前記鞍乗型車両用認証操作装置は、回転可能に設けられたシャフトと、前記シャフトに接続され、前記鞍乗型車両の機能を切替えるための操作を受け付けて前記シャフトと共に回転する回転操作部であって、前記鞍乗型車両の機能に対応した操作位置が設定された回転操作部と、前記シャフトと別の部材からなり前記シャフトに接続されたカム部材であって、前記シャフトよりも大きい外径を有し、前記操作位置に対応する溝が設けられたカム部材と、前記カム部材の溝に挿入されることで、前記回転操作部の回転を阻止する阻止部と、前記認証システムにおける認証の結果に応じて前記阻止部を、前記カム部材の溝に対し挿入された位置と前記溝から待避した位置との間で移動させるアクチュエータ部とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
鞍乗型車両の認証システムに用いられる鞍乗型車両用認証操作装置(以降、認証操作装置と称する)について、本発明者が行った検討について説明する。
【0020】
認証操作装置では、回転操作部が、シャフトと共に回転するとともに、設定された操作位置に回転する。このような認証操作装置では、通常、回転操作部の回転を阻止する阻止部がシャフトの溝に挿入されることによって、回転が阻止される。
例えば、特許文献1に示すスマートモジュールユニットのイグニッションノブロック機構では、ロックピンが係合することでノブが回動不能となる。ソレノイドに通電したときのみ、ロックピンの係合が外れてノブの回動動作が許可される。
【0021】
認証システムに用いられる認証操作装置は、認証の結果に応じて阻止部を移動させるためのアクチュエータ部を備えている。このため、認証システムの認証操作装置は、例えば、携帯機を用いた認証を行わない装置と比べてサイズが大きい。
【0022】
仮に、認証操作装置において、鞍乗型車両における所望の機能の種類に対応して回転操作部の操作位置を増加させる場合、阻止部と係合するシャフトの溝を増加させる必要がある。シャフトの溝を増加するためには、溝が配置されるスペースを確保するため、太い径のシャフトを用いることが求められる。シャフトの径が太くなると、スマートモジュールユニットが大型化してしまう。
【0023】
しかしながら、本発明者は、認証システムの認証操作装置に起因して、大型化を抑制しつつ、阻止部と係合するシャフトの溝を増加できることを見出した。
【0024】
アクチュエータ部によって駆動される阻止部と係合する部材として、シャフトと別のカム部材を設け、このカム部材に溝を設けることができる。カム部材の機能は、阻止部と係合することに限られている。カム部材は、シャフトが延びる方向においてシャフトより短い(薄い)。シャフトより短いカム部材の径を太くすることによって、シャフトの径を太くすることを避けることができる。
しかも、カム部材は、アクチュエータ部よって移動する阻止部と係合するため、アクチュエータ部の周辺に配置されている。アクチュエータ部は、認証を行う認証システムの認証操作装置に通常備えられている部分である。このアクチュエータ部の周辺の空間を利用して、シャフトの径より太いカム部材を配置することができる。
シャフトとは別のカム部材を用いることにより、シャフトの径を太くする場合と比べて、認証操作装置の大型化を抑えることができる。
【0025】
シャフトの径より大きな外径を有するカム部材に溝が設けられているので、阻止部と係合する溝を増加することができる。このため、鞍乗型車両における所望の機能の種類に対応した操作位置を回転操作部に設定することができる。従って、大型化が抑えつつ、操作位置の設計自由度を確保することができる。
【0026】
さらに、カム部材が、シャフトと別の部材であるため、例えば鞍乗型車両の機能の変更に応じて回転操作部の操作位置の設定を変更する場合に、カム部材のみを変更することによって変更に対応することができる。従って、更に高い設計自由度を確保することができる。
【0027】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づいて図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る認証操作装置が搭載された鞍乗型車両を示す側面図である。
図1に示す鞍乗型車両10は、自動二輪車である。鞍乗型車両10は、車体11及び2つの車輪12a,12bを備えている。車体11の車体フレーム13には、ヘッドパイプ14が備えられている。ヘッドパイプ14には、フロントフォーク16が支持されている。フロントフォーク16は、前輪12aを回転可能に支持している。フロントフォーク16は、ヘッドパイプの上方に配置されたハンドル17によって操舵可能なように、ヘッドパイプ14に支持されている。
【0029】
ヘッドパイプ14の前方には、ヘッドパイプ14の前方を覆うフロントカバー18が設けられている。ヘッドパイプ14の後方には、ヘッドパイプ14の後方を覆うレッグカバー19が設けられている。
レッグカバー19には、燃料タンク21の給油口(図示せず)にアクセスするためのフューエルリッド28が設けられている。フューエルリッド28は、レッグカバー19に開閉可能に設けられている。レッグカバー19には、フューエルリッド28をロックするためのリッドロック28aが設けられている。リッドロック28aがロック状態から解放されるとフューエルリッド28が開く。
【0030】
鞍乗型車両10には、パワーユニット22及びバッテリ27も備えられている。パワーユニット22は、エンジン221を有する。パワーユニット22には、後輪12bが支持されている。パワーユニット22は、後輪12bを駆動することによって鞍乗型車両10を駆動する。ハンドル17には、エンジン221を始動するためのスタートスイッチ26が設けられている。
