【課題】生体分子にインターカレーティングされることで生体分子を標識でき、遺伝毒性のない新規なメロシアニン系化合物、これを含む生体分子標識用染料、キット及び造影剤組成物の提供。
Zは、フェナントリジウム(phenanthridium)、クマリン(coumarins)、シアニン(cyanine)、ボディピー(bodipy)、フルオレセイン(fluoresceins)、ローダミン(rhodamines)、ピレン(pyrenes)、カルボピロニン(carbopyronin)、オキサジン(oxazine)、キサンテン(xanthenes)、チオキサンテン(thioxanthene)、及びアクリジン(acridine)から選択される、請求項1に記載のメロシアニン系化合物。
死滅細胞にインターカレーションする請求項1ないし4のいずれか一項によるメロシアニン系化合物、及び細胞にインターカレーションすることができる上記メロシアニン系化合物以外の化合物を含む水溶液と細胞を含むサンプルを混合する段階;
上記メロシアニン系化合物、及びそれ以外の上記化合物がインターカレーションされた細胞を含むサンプルを光で照明する段階;及び
上記サンプルから蛍光放出を検出する段階;を含み、
上記サンプルから放出された上記蛍光は、上記メロシアニン系化合物及びそれ以外の上記化合物がともにサンプル内の細胞にインターカレーションされて細胞間に蛍光反応で発生し、
放出された上記蛍光は上記メロシアニン系化合物だけの蛍光反応で発生した蛍光とは違う、サンプル内の細胞の生存度を分析する方法。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明をより容易に理解するために、便宜上、特定用語を本願で定義する。本願で別に定義しない限り、本発明に使われる科学用語及び技術用語は、当該技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味を持つ。
【0043】
また、文脈上特に指定しない限り、単数形用語はその複数形も含むものであり、複数形用語はその単数形も含んでもよい。
【0044】
<新規なメロシアニン系化合物>
本発明の一側面によれば、下記の化学式1で表わされる構造を有するメロシアニン系化合物が提供されてもよい。
[化学式1]
【0045】
ここで、Arは置換または非置換された芳香族環で、例えば、ベンゾ(benzo)またはナフト(naphto)基であり、Y
1及びY
2はそれぞれ独立に、硫黄、酸素、セレニウム、NR
8及び−CR
8=CR
9−から選択されることができ、mは1ないし3の整数である。
【0046】
R
1ないしR
9はそれぞれ独立に、水素、重水素、置換または非置換されたC
1−C
10アルキル、少なくとも一つのヘテロ原子を含む置換または非置換されたC
2−C
10ヘテロアルキル、置換または非置換されたC
2−C
10アルケニル、置換または非置換されたC
2−C
10アルキニル、置換または非置換されたC
1−C
10アルコキシ、置換または非置換されたアリールオキシ、置換または非置換されたC
1−C
10ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、置換または非置換されたアミノ、置換または非置換されたアミド、カルバミン酸塩、スルフィドリル、ニトロ、カルボキシル、カルボン酸塩、置換または非置換されたアリール、置換または非置換されたヘテロアリール、置換または非置換されたアラルキル、4次アンモニウム、リン酸、リン酸塩、ホスホン酸エステル、ケトン(−COR
10)、アルデヒド、エステル(−COOR
10)、塩化アシル、スルホン酸、スルホン酸塩、ポリアルキレンオキシド及び−L−Z作用基から選択されてもよい。
【0047】
R
a(ここで、aは1ないし9から選択される整数)がアルケニルまたはアルキニルであるとき、アルケニルのsp
2−混成炭素またはアルキニルのsp−混成炭素が直接的に結合されたり、アルケニルのsp
2−混成炭素またはアルキニルのsp−混成炭素に結合されたアルキルのsp
3−混成炭素によって間接的に結合された形態であってもよい。
【0048】
本願でC
a−C
b作用基は、aないしb個の炭素原子を持つ作用基を意味する。例えば、C
a−C
bアルキルは、aないしb個の炭素原子を有する、直鎖アルキル及び分枝鎖アルキルなどを含む飽和脂肪族基を意味する。直鎖または分枝鎖アルキルは、これの主鎖に10個以下(例えば、C
1−C
10の直鎖、C
3−C
10の分枝鎖)、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下の炭素原子を有する。
【0049】
具体的に、アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペント−1−イル、ペント−2−イル、ペント−3−イル、3−メチルブト−1−イル、3−メチルブト−2−イル、2−メチルブト−2−イル、2,2,2−トリメチルエト−1−イル、n−ヘキシル、n−ヘプチル及びn−オクチルであってもよい。
【0050】
また、本願でアルコキシは、−O−(アルキル)基と−O−(非置換されたシクロアルキル)基の両方を意味するもので、一つ以上のエーテル基、及び1ないし10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素である。
【0051】
具体的に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどを含むが、これに限定されない。
【0052】
また、本願でハロゲンは、フルオロ(−F)、クロロ(−Cl)、ブロモ(−Br)またはヨード(−I)を意味し、ハロアルキルは上述したハロゲンに置換されたアルキルを意味する。例えば、ハロメチルはメチルの水素のうち、少なくとも一つがハロゲンに取り替えられたメチル(−CH
2X、−CHX
2または−CX
3)を意味する。
【0053】
本願でアラルキルは、アリールがアルキルの炭素に置換された形態の作用基として、−(CH
2)
nArの総称である。アラルキルの例として、ベンジル(−CH
2C
6H
5)またはフェネチル(−CH
2CH
2C
6H
5)などがある。
【0054】
本願において、アリールが別に定義されない限り、単一環、または互いに接合、または共有結合で連結された多重環(好ましくは、1ないし4個の環)を含む不飽和芳香族性環を意味する。アリールの非制限的な例としては、フェニル、ビフェニル、o− ターフェニル(terphenyl)、m−ターフェニル、p−ターフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル(anthryl)、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントレニル(phenanthrenyl)、2−フェナントレニル、3−フェナントレニル、4−フェナントレニル、9−フェナントレニル、1−ピレニル、2−ピレニル、及び4−ピレニルなどがある。
【0055】
本願でヘテロアリールは、上記で定義されたアリール内の一つ以上の炭素原子が窒素、酸素または硫黄のような非炭素原子に置換された作用基を意味する。ヘテロアリールの非制限的な例としては、フリル(furyl)、テトラヒドロフリル、ピロリル(phrrolyl)、ピロリジニル(pyrrolidinyl)、チエニル(thienyl)、テトラヒドロチエニル、オキサゾリル(oxazolyl)、イソオキサゾリル(isoxazolyl)、トリアゾリル(triazolyl)、チアゾリル(thiazolyl)、イソチアゾリル(isothiazolyl)、ピラゾリル(pyrazolyl)、ピラゾリジニル(pyrazolidinyl)、オキサジアゾリル(oxadiazolyl)、チアジアゾリル(thiadiazolyl)、イミダゾリル(imidazolyl)、イミダゾリニル(imidazolinyl)、ピリジル(pyridyl)、ピリダジイル(pyridaziyl)、トリアジニル(triazinyl)、ピペリジニル(piperidinyl)、モルホリニル(morpholinyl)、チオモルホリニル(thiomorpholinyl)、ピラジニル(pyrazinyl)、ピペライニル(piperainyl)、ピリミジニル(pyrimidinyl)、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル(indolyl)、インドリニル、インドリジニル、インダゾリル(indazolyl)、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル(cinnolinyl)、フタラジニル(phthalazinyl)、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル(pteridinyl)、キヌクリジニル(quinuclidinyl)、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチジニル(phenothizinyl)、フェノキサジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル(benzimidazolyl)及びベンゾチアゾリルなどと、これらが接合された類似体がある。
【0056】
本願において、炭化水素環(cycloalkyl)またはヘテロ原子を含む炭化水素環(heterocycloalkyl)は別途定義されない限り、それぞれアルキルまたはヘテロアルキルの環型構造として理解される。
【0057】
炭化水素環の非制限的な例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル及びシクロヘプチルなどがある。ヘテロ原子を含む炭化水素環の非制限的な例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどがある。
【0058】
また、炭化水素環またはヘテロ原子を含む炭化水素環は、これに炭化水素環、ヘテロ原子を含む炭化水素環、アリールまたはヘテロアリールが接合されたり共有結合で連結された形態を有することができる。
【0059】
R
