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特開2017-193698ビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-193698(P2017-193698A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】ビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20170929BHJP
   C08L 99/00 20060101ALI20170929BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20170929BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20170929BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20170929BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20170929BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
   C08J3/20 BZAB
   C08L99/00
   C08L67/04
   C08L23/06
   B09B3/00 Z
   B09B3/00 301Z
   B09B3/00 303Z
   B09B5/00 Z
   C02F11/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-234063(P2016-234063)
(22)【出願日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】105112548
(32)【優先日】2016年4月22日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516361945
【氏名又は名称】世翔國際實業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】陳世明
(72)【発明者】
【氏名】石燕鳳
(72)【発明者】
【氏名】章文銓
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4D004AA04
4D004AB01
4D004BA06
4D004CA04
4D004CA08
4D004CA13
4D004CA14
4D004CA22
4D004CA42
4D004CB11
4D004CB16
4D004CB31
4D004CB37
4D004CC15
4D004CC17
4D004DA01
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4F070AA47
4F070AA61
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4F070AE01
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4F070FB06
4F070FC06
4J002AJ002
4J002BB033
4J002CF191
4J002GC00
4J002GG00
4J002GT00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法の提供。
【解決手段】主にビールの製造過程で生成されるタバコ及び酒の廃棄物(ビール粕)が脱水処理、乾燥処理、ベーク処理、研磨処理、及びスクリーニング処理等の前処理プロセスを経た後に、ビール粕が10〜30%で、ポリ乳酸が70〜90%の比率で添加されて調合され、添加量3〜10%の相容化剤によりビール粕及びポリ乳酸が均等に調合され、造粒工程を経てビール粕+ポリ乳酸の生プラスチックの造粒が形成する製造方法。
【効果】ポリ乳酸にビール粕の添加により、ポリ乳酸の使用量が減少し、且つビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法に一般的なプラスチック成形加工方式が利用でき、器、皿、瓶、缶、容器、部材等の様々な生プラスチック製品が製造可能で、タバコ及び酒の廃棄物の利用価値を高める目的が達成できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール粕を含有する原料が提供される工程aと、
ポリ乳酸を含有する原料が提供される工程bと、
ビール粕及びポリ乳酸が調合される工程cと、を含むことを特徴とする、
ビール粕とポリ乳酸を結合する製造方法。
【請求項2】
ビール粕の添加量は10%から30%であり、ポリ乳酸の添加量は70%から90%であることを特徴とする、請求項1に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する製造方法。
【請求項3】
添加量は3%から12%の相容化剤が提供される工程dをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する製造方法。
【請求項4】
ビール粕の添加量の数値は10%であり、相容化剤の添加量の数値は8%であることを特徴とする、請求項3に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する製造方法。