【0031】
鞍乗型車両10の車体11には、運転者が着座するためのシート23が設けられている。シート23の下方には、収納ボックス24が設けられている。シート23は、開閉可能に車体11に支持されている。鞍乗型車両10の車体11には、シート23をロックするためのシートロック23aが設けられている。シートロック23aがロック状態から解放されると、シート23を開いて収納ボックス24内にアクセスすることができる。
【0032】
シート23及びフューエルリッド28は、鞍乗型車両10に設けられた開閉部の一例に相当する。
【0033】
[鞍乗型車両用認証システム]
鞍乗型車両10は、鞍乗型車両用認証システムCを備えている。鞍乗型車両用認証システムCは、パワーユニット制御部30、携帯機40、認証制御部50、及び認証操作装置60を備えている。
【0034】
パワーユニット制御部30は、鞍乗型車両10に設けられている。パワーユニット制御部30は、パワーユニット22を制御する。パワーユニット制御部30は、エンジン221における燃料噴射及び点火タイミングを制御する。パワーユニット制御部30は、エンジン221に燃料を供給する図示しないポンプの動作も制御する。
【0035】
携帯機40は、鞍乗型車両10と物理的に別個に構成されている。携帯機40は、鞍乗型車両10の車体11及び車輪12a,12bと物理的に別個に構成されている。携帯機40は、図示しない送受信部を備えている。携帯機40は、通常、鞍乗型車両10の運転者に携帯される。携帯機40は、無線通信を介した鞍乗型車両10の使用についての認証に用いられる。携帯機40は、携帯機40の外部から要求信号を受信すると、携帯機40に記憶されたコードを表す応答信号を送信する。
【0036】
認証制御部50は、鞍乗型車両10に設けられている。認証制御部50は、図示しない送受信部を備えている。認証制御部50は、携帯機40と通信することにより、鞍乗型車両10の使用についての認証の確認動作を行う。詳細には、認証制御部50は、携帯機40に要求信号を無線で送信する。認証制御部50は、要求信号に応じて携帯機40から無線で送信されてきた応答信号で表されるコードが、鞍乗型車両10に対応づけて予め記憶されたコードと一致するか否か照会する。両者が一致することによって認証が確認される。認証制御部50は、パワーユニット制御部30と通信可能に接続されている。
【0037】
認証操作装置60は、鞍乗型車両10に設けられている。認証操作装置60は、ヘッドパイプ14の後方に配置されたレッグカバー19の内部に設けられている。認証操作装置60の一部は、レッグカバー19の外部に露出している。つまり、認証操作装置60は、認証操作装置60の一部が鞍乗型車両10の外部に露出するように、鞍乗型車両10に設けられている。認証操作装置60は、運転者の操作を受け付ける。鞍乗型車両10は、認証操作装置60によって受け付けられた操作に基づいて、鞍乗型車両10の各部を動作させたり、鞍乗型車両10の状態を切替えたりするように構成されている。
認証操作装置60は、ハンドル17の回転を阻止するハンドルロックの機能も有している。
【0038】
パワーユニット制御部30及び認証制御部50のそれぞれは、図示しない演算装置、及び記憶装置を備えている。パワーユニット制御部30及び認証制御部50のそれぞれでは、演算装置が記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、機能を実現している。
【0039】
[認証操作装置]
図2は、
図1に示す認証操作装置60の外観を示す正面図である。
図2には、認証操作装置60のうち、レッグカバー19の外部に露出した正面部分が示されている。
【0040】
認証操作装置60は、メイン操作部61及びサブ操作部81,82を備えている。
メイン操作部61及びサブ操作部81,82は、鞍乗型車両10の状態を切替えるための操作を受付ける。メイン操作部61は、鞍乗型車両用認証システムCの状態を切替えるための操作を受付ける。メイン操作部61は、パワーユニット制御部30及び認証制御部50の状態を切替えるための操作を受付ける。
メイン操作部61及びサブ操作部81,82のそれぞれは、一部が鞍乗型車両10の外部に露出するように、鞍乗型車両10に設けられている。メイン操作部61及びサブ操作部81,82のそれぞれの一部は、レッグカバー19の外部に露出している。
本実施形態におけるメイン操作部61は、回転操作の荷重を受けて回転する回転ノブである。メイン操作部61は、本発明にいう回転操作部の一例に相当する。
メイン操作部61には、鞍乗型車両10の機能に対応した操作位置が設定されている。メイン操作部61には、操作位置として、LOCK位置(ロック位置)、OFF位置(オフ位置)、OPEN位置(オープン位置)、及びON(オン位置)が設定されている。メイン操作部61は、回転操作を受けて、LOCK位置(ロック位置)、OFF位置(オフ位置)、OPEN位置(オープン位置)、及びON(オン位置)位置に回転する。また、メイン操作部61は、押込みの荷重を受けて押込まれることもできる。なお、回転の方向を区別する場合には、ON位置からOFF位置に向かうメイン操作部61の回転、即ち、
図2における反時計回りの回転を、逆回転と称する。
【0041】
