら、2006、Li、Sethuramanら、2006、Stavenhagen、Gorlatovら、2007、Shields、Namenukら、2001、Shinkawa、Nakamuraら、2003、およびWO 2008/006554号によって記載されている。
【0090】
CDCを増加させる方法は、Idusogie、Wongら、2001、Dall'Acqua、Cookら、2006、Michaelsen、Aaseら、1990、Brekke、Bremnesら、1993、Tan、Shopesら、1990、およびNorderhaug、Brekkeら、1991によって記載されている。
【0091】
ADCCおよびCDCを増加させる方法を記載している参考文献にはNatsume、Inら、2008が含まれる。これらの参考文献のそれぞれの開示は、本明細書中に相互参照により含まれる。
【0092】
抗体の血清半減期および体内分布を変調させるいくつかの方法は、抗体と、IgGを異化から保護することおよび高い血清抗体濃度を維持することが主な役割である受容体である新生児Fc受容体(FcRn)との間の相互作用を改変させることに基づく。Dall'Acquaらは、FcRnとの結合親和性を増強させることによって血清半減期を増加させるIgG1のFc領域中の置換を記載しており(Dall'Acqua、Woodsら、2002)、さらに、M252Y/S254T/T256Eの三重置換を用いた、増強された生体利用度およびADCC活性の変調を実証している(Dall'Acqua、Kienerら、2006)。米国特許第6,277,375号、第6,821,505号、および第7,083,784号も参照されたい。Hintonらは、増加したin vivo半減期を与える、位置250および428での定常ドメインのアミノ酸置換を記載している(Hinton、Johlfsら、2004)。(Hinton、Xiongら、2006)。米国特許第7,217,797号も参照されたい。Petkovaらは、増加したin vivo半減期を与える、位置307、380および434での定常ドメインのアミノ酸置換を記載している(Petkova、Akileshら、2006)。Shieldsら、2001およびWO 2000/42072号も参照されたい。Fc受容体との結合、ならびにFcRn結合および血清半減期を含めたこれらの受容体によって媒介されるその後の機能を変調する定常ドメインのアミノ酸置換の他の例は、米国特許出願第20090142340号、第20090068175号、および第20090092599号に記載されている。
【0093】
抗体分子と連結したグリカンは、抗体とFc受容体およびグリカン受容体との相互作用に影響を与え、それによって血清半減期を含めた抗体活性に影響を与えることが知られている(Kaneko、Nimmerjahnら、2006、Jones、Papacら、2007、およびKanda、Yamadaら、2007)。したがって、所望の抗体活性を変調する特定の糖型は治療上の利点を与えることができる。操作した糖型を作製する方法は当分野で知られており、それだけには限定されないが、米国特許第6,602,684号、第7,326,681号、第7,388,081号、およびWO 2008/006554号に記載のものが含まれる。
【0094】
ポリエチレングリコール(PEG)の添加による半減期の延長は、たとえばFishburn、2008によって総説されているように、タンパク質の血清半減期を延長させるために幅広く使用されている。
【0095】
理解されるように、本発明の配列内に保存的アミノ酸置換を行うことが可能である。「保存的置換」とは、類似の特性を有するアミノ酸を意味する。本明細書中で使用する以下のアミノ酸群は保存的置換としてみなされる:H、RおよびK、D、E、NおよびQ、V、IおよびL、CおよびM、S、T、P、AおよびG、ならびにF、YおよびW。
【0096】
本明細書中で使用する用語「細胞表面関連抗原」とは、感染性もしくは外来の細胞またはウイルスを含めた、細胞の表面上に発現される任意の抗原を広くいう。
【0097】
本発明の特定の態様では、本発明のポリペプチド構築物または組成物は、癌に罹患した患者を処置するために使用し得る。本明細書において企図される癌には、細胞が特殊化した様々な細胞へと分化することがまったくない、制御不能の細胞成長(たとえば腫瘍の形成)によって特徴づけられている疾患および障害の群が含まれる。そのような疾患および障害には、ABL1原癌遺伝子、AIDS関連癌、聴神経腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、腺嚢癌腫、副腎皮質癌、特発性骨髄化生、脱毛症、肺胞軟部肉腫、肛門癌、血管肉腫、再生不良性貧血、星細胞腫、運動失調-毛細血管拡張、基底細胞癌(皮膚)、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳幹神経膠腫、脳およびCNS腫瘍、乳癌、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌、小児脳腫瘍、小児癌、小児白血病、小児軟組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、腺管癌、内分泌癌、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼癌、眼球黒色腫、網膜芽細胞腫、輸卵管癌、ファンコーニ貧血、線維肉腫、胆嚢癌、胃癌、胃腸癌、消化管カルチノイド腫瘍、泌尿生殖器系癌、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、神経膠腫、婦人科癌、血液学的悪性腫瘍、有毛細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、遺伝性乳癌、組織球症、ホジキン病、ヒトパピローマウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭癌、眼内黒色腫、島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、咽頭癌、平滑筋肉腫、白血病、リー-フラウメニ症候群、口唇癌、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、腎臓悪性ラブロイド腫瘍、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移癌、口腔癌(mouth cancer)、多発性内分泌腫瘍症、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、鼻腔癌、上咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫症、ナイミーヘン染色体不安定症候群、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、眼球癌、食道癌、口腔癌(oral cavity cancer)、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣瘻癌、膵臓癌、副鼻腔癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、末梢性神経外胚葉性腫瘍、下垂体癌、真性赤血球増加症、前立腺
癌、稀な癌および関連障害、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、ロスムンド-トムソン症候群、唾液腺癌、肉腫、シュワン腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌(SCLC)、小腸癌、軟組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平細胞癌(皮膚)、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌(膀胱)、移行細胞癌(腎盂/輸尿管)、絨毛細胞癌、尿道癌、泌尿器系癌、ウロプラキン、子宮肉腫、子宮癌、膣癌、外陰部癌、ワルデンストレーム-マクログロブリン血症ならびにウィルムス腫瘍が含まれる。一実施形態では、腫瘍は多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫の群から選択される。
【0098】
癌の処置において企図されるように、本発明の構築物の抗体部分は、腫瘍関連抗原、すなわち、癌細胞によって選択的に発現される、またはほとんどの正常細胞と比較して癌細胞中で過剰発現される細胞表面抗原と結合し得る。当分野で知られている腫瘍関連抗原(TAA)は多数存在する。TAAの非限定的な例には、酵素チロシナーゼ、黒色腫抗原GM2、アルファフェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、ムチン1(MUC1)、ヒト表皮成長因子受容体(Her2/Neu)、T細胞白血病/リンパ腫1(TCL1)腫瘍性タンパク質が含まれる。いくつかの異なる癌に関連する例示的なTAAは、テロメラーゼ(hTERT)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤およびその受容体(uPA/uPAR)、血管内皮成長因子およびその受容体(VEGF/VEGFR)、細胞外マトリックスメタロプロテイナーゼ誘導因子(EMMPRIN/CD147)、表皮成長因子(EGFR)、血小板由来成長因子およびその受容体(PDGF/PDGFR)ならびにc-kit(CD117)である。
【0099】
他のTAAのリストは、その開示が本明細書中に参照により含まれているUS 2010/0297076号中に提供されている。それだけには限定されないがCD38、CD138、CS1、およびHM1.24を含めた多発性骨髄腫細胞に関連する細胞表面抗原が特に興味深い。一実施形態では、抗体-弱毒化リガンド構築物、たとえば抗体-弱毒化インターフェロン構築物の抗原はCD38である。
【0100】
CD38は46kDaのII型膜貫通糖タンパク質である。これは、20個のアミノ酸の短いN末端の細胞質側末端、単一の膜貫通ヘリックス、および256個のアミノ酸の長い細胞外ドメインを有する(Bergsagel, P.、Blood、85:436頁、1995およびLiu, Q.、Structure、13:1331頁、2005)。これは、CD4およびCD8陽性T細胞、B細胞、NK細胞、単球、形質細胞を含めた多くの免疫細胞の表面上ならびに正常な骨髄前駆細胞の顕著な割合上で発現される(Malavasi, F.、Hum. Immunol.、9:9頁、1984)。しかし、リンパ球では、発現は細胞の分化および活性化状態に依存しているように思われる。CD38発現について、休止TおよびB細胞は陰性である一方で、未成熟および活性リンパ球は主に陽性である(Funaro, A.、J. Immunol.、145:2390頁、1990)。さらなる研究は、膵臓、脳、脾臓および肝臓などの非造血性器官中でのmRNA発現を示している(Koguma, T.、Biochim. Biophys. Acta、1223:160頁、1994。)
【0101】
CD38は、膜貫通シグナル伝達および細胞接着に関与している多機能性エクトエンザイムである。また、これは細胞外pHに応じてNAD
+およびNADP
+をcADPR、ADPRおよびNAADPへと変換することができるため、環状ADPリボース加水分解酵素としても知られている。これらの生成物は細胞内のCa
2+動員を誘導し、これはチロシンのリン酸化および細胞の活性化をもたらすことができる。また、CD38はリガンドCD31と相互作用することができる受容体でもある。CD31を介した受容体の活性化は、Ca2
+動員、細胞活性化、増殖、分化および遊走を含めた細胞内事象をもたらす(Deaglio, S.、Trends in Mol. Med.、14:210頁、2008中で総説)。
【0102】
CD38は、ほとんどの事例ではTおよびB系統の急性リンパ芽球性白血病、一部では急性骨髄性白血病、濾胞中心細胞リンパ腫およびTリンパ芽球性リンパ腫の、多発性骨髄腫細胞上にて高レベルで発現される。(Malavasi, F.、J. Clin Lab Res.、22:73頁、1992)。より最近では、CD38発現はB系統慢性リンパ芽球性白血病(B-CLL)における信頼性のある予後マーカーとなっている(Ibrahim, S.、Blood.、98:181頁、2001およびDurig, J.、Leuk. Res.、25:927頁、2002)。独立したグループが、CD38
+クローンを提示しているB-CLL患者は、より進行した疾患段階、化学療法に対する応答不良、およびより短い生存期間を伴った、好ましくない臨床経過によって特徴づけられていることを実証している(Morabito, F.、Haematologica.、87:217頁、2002)。リンパ系腫瘍上におけるCD38の一貫した増強された発現により、これが治療用抗体技術のための魅力的な標的となる。
【0103】
癌を標的とする抗体-弱毒化リガンド融合タンパク質構築物を開発するための好ましい抗原は、癌細胞上で選択的な発現または体内のほとんどの他の非形質転換細胞よりも高い発現を示す抗原である。そのような抗原の非タンパク質例には、スフィンゴ脂質、ガングリオシドGD2(Salehら、1993、J. Immunol.、151、3390〜3398頁)、ガングリオシドGD3(Shitaraら、1993、Cancer Immunol. Immunother.、36:373〜380頁)、ガングリオシドGM2(Livingstonら、1994、J. Clin. Oncol.、12:1036〜1044頁)、ガングリオシドGM3(Hoonら、1993、Cancer Res.、53:5244〜5250頁)、ならびにタンパク質または糖脂質上に表示させることができるLewis
x、lewis
yおよびlewis
xy炭水化物抗原が含まれる。タンパク質抗原の例は、HER-2/neu、ヒトパピローマウイルス-E6または-E7、MUC-1、KS1/4汎癌腫(pan-carcinoma)抗原(PerezおよびWalker、1990、J. Immunol.、142:3662〜3667頁、Bumal、1988、Hybridoma、7(4):407〜415頁)、子宮癌抗原CA125(Yuら、1991、Cancer Res.、51(2):468〜475頁)、前立腺性酸性ホスファターゼ(Tailorら、1990、Nucl. Acids Res.、18(16):4928頁)、前立腺特異抗原(HenttuおよびVihko、1989、Biochem. Biophys. Res. Comm.、160(2):903〜910頁、Israeliら、1993、Cancer Res.、53:227〜230頁)、黒色腫関連抗原p97(Estinら、1989、J. Natl. Cancer Instit、81(6):445〜446頁)、黒色腫抗原gp75(Vijayasardahlら、1990、J. Exp. Med.、171(4):1375〜1380頁)、前立腺特異的膜抗原、癌胎児性抗原(CEA)(Foonら、1994、Proc. Am. Soc. Clin. Oncol.、13:294頁)、MUC16(抗体にはMJ-170、MJ-171、MJ-172およびMJ-173[US 7,202,346号]、3A5[US 7,723,485号]が含まれる)、NMB(US 8,039,593号)、悪性ヒトリンパ球抗原APO-1(Bernhardら、1989、Science、245:301〜304頁)、高分子量黒色腫抗原(HMW-MAA)(Nataliら、1987、Cancer、59:55〜63頁、Mittelmanら、1990、J. Clin. Invest.、86:2136〜2144頁)、バーキットリンパ腫抗原38.13、CD19(Ghetieら、1994、Blood、83:1329〜1336頁)、ヒトBリンパ腫抗原CD20(Reffら、1994、Blood、83:435〜445頁)、GICA19-9(Herlynら、1982、J. Clin. Immunol.、2:135頁)、CTA-1およびLEA、CD33(Sgourosら、1993、J. Nucl. Med.、34:422〜430頁)、肝臓癌のアルファ-フェトプロテインなどの癌胎児性抗原または膀胱腫瘍癌胎児性抗原(Hellstromら、1985、Cancer. Res.、45:2210〜2188頁)、ヒト肺癌抗原L6またはL20などの分化抗原(Hellstromら、1986、Cancer Res.、46:3917〜3923頁)、線維肉腫の抗原、ヒト白血病T細胞抗原Gp37(Bhattacharya-Chatterjeeら、1988、J. Immunol.、141:1398〜1403頁)、T抗原、DNA腫瘍ウイルスおよびRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原を含めたウイルス誘導性腫瘍抗原などの腫瘍に特異的な移植型の細胞表面抗原(TSTA)、ネオ糖タンパク質、EGFR(表皮成長因子受容体)、多型上皮ムチン(PEM)などの乳癌抗原(Hilkensら、1992、Trends in Bio. Chem. Sci.、17:359頁)、多型上皮ムチン抗原、ヒト乳脂肪小球抗原、TAG-72(Yokataら、1992、Cancer Res.、52:3402〜3408頁)、CO17-1A(Ragnhammarら、1993、Int. J. Cancer、53:751〜758頁)などの結腸直腸腫瘍関連抗原、胃腺癌中に見つかるI(Ma)、骨髄性細胞中に見つかるSSEA-1、乳房上皮癌中に見つかるVEP8、VEP9、My1、VIM-D5、M18およびM39、結腸直腸癌中に見つかるD
156-22、結腸腺癌中に見つかるTRA-1-85(血液型H)、C14、肺腺癌中に見つかるF3、胃癌中に見つかるAH6、胚性癌腫細胞中に見つかるYハプテン、膵癌中に見つかるTL5(血液型A)、E1シリーズ(血液型B)抗原、胚性癌腫細胞中に見つかるFC10.2、胃腺癌抗原、腺癌中に見つかるCO-514(血液型Le
a)、腺癌中に見つかるNS-10、A431細胞中に見つかるCO-43(血液型Le
b)、G49、結腸癌中に見つかる19.9などの分化抗原(Feizi、1985、Nature、314:53〜57頁)、胃癌ムチン、黒色腫中に見つかるR
24、結腸腺癌中に見つかるMH2(血液型ALe
b/Le
y)、胚性癌腫細胞中に見つかる4.2、D1.1、OFA-1、G
M2、OFA-2およびM1:22:25:8、ならびにSSEA-3およびSSEA-4である。黒色腫コンドロイチン硫酸プロテオグリカンとしても知られるHMW-MAA(配列番号433)は、外科的に除去した良性母斑および黒色腫病変の90%を超えるもの上で過剰発現されている、2322個の残基の膜結合タンパク質である(Camploiら、Crit Rev Immunol.、24:267頁、2004)。したがって、これは潜在的な標的細胞表面関連抗原であり得る。
【0104】
本発明の融合タンパク質構築物を用いて標的化するための癌抗原の他の例には(例示的な癌は括弧内に示す)、CD5(T細胞白血病/リンパ腫)、CA15-3(癌腫)、CA19-9(癌腫)、L6(癌腫)、CA242(結腸直腸)、胎盤アルカリホスファターゼ(癌腫)、前立腺酸性ホスファターゼ(前立腺)、MAGE-1(癌腫)、MAGE-2(癌腫)、MAGE-3(癌腫)、MAGE-4(癌腫)、トランスフェリン受容体(癌腫)、p97(黒色腫)、MUC1(乳癌)、MART1(黒色腫)、CD20(非ホジキンリンパ腫)、CD52(白血病)、CD33(白血病)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(癌腫)、CD38(多発性骨髄腫)、CD21(B細胞リンパ腫)、CD22(リンパ腫)、CD25(B細胞リンパ腫)、CD37(B細胞リンパ腫)、CD45(急性骨髄芽球性白血病)、HLA-DR(B細胞リンパ腫)、IL-2受容体(T細胞白血病およびリンパ腫)、CD40(リンパ腫)、様々なムチン(癌腫)、P21(癌腫)、MPG(黒色腫)、Ep-CAM(上皮腫瘍)、葉酸受容体アルファ(卵巣)、A33(結腸直腸)、G250(腎臓)、フェリチン(ホジキンリンパ腫)、de2-7EGFR(膠芽細胞腫、乳房、および肺)、線維芽細胞活性化タンパク質(上皮)、ならびにテネイシンメタロプロテイナーゼ(膠芽細胞腫)が含まれる。一部の具体的な有用な抗体には、それだけには限定されないが、BR64(Trailら、1997、Cancer Research、57:100 105頁)、BR96 mAb(Trailら、1993、Science、261:212〜215頁)、S2C6 mAbなどのCD40抗原に対するmAb(Franciscoら、2000、Cancer Res.、60:3225〜3231頁)または米国特許公開第2003-0211100号および第2002-0142358号に開示されているものなどの他の抗CD40抗体、AC10(Bowenら、1993、J. Immunol.、151:5896〜5906頁、Wahlら、2002、Cancer Res.、62(13):3736〜42頁)またはMDX-0060(米国特許公開第2004-0006215号)などのCD30抗原に対するmAb、ならびに1F6 mAbおよび2F2 mAb(たとえば米国特許公開第2006-0083736号を参照)または抗体2H5、10B4、8B5、18E7、69A7(US 8,124,738号)などのCD70抗原に対するmAbが含まれる。他の抗体は他で総説されている(Frankeら、2000、Cancer Biother. Radiopharm.、15:459〜76頁、Murray、2000、Semin. Oncol.、27:64〜70頁、Breitling, F.およびDubel, S.、Recombinant Antibodies、John Wiley, and Sons、New York、1998)。
【0105】
特定の実施形態では、有用な抗体は、標的細胞上に発現される受容体または受容体の複合体と結合することができる。受容体または受容体複合体は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーメンバー、主要組織適合性タンパク質、サイトカイン受容体、TNF受容体スーパーファミリーメンバー、ケモカイン受容体、インテグリン、レクチン、補体制御タンパク質、成長因子受容体、ホルモン受容体または神経伝達物質受容体を含むことができる。適切な免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーの非限定的な例は、CD2、CD3、CD4、CD8、CD19、CD22、CD79、CD90、CD152/CTLA-4、PD-1、B7-H4、B7-H3、およびICOSである。適切なTNF受容体スーパーファミリーメンバーの非限定的な例は、TACI、BCMA、CD27、CD40、CD95/Fas、CD134/0X40、CD137/4-1BB、TNFR1、TNFR2、RANK、オステオプロテゲリン、APO3、Apo2/TRAIL R1、TRAIL R2、TRAIL R3、およびTRAIL R4である。適切なインテグリンの非限定的な例は、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、CD29、CD41、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD103およびCD104である。適切なレクチンの非限定的な例は、S型、C型、およびI型レクチンである。CEAに対する抗体の例はTable 2(表3)に示す。
【0107】
ヒトB細胞上に発現されるCD22抗原と結合する抗体には、たとえば、HD6、RFB4、UV22-2、To15、4KB128およびヒト化抗CD22抗体(hLL2)が含まれる(たとえば、Liら(1989) Cell. Immunol.、111:85〜99頁、Masonら(1987) Blood、69:836〜40頁、Behrら(1999) Clin. Cancer Res.、5:3304s〜3314s頁、Bonardiら(1993) Cancer Res.、53:3015〜3021頁を参照)。
【0108】
CD33に対する抗体には、たとえば、HuM195(たとえばKossmanら(1999) Clin. Cancer Res.、5:2748〜2755頁、US5693761号を参照)およびCMA-676(たとえばSieversら、(1999) Blood、93:3678〜3684頁を参照)が含まれる。
【0109】
例示的な抗MUC-1抗体には、それだけには限定されないが、Mc5(たとえばPetersonら(1997) Cancer Res.、57:1103〜1108頁、Ozzelloら(1993) Breast Cancer Res. Treat.、25:265〜276頁を参照)およびhCTMO1(たとえばVan Hofら(1996) Cancer Res.、56:5179〜5185頁を参照)が含まれる。
【0110】
例示的な抗TAG-72抗体には、それだけには限定されないが、CC49(たとえばPavlinkovaら(1999) Clin. Cancer Res.、5:2613〜2619頁を参照)、B72.3(たとえばDivgiら(1994) Nucl. Med. Biol.、21:9〜15頁を参照)、および米国特許第5,976,531号に開示されているものが含まれる。
【0111】
例示的な抗HM1.24抗体には、それだけには限定されないが、マウスモノクローナル抗HM1.24およびヒト化抗HM1.24 IgG1カッパ抗体が含まれる(たとえばOnoら(1999) Mol. Immuno.、36:387〜395頁を参照)。
【0112】
特定の実施形態では、標的化部分は抗HER2抗体を含む。より一般的には(Her-2/neu)として知られるerBB2遺伝子は、膜貫通受容体をコードしている癌遺伝子である。トラスツズマブ(たとえばHERCEPTIN(商標)、Fornierら(1999) Oncology (Huntingt) 13:647〜58頁)、TAB-250(Rosenblumら(1999) Clin. Cancer Res.、5:865〜874頁)、BACH-250(同上)、TA1(Maierら(1991) Cancer Res.、51:5361〜5369頁)、ならびに米国特許第5,772,997号、第5,770,195号(mAb 4D5、ATCC CRL 10463)、および米国特許第5,677,171号に記載のmAbを含めたいくつかの抗体がHer-2/neuに対して開発されている。
【0113】
HER2と特異的に結合するいくつかの抗体が開発されており、一部は臨床使用されている。これらには、たとえば、トラスツズマブ(たとえばHERCEPTIN(商標)、Fornierら(1999) Oncology (Huntingt) 13:647〜658頁)、TAB-250(Rosenblumら(1999) Clin. Cancer Res.、5:865〜874頁)、BACH-250(同上)、TA1(たとえばMaierら(1991) Cancer Res.、51:5361〜5369頁を参照)、ならびに米国特許第5,772,997号、第5,770,195号、および第5,677,171号に記載の抗体が含まれる。
【0114】
他の完全にヒトの抗HER2/neu抗体は当業者に周知である。そのような抗体には、それだけには限定されないが、C6.5、DPL5、G98A、C6MH3-B1、B1D2、C6VLB、C6VLD、C6VLE、C6VLF、C6MH3-D7、C6MH3-D6、C6MH3-D5、C6MH3-D3、C6MH3-D2、C6MH3-D1、C6MH3-C4、C6MH3-C3、C6MH3-B9、C6MH3-B5、C6MH3-B48、C6MH3-B47、C6MH3-B46、C6MH3-B43、C6MH3-B41、C6MH3-B39、C6MH3-B34、C6MH3-B33、C6MH3-B31、C6MH3-B27、C6MH3-B25、C6MH3-B21、C6MH3-B20、C6MH3-B2、C6MH3-B16、C6MH3-B15、C6MH3-B11、C6MH3-B1、C6MH3-A3、C6MH3-A2、およびC6ML3-9などのC6抗体が含まれる。これらおよび他の抗HER2/neu抗体は、米国特許第6,512,097号および第5,977,322号、PCT公開WO 97/00271号、Schierら(1996) J Mol Biol、255:28〜43頁、Schierら(1996) J Mol Biol、263:551〜567頁などに記載されている。
【0115】
より一般には、表皮成長因子受容体ファミリーの様々なメンバーに向けられた抗体が、本発明の構築物において抗体またはその抗原結合部分を標的化するための使用に良好に適している。そのような抗体には、それだけには限定されないが、米国特許第5,844,093号および第5,558,864号ならびに欧州特許第706,799A号に記載の抗EGF-R抗体が含まれる。他の例示的な抗EGFRファミリー抗体には、それだけには限定されないが、C6.5、C6ML3-9、C6MH3-B1、C6-B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8およびHER4.C7などの抗体が含まれる(たとえば本明細書中に参照により組み込まれている米国特許公開US 2006/0099205A1号およびUS 2004/0071696A1号を参照)。
【0116】
細胞表面関連抗原は、十分に治療的な量のポリペプチド構築物が標的細胞表面上のリガンド受容体に提示されるように、標的細胞上に十分なレベルで発現されることが有利であり得る。したがって、特定の実施形態では、細胞表面関連抗原は、12,600コピー/細胞を超えるまたは15,000コピー/細胞を超える密度で発現される。細胞表面抗原のコピー数を決定する方法は周知であり、たとえばJilana (Am J Clin Pathol、118:560〜566頁、2002)によって提供される方法など、当業者が容易に利用可能である。
【0117】
細胞表面関連抗原は、ポリペプチド構築物が細胞表面抗原と標的細胞上のリガンド受容体とのどちらにも接触することができるような立体配置にて細胞表面上で発現されることが有利であり得る。したがって、特定の実施形態では、細胞表面関連抗原は240kD未満の分子量を有する細胞外ドメインを有する。
【0118】
抗体またはその抗原結合部分が、リガンドと細胞表面上のリガンド受容体との結合を容易にするために十分な親和性で細胞表面関連抗原と結合することが有利であり得る。したがって、本発明の特定の実施形態では、ポリペプチド構築物は、50nMから、25nMから、10nMからまたは5nMから0.1pMまでの、EC50によって測定される抗原結合親和性を示す。
【0119】
米国特許第6,512,097号および第5,977,322号に記載されているように、他の抗EGFRファミリーメンバー抗体は、軽鎖および/または重鎖をシャフリングし、次いで1回または複数回の親和性選択を行うことによって容易に生成することができる。したがって、特定の実施形態では、本発明は、上記同定した抗体および/または上記同定した出版物中に記載されているCDRである、VLおよび/またはVH領域中の1、2、または3個のCDRの使用を企図する。
【0120】