【請求項5】
工程aにおいて、前処理ユニットを含み、前記前処理ユニットによりビール粕に対して、脱水処理、乾燥処理、ベーク処理、研磨処理、及びスクリーニング処理が行われて、形成されたビール粕の粒径の長径比の範囲が7.6μmから10.2μmになり、ビール粕の含水率が2%から5%に制御されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかの1項に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する製造方法。
【請求項6】
工程dにおいて、原料裁断機に連結されるツインスクリュー押出機を含む造粒ユニットを含み、前記ツインスクリュー押出機は、ポリ乳酸投入口と、ビール粕投入口と、原料吐出口とを有し、前記原料裁断機は裁断口及び出口を有し、且つ前記ツインスクリュー押出機の原料吐出口は前記原料裁断機の裁断口に連通され、前記ツインスクリュー押出機により調合されたビール粕及びポリ乳酸が棒状プラスチックになるように押し出され、前記原料裁断機により裁断されて粒状のプラスチックが形成されることを特徴とする、請求項3に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する製造方法。
【請求項7】
組成物はビール粕とポリ乳酸とを含むことを特徴とする、
ビール粕とポリ乳酸を結合する組成物。
【請求項8】
ビール粕の添加量は10%から30%であり、ポリ乳酸の添加量は70%から90%であることを特徴とする、請求項7に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する組成物。
【請求項9】
添加量は3%から12%の相容化剤をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する組成物。
【請求項10】
ビール粕の添加量の数値は10%であり、相容化剤の添加量の数値は8%であることを特徴とする、請求項9に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する組成物。
【請求項11】
前記ビール粕の粒径の長径比の範囲が7.6から10.2であり、前記ビール粕の含水率が2%から5%であることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれかの1項に記載のビール粕とポリ乳酸を結合する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ及び酒の廃棄物(ビール粕)の応用に関し、更に詳しくは、ビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法(A composition of brewery spent grain and polylacticacid and the manufacturing method thereof)に関する。
【背景技術】
【0002】
台湾で1年間に使用されるポリ袋は180億枚にも上り、且つプラスチック製のストローも20億本にも上り、甚大な環境汚染を引き起こしている。また、石油化学産業で精製されたこれらのプラスチック製品の原料価格は石油価格に基づいて決定されるため、石油価格が高騰すると精製にかかるコストも高騰してしまう。さらには、石油の精製自体がエネルギー消費が多く汚染度の高い産業である上、製造されたプラスチック製品の回収及びリサイクル率も低く、多くのプラスチック廃棄物が不法投棄されたり、勝手に焼却されたり、埋められる等し、空気、土壌、水源に重大な汚染をもたらした。
【0003】
近年では、我が国を含む多くの国家において、環境保護意識が高まっており、環境に有利な100%生分解性プラスチックや部分的に生分解が可能なプラスチック製品が徐々に増え、石化プラスチック製品の使用量が減少している。
現在市場で最も使用されているポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)及び澱粉由来のプラスチックは完全に生分解されるバイオマス原料であり、特にPLAは現在の生プラスチックの約半分の使用量を占め、業界では広く使用されている。しかしながら、現在PLAは主にとうもろこし等の食用の作物を原料としており、収穫が不安定で原料コストが高いのみならず、「食料や農地の奪い合い」といった係争を抱えている。
【0004】
このため、業者は農業廃棄物を採用してPLA及び生プラスチックの使用量を減らしたり代替したりしており、よくある農業廃棄物として、稲の籾殻、小麦の籾殻、とうもろこしの芯、バガス、椰子の木、椰子の殻、木屑、及びコーヒーの出し殻等を含む。稲の籾殻及びコーヒーの出し殻が最も広く応用されているが、我が国は稲の生産国であるため、毎年34万トンにも及ぶ稲の籾殻が廃棄物として利用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、稲の籾殻の多くは農家で農業用飼料、育苗、堆肥、及び燃料等に使用されているため、稲から取得するのは容易ではない。コーヒーの出し殻はコーヒーチェーン店やコンビニエンスストアで取得できるが、前処理が簡単ではなく、原料コスト自体は高くないが、前処理のコストが高いため、製造された製品の価格も高騰してしまう。