サブ操作部81,82は、鞍乗型車両10に設けられたフューエルリッド28及びシート23を開くための操作を受付ける。サブ操作部81,82は、荷重を加える操作によって変位することでリッドロック28a及びシートロック23aをロック状態から開放する。本実施形態におけるサブ操作部81,82は、押込み操作の荷重を受けて押込まれる押しボタンである。サブ操作部81,82は、メイン操作部61に隣接して配置されている。
【0042】
図3は、
図2に示す認証操作装置60のシャフト69に沿った断面を示す縦断面図である。
図4は、認証操作装置60の構成を示す分解斜視図である。
図3には、認証操作装置60のうちのメイン操作部61の断面が示されている。
図3では部品の形状を見やすくするためハッチングの一部が省略されている。
図4では、各部品を見やすくするため、各部品が
図3に示す組立て時の配置とは異なる並び順で配置されている。
【0043】
鞍乗型車両用認証システムC(
図1参照)の認証操作装置60は、メイン操作部61、カバー62、ストッパ部63、プレートケース64、ロックプレート65(
図4参照)、ロックカム66、カバープレート67、ソレノイドカム68、シャフト69、ワッシャ70(
図4参照)、押付片71、リクエストスイッチ72、ロッククランク73、カムケース74、シリンダボディ75、ハンドルロックピン76(
図4参照)、スイッチ収納部77、ソレノイド部78、及び、ソレノイドカバー79を備えている。認証操作装置60のスイッチ収納部77は、
図4に示すように、オープンスイッチ77a及びメインスイッチ77bを備えている。
【0044】
メイン操作部61は、荷重を加える操作によって変位する。
シャフト69は、メイン操作部61に取付けられている。シャフト69は、認証操作装置60に回転可能に設けられている。シャフト69は、メイン操作部61に設けられた回転機構として機能する。シャフト69は、メイン操作部61が回転操作を受付けて回転するようにメイン操作部61に設けられている。メイン操作部61は、シャフト69と共に回転する。
操作によるメイン操作部61の変位には、押込み方向Pへの移動と、シャフト69を回転中心とした回転とがある。押込み方向Pは、メイン操作部61から、プレートケース64に向かう方向である。押込み方向Pは、鞍乗型車両10のレッグカバー19の外部に露出した認証操作装置60の正面から、レッグカバー19の内部へ向かう向きである。
メイン操作部61は、回転操作の荷重を受け、シャフト69を回転中心としてシャフト69と共に回転する。
【0045】
押付片71は、シャフト69の押込み方向Pへの移動と連動して押込み方向Pに移動するように、シャフト69に取付けられている。
メイン操作部61が押込み方向Pへ押込まれると、押付片71は、リクエストスイッチ72を押すことでリクエストスイッチ72を作動させる。リクエストスイッチ72は、メイン操作部61が押込まれた状態を表す信号を認証制御部50に供給する。
ストッパ部63は、メイン操作部61を、押込み方向Pとは逆方向に付勢する。押込み方向Pに押込まれたメイン操作部61が押込み方向Pへの押込みの荷重から解放されると、メイン操作部61は、押込み方向Pとは逆方向に戻るように変位する。
【0046】
ロックカム66、ソレノイドカム68、及び、ロッククランク73は、メイン操作部61及びシャフト69の回転と共に回転するように、シャフト69に取付けられている。
【0047】
ソレノイドカム68は、本発明にいうカム部材の一例である。ソレノイド部78は、本発明にいうアクチュエータ部の一例である。係止部781は、本発明にいう阻止部の一例である。
【0048】
[ソレノイドカム]
ソレノイドカム68は、シャフト69と別の部材である。ソレノイドカム68は、メイン操作部61と別の部材である。ソレノイドカム68は、中央に穴が設けられた円盤状の部材である。ソレノイドカム68は、シャフト69より大きい外径を有する。シャフト69が延びる方向、即ち押込み方向Pにおいて、ソレノイドカム68の長さ(厚さ)は、シャフト69の長さより短い。ソレノイドカム68の長さ(厚さ)は、円盤状であるソレノイドカム68の外径より短い。ソレノイドカム68は、メイン操作部61と離れた位置に配置されている。ソレノイドカム68の外径は、メイン操作部61の外径よりも小さい。
ソレノイドカム68は、カムケース74に収容されている。ソレノイドカム68は、シャフト69に接続されている。シャフト69は、ソレノイドカム68を貫通している。ソレノイドカム68は、シャフト69の回転と共に回転する。
【0049】
図5は、ソレノイドカム68を、シャフト69が延びる方向に見た図である。
図5には、ソレノイドカム68を、メイン操作部61から、押込み方向P(
図4参照)に向かって見た形状が示されている。
図5に示すソレノイドカム68の姿勢は、
図2に示すメイン操作部61の姿勢に対応している。
【0050】
ソレノイドカム68には、溝68a〜68cが設けられている。溝68a〜68cは、ソレノイドカム68の外周面に設けられている。ソレノイド部78(
図4参照)の係止部781は、溝68a〜68cに挿入される。
図5には、係止部781の位置が示されている。
溝68a〜68cは、
図2に示すメイン操作部61のOPEN位置、OFF位置、及びLOCK位置にそれぞれ対応して配置されている。ソレノイドカム68は、メイン操作部61の回転と共に回転する。メイン操作部61がOPEN位置(
図2参照)にある場合、係止部781と対向する位置(
図5において係止部781が上から挿入される位置)に、OPEN位置に対応する溝68cが配置される。メイン操作部61がOFF位置(
図2参照)にある場合、係止部781と対向する位置に、OFF位置に対応する溝68bが配置される。メイン操作部61がLOCK位置(