様々な実施形態において、標的化抗体またはその抗原結合部分は、CD20と特異的または優先的に結合する抗体またはその抗原結合部分を含む。抗CD20抗体は当業者に周知であり、それだけには限定されないが、リツキシマブ、イブリツモマブ、およびトシツモマブ、AME-133v(Applied Molecular Evolution)、オクレリズマブ(Roche)、オファツムマブ(Genmab)、TRU-015(Trubion)ならびにIMMU-106(Immunomedics)が含まれる。
【0121】
WO 2010/105290号は、「SC104」と命名された抗体を、様々な腫瘍細胞上に発現される抗原と結合する様々なヒト化変異体と一緒に開示している。
【0122】
一実施形態では、抗体付着およびリガンド中の弱毒化突然変異は、抗原特異性指数(ASI)を10倍より高く、好ましくは50倍より高く、好ましくは100倍より高く、好ましくは1000倍より高く、または好ましくは10,000倍より高く増加させる。抗原特異性指数(ASI)とは、本明細書中で、標的抗原陽性細胞に対する遊離の非突然変異ポリペプチドリガンドと比較した本発明のポリペプチド構築物のシグナル伝達活性の効力増加の倍数と標的抗原陰性細胞に対する遊離の非突然変異ポリペプチドリガンドと比較したシグナル伝達活性の効力減少の倍数とを掛け算したものとして定義される。このコンテキストにおいて、用語「効力」は、用量応答曲線の数学的中間点であるEC50値によって定量的に表す場合があり、ここで、用量とはアッセイにおけるリガンドまたは抗体-リガンド構築物の濃度をいい、応答とは、特定の用量におけるリガンドのシグナル伝達活性に対する細胞の定量的応答をいう。したがって、たとえば、典型的には同じ方法によって測定した場合に、第1の化合物が、同じ細胞に対する第2の化合物のEC50よりも10倍低いEC50(たとえばモル濃度単位で表す)を保有すると示された場合、第1の化合物は10倍高い効力を有するといわれる。逆に、典型的には同じ方法によって測定した場合に、第1の化合物が、同じ細胞に対する第2の化合物のEC50よりも10倍高いEC50を保有すると示された場合、第1の化合物は10倍低い効力を有するといわれる。
【0123】
試験した抗体の大多数が弱毒化IFNαの効率的な標的化を示した一方で、本発明者は、弱毒化IFNαを標的発現細胞系に標的化することで遊離の非突然変異リガンドよりも感知できるほどに高いASIが示されなかった2つの抗原の例を同定した。第1の例は、抗原CSPG4(HMW-MAA、高分子量黒色腫関連抗原としても知られる)によって実証される。本発明者らは、2つの異なる抗HMW-MAA-抗体-IFNα融合タンパク質構築物を、A375またはCHL-1細胞系を使用したオンターゲット増殖アッセイにおいて試験した。本発明者らは、どちらの細胞系または抗体でも試験した用量(EC50>21nM)で阻害活性を観察しなかった。この抗原の細胞外ドメインは例外的に大きい(細胞外ドメインのMWはグリコシル化に応じて約240kD〜450kDである)。非常に大きい抗原と結合する特定の抗体-IFN融合タンパク質構築物は、同じ細胞上のIFN受容体と同時に相互作用することから立体的に制限され得る可能性がある。しかし、この抗原の他のエピトープを標的とする他の抗体が標的IFN活性を支持し得る可能性がある。この可能性にもかかわらず、本発明のポリペプチド構築物の抗体またはその抗原結合部分は、その細胞外ドメインが240kD未満の分子量を有する抗原と結合することが好ましい。
【0124】
強力な活性を示さなかった抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物の第2の例は、骨髄抗原CD33と結合する抗体に基づいていた。CD33はKG-1細胞上にて比較的低いレベルで発現され、12,600コピー/細胞と報告されている(Sutherland、MAbs.、1(5):481〜490頁、2009)。抗CD33抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物を用いたKG-1細胞の処理は、試験したすべての用量(IC50>76nM)で増殖の阻害に失敗した。本発明者らは、この標的の比較的低いコピー数が、一部の事例において、エピトープ位置、IFN受容体の受容体密度などの他の要因次第で、抗体-弱毒化IFN融合タンパク質構築物の効力を制限し得ると考える。しかし、たとえば、この抗原上の他のエピトープを標的とする他の抗体が標的IFN活性を支持し得る、または、低いCD33コピー数を有する他の細胞が、それにもかかわらず高い固有のIFN感度が原因でそのような融合タンパク質構築物に応答し得る可能性がある。この可能性にもかかわらず、本発明のポリペプチド構築物の抗体またはその抗原結合部分は、12,600コピー/細胞を超える、好ましくは15,000コピー/細胞を超える密度で細胞上に存在する抗原と結合することが好ましい。
【0125】
抗体が癌細胞に対する十分な標的化をもたらさなかった抗体-弱毒化融合タンパク質構築物の別の例は、弱毒化IFNαに付着した抗GM2ガングリオシド抗体であった。この事例では、抗体は炭水化物エピトープに対するものであり、そのような抗体では典型的であるように、低い親和性を有していた(結合標的細胞のEC50はフローサイトメトリーによって約50nMであった)。したがって、本発明の好ましい実施形態はその抗原に対して高い親和性結合を示し、EC50は、好ましくは50nM未満、より好ましくは25nM未満、さらにより好ましくは10nM未満、理想的には5nM未満である。さらに、好ましい実施形態は、炭水化物エピトープよりもむしろタンパク質およびペプチドエピトープと結合する抗体を含む。
【0126】
多発性骨髄腫は、本発明の特定の実施形態、すなわち多発性骨髄腫抗原に対する抗体および弱毒化IFNペプチドを含む融合タンパク質構築物において特に興味深い。Table 3(表4)は多発性骨髄腫抗原および抗体の例を抗体配列の参照と共に列挙する。
【0129】
CD38は本発明の融合タンパク質構築物の抗体標的として特に興味深い。CD38に対する抗体には、たとえば、AT13/5(たとえばEllisら(1995) J. Immunol.、155:925〜937頁を参照)、HB7などが含まれる。Table 4(表5)はこのコンテキストにおいて使用し得るいくつかの既知のCD38抗体を開示している。
【0131】
本明細書中で使用する用語「シグナル伝達リガンド」には、細胞表面受容体を活性化または阻害することができる任意の分子を含めた、細胞シグナル伝達経路の活性化に関与する任意のリガンドが広く含まれる。また、この用語は、細胞膜の脂質二重層を通って細胞内の細胞シグナル伝達経路を活性化することができる分子への言及が含まれるとしても理解されるべきである。本明細書中で使用する用語「ポリペプチドシグナル伝達リガンド」とは、特定の細胞上の特定の細胞表面分子(「受容体」)と結合し、それによってこれらの細胞内でシグナルまたは複数のシグナルを伝達する、6個のアミノ酸から1,000個のアミノ酸の長さのペプチドおよびポリペプチド配列をいう。本発明によって企図される例示的なシグナル伝達リガンドおよびポリペプチドシグナル伝達リガンドには、それだけには限定されないが、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、ホルモン、神経伝達物質、およびアポトーシス誘導因子が含まれる。
【0132】
適切なサイトカインの非限定的な例には、インターロイキンIL-1、IL-2 IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL_25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、Il-35およびそのサブファミリー、I型インターフェロン(IFN-α(IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA21)、IFN-β(IFN-β1(IFNBl)およびIFN-β3 (IFNB3))、IFN-ω ((IFNW1)、IFNWP2、IFNWP4、IFNWP5、IFNWP9、IFNWP15、IFNWP18、およびIFNWP19およびIFNK)、II型インターフェロン(IFN-γ)およびIII型インターフェロン(IFN-イプシロン、-カッパ、-オメガ、-デルタ、-タウ、-ガンマ)およびインターフェロン様分子(リミチン、IL-28A、IL-28B、IL-29、IL-1α、IL-Ιβ、IL-1受容体拮抗剤(IL-1RA)およびIL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、IL1F9、およびIL1F10を含めたIL-1ファミリー、ならびにIL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E(IL-25)、およびIL-17Fを含めたIL-17ファミリーが含まれる。一実施形態では、ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドは、IFN、IL-4およびIL-6からなる群から選択される。一実施形態では、ペプチドまたはポリペプチドシグナル伝達リガンドは、IFNα、IFNα2b、IFNβ1、IFNβ1bおよびIFNγからなる群から選択される。好ましくは、IFNαの配列は配列番号1〜3、80〜90、434および435から選択される。
【0133】
例示的なケモカインには、たとえば、RANTES、MCAF、MIP1-アルファ、IP-10、単球化学誘引物質タンパク質-1(MCP-1またはCCL2)、インターロイキン-8(IL-8)、CXCL13、XCL1(リンフォタクチン-α)、XCL2(リンフォタクチン-β)およびフラクタルカイン(CX
3CL1)が含まれる。
【0134】
成長因子の非限定的な例には、たとえば、アドレノメデュリン(AM)、アンジオポエチン(Ang)、自己分泌型運動因子、骨形成タンパク質(BMP)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、表皮成長因子(EGF)、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞成長因子(FGF)、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、成長分化因子-9(GDF9)、肝細胞成長因子(HGF)、肝細胞癌由来成長因子(HDGF)、インスリン様成長因子(IGF)、遊走刺激因子、ミオスタチン(GDF-8)、神経成長因子(NGF)および他のニューロトロフィン、血小板由来成長因子(PDGF)、トロンボポエチン(TPO)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、血管内皮成長因子(VEGF)、胎盤成長因子(PlGF)、IL-3およびIL-6のIL-1補因子、IL-2-T細胞成長因子、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6ならびにIL-7が含まれる。
【0135】
例示的なアポトーシス誘導因子にはFasLおよびTRAILが含まれる。
【0136】
例示的なホルモンには、TRHおよびバソプレシンなどのペプチドホルモン、インスリンおよび成長ホルモンなどのタンパク質ホルモン、黄体形成ホルモンなどの糖タンパク質ホルモン、卵胞刺激ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモン、ステロイドホルモン、たとえばテストステロンおよびコルチゾールなどの脂質およびリン脂質由来ホルモン、カルシトリオールなどのステロールホルモン、プロスタグランジンなどのエイコサノイドが含まれる。
【0137】
適切な神経伝達物質の非限定的な例には、モノアミンおよび他の生体アミン:ドーパミン(DA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン、NE、NA)、エピネフリン(アドレナリン)、ヒスタミン、セロトニン(SE、5-HT)、ソマトスタチン、サブスタンスP、オピオイドペプチドおよびアセチルコリン(ACh)が含まれる。
【0138】
抗体とリガンドとの間の連結は、単純なペプチド結合を介して、リガンドと抗体の重鎖もしくは軽鎖または両方との間の融合タンパク質を作製することによって行うことができる。リガンドは、抗体の重鎖または軽鎖のどちらかのNまたはC末端のどちらかで、介在リンカーペプチド配列を用いたまたは用いずに付着させることができる。一実施形態では、リガンドは、ペプチド結合を介して抗体またはその抗原結合部分と連結している。一実施形態では、リガンドは、ヒト、ヒト化またはキメラのIgG1、IgG2またはIgG4の重鎖のC末端と、直接または1〜20個のアミノ酸の長さの介在リンカーを用いて連結される。
【0139】
突然変異ポリペプチドリガンドは、化学的コンジュゲーション、非共有タンパク質-タンパク質相互作用、または遺伝子融合によって抗体または抗体断片と付着させ得る。本明細書中に記載のリガンドを抗体とコンジュゲートさせる方法は、当業者によって容易に達成され得る。容易に確認されるように、一般的に使用されている化学的カップリング方法を利用して、リガンドを抗体と、たとえば、遊離アミノ、カルボン酸、またはスルフヒドリル基を介して連結させ得る。また、リガンドはカルボニル(-CHO)を介して抗体と連結させることもでき、これらのアルデヒド基は糖タンパク質中の炭水化物基を酸化させることによって作製することができる。
【0140】
一部の一般的に使用されている架橋結合試薬には、タンパク質またはペプチド分子をペプチドまたはポリペプチドのN末端または脂肪族アミン基と連結させるグルタルアルデヒド、タンパク質またはペプチドをタンパク質またはペプチドのC末端または側鎖カルボキシル基に付着させるカルボジイミド(EDC)、Cys残基からの遊離アミノ基およびチオールをコンジュゲートさせるスクシンイミドエステル(たとえばMBS、SMCC)、Tyr残基と連結するベンジジン(BDB)、炭水化物基およびイソチオシアネートと付着する過ヨウ素酸が含まれる。市販の化学的コンジュゲーションキットの使用が企図される。
【0141】
一部の実施形態では、潜在的な立体障害を減らすために様々な長さのスペーサーアームを介して、標識を付着させる。たとえば、化学的リンカーをリガンドと抗体との間に使用し得る。例示的なリンカー配列は当業者によって容易に確認され、C6、C7およびC12アミノモディファイヤーならびにチオール基を含むリンカーなどのリンカーが含まれる可能性が高い。
【0142】
本発明の抗体-リガンド融合タンパク質構築物は、抗体が結合する抗原の細胞表面発現を欠く細胞上のその受容体を刺激することに関してリガンドの活性を低くする、リガンド中の突然変異または欠失を有する。
【0143】
本発明の一態様では、リガンドはインターフェロンであり、その例は、I型インターフェロン(IFN-α(アルファ)、IFN-β(ベータ)、IFN-κ(カッパ)、IFN-δ(デルタ)、IFN-ε(イプシロン)、IFN-τ(タウ)、IFN-ω(オメガ)、およびIFN-ζ(ゼータ、リミチンとしても知られる)、II型インターフェロン(IFN-γ)またはIII型インターフェロン(IFN-λ1、IFN-λ2およびIFN-λ3)である(Pestka、Immunological Reviews、202(1):8〜32頁、2004)。
【0144】
I型インターフェロンはすべて、IFNAR1およびIFNAR2から作られているI型インターフェロン受容体によってシグナル伝達する。シグナル伝達は、I型IFNがIFNAR1およびIFNAR2と結合し、したがってそれらを一緒にしてIFNとの複合体とした場合に起こる。これが細胞内事象のカスケード(「シグナル伝達」)を開始させ、これは、他のものの中でとりわけ、数々のインターフェロン調節性遺伝子の発現の変化をもたらす。I型インターフェロン受容体の活性化によって始動される細胞内シグナル伝達事象の詳細は、たとえばPlatanias(Nature Reviews、5:375〜86頁、2005)によって記載されている。I型インターフェロンには様々なインターフェロン-アルファが含まれる。既知のヒトインターフェロン-アルファは、IFNα1b、α2α、α2β、α4b、α5、α6、α7、α8、α10、α1a/13、α14、α16、α17、ανδ、α21、α2cおよびα4aである。一部の実施形態はIFNα2bを含み、その配列である配列番号3を
図4に示す。Table 5(表6)(これは認可されているIFNβおよびγのリストも示す)に概要を示すように、IFNはいくつかの形態でいくつかの適応症のために認可されている。
【0146】
その効力を低下させるために使用することができるIFNα2b中の突然変異の非限定的な例は、ヒトIFNα2b(配列番号3)の配列に基づいて、Table 6(表7)およびTable 7(表8)に記載されている。
【0150】
これらの突然変異体は、1型インターフェロン受容体IFNAR1もしくはIFNAR2との結合の低下が知られている、および/または細胞に基づくアッセイに基づいてIFNα効力の低下が知られている。
【0151】
これらの表中のデータは以下の参考文献中に開示されている。
Piehler, Jacob、Roisman, Laila C、Schreiber, Gideon (2000). New structural and functional aspects of the Type I interferon-receptor interaction revealed by comprehensive mutational analysis of the binding interface. J. Biol. Chem.、275:40425〜40433頁。
Jaitin, Diego A.、Roisman, Laila C.、Jaks, Eva、Gavutis, Martynas、Piehler, Jacob、Van der Heyden, Jose、Uze, Gilles、Schreiber, Gideon (2006). Inquiring into the differential action of interferons (IFNs): an IFN-α2 mutant with enhanced affinity to IFNAR1 is functionally similar to IFN-β. Mol. Cell. Biol.、26:1888〜1897頁。
Slutzki, Michal、Jaitin, Diego A.、Yehezkel, Tuval Ben、Schreiber, Gideon (2006). Variations in the unstructured C-terminal tail of interferons contribute to differential receptor binding and biological activity. J. Mol. Biol.、360:1019〜1030頁。
Kalie, Eyal、Jaitin, Diego A.、Abramovich, Renne、Schreiber, Gideon (2007). An interferon α2 mutant optimized by phage display for IFNAR1 binding confers specifically enhanced antitubor activities. J. Biol. Chem.、282:11602〜11611頁。
Pan, Manjing、Kalie, Eyal、Scaglione, Brian J.、Raveche, Elizabeth S.、Schreiber, Gideon、Langer, Jerome A. (2008). Mutation of te IFNAR-1 receptor binding site of human IFN-α2 generates Tyep I IFN competitive antagonists. Biochemistry、47:12018〜12027頁。
Kalie, Eyal、Jaitin, Diego A.、Podoplelova, Yulia、Piehler, Jacob、Schreiber, Gideon (2008). The Stability of the ternary interferon-receptor complex rather than the affinity to the individual subunits dictates differential biological activities. J. Biol. Chem.、283:32925〜32936頁。
【0152】
略記「YNS」は、本明細書中において以下の突然変異、すなわちH57Y、E58NおよびQ61Sが含まれるIFNα変異体を表すために時折使用する。
【0153】
また、本発明は、IFNα中の上述の突然変異または欠失の組合せも企図する。
【0154】
また、本発明は、本発明の構築物と他の薬物との組合せ、および/または放射線療法もしくは手術などの他の治療レジメンもしくは様式に加えた本発明の構築物の組合せも企図する。本発明の構築物を既知の治療剤と組み合わせて使用した場合、組合せは順々に(連続的もしくは処置のない期間によって中断して)または同時にまたは混合物として投与し得る。癌の場合、このコンテキストにおいて使用し得る数々の既知の抗癌剤が存在する。また、組み合わせた処置には、本発明の構築物、次いで既知の処置、または既知の薬剤を用いた処置、次いで本発明の構築物を用いた処置のどちらかを用いた処置が、たとえば維持療法として包含されることも企図される。たとえば、癌の処置では、本発明の構築物を、アルキル化剤(メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イホスファミドシスプラチン(cysplatin)、またはシスプラチン(cysplatin)、カルボプラチンおよびオキサリプラチンなどの白金含有アルキル化様剤等)、代謝拮抗剤(プリンもしくはピリミジン類似体またはアザチオプリンおよびメルカプトプリンなどの葉酸代謝拮抗剤等)、アントラサイクリン(ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、もしくはアントラサイクリン類似体など)、植物アルカロイド(ビンカアルカロイドまたはビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、パクリタキセルもしくはドセタキセル(Dosetaxel)などのタキサン等)、トポイソメラーゼ阻害剤(I型もしくはII型トポイソメラーゼ阻害剤など)、ポドフィロトキシン(エトポシドもしくはテニポシドなど)、あるいはチロシンキナーゼ阻害剤(メシル酸イマチニブ、ニロチニブ、もしくはダサチニブなど)と組み合わせて投与し得ることが企図される。
【0155】
多発性骨髄腫の処置の場合、本発明の構築物を、塩酸メルファランまたは上記列挙した化学療法剤などの他の化学療法剤を用いてまたは用いずに、デキサメタゾンなどのステロイド、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブもしくはカルフィルゾミブなど)、免疫調節薬(サリドマイド、レナリドマイドもしくはポマリドミドなど)、または導入化学療法、次いで自己造血幹細胞移植等の、現在の治療と組み合わせて投与し得ることが企図される。
【0156】
ホジキンリンパ腫の処置の場合、本発明の構築物を、ABVD(アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ブレオマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン)、またはスタンフォードV(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、メクロレタミン、エトポシド、プレドニゾン)、またはBEACOPP(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、プロカルバジン、エトポシド、プレドニゾン)などの現在の治療手法と組み合わせて投与し得ることが企図される。非ホジキンリンパ腫または他のリンパ腫の場合、本発明の構築物を現在の治療手法と組み合わせて投与し得ることが企図される。非ホジキンリンパ腫のために認可されている薬物の例には、Abitrexate(メトトレキサート)、アドリアマイシンPFS(塩酸ドキソルビシン)、アドリアマイシンRDF(塩酸ドキソルビシン)、Amboclorin(クロラムブシル)、Amboclorin(クロラムブシル)、Arranon(ネララビン)、塩酸ベンダムスチン、Bexxar(トシツモマブおよびヨウ素I131トシツモマブ)、Blenoxane(ブレオマイシン)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、クロラムブシル、Clafen(シクロホスファミド)、シクロホスファミド、Cytoxan(シクロホスファミド)、デニロイキンディフティトックス、DepoCyt(リポソームシタラビン)、塩酸ドキソルビシン、DTIC-Dome(ダカルバジン)、Folex(メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、Folotyn(プララトレキセート)、イブリツモマブチウキセタン、Istodax(ロミデプシン)、Leukeran(クロラムブシル)、Linfolizin(クロラムブシル)、リポソームシタラビン、Matulane(塩酸プロカルバジン)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、Mexate(メトトレキサート)、Mexate-AQ(メトトレキサート)、Mozobil(プレリキサフォル)、ネララビン、Neosar(シクロホスファミド)、Ontak(デニロイキンディフィトックス)、プレリキサフォル、プララトレキセート、Rituxan(リツキシマブ)、リツキシマブ、ロミデプシン、トシツモマブおよびヨウ素I131トシツモマブ、Treanda(塩酸ベンダムスチン)、Velban(硫酸ビンブラスチン)、Velcade(ボルテゾミブ)、およびVelsar(硫酸ビンブラスチン)、硫酸ビンブラスチン、Vincasar (硫酸ビンクリスチン)、硫酸ビンクリスチン、ボリノスタット、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)、Zolinza(ボリノスタット)が含まれる。非ホジキンリンパ腫の処置に使用する薬物の組合せの例には、CHOP(C=シクロホスファミド、H=塩酸ドキソルビシン(ヒドロキシダウノマイシン)、O=硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、P=プレドニゾン)、COPP(C=シクロホスファミド、O=硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、P=塩酸プロカルバジン、P=プレドニゾン)、CVP(C=シクロホスファミド、V=硫酸ビンクリスチン、P=プレドニゾン)、EPOCH(E=エトポシド、P=プレドニゾン、O=硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、C=シクロホスファミド、H=塩酸ドキソルビシン(ヒドロキシダウノマイシン))、ICE(I=イホスファミド、C=カルボプラチン、E=エトポシド)およびR-CHOP(R=リツキシマブ、C=シクロホスファミド、H=塩酸ドキソルビシン(ヒドロキシダウノマイシン)、O=硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、P=プレドニゾンが含まれる。
【0157】
また、レチノイドとインターフェロンに基づく融合タンパク質構築物との組合せも企図される。レチノイドは、成長、視力、生殖、上皮細胞分化および免疫機能を含めた多くの生物学的機能において主要な役割を果たす分子ファミリーである(Meyskens, F.ら、Crit Rev Oncol Hematol、3:75頁、1987、Herold, M.ら、Acta Dermatovener、74:29頁、1975)。レチノール、オールトランス型レチノイン酸すなわちATRAを単独でまたは他の薬剤と組み合わせて用いた初期の前臨床研究により、急性前骨髄急性白血病(APL)、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病(CML)、菌状息肉腫および多発性骨髄腫に対する活性が実証されている(Smith, M.、J. Clin. Oncol.、10:839頁、1992に総説)。これらの研究によりAPLの処置におけるATRAの認可に至った。現在では、血液学的悪性腫瘍、腎臓癌、肺癌、扁平細胞癌などを処置するための、他の治療と組み合わせたATRAの活性を評価する100件を超える臨床治験が存在する。特に興味深く、本発明に直接関係するのは、ATRAと組み合わせた場合のインターフェロンα処置の増強された有効性を実証する研究である。これは、マントル細胞リンパ腫(Col, J.ら、Cancer Res.、72:1825頁、2012)、腎細胞癌(Aass, N.ら、J. Clin. Oncol.、23:4172頁、2005、Motzer, R.、J. Clin. Oncol.、18:2972頁、2000)、CML、黒色腫、骨髄腫および腎細胞癌(Kast, R.、Cancer Biology and Therapy、7:1515頁、2008)、ならびに乳癌(Recchia, F.ら、J. Interferon Cytokine Res.、15:605頁、1995)について記載されている。したがって、本発明者らは、診療所においてATRAの治療的投薬と組み合わせた場合に、本発明者らの標的化した弱毒化IFNの活性の増強を予測する。さらに、Mehta (Mol Cancer Ther、3(3):345〜52頁、2004)は、レチノイン酸を用いた白血病細胞のin vitro処理がCD38抗原の発現を誘導したことを実証した。したがって、インターフェロンの増強された有効性および標的CD38の誘導発現は、CD38を発現するまたはATRAによってCD38を発現するように誘導し得るIFN感受性癌の処置において、ATRAと本発明者らの抗CD38抗体-弱毒化IFNαとの組合せ療法を示す。そのような癌の例は多発性骨髄腫、非ホジキン(non-Hodgekin)リンパ腫、CMLおよびAMLである。
【0158】
さらに、上記構築物はIFNα2bに基づいているが、突然変異または欠失は、他のIFNαまたはIFNβのうちの任意のもののコンテキストでも行うことができる。本発明の別の実施形態では、I型IFNはIFNβである。IFN-βは多発性硬化症(MS)の処置のために認可されている。IFN-βを突然変異または欠失によって弱毒化させ、その後、この疾患の病因に関与している細胞を標的とする抗体と付着させることができる。IFN-βはMSにおいて有効な薬物であるが、その使用は注射部位の炎症、インフルエンザ様症状、白血球血球減少症、肝機能不全および鬱病を含めた有害事象に関連しており、患者の部分組において中断をもたらしている。IFN-β活性を病原細胞に直接向けることによって、これらの有害事象が回避され得る。