a(ここで、aは1ないし9から選択される整数)がケトン基(−COR
10)またはエステル基(−COOR
10)であるとき、R
10は置換または非置換されたC
1−C
10アルキル、少なくとも一つのヘテロ原子を含む置換または非置換されたC
2−C
10ヘテロアルキル、置換または非置換されたC
2−C
10アルケニル、置換または非置換されたC
2−C
10アルキニル、置換または非置換されたC
2−C
10アルコキシ、置換または非置換されたC
1−C
10ハロアルキル、及び置換または非置換されたC
1−C
10アミノアルキルから選択されてもよい。
【0060】
R
b(ここで、bは1ないし10から選択される整数)が置換された場合、上記作用基内の任意の炭素または末端炭素は、スルホン酸、スルホン酸塩、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸塩、リン酸、リン酸塩、塩化アシル、ポリアルキレンオキシド、4次アンモニウム塩、エステル及びアミドから選択される少なくとも一つに置換されてもよい。
【0061】
ここで、ポリアルキレンオキシドは、ポリマーの特性が維持される限度内で必要に応じて追加的に置換されてもよい。例えば、上記置換は、ポリマーの化学的または生物学的安定性を増加または減少させるための化学的結合であってもよい。具体例として、ポリアルキレンオキシド内の任意の炭素または末端炭素はヒドロキシ、アルキルエーテル(メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテルなど)、カルボキシルメチルエーテル、カルボキシルエチルエーテル、ベンジルエーテル、ジベンジルメチレンエーテル、またはジメチルアミンに置換されてもよい。一実施形態において、ポリアルキレンオキシドは、メチルエーテルに終決されるポリアルキレンオキシド(mPEG)であってもよく、ここでmPEGは−(CH
2CH
2O)
nCH
3の化学式で表わされ、エチレングリコール反復単位の数に該当するnの大きさによってmPEGの大きさが変わることがある。
【0062】
本発明の多様な変形例によれば、R
a(ここで、aは1ないし9から選択される整数)は少なくとも一つの−L−Z作用基を有してもよい。
【0063】
ここで、Lは化学式1で表わされる構造と、蛍光信号を発生させることができる蛍光団であるZを連結するLが3ないし150個の非水素原子を含むリンカーで、具体的に、8ないし150個の非水素原子を含むリンカーである。
【0064】
また、Zは、フェナントリジウム、クマリン、シアニン、ボディピー、フルオレセイン、ローダミン、ピレン、カルボピロニン、オキサジン、キサンテン、チオキサンテン及びアクリジンから選択される蛍光団であったり、化学式1で表わされる構造を有することができる。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、−L−Z作用基は下記の化学式2で表わされてもよい。
[化学式2]
-L
1-[A
1-(CH
2)
x1-]
y1[A
2-(CH
2)
x2-]
y2[A
3-(CH
2)
x3-]
y3[A
4-(CH
2)
x4-]
y4[A
5-(CH
2)
x5-]
y5[A
6-(CH
2)
x6-]
y6[A
7-(CH
2)
x7-]
y7[A
8-(CH
2)
x8-]
y8[A
9-(CH
2)
x9-]
y9-A
10-L
2-Z
【0066】
ここで、L
1及びL
2はそれぞれ独立に、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含むC
1−C
12ポリメチレン単位であるか、または窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含むアリールであり、A
1ないしA
10はそれぞれ独立に、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含む鎖型アルキルまたは分岐型アルキルであるか、または窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含む5原子環または6原子環であり、x1ないしx9はそれぞれ独立に、0または1ないし20の整数であり、y1ないしy9はそれぞれ独立に、0または1ないし20の整数である。
【0067】
また、Zはフェナントリジウム、クマリン、シアニン、ボディピー、フルオレセイン、ローダミン、ピレン、カルボピロニン、オキサジン、キサンテン、チオキサンテン及びアクリジンから選択されたり、これ以外の蛍光団構造を有してもよい。
【0068】
他の変形例によれば、A
1ないしA
10のいずれか一つは下記の化学式3で表わされることができる。
[化学式3]
【0069】
ここで、R
11は炭素、窒素、または窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含むアリールで、R
12は下記の化学式4で表わされる。
[化学式4]
-[A
11-(CH
2)
x11-]
y11[A
12-(CH
2)
x12-]
y12[A
13-(CH
2)
x13-]
y13-A
14-L
3-Z
【0070】
ここで、L
3は窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含むC
1−C
12ポリメチレン単位であるか、または窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含むアリールで、A
11ないしA
14はそれぞれ独立に、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含む鎖型アルキルまたは分岐型アルキルであるか、または窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を選択的に含む5原子環または6原子環で、x11ないしx13はそれぞれ独立に、0または1ないし20の整数で、y11ないしy13はそれぞれ独立に、0または1ないし20の整数である。
【0071】
また、本発明の一実施形態によるメロシアニン系化合物は、カウンターイオンをさらに含む構造を有してもよい。カウンターイオンは有機または無機アニオンであって、メロシアニン系化合物の溶解度及び安定性などを考慮して適宜選択されてもよい。
【0072】
本発明の一実施形態によるメロシアニン系化合物のカウンターイオンの例として、リン酸6フッ化物イオン、ハロゲンイオン、6フッ化物イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、アンチモン6フッ化物イオン、酒石酸6フッ化物イオン、フルオロホウ酸イオン及び4フルオロイオンなどのような無機酸アニオンと、チオシアン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、3ハロアルキルカルボン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、トリハロアルキルスルホン酸イオン、及びニコチン酸イオンなどのような有機酸イオンがある。また、ビスペニルジトール、チオビスフェノールキレート及びビスジオル−α−ジケントンなどのような金属化合物イオン、ソジウム及びポタジウムなどのような金属イオンと、4次アンモニウム塩もカウンターイオンとして選択されてもよい。
【0073】
本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物は次のとおりである。
[化合物1]
【0112】
本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物のターゲットとなる生体分子は、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNA及び二本鎖DNAから選択される少なくとも一つであってもよく、メロシアニン系化合物は核酸内でインターカレーション(挿入又は結合)されてもよい。
【0113】
<生体分子標識用染料、キット及び造影剤組成物>
本発明の他の側面によれば、本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物から選択される少なくとも一つを含む生体分子標識用染料、キット及び造影剤組成物が提供されてもよい。
【0114】
また、必要に応じて、生体分子標識用キットは、ターゲット生体分子である核酸内にインターカレーションするための酵素、溶媒(緩衝液など)、及びその他の試薬などをさらに含んでもよい。
【0115】
ここで、溶媒としては、リン酸塩緩衝液、カーボネート緩衝液、及びトリス緩衝液から構成された群から選択される緩衝液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、メタノール、エタノール及びアセトニトリルから選択される有機溶媒または水などが使われてもよく、溶媒の種類によってシアニン系化合物に多様な作用基を取り入れることで溶解度を調節することができる。
【0116】
本発明の一実施形態による生体分子標識用染料内で二量体及び/または三量体形態のメロシアニン系化合物は、分子間相互作用によって互いに凝集された状態で存在することができる。
【0117】
このとき、二量体及び/または三量体形態のメロシアニン系化合物は、凝集された状態では蛍光信号を発生しない。一方、生体分子(例えば、核酸)が存在する場合、凝集された状態で存在する二量体及び/または三量体形態のメロシアニン系化合物は、互いに分離されて核酸内でインターカレーションされることで蛍光信号を発生することができる。
【0118】
すなわち、インターカレーションできる生体分子の存在可否が本発明の一実施形態による生体分子標識用染料の消光物質(quencher)としての役割をすることになる。
【0119】
例えば、本発明の一実施形態による生体分子標識用キットは、生体分子である核酸を大きさ別に分離した後、生体分子標識用染料内のメロシアニン系化合物が核酸内でインターカレーションされることによって核酸を標識するように構成された電気泳動キットに提供されてもよい。
【0120】