図2参照)にある場合、係止部781と対向する位置に、LOCK位置に対応する溝68aが配置される。なお、
図2に示すメイン操作部61のON位置(
図2参照)に対応する位置に、溝は設けられていない。
OPEN位置に対応する溝68cには、カム斜面68sが設けられている。カム斜面68sは、ソレノイドカム68の周方向で溝68cの両側にある段部のうち、一方に設けられている。カム斜面68sは、OFF位置に対応する溝68b寄りに配置されている。
【0051】
図4に示すソレノイド部78は、ソレノイドカム68の溝68a〜68cに入る係止部781を有している。係止部781は棒状である。係止部781はソレノイド部78のプランジャと一体化している。ソレノイド部78は、プル型ソレノイドからなる。係止部781は、ソレノイド部78が備える付勢部材(図示せず)によって、ソレノイドカム68に向かって付勢されている。
【0052】
ソレノイド部78への通電を行うか否かは、認証制御部50によって制御される。ソレノイド部78は、認証制御部50による認証の結果に応じて、係止部781を、ソレノイドカム68の溝68a〜68cに挿入された位置と、溝68a〜68cから待避した位置との間で移動させる。
【0053】
ソレノイド部78が通電されない状態で、ソレノイド部78の係止部781がソレノイドカム68の溝68a〜68cに挿入される。係止部781がソレノイドカム68の溝68a〜68cに入った状態では、メイン操作部61の回転が阻止される。つまり、ソレノイド部78及び係止部781は、メイン操作部61の変位を阻止する。
ソレノイド部78が通電されると、係止部781がソレノイドカム68の溝68a〜68cから待避する。つまり、ソレノイド部78及び係止部781は、メイン操作部61の変位の阻止を解除する。この結果、メイン操作部61が回転可能となる。
ソレノイド部78は、認証制御部50の認証の結果に応じてメイン操作部61の変位を阻止する。ソレノイド部78への通電を行うか否かは、認証制御部50の認証結果に応じて制御される。ソレノイド部78及び係止部781は、認証制御部50の認証が認められない場合に、メイン操作部61の変位を阻止する。また、ソレノイド部78及び係止部781は、認証制御部50による認証が認められた場合に、メイン操作部61の変位の阻止を解除する。
【0054】
溝68a〜68cの配置及び形状によって、メイン操作部61には、ソレノイド部78が通電した場合のみメイン操作部61が回転可能となる操作位置と、ソレノイド部78の通電に拘わらずメイン操作部61が回転可能な操作位置とが設定される。
【0055】
図5に示すソレノイドカム68の溝68bは、メイン操作部61のOFF位置(
図2参照)に対応する位置に設けられている。このため、
図2に示すメイン操作部61がOFF位置にある場合、ソレノイド部78が通電した場合のみメイン操作部61が回転可能である。
また、ソレノイドカム68の溝68aは、メイン操作部61のLOCK位置(
図2参照)に対応する位置に設けられている。このため、
図2に示すメイン操作部61がLOCK位置にある場合、ソレノイド部78が通電した場合のみメイン操作部61が回転可能である。
【0056】
図5に示すソレノイドカム68における、メイン操作部61のON位置(
図2参照)に対応する位置に、溝は設けられていない。このため、
図2に示すメイン操作部61がON位置にある場合、ソレノイド部78の通電/非通電に拘わらずメイン操作部61が回転可能である。
【0057】
図5に示すソレノイドカム68において、メイン操作部61のOPEN位置(
図2参照)に対応する位置に、溝68cが設けられている。このため、
図2に示すメイン操作部61がON位置にあるとき、ソレノイド部78が通電した場合のみ、メイン操作部61がON位置に回転可能である。ただし、溝68cでは、OFF位置に対応する溝68b寄りに、カム斜面68sが設けられている。このため、
図2に示すメイン操作部61がOPEN位置からOFF位置に逆回転する場合、カム斜面68sが、溝68cに挿入された係止部781を溝68cから押し出す。従って、
図2に示すメイン操作部61がOPEN位置にある場合、ソレノイド部78の通電/非通電に拘わらず、メイン操作部61のOFF位置への回転が許容される。
【0058】
図4に示すロックカム66は、プレートケース64とカバープレート67の間に配置されている。ロックカム66は、ロックプレート65とカム係合している。ロックカム66には、カム溝66aが設けられている。ロックプレート65は、ロックカム66のカムフォロワとして機能する。
ロックプレート65及びロックカム66は、サブ阻止部の一例に相当する。
メイン操作部61の回転に伴いロックカム66が回転すると、ロックカム66の位置に応じて、ロックプレート65が、阻止位置と待避位置との間で移動する。メイン操作部61がOPEN位置にある時、ロックプレート65が待避位置にある。ロックプレート65が阻止位置にある場合、サブ操作部81,82の変位が阻止される。ロックプレート65が待避位置にある場合、サブ操作部81,82の変位が許容される。
【0059】
認証操作装置60は、ハンドル17の操作を阻止する機能を有している。メイン操作部61がLOCK位置に回転する時、メイン操作部61と共に回転するロッククランク73によって、ハンドルロックピン76が、ハンドル17の回転を阻止する位置に押し出される。
【0060】
スイッチ収納部77には、オープンスイッチ77a及びメインスイッチ77bが収納されている。メイン操作部61がOPEN位置(
図2参照)にある時、オープンスイッチ77aが動作する。オープンスイッチ77aは、メイン操作部61がOPEN位置に変位したことを表す信号を認証制御部50に供給する。メイン操作部61がON位置(