【0159】
MSの病因は、トール様受容体による樹状細胞およびミクログリア細胞の生得的な活性化、炎症誘発性と抗炎症性/調節性サイトカインとの間の不均衡、CD4+T細胞のTh1およびTh17表現型への分化、抗原提示細胞(APC)によるTh1細胞の活性化、調節性T(Treg)細胞の数の低下、ならびに血液脳関門(BBB)を横切る活性免疫細胞の遊走を含めた、いくつかの事象によって始動および進行されると考えられている。この疾患の臨床症状発現の主な駆動要因は、自己反応性のミエリン特異的Th1細胞であると考えられている(Gandhi、2010、J Neuroimmunol、221:7頁、Boppana、2011、Mt Sinai J Med、78:207頁、Loma、2011、Curr Neuropharmacol、9:409頁中に総説)。
【0160】
本発明の一実施形態では、多発性硬化症またはIFN-βが有効であり得る他の自己免疫適応症の処置のために、IFN-βの弱毒化型を、T細胞に特異的な細胞表面マーカーを標的とする抗体に付着させ得る。T細胞に対するIFN-βの直接効果には、増殖の阻害(Rep、1996、J Neuroimmunol、67:111頁)、共刺激分子CD40Lの下方制御(Teleshova、2000、Scand J Immunol.、51:312頁)、BBBを横切る遊走の低下をもたらす、メタロプロテイナーゼ(metaloproteinase)活性の減少(Stuve、1996、Ann Neurol、40:853頁、Uhm、1999、Ann Neurol、46:319頁)、細胞内CTLA-4および細胞表面Fas分子を上方制御することによるアポトーシスの誘導(Hallal-Longo、2007、J Interferon Cytokine Res、27:865頁)、抗アポトーシスタンパク質の下方制御(Sharief、2001、J Neuroimmunol.、120:199頁、Sharief、2002、J Neuroimmunol.、129:224頁)、ならびにTreg機能の修復(De Andres、2007、J Neuroimmunol、182:204頁、Korporal、2008、Arch Neurol、65:1434頁、Sarasella、2008、FASEB J、22:3500頁、Chen、2012、J Neuroimmunol、242:39頁)が含まれる。
【0161】
したがって、本発明の一態様では、弱毒化IFN-βを、CD4+、CD8+、Treg、Th1、Th2およびTh17細胞を含めたすべてのT細胞を標的とする抗CD3抗体と付着させる。この包括的な手法はすべてのT細胞の完全網羅を確実にし、これは、これらすべての細胞種がMSの病因において役割が報告されており、IFN-βによって影響を受けるためである(Dhib-Jalbut、2010、Neurology、74:S17頁、Prinz、2010、Trends Mol Med、16:379頁、Graber、2010、Clin Neurol Neurosurg、112:58頁およびLoma、2011、Curr Neuropharmacol、9:409頁)。本発明の融合タンパク質構築物内に取り込ませ得るCD3抗体の例をTable 8(表9)に記載する。
【0163】
あるいは、弱毒化IFN-β-抗CD4融合タンパク質構築物は、より制限された手法を提示するが、Th1およびTh17細胞ならびにCD4
+CD25
+Treg細胞を含めた自己反応性および調節性のT細胞を標的とする。さらに、樹状細胞(DC)の部分組もCD4を発現し、DCに対するIFN-βの直接治療効果が開示されている(Shinohara、2008、Immunity、29:68頁、Dann、2012、Nat NeuroSci、15:98頁)。本発明の融合タンパク質構築物内に取り込ませ得るCD4抗体の例をTable 9(表10)に記載する。
【0165】
MSにおけるCD8
+T細胞の役割(Friese、2005、Brain、128:1747頁、Friese、2009、Ann Neurol、66:132頁)、およびMS患者におけるCD8+T細胞に対するIFN-βの直接効果(Zafranskaya、2006、Immunol、121:29頁)が報告されている。したがって、抗CD8抗体を用いて弱毒化IFN-βをCD8
+T細胞に直接向けることで、MS患者に臨床上の利点がもたらされ得る。CD8抗体の例をTable 10(表11)に記載する。
【0167】
また、活性T細胞がMSにおいて脱髄をもたらす自己反応性の主な駆動要因であると考えられているため、それだけには限定されないがCD25、CD38、CD44、CD69、CD71、CD83、CD86、CD96、HLA-DR、ICOSおよびPD-1を含めた活性T細胞のマーカーも、この手法の魅力的な標的を表す(Gandhi、2010、J Neuroimmunol、221:7頁、Boppana、2011、Mt Sinai J Med、78:207頁、Loma、2011、Curr Neuropharmacol、9:409頁)。これらの抗原のうちの任意のものを標的とする抗体を、弱毒化INFβと付着させることができる。本発明において使用することができる抗体の例には、BA120gを含めたCD71抗体(US 7736647号)およびWangら(Di Yi Jun Yi Da Xue Xue Bao (Academic journal of the first medical college of PLA)、22(5):409〜411頁、2002)中で言及されている様々な抗体が含まれる。CD83に対する抗体の例には、20B08、6G05、20D04、11G05、14C12、96G08および95F04が含まれる(US 7,700,740号)。CD86に対する抗体の例には、1G10H6D10が含まれる(US 6,071,519号)。HLA-DR抗体には、HD3、HD4、HD6、HD7、HD8およびHD10(US 7,262,278号)、DN1921およびDN1924(US2005/0208048号)が含まれる。これらの系統のうち、1つの魅力的な標的は、直近に活性化されたT細胞上で発現されるPD-1である場合がある。理想的には、以下にさらに詳述するJ110抗体などの非拮抗抗体を使用することができる。
【0168】
ICOSに対する抗体の例にはJMab(US 6,803,039号)およびJMab136(US2011/0243929号)が含まれる。
【0169】
これらの標的に対する抗体のさらなる例をTable 11(表12)およびTable 12(表13)に示す。
【0172】
本発明の別の実施形態では、IFN-βの弱毒化型を、T細胞の活性化および分化を駆動することによってMSの病因に寄与することが知られている、骨髄性細胞の細胞表面マーカーを標的とする抗体と融合させることができる。たとえば、汎骨髄マーカーCD33、CD115、または樹状細胞マーカーCD11cを標的とし得る。MS疾患の病因およびIFN-βに対する応答における骨髄性細胞の部分組のそれぞれの正確な貢献は論争中であるため、たとえばCD33またはCD115に対する抗体を使用した、幅広い標的化手法が好ましい場合がある(Prinz、2008、Immunity、28:675頁、Shinohara、2008、Immunity、29:68頁、Dann、2012、Nat NeuroSci、15:98頁)。本発明において使用することができるCD33に対する抗体には、My9-6(US 7,557,189号)、米国特許出願US2012/0082670号に記載の14個の抗体のうちの任意のもの、またはhuM195として知られる抗体(US5693761号)が含まれる。使用することができるCD115に対する抗体には、Ab1およびAb16(US 8,206,715号)またはCXIIG6(US2011/0178278号)が含まれる。本発明に従って使用することができるCD11c抗体の例はmab107である(US 7,998,738号、ATCC寄託番号PTA-11614)。あるいは、弱毒化IFN-βを、主にマクロファージ上に存在するCD14抗原に向けることができる。CD14抗体の例をTable 13(表14)に示す。
【0174】
さらに別の実施形態では、CD52発現細胞を標的とすることで、IFN-βがすべてのリンパ球、さらには、MSにおける自己反応性T細胞の増殖および分化を司っている主要なAPCである単球および末梢樹状細胞へと送達される(Buggins、2002、Blood、100:1715頁、Ratzinger、2003、Blood、101:1422頁)。この手法は、IFN-βの活性を、IFN-βによって直接影響を受けることが知られている主な細胞種に向け、MSにおけるその治療活性を促進する。本発明に従って使用することができるCD52抗体の例には、それだけには限定されないが、DIVHv5/DIVKv2(US 7,910,104号)、(US2012/0100152号)に開示されているCD52抗体のうちの任意のもの、またはCAMPATHが含まれる。
【0175】
上述の抗体標的化弱毒化IFNβ融合タンパク質構築物のうちの任意のものが、その共通の根底にある免疫学的病因が原因で多発性硬化症以外の他の炎症性および自己免疫疾患のコンテキストにおいて治療活性を有し得る。
【0176】
本明細書中において企図される自己免疫疾患には、とりわけ、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン病多発性硬化症、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および睾丸炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック病-皮膚炎、慢性疲労症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄、慢性炎症性多発性神経障害、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素病、クローン病、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、ヘルペス状皮膚炎、円板状ループス、本態性混合性クリオグロブリン血症、線維筋痛症、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン-バレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性(polyglancular)症候群、リウマチ性多発性筋炎、多発性筋炎および皮膚筋炎、嚢炎(pochitis)、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ(rheumatoid arrthritis)、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎ならびに白斑が含まれる。IFNαが治療上の利点を与えることが示されているため、ベーチェット病ならびに慢性ブドウ膜炎黄斑浮腫および他の種類のブドウ膜炎が特に興味深い(Deuter、Dev Ophthalmol.、51:90〜7頁、2012)。
【0177】
本開示によって企図される炎症性疾患状態の例には、それだけには限定されないが、傷害または疾患に冒されている組織を保護することが意図される特定の領域において発赤、腫脹、疼痛、および熱感の応答をもたらす疾患および障害が含まれる。本開示の方法を使用して処置することができる炎症性疾患には、それだけには限定されないが、ざ瘡、狭心症、関節炎、嚥下性肺炎、疾患、膿胸、胃腸炎、炎症、腸インフルエンザ、NEC、壊死性全腸炎、骨盤炎症性疾患、咽頭炎、PID、胸膜炎、ヒリヒリ痛む喉、発赤、潮紅、咽頭炎、胃インフルエンザおよび尿路感染症、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、慢性炎症性脱髄性多発性神経根筋障害、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、慢性炎症性脱髄性多発性神経根筋障害が含まれる。
【0178】
ヒトインターフェロン-β1の配列を以下に示す:(配列番号191)
* * * *
1 MSYNLLGFLQ RSSNFQCQKL LWQLNGRLEY CLKDRMNFDI PEEIKQLQQF 50
* * *
51 QKEDAALTIY EMLQNIFAIF RQDSSSTGWN ETIVENLLAN VYHQINHLKT 100
* ** * *
101 VLEEKLEKED FTRGKLMSSL HLKRYYGRIL HYLKAKEYSH CAWTIVRVEI 150
*
151 LRNFYFINRL TGYLRN 166
【0179】
上記付番スキーム(残基1〜166)を使用して、その活性を低下させるヒトIFNβ中の既知の突然変異(アスタリスクで示した位置のもの)には、Table 14(表15)に記載のものが含まれる。
【0181】
参考文献:
(1)Runkel, L.、Pfeffer, L.、Lewerenz, M.、Mogensen, K. (1998). Differences in Activity between α and β Type I Interferons Explored by Mutational Analysis. J. Biol. Chem.、273:8003〜8008頁
(2)Stewart, A. G.、Adair, J. R.、Catlin, G.、Hynes, C、Hall, J.、Davies, J.、Dawson, K.およびPorter, A. G. (1987). Chemical mutagenesis of human interferon-beta: construction, expression in E. coli, and biological activity of sodium bisulfite-induced mutations. DNA、6:119〜128頁。
(3)インハウスの結果
【0182】
本発明のさらに別の実施形態では、IFNはIFN-λであり(WO 2007/029041A2号)、これは、IFNαまたはINFβについてより完全に記載した応用のうちの任意のもので使用し得る。
【0183】
I型IFNは、癌細胞に対するI型IFN受容体の直接刺激に基づいて抗癌活性を有することができる。これは、多発性骨髄腫、黒色腫、B細胞リンパ腫、非小細胞肺癌、腎細胞癌、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病、卵巣癌、線維肉腫、子宮頸癌、膀胱癌、星細胞腫、膵癌などを含めた数々の種類の癌について示されている(Borden、Cancer Research、42:4948〜53頁、1982、Chawla-Sarkar、Clinical Cancer Research、7:1821〜31頁、2001、Morgensen、Int J. Cancer、28:575〜82頁、1981、Otsuka、British Journal of Haematology、103:518〜529頁、1998、Lindner、J of Interferon and Cytokine Research、17:681〜693頁、1997、Caraglia、Cell Death and Differentiation、6:773〜80頁、1999、Ma、World J Gastroenterol、11(10):1521〜8頁、2005)。当業者には、本発明が、腫瘍関連抗原に対する抗体を突然変異I型インターフェロンと組み合わせた結果、多くの側面を有しており、生じる融合タンパク質構築物を使用して、対応する腫瘍関連抗原を発現する様々なインターフェロン感受性癌の増殖を低下させ得ることが認識される。また、その有効性をさらに改善させるために、I型インターフェロンを他の薬剤と組み合わせることができることも理解される。
【0184】
また、I型インターフェロンは抗ウイルス特性も示すことができる。たとえば、IFNα2bは慢性C型肝炎感染症の処置のためにFDA認可されており、他のウイルス感染症の処置にも有用性を有し得る。米国および欧州の指針によればPeg化IFN-αは現在C型肝炎の標準治療レジメンの一部であるが、80%を超える患者において副作用をもたらし、その結果、しばしば処置の中断がもたらされる(Aman、2012、Calvaruso、2011)。本発明の一態様では、弱毒化突然変異を有するI型IFNを、ウイルス感染した細胞と結合する抗体に付着させる。上記言及した抗体によって認識させる抗原は、宿主細胞表面上に一過的に発現されるウイルスタンパク質であり得るか、または、ウイルス感染前よりも感染後でより高い程度まで細胞表面上に露出される、内在性の宿主細胞によって産生される抗原であり得る。抗体部分の標的として役割を果たすことができる例示的なウイルスタンパク質には、それだけには限定されないが、C型肝炎ウイルスエンベロープ糖タンパク質E1およびE1、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、ヘルペスウイルスのウイルスエンベロープ糖タンパク質B、C、D、E、G、H、I、J、K、L、M、UL32、およびエンベロープタンパク質UL49A、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープタンパク質の糖タンパク質(gp)120およびgp41、アデノウイルスの線維タンパク質のノブドメイン、水痘帯状疱疹ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gB、gC、gE、gH、gl、gK、gL)、エプスタイン-バーウイルスのウイルス糖タンパク質gp350およびウイルスタンパク質BMRF-2、ヒトサイトメガロウイルスUL16、パルボウイルスB19ウイルスカプシドタンパク質VP1-3、ヒトアストロウイルス構造タンパク質、たとえばVP26、VP29およびVP32、ノロウイルスの構造タンパク質VP1およびカプシドタンパク質VP2、ポリオウイルスのウイルスカプシドタンパク質VP0、VP1、VP2、VP3およびVP4、ライノウイルスのウイルスカプシドタンパク質VP1、VP2、VP3およびVP4、ならびにデングウイルスのウイルス粒子タンパク質カプシド(C)、前膜/膜(prM/M)およびエンベロープ(E)が含まれる。
【0185】
一実施形態では、IFN-α活性は、直接またはアネキシンVもしくはベータ2-糖タンパク質1などの中間体タンパク質を介して間接的に、細胞膜の内小葉のリン脂質構成成分であるホスファチジルセリン(PS)と結合する抗体を用いて標的化し得る。しかし、アポトーシスを受けている細胞、またはウイルスに感染した細胞は外膜上にPSを露出し、ここでこれは抗体から接近可能となる。PSは、癌細胞の表面(Reidl, L.ら、J Immunol.、14:3623頁、1991)、腫瘍中の血管内皮(Ran, S.ら、Cancer Res.、62:6132頁、2002、He, J.ら、Clin Cancer Res.、l5:6871頁、2009)、およびウイルス感染した細胞(Soares, M.ら、Nat Med.、14:1357頁、2008)上に露出されている。PSを間接的に(ベータ2糖タンパク質1を介して)標的化する抗体、バビツキシマブが記載されている。これは抗体依存性細胞毒性を媒介し、ヒト乳房およびリンパ腫異種移植およびラット膠芽細胞腫モデル、ならびにウイルス性疾患モデルを含めた、いくつかのin vivo癌モデルにおいて有効である(Ran, S.ら、Clin Cancer Res;11:1551頁、2005、He, J.ら、Clin Cancer Res.、15:6871頁、2009、Soares, M.ら、Nat Med.、14:1357頁、2008)。現在、これは肺癌処置のための治療用抗体として開発されている(DeRose, P.ら、Immunotherapy.、3:933頁、2011、Gerber, D.ら、Clin Cancer Res.、17:6888頁、2011)。代替抗体は抗PS抗体9D2からの可変領域に基づき得る(Cancer Res、2002年11月1日、62;6132頁)。PSを標的化するためのさらに別の代替方法は、抗体のFab部分をアネキシンVまたはベータ2-糖タンパク質1などの天然PS-結合タンパク質で置き換えることである。IFN-αの弱毒化型と融合した抗PS抗体(または直接もしくは間接的なPS結合タンパク質)は、IFN-αに関連する全身性の安全性問題を示さずに、IFN-α活性を、PSを発現するウイルス感染細胞に標的化する。また、肺癌細胞などの特定の腫瘍細胞もその細胞表面上にPSを発現するため、弱毒化IFNと付着したPSに対する抗体(または直接もしくは間接的なPS結合タンパク質)も特定の癌の処置において使用を有する場合がある。
【0186】
また、抗体標的化弱毒化IFNλも、ウイルス感染した細胞を標的化するためにIFNαとほぼ同じ様式で使用することができることを理解されたい(S. V. Kotenko、G. Gallagher、V. V. Baurinら、「IFN-λs mediate antiviral protection through a distinct class II cytokine receptor complex」、Nature Immunology、第4巻、第1号、69〜77頁、2003)。
【0187】
一実施形態では、II型IFN、すなわちINFγも、弱毒化し、それらを特定の細胞種に向ける抗体に付着させ得る。IFNγは癌細胞に対する抗増殖特性を有する(Kalvakolanu、Histol. Histopathol、15:523〜37頁、2000、Xu、Cancer Research、58:2832〜7頁、1998、Chawla-Sarkar、Apoptosis、8:237〜49頁、2003、Schiller、J Interferon Resarch、6:615〜25頁、1986)。Sharifiは、IFNγを腫瘍標的化抗体のC末端と融合させた融合タンパク質をどのように作製するかを記載している(Sharifi、Hybridoma and Hybridomics、21(6):421〜32頁、2002)。この参考文献中で、Sharifiは哺乳動物細胞中で抗体-IFNγ融合タンパク質をどのように生成するかを開示し、抗体およびIFNがどちらも機能的であったことを示した。あるいは、Landerによって記載されているIFNγの単鎖二量体型(J Mol Biol.、2000年5月26日; 299(1):169〜79頁)を融合タンパク質中で使用し得る。標的腫瘍細胞に対するIFNγの抗増殖性効果に加えて、これは乳癌細胞に対して特異的に別の効果も有し得る。IFNγは乳癌細胞に抗エストロゲン感度を復元することが示されているため(Mol Cancer Ther.、2010年5月; 9(5):1274〜1285頁)、乳癌抗原抗体と付着させた弱毒化IFNγは抗エストロゲン治療と組み合わせて治療上有用であり得る。突然変異を介してIFNγを弱毒化することによって、IFNγのより癌選択的な形態を生成し得る。IFNγ中の2つの弱毒化突然変異、すなわち、残基A23およびD24を欠失させたdes-(A23、D24)および残基N25およびG26を欠失させたdes-(N25、G26)がWaschutza (Eur J. Biochem.、256:303〜9頁、1998)によって記載されている。des-(A23、D24)突然変異体は、野生型IFNγと比較して約18倍低下したIFNγ受容体に対する親和性を有しており、野生型IFNγと比較して約100倍低下した抗ウイルス活性を有していた。des-(N25、G26)変異体は、野生型IFNγと比較して約140倍低下したIFNγ受容体に対する親和性を有しており、野生型IFNγと比較して約10倍低下した抗ウイルス活性を有していた。腫瘍細胞表面標的に対する抗体およびIFNγの弱毒化突然変異体を含む融合タンパク質の例には以下のものが含まれる:Sharifiによって記載されている7個のアミノ酸のリンカーを使用して、リツキシマブをこれらの弱毒化IFNγのうちの1つとの融合タンパク質として使用して、配列番号378(重鎖)および276(軽鎖))からなる融合タンパク質構築物「リツキシマブ-HC-L7-IFNγ(Δ[A23,D24])IgG1」を生成し得る。そのような融合タンパク質構築物は、B細胞リンパ腫などのCD20悪性腫瘍に対して強力な抗増殖活性を有すると予想される。細胞標的化抗体と融合させるために適切であり得るIFNγの他の弱毒化突然変異体、すなわち、S20I(約50×低下した親和性)、D21K(約100×低下した親和性)、A23Q(約2,500倍低下した結合)、A23V(約2,000倍低下した結合)およびD24A(約4倍低下した結合)が、Lundell (J Biol. Chem.、269(23):16159〜62頁、1994)によって記載されている。これらの弱毒化IFNγを抗CD38抗体と組み合わせた融合体として使用して、融合タンパク質構築物「X355/02-HC-L7-IFNγ(S20I)IgG1」(配列番号380(重鎖)および226(軽鎖)からなる)または「R10A2-HC-L7-IFNγ(D21K)IgG1」(配列番号382(重鎖)および270(軽鎖)からなる)を作製し得る。本発明のために活用し得るIFNγ中の他の弱毒化突然変異は、Fish (Drug Des Deliv.、1988年2月; 2(3):191〜206頁)によって記載されている。
【0188】
また、標的化した弱毒化IFNγを使用して、腎線維症、肝線維症および特発性肺線維症(IPF)を含めた病理的線維症によって特徴づけられる様々な適応症も処置し得る。IPFは、未知の原因の線維症によって特徴づけられ、主に高齢の成人において発生する、肺疾患の慢性の進行性の形態である。医学的な必要性にもかかわらず、有効な治療戦略の開発はわずかしか進行していない(O'Connell、2011、Adv Ther、28:986頁)。また、肺線維症は、薬物、粒子、微生物または放射線照射への曝露によっても誘導される場合がある。以下は、既知の薬剤によって誘導されたIPFおよび肺線維症の両方、ならびに潜在的には肝臓および腎臓を含めた他の種類の器官における線維症の処置に関する。
【0189】
線維芽細胞は肺の線維性疾患において主要な役割を果たし、その活性化はコラーゲン処分をもたらし、その結果、過剰な瘢痕および肺構造の破壊がもたらされる。それにもかかわらず、骨髄前駆体、単球、循環線維細胞、ならびに常在の間葉および上皮細胞などの内在細胞を含めていくつかの前駆細胞種が提案されているとはいえ、これらの病原性線維芽細胞の起源についてはわずかな情報しか存在していない(Stevens、2008、Proc Am Thorac Soc、5:783頁、King、2011、Lancet、378:1949頁)。
【0190】
末梢血からのCD14
+単球は線維芽細胞の前駆体である線維細胞へと分化することができ、このプロセスはインターフェロン-γ(IFN-γ)によって阻害される。単球に対するIFN-γの直接効果がin vitro分化研究にて実証され、線維性疾患を処置するための、IFN-γの弱毒化形態をCD14
+単球に標的化する戦略を支持している(Shao、2008、J Leukoc Biol、83:1323頁)。
【0191】
IFN-γが、線維芽細胞の増殖および活性化を阻害することができるという実験証拠が存在し(Rogliani、2008、Ther Adv Respir Dis、2:75頁)、この事実は、瘢痕および線維症を減らすために前臨床モデルにおいて活用が成功した。皮下投与したIFN-γの利点を研究する、IPF患者における臨床治験では、延命効果の一次エンドポイントに達することができなかった(O'Connell、2011、Adv Ther、28:986頁、King、2011)。現在の手法は、全体的な安全な全身性用量で利点を生じるために肺が十分なIFN-γ活性を達成し得るように、エアロゾル形態の吸入による組換えIFN-γの直接送達に焦点を合わせている(Diaz、2012、J Aerosol Med Pulm Drug Deliv、25:79頁)。
【0192】
IFN-γ活性を線維芽細胞に直接送達することは、この薬剤に対する臨床反応を増加させ、同時にその副作用を低下させる強力な方法となり得る。弱毒化IFN-γを、線維芽細胞特異的マーカーを標的とする抗体に融合させることで、この手法を容易にすることができる。線維芽細胞中で濃縮されているいくつかの線維芽細胞表面分子が存在する。これらには、たとえば、線維芽細胞特異的タンパク質(FSP1、Strutz、1995、J Cell Biol、130:393頁)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP、Park、1999、J Biol Chem、274:36505頁、Acharya、2006、Hum Pathol、37:352頁)、ならびに血小板由来成長因子受容体(PDGFR-αおよび-β、Trojanowska、2008、Rheumatology (Oxford)、47S5:2頁)が含まれる。これらの分子の発現はIPF患者から得た肺生検中で上昇しており、IPFまたはその病因における薬物標的として直接関連付けられている(Lawson、2005、Am J Respir Crit Care Med、171:899頁、Acharya、2006、Hum Pathol、37:352頁、Abdollahi、2005、J Exp Med、201:925頁)。FAPおよびPDGF受容体に対する抗体の例をTable 15(表16)およびTable 16(表17)に示す。
【0195】
肝線維症の前臨床モデルでは、PDGFR-βを標的とするリポソームによってIFN-γを線維芽細胞に相当し、肝線維症におけるコラーゲンの分泌を司っている肝臓星細胞に送達し、それによってIFN-γの抗線維性効果を増強させた(Li、2012、J Control Release、159:261頁)。これらのデータは、IPFおよび肝線維症を含めた線維性疾患においてIFN-γ活性を線維芽細胞に直接送達することによって得られる概念および潜在的な治療上の利点を支持しており、PDGFR-βがこの手法の標的として確認される。
【0196】