具体的に、上記電気泳動キットは、本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物から選択される少なくとも一つの化合物;緩衝液、ゲルマトリックス、ゲルマトリックスを形成するための少なくとも一つの物質、表面、または表面を形成するための少なくても一つの物質;及び使用説明書;を含み、核酸がサンプル内に存在する場合、上記マトリックスまたは上記表面に固定されるサンプル内の核酸の存在または不在を決定するための電気泳動キットであってもよい。
【0121】
上記表面は、固体表面、膜表面、ガラス表面、プラスチック表面、またはポリシリコーン表面であってもよい。上記マトリックスはアルジネート、コラーゲン、ペプチド、フィブリン、ヒアルロン酸、アガロース、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチルレングリコールジアクリレート、ゼラチン、マトリゲル(matrigel)、ポリ乳酸、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、キトサン、ラテックス及びセファローズから選択される少なくとも一つに製造されてもよく、ビーズまたはメンブレンの形態であってもよい。
【0122】
また、上記実施形態による造影剤組成物は、経口または非経口方式で投与されるため、本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物以外に薬学的に許容する担体をさらに含んでもよい。
【0123】
薬学的に許容される担体の具体例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルジネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルビドロキシ安息香酸塩、プロピルビドロキシ安息香酸塩、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどがある。
【0124】
以下では、上述した生体分子標識用染料または生体分子標識用キットを利用した生体分子の標識方法について説明する。
【0125】
<生体分子標識用染料を用いた生体分子の標識方法>
本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物で生体分子を標識する方法としては、標識された固体または半固体状態の生体分子の蛍光を測定する標識方法ができる全ての生体分子の標識に適用されてもよい。
【0126】
従来の蛍光染料の代わりにメロシアニン系化合物を使うことにより、高感度で、化学的に安定的であり、造作性(操作性)に優れた標識方法を提供することができる。
【0127】
本発明の多様な実施形態によれば、ターゲット生体分子にメロシアニン系化合物をインターカレーションして生体分子を標識する方法などが実現されてもよい。また、これを利用して液またはゲル内の生体分子の定量化、生細胞または死滅細胞内の生体分子の染色、及びマイクロアレイでの生体分子検出及び定量化ができる。
【0128】
具体的に、本発明の多様な実施形態によれば、上記メロシアニン系化合物を利用してサンプル内の核酸の存在または不在を決定することができる。より具体的に、核酸がサンプル内に存在する場合、本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物に核酸を露出させ、上記メロシアニン系化合物が核酸内にインターカレーションされて複合体を形成する段階;及び上記メロシアニン系化合物の蛍光またはそれの不在を決定する段階;を含む、サンプル内の核酸の存在または不在を決定する方法がある。
【0129】
上記メロシアニン系化合物は、高感度で、化学的に安定して、サンプル内に存在する核酸に容易にインターカレーションされて複合体を形成する。そして、上記形成された複合体に十分な波長の光を照射して、放出された蛍光信号によりサンプル内の核酸の存否を容易に決定することができる。
【0130】
上記蛍光信号は、例えば、プレートリーダー、顕微鏡、蛍光光度計、量子カウンター及び流細胞分析器のような各種機器または肉眼を通じて検出される。
【0131】
また、上記メロシアニン系化合物を利用して増幅された標的核酸の存在または不在を決定することができる。
【0132】
具体的に、核酸増幅反応を行う方法として、標的核酸、上記標的核酸を増幅させるために必要な試薬、及び本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物を含む反応混合物を提供する段階;上記反応混合物を増幅された標的核酸の形成に好適な条件下で重合反応させる段階;上記反応混合物を光で照明する段階;及び上記反応混合物から蛍光放出を検出する段階;を含む、増幅された標的核酸の存在または不在を決定する方法であってもよい。
【0133】
上記反応混合物は、標的核酸の他に増幅酵素、標的核酸配列の増幅に十分なプライマー及びデオキシヌクレオシド三リン酸塩のような試薬などを含んでもよい。
【0134】
上記メロシアニン系化合物はPCR反応を抑制しなくても使用できるので、増幅された標的核酸の存否を決定するために有用に使うことができる。
【0135】
また、上記メロシアニン系化合物を利用してサンプル内の核酸を定量することができる。具体的に、本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物を含む混合物と、核酸を含むサンプルを混合する段階;上記メロシアニン系化合物が上記サンプル内の核酸にインターカレーションされて複合体を形成し、蛍光信号を発生させるように上記サンプルと上記混合物を十分な時間をもって培養(incubating)する段階;及び感知される蛍光信号と決められた核酸量の蛍光標準特性を比べてサンプル内の核酸を定量する段階;を含む、サンプル内の核酸を定量する方法であってもよい。
【0136】
上記サンプル内の核酸量は特定核酸量の蛍光標準特性に基づいて感知される蛍光信号と比べて定量化することができる。
【0137】
核酸の量と蛍光強度の間の実質的な一次的関係が核酸の定量化のために使われてもよく、細胞抽出物が使われる場合には、細胞数評価のために使われてもよい。一例として、核酸はブロット(blot)またはゲルのような不活性マトリックスに含浸されたり、マイクロアレイチップまたは任意の他の固体表面のような固体表面に付着されてもよい。このとき、上記メロシアニン系化合物を含む溶液を核酸含有マトリックスの表面、またはマイクロアレイチップの表面または他の固体表面に塗布し、染料−核酸複合体が形成されるように十分な時間の間、インキュベーションすることで行われる。
【0138】
また、本発明の多様な実施形態によれば、ターゲット細胞内に含まれた生体分子にメロシアニン系化合物をインターカレーションさせて、ターゲット細胞の生存度及びターゲット細胞を定量する方法などが実現されることができる。
【0139】
具体的に、本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物を含む混合物と、死滅細胞を含むサンプルを混合する段階;上記メロシアニン系化合物が上記サンプル内の死滅細胞にインターカレーションして複合体を形成し、蛍光信号を発生させるように上記サンプルと上記混合物を十分な時間培養する段階;及び感知される蛍光信号と決められた死滅細胞量の蛍光標準特性を比べてサンプル内の死滅細胞を定量する段階;を含む、サンプル内の細胞の生存度を定量する方法であってもよい。
【0140】
本発明の一実施形態によれば、上記メロシアニン系化合物は、細胞、つまり生細胞は透過しないが、死滅細胞は透過することができる。このような特性を利用して、上記メロシアニン系化合物が死滅細胞の膜を通過して、膜内の核酸と複合体を形成するように十分な時間インキュベーションして行われる。
【0141】
他の具体例として、死滅細胞にインターカレーションする本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物、及び細胞にインターカレーションすることができる上記メロシアニン系化合物以外の化合物を含む水溶液と細胞を含むサンプルを混合する段階;上記メロシアニン系化合物、及びそれ以外の上記化合物をインターカレーションした細胞を含むサンプルを光で照明する段階;及び上記サンプルから蛍光放出を検出する段階;を含み、上記サンプルから放出された上記蛍光は上記メロシアニン系化合物及びそれ以外の上記化合物が共にサンプル内の細胞にインターカレーションして細胞間に蛍光反応で発生し、放出された上記蛍光は上記メロシアニン系化合物だけの蛍光反応で発生した蛍光とは別のものとして、サンプル内の細胞の生存度を分析する方法であってもよい。
【0142】
本発明の一実施形態によれば、上記メロシアニン系化合物は、死滅細胞にインターカレーションすることができる。具体的に、上記メロシアニン系化合物は、死滅細胞を透過して死滅細胞内の核酸にインターカレーションすることができる。
【0143】
一方、上記メロシアニン系化合物以外の化合物、例えば、アクリジンオレンジ(Acridine orange、AO)は、細胞、つまり死滅細胞だけでなく生細胞にもインターカレーションできる。すなわち、アクリジンオレンジ(AO)は死滅細胞だけでなく生細胞の膜を透過して細胞内の核酸にインターカレーションすることができる。
【0144】
上記メロシアニン系化合物、及びメロシアニン系化合物以外の化合物を核酸にインターカレーションして形成された複合体から発生した蛍光信号を測定し、サンプル内の細胞の生存度を分析することができる。具体的に、上記メロシアニン系化合物と核酸の複合体が発生させる蛍光信号の波長と、それ以外の化合物と核酸の複合体が発生させる蛍光信号の波長を測定及び区分して細胞の生存度を分析することができる。
【0145】
また、本発明は上記のような特徴を利用したサンプル内の細胞生存度を分析するキットであってもよい。
【0146】
具体的に、本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物;及び使用説明書を含み、死滅細胞がサンプル内に存在する場合、上記メロシアニン系化合物をインターカレーションして蛍光が検出されるサンプル内の細胞の生存度を分析するキットであってもよい。