図2参照)にある時、メインスイッチ77bが動作する。メインスイッチ77bは、メイン操作部61がON位置に変位したことを表す信号を認証制御部50に供給する。
【0061】
認証制御部50は、リクエストスイッチ72、オープンスイッチ77a、及びメインスイッチ77bの信号によって、メイン操作部61の変位に基づく鞍乗型車両用認証システムCの状態を判別する。認証制御部50は、ソレノイド部78の通電を制御することによって、メイン操作部61の操作による変位を制御する。
【0062】
[サブ操作部]
サブ操作部81,82は、荷重を加える操作によって変位する。本実施形態におけるサブ操作部81,82は、押込み方向Pへの押込みの荷重を受けて押込み方向Pへ押込まれる押しボタンである。一方のサブ操作部81とリッドロック28aとの間には、図示しないワイヤが接続されている。サブ操作部81が、荷重を受けて変位すると、ワイヤを介して変位が伝達され、リッドロック28aがロック状態から開放される。
また、他方のサブ操作部82とシートロック23aとの間にも、図示しないワイヤが接続されている。サブ操作部82が、荷重を受けて変位すると、ワイヤを介して変位が伝達され、シートロック23aのロックが解除される。従って、シート23を開くことができる。
【0063】
[鞍乗型車両用認証システムの状態]
図6は、
図1に示す鞍乗型車両用認証システムCの状態を示す状態遷移図である。
図6状態遷移図における各枠は、鞍乗型車両用認証システムCの状態を表す。枠と枠を繋ぐ矢印は、鞍乗型車両用認証システムCの状態の遷移を表す。
図6では、遷移の条件が、前記矢印に付されている。
図6は、認証制御部50及びパワーユニット制御部30の動作も示している。
【0064】
鞍乗型車両用認証システムCは、ハンドルロック状態Q1、オフ状態Q2、認証確認状態Q3、認証確認済み状態Q4、パワーユニットオン状態Q5、及び、エンジン動作状態Q6を有する。なお、
図6では、説明の便宜上、ハンドルロック状態Q1が、オフ状態Q2と別に記載されている。ハンドルロック状態Q1では、パワーユニット制御部30の電源がオフ、且つ認証制御部50による認証が行われていない。従って、ハンドルロック状態Q1は、オフ状態Q2に含まれる。このため、鞍乗型車両用認証システムCがハンドルロック状態Q1である時には、実際には、鞍乗型車両用認証システムCは、ハンドルロック状態Q1であり且つオフ状態Q2である。
また、
図6では、説明の便宜上、エンジン動作状態Q6が、パワーユニットオン状態Q5と別に記載されている。エンジン動作状態Q6では、パワーユニット制御部30の電源がオン、且つ認証制御部50による認証が確認済みである。従って、エンジン動作状態Q6は、パワーユニットオン状態Q5に含まれる。このため、鞍乗型車両用認証システムCがエンジン動作状態Q6である時には、実際には、鞍乗型車両用認証システムCは、パワーユニットオン状態Q5であり且つエンジン動作状態Q6である。
【0065】
ハンドルロック状態Q1、オフ状態Q2、認証確認済み状態Q4、及びパワーユニットオン状態Q5は、
図2に示すメイン操作部61のLOCK位置、OFF位置、OPEN位置、及びON位置にそれぞれ対応している。オフ状態Q2と認証確認状態Q3は、
図2における共通のOFF位置に対応している。しかし、オフ状態Q2と認証確認状態Q3とでは、メイン操作部61が押込み方向Pへ押込まれたか否かにおいて変位の経緯が異なる。
【0066】
鞍乗型車両用認証システムCの状態は、オフ状態Q2から、認証確認状態Q3、及び、認証確認済み状態Q4を経由して、パワーユニットオン状態Q5に切替え可能となっている。
【0067】
図7(A)〜
図7(C)は、
図3に示した認証操作装置60の一部を抜き出して示した概略縦断面図である。
図7(A)〜
図7(C)のそれぞれには、認証操作装置60全体の輪郭と、メイン操作部61、プレートケース64、ロックカム66、ソレノイドカム68、シャフト69、押付片71、リクエストスイッチ72、及びソレノイド部78が示されている。
図7(A)は、オフ状態Q2におけるメイン操作部61を示している。
図7(B)は、認証確認状態Q3におけるメイン操作部61を示している。
図7(C)は、認証確認状態Q3において認証が認められた場合の状態を示している。
図7(A)〜
図7(C)の概略縦断面図では、ハッチングが省略されている。
【0068】
図8(A)〜
図8(C)は、
図7(A)に示すシャフト69が延びる方向に見た、ソレノイドカム68及びソレノイド部78を示す横断面図である。
図8(A)は、オフ状態Q2を示している。
図8(B)は、認証確認状態Q3において認証が認められた場合の状態を示している。
図8(C)は、認証確認済み状態Q4を示している。
図8(A)〜
図8(C)に示すように、ソレノイドカム68には、メイン操作部61のLOCK位置、OFF位置、及びON位置(
図2参照)に対応する位置に溝68a〜68cが設けられている。
【0069】
図6に示す各状態について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0070】
(オフ状態Q2)
オフ状態Q2は、パワーユニット制御部30の電源がオフであり、且つ認証制御部50による認証が行われていない状態である。
オフ状態Q2は、メイン操作部61が、
図2に示すOFFの位置にある状態である。
オフ状態Q2において、ソレノイド部78は通電されていない。従って、
図7(A)及び