また、本発明は、IFNλ1(IL29)、IFNλ2(IL28A)、およびIFNλ3(IL28B)を含めたIII型IFNの弱毒化および抗体に基づく標的化も企図する(S. V. Kotenko、G. Gallagher、V. V. Baurinら、「IFN-λs mediate antiviral protection through a distinct class II cytokine receptor complex」、Nature Immunology、第4巻、第1号、69〜77頁、2003、P. Sheppard、W. Kindsvogel、W. Xu,ら、「IL-28, IL-29 and their class II cytokine receptor IL-28R」、Nature Immunology、第4巻、第1号、63〜68頁、2003)。これらのIFNは、IFNλR1鎖(IL28Rαとしても知られる)およびIL10R2鎖(IL10、IL22、およびIL26受容体複合体と共有[A. Lasfar、W. Abushahba、M. Balan、およびK. A. Cohen-Solal、「Interferon lambda: a new sword in cancer immunotherapy」、Clinical and Developmental Immunology、第2011巻、論文ID 349575、11頁、2011])からなる受容体を通じて作用する。IFNλRはほとんどの細胞種上で発現され、I型IFNと類似のシグナル伝達経路を媒介する。λIFNの抗ウイルス活性は、HBVおよびHCVを含めたいくつかのウイルスに対して実証されている(E. M. Coccia、M. Severa、E. Giacominiら、「Viral infection and toll-like receptor agonists induce a differential expression of type I and λ interferons in humans plasmacytoid and monocyte-derived dendritic cells」、European Journal of Immunology、第34巻、第3号、796〜805頁、2004、M. D. Robek、B. S. Boyd、およびF. V. Chisari、「Lambda interferon inhibits hepatitis B and C virus replication」、Journal of Virology、第79巻、第6号、3851〜3854頁、2005、N. Ank、H. West、C. Bartholdy、K. Eriksson、A. R. Thomsen、およびS. R. Paludan、「Lambda interferon (IFN-λ), a type III IFN, is induced by viruses and IFNs and displays potent antiviral activity against select virus infections in vivo」、Journal of Virology、第80巻、第9号、4501〜4509頁、2006、S. E. Doyle、H. Schreckhise、K. Khuu-Duongら、「Interleukin-29 uses a type 1 interferon-like program to promote antiviral responses in human hepatocytes」、Journal ofHepatology、第44巻、第4号、896〜906頁、2006、T. Marcello、A. Grakoui、G. Barba-Spaethら、「Interferons α and λ inhibit hepatitis C virus replication with distinct signal transduction and gene regulation kinetics」、Gastroenterology、第131巻、第6号、1887〜1898頁、2006)。C型肝炎を処置するためのIFNλを用いた臨床研究は有望である(E. L. Ramos、「Preclinical and clinical development of pegylated interferon-lambda 1 in chronic hepatitis C」、Journal of Interferon and Cytokine Research、第30巻、第8号、591〜595頁、2010)。本発明の一態様は、たとえばIFNαの弱毒化形態の標的化について上述した標的化抗体を使用して、IFNλの突然変異させた弱毒化された形態をウイルス感染した細胞に向けて標的化することである。また、IFNλの突然変異させた弱毒化された形態は、上記でIFNαについてより詳細に記載したように、癌細胞を標的化するためにも使用することができる。
【0197】
また、非IFNリガンドも本発明において企図され、突然変異によって弱毒化し、その後、抗体またはその断片によって特定の細胞種に標的化もし得る。抗炎症性サイトカインインターロイキン-10(IL-10)は自然および適応免疫応答中に中心的な役割を果たす。IL-10はホモ二量体を形成し、APC上に発現されたIL-10受容体複合体と結合し、MHCクラスIIの発現の低下ならびに炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの生成の低下をもたらし、それによってT細胞の発生および分化を阻害する。しかし、IL-10はB細胞を含めたいくつかの免疫細胞の増殖の誘導にも関連づけられている(Hofmann、2012、Clin Immunol、143:116頁)。
【0198】
IL-10の発現の低下は、乾癬、炎症性腸疾患および関節リウマチを含めたヒトおよびげっ歯類におけるいくつかの自己免疫障害に関連している。IL-10を欠くマウスは慢性全腸炎を発生し、これはIL-10の投与によって予防することができるが、これらの発見の臨床解釈は患者においていくつかの治験の失敗をもたらした。これらの失敗の1つの説明は、最大耐用全身投与でさえも局所的IL-10濃度が低すぎる可能性である(Herfarth、2002、Gut、50:146頁)。別の説明は、IL-10で処置したクローン病患者において実証されたように、B細胞に対するIL-10の免疫刺激効果およびその結果生じる炎症誘発性IFN-γの生成であり得る(Tilg、2002、Gut、50:191頁)。
【0199】
弱毒化IL-10を、APC特異的抗体、たとえばCD11c、またはCD33もしくはCD115などのより広く発現される骨髄マーカーによって樹状細胞を標的とする抗体と融合させることは、全身的に活性のある生物活性を減少させ、同時に、IL-10の標的とする局所的活性濃度を増加させる。さらに、実証されているB細胞による炎症誘発効果は減少または排除される。抗体-IL10融合タンパク質の生成は以前に記載されている(Schwager、Arthritis Res Ther.、11(5):R142頁、2009)。
【0200】
様々なモデルにおけるIL-10の抗線維性の役割の証拠が存在する。線維症の特徴は、線維芽細胞によって生成されるコラーゲンの過剰生成および堆積であり、これは瘢痕組織の形成をもたらす。IL-10はヒト線維芽細胞による細胞外基質の合成を直接阻害し(Reitamo、1994、J Clin Invest、94:2489頁)、ラット肝線維症モデルにおいて、TGF-βの下方制御によって抗線維性である(Shi、2006、World J Gastroenterol、12:2357頁、Zhang、2007、Hepatogastroenterology、54:2092頁)。IL-10の臨床的使用はその短い半減期によって妨害されており、PEG化型が有望な薬物動態学の改善および線維症の前臨床モデルにおける有効性を示している(Mattos、2012、J Control Release、162:84頁)。抗体と融合させることによってIL-10活性を標的化し、それを線維芽細胞に向けることは、肺および肝線維症を含めた線維性疾患において治療上の利点をもたらす場合がある。IFN-γの標的化の説明中に上述した、線維芽細胞活性化タンパク質および血小板由来成長因子受容体などの線維芽細胞特異的タンパク質に対する抗体は、弱毒化IL-10を線維芽細胞に直接送達することができる。
【0201】
組換えエリスロポエチン(EPO)は、しばしば癌患者において貧血を処置するために幅広く使用されている有効なホルモンである。これは、造血系の細胞によってだけでなく、様々な腫瘍型からの細胞を含めた非造血細胞上でも発現されているEPO受容体(EPOR)を介したシグナル伝達によって作用する。多くの研究が癌モデルにおけるEPOおよびEPO-R刺激の役割をin vitroおよびin vivoにて調査しており、いくつかの研究が、癌細胞に対して直接の、または腫瘍中の血管形成の増加を介した腫瘍成長に対する刺激効果を実証している(Jelkmann、2008、Crit Rev Oncol Hematol、67:39頁中に総説)。いくつかの臨床治験では、EPOを用いた処置は増加した腫瘍成長および減少した生存と関連付けられており、臨床的に実行可能な限り癌患者におけるEPOの曝露を制限および監視するという推奨および黒枠警告につながっている(Farrell、2004、The Oncologist、9:18頁、Jelkmann、2008、Crit Rev Oncol Hematol、67:39頁、Elliott、2012)。
【0202】
赤血球形成は、多能性幹細胞が密に制御された分化および増殖ステップを経る複数ステップのプロセスである。このプロセス中の中間体細胞種は赤血球コロニー形成単位(CFU-E)細胞であり、これは高レベルのEPORを発現し、生存のためにEPOに依存し、分化プロセスにおいてこの依存性を有する主な細胞種であると考えられる(Elliott、2008、Exp Hematol、36:1573頁)。
【0203】
特異的マーカーを使用してEPO活性をCFU-E細胞に標的化することは、赤血球形成を駆動し、ヘモグロビンレベルを増加させる能力を維持したままで、癌および他の非造血細胞に対するEPOの効果を実質的に低下させる。CFU-E細胞のゲノムワイド分析により、Rh関連糖タンパク質、たとえばCD241およびRh血液型系のメンバー、たとえばRCHE遺伝子の生成物を含めた、いくつかの潜在的な候補細胞マーカーが明らかとなっている(Terszowski、2005、Blood、105:1937頁)。
【0204】
CFU-E上で発現される表面マーカーおよび赤血球形成のいくつかの他の中間体のさらなる例には、CD117(c-kit)、CD71(トランスフェリン受容体)およびCD36(トロンボスポンジン受容体)が含まれるが(Elliott、2012、Biologies、6:163頁)、これらはすべて一般的な成長および増殖に関与しているため、これらのマーカーは特定の癌細胞中でも過剰発現されており、したがって、癌患者においてEPO活性を標的化するためにはあまり魅力的でない標的を表すが、この手法は、これらの標的を発現しない腫瘍を有する患者には有益であり得る。CD117抗体には、SR-1(US 7,915,391号)ならびに抗体DSM ACC2007、2008および2009(US 5,545,533号)が含まれる。弱毒化EPOを標的化するための他の抗原には、CD34、CD45RO、CD45RA、CD115、CD168、CD235、CD236、CD237、CD238、CD239およびCD240が含まれる。
【0205】
また、EPO活性を抗体と融合させることは、治療活性の程度も大きく増加させる。組換えEPOの半減期はヒトにおいて約5時間であり、これは、弱毒化EPOを抗体と融合させた場合に数週間まで増加される可能性が高いであろう。この手法は、典型的には週に複数回、しばしば静脈内注射によって投薬する、貧血の処置を受ける患者に有益である可能性がある。重要なことに、EPOに対する治療反応は、濃度レベルではなく、EPO濃度が維持される時間の長さによって主に制御されることが示されている(Elliott、2008、Exp Hematol、36:1573頁)。
【0206】
別の例は、T細胞媒介性免疫応答の制御および免疫寛容の誘導の重要な因子である、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)である。TGF-βノックアウトマウスは多巣性炎症および自己免疫障害から死亡し、免疫抑制効果が示唆される(Shull、1992、Nature、359:693頁)。しかし、TGF-βは、細胞外基質の制御において顕著な役割を果たすこと、ならびに線維芽細胞の遊走、増殖および活性化を促進することによって、線維性疾患を誘導することも示されている(Rosenbloom、2010、Ann Intern Med、152:159頁、Wynn、2011、J Exp Med、208:1339頁、King、2011、Lancet、378:1949頁)。
【0207】
TGF-βの存在下では、CD4
+CD25
-無処置のT細胞は、in vivoで抗原特異的T細胞の拡大を抑制し、ネズミ喘息モデルにおいてアレルギー性病因を予防することができるTreg細胞へと変換され得る(Chen、2003、J Exp Med、198:1875頁)。また、炎症反応は急性肝疾患の移行ならびに慢性線維症および硬変への永続化にも寄与し、TGF-βは、Treg分化に対するその効果によってこれらの応答を弱めることを助け得る(Dooley、2012、Cell Tissue Res、347:245頁)。同様に、炎症性腸疾患において無処置のT細胞に向けられたTGF-βは、炎症の制御および抑制をもたらすことができる(Feagins、2010、Inflamm Bowel Dis、16:1963頁)。
【0208】
TGF-βをCD4
+T細胞に特異的に標的化することは、その線維性誘発特性を最小限にする一方でTGF-βの抗炎症性潜在性を高める場合があり、自己免疫障害と闘うための新規戦略を提供する可能性がある。あるいは、IFNβ標的化の議論について上述したように、TGF-βは、T細胞活性化マーカーを使用してもっぱら(soley)活性T細胞に標的化することができる。これらの系統のうち、1つの魅力的な標的は、たとえば、直近に活性化されたCD4 T細胞上で発現されるPD-1である場合がある。理想的には、以下にさらに詳述するJ110抗体などの非拮抗抗体を使用することができる。
【0209】
別の例は、無処置のCD4+T細胞のTh2細胞への分化を誘導するサイトカインである、インターロイキン-4(IL-4)である。活性化されると、Th2細胞はより多くのIL-4を生成し、その結果、IL-4はTh2媒介性免疫応答の主な駆動要因であるとみなされている。自己免疫および他の炎症性疾患に寄与するTh1/Th2不均衡の概念(Th1に有利)は1980年代に最初に仮定され(Kidd、2003、Altern Med Rev、8:223頁中に総説)、実際、乾癬(Ghoreschi、2007、Clin Dermatol、25:574頁)、特定の種類の炎症性腸疾患、特にクローン病(Sanchez-Munoz、2008、World J Gastroenterol、14:4280頁)、または喘息の重篤対緩和な形態(Hansbro、2011、Br J Pharmacol、163:81頁)における疾患の駆動要因としてのTh1/Th17細胞の役割が文書化されている。
【0210】
感染性疾患の前臨床モデルでは、Th1から離れてTh2へと逸脱する免疫応答およびIL-4によるマクロファージの活性化が免疫病理学から保護し(Hunig、2010、Med Microbiol Immunol、199:239頁)、乾癬患者のIL-4治療はTh2分化の誘導および臨床スコアの改善をもたらした(Ghoreschi、2003、Nat Med、9:40頁)。
【0211】
Th2に向かう迂回は、特定の種類の疾患において治療上の利点を提供し得る。CD4
+T細胞へのIL-4の送達がこれを達成することができるか、またはIL-4活性をマクロファージに標的化して免疫病理学から保護することができる(Ghoreschi、2007、Clin Dermatol、25:574頁、Hunig、2010、Med Microbiol Immunol、199:239頁)。
【0212】
本発明の抗体-弱毒化IL-4融合タンパク質構築物の設計において活用し得るIL-4中の弱毒化突然変異には、Table 17(表18)に列挙したものが含まれる。
【0214】
この表中のIL-4突然変異体、ならびにその結合特性および生物活性はWang Y、Shen BおよびSebald W、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1997年3月4日; 94(5):1657〜62頁によって記載されている。
【0215】
さらに別の例では、インターロイキン-6(IL-6)も、弱毒化し、特定の細胞種に標的化し得る。腫瘍が抗腫瘍免疫を逃れることができる機構は、Treg細胞を腫瘍微小環境へと動員し、それにより腫瘍部位での寛容をもたらすことによる。IL-6は、TregとTh17細胞との間のバランスの制御に関与しているサイトカインであり、これはTreg分化を阻害する一方でTh17細胞の発生を誘導する(Kimura、2010、Eur J Immunol、40:1830頁)。
【0216】
IL-6は、無処置のCD4
+T細胞の最終分化をTh17系統に向けて歪めること、またはTh17細胞のリプログラミングによって、癌のコンテキストにおいてTreg細胞による腫瘍関連の免疫抑制を逆転させ、それによって免疫系が腫瘍を制御することを可能にする潜在性を有する。
【0217】
この戦略は膵癌のネズミモデルにおいて成功が証明されており、IL-6を発現する腫瘍細胞を注射したマウスにて腫瘍成長の顕著な遅延および生存の増強が実証され、IL-6を発現しない腫瘍を保有するマウスと比較して、腫瘍微小環境中におけるTh17細胞の増加が伴っていた(Gnerlich、2010、J Immunol、185:4063頁)。
【0218】
T細胞の養子移入は固形(Rosenberg、2011、Clin Cancer Res、17:4550頁)および血液(Kochenderfer、2012、Blood、119:2709頁)悪性腫瘍の有効な処置である。様々なプレコンディショニングレジメンを使用した養子T細胞移入を用いた5つの異なる臨床治験の分析により、Treg枯渇の深度および持続期間が臨床反応速度と相関していることが明らかとなり、これは抗腫瘍応答を制御する残留Tregの重要な役割を強調している(Yao、2012、Blood、119:5688頁)。マウスでは、生存Tregと養子移入治療の有効性との間の直接のつながりがこれらの臨床的観察を強力に支持している(Baba、2012、Blood、120:2417頁)。
【0219】
抗腫瘍活性の制御におけるTregの重要性は、抗IL-2受容体抗体ダクリツマブを用いたTregの枯渇後の膠芽細胞腫患者におけるペプチドワクチン接種に対する液性応答の顕著な増加によってさらに実証されている(Sampson、2012、PloS ONE、7:e31046)。
【0220】
まとめると、公開データは、腫瘍に対する免疫応答の阻害におけるTregの役割を強力に支持している。Th17分化を刺激し、Treg形成を減少させるためにIL-6活性をCD4
+細胞に向けることによって、増強された抗腫瘍応答が予想される。これらは、ワクチン接種戦略を伴ってまたは伴わずに達成し得る。弱毒化IL-6をT細胞抗原(たとえばCD4を標的とするもの)に対する抗体または活性T細胞抗原(PD-1など)と融合させることで、標的細胞への直接の包括的な送達が提供されるであろう。
【0221】
IL-6の弱毒化突然変異体にはTable 18(表19)に列挙したものが含まれる。
【0223】
これらのIL-6突然変異体およびその特性はKalai Mら、Blood.、1997年2月15日;89(4):1319〜1333頁によって記載されている。
【0224】
別の例は、肝細胞のマイトジェンとして発見された肝細胞成長因子(HGF)である(Nakamura、2010、Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci、86:588頁中に総説)。肝細胞成長因子は、細胞の成長および運動性を制御し、血管形成ならびに多くの器官中で組織の再生および修復において中心的な役割を果たす多面発現サイトカインである。
【0225】
HGFは、上皮および内皮細胞上で発現されるその受容体METを介して作用する。HGFとMETとの結合はいくつかの細胞内リン酸化およびシグナル伝達事象をもたらし、遊走、増殖および形態形成を含めた様々な生物学的応答がもたらされる。胚形成に必須であるHGFの、成体での主な機能は組織修復である(Nakamura、2010、Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci、86:588頁)。
【0226】
HGFは、TGF-βシグナル伝達とのその干渉によって上皮細胞の運命を変更し、上皮間葉転換(EMT)を低下させ、また、線維芽細胞形成のプロセスを拮抗することが示されている(Shukla、2009、Am J Respir Cell Mol Biol、40:643頁)。器官傷害の後、TGF-βはHGF産生線維芽細胞のコラーゲン産生筋線維芽細胞への変換を駆動し、他方で、HGFはたちかわって筋線維芽細胞によるTGF-β産生を阻害する(Mizuno、2004、Am J Physiol Renal Physiol、286:F134頁)。MET受容体を活性化する外来性HGFまたは模倣体は、組織傷害によって課されるこの不均衡を回復することによって作用し、したがって、損傷した組織および線維性疾患を処置するための有望な薬物候補とみなされる(Nakamura、2010、Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci、86:588頁)。
【0227】
HGFは肝損傷および肝炎のモデルにおいて最初に研究され(Roos、1992、Endocrinology、131:2540頁、Ishiki、1992、Hepatology、16:1227頁)、続いて、傷害および線維症の肺、胃腸管系、腎臓および心血管モデルを含めた、多くのさらなる損傷した器官において治療上の利点が実証されている(Nakamura、2011、J Gastroenterol Hepatol、26:188頁)。
【0228】
線維症のin vivoモデル系では、HGFは、ブレオマイシンに曝されたネズミ肺(Yaekashiwa、1997、Am J Respir Crit Care Med、156:1937頁、Mizuno、2005、FASEB J、19:580頁)、マウスの閉塞性腎症モデル(Yang、2003、Am J Physiol Renal Physiol、284:F349頁)およびラットの肝線維症モデルラット(Matsuda、1997、Hepatology、26:81頁)に予防的または治療的に投与した場合に、線維性変化の進行を予防し、コラーゲン蓄積を低下させる。また、HGFは心筋症ハムスターにおける線維症も予防する(Nakamura、2005、Am J Physiol Heart Circ Physiol、288:H2131頁)。
【0229】
治療剤としてのHGFの制限には、局所的に有効なレベルに達するために超生理的な全身濃度を要するその短い半減期、および癌におけるその受容体METの役割が含まれる。METは上皮細胞において発癌経路を活性化することができる。これらの制限はどちらも、抗体-HGF融合タンパク質構築物を作製し、それを再生または線維性組織に標的化することによって克服し得る。この戦略は、主に関連する細胞種に向けられた、はるかにより長い半減期を有する治療剤を生じるであろう。
【0230】
臨床治験では、肝不全、慢性下肢潰瘍、肢虚血、末梢動脈疾患、心筋梗塞後の心血管病および神経系疾患におけるHGFまたはHGF模倣体の治療的潜在性および再生活性が調査されている(de Andrade、2009、Curr Opin Rheumatol、21:649頁、Nakamura、2011、J Gastroenterol Hepatol、26:188頁、Madonna、2012、Thromb Haemost、107:656頁)。
【0231】
典型的には感染症またはアルコール乱用によって引き起こされる慢性肝損傷の結果である肝線維症は、他の器官における線維症と同様、(筋)線維芽細胞によって生成されるコラーゲンを含めた細胞外基質の過剰な蓄積によって特徴づけられている。損傷した肝細胞は炎症性サイトカインを放出し、生じる炎症性環境が肝臓星細胞(HSC)の線維芽細胞への形質転換を刺激し、コラーゲンが生成される。細胞外基質タンパク質の蓄積は瘢痕組織をもたらし、これは肝硬変をもたらす(Bataller、2005、J Clin Invest、115:209頁)。in vitroでの肝細胞およびHSCに対するHGFの直接効果の証拠が存在する(Kwiecinski、2012、PloS One、6:e24568、Namada、2012、J Cell Physiol、DOI 10.1002/jcp.24143)。HGFを肝細胞またはHSCに特異的に標的化することは、HGFの所望しない全身性効果を排除しつつ、肝線維症患者において治療上の利点をもたらし得る。
【0232】
肝細胞の可能な膜タンパク質には、たとえば、肝臓特異的薬物送達の標的として使用されるASGR1、アシアロ糖タンパク質のサブユニット(Stockert、1995、Physiol Rev、75:591頁)、またはこの受容体の他のサブユニット、ASGR2が含まれる。線維芽細胞特異的タンパク質(FSP1)の発現は肝臓傷害後に増加し、線維性肝臓組織において線維芽細胞または炎症性マクロファージを標的化するために使用し得る(Osterreicher、2011、Proc Natl Acad Sci USA、108:308頁)。
【0233】
肺線維症患者では、肺構造の損失は肺胞上皮細胞の損失、活性線維芽細胞の持続性増殖、および細胞外基質の大規模な変更によって特徴づけられている(Panganiban、2011、Acta Pharmacol Sin、32:12頁)。
【0234】
肺線維症を処置するために、HGF活性は、それを弱毒化し(突然変異による)、RTI40/TiαまたはHTI56などのこれらの細胞上の特定の細胞表面タンパク質に対する抗体に付着させることによって、肺胞上皮細胞に送達し得る(McElroy、2004、Eur Respir J、24:664頁)。
【0235】
VEGF受容体を含めた内皮細胞特異的マーカー(Stuttfeld、2009、IUBMB Life、61:915頁)を使用して、後肢虚血を含めたいくつかの病理的適応症のための内皮細胞層増強のために血管を標的化し得る。VEGF受容体抗体の例をTable 19(表20)に示す。
【0237】
また、シグナル伝達リガンドの多くの他の例が当分野で知られており、上記の非限定的な例示的な実施形態に記載のように、これらを弱毒化して特定の標的細胞上の抗原と結合する抗体(またはその断片)に付着させてよく、それによって、リガンドは、抗原陰性細胞上でそのシグナルを生成するよりもはるかに高い度合でこれらの標的細胞上でその生物学的シグナルを生成する。腫瘍増殖に対して直接負の効果を有するリガンドの例には、TNFα、TRAIL、Fasリガンド、IFNβ、IFNγまたはIFNλが含まれ、これらは、INFαについて上述した様々な腫瘍細胞表面抗原に標的化することができる。
【0238】
本発明の態様の多くでは、様々なリガンド中の特定の突然変異が明確に言及されている。しかし、シグナル伝達リガンド中の他の突然変異を同定するための当分野で周知の方法が存在し、タンパク質の突然変異誘発の数々の方法が当分野で知られている。そのような方法には、ランダム突然変異誘発、たとえば、タンパク質をUV照射または突然変異原性化学薬品に曝し、所望の特徴を有する突然変異体を選択することが含まれる。また、ランダム突然変異誘発は、オリゴヌクレオチド合成においてドープヌクレオチドを使用すること、またはヌクレオチドの誤取込みを増強させ、それによって突然変異体を作製する条件下でPCR反応を実施することによっても行い得る。別の技法は、DNAに特定の変化を導入する部位特異的突然変異誘発である。部位特異的突然変異誘発の一例は、DNAポリメラーゼを用いたプライマー伸長反応にて突然変異原性オリゴヌクレオチドを使用することである。この方法は、点突然変異、またはDNAの小さなストレッチの欠失もしくは挿入が特異的部位内に導入されることを可能にする。部位特異的手法はアラニン走査突然変異誘発などの技法で系統的に行ってよく、残基を系統的にアラニンへと突然変異させ、ペプチドの活性に対するその効果を決定する。ペプチドのそれぞれのアミノ酸残基をこの様式で分析して、ペプチドの重要な領域を決定する。
【0239】
別の例は、特定の特徴について多数の突然変異体のスクリーニングを可能にするコンビナトリアル突然変異誘発である。この技法では、数個の選択された位置またはDNAの短いストレッチを網羅的に改変して突然変異タンパク質の包括的なライブラリーを獲得し得る。この技法の1つの手法は、DNAの一部分を切除し、所望の突然変異部位でのすべての可能な組合せを含有する配列のライブラリーで置き換えることである。セグメントは、酵素活性部位、または構造的有意性もしくは免疫原性特性を有する配列であり得る。しかし、タンパク質の特定部分の構造的または機能的有意性を評価するために、セグメントを遺伝子内にランダムに挿入してもよい。
【0240】
効力を決定するために突然変異リガンドをスクリーニングする方法には、リガンドと標的との間の複合体の存在についてアッセイすることが含まれる。アッセイの一形態は競合的結合アッセイを含む。そのような競合的結合アッセイでは、標的を典型的には標識する。遊離標的がすべての推定上の複合体から分離され、遊離(すなわち複合体形成していない)標識の量が試験する薬剤と標的分子との結合の測度である。また、遊離標的ではなく、結合した標的の量を測定してもよい。また、標的ではなく化合物を標識し、試験する薬物の存在または非存在下で標的と結合する化合物の量を測定することも可能である。
【0241】
細胞遊離アッセイの一例は結合アッセイである。機能に直接取り組んではいないが、特定の様式で標的分子と結合するモジュレーターの能力は、関連する生物学的効果の強力な証拠である。たとえば、分子と標的との結合は、立体的、アロステリックまたは電荷-電荷の相互作用が原因で、それ自体として阻害性であり得る。標的は、溶液中で遊離、支持体に固定、細胞中または細胞表面上で発現されていてよい。標的または化合物のどちらかを標識してよく、それによって結合の決定が可能となる。通常、標的は標識した種であり、標識することが結合を妨げるまたは増強する可能性を減らす。薬剤のうちの1つを標識した競合的結合様式を行うことができ、遊離標識対結合標識の量を測定して結合に対する効果を決定し得る。
【0242】
アッセイ次第では、培養が必要な場合がある。細胞はいくつかの異なる生理的アッセイのうちの任意のものを使用して調査する。あるいは、たとえばタンパク質発現、mRNA発現(全細胞またはポリA RNAのディファレンシャルディスプレイが含まれる)などの分子分析を行い得る。タンパク質変異体をスクリーニングするために使用することができるin vitro生物学的アッセイの非限定的な例を以下の実施例中に示し、また、アポトーシスアッセイ、遊走アッセイ、侵襲アッセイ、カスパーゼ活性化アッセイ、サイトカイン産生アッセイなども含まれる。
【0243】
また、本発明は本発明のポリペプチドを含む組成物も提供する。これらの組成物は、それだけには限定されないが、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存料、アジュバントなどの任意の適切な補助剤のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。薬学的に許容される補助剤が好ましい。そのような無菌的溶液の比限定的な例およびその調製方法は、それだけには限定されないが、Gennaro編、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co. (Easton, Pa.) 1990など、当分野で周知である。抗体組成物の投与様式、溶解度および/または安定性に適した薬学的に許容される担体は、当分野で周知のように、または本明細書中に記載のように、ルーチン的に選択することができる。