【0006】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、コストが低く、且つ前処理が容易なタバコ及び酒の廃棄物により稲の籾殻及びコーヒーの出し殻を代替させ、ポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)と結合された新しいバイオマス材料を提供する。
【0007】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明は、ビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法を提供する。ポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)にビール粕が添加されることにより、ポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)の使用量を減らすことを主な目的とする。
【0008】
さらに、本発明に係るビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法の他の目的は、前記組成物により、器、皿、瓶、缶、容器、部材等の様々な生プラスチック製品を製造可能にし、タバコ及び酒の廃棄物の利用価値を高めることがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、上述した目的を達成するための本発明に係るビール粕とポリ乳酸を結合する製造方法は、ビール粕を含有する原料が提供される工程aと、ポリ乳酸を含有する原料が提供される工程bと、ビール粕及びポリ乳酸が特定の比率の添加量で調合される工程cと、特定の比率の添加量の相容化剤が提供され、ビール粕及びポリ乳酸が均等に調合されると共に全体的な好ましい機械的引張強度が維持される工程dとを含む。
【0010】
ビール粕の添加量は10%から30%であり、ポリ乳酸の添加量は70%から90%であり、相容化剤の添加量は3%から12%である。
【0011】
ビール粕の添加量の数値は10%が好ましく、相容化剤の添加量の数値は8%が好ましい。
【0012】
工程aにおいて、前処理ユニットを含み、前記前処理ユニットによりビール粕に対して脱水処理、乾燥処理、ベーク処理、研磨処理、及びスクリーニング処理が行われて、形成されたビール粕の粒径の長径比の範囲が7.6μmから10.2μmになり、ビール粕の含水率が2%から5%に制御されるのが全体的な機械的引張強度の効果にとって最も好ましく、含水率の数値は2%が好ましい。
【0013】
ビール粕及びポリ乳酸の全体強度TS(MPa)の数値は30.5が最も好ましい。
【0014】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係るビール粕とポリ乳酸を結合する組成物は、前記組成物は、特定の比率の添加量のビール粕と、特定の比率の添加量のポリ乳酸と、特定の比率の添加量の相容化剤とを含む。相容化剤によりビール粕及び與ポリ乳酸が均等に調合されると共に全体的な好ましい機械的引張強度が維持される。
【0015】
好ましくは、ビール粕の添加量は10%から30%であり、ポリ乳酸の添加量は70%から90%であり、相容化剤の添加量は3%から12%である。
【0016】
ビールの添加量の数値は10%が好ましく、相容化剤の添加量の数値は8%が好ましい。
【0017】
好ましくは、原料裁断機に連結されるツインスクリュー押出機を含む造粒ユニットを更に含む。ツインスクリュー押出機は、ポリ乳酸投入口と、ビール粕投入口と、原料吐出口とを有し、原料裁断機は裁断口及び出口を有し、ツインスクリュー押出機の原料吐出口は原料裁断機の裁断口に連通される。ツインスクリュー押出機により調合されたビール粕及びポリ乳酸が棒状プラスチックになるように押し出され、原料裁断機により裁断されて粒状のプラスチックが形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法は、主にビールの製造過程で生成されるタバコ及び酒の廃棄物(ビール粕)(Brewery Spent Grain、BSG)が脱水処理、乾燥処理、ベーク処理、研磨処理、及びスクリーニング処理等の前処理プロセスを経た後、乾燥ビール粕粉末が特定の比率で特定の比率のポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)に添加されて調合され、相容化剤によりビール粕及びポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)が均等に調合され、造粒工程を経てビール粕+ポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)の生プラスチックの造粒が完成する。
ポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)にビール粕が添加されることにより、ポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)の使用量が減り、且つ本発明に係るビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法に一般的なプラスチック成形加工方式を応用することで、器、皿、瓶、缶、容器、部材等の様々な生プラスチック製品が製造可能になり、タバコ及び酒の廃棄物の利用価値を高める目的を達成させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の前処理ユニットを説明する概略図である。