【0147】
同時に、メロシアニン系化合物で標識した生体分子を電気泳動を通じて同定する方法が実現されてもよい。
【0148】
<DNAマイクロアレイ法>
DNAマイクロアレイ法は、標識すべき標的核酸に染料を反応(すなわち、メロシアニン系化合物を標的核酸内にインターカレーション)させて標識するが、このとき、標的核酸に対して相補的な塩基配列を持つ一本鎖のプローブ核酸を用意し、一本鎖に変性させた標的核酸とプローブ核酸を基板上で混成化した後、蛍光染料を標的核酸内にインターカレーションするようにすることで蛍光信号を発生させることができる。
【0149】
本標識方法で基板に固定するプローブ核酸としては、遺伝子の発現を調査する場合、cDNAなどのcDNAライブラリー、ゲノムライブラリー、または全てのゲノムを鋳型にし、PCR法で増幅して調剤したものを使うことができる。
【0150】
また、遺伝子変異などを調べる場合、標準となる既知の配列に基づいて、変異などに対応する様々なオリゴヌクレオチドを合成したものを使うことができる。
【0151】
プローブ核酸を基板上に固定することは、核酸の種類や基板の種類によって適当な方法を選択することができる。例えば、DNAの電荷を利用して、ポリリシンなどのカチオンで表面処理した基板に静電結合させる方法を利用することもできる。
【0152】
<PCR法>
PCR法は、標識しなければならない標的核酸の塩基配列に相補的なプローブを染料で標識し、標的核酸の増幅前に、あるいは増幅した後で標的核酸とプローブを反応させ、標的核酸の蛍光を測定する。
【0153】
具体的には、標的核酸の伸長反応は、酵素(DNA合成酵素、RNA合成酵素)によって行われるし、このとき、標的核酸とオリゴヌクレオチドからなるプライマーが形成した二本鎖核酸配列を酵素が認識し、この認識した位置から伸長反応が行われ、目的とする遺伝子領域のみを増幅させる。
【0154】
酵素を合成する際に、ヌクレオシド(dNTP、NTP)を原料として合成反応が行われる。
【0155】
このとき、通常のヌクレオシド(dNTP、NTP)に染料を有するヌクレオシドを任意の割合で混合すれば、その割合の染料が取り入れられた核酸を合成することができる。
【0156】
また、PCRによって任意の割合でアミノ基を有するヌクレオシドを取り入れた後で標識用染料を結合し、標識用染料が取り入れられた核酸を合成することもできる。
【0157】
酵素を合成するとき、ヌクレオシドを原料として合成反応が行われるが、このときのヌクレオシドの3'のOHをHに変えたものを使用した場合、それ以上核酸の伸長反応が行われずに、その時点で反応が終了する。
【0158】
このヌクレオシド、ddNTP(dideoxy nucleotide triphospae)はターミネーターと言われる。
【0159】
通常のヌクレオシドにターミネーターを混ぜて核酸を合成すれば、一定の確率でターミネーターが取り入れられて反応が終了するので、様々な長さの核酸が合成される。
【0160】
これをゲル電気泳動によって大きく分離すれば、長さの順にDNAが並ぶようになる。ここで、ターミネーターの各塩基の種類ごとに他の標識用染料で標識しておけば、合成反応の終点(3'末端)には各塩基に依存する傾向が観察され、ターミネーターに標識した標識用染料を基点にして蛍光情報を読み取ることにより、その標的核酸の塩基配列の情報を得ることができる。
【0161】
また、ターミネーターの代りに予め標識用染料で標識したプライマーを使用して標的核酸と混成化することもできる。
【0162】
また、プローブとしてPNA(ペプチド核酸)を使用してもよい。PNAは核酸の基本骨格構造である五炭糖・リン酸骨格を、グリシンを単位とするポリアミド骨格に置換したもので、核酸とかなり似た3次元構造を有し、相補的な塩基配列を有する核酸に対して非常に特異的に強力に結合する。これを通じて、ISH(in−situ hybridization)法などの既存のDNA解釈方法だけでなく、テロメア(telomere、末端小粒)PNAプローブに応用することで、テロメア研究の試薬として使うこともできる。
【0163】
標識は、例えば、二本鎖DNAをDNAの塩基配列の全部または一部に相補的な塩基配列を有し、標識用染料で標識されたPNAと接触させて混成し、その混合物を加熱して一本鎖DNAを生成し、混合物をゆっくり室温まで冷却してPNA−DNA複合体を調剤し、その蛍光を測定することで進めることができる。
【0164】
上記の例では、標的核酸をPCR法によって増幅させることにより生成物の蛍光を測定する方法について説明したが、この方法では電気泳動で生成物の大きさを確認し、その後蛍光強度を測定することで増幅生成物の量を調べる必要がある。
【0165】
そのために、蛍光染料のエネルギートランスファーを利用し、PCR法の生成物に混成させることで蛍光を発するように考案されたプローブを使用し、リアルタイムで生成物の量を測定することもできる。
【0166】
例えば、ドナーとアクセプターを標識したDNAを使用してもよい。具体的な標識方法としては、特定配列の核酸の存在を確認する分子標識法やTaqMan−PCR法、またはサイクリングプローブ(cycling probe)法などを挙げられる。
【0167】
<その他の標識方法>
また、本発明の標識用染料を利用して、細胞内の信号伝達(signaling)現象を観察してもよい。内部信号伝達又はこれによる細胞の反応には多様な酵素などが関与している。代表的な信号伝達現象では、特殊なタンパク質リン酸化酵素(protein kinase)が活性化され、これによってタンパク質のリン酸化が誘導され、信号伝達が開始されることが知られている。
【0168】
ヌクレオシド(例えば、ATPまたはADP)の結合と加水分解は、これらの活性に重大な役割をしていて、ヌクレオシド誘導体に標識用染料を取り入れることで、細胞内の信号伝達現象を高感度で観察することができる。
【0169】
また、本発明の標識用染料をRNA干渉作用(RNAi)を利用した遺伝子発現現象の観察に利用してもよい。
【0170】
RNAiは、二本鎖RNA(dsRNA)を細胞に取り入れることで、標的遺伝子のmRNAを分解して発現を抑制するものであって、設計されたdsRNAを標識用染料で標識することでRNAi現象を観察することが可能である。
【0171】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記の実施例は本発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0172】
<製造例>
<製造例1.化合物1の合成>
(1)中間体1及び中間体2の合成
【0173】
250mLの1口反応器に2−メチルチオベンゾチアゾル(2−(methylthio)benzothiazole)(11.115g、0.0614mol)とアセトニトリル(110mL)を入れて常温で5分間撹拌した。次いで、反応器にOxolane、すなわち2−ヨードエチル−1,3−ジオキソラン(21g、0.0921mol)を入れて、還流下で40時間撹拌した後冷却し、濃縮及びコラム精製して中間体1(14g、0.0523mol、85%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.45-7.48 (m, 1H), 7.38-7.43 (m, 1H), 7.26-7.32 (m, 2H), 5.00 (t, J=4.0 Hz, 1H), 4.54-4.58 (m, 2H), 3.89-4.02 (m, 4H), 2.18-2.23 (m, 2H)
【0174】
次いで、100mLの1口反応器に中間体1(2.37g、0.01mol)とアセトニトリル(30mL)を入れて常温で5分間撹拌した。反応器にヨードメタン(methyl iodide、MeI)(1.26g、0.03mol)を入れて還流下で12時間撹拌した後冷却し、濃縮してエチルアセテート(50mL)を入れて固体を析出させた。析出された固体をろ過及び真空乾燥して中間体2(3g、0.00733mol、73%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.51 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.92 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.76 (t, J=8.4Hz, 1H), 7.64 (t, J=8.0H, 1H), 5.03 (t, J=3.6Hz, 1H), 4.78 (t, J=7.2Hz, 2H), 3.84-4.00 (m, 2H), 3.21 (s, 3H), 2.38-2.42 (m, 2H)
【0176】
50mLの1口反応器に4−メチル−5−キノリノール(2g、0.0125mol)、エチル6−ヨードヘキサノエート(10g、0.0375mol)、ジメチルホルムアミド(4mL)を入れて120℃で12時間撹拌した後冷却し、濃縮及びコラム精製して中間体3(3.5g、0.00828mol、67%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 9.19 (d, J=6.4Hz, 1H), 7.952 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.73-7.77 (m, 2H), 7.22 (d, J=7.6Hz, 1H), 4.85 (t, J=6.8Hz, 2H), 4.01 (q, J=7.6Hz, 2H), 3.09 (s, 3H), 2.35 (t, J=7.6Hz, 2H), 1.89-1.93 (m, 2H), 1.55-1.61 (m, 4H), 1.12 (t, J=6.8Hz, 3H)
【0178】
100mLの1口反応器に中間体2(1.55g、3.814mmol)、中間体3(1.64g、3.814mmol)及びジクロロメタン(30mL)を入れて常温で5分間撹拌した。次いで、反応器にトリエチルアミン(1.15g、11.442mmol)を入れて常温で12時間撹拌した後、濃縮及びコラム精製して中間体4(1.5g、2.263mmol、59%)を得た。