【0244】
本組成物において有用な製薬賦形剤および添加剤には、それだけには限定されないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、および炭水化物(たとえば、単糖、二糖、三糖、四糖、およびオリゴ糖を含めた糖、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導糖、ならびに多糖または糖ポリマー)が含まれ、これらは単独でまたは組み合わせて存在することができ、単独でまたは組み合わせて1〜99.99重量または体積%を構成する。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)などの血清アルブミン、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。緩衝能力でも機能することができる代表的なアミノ酸には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが含まれる。1つの好ましいアミノ酸はヒスチジンである。2つ目の好ましいアミノ酸はアルギニンである。
【0245】
本発明における使用に適した炭水化物賦形剤には、たとえば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖、およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが含まれる。本発明で使用するための好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、およびラフィノースである。
【0246】
抗体組成物には緩衝剤またはpH調整剤も含めることができる。典型的には、緩衝剤は有機酸または塩基から調製された塩である。代表的な緩衝剤には、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、もしくはフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、塩酸トロメタミン、またはリン酸緩衝液が含まれる。本組成物中で使用するための好ましい緩衝剤はクエン酸塩などの有機酸塩である。
【0247】
さらに、本発明の組成物には、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(たとえば2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香味料、抗微生物剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(たとえば「TWEEN(登録商標)20」および「TWEEN(登録商標)80」などのポリソルベート)、脂質(たとえば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(たとえばコレステロール)、ならびにキレート化剤(たとえばEDTA)等のポリマー賦形剤/添加剤を含めることができる。
【0248】
本発明による抗体組成物における使用に適した、これらおよびさらなる既知の製薬賦形剤および/または添加剤は、たとえば、その開示が全体で本明細書中に参考として組み込まれている「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」、第19版、Williams & Williams、(1995)および「Physician's Desk Reference」、第52版、Medical Economics、Montvale, N.J.、(1998)中に列挙されているように、当分野で知られている。好ましい担体または賦形剤材料は、炭水化物(たとえば糖類およびアルジトール)ならびに緩衝剤(たとえばクエン酸塩)またはポリマー剤である。
【0249】
本明細書全体にわたって、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形は、記述した要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の包含を暗示するが、任意の他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の排除を暗示しないことを理解されたい。
【0250】
本明細書中で言及されているすべての刊行物は、本明細書中に参照により組み込まれている。本明細書中に含められている文書、行為、材料、装置、物品などのすべての記述は、本発明のためにコンテキストを提供する目的のみのためである。これらの事項のうちの任意のものまたはすべてが、従来技術の土台の一部を形成する、または本出願のそれぞれのクレームの優先日より前にオーストラリアもしくは他の場所で存在していた本発明の関連分野における公の一般知識であるという承認として受け取られるべきでない。
【0251】
内容により明らかにそうでないと指示される場合以外は、本明細書で使用する単数形「a」、「an」および「the」には複数形の態様が含まれることに注意しなければならない。したがって、たとえば、「a」への言及には単一および2つ以上が含まれ、「an」への言及には単一および2つ以上が含まれ、「the」への言及には単一および2つ以上が含まれるなどである。
【0252】
本発明を一般的に記載したが、本発明は、例示として提供し、限定することを意図しない以下の実施例を参照することでより容易に理解される。
【実施例】
【0253】
(発明の実施例)
(抗体-IFNα融合タンパク質構築物の産生)
(発現ベクター:)
リツキシマブ(Andersonら、米国特許第5,843,439号、1998年12月1日)およびパリビズマブ(Johnson、米国特許第5,824,307号、1998年10月20日)可変領域をコードするDNAを、公開されたアミノ酸配列に従って設計された18(重鎖)および16(軽鎖)のDNAオリゴヌクレオチドから、PCRベースの遺伝子アセンブリによって作製した。G005抗CD38およびnBT062抗CD138モノクローナル抗体の可変領域をコードするDNAを、DeWeersら(米国特許第7829673号)およびDaelkenら(WO2009/080832)による刊行物からそれぞれ引き出し、稀なコドンおよび好ましくない制限部位を排除する配列修飾の後、Integrated DNA Technology,Inc.(Coralville、IA)による合成に供した。
【0254】
抗ヒトHLA(HB95)、抗ヒトPD-1(J110)および抗黄熱病ウイルス(2D12)モノクローナル抗体の可変領域をコードするDNA配列を、それぞれ、ハイブリドーマW6/32(ATCC HB-95、Barnstableら(1978年)、Cell 14:9〜20頁)、J110(International Patent Organism Depositary FERM-8392、Iwaiら(2002年)、Immunol.Lett、83:215〜220頁)および2D12(ATCC CRL-1689、Schlesingerら(1983年)、Virol.125:8〜17頁)からの、SMART RACE cDNA Amplification kit(Clontech、Mountain View、CA)およびMouse Ig-Primer Sets(Novagen/EMD Chemicals、San Diego、CA)を用いたクローニングの後に決定した。新規に単離された抗CD38抗体のこの配列決定およびサブクローニングは、以下の章に記載される。
【0255】
ヒトインターフェロン-α2b(IFNα2b;配列番号3のアミノ酸配列)をコードするDNAを、HEK細胞系のゲノムDNAから、PCRによって単離した。ヒトインターフェロン-β1(IFNβl、配列番号91)、ヒトインターロイキン-4(IL-4、配列番号119)およびヒトインターロイキン-6(IL-6、配列番号123)の配列を、それぞれNP_002167、NP_000580およびNP_000591などのタンパク質配列から設計し、そしてIntegrated DNA Technology,Inc.(Coralville、IA)またはGenScript USA Inc.(Piscataway、NJ)によって当業者に周知の方法を用いて、合成した。サイトカイン配列の変更、例えばリンカーの付加または点変異を、当技術分野で周知のオーバーラップエクステンションPCR技術を用いて、サイトカイン遺伝子に導入した。
【0256】
次いで、サイトカイン-コード遺伝子断片を、ヒトIgG1重鎖完全または部分定常領域(Swissprot受託番号PO1857など)、ヒトIgG4重鎖定常領域(Swissprot受託番号P01861など、置換S228Pを組み込む)、ヒトIgカッパ定常領域(Swissprot受託番号P01834)またはヒトIgラムダ定常領域(Swissprot受託番号P0CG05)のいずれかを、裸のIgとして、またはサイトカイン遺伝子融合形態として含む、pTT5発現ベクター(Durocher、Nucleic Acids Research 30巻、2号、El〜9頁、2002年)内に、当業者に周知のクローニング方法に従ってオーバーラップエクステンションPCR技術および制限部位を用いてクローニングした。
(IgGおよびIgGインターフェロン融合タンパク質構築物の産生:)
【0257】
IgGおよびIgG-サイトカイン融合タンパク質構築物をコードするDNAプラスミドを、Plasmid Plus Maxi kit(Qiagen、Valencia、CA)を用いて調製し、次に、HEK293-6E細胞(CNRC、Montreal、Canada)内にトランスフェクトして、市販のトランスフェクション試薬およびOptiMEM培地(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて、0.1% Pluronic F-68、4mML-グルタミン(Invitrogen、Carlsbad、CA)を補ったF17合成培地中で増殖させた。5% CO
2を補ったインキュベーター内で穏やかに振とうしながら6日間にわたって発現させた後、培養培地を単離し、そしてタンパク質G-アガロースビーズ(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いたIgGアフィニティ精製に供した。次いで、精製したIgGおよびIgG-サイトカイン融合タンパク質構築物を濃縮し、Amicon Ultra遠心分離濾過デバイス(Millipore、Billerica、MA)を用いてリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)pH7.4に緩衝液交換して、その後、NanoDrop 2000分光光度計(Thermo Scientific、Waltham、MA)を用いたタンパク質濃度決定を行った。
【0258】
異なる抗体-サイトカイン融合タンパク質構築物は、異なる収率でHEKシステムにおいて発現されるが、そのうちのいくつか、特にIFNαに基づくいくつかは、少なくとも100mg/L培地で産生され、高い可溶性を示し、そしてサイズ排除クロマトグラフィーによって決定されるように、凝集しなかった。
【0259】
抗体および抗体-リガンド構築物融合タンパク質構築物のアミノ酸配列を、以下に示す。サイトカインが重鎖または軽鎖のC末端に融合した抗体-サイトカイン融合タンパク質構築物については、以下の命名が慣用的に使用された:
[mabの名称]-[重鎖(「HC」)または軽鎖(「LC」)への連結]-[リンカー名称]-[リガンド名称][(突然変異)][アイソタイプ]。
【0260】
したがって、例えば、構築物「リツキシマブ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1」は、抗体リツキシマブであり、(A145G点変異を有する)IFNα2bを有し、IgG1重鎖のC末端に連結し、リンカーL6が介在する。
【0261】
この実験において使用されるリンカーは、以下であった:
L0:リンカーなし(サイトカインのN末端による抗体鎖のC末端の直接融合)
L6:SGGGGS(配列番号132)
L16:SGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号133)
(抗体-IFNα融合タンパク質構築物の抗原-標的化活性の測定のための方法)
【0262】
「オンターゲット(Daudi)アッセイ」:このアッセイを、IFNが融合する抗体に対応する抗原を提示する細胞上のIFNおよび抗体-IFN融合タンパク質構築物の抗増殖活性を定量化するために使用し、そして、本文中で規定される抗原-感受性指数(ASI)を計算するためのアッセイの一部として使用し得る。Daudi細胞は、CD20およびCD38の両方を、細胞表面関連抗原として発現する。細胞の生存能力を、Promega(Madison、Wisconsin)製の試薬CellTiter-Glo(登録商標)、カタログ番号G7570を用いて測定した。これは、ATPの定量化に基づく、培養中の細胞の生存能力を決定する蛍光ベースのアッセイである。シグナル強度は、マイクロタイタープレートウェル中の生存細胞の数に比例する。アッセイの詳細は、以下の通りである:
【0263】
Daudi細胞(ATCC、Manassas、VAから得られた)を、T75フラスコ(TPP、Trasadingen、Switzerland、カタログ番号90076)内で培養し、10%ウシ胎仔血清(FBS;Hyclone、Logan、UTカタログ番号SH30070.03)を補ったRPMI 1640(Mediatech, Inc.、Manassas、VA、カタログ番号10-040-CV)中で、1mlあたりの生存細胞が0.5×10
5と0.8×10
5との間の好ましい密度に調製した。細胞を、400gにて5分間の遠心分離によって回収し、上清を捨て、そしてこの細胞ペレットを、RPMI 1640+10% FBS中に再懸濁した。次いで、細胞を計数し、そして密度を、RPMI 1640+10% FBS中で3.0×10
5細胞/mlに調整した。次いで、50μlの細胞懸濁液を、96ウェル丸底組織培養プレート(本明細書中以後、「実験プレート」)(TPP、カタログ番号92067)の各ウェル中に分注した。別個の、滅菌した96ウェルプレート(本明細書中以後、「希釈プレート」;Costar、Corning、NY、カタログ番号3879)において、試験物品を、二連でRPMI 1640+10% FBS中に連続希釈した。次いで、50μl/ウェルを、希釈プレートから実験プレートに移した。次いで、実験プレートを、37℃にて5% CO
2を用いて4日間にわたってインキュベートした。
【0264】
製造業者供給のアッセイ緩衝液とアッセイ基質との混合物(本明細書中以後、「CellTiterGlo試薬」、製造業者の指示に従って混合)を、実験プレートに100μl/ウェルで添加した。このプレートを、2分間振とうした。次いで、100μl/ウェルを、実験プレートから96ウェル平底白色不透明プレート(本明細書中以後、「アッセイプレート」;BDBiosciences、Franklin Lakes、NJカタログ番号353296)に移した。次いで、アッセイプレートの内容物を、暗所にて15分間にわたり、室温で安定化させた。このプレートを、Victor 3V Multilabel Counter(Perkin Elmer、Waltham、MA、モデル番号1420-041)にて、ルミノメトリチャネルで読み取り、蛍光を測定した。結果を、「相対蛍光単位(RLU)」として示した。
【0265】
データを、Prism 5(Graphpad、SanDiego、CA)を使用し、非線形回帰および曲線の中央点(EC50)を決定するための3パラメータ曲線当てはめを用いて分析した。各試験物品について、遊離のIFNα2bの効力(またはIFNα2bに関する既知の効力を有する何らかの他のIFN形態)を、EC50の比として計算した。
【0266】
当業者は、細胞生存能力を測定するための一般的に使用される多くの他のアッセイが存在し、やはり使用可能であることを、理解する。
【0267】
「オンターゲット(ARP)アッセイ」(時々、本明細書中で「標的化アッセイ」とも呼ばれる):多発性骨髄腫細胞系ARP-1は、University of Arkansas Medical Center(Little Rock、AK)のMyeloma Instituteの学長であるBart Barlogie MD、PhDからの頂き物であった。このことは、HardinJ.ら、(Interleukin-6 prevents dexamethasone-induced myeloma cell death.Blood;84:3063、1994年)において記載される。ARP-1細胞(CD38
+)を、CD38を標的する抗体-IFN融合タンパク質構築物を試験するために用いた。培養およびアッセイ条件は、以下の他は、上で概略したDaudiベースのアッセイと同じであった:ARP-1を、4.0×10
5〜6.0×10
5細胞/mlの密度まで培養した。ARP-1濃度を、アッセイ前に、1.0×10
4細胞/mlに調整した。
(抗体-IFNα融合タンパク質構築物の非抗原-標的化活性を測定するための方法)
【0268】
「オフターゲットアッセイ」(本明細書中で時々、「非標的化」アッセイとも呼ばれる):PBL Interferon Source(Piscataway、NJ、カタログ番号51100)からのiLiteアッセイを、ヒトIgGブロック工程を加えて、ほぼ製造業者が記載するように行った。iLite細胞系は、製造業者によって、「MHCクラスII抗原、詳細にはヒトリンパ球抗原(HLA-DR)の細胞表面における発現によって特徴付けられる、市販の前単球ヒト細胞系に由来する安定的にトランスフェクトされた細胞系」と記載される。この細胞系は、安定的にトランスフェクトされたルシフェラーゼ遺伝子を含み、その発現は、インターフェロン応答エレメント(IRE)によって駆動され、これは、蛍光アウトプットに基づいてインターフェロン活性が定量化されることを可能にする。製造業者の供給するiLiteプレート(本明細書中以後「アッセイプレート」)および希釈剤を、-80℃の冷凍庫から取り出し、室温と等しくした。次いで、ウェルあたり50μlの希釈剤を、アッセイプレートに添加した。製造業者供給のレポーター細胞のバイアルを、-80℃の冷凍庫から取り出し、37℃の水浴中で融解した。次いで、25μlの細胞のアリコートを、アッセイプレートの各ウェルに分配した。次に、RPMI 1640+10% FBS(Sigma Chemicals、St.Louis、MO;カタログ番号14506)中に希釈した12.5μlの8mg/mlヒトIgGを、ウェル毎に添加した。この内容物を混合し、37℃にて15分間インキュベートした。別個の「希釈プレート」において、試験物品を、RPMI 1640+10% FBS中に二連で連続希釈した。次いで、12.5μlの試験物品を、希釈プレートからアッセイプレートに移した。次いで、このアッセイプレートを、37℃にて、5%C0
2を用いて17時間にわたりインキュベートした。製造業者供給のアッセイ緩衝液および基質を、-80℃の冷凍庫から取り出し、2時間にわたって室温と等しくした。製造業者供給のアッセイ緩衝液を、製造業者供給の基質バイアルに加え、製造業者の指示に従って十分に混合して、「蛍光溶液」を作製した。次いで、100μlの蛍光溶液を、アッセイプレートの各ウェルに添加した。このプレートを、2分間にわたって振とうした。次いで、このプレートを、室温で5分間暗所にてインキュベートし、最終的に、Victor 3V Multilabel Counterにおいて、ルミノメトリチャネルにて読み取り、蛍光を測定して、RLUとして示した。このデータを、「オンターゲット(Daudi)アッセイ」について上述したようにGraphpad Prism 5によって分析した。iLteアッセイにおいて抗CD38抗体-IFN融合タンパク質構築物を試験するために、製造業者供給の希釈剤に、2mg/mlヒトIgGおよび0.5mg/ml抗CD38抗体(抗体-IFN融合タンパク質構築物として試験されるものと同じ抗体クローン、抗CD38抗体-IFN融合タンパク質構築物のiLite細胞上に発現したCD38への何らかの結合をブロックするため)を補った。
(結果:抗体-IFNα融合タンパク質構築物の抗原特異性)
【0269】
図6は、iLite細胞系における活性としての、遊離のIFNα2b(配列番号3;図における「IFNα」)ならびに2つの異なる抗体(リツキシマブおよびパリビズマブ、アイソタイプ対照抗体)の重鎖のC末端に融合したIFNα2bのインターフェロン活性を示す。この細胞系は、これらの抗体のいずれの抗原をも提示せず、したがって、このアッセイは、抗体-抗原-ベースの標的化の非存在下での種々のIFNα2b-含有タンパク質の効力を明らかにする。このアッセイの詳細は、「抗体-IFNα融合タンパク質構築物の非抗原-標的化活性を測定するための方法」の表題の下で上述され、本明細書中以後、「オフターゲットアッセイ」と略す。「リツキシマブ-HC-L6-IFNα IgG1」は、CD20-標的化キメラ抗体リツキシマブをいい、ここで、軽鎖(配列番号276)は改変されていないが、IgG1クラス重鎖(配列番号277)は、そのC末端に結合した6アミノ酸リンカー配列(「L6」;SGGGGS、配列番号132)を有し、その後に、IFNα2b(配列番号3)についての配列が続く;この重鎖-リンカー-IFNα配列は、配列番号280として示される。「アイソタイプ-HC-L6-IFNα IgG1」は、RSV-標的化ヒト化抗体パリビズマブをいい、ここで、軽鎖(配列番号290)は改変されていないが、IgG1クラス重鎖(配列番号291)は、そのC末端に結合した6アミノ酸リンカー配列(「L6」;SGGGGS、配列番号132)を有し、その後に、IFNα2b(配列番号3)についての配列が続く;この重鎖-リンカー-IFNα2b配列は、配列番号294として示される。このアッセイにおいて、遊離のIFNα2bは、1.9pMのインターフェロン応答エレメント(IRE)を介して遺伝子発現を活性化させるためのEC
50を示した。IFNα2bをリツキシマブに結合させることにより、その効力に3.1分の1(5.9/1.9=3.1)の低減があった。同様に、効力の穏やかな低減が、IFNα2bがパリビズマブに連結した場合に観察された。さらに、この研究において使用される細胞系は、これらの抗体のいずれかに対応する抗原をその細胞表面上に有さず、IgGのIFNα2bのN末端への結合が、その非抗原-標的化IFN活性において穏やかな(3〜4分の1の)低減を引き起こすことを実証した。このことは、他(例えば、米国特許第7,456,257号)によって報告されていることと一致している。単独での(インターフェロンへの融合なしの)パリビズマブもリツキシマブも、このアッセイにおいて何ら活性を示さなかった(データは示さず)。
【0270】
抗体-IFNα2b融合タンパク質構築物がその細胞表面上に対応する抗原を提示する細胞における、遊離のIFNα2bに関する活性を増大させたか否かを決定するために、リツキシマブのCD20抗原を提示するがパリビズマブに対応するRSV Fタンパク質抗原を提示しないDaudi細胞上のその効果を、試験した。この場合において使用されるアッセイは、「抗体-IFNα融合タンパク質構築物の抗原-標的化活性を測定するための方法」として、または単純に「オンターゲット(Daudi)アッセイ」と上で記載され、試験物質のDaudi細胞の生存能力に対する効果を測定した。これらの細胞により、リツキシマブ-IFNα2b融合タンパク質構築物(リツキシマブ-HC-L6-IFNα IgG1)は、遊離のIFNα2bよりも3.25倍(1.3/0.4=3.25)強力であった(
図7)。言い換えると、リツキシマブのIFNα2bへの結合は、抗原-ネガティブ細胞に対する僅かに低減(3.1分の1)した活性をもたらし(
図6)、抗原-ポジティブ細胞に対する僅かに(3.25倍)増大した(
図7)。全体で、したがって、抗体結合は、抗原特異性指数(ASI)(この実験において、抗原-ポジティブ細胞における遊離のIFNα2bに関する増大した効力の倍数×抗原-ネガティブ細胞における遊離のIFNα2bに関する低減した効力の倍数(3.1×3.25)の10倍として規定される)を増大した。実験の反復を、14のASIとして測定した(Table 20(表21)、行2に示される)。EC50(用量応答曲線の数学的中央点)を、ここで示される計算における効力の尺度として使用した。言い換えると、化合物Aが、化合物Bの10分の1の低さであるEC50を示す場合、10倍高い効力を有するといえた。
【0271】
図8に示される結果は、抗体-抗原反応性に依存する抗体ベースの標的化と矛盾しない:リツキシマブ-IFNα融合タンパク質構築物(リツキシマブ-HC-L6-IFNα-IgG1)は、パリビズマブ-IFNα融合タンパク質構築物(アイソタイプ-HC-L6-IFNα-IgG1)(Daudi細胞上に提示されない抗原)よりもCD20
+Daudi細胞の生存能力を低減することにおいて12倍(2.2/0.18=12)効力があった。
【0272】
その抗体への連結の結果として起こるIFNα活性における穏やかな低減は、ヒト対象においてこの構築物のIFNα成分の毒性を予防するために十分ではない場合がある。したがって、その活性および毒性を低減するために、種々の突然変異が、IFNα2bに導入された。例えば、IFNα2bの5つの異なる突然変異バージョンが作製され、そしてそれぞれの場合において、リツキシマブの重鎖のC末端に、6アミノ酸リンカーL6(配列SGGGGS(配列番号132)を有する)を介して連結された。これらの構築物を、リツキシマブ-野生型IFN融合タンパク質構築物、リツキシマブ-HC-L6-IFNα IgG1(
図6〜8において示される実験においても使用された)と比較した。5つの突然変異バージョンは、R144A、A145G、R33A+YNS、R33AおよびR144A+YNSであった。これらのバリアントの配列を、以下に示す。他のIFN突然変異体による以前の性質決定に基づくI型インターフェロン受容体に対する予測される低減されたアフィニティの程度、ならびにインターフェロン活性における予測される弱毒化の量は、上のTable 6(表7)および7(表8)に示される。
【0273】
図9、10およびTable 20(表21)は、抗原-ネガティブ(すなわち、CD20-ネガティブ)細胞上の、これらのリツキシマブ-弱毒化IFNα2b融合タンパク質構築物のそれぞれについての低減されたインターフェロン活性の程度を、遊離の、野生型IFNα2bと比較して示す。リツキシマブ-IFNα2b融合タンパク質構築物(配列番号282(重鎖)および276(軽鎖)からなる)のR144A突然変異体は、386分の1に低減されたインターフェロン活性(2200/5.7=386)を示した。A145GおよびR33A+YNSバージョン(それぞれ配列番号276の軽鎖と合わせられるそれぞれ配列番号284および286の重鎖からなる)は、491分の1(2800/5.7=491)および1,071分の1(6100/5.7=1,071)に低減された活性を、それぞれ示した。
図10は、R144A+YNS融合タンパク質構築物(配列番号288(重鎖)および276(軽鎖)からなる)についての、IFN突然変異を欠くリツキシマブ(Rituxumab)融合タンパク質構築物(リツキシマブ-HC-L6-IFNα IgG1)に対して303分の1(1700/5.6=1,071)に低減されたインターフェロン活性の程度を示す;リツキシマブ-HC-L6-IFNα IgG1は、抗原ネガティブ細胞に対して遊離の野生型IFNα2bの3.8分の1の効力であり(
図9からのデータ;22/5.7=3.8)、このことは、融合タンパク質構築物のR144A+YNSバージョンは、遊離の野生型IFNαの1,150分の1の低さの効力であった(303×3.8=1,150)ことを意味する。融合タンパク質構築物のR33Aバージョン(配列番号436(重鎖)および276(軽鎖)からなる)は、非標的化アッセイにおいて検出不能な活性を示す程度に、高度に弱毒化されていた。
【0274】
【表21】
【0275】
驚くべきことに、これらの高度に弱毒化したリツキシマブ(rituxumab)-突然変異体IFNα2b融合タンパク質構築物のインターフェロン活性の量が抗原-ポジティブ細胞(Daudi、CD20
+)上で測定される場合、一般的に、リツキシマブ-IFNα2b融合タンパク質構築物の野生型IFNα2bバージョンと比較して非常に僅かな弱毒化しか存在しない(
図11〜12)ので、したがって、突然変異したインターフェロンは、「オンターゲット」細胞上のIFN受容体を活性化する能力を保持するが、他方で、「オフターゲット」細胞上の受容体を活性化する能力は多いに低減されていた。例えば、構築物のR33A+YNSバージョンは、抗原-ポジティブ(Daudi)細胞において、リツキシマブ-IFNα2b野生型構築物の2.2分の1(0.74/0.33=2.2)活性であるだけであった。このことは、抗原-ネガティブ細胞において277分の1(6100/22=277;
図9)に低減した活性とは対照的であった。リツキシマブ-IFNα2b融合タンパク質構築物に関して、IFNα2bにおける突然変異は、抗原-ポジティブ細胞よりも抗原-ネガティブ細胞において、実質的により大きな活性の弱毒化を引き起こした。結果として、リツキシマブ-HC-L6-IFNα2b(R33A+YNS)IgG1融合タンパク質構築物は、リツキシマブ-HC-L6-IFNα2b IgG1(10〜14倍)または遊離のIFNα2b(定義によれば、1倍)と比較して、実質的により大きな抗原特異性指数(ASI、1,700倍)を示した。このことは、インビボにおけるそのオフターゲット効果は、実質的に低減されることを示唆する。
【0276】
IFNα2b部分に突然変異を有する他のリツキシマブ-IFNα2b構築物もまた、抗原-ネガティブ細胞におけるその効力の低減(
図9および10)と比較して、抗原-ポジティブ細胞において驚くほど小さな活性の低減を示した(
図11および12)。以下で議論する融合タンパク質構築物のR33Aバージョンを除き、弱毒化する突然変異は、インターフェロン活性において、遊離の野生型IFNα2bの抗原-ネガティブ細胞と比較して384〜1,160分の1の低減を生じたが、抗原-ポジティブ細胞における野生型IFNα2bの0.23〜1.2倍の効力を示した。抗体-抗原標的化の非存在下で検出不能なIFN活性しか有さないR33A突然変異融合タンパク質構築物は、なお、抗体-標的化の存在下で、有意な活性を示した;融合タンパク質構築物のR33Aバージョンの効力は、オンターゲットアッセイにおいて、この弱毒化突然変異を欠く同じ融合タンパク質構築物の1,620分の1の低さであった(340/0.21=1,620倍の弱毒化)。このことは、抗体ベースの標的化の非存在下での同じ突然変異によって生じる少なくとも100,000倍の弱毒化とは、極めて対照的であった(
図10)。これらの結果を、Table 20(表21)にまとめる。
【0277】