図2】本発明の造粒ユニットの構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、本考案を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本考案は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
(第1実施形態)
本発明はビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法に関し、主に既存のポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)においてその重量比が減少され、ビール粕が加えられる上に相容化剤が添加されることにより、前記組成物が添加量10%から30%のビール粕、70%から90%のポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)、及び3%から12%の相容化剤を含有する。
【0022】
さらに、ビール粕はビールの製造過程で生成されるタバコ及び酒の廃棄物であり、且つ含水量は70%〜80%にも達する。このため、ビール粕がポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)と調合される前には、前処理ユニット10により前処理が行われる必要がある。
図1に示すように、前処理ユニット10は、脱水処理11と、乾燥処理12と、ベーク処理13と、研磨処理14と、スクリーニング処理15とを含む。脱水処理11では、ビール粕に対して初期の脱水が行われる。乾燥処理12では、ビール粕が通風室に入れられて乾燥される。ベーク処理13では、ビール粕が乾燥器に入れられて、110度の温度で8時間乾燥された後、含水率の測定が行われる。研磨処理14では、8時間乾燥された後のビール粕が粉砕機に入れられて10秒間粉砕される。スクリーニング処理15では、粉砕されたビール粕が20、40、50、60(Mesh)のサイズのメッシュによりスクリーニングされた後、異なる長径比(L/D)のビール粕が得られる。
表1はビール粕の長径比(L/D)の実験データを示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1の実験データを参照すると、メッシュのサイズが20(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は7.6μmであり、メッシュのサイズが40(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は9.0μmであり、メッシュのサイズが50(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は10.2μmであり、メッシュのサイズが60(Mesh)の場合に得られるビール粕の長径比(L/D)は184.8μmである。繊維状ではなくなって顆粒状を呈するため、長径比もなくなり、繊維サイズが50(MESH)より大きい他のビール粕の長径比(L/D)は7.6μmから10.2μmである。
この実験から分かるように、本発明では長径比(L/D)が7.6μmから10.2μmのビール粕が採用され、ポリ乳酸と調合されて補強効果を達成させる。また、長径比(L/D)>9μmのビール粕の補強効果が好ましい。
表2はビール粕の添加量が異なる場合の実験データを示す。
【0025】
【表2】
【0026】
表2の実験データに基づくと、ビール粕が全く添加されない場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)は50.7である。ビール粕の添加量が10%の場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)は30.5であり、或いはビール粕の添加量が20%及び30%の場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)はそれぞれ21.5及び18.3であり、ビール粕の添加量が10%から30%の間であれば全体的な機械的引張強度TS(MPa)は均しく15MPa以上に達する。特に、ビール粕の添加量が10 %の場合、機械的引張強度TS(MPa)が50.7に最も接近する。
このように、適合するビール粕の添加量は10%から30%であり、全体的な機械的引張強度TS(MPa)が均しく15以上に達し、且つ、添加量が10 %の場合の機械的引張強度TS(MPa)が最も好ましい数値である50.7に最も接近する。
表3は含水率の違いが全体的な機械的引張強度に与える影響に関する実験データを示す。
【0027】
【表3】
【0028】
表3の実験データを参照すると、ビール粕の含水率の違いは全体的な機械的引張強度TS(MPa)に確実に影響を与える。実験から分かるように、含水量が増えるにつれて全体的な機械的引張強度TS(MPa)が低下しており、ビール粕の含水率が低いほど全体的な機械的引張強度TS(MPa)の性能が高くなる。また、ビール粕がベーク処理13を経た後に含水率が2%から5%に制御されると、全体的な機械的引張強度TS(MPa)が20以上に達する。含水率が2%の場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)は30.5であり、含水率が5%の場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)は25.3である。
