【実施例】
【0017】
(第1実施形態)
本発明に係るビール粕を含有するバイオ複合プラスチック及びその製造方法は、主に既存の石化プラスチックにおいてその重量比が減少され、ビール粕が加えられ、且つ相容化剤が添加されることにより、バイオ複合プラスチックが、添加量10%から60%のビール粕と、40%から90%の石化プラスチックと、8%から12%の相容化剤とを含有する。
【0018】
さらに、ビール粕はビール製造過程において生成されるタバコ及び酒の廃棄物であり、且つ含水量は70%から80%に達する。このため、ビール粕が石化プラスチックに調合される前には前処理ユニット10により前処理が行われる必要がある(
図1参照)。
前処理ユニット10は、脱水処理11と、乾燥処理12と、ベーク処理13と、研磨処理14と、スクリーニング処理15とを含む。脱水処理11では、ビール粕に対して初期の脱水が行われる。乾燥処理12では、ビール粕が通風室に入れられて乾燥される。ベーク処理13では、ビール粕が乾燥器に入れられて110度の温度で8時間乾燥された後、含水率が計測される。研磨処理14では、8時間乾燥された後のビール粕が粉砕機に入れられて10秒間粉砕される。スクリーニング処理15では、粉砕されたビール粕が20、40、50、60のサイズのメッシュ(Mesh)でスクリーニングされた後に異なる長径比(L/D)のビール粕が得られる。
表1はビール粕の長径比(L/D)の実験データを示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1の実験データに基づくと、メッシュのサイズが20(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は7.6μmであり、メッシュのサイズが40(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は9.0μmであり、メッシュのサイズが50(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は10.2μmであり、メッシュのサイズが60(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は184.8μmである。
繊維がなく顆粒状になり、長径比もなくなり、繊維サイズが50(MESH)より大きい他のビール粕の長径比(L/D)は7.6μmから10.2μmとなる。この実験からは、本発明では長径比(L/D)が7.6μmから10.2μmのビール粕が採用されて石化プラスチックと調合され、補強効果が達成され、且つ、長径比(L/D)>9μmのビール粕の補強効果が好ましいことが分かる。
表2はビール粕の添加量が異なる場合の実験データを示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2の実験データによると、ビール粕が全く添加されない場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)は23.4である。ビール粕の添加量が10%である場合、全体的な機械的引張強度TS(MPa)は23.5であり、或いはビール粕の添加量が20%及び30%である場合、全体的な機械的引張強度TS(MPa)はそれぞれ23.7及び21.5であり、ビール粕の添加量が10%から30%の間であれば全体的な機械的引張強度TS(MPa)が均しく20MPa以上に達し、ビール粕が全く添加されない場合の機械的引張強度TS(MPa)23.4に十分に近似する。特に、10%から20%のビール粕の添加量では機械的引張強度TS(MPa)が23.4に最も接近する。
ビール粕の添加量が増えるにつれ、機械的引張強度TS(MPa)のデータが下降線をたどり、添加量が40%に達すると全体的な機械的引張強度TS(MPa)が16.6まで下降し、且つ添加量が60%まで増加すると全体的な機械的引張強度TS(MPa)が10.1まで下降する。このように、最適なビール粕の添加量は10%から30%であり、機械的全体的な引張強度TS(MPa)が均しく20以上に達するため、ビール粕が全く添加されない場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)23.4に十分近似する。また、添加量が10%から20%の場合の機械的引張強度TS(MPa)が最も好ましい数値23.4に最も接近する。
表3は含水率の違いが全体的な機械的強度に与える影響の実験データを示す。
【0023】
【表3】
【0024】
表3の実験データに基づくと、ビール粕の含水率の違いは全体的な機械的引張強度TS(MPa)に確実に影響を及ぼし、実験からは含水量の増加につれて機械全体の引張強度TS(MPa)が下降することが分かり、ビール粕の含水率が低いほど機械全体の引張強度TS(MPa)の性能が高まる。ビール粕は前記ベーク処理13を施された後に含水率が2%から5%に制御されることにより、機械全体の引張強度TS(MPa)が20以上に達する。