融合タンパク質構築物のIFNα成分における、抗原-ネガティブ細胞におけるその活性を抗原-ポジティブ細胞と比較して実質的に低減する、突然変異の能力における劇的な相違が、他の抗原を標的化する他の融合タンパク質構築物に拡張されるか否かを決定するために、多発性骨髄腫抗原CD38(配列番号131)を標的化する抗体を、IFNαの野生型および弱毒化形態の両方に融合し、性質決定した。これらの実験の幾つかを、抗体G005(De Weersら(米国特許第7829673号))を用いて実施した;このヒト抗体についての重鎖および軽鎖の配列を、それぞれ配列番号135および134として示す。
【0278】
加えて、CD38に対するいくつかの新規なヒトおよびラット抗体を、以下で記載するように産生した。
(新規なCD38抗体の開発)
(発現のためのCD38構築物のフォーマット)
【0279】
ヒトおよびカニクイザルCD38タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)を、それぞれ、開裂可能なN末端リーダー配列、Avitag(商標)、ポリヒスチジンタグおよびトロンビン開裂部位を含むようにフォーマットし、それぞれ、タンパク質配列番号127および128を得た。これらを、DNA配列に返し翻訳し、改めて、当業者に公知の方法により、合成オリゴヌクレオチドの集合によって合成した。遺伝子合成に続き、この遺伝子を、ベクターpTT5(Durocher、Nucleic Acids Research 30巻、2号、E1〜9頁、2002年)内にサブクローニングして、これらのタンパク質のHEK293E細胞(Durocher、前出)における一過性の発現を介して可溶性分泌形態を産生するための構築物を、得た。
(抗体発現のためのベクターの構築)
【0280】
重鎖および軽鎖可変領域配列を、ヒトIgG1重鎖定常領域(例えば、Swissprot受託番号PO1857)、ヒトIgG4重鎖定常領域(例えば、S228Pの置換を組み込んだSwissprot受託番号P01861)、ヒトカッパ定常領域(Swissprot受託番号P01834)またはヒトラムダ領域(Swissprot受託番号P0CG05)のいずれかを含むベクターpTT5のバリアント内にサブクローニングし、完全長抗体鎖を得た。
(HEK293-6E細胞における構築物の一過性発現)
【0281】
HEK293-6E細胞を、完全細胞増殖培地(1LのF17培地(Invitrogen(商標))、9mLのPluronic F68(Invitrogen(商標))、2mMグルタミン含有20%(w/v)Tryptone NI(Organotechnie(登録商標))および50μ1/100mL培養物のゲネチシン(50mg/mL、Invitrogen(商標)))中で培養した。トランスフェクションの前日に、細胞を、遠心分離によって回収し、新鮮な培地(ゲネチシンなし)中に再懸濁させた。翌日、DNAを、培養物に滴下した市販のトランスフェクション試薬およびDNAトランスフェクション混合物と混合した。この培養物を、一晩37℃にて、5% CO
2を用いて120rpmにて、ゲネチシンなしでインキュベートした。翌日、12.5mLのTryptoneを、500mLの培養物あたり250μlのゲネチシンと共に加えた。この培養物を、37℃、5% CO
2および120rpmにてインキュベートした。7日間後、上清を、遠心分離によって回収し、精製に備えた。
(抗体の発現および精製)
【0282】
HEK293-6E細胞(上述の通り)における重鎖および軽鎖の一過性共発現は、抗体を産生し、これをその後、プロテインAクロマトグラフィーによって精製した。簡潔にいうと、これらのトランスフェクションに由来する上清を、HiTrap Protein Aカラム(5mL、GE Healthcare)上にロードする前に、pH7.4に調整した。このカラムを、50mLの1×PBS(pH7.4)で洗浄した。溶出を、0.1Mクエン酸pH2.5を用いて実施した。溶出した抗体を、Zeba Desaltingカラム(Pierce)を用いて1×PBS(pH7.4)中に脱塩した。この抗体を、SDS-PAGEを用いて分析した。この抗体の濃度を、BCAアッセイキット(Pierce)を用いて決定した。
(組織培養上清からのヒスチジンタグ化タンパク質の精製)
【0283】
固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用し、組織培養上清からヒトおよびカニクイザルのCD38細胞外ドメイン(ED)タンパク質を精製した。簡潔にいうと、タンパク質上清を、結合緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、0.5MNaCl、30mMイミダゾール、pH7.4)中に希釈し、その後、HisTrap(商標)FFカラム(1mL、GE Healthcare)上にロードした。このカラムを、5mLの結合緩衝液(pH7.4)で洗浄し、そして、20mMリン酸ナトリウム、0.5MNaCl、500mMイミダゾール、pH7.4を用いて、溶出を実施した。溶出したタンパク質を脱塩し、そして緩衝液を、Amicon Ultra-15遠心分離フィルターユニットをUltracel-10膜(Millipore)と共に用いて1×PBS(pH7.4)中に緩衝液交換した。このタンパク質の280nm(A
280)における吸光度を、Nanodrop分光光度計を用いて評価し、そしてこの読み取りを、予測される消衰係数を用いて補正して、タンパク質濃度を決定した。
(ファージディスプレイのための抗原のビオチン化)
【0284】
ヒトおよびカニクイザルのCD38 EDのAvitag(商標)モチーフを、製造業者の指示に従ってビオチン化した(Avidity LLC、Aurora、CO)。過剰な未コンジュゲートのビオチンを、7KD分子量カットオフ(MWCO)Zebaスピンカラム(Thermo Scientific、Logan、UT)を用いて製造業者の指示に従って1×PBS中に脱塩することにより、ビオチン化タンパク質から除去した。CD38 EDタンパク質の首尾よいビオチン化を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウェスタンブロッティングの組み合わせを用いて確認した。ウェスタンブロットを、ストレプトアビジン-HRP(BD Biosciences、SanDiego、CA)を用いてプローブ検出し、TMB(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を用いて発色させた。各抗原について、モノマーのビオチン化CD38 EDを、検出した。
(ファージディスプレイによる抗CD38抗体の産生)
【0285】
ヒトおよびカニクイザルのCD38 EDの両方に結合するFAbを、約2.5×10
11の個々のヒトFAb断片を含むナイーブのファージミドライブラリーから単離した。ファージ抗体断片ライブラリーを産生する方法は、「Phage display:A Practical Approach」(ClacksonおよびLowman編;Oxford UniversityPress、Oxford、UK)および「Antibody Phage Display Methods and Protocols」(O'BrienおよびAitken編;Humana Press Inc、NJ 07512)において記載される。簡潔にいうと、抗体重鎖および軽鎖可変領域を、ドナーサンプル由来のRNAに基づいて増幅した。次いで、抗体重鎖および軽鎖可変領域を、ファージミドベクター内に挿入し、ファージコートタンパク質に融合した抗体断片のライブラリーを作製した。本明細書中で使用した抗体ライブラリーは、Fab様式で抗体断片を発現した高密度のナイーブファージミドライブラリーであった。
【0286】
抗CD38 FAbsを、2回のパニング「キャンペーン」(すなわち、異なる試薬またはパニング条件による異なるファージディスプレイ実験)を通してファージディスプレイライブラリーから単離した。この方法が従った一般的プロトコールは、Marksら(Marks、J.D.& Bradbury,A.、2004年、Methods Mol Biol、248、161〜76頁)により概説される。
【0287】
各ファージディスプレイキャンペーンは、3回のパニングを含んだ。各回について、約2.5×10
12のファージ粒子を、ブロッキング緩衝液(PBS中4%のスキムミルク、pH7.4)と1:1で混合することによってブロックし、室温で1時間インキュベートした。次いで、ブロックしたファージライブラリーを、同じビオチン化タグモチーフを含む50〜200pmolの無関係の抗原と一緒の45分間にわたるインキュベーションを通して、パニングにおいて使用される何らかのビオチン化タンパク質タグモチーフ結合剤について事前に枯渇させた。タグ-結合剤およびストレプトアビジン-結合剤を、過剰な(75〜300μL)ストレプトアビジンコートしたDynabeads(Invitrogen)の添加によって捕捉し、これを、ライブラリーについて記載したようにブロックした。このビーズ(これらに結合したタグ-結合剤およびストレプトアビジン-結合剤を含む)を、磁石を用いて固定化し、そして捨てた。
【0288】
ライブラリーパニングを、ブロックしそして事前に枯渇させたライブラリーを、50〜200pmolのビオチン化組換え体CD38 EDと2mLのマイクロ遠心分離管内で混合させ、室温で2時間回転させることによって実施した。次いで、100μLのストレプトアビジンカップリングしたDynabeads(Invitrogen、Carlsbad、CA)を添加し、そしてこの混合物を、さらに15分間、前に記載したようにインキュベートした。非特異的結合したファージを、一連の洗浄を用いて除去した。各洗浄は、溶液から、磁気ラックを用いて管壁上にビーズ複合体を押し出して、上清をアスピレーションし、次いで、このビーズを新鮮な洗浄緩衝液内に再懸濁することを含んだ。これを、PBS洗浄緩衝液(0.5%スキムミルク含有1×PBS)またはPBS-T洗浄緩衝液(0.05% TWEEN-20[Sigma-Aldrich、St.Louis、MO]および0.5%スキムミルクを補足した1×PBSのいずれかを用いて、多数回繰り返した。洗浄プロセス後に結合したままのファージを、20倍過剰の非ビオチン化CD38 EDと共に室温で1時間、または0.5mLの100mMトリエチルアミン(TEA)(Merck Chemicals、Darmstadt)と共に室温で20分間のいずれかのインキュベーションによって、ビオチン化-CD38 ED-ビーズ複合体から溶出した。TEA溶出した「アウトプット」ファージを、0.25mLの1M Tris-HCl pH7.4(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)の添加によって、中性化した。
【0289】
パニングの初回および2回目の最後に、アウトプットするファージを、指数関数的増殖TG1 大腸菌(E.coli)(2×酵母-tryptone(2YT)増殖培地)の10mLの培地に添加し、振とうなしで37℃での30分間のインキュベーション、次いで、250rpmの振とうでさらに30分間のインキュベーションの間に、細胞を感染させた。次いで、ファージディスプレイアウトプットをコードするファージミドを、標準的プロトコール(Marks、J.D.& Bradbury,A.、2004年、Methods Mol Biol、248、161〜76頁)に従って、ファージ粒子として回収した。3回目のパニングの最後に、TG1細胞を、アウトプットファージで感染させ、2YTアガー(2%グルコースおよび100μg/mLカルベニシリンで補足)上に、別個な大腸菌コロニーを産生するために充分な希釈でプレート培養した。これらのコロニーを、1mL液体培養物に接種するために使用し、スクリーニング実験における使用のためのFAb断片の発現を可能にした。
(CD38結合のためのFAbの、ELISAベースのスクリーニング)
【0290】
それぞれ個々の大腸菌コロニーを使用し、CD38 ED結合活性についてスクリーニングされ得るFAbを発現した。コロニーを、1mL開始培養物(100μg/mLカルベニシリンおよび2%グルコースを補足)中に、96ウェル深底プレート(Costar)内で接種し、350rpm(Innova R44 shaker;1インチ軌道)で振とうしながら37℃にて一晩インキュベートした。これらの開始培地を、1mL発現培養物(100μg/mLカルベニシリンを補足した2YT)中に1:100に希釈し、0.5〜0.8の光学密度(600nm)まで増殖した。FAb発現を、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することによって誘導し、1mMの終濃度とした。培養物を、25℃にて16時間にわたってインキュベートした。
【0291】
細胞を遠心分離(2,000g、10分間)によって回収し、そしてリゾチーム抽出を行うことによって、FAbサンプルを調製した。この細胞ペレットを、200μLの溶解緩衝液(160μg/mLのリゾチーム、10μg/mL RNase A、5μg/mL DNaseおよび完全プロテアーゼインヒビター(Roche、Nutley、NJ))中に再懸濁し、400rpmにて21℃で30分間振とうした。さらなる100μlの溶解緩衝液の添加後、反応物をさらに30分間、前に述べたようにインキュベートした。清澄な溶解物を、3,000gにて10分間の遠心分離後に単離し、そして4℃にて必要となるまで保存した。
【0292】
ファージディスプレイバイオパニングに由来するヒトCD38 ED-結合剤についての酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってスクリーニングするために、ヒトCD38細胞外ドメイン(ED)(HEK293-6E細胞において産生し、そして上述のようにビオチン化した)を、ストレプトアビジンコートしたELISAプレート上に(Nunc)1μg/mLで捕捉した。次いで、プレートを洗浄し、個々のFAbサンプル(上述のように調製した)を、ELISAプレート上の個々のウェルに加えた。FAbを、室温で1時間にわたって捕捉したCD38 EDに結合させ、次いで、PBS-T(0.1%Tween(登録商標)20で補った1×PBS)で3回洗浄した。CD38 EDに結合するFAbを、抗V5-HRPコンジュゲート抗体(Invitrogen、Carlsbad、CA)と一緒の室温にて30分間にわたるインキュベーションによって検出し、FAb重鎖のC末端に融合したV5タグを検出した。プレートを洗浄し、未結合の抗体を除去して、アッセイシグナルを50μLの3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(Sigma-Adrich、St.Louis、MO)と一緒のインキュベーションにより可視化し、そして50μLの1M HClでクエンチした。アッセイシグナルを、A450nmにて、マイクロプレートリーダー(BMG Labtech)を用いて読み取った。結果を、生のA450nm値として表し、ここで、平均アッセイバックグラウンドの2倍高い任意のシグナルを、「ポジティブ」と規定した。
【0293】
後のアッセイにおいて、カニクイザルCD38 EDとのFAb交差反応性を、ビオチン化カニクイザルCD38 EDをストレプトアビジンコートしたELISAプレート上にコートし、上述のように進めることによって評価した。ヒトおよびカニクイザルのCD38 EDの両方と交差反応性であるFAbをコードするプラスミドを単離し、そして配列決定した。ヒトおよびカニクイザルCD38 EDに対する結合についてスクリーニングした約1,000のFAbのうち、6つの遺伝的に独特のFAbを、同定した。Table 21(表22)は、得られたFAb配列データを要約する。これらの抗体のいくつかの可変領域を、
図13に示す。
【0294】
【表22】
【0295】
全てのFAbを、pTT5ベクター(上述)内へのクローニングによりIgG1様式に変換し、HEK293-6E細胞において発現させ、得られたIgGを、上述のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。
(ヒトCD38ポジティブ細胞系RPMI-8226に対するIgGの結合の評価)
【0296】
抗体に由来するファージの、モデルヒトCD38ポジティブ骨髄腫細胞系RPMI-8226(Health Protection Agency Culture Collections、Porton Down、Salisbury、SP4 0JG、UKから得られた)に結合させる能力を、フローサイトメトリーベースのアッセイで試験した。簡潔にいうと、生存RPMI-8226細胞(2×10
5、トリパンブルー排除によって判定)を、100μlのFACS緩衝液中(PBSおよび1%ウシ胎仔血清、FCS)中の種々の濃度の各抗体またはヒトIgG
1アイソタイプ対照抗体調製物(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と共に、96ウェルプレート内で20分間にわたって氷上、暗所にてインキュベートした。細胞を、FACS緩衝液で2回洗浄した後、20分間、ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的、フルオロセインイソチオシアネートにコンジュゲート、FITC;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を含む100μlのFACS緩衝液中でインキュベートした。FACS緩衝液での洗浄後、細胞を、FACS緩衝液中に再懸濁し、EV、側方散乱およびFL-1ゲーティングを用いたFACS Canto(BD Biosciences、SanDiego、CA)上のフローサイトメトリーにより、抗体結合について分析した。結果を、タンパク質濃度に対してプロットされた平均蛍光強度(MFI)として表す。
(遺伝子免疫による抗CD38抗体の産生)
【0297】
ヒトCD38 EDに対するモノクローナル抗体を、遺伝子免疫によって、作製した。ラットの従来のタンパク質免疫は、これに対応する。遺伝子免疫に対して、ヒトCD38 EDのDNA配列は、配列番号129に示される。対応する概念的翻訳タンパク質配列は、配列番号130に示される。配列番号129のDNA配列を、制限酵素技術を用いて、遺伝子免疫のためにプラスミド内にクローニングした。得られたプラスミドの発現は、N末端またはC末端におけるc-mycエピトープによってタグ化された可溶性CD38 EDの分泌を可能にした。c-mycエピトープを利用し、CD38 EDの発現を確認した。
【0298】
次いで、ラットを、刊行された手順(Kilpatrickら、Hybridoma 17:569〜576頁、1998年)に従い、Helios遺伝子銃(Bio-Rad、Germany)を用いてプラスミドにより6回免疫化した。免疫化プラスミドの最後の適用の1週間後に、非タグ化組換え体ヒトCD38 EDの皮内注射によって、各ラットに追加免疫した。この目的のための非タグ化ヒトCD38 EDを、トロンビン開裂およびその後のサイズ排除カラムによる精製により、タンパク質タグを配列番号127から除去することによって産生した。
【0299】
4日後、ラットを屠殺し、ポリエチレングリコール(HybriMax(商標);Sigma-Aldrich、Germany)を用いてそのリンパ球を骨髄腫細胞と融合させ、1ウェルあたり100,000細胞で96ウェルマイクロタイタープレート内に植え、そして10%ウシ胎仔血清およびハイブリドーマ選別のためのHAT付加物(Kilpatrickら、1998年、前出)を補ったDMEM培地中で成長させた。
(ヒトおよびカニクイザルCD-38交差反応性についてのハイブリドーマ上清のスクリーニング)
【0300】
各ハイブリドーマ上清の二連の100μLサンプルを、室温にて1時間のインキュベーションを通して、maxisorp ELISAプレート(NuncPlasticware、Thermo Scientific、Rochester、NY 14625、USA)の別個のウェル上にコートした。プレートを、1×PBS-T中で3回洗浄し、その後、2%BSA/1×PBSの添加によりブロックした。室温で1時間のインキュベーション後、プレートを、前に述べたように洗浄した。各ラット抗体の二連のウェルの1つに、0.1μgのビオチン化ヒトCD38を、終容量100μlの1×PBS中に加えた。各ラット抗体の二連の2つ目のウェルに、0.1μgのビオチン化カニクイザルCD38 EDを、終容量100μlの1×PBS中に加えた。プレートウェルを、前に述べたように洗浄して、その後、ストレプトアビジン-HRPコンジュゲート(BD Biosciences、San Diego、CA)を用いて結合したビオチン化CD38 EDの検出を行った。プレートを、上述のように洗浄して、未結合のストレプトアビジン-HRPコンジュゲートを除去し、アッセイシグナルを50μLの3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(Sigma-Aldrich)とのインキュベーションにより可視化し、50μLの1M HC1でクエンチした。アッセイシグナルを、マイクロプレートリーダー(BMG Labtech、Cary、NC)を用いて、A
450nmにて読み取った。ELISAによって決定されたように、試験した15のハイブリドーマ上清のうち、15全てが、ヒトCD38 EDに結合し、そして7がカニクイザルCD38 EDに結合した(Table 22(表23))。交差反応性抗体を、R5D1、R7F11、R5E8、R10A2、R10B10、R3A6およびR7H11と呼ぶ。
(ラット抗体のヒトCD38ポジティブ細胞系RPMI-8226へのフローサイトメトリー結合)
【0301】
生存RPMI-8226細胞(2×10
5、トリパンブルー排除によって判定)を、100μLのラットハイブリドーマ上清と共に20分間にわたり、氷上、暗所にてインキュベートした。細胞を、FACS緩衝液(1×PBSおよび1% FCS)にて2回洗浄し、その後、20分間にわたり100μlの抗ラットIgG-FITCコンジュゲート(Sigma-Aldrich)を含むFACS緩衝液中でインキュベートした。細胞をFACS緩衝液で洗浄した後、これらを、FACS緩衝液中に再懸濁し、抗体-結合について、フローサイトメトリーによってFACS Canto(BD Biosciences、San Diego、CA)上で、EV、側方拡散およびFL-1ゲーティングを用いて分析した。結果を、平均蛍光強度(MFI)で表した。ELISAによってヒトCD38 EDへの結合がポジティブであると示した15のラット抗体のうち、5が、FACSにより、ヒト骨髄腫細胞系RPMI-8226上に発現されるCD38に対して、弱いかまたは無視できる結合を示した(Table 22(表23))。
【0302】
【表23】
【0303】
FACS結合バックグラウンドMFI平均は、153であった。
(ラット抗体の分子性質決定)
【0304】
6のラット抗体ハイブリドーマ(R5D1、R7F11、R5E8、R10A2、R10B10およびR7H11)を、分子性質決定のために選択した。各クローンのペレット化したハイブリドーマ細胞からのRNA抽出を、TRI試薬(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を用い、製造業者の指示に従って行った。各抗体の可変領域を、cDNA末端の迅速増幅(RACE)逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)方法論を用い、製造業者の指示(Clontech[Mountain View、CA]SMART RACEキット;Ambion Life Technologies[Foster City、CA]RLM-RACEキット)に従って増幅した。ラット重鎖可変ドメインを5'-RACEによって増幅するための遺伝子特異的逆PCRプライマーを、利用可能なラット重鎖定常領域配列にアニーリングするように設計した。同様に、ラット軽鎖を増幅するための遺伝子特異的逆PCRプライマーを、ラットカッパ鎖定常領域配列にアニーリングするように設計し、さらなるプライマーを、ラットラムダ鎖定常領域配列にアニーリングするように設計した。
【0305】
5'-RACE PCRを、製造業者の指示(Life Technologies;Clontech)に従って、PfuUltraIIポリメラーゼ(Agilent)を用いて行った。5'-RACE PCRの後、産物を、アガロースゲル電気泳動によって分離し、定常領域における逆プライマーの位置に基づくおよその予測サイズのバンドを、ゲルから切り出した。DNAを、アガロースゲルスライスから、Qiaquickスピンゲル抽出キット(Qiagen)を製造業者の指示に従って用いて精製した。挿入DNAを、StrataClone Blunt PCR Cloning Kit(Agilent、Santa Clara、CA)を製造業者の指示に従って用いて、クローニングして大腸菌内で増殖させた。形質転換体からの1つのコロニーを、培養し、そしてプラスミドDNAを、GenElute(商標)プラスミドミニプレップキット(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を用いて調製した。DNA挿入物を、配列決定し、そして抗体可変領域を、概念的翻訳タンパク質配列において同定した。
【0306】
ベクターを、重鎖可変領域および、ヒトカッパもしくはラムダ骨格(ラット抗体におけるものと同じ軽鎖アイソタイプを保った)について、ヒトIgG1定常配列上にグラフトされたラット抗体可変領域配列を用いて構築した。得られた各クローンの可変領域配列を、Table 23(表24)に列挙する。HEK293-6E細胞における対応する重鎖および軽鎖のその後の共発現の後、pTT5ベクターに関して、上述の通り、得られたIgGのプロテインA精製を行った。
【0307】
【表24】
【0308】
(ヒトおよびカニクイザルCD38についての抗CD38抗体のアフィニティ)
【0309】
ヒトおよびカニクイザルのCD38に対して産生された抗体の選択の結合親和性を、測定した。簡潔にいうと、BiacoreT200を用い、プロテインAを、CM5研究等級センサーチップのフローセル(FC)1(FC1)およびFC2(または、代わりにFC3およびFC4)上にアミンカップリングを用いて固定化し、約2000RUを得た。FC1を、実験を通じてブランクとして使用した。この実験を、HBS-P緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、0.005% v/v Surfactant P20)中で行った。20μl/分の流速で、5μg/mLの抗体の20μlを、FC2を通過させた。ヒトCD38 ED、または別個に、カニクイザルCD38 EDを、25nMから200nMまでの範囲の濃度において、FC1およびFC2の表面を通過させた。表面の再生を、10mMグリシン、pH1.0を用いて実施した。FC1センサーグラムデータを、FCSから減算し、そして曲線を、1:1ラングミュア式を用いて当てはめて、k
d値、k
a値およびK
D値を出した。このデータは、ヒトおよびカニクイザルのCD38についての交差反応性が、ヒトファージ由来FabのヒトIgGへの、およびラット抗体のキメララット-ヒトIgGへの変換において維持されることを示す(Table 24(表25))。
【0310】
【表25】
【0311】
(抗CD38-弱毒化IFN融合タンパク質構築物)
【0312】
弱毒化IFNαに融合した抗CD20抗体によって得られた驚くべき結果が、他の抗体、詳細にはCD20に無関係の抗原を標的する抗体で複製され得るか否かを決定するために、完全ヒトIgG1:カッパ抗CD38抗体G005(配列番号135(重鎖)および134(軽鎖)からなる)およびIFNα(配列番号3)を含む、種々の弱毒化突然変異を有するかまたは有さない融合タンパク質構築物を作製した。
図15は、iLiteキットを用いた「オフターゲットアッセイ」(上述の通り)の結果を示す。僅かなCD38シグナルが、iLite細胞系上にフローサイトメトリーによって見られたので(示さず)、CD38抗原を、抗CD38-IFN融合タンパク質構築物を用いる全てのiLite実験について、過剰の裸の(例えば、これに融合するIFNまたはIFNバリアントを含まない)抗CD38抗体の添加によってブロックした;それぞれの場合において、使用した裸のブロッキングCD38抗体の濃度は、0.5mg/mlであった。やはりそれぞれの場合において、IFNまたはIFN-バリアント融合タンパク質構築物としてアッセイされる同じ抗体クローンを、CD38との任意の相互作用をブロックするために使用した。
【0313】
図15は、遊離の野生型IFNα2b(IFNα)(配列番号3)対CD38抗体G005のC末端に融合した野生型IFNα2bのオフターゲット活性(De Weersら(米国特許第7829673号)を示す。後者の融合タンパク質構築物(G005-HC-L0-IFNα IgG4)は、IgG4:カッパアイソタイプのものであり、重鎖のC末端とIFNαの最初の残基との間に介在するリンカーは有さず、配列番号150(重鎖)および134(軽鎖)によって記載される。
図15に図示されるように、抗CD38抗体-非弱毒化IFNα2b融合タンパク質構築物は、オフターゲットアッセイにおいて(例えば、CD38-標的化の非存在下で)、遊離のIFNα2βの27分の1(19.5/0.726=27)の効力であった。
図16は、ARP-1細胞系において高レベルで発現されるCD38に抗CD38抗体が結合可能である「オンターゲット(ARP1)アッセイ」において同じ2つの構築物の間の比較を示す。G005-HC-L0-IFNα IgG4融合タンパク質構築物は、恐らく、IFNのCD38
+骨髄腫細胞への標的送達に起因して、遊離のIFNα2bよりも3.6倍(14.7/4.08=3.6)効力が高かった。したがって、G005-HC-L0-IFNα IgG4融合タンパク質構築物は、97(27×3.6=97;Table 25(表26))の抗原特異性指数(ASI)を有する。
【0314】
【表26A】
【0315】
【表26B】
【0316】
抗CD20-IFNα融合タンパク質構築物について観察されたようにASIが増大可能か否かを決定するため、いくつかのバリアントが、突然変異によって抗CD38-IFNα融合タンパク質構築物のIFN部分を弱毒化することにより、構築された。多くの異なる弱毒化突然変異を、G005または他のCD38モノクローナル抗体に関して作製した。加えて、異なるIgGアイソタイプ(IgG1およびIgG4)ならびにリンカー長(L0、リンカーなし;L6、6アミノ酸リンカー(SGGGGS、配列番号132))の構築物を、作製した。オフターゲットアッセイおよび2種類のオンターゲットアッセイ(DaudiおよびARP-1を用いる)(両方とも、上で詳細に記載される)を実行し、結果を、
図17〜38に示し、Table 25(表26)〜33(表34)の表にまとめる。以下の議論は、これらの結果を、これらの表におけるデータを参照してまとめる(これらの全ては、
図17〜38に由来する)。
【0317】
Table 26(表27)は、種々の構成において、R144A弱毒化突然変異を有するIFNαに重鎖のC末端を介して融合したCD38抗体G005の性質を示す。この表における例は、IgG1およびIgG4アイソタイプであり、どちらも、抗体重鎖とIFNとの間にリンカーを有さない、L0か、または介在する6アミノ酸のリンカー、L6(それぞれ配列番号134(軽鎖)と合わさった配列番号138、140、152、146(重鎖)からなる)を有する。全ての場合において、抗原-ネガティブiLite細胞において、融合タンパク質構築物は、劇的に低減した効力(遊離のIFNαと比較して8,300〜100,000分の1に低減)を有したが、CD38ポジティブ細胞(Daudi)上の遊離のIFNαによって示される効力が実質的に維持された。G005-HC-L0-IFNα(R144A)IgG4構築物(配列番号152(重鎖)および134(軽鎖)からなる)は、例えば、抗原ネガティブ細胞上では、遊離の野生型IFNαよりも10