【0180】
250mLの1口反応器に中間体4(1.5g、2.263mmol)、クロロホルム(45mL)を入れて常温で5分間撹拌した後、反応器に50%硫酸水溶液(9mL)を入れて12時間撹拌した。次いで、反応器に水(10mL)を入れてジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、有機層を濃縮及びコラム精製して中間体5(0.4g、0.666mmol、29%)を合成した。
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.35 (d, J=7.2Hz, 1H), 7.91 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.82 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.62-7.65 (m, 2H), 7.54 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.42-7.44 (m, 1H), 7.36 (d, J=7.2Hz, 1H), 7.11 (d, J=8.0Hz, 1H), 5.21-5.25 (m, 1H), 4.70-4.75 (m, 1H), 4.45-4.60 (m, 2H), 4.13-4.20 (m, 1H), 2.87-2.92 (m, 1H), 2.52-2.56 (m, 1H), 2.33 (t, J=7.6Hz, 2H), 1.94-2.02 (m, 2H), 1.66-1.73 (m, 2H), 1.46-1.52 (m, 2H)
【0182】
250mLの1口反応器に中間体5(200mg、0.35mmol)、ジメチルホルムアミド(4mL)を入れて常温で5分間撹拌した後、反応器にTSTU(106mg、0.35mmol)、トリエチルアミン(50μl、0.35mmol)を入れて常温で15分間撹拌した。次いで、トリエチルアミン(50μl、0.35mmol)、2,2'−オキシビスエチルアミン(13μl、0.119mmol)を入れて常温で3日間撹拌した後、エチルアセテート(40mL)に反応液を注いで固体を析出させた。析出された固体は、ろ過及びコラム精製して化合物1(110mg、0.0906mmol、26%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.25 (d, J=6.8Hz, 2H), 7.77-7.80 (m, 2H), 7.68-7.73 (m, 2H), 7.51-7.54 (m, 4H), 7.41 (t, 2H, J=8.8Hz, 2H), 7.29-7.35 (m, 2H), 7.16-7.20 (m, 2H), 7.01 (d, J=7.6Hz, 2H), 5.04-5.11 (m, 2H), 4.60-4.63 (m, 2H), 4.32-4.43 (m, 4H), 4.00-4.09 (m, 2H), 3.44-3.47 (m, 4H), 3.30-3.32 (m, 4H), 2.79-2.82 (m, 2H), 2.35-2.45 (m, 2H), 2.21 (t, J=7.2Hz, 4H), 1.85-1.92 (m, 4H), 1.61-1.69 (m, 4H), 1.39-1.45 (m, 4H)
【0183】
<製造例2.化合物2ないし化合物4の合成>
製造例1の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりにそれぞれ4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,11−ジアミノ−3,6,9−トリオキサウンデカンを使用して化合物2、化合物3及び化合物4を合成した。
【0184】
化合物2−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.25 (d, J=7.2Hz, 2H), 7.77 (t, J=8.0Hz, 2H), 7.69-7.73 (m, 2H), 7.50-7.55 (m, 4H), 7.41 (t, J=8.4Hz, 2H), 7.30-7.32 (m, 2H), 7.17-7.20 (m, 2H), 7.01 (d, J=8.0Hz, 2H), 5.05-5.10 (m, 2H), 4.60-4.63 (m, 2H), 4.34-4.45 (m, 4H), 4.04-4.10 (m, 2H), 3.54-3.56 (m, 4H), 3.48-3.50 (m, 4H), 3.42 (t, J=6.0Hz, 4H), 3.18 (t, J=6.8Hz, 4H), 2.79-2.83 (m, 2H), 2.37-2.44 (m, 2H), 2.16 (t, J=6.8Hz, 4H), 1.85-1.92 (m, 4H), 1.60-1.70 (m, 8H), 1.37-1.42 (m, 4H)
【0185】
化合物3−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.26 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.77-7.79 (m, 2H), 7.69-7.72 (m, 2H), 7.52-7.54 (m, 4H), 7.42 (t, J=8.4Hz, 2H), 7.31-7.33 (m, 2H), 7.17-7.20 (m, 2H), 7.02 (d, J=7.6Hz, 2H), 5.05-5.12 (m, 2H), 4.60-4.64 (m, 2H), 4.33-4.43 (m, 4H), 4.01-4.10 (m, 2H), 3.54-3.57 (m, 4H), 3.50 (t, J=6.4Hz, 4H), 3.32 (t, J=6.4Hz, 4H), 2.80-2.83 (m, 2H), 2.40-2.43 (m, 2H), 2.21 (t, J=7.2Hz, 4H), 1.86-1.92 (m, 4H), 1.63-1.68 (m, 4H), 1.42-1.46 (m, 4H)
【0186】
化合物4−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.27 (d, J=7.2Hz, 2H), 7.77-7.80 (m, 2H), 7.69-7.73 (m, 2H), 7.52-7.54 (m, 4H), 7.42 (t, J=8.4Hz, 2H), 7.31-7.33 (m, 2H), 7.18-7.20 (m, 2H), 7.02 (m, J=7.6Hz, 2H), 5.06-5.11 (m, 2H), 4.60-4.64 (m, 2H), 4.35-4.44 (m, 4H), 4.05-4.08 (m, 2H), 3.54-3.58 (m, 8H), 3.48 (t, J=6.0Hz, 4H), 3.32 (t, J=4.8Hz, 4H), 2.80-2.84 (m, 2H), 2.39-2.43 (m, 2H), 2.21 (t, J=7.2Hz, 4H), 1.87-1.94 (m, 4H), 1.63-1.40 (m, 4H), 1.40-1.46 (m, 4H)
【0187】
<製造例3.化合物5の合成>
製造例3は、製造例1における中間体1の生成時に2−メチルチオベンゾチアゾルの代わりに5−クロロ−2−メチルチオベンゾチアゾルを使用したことを除いて、製造例1と同じ方法によって化合物5を合成した。
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.34 (d, J=6.4Hz, 2H), 7.71-7.77 (m, 4H), 7.58 (m, 2H) 7.46 (t, J=8.4Hz, 2H), 7.27 (t, J=7.2Hz, 2H), 7.20 (t, J=6.8Hz, 2H), 7.05 (d, J=7.6Hz, 2H), 5.07 (m, 2H), 4.55-4.58 (m, 2H), 4.41 (m, 4H), 400-4.03 (m, 2H), 3.46 (m, 4H), 3.29 (m, 4H), 2.82 (m, 2H), 2.40-2.42 (m, 2H), 2.21 (m, 4H), 1.90 (m, 4H), 1.65 (m, 4H), 1.41 (m, 4H)
【0188】
<製造例4.化合物6ないし化合物8の合成>
製造例3の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりにそれぞれ1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,11−ジアミノ−3,6,9−トリオキサウンデカン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンを使用して化合物6、化合物7及び化合物8を合成した。
【0189】
化合物6−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.33-8.36 (m, 2H), 7.74-7.78 (m, 4H), 7.62-7.64 (m, 2H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.30-7.34 (m, 2H), 7.25 (t, J=7.6Hz, 2H), 7.05-7.07 (m, 2H), 5.09-5.12 (m, 2H), 4.50-4.61 (m, 2H), 4.42-4.47 (m, 4H), 4.01-4.05 (m, 2H), 3.54 (m, 4H), 3.46-3.48 (m, 4H), 3.29 (m, 4H), 2.80-2.82 (m, 2H), 2.41-2.45 (m, 2H), 2.17-2.20 (m, 4H), 1.89-1.92 (m, 4H), 1.62-1.66 (m, 4H), 1.40-1.42 (m, 4H)
【0190】
