特開2017-193849(P2017-193849A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鉄住金エンジニアリング株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2017193849-免震構造体 図000003
  • 特開2017193849-免震構造体 図000004
  • 特開2017193849-免震構造体 図000005
  • 特開2017193849-免震構造体 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-193849(P2017-193849A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】免震構造体
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20170929BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20170929BHJP
   E04B 1/36 20060101ALI20170929BHJP
   E02D 27/34 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
   E04H9/02 301
   E04H9/02 331E
   F16F15/04 E
   E04B1/36 F
   E02D27/34 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-83864(P2016-83864)
(22)【出願日】2016年4月19日
(11)【特許番号】特許第6026037号(P6026037)
(45)【特許公報発行日】2016年11月16日
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(72)【発明者】
【氏名】小西 克尚
【テーマコード(参考)】
2D046
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2D046DA12
2E139AA01
2E139CA22
2E139CB03
3J048AA04
3J048AB01
3J048BC02
3J048BG04
3J048BG06
3J048CB23
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】

【課題】平屋建てや2階建て程度の低層で軽量の免震構造体に関し、球面滑り支承からなる免震装置で支持された免震層の地震時の変位量を効果的に低減することのできる免震構造体を提供すること。
【解決手段】少なくとも基礎1と立上構造体2を有し、基礎1と立上構造体2の間に球面滑り支承3が介在している、もしくは、立上構造体2と、立上構造体2上にある屋根架構5の間に球面滑り支承3が介在している、免震構造体10,10Aであって、基礎1と立上構造体2、もしくは基礎1と屋根架構5が、所定の張力Tが付与されたテンション材4で繋がれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基礎と立上構造体を有し、
基礎と立上構造体の間に球面滑り支承が介在している、もしくは、立上構造体と、該立上構造体上にある屋根架構の間に球面滑り支承が介在している、免震構造体であって、
基礎と立上構造体、もしくは基礎と屋根架構が、所定の張力が付与されたテンション材で繋がれている免震構造体。
【請求項2】
テンション材が直列バネを備えている請求項1に記載の免震構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも基礎と立上構造体を備えた免震構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震国であるわが国においては、ビルや橋梁、高架道路、戸建の住宅といった様々な構造物に対して、地震力に抗する技術、構造物に入る地震力を低減する技術など、様々な耐震技術、免震技術、制震技術が開発され、各種構造物に適用されている。
【0003】
中でも免震技術は、構造物に入る地震力そのものを低減する技術であることから、地震時の構造物の振動は効果的に低減される。この免震技術を概説するに、下部構造物である基礎と上部構造物との間に免震装置を介在させ、地震による基礎の振動の上部構造物への伝達を低減し、上部構造物の振動を低減して構造安定性を保証するものである。なお、この免震装置は、地震時のみならず、構造物に対して常時作用する交通振動の上部構造物への影響低減にも効果を発揮するものである。
【0004】
免震装置には鉛プラグ入り積層ゴム支承装置や高減衰積層ゴム支承装置、積層ゴム支承とダンパーを組み合わせた装置、滑り免震装置など、様々な形態の装置が存在している。その中で球面滑り免震装置(球面滑り支承)を取り上げてその一般的な構成を説明すると、曲率を有する摺動面を備えた上沓および下沓と、上沓と下沓の間で、それぞれの沓と接して同じ曲率を有する上面および下面を備えた柱状の摺動体と、から構成されており、上下球面滑りタイプの免震装置、あるいはダブルコンケイブ式の免震装置などと称されることもある。
【0005】
ところで、一般のビルやマンション等に免震装置を組み込んでなる免震構造体の設計においては、固有周期が4.5〜6秒程度となるように設計され、免震層(免震装置にて直接支持されている層)の降伏せん断係数(摩擦係数)は0.04程度となるように設計されている。このことを図4のグラフを参照して説明する。