5分の1の低さの効力を有するが、抗原ポジティブ細胞上では、遊離の、野生型IFNαに対し、3.5分の1(2.7/0.77=3.5)にしか減らなかった(Table 26(表27))。これは、この融合タンパク質構築物について、29,000の抗原特異性指数(ASI)を与える。
【0318】
【表27】
【0319】
Table27(表28)は、IgG1またはIgG4アイソタイプのいずれかの、リンカーなしまたはL6リンカー(それぞれ配列番号134(軽鎖)と合わさった配列番号142、144、148(重鎖)からなる)を有する、同じG005抗体による構築物として別のIFNα弱毒化突然変異を用いた例を示す。G005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG4構築物(配列番号148(重鎖)および134(軽鎖)からなる)は、例えば、20,000のASIを示した。
【0320】
【表28】
【0321】
Table 28(表29)は、突然変異したIFNαが、介在するリンカーなしまたはL6リンカーありで、重鎖ではなくむしろ軽鎖に結合する(それぞれ、配列番号135(重鎖)と合わさった配列番号210または208(軽鎖)からなる)例を示す。両方の場合において、融合タンパク質構築物は、それぞれ5,900および7,200の、高いASIを実証した。
【0322】
【表29】
【0323】
Table 29(表30)および30(表31)は、同じ融合タンパク質構築物についてのASIを実証するが、CD38
+細胞における活性を決定するため、代替の細胞系(ARP-1、骨髄腫)を使用する。この方法を用い、これらの融合タンパク質構築物についてのASIは、1,200〜55,000の範囲であった。
【0324】
【表30】
【0325】
【表31】
【0326】
IFNαの突然変異バージョンの多くの他の例は、G005-HC-L0-IFNα IgG4融合タンパク質構築物に関して、Table 25(表26)に示される。これらの突然変異体の大部分(A、S、E、G、H、N、Q、T、Y、I、LまたはVに突然変異したR144(それぞれ、配列番号134(軽鎖)と合わさった、それぞれ配列番号152、172、156、158、160、168、170、174、178、162、166、176(重鎖)からなる)およびG、D、H、I、K、L、N、Q、RまたはYに突然変異したA145(それぞれ、配列番号134(軽鎖)と合わさった、それぞれ配列番号184、180、186、188、190、192、194、196、198、206(重鎖)からなる)は、遊離の野生型IFNαと比較して、IFNα活性の有意な弱毒化を示した。これに関して、A145VおよびA145Sの突然変異体は、適用可能な弱毒化を示さなかった。これらの点変異のいずれかの、IFNαの弱毒化バージョンが、本発明に関して、抗体融合タンパク質構築物として使用され得る。特定のIFNバリアントが、高いASIを示すことに起因して、好ましい場合がある。他の考慮、例えば、発現レベル、免疫原性、生物物理学的特徴などもまた、構築物を最適な効用について評価する際に考慮され得る。本明細書中で記載される多くのIFNαバリアントのうち、抗体-融合タンパク質構築物に関して高いASIを生じることがここで示されるものとしては、R144A、R144S、R144T、R144Y、R144I、R144L、R145G、R145D、R145H、R145Y(Table 25(表26))、R33A+YNS(配列番号286(重鎖)および276(軽鎖)を含む構築物において図示される)、R33A(配列番号436(重鎖)および276(軽鎖)を含む構築物において図示される)ならびにR144A+YNS(例えば、配列番号288(重鎖)および276(軽鎖)を含む構築物において図示される)が挙げられる。
【0327】
配列番号180(重鎖)および134(軽鎖)の構築物におけるA145Dの突然変異は、配列番号182(重鎖)および134(軽鎖)の構築物におけるA145E突然変異と比較して、予期せぬ結果を出した。両構築物とも、1つのメチレン基のみによって異なる類似のアミノ酸配列を有するが、これらは、IFNαの非標的化活性において、劇的に異なる効果を示した。A145E突然変異は、IFNα活性に対して最小の影響を有したが,A145D突然変異は、活性を劇的に低減し(20,000分の1)、高いASI(9,840)を有する構築物をもたらした。
【0328】
抗CD38抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物の他の例は、Table31(表32)〜33(表34)に示される。G005抗体構築物に加え、これらの表は、特定の新規な抗体に基づく抗CD38抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物についてのオンターゲット活性、オフターゲット活性、およびASIを示す。IFNα A145DまたはR144A突然変異を有するこれらの抗体の融合タンパク質構築物としては、以下が挙げられる:
【0329】
配列番号248(重鎖)および配列番号242(軽鎖)からなるX910/12-HC-L0 IFNα(A145D)IgG4
【0330】
配列番号246(重鎖)および配列番号242(軽鎖)からなるX910/12-HC-L0 IFNα(R144A)IgG4
【0331】
配列番号256(重鎖)および配列番号250(軽鎖)からなるX913/15-HC-L0 IFNα(A145D)IgG4;
【0332】
配列番号254(重鎖)および配列番号250(軽鎖)からなるX913/15-HC-L0 IFNα(R144A)IgG4
【0333】
配列番号232(重鎖)および配列番号226(軽鎖)からなるX355/02-HC-L0 IFNα(A145D)IgG4;
【0334】
配列番号230および配列番号226(軽鎖)からなるX355/02-HC-L0 IFNα(R144A)IgG4;
【0335】
配列番号240(重鎖)および配列番号234(軽鎖)からなるX355/07-HC-L0 IFNα(A145D)IgG4;
【0336】
配列番号238および配列番号234(軽鎖)からなるX355/07-HC-L0 IFNα(R144A)IgG4;
【0337】
配列番号262(重鎖)および258(軽鎖)からなるR5D1-HC-L0 IFNα(A145D)IgG4;
【0338】
配列番号268(重鎖)および264(軽鎖)からなるR5E8-HC-L0 IFNα(A145D)IgG4;および
【0339】
配列番号274(重鎖)および270(軽鎖)からなるR10A2-HC-L0 IFNα(A145D)IgG4。
【0340】
これらの融合タンパク質構築物は全て、3,820(X910/12-HC-L0-IFNα(R144A)IgG4)〜166,000(X355/02-HC-L0-IFNα(A145D)IgG4)の範囲の高いASIを示した。
【0341】
【表32】
【0342】
【表33】
【0343】
【表34】
【0344】
上の実施例は、CD20(配列番号430)またはCD38(配列番号131)を標的する抗体に結合した、突然変異した、弱毒化形態のIFNαが、抗原-ネガティブオフターゲット細胞よりも抗原-ポジティブ標的細胞において、IFNシグナル伝達において何桁も高い効力を示すことを実証する。下の結果は、2つの違う抗原、CD138およびクラスI MHCに対する弱毒化IFNαを標的する抗体を用いるさらなる例を、提供する。
【0345】
シンデカン-1とも呼ばれるCD138(配列番号432)は、接着分子として機能すると考えられる、ヘパリンスルフェートプロテオグリカンである。これは、ほとんどの多発性骨髄腫細胞(Dhodapkar、Blood;91:2679、1998年)において発現される。突然変異した、弱毒化IFNαおよびCD138-標的化抗体nBT062(Ikeda、Clin Can Res.、15:4028、2009年;USPTO#20090175863、配列番号330(重鎖)および326(軽鎖)からなる)からなる融合タンパク質構築物を、作製した。
図39に示されるように、この融合タンパク質構築物は、抗CD38-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物に似て、非標的化、アイソタイプ融合タンパク質(抗体2D12に基づく)よりも、多発性骨髄腫細胞(ARP-1、オンターゲットアッセイ)においてずっと高い抗増殖効力を示した。
図39は、28pM濃度(試験した濃度の4番目に高い)のnBT062-HC-L0-IFNα(A145D)が、ARP-1骨髄腫細胞系において、6nM(試験した最も高い濃度)のアイソタイプ-HC-L0-IFNα(A145D)タンパク質よりも高い抗増殖活性を示すことを示す。
【0346】
癌を処置するための抗体治療の潜在的な標的として記載されている別の抗原は、クラスI MHCである(例えば、Stein、Leuk.Lymphhoma 52(2):273〜84頁、2011年を参照されたい)。本発明をこの標的に関連して当てはめることが可能か否かを決定するため、抗体W6/32(Barnstableら(1978年)、Cell 14:9〜20頁)を、ATCC(HB95)から得た。この抗体は、ヒトHLAA、B、C分子における単形性決定因子と反応する。抗体可変領域をクローニングし、SMART RACE cDNA Amplificationキット(Clontech、Mountain View、CA)およびMouse Ig-Primer Sets(Novagen/EMD Chemicals、San Diego、CA)を用いて配列決定した。重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号411および410に示す。マウス可変領域およびヒトIgG4カッパ定常領域を有し、A145D突然変異を有するIFNαに融合したHB95のキメラバージョン(HB95-HC-L0-IFNα(A145D)IgG4、配列番号316(重鎖)および312(軽鎖)からなる)を発現させ、そしてその活性を、同じ方法で同じIFNα突然変異体に融合したアイソタイプ対照抗体(アイソタイプ-HC-L0-IFNα(A145D)IgG4、ここで、アイソタイプ可変領域は、抗体2D12に由来する)と比較した。「オンターゲット(ARP-1)」アッセイを、CD38-標的化抗体について上で述べた通りに実施した(ARP-1は、クラスI MHC-ポジティブである)。結果を、
図40aに示す。クラスI MHC-標的化弱毒化IFNαは、同じ細胞上で、アイソタイプ対照-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物よりも何桁も高い効力を有し、野生型IFNαの約9倍(139/16=8.7)の範囲内であった。HB95-HC-L0-IFNα(A145D)IgG4は100pM未満で有為な活性を示す一方で、アイソタイプ-HC-L0-IFNα(A145D)IgG4は、6nMであっても有意な活性を示さない。
【0347】
図40bは、抗体断片が、完全長の抗体に置き換えられ得ること、および、類似の特性、すなわち高いASIを提供することを実証する。この図は、種々のFab-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物のARP-1細胞の増殖に対する効果を示す。2つの非ARP-1標的化構築物、「パリビズマブ-HC-L6-IFNα(A145D)Fab」(配列番号298(重鎖)および290(軽鎖)からなる)および「2D12-HC-L6-IFNα(A145D)Fab」(配列番号356(重鎖)および344(軽鎖)からなる)は、この細胞系に対して非常に低い効力を示した(2,410〜17,000のEC50)。対照的に、融合タンパク質構築物のFab部分は、細胞表面抗原、この場合クラスI MHCを標的し、融合タンパク質構築物「HB95-HC-L6-IFNα(A145D)Fab」(配列番号320(重鎖)および312(軽鎖)からなる)に関して、効力は、なお遊離の野生型IFNαより高い。抗原-標的化弱毒化構築物は、非標的化弱毒化構築物よりも、2,760〜19,450倍効力が高い。
(標的化、弱毒化IFNαの抗ウイルス活性)
【0348】
IFNαの抗ウイルス活性は、周知であり、組換え体IFNαは、C型肝炎ウイルス感染のためのFDA認可処置である。宿主細胞表面-標的化対非標的化抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物の、A549細胞(クラスI MHC-ポジティブである)におけるEMCウイルスの細胞変性活性に対する効果を、比較した。
(方法:)
【0349】
IFN活性を、Rubinstein(J.Virol.37、755〜8頁、1981年)に記載される細胞変性効果阻害(CPE)アッセイを用いて測定した。簡潔にいうと、1ウェルあたり10
4のヒト腺癌A549細胞(ATCC、Manassas、Kansas)を、試験サンプルまたはIFN(ヒトIFN-α2A)と共に一晩インキュベートした。次いで、細胞を、EMCウイルスで48〜56時間にわたってチャレンジし、その後、クリスタルバイオレットで染色した。視覚的CPE判定を実施し、その後、クリスタルバイオレットの可溶化および570nmにおける吸光度測定を行った。可変スロープによる4パラメータシグモイド適合(GraphPadPrism)を用いて、非線形回帰分析を実施した。1単位のIFNα活性は、細胞変性効果が50%低減するために必要なインターフェロンの量として規定される。この単位を、ヒトIFNα2についてのNational Institutes of Healthによって提供される国際参照標準を参照して決定する(Pestka,S.「Interferon Standards and General Abbreviations」、Methods in Enzymology内(S.Pestka編)、Academic Press、New York第119巻、14〜23頁、1986年を参照されたい)。このアッセイにおいて試験したサンプルは、IFNα(イントロンA、逆三角)、HB95-HC-L0-IFNa(R145D)IgG4と命名された抗MHCクラスI標的化弱毒化IFNα(黒四角)、およびアイソタイプ対照(2D12)-弱毒化IFNα(アイソタイプ-HC-L0-IFNa(R145D)IgG4;三角)であった。データを、生存能力対IFNαモル等量としてプロットする。
(結果:)
【0350】
結果を、
図41に示す。このアッセイにおいて、IFNαは、予測通り、A549細胞を、ウイルス誘導型細胞変性細胞死(CPE)から保護し、0.18pMのEC50を示す。R145D突然変異のIFNαへの導入(およびA549細胞に結合しない抗体へのその結合)は、その抗ウイルス効力を、108,000分の1(19,461/0.18=108,167)に低減する。対照的に、同じ突然変異体IFNのA549-標的化抗体(HB95)への結合により、効力は、約17,000倍(19,461/1.15=16,923)に増大する。これは、16,900(19,461/1.15=16,922)のASIに相当する。
(標的化、弱毒化IFNβ)
【0351】
IFNβもまた、多くの刊行物(上記参照)において、種々の型の癌細胞に対して抗増殖活性を有することが示されている。したがって、抗CD38抗体(G005)とIFNβ(配列番号91)との間の融合タンパク質構築物、G005-HC-L0-IFNβ IgG4(配列番号212(重鎖)および134(軽鎖)からなる)ならびにIFNβ効力を低減することが公知である1つの点変異(R35A)を有することを除いて同一の構築物(RunkelらJ.Biol.Chem.273:8003〜8頁(1998年)、配列番号214(重鎖)および134(軽鎖)からなる)を、作製した。両構築物において、IFNβの17位における対でないシステインを、発現収量および産物均質性を改善するために、セリンに突然変異させた。
図42は、非抗体補助標的化(iLiteキットを用いる「オフターゲットアッセイ」)が存在する条件下での、これらの3つのタンパク質の活性を示す。このアッセイにおいて、IFNβのN末端上へのIgGの結合は、その効力を72分の1(57.6/0.799=72)に弱毒化する。この融合タンパク質構築物においてR35A突然変異を作製することにより、その効力は、さらに280分の1(16,100/57.6=280)に低減し、したがって、遊離の野生型IFNβの20,150分の1(16,100/0.799=20,150)の効力の低さである。著しく対照的に、
図43は、CD38抗体がIFNβを細胞に対し標的化し得る条件下での、これらの3つのタンパク質の効力は、非常に類似していることを示す。このアッセイにおいて、抗体-弱毒化IFNβ融合タンパク質構築物(G005-HC-L0-IFNβ(R35A)IgG4)は、抗体-非弱毒化IFNβ融合タンパク質構築物の1.4分の1(46.9/32.7=1.4)の低さの効力でしかなく、遊離の野生型IFNβの4.5分の1(46.9/10.5=4.5)の低さの効力でしかない。このデータを、Table 34(表35)にまとめる。これは、IFNαについて観察されたように(Table 20(表21))、抗体-IFN融合タンパク質構築物の一部であるインターフェロンにおける弱毒化突然変異は、非標的化対標的化細胞に不均衡に影響を及ぼすという驚くべき知見はまた、IFNβについても維持されることを実証する。抗CD38-IFNβ融合タンパク質構築物のこの例において、弱毒化突然変異は、抗体がIFNを標的細胞に指向させ得る条件下で、1.4分の1にしか効力を低減せず、それに対して、融合タンパク質構築物が細胞表面抗原を標的できない細胞については、280分の1であった。結果として、本実施例における抗体-弱毒化IFNβ融合タンパク質構築物は、4,630のASIを示す(Table 34(表35))。IFNβにおけるR147A突然変異もまた、R35A突然変異の代わりとして、遊離のIFNβよりも有為に高いASIを有する抗体-IFNβ融合タンパク質構築物を産生することが見出された(データは示さず)。以下の実施例は、この「選択的弱毒化」はまた、IFNαおよびIFNβに構造的に関連しないリガンド、すなわちIL-4およびIL-6によって観察され得ることを示す。
【0352】
【表35】
【0353】
(インターロイキン-4(IL-4))
【0354】
IL-4は、Tヘルパー細胞発生をTh2に偏らせ、Th1から遠ざける能力を含む、多数の生理学的活性を有するヘリックス束サイトカインである。Th1細胞は、特定の自己免疫設定において病理学的役割を果たすので、IL-4を用いてTヘルパー細胞発生がTh1を避けるように影響を及ぼす、すなわち「Th1迂回」を起こさせることは、治療的に有効であり得る。IL-4の他の細胞型に対する活性に関連する副作用を避けるため、これを突然変異させ、活性型ヘルパーT細胞(好ましくは、最近活性化された)を指向させる抗体に結合することによって、IL-4の活性を弱毒化することが有利である。この目的のために選択される抗体は、Iwaiらによって記載される、J110、マウス抗ヒトPD-1クローンである(Immunol Lett.83:215〜20頁、2002年)。PD-1(配列番号431)は、最近活性化されたTh0細胞上で発現される。
【0355】
J110抗体(マウス可変領域およびヒトIgG1:カッパ定常領域;J110重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号409および408として示される)を、重鎖のC末端に6アミノ酸リンカー、L6(SGGGGS、配列番号132)を介在させて結合しているヒトIL-4(配列番号119)に融合した。このJ110-HC-L6-IL4 IgG1タンパク質(配列番号304(重鎖)および300(軽鎖)からなる)に加えて、IL-4成分において1つの置換を有するこれのバリアント、J110-HC-L6-IL-4(R88Q)IgG1(配列番号306(重鎖)および300(軽鎖)からなる)を、作製した。IL-4におけるR88Q突然変異は、インビトロでその効力を低減することが報告されている(Kruse、EMBO Journal 12巻 13号 5121〜5129頁、1993年)。
(方法:)
【0356】
「オフターゲット(HB-IL4)アッセイ」を、ほぼ、HEK-Blue IL4/IL13細胞系の製造業者によって記載されるように実施した。HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞は、IL-4によって誘導されるSTAT6経路の活性化をモニタリングするために、特異的に設計されている。この細胞を、ヒトSTAT6遺伝子をHEK293細胞内に誘導して、完全に活性型のSTAT6シグナル伝達経路を作製した。HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞は、4のSTAT6結合部位に融合したIFNβ最小プロモーターの制御下で、安定的にレポーター遺伝子である分泌胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を発現する。HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞におけるSTAT6経路の活性化は、SEAPレポーター遺伝子の発現を誘導する。次いで、SEAPは、培地内に分泌されて、呈色試薬QUANTI-Blue(商標)を用いて定量化可能である。簡潔にいうと、HEK-Blue IL4/IL13細胞(Invivogen、San Diego CAカタログ番号hkb-stat6)を融解し、そしてDMEM培地(Mediatech、Manassas VA、カタログ番号10-013-CV)+10% FBS(Hyclone、LoganUT、カタログ番号SH30070.03)(熱不活化した(HI FBS))中で培養した。1代の継代後、10μg/mlのブラストサイジン(Invivogenカタログ番号ant-bl-1)および100マイクログラム/mlのゼオシン(Invivogenカタログ番号ant-zn-1)を、培養培地中に添加した。さらにもう一代後、細胞を、60〜80%コンフルエンスに達させ、次いで、Cell Stripper(Mediatech、カタログ番号25-056-Cl)で持ち上げた。細胞を、DMEM+HI FBS中で2回洗浄し、そして計数した。細胞を、DMEM+HI FBS中2.8×10
5生存細胞/mlに調整し、平底96ウェル組織培養プレート(本明細書中以後、「実験プレート」)に、1ウェルあたり180μlを分注した。次いで、20μlのDMEM+HI FBS中に希釈したIL-4または融合タンパク質構築物を、ウェル毎に加えた。このプレートを、37℃、5% CO
2にて16〜24時間にわたってインキュベートした。QUANTI-Blue(Invivogen、カタログ番号rep-qb1)を、製造業者の指示に従って調製した。QUANTI-Blue(160μl)を、平底プレート(本明細書中以後、「アッセイプレート」)の各ウェル内に分注した。次いで、実験プレートの1ウェルあたり40μlの上清を、アッセイプレートに移した。次いで、アッセイプレートを、37℃で1〜3時間にわたってインキュベートした。630nmにおけるアッセイプレート吸光度を、Perkin-Elmer製のモデル1420-41 Victor 3V Multilabel Counterにて読み取った。データを、Graph Pad Prismを用いて分析した。
【0357】
「オンターゲット(Th1迂回)アッセイ」を設計し、Th1表現型(そのIFN-γの発現によって規定した)のCD4
+T細胞の百分率をモニタリングした。したがって、Th1迂回は、IFN-γ-ポジティブCD4T細胞の減少によって定量化される。このアッセイを、以下のように実施した:「ロードした」Dynabeads(M450Epoxyビーズ、InvitrogenDynal、Oslo、Norwayカタログ番号140.11)を、製造業者によって記載されるように、1.0μg/10
7ビーズの抗ヒトCD3イプシロン抗体(R&D Systems、Minneapolis MN、カタログ番号MAB1OO)、1.0μg/10
7ビーズの抗ヒトCD28抗体(R&DSystems、カタログ番号MAB342)および3μg/10
7ビーズのヒトIgG(R&D Systems、カタログ番号1-001-A)により、作製した。PBMCを、Stanford Blood Center;Palo Alto CAから得た。ナイーブなCD4
+T細胞を、Leukocyte Reduction System(LRS)conesから、naive CD4
+ キット(Miltenyi Biotechカタログ番号130-094-131)を用いて、製造業者に指示に従って精製した。全部で4.0×10
5の精製したナイーブCD4
+T細胞を、24ウェル組織培養プレート(本明細書中以後、「実験プレート」)の各ウェルあたり1.3ml、RPMI 1640(Mediatech、カタログ番号10-040-CV)+10% HI FBS+100単位/mlのIL-2(Peprotech、カタログ番号200-02)(本明細書中以後Media-Qと呼ばれる)中で分注した。次いで、4.0×10
5の「ロードした」Dynabeadsを、ウェル毎に添加した。IL-12(Peprotech、カタログ番号200-12)を、Media-Qに希釈し、100μlを適切なウェルに加え、終濃度を10ng/mlにした。融合タンパク質構築物またはIL-4を、Media-Q中に希釈し、100μlを適切なウェルに加えた。Media-Qを、を適切なウェルに加え、各ウェルの全容量を、1.5mlにした。実験プレートを、37℃にて、5% CO
2を用いて5日間にわたってインキュベートした。5日目の朝、ホルボールミリステートアセテート(PMA)を、50ng/mlの終濃度で全てのウェルに加え、イオノマイシンもまた、1.0μg/mlの終濃度で全てのウェルに加えた。ブレフェルジンAを、培養物の1.0μg/mlの終濃度で加えた。次いで、実験プレートを、37℃にて5% CO
2を用いて、4時間以上インキュベートした。実験プレートの各ウェルの約1/3の容積を回収し、上述のKitと共に供給される指示に従い、キットと共に供給される試薬を用いて、細胞内フローサイトメトリーのための調製に供した。細胞を、細胞内インターフェロン-γについて、AF647(eBiosciences.com、カタログ番号51-7319-42)にコンジュゲートした抗ヒトインターフェロン-γ抗体で染色した。このサンプルを、フローサイトメトリーにより、Becton Dickinson FACSort上で、Cell Questソフトウェアを用いて分析した。得られたサンプルを、FloJo Softwareを用いて分析し、データを、Graph Pad Prismソフトウェアを用いてグラフ化した。
(結果:)
【0358】
抗体ベースの標的化の非存在下で、「オフターゲット(HB-IL4)アッセイ」によって測定されるように、IL4は、1.26pMのEC50を示した(
図44;Table 35(表36))。IgG1のIL4への結合(例えば、野生型ヒトIL-4配列がPD-1を認識するキメラJ110抗体のC末端に、リンカーL6を介在させて結合した構築物J110-HC-L6-IL4 IgG1)は、効力を、5.46分の1に低減させた(6.88/1.26=5.46)。R88Q点変異のこの構築物のIL-4部分への導入により、この効力は、さらに遊離のIL-4の35,600分の1(44,800/1.26=35,555)に低減した。二次抗体-IL-4(R88Q)融合タンパク質構築物(配列番号358(重鎖)および344(軽鎖)からなるアイソタイプ-HC-L6-IL4(R88Q)IgG1)は、類似の効力を示した。この実験において使用されたアイソタイプ抗体は、2D12であった。
【0359】
【表36】
【0360】
「オンターゲット(Th1迂回)アッセイ」結果を、
図45に示す。ナイーブ(Th0)CD4細胞の活性化は、PD-1発現を誘導し、それにより、抗PD1-IL-4融合タンパク質構築物は、これらに対しIL-4を標的し得る。このアッセイにおいて、遊離の野生型IL4は、11.4pMのEC50を示す。顕著なことには、「オフターゲット(HB-IL4)アッセイ」において遊離の野生型IL-4の35,600分の1の効力の低さである抗PD1-弱毒化IL-4融合タンパク質構築物(J110-HC-L6-IL4(R88Q)IgG1)、は、オンターゲットアッセイにおいて、IL-4とほぼ同じ効力であった(1/4の効力;11.4/46.1=0.25)。非弱毒化、PD-1標的化融合タンパク質構築物(J110-HC-L6-IL4 IgG1)のみが、弱毒化形態よりも僅かに効力が高かった(1.45倍の効力;46.1/31.8=1.45)。非標的化、弱毒化IL-4融合タンパク質構築物(アイソタイプ-HC-L6-IL4 R88Q)IgG1は、標的化弱毒化融合タンパク質構築物よりも有意に低い効力であったが、その効力は、この実験においてEC50を正確に決定するには低すぎた。
(インターロイキン-6(IL-6))
【0361】
IL-6(配列番号123)は、異なる細胞型において多くの活性を有し、他を犠牲にしたこれらの活性のいくつかを開発することが有益であり得る。例えば、新しく活性化されたCD4
+T細胞の標的化(例えばIL-4標的化における上の実施例におけるように、抗PD1抗体の結合を介する)により、Tヘルパー細胞集団にTreg経路を回避させ、Th17経路を選ぶ場合がある。これは、癌患者にとって有益であり得る。
(方法:)
【0362】
「IL-6バイオアッセイ」を、IL-6によるJAK-STAT経路の活性化をモニタリングする操作されたレポーター細胞系であるHEK-Blue(商標)IL-6細胞(Invivogen、カタログ番号hkb-il6)を用いて実施した。これらの細胞を、ヒトIL-6R遺伝子をHEK293細胞内に導入することによって作製した。加えて、細胞を、4つのSTAT3結合部位に融合したIFNβ最小プロモーターの制御下でSEAPを発現するレポーター遺伝子でさらにトランスフェクトした。これらの細胞において、IL-6は、STAT3の活性化を刺激し、SEAPの分泌を導く。次いで、SEAPを、SEAP検出培地QUANTI-Blue(商標)を用いた際にモニタリングする。このアッセイを、製造業者(Invivogen)の指示に本質的に従って行った。簡潔にいうと、HEK-BlueIL6細胞を融解し、そしてDMEM(Mediatech、Manassas VA、カタログ番号10-013-CV)+10% FBS(Hyclone、LoganUT、カタログ番号SH30070.03)(熱不活化されている(HI FBS))中で培養した。一代の継代後、200μg/ml HygroGold、(Invivogenカタログ番号ant-hg-1)および100μg/ml Zeocin、(Invivogenカタログ番号ant-zn-1)を、培養培地中に添加した。さらに一代の継代後、細胞を、60〜80%のコンフルエンスに達させ、次いで、Cell Stripper(Mediatech、カタログ番号25-056-Cl)で引き上げた。次いで、細胞を、DMEM+HI FBSで2回洗浄し、計数した。細胞を、DMEM+HI FBS中に2.8×10