化合物8−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.36-8.38 (m, 2H), 7.75-7.82 (m, 4H), 7.62-7.65 (m, 2H), 7.49-7.54 (m, 2H), 7.30-7.34 (m, 2H), 7.27 (t, J=7.2Hz, 2H), 7.08-7.10 (m, 2H), 5.11-5.17 (m, 2H), 4.60-4.63 (m, 2H), 4.44-4.53 (m, 4H), 4.05-4.08 (m, 2H`), 3.56-3.59 (m, 4H), 3.50-3.53 (m, 4H), 3.45 (t, J=6.0Hz, 4H), 3.20 (t, J=6.8Hz, 4H), 2.82-2.84 (m, 2H), 2.44-2.49 (m, 2H), 2.19 (t, J=6.4Hz, 4H), 1.90-1.97 (m, 4H), 1.63-1.72 (m, 8H), 1.40-1.65 (m, 4H)
【0191】
上記製造例1ないし4で得られた化合物1ないし化合物8と、市販されるSYBR safeの吸収スペクトル(λ
abs)、発光スペクトル(λ
em)、モル吸光係数(ε)及び量子効率を測定して下記表1に示した。
【0193】
上記製造例1ないし4で得られた化合物1ないし化合物8は、SYBR safeと類似であるか、又は優れたモル吸光係数を示し、特に量子効率の側面においても相当優秀であることを確認できる。
【0194】
<製造例5.化合物9ないし化合物20の合成>
製造例1の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりに、それぞれ1,6−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、3,3−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミンを使用して化合物9ないし化合物13を合成した。
【0195】
製造例1の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりに、下記化学式で表わされるアミンブリッジを使用して化合物14を合成した。
【0197】
製造例1の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりにピペラジン、2,6−ジアミノピリジン、p−ペニルジアミン、1,4−ジアミノナフタレンを使用して化合物15ないし化合物18を合成した。
【0198】
製造例1の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりに下記の化学式で表わされるアミンブリッジを使用して化合物19を合成した。
【0200】
製造例1の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりに下記の化学式で表わされるアミンブリッジを使用して化合物20を合成した。
【0202】
<製造例6.化合物36の合成>
(1) 中間体1及び中間体2の合成
【0203】
1Lの1口反応器にOxolane、すなわち、2−ブロモエチル−1,3−ジオキソラン(52.6g、0.290mol)、ヨウ化カリウム(64.3g、0.387mol)、アセトニトリル(320mL)を入れて、50℃で1時間撹拌した。次いで、反応器に2−メチルチオベンゾオキサゾール(2−(methylthio)benzoxazole)(32.0g、0.193mol)を入れて還流下で20時間撹拌して冷却した後、濃縮及びコラム精製して中間体1(30.2g、0.120mol、62%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.40-7.28 (m, 4H), 4.93 (t, J=4.4Hz, 1H), 4.33 (t, J=6.8Hz, 2H), 4.10-3.90 (m, 2H), 3.84-3.78 (m, 2H), 2.22-2.00 (m, 2H)
【0204】
次いで、50mLの1口反応器に中間体1(1.0g、3.979mmol)、メチルトシラート(methyl tosylate、MeOTs)(0.9mL、5.968mmol)、ジメチルホルムアミド(2mL)を120℃で1時間撹拌して冷却した後、反応器にエチルアセテートを入れて常温で撹拌した。それから、上層液を捨てて真空乾燥させ、中間体2(0.9g、2.057mmol、52%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, MeOD) δ 7.95-7.89 (m, 2H), 7.73-7.66 (m, 4H), 7.22 (d, J=7.8Hz, 2H), 4.96 (t, J=3.6Hz, 1H), 4.54 (t, J=6.6Hz, 2H), 3.93-3.77 (m, 4H), 3.19 (s, 3H), 2.44-2.35 (m, 5H)
【0206】
50mLの1口反応器に4−メチル−5−キノリノール(2g、0.0125mol)、エチル6−ヨードヘキサノエート(10g、0.0375mol)、ジメチルホルムアミド(4mL)を入れて120℃で12時間撹拌して冷却した後、濃縮及びコラム精製して中間体3(3.6g、0.00828mol、67%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 9.19 (d, J=6.4Hz, 1H), 7.952 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.73-7.77 (m, 2H), 7.22 (d, J=7.6Hz, 1H), 4.85 (t, J=6.8Hz, 2H), 4.01 (q, J=7.6Hz, 2H), 3.09 (s, 3H), 2.35 (t, J=7.6Hz, 2H), 1.89-1.93 (m, 2H), 1.55-1.61 (m, 4H), 1.12 (t, J=6.8Hz, 3H)
【0208】
100mLの1口反応器に中間体2(1.87g、4.292mmol)、中間体3(1.45g、4.292mmol)及びジクロロメタン(20mL)を入れて常温で5分間撹拌した。次いで、反応器にトリエチルアミン(triethylamine、TEA)(0.868g、8.584mmol)を入れて常温で12時間撹拌した後、濃縮及びコラム精製して中間体4を得た。
【0210】
500mLの1口反応器に中間体4(8.6g、0.0133mmol)、50%硫酸水溶液(50mL)、クロロホルム(250mL)を入れて常温で撹拌した。次いで、反応器に水(10mL)を入れてジクロロメタン(2 x 50mL)で抽出し、有機層を濃縮及びコラム精製して中間体5(0.37g、0.665mmol、5%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.25 (d, J=6.8Hz, 1H), 7.80 (t, J=8.4Hz, 1H), 7.69 (d, J=7.6Hz, 2H), 7.53-7.47 (m, 3H), 7.44-7.40 (m 1H), 7.08 (d, J=8.0Hz, 1H), 5.31-5.27 (m, 1H), 4.57-4.50 (m, 2H), 4.47-4.40 (m, 1H0, 4.18-4.10 (m, 1H), 2.87-2.83 (m, 1H), 2.57-2.47 (m, 1H)m 2.31 (s, J=7.2Hz, 2H), 1.99-1.92 (m, 2H), 1.71-1.64 (m, 2H), 1.51-1.43 (m, 2H)
【0212】
250mLの1口反応器に中間体5(123mg、0.220mmol)、TBTU(106mg、0.330mmol)、ジメチルホルムアミド(2mL)を入れて常温で5分間撹拌した後、反応器にトリエチルアミン(92μl、0.660mmol)、2,2'−オキシビスエチルアミン(23μl、0.220mmol)を入れて常温で12時間撹拌した。次いで、エチルアセテート(40mL)に反応液を注いで固体を析出させた。析出された固体をろ過及びコラム精製して化合物36(30mg、0.0906mmol、11%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.21 (d, J=7.2Hz, 2H), 7.77-7.72 (m, 2H), 7.66 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.60 (t, J=6.8Hz, 2H), 7.49-7.44 (m, 6H), 7.41-7.37 (m, 2H), 7.06-7.03 (m, 2H), 5.24-2.18 (m, 2H), 4.54-4.49 (m, 2H), 4.44-4.37 (m, 4H), 4.14-4.07 (m, 2H), 3.49-3.47 (m, 4H), 3.32 (m, 4H), 2.84-2.81 (m, 2H), 2.52-2.39 (m, 2H), 2.23 (t, J=7.2Hz, 4H), 1.94-1.91 (m, 4H), 1.70-1.65 (m, 4H), 1.49-1.40 (m, 4H)
【0213】
<製造例7.化合物37ないし化合物39の合成>
製造例6の中間体5から化合物1を合成する例で、2,2'−オキシビスエチルアミンの代わりに、それぞれ1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,11−ジアミノ−3,6,9−トリオキサウンデカン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンを使用して化合物37、化合物38及び化合物39を合成した。
【0214】