含水率が2%の機械全体の引張強度TS(MPa)は23.7であり、含水率が5%の機械全体の引張強度TS(MPa)は22.5であり、両者のデータはビール粕が全く添加されない場合の機械全体の引張強度TS(MPa)23.4に十分近似する。ビール粕の含水率が2%から5%の間の場合に機械全体の引張強度TS(MPa)が最も良くなり、含水率は2%が最も好ましい数値である。
【0025】
最後に、表4は、ビール粕の添加量が10%から30%、及び含水率が2%から5%の条件で異なる添加量の相容化剤が添加された場合の実験データを示す。
【0026】
【表4】
【0027】
表4の実験データに基づくと、相容化剤が0%から5%の場合は機械全体の引張強度TS(MPa)が20より低くなる。添加量の不足が原因であり、相容化剤の添加量が低すぎる場合、ビール粕及び石化プラスチックの間の結合性及び機械全体の引張強度TS(MPa)が不足し、且つ表四からは相容化剤の添加含量が8%から12%に達すると、機械全体の引張強度TS(MPa)が23.7及び20.8に達することが分かる。
添加含量が8%の場合の機械全体の引張強度TS(MPa)23.7が最も好ましい数値であり、ビール粕が全く添加されない場合の全体的な引張強度Ts(MPA)23.4に十分近似する。添加量が12%の場合、機械的引張強度TS(MPa)がやや下降する現象が見られるが、但しデータによれば20.8に保持される。このように、ビール粕及び石化プラスチックの間の結合性及び機械的引張強度TS(MPa)を均しく23.4に接近するように保持させるためには、前記相容化剤の添加量が8%から12%である必要がある。
【0028】
図2は本発明の造粒ユニットの構成を説明する概略図である。造粒ユニット20は原料裁断機22に連結されるツインスクリュー押出機21を備え、ツインスクリュー押出機21は、石化プラスチック投入口210と、ビール粕投入口211と、原料吐出口212とを有し、原料裁断機22は裁断口220及び出口221を有する。ツインスクリュー押出機21の原料吐出口212は原料裁断機22の裁断口220に連通される。
石化プラスチック及びビール粕は石化プラスチック投入口210及びビール粕投入口211からそれぞれツインスクリュー押出機21内に入れられ、ツインスクリュー押出機21により調合されたビール粕及び石化プラスチックが棒状プラスチックAになるように押し出され、且つ原料吐出口212から原料裁断機22の裁断口220に送られて、裁断口220により棒状プラスチックAが粒状のプラスチックBになるように切断され、器、皿、瓶、缶、容器、部材等が製造される。
【0029】
上述の説明から分かるように、本発明に係るビール粕を含有するバイオ複合プラスチックは以下の方法で取得され、以下の工程を含む。
ビール粕を含有する原料が提供される工程a。
石化プラスチックを含有する原料が提供される工程b。
ビール粕及び石化プラスチックが調合される工程cであって、ビール粕の添加量は10%から60%であり、石化プラスチックの添加量は40%から90%である工程c。
相容化剤が提供され、ビール粕及び石化プラスチックが均等に調合されると共に機械全体の好ましい引張強度TS(MPa)が維持される工程dであって、前記相容化剤の添加量は8%から12%である工程d。
【0030】
上述の方法に加えて表1乃至表4の実験データを参照すると、ビール粕の添加量は10%から20%が最も好ましく、且つビール粕の粒径の長径比(L/D)の範囲は7.6μmから10.2μmである。長径比(L/D)>9μmのビール粕の補強効果が好ましく、ビール粕の含水率が2%から5%に制御されると機械全体の引張強度TS(MPa)の効果が最も好ましくなる。含水率は2%が最も好ましい。
なお、本実施形態において、相容化剤(Compatibilizer)は高密度ポリエチレン(HDPE、 High Density Polyethylene)に適合するものが選択され、低圧下で製造されると共に多くの長鎖を含み、様々なプラスチック製品の製造に用いられる。さらに、本発明に係るビール粕を含有するように製造されたバイオ複合プラスチックに一般的なプラスチック成形加工方式を利用することで、器、皿、瓶、缶、容器、部材等の様々なバイオ複合プラスチック製品が製造可能であり、タバコ及び酒の廃棄物の利用価値を高める目的を達成させる。
【0031】
総合すると、本発明はビール粕を含有するバイオ複合プラスチック及びその製造方法であり、主にビールの製造過程で生成されるタバコ及び酒の廃棄物(ビール粕)(Brewery Spent Grain、 BSG)が脱水処理、乾燥処理、ベーク処理、研磨処理、及びスクリーニング処理等の前処理プロセスを経た後、乾燥ビール粕粉末が特定の比率で特定の石化プラスチックに添加されて調合され、高密度ポリエチレン(HDPE、High Density Polyethylene)に適合する相容化剤が選択されてビール粕及び石化プラスチックが均等に調合され、ツインスクリュー押出機21及び原料裁断機22によりビール粕+石化プラスチックのバイオ複合プラスチックが造粒される。
なお、本発明は、石化プラスチックにビール粕が添加されることで、石化プラスチックの使用量が確実に減少され、プラスチック汚染を低減させる目的を達成させる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。