5の生存細胞/mlに調製し、1ウェルあたり180μlを、平底96ウェル組織培養プレート(本明細書中以後、「実験プレート」)内に分注した。次いで、20μlのIL-6または融合タンパク質構築物(DMEM+HI FBS中に希釈した)を、ウェル毎に加えた。このプレートを、37℃にて、5% CO
2を用いて16〜24時間にわたってインキュベートした。次いで、製造業者の指示に従って調製したQUANTI-Blue(Invivogen、カタログ番号rep-qb1)を、平底プレート(本明細書中以後、「アッセイプレート」)の各ウェルに分注した(ウェルあたり160μl)。次いで、実験プレートからの各ウェルあたり40μlの上清を、アッセイプレートのウェルに移した。アッセイプレートを、37℃で1〜3時間インキュベートした。630nmにおけるアッセイプレート吸光度を、Perkin-Elmer製のモデル1420-41 Victor3V Multilabel Counter上で読み取った。データを、Graph Pad Prismを用いて分析した。
【0363】
IL-6が、弱毒化および標的化して、高い抗原特異性指数(ASI)が達成され得るか否かを試験するために、N末端に16マーのリンカー(L16、SGGGGSGGGGSGGGGS、配列番号133)を有するIL-6を、HB95抗体(上述の通り、ヒトクラスI MHC抗原に結合する)対アイソタイプ対照抗体、2D12(やはり上述されている)を用いて、抗体標的化クラスI MHCに融合した。非標的化、アイソタイプ対照融合タンパク質構築物である、2D12-HC-L16-IL6 IgG1(配列番号360(重鎖)および344(軽鎖)からなる)を、遊離のIL-6と、上述の「IL-6バイオアッセイ」において比較した(
図46)。抗体融合は、遊離のIL-6の約10分の1の低さの効力を示した(10.9/1.04=10.5)。R179E突然変異(IL-6の効力を低減することが公知である;Kalai、Blood 89(4):1319〜33頁、1997年))をこの融合タンパク質構築物内に導入することにより、得られた構築物(配列番号362(重鎖)および344(軽鎖)からなる2D12-HC-L16-IL6(R179E)IgG1)をさらに弱毒化した(遊離の野生型IL-6の79,400分の1(82,600/1.04=79,400)の低さの効力を示した)。対照的に、弱毒化IL-6を、HEK-Blue(商標)IL-6細胞(配列番号324(重鎖)および312(軽鎖)からなるHB95-HC-L16-IL-6(R179E)IgG1)上の抗原(クラスI MHC)に結合する抗体(HB95)に結合させた場合、効力は、非標的化抗体-弱毒化IL-6融合タンパク質構築物と比較して、953倍(82,600/86.7=953)増大した。この効力は、標的化、野生型IL-6融合タンパク質構築物(配列番号322(重鎖)および312(軽鎖)からなるHB95-HC-L16-IL6IgG1)の効力の6.99分の1の低さでしかない(86.7/12.4=6.99)。言い換えると、抗体-抗原標的化の非存在下で、抗体-IL-6融合タンパク質構築物に関して、R179E突然変異は、IL-6効力を、7,580分の1 (82,600/10.9=7,580)に低減するのに対し、標的化の存在下では、6.99分の1にしか低減しなかった。
(抗体-標的化弱毒化IFNαのin vivo研究)
【0364】
本発明の抗体-弱毒化リガンド融合タンパク質構築物が活性であることを確認するため、CD38に対する抗体からなる構築物(多発性骨髄腫細胞の表面上で発現される)およびIFNα2bの弱毒化バージョンを用いるin vivoのいくつかの実験を、実施した。ほとんどの研究において、これを、下で「アイソタイプ対照」と呼ばれる非標的化対照融合タンパク質構築物と比較した。アイソタイプ対照抗体についての可変領域は、黄熱病ウイルスに対して惹起された抗体2D12に由来した(Shlesinger、Virology 125:8〜17頁、1983年)。
【0365】
最初の実験において、多発性骨髄腫細胞系NCI-H929(ATCC CRL-9068、Gazdar、Blood 67:1542〜1549頁、1986年)が免疫無防備状態(SCID)マウスにおいて皮下で増殖する異種移植モデルを使用した。
(方法:)
【0366】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスに、脇腹において、50% Matrigel中の1×10
7 NCI-H929腫瘍細胞を、皮下注射した。平均腫瘍サイズが120〜150mm
3に達したとき、マウスを、各10匹のマウスの5コホートにグループ化し、0時点(TO)にて処置を開始した。全ての処置を、腹腔内注射(i.p.)によって、週2回5週間にわたって(グラフの下のバーで示す)行った。インターフェロン-αを除き、全ての化合物を、200μg/用量(約10mg/kg)で投薬した。IFNα2b(Intron A(登録商標)、Schering Corp.、Merck、Whitehouse Station、NJ)を、2百万単位/用量にて与えた。腫瘍体積を、カリパス測定によって週2回測定した。エンドポイントは、2,000mm
3の腫瘍体積であった。
(結果:)
【0367】
結果を、
図47に示す。.多発性骨髄腫皮下(s.c.)固形腫瘍のインターフェロン-α(黒ひし形)による処置は、ビヒクル(P<0.05、黒丸)と比較して、これらのマウスにおける腫瘍増殖を僅かに遅延した。裸の抗CD38抗体(配列番号135(重鎖)および134(軽鎖)からなるG005 IgG1)(黒四角)による処置は、ビヒクルと比較して、腫瘍増殖において有為な効果を有さなかった。これらの2グループにおける全てのマウスは、30日目までにエンドポイント(2,000mm
3)に達した。非標的化アイソタイプ対照-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物(配列番号348(重鎖)および344(軽鎖)からなるアイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1)(白逆三角)は、腫瘍増殖の遅延において有為な活性を示さず、これは恐らく、抗体-IFNα融合タンパク質構築物の長い半減期ならびに増大した全身的曝露が得られたことに起因する。CD38-標的化弱毒化IFNα融合タンパク質構築物(配列番号144(重鎖)および134(軽鎖)からなるG005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1)は、対照的に、非標的化融合タンパク質構築物(P<0.0001)または他の試験物質と比較して、劇的な抗腫瘍活性を示した。標的化抗CD38-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物は、22日目までに全ての(10/10)マウスにおいて、検出不能なレベルにまで腫瘍を完全に消失させ、研究期間全体を通して、再発はなかった。
【0368】
抗CD38-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物(G005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1)を、細胞系MM1S(CrownBioscienceInc.、SantaClara;Greenstein、ExpHematol.Apr;31(4):271〜82頁、2003年)に基づいて、全身性多発性骨髄腫モデルにおいて試験した。
(方法:)
【0369】
6〜8週齢のNOD-SCIDマウスに、0.1mlリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の1×10
7のMM1S腫瘍細胞によって、200rad(
60Co)による放射線照射の24時間後に、静脈内注射した。マウスを、0時点で各10匹のマウスの4コホートにグループ化し、処置を、7日間後に開始した。全ての処置を、i.p.で週2回、9週間にわたって与えた。全ての化合物を、インターフェロン-αを除き(2百万単位/用量で与えた)、200μg/用量(約10mg/kg)投薬した。体重および全体的健康を、週に2回モニタリングし、生存がエンドポイントであった。
(結果:)
【0370】
結果を、
図48に示す。この全身性多発性骨髄腫腫瘍のインターフェロン-α(イントロンA)のみによる処置は、ビヒクルと比較して、生存時間中央値(MST)を、18日間延長した(それぞれ、MST74対56)。裸の抗CD38抗体(G005)による処置のみが、生存を僅かに増大させた(MST62日間)。標的化抗CD38-弱毒化IFNα(G005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1)におけるマウスのいずれも、全研究の間の、疾患の徴候を示した。全ての(10/10)マウスは、研究停止時に健康だと思われた。
【0371】
バーキットリンパ腫細胞系Daudi(ATCC CCL-213、Klein、Cancer Res.28:1300〜1310頁、1968年)に基づく癌の第3のモデルを用いるin vivo研究を、実施した。Daudi細胞は、CD38
+である。
(方法:)
【0372】
6〜8週齢のNOD-SCIDマウスに、200rad(
60Co)による照射の1日後、50% Matrigel中の1×10
7のDaudiバーキットリンパ腫腫瘍細胞を、脇腹に皮下注射した。平均腫瘍サイズが169mm
3に達したとき(20日目)、マウスを、各10匹のマウスの5コホートにグループ化し、処置を開始した。全ての処置を、4週間にわたって、週に2回のi.p.によって与えた。インターフェロン-α(2百万単位(MIU)/用量)を除く全ての化合物を、200μg/用量(およそ10mg/kg)で投薬した。腫瘍体積を、週に2回、カリパス測定によって測定した。エンドポイントは、2,000mm
3の腫瘍体積であった。
(結果:)
【0373】
結果を、
図49に示す。このバーキットリンパ腫s.c.腫瘍の裸の抗CD38抗体(黒四角)による処置は、ビヒクルと比較して、これらのマウスにおいて腫瘍増殖を有意に遅延しなかった(黒丸)。IFNα処置は、ビヒクルと比較して、腫瘍増殖の有意な遅延を生じた(5.5日間)が、このグループは、2,000mm
3エンドポイントに、40日目までに達した。非標的化アイソタイプ対照融合タンパク質構築物(アイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1;白逆三角)は、腫瘍増殖の遅延において有為な活性を示したが、57日目に2,000mm
3エンドポイントに達した。H929モデル(上記)において観察されるように、この非標的化活性は、インターフェロンの半減期の延長に起因する可能性が最も高く、したがって、サイトカインへの腫瘍の曝露を増大する。標的化抗CD38-弱毒化インターフェロン融合タンパク質構築物(黒三角)は、腫瘍を劇的に消失させ、30日目までに、触診可能な腫瘍を有したマウスはいなかった。しかし、この群のマウスのうち幾匹かは、処置の中断後、腫瘍の再増殖を示した。このデータのさらなる分析を、Table 36(表37)に示す。
【0374】
【表37】
【0375】
この異種移植実験は、CD38-標的化弱毒化IFNα融合タンパク質構築物は、多発性骨髄腫に加えて、リンパ腫の処置においても効果的であり得ることを示す。
【0376】
異なる用量の抗CD38-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物の効果を、骨髄腫腫瘍増殖において、非CD38-標的化融合タンパク質構築物と比較した。、これらの比較のために、NCI-H929 s.c.多発性骨髄腫モデルを使用した。
(方法:)
【0377】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスに、50% Matrigel中の1×10
7のNCI-H929腫瘍細胞を、脇腹に皮下注射した。平均腫瘍サイズが120〜150mm
3に達したとき、マウスを、各10匹のマウスの9コホートにグループ化し、処置を開始した(0時点)。全ての処置を、i.p.で、週2回5週にわたって与えた。2種の化合物、標的化抗CD38-弱毒化インターフェロン(灰色マーク)および非標的化アイソタイプ対照-インターフェロン(白マーク)を、異なる用量において、この研究において比較した(用量については、説明文を参照されたい)。腫瘍体積を、カリパス測定によって、週に2回測定した。エンドポイントは、2,000mm
3の腫瘍体積であった。
(結果:)
【0378】
結果を、
図50に示す。抗CD38-標的化弱毒化IFNα融合タンパク質構築物(G005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1)の用量滴定は、試験した化合物の全ての用量において(0.01mg/kgにおいてでさえ)、有意な有効性を実証した。完全な腫瘍消滅を、最も高い用量(10mg/kg)でのみ、10/10のマウスで観察した。対照的に、アイソタイプ対照-弱毒化IFN化合物(アイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1)は、最も高い用量(10mg/kg)でのみ、有意な活性を示した。0.01mg/kg用量のCD38標的化、弱毒化IFNは、1,000倍高い用量(10mg/kg)において、アイソタイプ対照弱毒化IFN融合タンパク質構築物に類似の抗腫瘍活性を示し、CD38-標的化の重要性を強調した。
【0379】
次の実施例は、本発明の抗体が、IgG4アイソタイプの抗体をも含むことを示す。
(方法:)
【0380】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスに、50% Matrigel中の1×10
7のNCI-H929腫瘍細胞を、脇腹に皮下注射した。平均腫瘍サイズが120〜150mm
3に達したとき、マウスを、各10匹のマウスの5コホートにグループ化し、処置を開始した(0時点)。全ての処置を、i.p.で、週2回、5週間にわたって行った。全ての化合物を、70μg/用量(約3.5mg/kg)で投薬した。腫瘍体積を、カリパス測定によって、週2回測定した。エンドポイントは、2,000mm
3であった。
(結果:)
【0381】
結果を、
図51に示す。この研究は、2つの異なるアイソタイプ様式;IgG1アイソタイプ(G005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1(標的化、黒四角)およびアイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1(非標的化、白四角))、ならびにIgG4アイソタイプ(配列番号148(重鎖)および134(軽鎖)からなるG005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG4)(標的化、黒ひし形)および配列番号350(重鎖)および344(軽鎖)からなるアイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG4(非標的化、白ひし形)における、標的化対非標的化の融合タンパク質構築物の活性を比較した。この研究におけるマウスは、100%の腫瘍消滅を観察した前の研究よりも、低用量で処置されることに、留意することが重要である。腫瘍体積は、驚くべきことに、このモデルにおいて、IgG4様式が、IgG1様式よりも効力が高いことを示す。ヒトIgG1抗体は、IgG4抗体よりも大きな効果または機能を有するが(Hooper、Ann Clin Lab Sci.;8:201、1978年;Ward、Ther Immunol、2:77、1995年)、IgG1様式は、IgG4様式よりも、あまり大きく差がなかったとしても、少なくともより効果的であることが予測されてきた。この研究の最後において、CD38標的化、弱毒化IFN、IgG4処置グループ(黒ひし形)における8/10のマウスが、腫瘍なしであり、一方、IgG1様式対照グループ(黒四角)において、3/10のみが、腫瘍なしであった。
【0382】
次の実施例は、抗体-標的化IFNのIFNαの第2突然変異形態(A145がアスパラギン酸(D)に突然変異している)に対するin vivo有効性の観察に及ぶ。さらに、以下の実験は、異なる、すなわち、ヒト抗体クローンX355/02の可変領域に基づくCD38抗体(配列番号391(VH)および390(Vλ))を利用する。この構築物と以前のin vivo実験において示されたものとの間の第3の相違は、リンカーが除去されている(「L0」と呼ぶ)、すなわち、突然変異したIFNαは、抗体重鎖のC末端に直接融合していることである。
(方法:)
【0383】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスに、50% Matrigel中の1×10
7のNCI-H929腫瘍細胞を、脇腹に皮下注射した。平均腫瘍サイズが120〜150mm
3に達したとき、マウスを、各10匹のマウスの3コホートにグループ化し、処置を開始した(0時点)。全ての処置を、i.p.で、週2回5週にわたって与えた。全ての化合物を、60μg/用量(およそ3mg/kg)で投薬した。腫瘍体積を、カリパス測定によって、週2回測定した。エンドポイントは、2,000mm
3の腫瘍体積であった。
(結果:)
【0384】
結果を、
図52に示す。この抗CD38-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物(配列番号232(重鎖)および226(軽鎖)からなるX355/02-HC-L0-IFNα(A145D)IgG4)もまた、腫瘍消滅において非常に効果的であり、in vivoモデルにおいて、CD38-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物が効果的にヒト骨髄腫を処置する能力が、1つの可変ドメイン、IFNα突然変異または抗体とIFNとの間のリンカーに制限されないことを示す。アイソタイプ対照融合タンパク質構築物は、有意に低い抗骨髄腫活性を示し、CD38ベースの標的化と一致した。
【0385】
次の実施例は、抗CD38抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物が、同じ上述の異種移植モデルにおいて、多発性骨髄腫を処置するために使用される標準的薬物よりも効果的であることを示す。
(方法:)
【0386】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスに、50% Matrigel中の1×10
7のNCI-H929腫瘍細胞を、脇腹に皮下注射した。平均腫瘍サイズが120〜150mm
3に達したとき、マウスを、各10匹のマウスのコホートにグループ化し、処置を開始した(0時点)。処置を、説明文中に記載される用量およびレジメンで投与した。腫瘍体積を、カリパス測定によって、週2回測定した。エンドポイントは、2,000mm
3であった。
(結果:)
【0387】
結果を、
図53に示す。この研究において、抗CD38標的化融合タンパク質構築物(配列番号180(重鎖)および134(軽鎖)からなるG005-HC-L0-IFNα(A145D)IgG4)の活性を、ボルテゾミブ(Velcade)、メルファラン(Alkeran)、およびデキサメタゾンの標準的治療と比較した。抗CD38標的化、弱毒化インターフェロングループのうち、8/10は、60日目に、腫瘍なしであり(黒三角)、他方、他のグループの全てのマウスは、50日目までにエンドポイントに達した。
【0388】
次の実施例は、融合タンパク質構築物が単回用量で与えられた場合でさえ、抗CD38-弱毒化IFN融合タンパク質構築物が、マウスモデルにおいて確立したヒト多発性骨髄腫腫瘍を完全に消滅し得ることを示す。
(方法:)
【0389】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスに、50% Matrigel中の1×10
7のNCI-H929腫瘍細胞を、脇腹に皮下注射した。平均腫瘍サイズが120〜150mm
3に達したとき、マウスを、各10匹のマウスのコホートにグループ化し、処置を開始した(T0)。抗CD38抗体-弱毒化インターフェロン融合タンパク質構築物による処置を、以下のレジメンに従って投与した:0日目における単回用量(黒三角)、2回用量(0日目および3日目;黒四角)、4回用量(0日目、3日目、8日目、および11日目;黒ひし形)および6回用量(0日目、3日目、8日目、11日目、15日目および18日目;黒丸)。1つのコホートに、アイソタイプ対照-弱毒化インターフェロン融合タンパク質構築物の6回用量を、0日目、3日目、8日目、11日目、15日目および18日目に与えた(白四角)。ビヒクル処置グループを、灰色丸で示した。腫瘍体積を、カリパス測定によって、週2回測定した。エンドポイントは、2,000mm
3であった。
(結果:)
【0390】
結果を、
図54に示す。この研究は、驚くべきことに、単回用量のG005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG4融合タンパク質構築物が、全ての10/10のマウスにおいて、15日目までに確立した腫瘍を消滅させるために十分であったことを示した;さらに、この単回用量グループにおいて、60日目までに、いずれのマウスにおいても、腫瘍は再増殖しなかった。標的化弱毒化インターフェロンによる全ての4回投薬レジメンについて、このことは真実であった。アイソタイプ対照グループは、6回用量レジメンにおいてのみ試験し、明らかに低い活性を示した。抗腫瘍治療は、有効性を観察するために典型的に多数回投薬されるので、化合物の単回用量が確立された多発性骨髄腫腫瘍の動物を効果的に癒すことは、過去に例がなく、非常に驚くべきことである。
【0391】
次の実施例は、非常に大型の腫瘍でさえが、抗CD38-弱毒化IFN融合タンパク質構築物による処置によって消滅し得ることを実証する。
(方法:)
【0392】
直前の研究の1つのコホート(n=9)は、平均腫瘍体積が730mm
3に達するまで処置されなかった。次いで、このコホートに、6回用量の抗CD38標的化、弱毒化インターフェロンを、12日目、15日目、19日目、22日目、26日目および29日目(矢印)に与えた。
(結果:)
【0393】
結果を、
図55に示す。このコホートにおける8/9匹のマウスは、30日目までに完全な腫瘍消滅を示し、これらのマウスのいずれにおいても、研究の最後までに、腫瘍の再出現はなかった。これらのマウスのうち3匹は、1000mm
3よりも大きな腫瘍を有していた。骨髄腫により死んだマウスのみが、処置の開始時点で、1,800mm
3の腫瘍体積を有した;これは、後日、2,000mm
3エンドポイントに達した。この結果は、非常に驚くべきであり、他の化合物は、いかなる動物モデルにおいても、このサイズの骨髄腫腫瘍を消滅させたことが報告されていない。
【0394】
上記のin vitro実験において(Table 27(表28))、抗体が、試験される細胞に対して弱毒化IFNαを標的しない条件下で(オフターゲットアッセイ)、G005-HC-L6-IFNα(A145G)IgG4融合タンパク質構築物は、遊離の野生型IFNα2bの、約25,000分の1の低さの効力を有することを示した。以下の実験は、融合タンパク質構築物が、IFNαの毒性に相当するIFN活性のex vivoアッセイにおいても、IFN活性の劇的な弱毒化を示すか否かを決定することを目的とした。造血におけるIFNαのこの効果は、一次ヒト骨髄単核細胞に由来するコロニー形成単位数に対するIFNαの効果を決定することにより、ex vivoで測定され得る。IFNα対抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物を、コロニー形成に対するその効果に関して比較した。
(方法:)
【0395】
3人のドナー由来の凍結正常ヒト骨髄単核細胞(AllCells,Inc.、Emeryville、CA)を、RPMI-1640培地および10%ウシ胎仔血清(FBS)(完全培地)中で融解し、そして同じ培地で2回洗浄した。洗浄後、細胞を、この培地中で、1.75×10
6細胞/mlにて保存した。細胞懸濁液を、MethoCult H4434古典培地(Stem Cell Technologies、カタログ番号04434)によって、0.7×l0
5細胞/mlの細胞終濃度にまで希釈した。次いで、細胞を、十分に混合し、この混合物の3mlを、各管に分注した。
【0396】
イントロンA(Schering Corp.Merck、NJ)および融合タンパク質構築物(G005-HC-L0-IFNα(145D)IgG4およびアイソタイプ-HC-L0-IFNα(145D)IgG4)を、完全培地中の10倍の連続希釈に希釈し、150μlの各希釈物を、Methocult H4434培地中の3mlの骨髄細胞を含む管に加えた。混合物を、35mm組織培養皿(Stem Cell Technologies、カタログ番号27115)につき1.1mlでプレート培養した。次いで、プレートを、十分に湿潤なインキュベーター内で、37℃にて5%CO
2を用いて、2週間にわたってインキュベートした。コロニーを、グリッドを引いたスコアリング皿(Stem Cell Technologies、カタログ番号27500)を用いて顕微鏡で計数し、プレートあたりのコロニーの数を記録した。所定の試験物質についてのコロニー回収百分率を、プレートあたりのコロニーの数を、試験物質を加えないプレート内のコロニーの数で除算することによって、計算した。全部で3種のヒト骨髄MNCを、この方法を用いて試験した。
(結果:)
【0397】
この結果を、
図56に示す。このデータは、標的化(抗CD38、G005)および非標的化(アイソタイプ;2D12)の両方の弱毒化インターフェロン融合タンパク質構築物が、類似の活性を有することを示し、このことは、標的化処置によって、コロニー形成の非常に僅かな阻害しか観察されなかったため、正常骨髄細胞において観察されたCD38発現は、コロニー形成細胞上で発現されない可能性が高いことを示す。両融合タンパク質構築物は、コロニー形成の阻害において、野生型遊離IFNαのおよそ10,000分の1の低さの活性を有し、したがって、A145D突然変異は、抗体-IFNα融合タンパク質構築物のIFN活性を弱毒化することを確認し、このことは、このような弱毒化IFN-抗体融合タンパク質構築物は、IFNα自体と比較して、より優れた安全性プロフィールを有することを示唆する。
【0398】
ex vivoで測定され得るIFNαの別の活性は、サイトカインおよびケモカイン分泌の刺激である。正常ヒトPBMCを、種々の濃度のIFNα対抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物アイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1(2D12抗体に基づく)によって刺激し、得られたサイトカイン産生を測定した。
(方法:)
【0399】
4人の正常なドナーに由来する正常ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Xvivo-15培地(Lonza、カタログ番号04-418Q)で洗浄し、同じ培地中に、1×10
6細胞/mlの細胞密度に再懸濁した。次いで、この細胞を、4mg/mlのヒトIgGと共に、37℃で30分間インキュベートし、全ての非特異的IgG結合をブロックした。次いで、洗浄せずに、細胞の250μlアリコートを、24ウェル組織培養処理プレートのウェルに添加した。これらのウェルに、250μlの遊離のIFNαまたはIgG-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物(アイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1;アイソタイプ抗体は2D12である)を、種々の濃度で加えた。次いで、プレートを、一晩、37℃で5% CO
2内でインキュベートした。翌日、このプレートをスピンダウンし、200μlの上清を、各ウェルから回収した。上清を、Luminexサイトカインアッセイを用いた分析まで冷凍して保存した。
【0400】
Luminexアッセイ:Millipore製のPremix 42-plex(カタログ番号MPXHCYTO60KPMX42)を使用し、本発明者らは、試験物質によって刺激されたPBMCによって産生された、ヒトサイトカインのレベルを測定し得た。培養物上清を、事前混合したポリスチレンマイクロビーズ(製造業者の指示に従って抗サイトカイン抗体でコートされている)と共にインキュベートした。洗浄後、ビオチン化検出抗体カクテルを、ビーズ捕捉分析物に導入した。最終的に、反応混合物を、ストレプトアビジンPEと共にインキュベートし、PEの蛍光強度を、Luminexアナライザ上で測定した。結果を、キット内に提供された対照に基づいて構築した標準曲線に内挿した。
(結果:)
【0401】
結果を、
図57に示す。4種のサイトカイン(IP-10、MCP-1、MCP-3およびIL-1α)は、IFNα曝露に応答して、一貫して上方制御された。抗体-弱毒化IFNα融合タンパク質構築物(アイソタイプ-HC-L6-IFNα(A145G)IgG1)は、野生型IFNα刺激と比較して、1,000〜5,000分の1に低減された効力を有した。このことは、突然変異は、生物学的活性の有意な弱毒化をもたらすことを確認した。パネル(a)は、IP-10(約1,000分の1の弱毒化と推定される)およびMCP-1(約5,000分の1の弱毒化と推定される)についての用量応答曲線を示す;パネル(b)は、MCP-3(約2,500分の1の弱毒化と推定される)およびIL1α(約1,300分の1の弱毒化と推定される)についての用量応答曲線を示す。
(配列表)
【0402】
【表38A】
【0403】
【表38B】
【0404】
【表38C】
【0405】
【表39A】
【0406】
【表39B】
【0407】
【表39C】
【0408】
【表39D】
【0409】
【表39E】
【0410】
【表39F】
【0411】
【表39G】
【0412】
【表39H】
【0413】
【表39I】
【0414】
【表39J】
【0415】
【表39K】
【0416】
【表39L】
【0417】
【表39M】
【0418】
【表39N】
【0419】
【表39O】
【0420】
【表40A】
【0421】
【表40B】
【0422】
【表41】
抗体またはその抗原結合部分が抗原と結合し、抗原が、12,600コピー/細胞を超えるまたは15,000コピー/細胞を超える密度で細胞上に存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
抗体またはその抗原結合部分が、50nMから、25nMから、10nMから、または5nMから1pMまでの親和性で細胞表面関連抗原と結合する、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。