図8(A)に示すように、ソレノイド部78の係止部781がソレノイドカム68の溝68bに挿入されている。このためメイン操作部61は、回転操作の荷重を受けても回転することができない。メイン操作部61の回転は、ソレノイド部78及び係止部781によって阻止されている。
【0071】
(認証確認状態Q3)
図7(A)のオフ状態Q2において、メイン操作部61に対して押込み方向Pへの押込み操作が行われることによって、
図7(B)に示すように、メイン操作部61が押込み方向Pへ押込まれる。つまり、メイン操作部61が変位する。メイン操作部61が押込まれることによって、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、オフ状態Q2から、認証確認状態Q3に遷移する。
【0072】
図7(B)に示すように、メイン操作部61が押込まれると、メイン操作部61と共に押込まれるシャフト69に取付けられた押付片71が、リクエストスイッチ72を動作させる。
リクエストスイッチ72の動作によって、認証制御部50が、認証確認状態Q3への遷移を判別する。認証確認状態Q3において、認証制御部50は、携帯機40と通信することにより、鞍乗型車両10の使用についての認証の確認動作を行う。詳細には、認証制御部50が、携帯機40に要求信号を無線で送信する。認証制御部50は、要求信号に応じて携帯機40から無線で送信されてきた応答信号で表されるコードが、鞍乗型車両10に対応するコードと一致するか否か照会する。両者が一致することによって認証が確認される。
【0073】
認証が確認された場合、認証制御部50は、ソレノイド部78に通電する。ソレノイド部78が通電されると、係止部781がソレノイドカム68の溝68b(
図5参照)から待避する。
図7(C)及び
図8(B)は、認証確認状態Q3において、係止部781がソレノイドカム68の溝68bから待避した状態を示している。
図7(C)に示す状態は、認証確認状態Q3で認証制御部50による認証が認められた状態である。認証が認められた状態では、係止部781がソレノイドカム68の溝68bから待避しているので、メイン操作部61が回転可能となる。
【0074】
また、認証が認められてから所定時間が経過した場合、認証制御部50は、ソレノイド部78の通電を停止する。この場合、係止部781の状態が、
図7(C)に示すように溝68bに入り込んでいない状態から、
図7(A)に示すように溝68b(
図5参照)に挿入された状態になる。
【0075】
認証確認状態Q3において認証が認められない場合、認証制御部50は、ソレノイド部78に通電しない。従って、係止部781がソレノイドカム68の溝68bに入り込んだ状態が維持される。この場合、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認状態Q3から、
図8(A)に示すオフ状態Q2に戻る。
また、上述したように、認証が認められた場合であっても、次の荷重を加える操作がないまま、所定時間が経過した場合にも、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認状態Q3から、
図8(A)に示すオフ状態Q2に戻る。このとき、ソレノイドカム68の溝68bから待避していた係止部781が溝68bに入り込む。所定時間が経過した場合に、オフ状態Q2に戻ることによって、ソレノイド部78に通電されたままの状態が長時間続く事態の発生が抑えられる。
【0076】
認証確認状態Q3における認証が認められた場合、係止部781がソレノイドカム68の溝68bから待避する。その結果、メイン操作部61が変位可能になる。この場合、メイン操作部61に対して回転操作が行われることによってメイン操作部61がOFF位置からOPEN位置に回転する。これにより、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認状態Q3から認証確認済み状態Q4に遷移する。
【0077】
(認証確認済み状態Q4)
認証確認済み状態Q4は、認証確認状態Q3で認証制御部50による認証が認められた場合に、メイン操作部61に対して回転操作が行われることによってメイン操作部61が回転することにより認証確認状態Q3から遷移する状態である。詳細には、認証確認済み状態Q4は、メイン操作部61が、OFF位置から、OPEN位置に向かう回転操作の荷重を受け、OPEN位置に回転することによって、認証確認状態Q3から遷移する状態である。なお、
図2に示すメイン操作部61に対してOFF位置からOPEN位置に向かう回転の向きは、
図2における時計回りである。
図2に示すメイン操作部61は、OPEN位置に位置している。
図2は、認証確認済み状態Q4を示している。
認証確認状態Q3では、
図8(C)に示すように、係止部781がソレノイドカム68の溝68cと対向する。係止部781は、所定時間が経過した場合、溝68cに挿入される。
認証確認済み状態Q4では、パワーユニット制御部30の電源がオフ、且つ認証制御部50による認証が確認済みである。認証確認済み状態Q4とオフ状態Q2とは、認証の状態において異なるが、パワーユニット制御部30の電源がオフである点で共通する。認証確認済み状態Q4では、オープンスイッチ77a(
図2参照)が動作し、且つメインスイッチ77bは動作しない。認証制御部50は、オープンスイッチ77aの動作によって、認証確認済み状態Q4への遷移を判別する。
【0078】
認証確認済み状態Q4では、認証の確認を必要とする鞍乗型車両10の機能が使用可能となる。本実施形態における認証確認済み状態Q4では、フューエルリッド28及びシート23を開かせるための操作が可能である。認証確認済み状態Q4では、サブ操作部81,82の操作が可能になる。