このように、ビール粕の含水率が2%から5%の間の場合は全体的な機械的引張強度TS(MPa)が最も良くなり、含水率が2%の場合が最も好ましい数値となる。
【0029】
最後に、表4には、ビール粕の添加量が10%から30%、及び含水率が2%から5%の条件で異なる添加量の相容化剤が添加された場合の実験データを示す。
【0030】
【表4】
【0031】
表4の実験データから分かるように、相容化剤が0%の場合に測定された全体的な機械的引張強度TS(MPa)は20より低く、これは添加量の不足が原因であり、相容化剤の添加量が低すぎるとビール粕及びポリ乳酸の間の結合性及び全体的な機械的引張強度TS(MPa)が不足してしまう。
また、表4によれば、相容化剤の添加量が3%から12%に達すると、全体的な機械的引張強度TS(MPa)が20.8から27.8に達し、最も好ましい数値は、添加量が8%の場合の全体的な機械的引張強度TS(MPa)30.5である。添加量が12%の場合には機械的引張強度TS(MPa)がやや低下する現象が見られるが、但しデータでは27.8を保持している。このように、ビール粕及びポリ乳酸の間の結合性及び機械的引張強度TS(MPa)を20に接近した数値に保持させるためには、前記相容化剤の添加量が3%から12%である必要がある。
【0032】
図2は本発明の造粒ユニットの構成を説明するための概略図である。造粒ユニット20は原料裁断機22に連結されるツインスクリュー押出機21を含み、ツインスクリュー押出機21は、ポリ乳酸投入口210と、ビール粕投入口211と、原料吐出口212とを有し、原料裁断機22は裁断口220及び出口221を有し、ツインスクリュー押出機21の原料吐出口212は原料裁断機22の裁断口220に連通される。
ポリ乳酸及びビール粕はポリ乳酸投入口210及びビール粕投入口211からツインスクリュー押出機21内にそれぞれ入れられて、ツインスクリュー押出機21により調合されたビール粕及びポリ乳酸が棒状プラスチックAになるように押し出され、且つ原料吐出口212から原料裁断機22の裁断口220に送られ、裁断口220により棒状プラスチックAが裁断されて粒状のプラスチックBが形成され、器、皿、瓶、缶、容器、部材等の製造に更に利用される。
【0033】
上述の説明のように、本発明に係るビール粕とポリ乳酸を結合する組成物は以下の方法で取得され、以下の工程を含む。
ビール粕を含有する原料が提供される工程a。
ポリ乳酸を含有する原料が提供される工程b。
ビール粕及びポリ乳酸が特定の比率の添加量で調合される工程cであって、ビール粕の添加量が10%から30%であり、ポリ乳酸の添加量が70%から90%である工程c。
特定の比率の添加量の相容化剤が提供され、ビール粕及びポリ乳酸が均等に調合されると共に全体的な好ましい機械的引張強度が維持される工程dであって、相容化剤の添加量が3%から12%である工程d。
【0034】
本実施形態において、ビール粕の添加量の数値は10%が好ましく、相容化剤の添加量の数値は8%が好ましい。
【0035】
なお、上述の方法において、表一乃至表四の実験データを参照すると、ビール粕の添加量は10%から30%が最も好ましく、且つビール粕の粒径の長径比(L/D)の範囲は7.6μmから10.2μmである。長径比(L/D)>9μmのビール粕の補強効果が好ましく、ビール粕の含水率が2%から5%に制御されると全体的な機械的引張強度TS(MPa)の効果が最も好ましくなり、且つ含水率の数値は2%が最も好ましい。
また、本実施形態において、相容化剤は高密度ポリエチレン(HDPE、High Density Polyethylene)に適合するものが選択され、低圧下で製造されると共に多くの長鎖を含み、様々なプラスチック製品の製造に用いられる。さらには、本発明に係るビール粕を含有するように製造された生プラスチックに一般的なプラスチック成形加工方式を応用することで、器、皿、瓶、缶、容器、部材等の様々な生プラスチック製品が製造可能になり、タバコ及び酒の廃棄物の利用価値を高める目的を達成させる。
【0036】
上述したように、本発明はビール粕とポリ乳酸を結合する組成物及びその製造方法であり、主にビールの製造過程で生成されるタバコ及び酒の廃棄物(ビール粕)(Brewery Spent Grain、BSG)が脱水処理、乾燥処理、ベーク処理、研磨処理、及びスクリーニング処理等の前処理プロセスを経た後、乾燥ビール粕粉末が特定の比率で特定の比率のポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)に添加されて調合され、高密度ポリエチレン(HDPE、High Density Polyethylene)に適合する相容化剤が選択されてビール粕及びポリ乳酸が均等に調合され、前記ツインスクリュー押出機21及び前記原料裁断機22の過程を経てビール粕+ポリ乳酸の生プラスチックの造粒が完成する。
本発明はポリ乳酸にビール粕が添加されることにより、ポリ乳酸の使用量を減少させる目的を確実に達成させる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10 前処理ユニット
11 脱水処理
12 乾燥処理
13 ベーク処理
14 研磨処理
15 スクリーニング処理
20 造粒ユニット
21 ツインスクリュー押出機
210 ポリ乳酸投入口
211 ビール粕投入口
212 原料吐出口
22 原料裁断機
220 裁断口
221 出口
A 棒状プラスチック
B プラスチック
図1
図2