化合物37−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.20 (d, J=7.2, 2H), 7.76-7.70 (m, 2H), 7.65 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.61-7.57 (m, 2H), 7.48-7.42 (m, 6H), 7.39-7.35 (m, 2H), 7.04-7.01 (m, 2H), 5.23-5.17 (m, 2H), 4.52-4.47 (m, 2H), 4.44-4.34 (m, 4H), 4.12-4.06 (m, 2H), 3.57 (s, 4H), 3.51-3.48 (m, 4H), 3.36-3.30 (m, 4H), 2.83-2.80 (m, 2H), 2.48-2.40 (m, 2H), 2.25-2.21 (m, 4H), 1.93-1.89 (m, 4H), 1.68-1.64 (m, 4H), 1.46-1.39 (m, 4H)
【0215】
化合物38−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.20 (d, J=7.2Hz, 2H), 7.77-7.72 (m, 2H), 7.66 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.62-7.59 (m, 2H), 7.47-7.44 (m, 6H), 7.41-7.36 (m, 2H), 7.03 (d, J=8.0Hz, 2H), 5.25-5.19 (m, 2H), 4.52-4.48 (m, 2H), 4.44-4.39 (m, 4H), 4.13-4.07 (m, 2H), 3.59-3.58 (m, 8H), 3.50-3.48 (m, 4H), 3.33-3.30 (m, 4H), 2.84-2.81 (m, 2H), 2.49-2.40 (m, 2H), 2.21 (t, J=7.2Hz, 4H), 1.94-1.89 (m, 4H), 1.69-1.65 (m, 4H), 1.44-1.43 (m, 4H)
【0216】
化合物39−
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.22-8.21 (m, 2H), 7.78-7.72 (m, 2H), 7.67 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.63-7.60 (m, 2H), 7.51-7.44 (m, 6H), 7.41-7.37 (m, 2H), 7.05-7.03 (m, 2H), 5.26-4.20 (m, 2H), 4.53-4.49 (m, 2H), 4.47-4.37 (m, 4H), 4.15-4.07 (m, 2H), 3.60-3.58 (m, 4H), 3.54-3.53 (m, 4H), 3.48-3.45 (m, 4H), 3.23-3.20 (m, 4H), 2.85-2.82 (m, 2H), 2.50-2.42 (m, 2H), 2.20 (t, J=7.2Hz, 4H), 1.97-1.89 (m, 4H), 1.73-1.68 (m, 8H), 1.46-1.40 (m, 4H)
【0217】
上記製造例6及び7で得られた化合物36ないし化合物39と、市販されるSYBR safeの吸収スペクトル(λ
abs)、発光スペクトル(λ
em)、モル吸光係数(ε)及び量子効率を測定して下記表2に示した。
【0219】
上記製造例6及び7で得られた化合物36ないし化合物39は、SYBR safeと類似であるか、又は優れたモル吸光係数を表し、特に量子効率の側面においても相当優秀であることを確認できる。
【0220】
<実験例>
<実験例1.核酸標識実験>
製造例に従って製造された化合物1ないし化合物8、化合物38と、市販中の染料であるSYBR safeの核酸標識特性を比べるために、1%アガロースゲル(40ml 1X TAE バッファー + 0.4gアガロース)に、それぞれ4μlずつ混合して9個のアガロースゲルを用意した。
【0222】
用意された9個のアガロースゲルを1X TAE バッファーに完全に浸すように入れた後、5個のウェルに10μl、5μl、2.5μl、1μl、0.5μlのDNAサンプルをそれぞれローディングした。電気泳動は100Vの電源で30分間行った。上記電気泳動結果は、
図1及び
図2ないし
図10に示した。
【0223】
図2ないし
図10は、それぞれ化合物1ないし化合物8、化合物38の電気泳動結果を示したものである。
【0224】
図1ないし
図10を参照すれば、SYBR safeに比べて本発明の多様な実施形態によるメロシアニン系化合物を染料として使う場合、background signalが均一であることを確認することができ、全般的なバンドの明るさがSYBR safeより明るくて、標識結果の判読性を向上させたことを確認することができる。
【0225】
また、SYBR safeの場合、UVを0.5秒間照射したにもかかわらず、全般的なバンドの明るさが暗い一方、
図6ないし
図10を参照すれば、SYBR safeより短い時間の間UVを照射したにもかかわらず、もっと明るいバンドが観察されたことを確認することができる。
【0226】
図11は商用化された染料であるSYBR safeの吸収及び放出スペクトルの結果を示したものであり、
図12及び
図13はそれぞれ化合物3及び化合物6の吸収及び放出スペクトルの結果を示したものである。
【0227】
SYBR safe、化合物3及び化合物6のいずれもDNAにインターカレーションしつつ、吸収波長が長波長へと移動(red shift)し、蛍光強度が増加することを確認することができるが、red shiftされた化合物3及び化合物6による蛍光強度は、SYBR safeの蛍光強度よりかなり向上したことを確認することができる。
【0228】
化合物1ないし化合物8、化合物36ないし化合物39と、市販されるSYBR safeのDNA存在下で測定された吸収スペクトル(λ
abs)、発光スペクトル(λ
em)及び量子効率を測定して下記表3に示した。
【0230】
化合物1ないし化合物8、化合物36ないし化合物39は、DNAの存在下で市販されるSYBR safeと類似する波長領域で蛍光信号を表す一方、SYBR safeに比べて相当優秀な量子効率を示すことを確認することができる。
【0231】
<実験例2.細胞透過性実験>
SYBR safeと本発明の一実施例による化合物1、化合物4及び化合物6の細胞透過性を確認するために、ヒーラ細胞測定を利用した。
【0232】
ヒーラ細胞を10%ウシ胎児血清(Fetal bovine serum:FBS)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(10,000units penicillin及び10,000μg/mL streptomycin、Invitrogen)を含むMEM培地に、CO2の湿潤(humidified)大気下、37℃で培養した。ヒーラ細胞を3回メディアで洗浄した後、1μM濃度のSYBR safeと化合物6をそれぞれヒーラ細胞(Hela Cell)に処理し、37℃で30分間培養した。上記と同様に3回メディアで洗浄した後、顕微鏡でイメージを観察し、その結果を
図14ないし
図17に示した。
【0233】
図14は商用化された染料であるSYBR safeの細胞透過性実験結果を示したイメージで、
図15は化合物1、
図16は化合物4、及び
図17は化合物6の細胞透過性実験結果を示したイメージである。
【0234】
図14を参照すれば、SYBR safeは細胞透過性を示す一方、
図15ないし
図17を参照すれば、本発明の多様な実施形態による化合物は細胞を透過しないことを確認することができる。
【0235】
<実験例3.細胞サイクル(cell cycle)分析実験>
6−ウェルプレートの各ウェルに5×10
5〜1×10
6で株分けした細胞をvehicle及びTNFα(tumor necrosis factor alpha)で処理した後、trypsin−EDTAで回収した後、FACSチューブに移してPBS(4℃)1mlで洗浄した。次いで、300μlのPBS(4℃)をチューブに入れた後、細胞を浮遊させた。
【0236】
浮遊した細胞が載せられたチューブをvortexしながら100%Et−OH 700μlを一滴ずつ落とした後、4℃で1時間以上反応させ、細胞固定(cell fixation)させてEt−OHをPBS(phosphate−buffered saline)で洗浄した後、1mlのPBSに懸濁した細胞をそれぞれ化合物6(2μM)またはPI(propidium iodide)(50mg/ml)10μlと1mg/ml濃度のRNase 1μlを添加して30分間暗室で反応させ、流細胞分析機を利用して分析した。
【0237】
すなわち、FSC−A、SSC−Aを利用して核を区画(gating)し、FITC−A、FITC−W plotを電圧で調節してsingletを分ける。singletに分けられたものは、再度FITC−A histogramを見ながら電圧を調節してDNA 2N、4Nになるピークを指定し、G0/G1、S、そしてG2/M期を区分し、その結果を
図5a及び
図5bに示した。
【0238】
図18は商用化された細胞サイクル分析染料であるヨウ化プロピジウムを利用した細胞サイクル分析結果を示したグラフで、
図19は化合物6を利用した細胞サイクル分析結果を示したグラフである。
【0239】
図18と
図19を比べると、
図19の細胞サイクル分析結果が
図18に比べて各段階の間の区分が明確で、信号の可視性も向上されたことを確認することができる。
【0240】
<実験例4.エイムス試験(Ames test)>
本発明の一実施例による化合物6の遺伝毒性を評価する目的として、バクテリア菌株を用いたエイムス試験を行った。
【0241】
試験菌株として凍結保存されたHistidine要求性変異株であるネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA98株)に代謝活性酵素であるS9混合物を処理した試験系にて、化合物6、EtBr及びSYBR safe処理による試験菌株の生育度合を観察した。
【0242】