サブ操作部81,82に押込みの荷重が加えられると、サブ操作部81,82が押込まれる。サブ操作部81,82の各々の変位は、図示しないワイヤを介して、それぞれリッドロック28a及びシートロック23aに伝達される。リッドロック28a及びシートロック23aがロック状態から開放される。
【0079】
認証確認済み状態Q4において、メイン操作部61は、鞍乗型車両用認証システムCの状態が認証確認状態Q3から認証確認済み状態Q4に遷移したときの荷重とは逆向きの荷重を受け変位することが可能である。逆回転操作は、
図2に示すメイン操作部61に対し、反時計回りの向きに荷重を加える操作である。
認証確認済み状態Q4で、メイン操作部61に対して逆回転の操作が行われることによってメイン操作部61が回転することにより、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認済み状態Q4から、オフ状態Q2に遷移する。詳細には、認証確認済み状態Q4において、メイン操作部61に対して、OPEN位置(
図2参照)からOFF位置に向かう逆回転操作が行われることによって、メイン操作部61がOFF位置に回転する。メイン操作部61がOFF位置に回転することにより、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、オフ状態Q2に戻る。
【0080】
(パワーユニットオン状態Q5)
認証確認済み状態Q4でメイン操作部61が押込み方向Pへ押込まれると、認証制御部50は、携帯機40と通信することにより、鞍乗型車両10の使用についての認証の確認動作を行う。認証が確認された場合、認証制御部50は、ソレノイド部78に通電する。ソレノイド部78が通電されることによって、
図8(C)に示すように、係止部781がソレノイドカム68の溝68c(
図5参照)から待避する。この結果、メイン操作部61がOPEN位置(
図2参照)からON位置へ回転する。
メイン操作部61が、OPEN位置からON位置に回転することによって、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認済み状態Q4からパワーユニットオン状態Q5に遷移する。
パワーユニットオン状態Q5では、サブ操作部81,82の変位が阻止される。
メイン操作部61がON位置に回転すると、メインスイッチ77b(
図4参照)が動作する。これによって、認証制御部50が、パワーユニットオン状態Q5への遷移を判別する。メインスイッチ77bの動作によって、パワーユニット制御部30の電源がオンになる。
パワーユニットオン状態Q5では、パワーユニット制御部30の電源がオン、且つ認証制御部50による認証が確認済みである。
【0081】
認証確認済み状態Q4で認証が認められない場合、ソレノイドカム68の溝68c(
図5参照)への係止部781の挿入が維持される。従って、メイン操作部61のON位置(
図2)への回転が阻止される。
【0082】
この一方、上述したように、認証確認済み状態Q4において、メイン操作部61に対して、OPEN位置(
図2参照)からOFF位置に向かう逆回転操作が行われる場合、メイン操作部61がOFF位置に回転する。
図5に示すソレノイドカム68の溝68cには、カム斜面68sが設けられている。メイン操作部61がOPEN位置(
図2参照)から、OFF位置に回転する場合、カム斜面68sは、溝68cに挿入された係止部781を溝68cから押出す。このため、認証確認済み状態Q4において、メイン操作部61がOPEN位置(
図2参照)にある場合、認証が認められなくてもメイン操作部61が、OFF位置に回転可能である。
【0083】
(ハンドルロック状態Q1)
ハンドルロック状態Q1は、メイン操作部61が、OFF位置(
図2参照)からLOCK位置に向かう逆回転及び押込みの操作を受け、LOCK位置に回転することによって、オフ状態Q2から遷移する状態である。
メイン操作部61がLOCK位置に回転すると、メイン操作部61及びシャフト69と共に回転するロッククランク73によって、ハンドルロックピン76がシリンダボディ75の外に突出する。ハンドルロックピン76が突出することによって、ハンドル17の回転を阻止する。
【0084】
ハンドルロック状態Q1で、メイン操作部61が、LOCK位置からOFF位置に向かう回転及び押込みの操作を受け、OFF位置に回転することによって、オフ状態Q2に遷移する。ハンドルロック状態Q1とオフ状態Q2との間で状態が遷移する場合には、携帯機40を用いた認証が実施される。
【0085】
本実施形態では、シャフト69と別の部材からなるソレノイドカム68の外周に設けられた溝68a〜68cに対し、ソレノイド部78が係止部781を挿入又は待避させる。
ソレノイドカム68は、シャフト69よりも大きい外径を有するので、ソレノイドカム68に、OFF位置に対応する溝68bと、OPEN位置に対応する溝68cを別々に並べることが可能である。本実施形態の認証操作装置60では、例えばOPEN位置を有さない認証操作装置に対し、OPEN位置に対応する溝68cが追加されていると言うことができる。
例えば、ソレノイドカム68を用いることなく、シャフト69に溝を設ける場合、
図2に示す径のシャフト69において、OFF位置に対応する溝の隣にOPEN位置に対応する溝を設けるスペースはない。従って、操作位置を新たに設けるような設計の自由度が制限される。仮に、シャフトの外周に、OFF位置に対応する溝と、OPEN位置に対応する溝を設ける場合、シャフトの径を、