冷凍冷蔵庫で保管中の試験菌株を取って、滅菌された液体培地(2.5%のOxoid Nutrient Broth No.2)に接種し、シェイキングインキュベーター(37℃、200rpm)で10時間培養した。最小培地(Minimal Glucose Agarplate)は、1.5%Bacto agar(Difco)とVogel−Bonner medium E及び2%グルコースを含んだものをペトリ皿(90×15mm)に20mlずつ株分けして使用した。トップアガーは0.6%agarと0.5%NaClで調剤し、Salmonellatyphimurium菌株用トップアガーは0.05mMの濃度になるようにヒスチジン−ビオチンを添加した。
【0243】
高圧滅菌したトップアガーを45℃に予熱した加熱ブロックに刺した滅菌チューブ(12×75mm)に2mlずつ株分けした後、それぞれ化合物6、EtBr及びSYBR safe 0.1mlとS9混合物と、試験菌株培養液0.1mlを入れて、すぐボルテックスミキサーで2〜3秒間振盪してminimal glucose agar plateに注ぎ、幾つかの方向に傾けた後で固める。トップアガーが固まると、プレートをひっくり返して37℃で48時間培養した後、集落数を計数した。
【0244】
化合物6、EtBr及びSYBR safeの処理濃度(μg/plate)とプレート当たり計数された集落数は次のとおりである。
【0246】
上記表4の結果を察してみると、既存遺伝毒性を示すものと知られていたEtBrの集落数と比べるとき、化合物6はS9代謝活性TA98株で集落数が有意的に増加しなかったことを確認することができる。すなわち、化合物6は非遺伝毒性染料としてEtBrと充分に取り替えることができる。
【0248】
上記表5の結果を察してみると、現在市販されているSYBR safe染料は、化合物6の処理濃度(8μg/plate)よりさらに低い濃度(1.6μg/plate)でも化合物6よりさらに多い集落数が計数された。
【0249】
一般に、電気泳動時のゲルの染色濃度が1ないし3μg/ml(3ないし8μg/plate)である点を考慮すれば、上記濃度範囲内で化合物6はSYBR safeより低い遺伝毒性を表す。
【0250】
<実験例5.qPCR実験>
(1)qPCRは2X Real−Time PCR Master Mix(Cellsafe)10μl、各種濃度のHela cDNA、10pmol 正方向プライマー1μl、10pmol 逆方向プライマー1μl、及び1μlの化合物38を含む20μlの反応溶液で行った。cDNA内の断片をプライマー(GAPDH)を利用して増幅させた。95℃で5分、95℃で10秒、60℃で20秒、及び72℃で15秒で行われるサイクルを40回繰り返し、72℃段階で蛍光を測定した。qPCR結果は下記表6のとおりである。
【0252】
ここで、閾値サイクル数(Ct)は、一般的に蛍光信号が任意の閾値に達するサイクルの数を意味し、例えば、qPCR増幅グラフでは、蛍光信号が基準線を越え始める地点でのサイクル数を意味する。
【0253】
蛍光染料として化合物38を用いてqPCRを行った場合、増幅効率は97.44%で、反応溶液中に化合物38が含まれているとしてもqPCRの増幅効率が低下しないことを確認することができる。
【0254】
また、表6を参照すれば、1pgのように、かなり低い濃度のcDNAサンプルを使用してもPCRの産物が生成される点に照らし、qPCR反応に対する化合物38の敏感度が高いことを確認することができる。
【0255】
(2)qPCRはTOPreal
TM qPCR 2X PreMIX(TagMan Probe、Enzynomics社製品)10μl、各種濃度のHela cDNA、0.5μM正方向プライマー1μl、0.5μM逆方向プライマー1μl、及びSYBR green I(0.45X)、または化合物38(1X)を含む20μl反応溶液でCFX96を使用して行った。Hela cDNA内の断片を0.5μM正方向プライマー5'-GTATGACAACAGCCTCAAGAT-3'、0.5μM逆方向プライマー5'-AGTCCTTCCACGATACCAAA-3'を利用して増幅させた。95℃で10分、95℃で10秒、60℃で15秒、及び72℃で15秒に行われるサイクルを40回繰り返し、72℃段階で蛍光を測定した。qPCRは計3回繰り返され、qPCR結果は
図32、33及び下記の表7のとおりである。
【0257】
蛍光染料として化合物38を使用してqPCRを行った場合、SYBR green Iに比べてCt値が最大0.5程小さいことを確認することができ、RFU値は約5倍以上を示すことを確認することができる。
【0258】
(3)qPCRは2X Real−Time PCR Master Mix(DQ372、バイオファクト社製品)10μl、2μlのHgDNA(25ng/μl)、プライマー(HSP98)1μl、及び各種濃度(希釈倍数)の蛍光染料(化合物38、SYBR green I(Invitrogen社製品)、またはEvaGreen
TM(Biotium社製品))を含む20μlの反応溶液でABI 7500 FASTを使用して行った。95℃で15分、95℃で10秒、60℃で10秒、及び72℃で30秒に行われるサイクルを40回繰り返し、72℃段階で蛍光を測定した。qPCRは計3回繰り返され、qPCR結果は
図34ないし
図36及び下記表8のとおりである。
【0260】
蛍光染料として化合物38を使用してqPCRを行った場合、同一の希釈倍数のSYBR green IまたはEvaGreen
TMを使用した場合に比べてCt 値が低いことを確認することができる。また、蛍光強度も同一の希釈倍数のSYBR green IまたはEvaGreen
TMを使用した場合に比べて約2倍以上高いことを確認することができる。
【0261】
また、表8の結果を通じて、SYBR green Iの濃度に対して高い濃度の化合物38をqPCR反応の抑制なしに使用できたことを確認することができる。
【0262】
図20は蛍光染料として化合物38を使用したqPCRの溶融曲線を示したグラフで、
図21は蛍光染料としてSYBR green Iを使用したqPCRの溶融曲線を示したグラフで、
図22は蛍光染料としてEvaGreen
TMを使用したqPCRの溶融曲線を示したグラフである。
【0263】
図20ないし
図22を参照すれば、化合物38及びEvaGreen
TMを使用したqPCRの場合、単一の特異的ピークを表すが、SYBR green Iを使用したqPCRの場合、extraプライマー−二量体ピークを表すことを確認することができる。
【0264】
(4)qPCRは2X Real−Time PCR Master Mix(Cellsafe)10μl、各種濃度(希釈倍数)の蛍光染料(化合物36、化合物38、化合物39、SYBR green I(Invitrogen社製品)またはEvaGreen
TM(Biotium社製品))、Hela cDNA(0.5ng/μl)4μl及び1μlのプライマー(GAPDH)セットを含む20μlの反応溶液でCFX96を使用して行った。95℃で10分、95℃で10秒、及び60℃で1分で行われるサイクルを46回繰り返し、60℃の段階で蛍光測定した。qPCR結果は
図37ないし
図42及び下記表9のとおりである。
【0266】
相対的に高濃度(2X、1X)の蛍光染料濃度で化合物38及び化合物39を使用した場合、同一の希釈倍数のEvaGreen
TMを使用した場合に比べてCt値が小さいと同時に、蛍光強度も高いことを確認することができる。相対的に低濃度(0.5X)の蛍光染料濃度では、化合物36を使用した場合も同一の希釈倍数のSYBR green IまたはEvaGreen
TMを使用した場合に比べてCt 値が小さいと同時に、蛍光強度も高いことを確認することができる。
【0267】
<実験例6.熱的安定性実験>
PCR反応時の蛍光染料の安定性を確認するために、1μlの化合物38と1μlのEvaGreen
TM(Biotium社製品)をそれぞれ含む20μlのPCR反応緩衝液を用意した。それぞれのPCR反応緩衝液は95℃に加熱され、95℃での放置時間につれ変化する吸光度を測定した。
【0268】
下記表10に記載された吸光度測定結果を察してみると、95℃での放置時間に沿う吸光度偏差は、化合物38がEvaGreen
TMより小さいことを確認することができる。すなわち、化合物38の高温安定性はEvaGreen
TMより高い。
【0270】
<実験例7.光退色(photobleaching)実験>
各種濃度(希釈倍数)の蛍光染料(化合物38、SYBR green I(Invitrogen社製品)またはEvaGreen
TM(Biotium社製品))5μlだけを含む20μlの反応溶液でReal−Time PCRを行った。25℃で30秒及び25℃で30秒に行われるサイクルを60回繰り返し、各サイクル(1分)ごとに蛍光強度を測定し、各種濃度(希釈倍数)の蛍光染料に対する光退色を観察した。
【0271】
上述した方法に従って測定した化合物38の光退色実験結果は
図23ないし
図25、SYBR green I(Invitrogen社製品)の光退色実験結果は
図26ないし
図28、及びEvaGreen
TM(Biotium社製品)の光退色実験結果は
図29ないし
図31に示した。
【0272】
図26は0.5X、
図27は0.25X、
図28は0.125Xの希薄倍率でSYBR green Iを使用した場合に測定された蛍光強度の変化を示したものであって、SYBR green Iの場合に低濃度での半減期が5.5時間に過ぎないことを確認することができる。
【0273】
図23と
図29は1X、
図24と
図30は0.5X、
図25と
図31は0.25Xの希薄倍率で化合物38またはEvaGreen
TMを使用した場合に測定された蛍光強度の変化を示したものであって、化合物38を使用した場合、同一濃度のEvaGreen
TMと類似であるか、又は高い水準の半減期を示すことを確認することができる。
【0274】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求範囲に記載した本発明の思想から脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を多様に修正及び変更することができ、これもまた本発明の権利範囲内に含まれると言える。
本発明は、生体分子にインターカレーティングされることにより、生体分子を標識することができる、新規なメロシアニン系化合物、これを含む生体分子標識用染料、キット及び造影剤組成物に関する。