図5に示すソレノイドカム68の径と同程度に太くする必要がある。シャフトは、認証操作装置60のほぼ全体に亘って延びている部材であるため、シャフトの径を、
図5に示すソレノイドカム68の径と同程度に太くすると、認証操作装置の全体が大型化してしまう。その結果、鞍乗型車両への搭載性が悪化する。
本実施形態の認証操作装置60では、シャフト69よりも大きい外径を有するソレノイドカム68に溝が設けられている。このため、径の太いシャフトを用いることなくOPEN位置に対応する溝68cを設けることが可能である。このように、本実施形態の認証操作装置60では、シャフト69よりも大きい外径を有するソレノイドカム68を備えることによって、径の太いシャフトによる大型化を抑制しつつ操作位置の自由度が高められている。
図2及び
図3に示すように、ソレノイド部78は、シャフト69の付近に設けられている。ソレノイド部78は、シャフト69よりもシャフト69が延びる方向における長さが小さい(薄い)。このため、外径を大きくしても認証操作装置60の大型化に対する影響が小さい。また、ソレノイドカム68は、認証を行う認証操作装置60に元々備えられているレノイド部78の周囲に生じる空間を利用して配置することができる。
本実施形態の認証操作装置60によれば、大型化を抑制しつつ、操作位置の設計自由度を確保することができる。
【0086】
本実施形態の認証操作装置60では、ソレノイドカム68がシャフト69よりも大きい外径を有する。このため、ソレノイドカム68には、
図5に示すように、OFF位置(
図2参照)に対応した溝68bとOPEN位置に対応した溝68cを、別々に配置することができる。また、ソレノイドカム68がシャフト69よりも大きい外径を有するので、溝68bとOPEN位置に対応した溝68cを、角度間隔を詰めて配置することができる。オフ状態Q2に対応する操作位置であるOFF位置(
図2参照)と、認証確認済み状態Q4に対応する操作位置であるOPEN位置とを狭い角度範囲内に配置することができる。例えば、OFF位置とOPEN位置を直角より狭い角度範囲内に配置することができる。このため、回転操作が容易である。
【0087】
また、ソレノイドカム68のOPEN位置に対応する溝68c(
図5参照)には、カム斜面68sが設けられている。このため、メイン操作部61がOPEN位置(
図2参照)にあり、且つ、認証が認めらない場合、回転操作によって、メイン操作部61をOPEN位置から、ON位置に回転させることはできない。これに対し、逆回転操作によって、メイン操作部61をOPEN位置から、OFF位置に回転させることは可能である。ソレノイドカム68のカム斜面68sによって、回転の向き応じた操作のバリエーションを設けることができる。
カム斜面68sが設けられた溝68cは、カム斜面が設けられていない溝と比べて大きい。即ち、ソレノイドカム68の周方向における溝68cの長さは、カム斜面が設けられていない溝と比べて長い。
本実施形態の認証操作装置では、シャフトよりも大きい外径を有するソレノイドカム68に溝68cが設けられている。このため、シャフトの径を太くすることなく、カム斜面68sが設けられた溝68cを設けることが可能である。従って、大型化を抑制しつつ、OPEN位置において、操作の方向による操作の可否についてバリエーションを設けることができる。
【0088】
本実施形態の認証操作装置において、溝68a〜68cが設けられたソレノイドカム68は、シャフト69と別の部材からなる。このため、ソレノイドカム68を含む少ない部品のみを変更することによって、他の部品を変更することなく回転操作部の操作位置の設定を変更することができる。
例えば、
図5に示すソレノイドカム68を、OPEN位置に対応する溝68cが設けられないソレノイドカムに変更することができる。この場合、認証の結果にかかわらず、メイン操作部61をOPEN位置からON位置へ回転させることができるように変更することができる。
このように、ソレノイドカムのみを変更することによって、回転操作部の操作位置に関する設定を容易に変更できる。従って、回転操作部の操作位置に関する自由度がさらに高められる。
【0089】
なお、上述した実施形態では、カム部材の例として、外周面に溝が設けられた円盤状のソレノイドカム68を説明した。しかし、本発明にいうカム部材はこれに限られず、例えば、盤面に溝が設けられた部材であってもよい。また、上述した実施形態では、アクチュエータ部の例として、ソレノイド部78を説明した。しかし、本発明におけるアクチュエータ部は、ソレノイドに限られず、例えばモータでもよい。また、上述した実施形態では、阻止部の例として、ソレノイド部78のプランジャと一体化した棒状の係止部781を説明した。しかし、本発明における阻止部は、これに限られず、例えば、移動自在に支持された係止機構でもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、鞍乗型車両の機能に対応した操作位置として、OFF位置、OPEN位置、ON位置を説明した。しかし、鞍乗型車両の機能に対応した操作位置は、OFF位置、OPEN位置、ON位置以外の位置を含んでいてもよい。例えば、鞍乗型車両に接続された機器に電源を供給可能な操作位置を有していてもよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、鞍乗型車両の例として、自動二輪車を説明した。しかし、鞍乗型車両は、自動二輪車に限られず、例えば、3個以上の車輪を有する車両であってもよい。鞍乗型車両は、例えばATV(All−Terrain Vehicle)等であってもよい。