【0006】
図4で示すグラフは、横軸下段に免震層の最大変位を、横軸上段に免震層の降伏せん断係数(摩擦係数)を、縦軸左段に建物に入力される地震力の大きさ(ベースシア係数)を、縦軸右段に免震建物の固有周期をそれぞれ示しており、速度150cm/secの入力地震動を入力した際の各ファクターの相関を示したものである。
【0007】
図4において、上記する固有周期が4.5秒、6秒に対応する曲線において、摩擦係数が0.04〜0.06程度の際の免震層の最大変位は30cm程度となることが分かる。すなわち、免震建物の固有周期が4.5〜6秒程度、免震建物の免震層の摩擦係数が0.04程度となるように設計した場合、免震層の最大変位は30cm程度となり、この最大変位を許容可能な免震建物が設計されることになる。
【0008】
ここで、特許文献1には、屋根架構と支持構造の間に免震装置が介在した免震構造物が開示されており、特許文献2にも、柱等の下部構造と屋根等の上部構造の間に免震装置が介在した免震構造物が開示されている。
【0009】
特許文献1,2で開示される免震構造物は、屋根の免震を図る、いわゆる屋根免震構造体であるが、このような屋根免震構造体に関し、屋根の変位が上記する30cm程度も変位した場合、屋根の収まり構造の構築に多大なコストを要することから、屋根の変位を可及的に小さな範囲、たとえば10cm程度に抑えたいという要請がある。
【0010】
図4を参照すると、たとえば屋根の変位を10cm程度に抑えるには、摩擦係数を0.12〜0.15程度まで高める必要があり、摩擦係数を高めるには屋根(屋根架構)や柱および梁等から構成される立上構造体の重量を大きくする必要がある。
【0011】
しかしながら、たとえば平屋建てや2階建て程度の低層で軽量の免震構造体の場合、屋根架構や立上構造体の重量を増加させることが実質的に不可能である。なお、このような低層の免震構造体としては、オフィスビルのほか、体育館やアリーナ等の施設が挙げられ、橋高の低い橋梁なども含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−47827号公報
【特許文献2】特開平8−326351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、重量を大きくすることが困難な平屋建てや2階建て程度の低層で軽量の免震構造体において、球面滑り支承からなる免震装置で支持された免震層の地震時の変位量を低減するための技術はこれまで知られていない。
【0014】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、平屋建てや2階建て程度の低層で軽量の免震構造体に関し、球面滑り支承からなる免震装置で支持された免震層の地震時の変位量を効果的に低減することのできる免震構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成すべく、本発明による免震構造体は、少なくとも基礎と立上構造体を有し、基礎と立上構造体の間に球面滑り支承が介在している、もしくは、立上構造体と、該立上構造体上にある屋根架構の間に球面滑り支承が介在している、免震構造体であって、基礎と立上構造体、もしくは基礎と屋根架構が、所定の張力が付与されたテンション材で繋がれているものである。
【0016】
本発明の免震構造体は、基礎と立上構造体の間に球面滑り支承が介在している、もしくは、立上構造体と該立上構造体上にある屋根架構の間に球面滑り支承が介在している免震構造体に関し、基礎と立上構造体、もしくは基礎と屋根架構が所定の張力が付与されたテンション材で繋がれていることにより、球面滑り支承で支持された立上構造体もしくは屋根架構の見かけの重量をテンション材による張力で増加させ、この見かけの重量増加によって免震層の摩擦係数を増加させ、当該免震層の地震時の変位量を低減するものである。
【0017】
免震構造体としては、平屋建てや2階建て程度の低層で軽量な構造体が主たる対象であり、低層のオフィスビル、体育館やアリーナ等の大空間施設、橋高の低い橋梁などが挙げられる。なお、ここでいう「軽量」とは、免震構造体の全重量が数百トン程度であることを意味している。また、本発明の免震構造体が、千トン以上の重量構造体に適用されてもよいことは勿論のことである。
【0018】
球面滑り支承は、曲率を有する摺動面を備えた上沓(上部コンケイブプレート)および下沓(下部コンケイブプレート)と、上沓と下沓の間で、それぞれの沓の下面および上面と接してそれぞれの沓の曲率半径と同じ曲率半径を有する上面および下面を備えた柱状の摺動体(スライダー)とから構成される。なお、本発明において、免震装置に球面滑り支承を採用する理由は、たとえばゴム支承等を採用した場合に、屋根架構等を長周期化することが困難であるためである。これに対し、球面滑り支承は、支持する構造体の重量に関わらず、曲率面のR寸法にて所望に周期を決定できることから望ましい。
【0019】
また、テンション材としては、タイロッド、PC鋼棒、スパイラルロープ、ストランドロープ、ロックドコイルロープなどが挙げられる。
【0020】
立上構造体は、柱や梁、ブレス等からなるフレーム構造に対して壁が取り付けられて構成される。
【0021】
また、屋根架構は、多数の梁等が相互に組み付けられた、平面構造体もしくはアーチ構造体であり、一例としては、上弦材と束材、および引張材から構成された張弦梁構造体などが挙げられる。
【0022】
一方、基礎の構造は、土間コンクリートにテンション材が取り付けられるガセットプレートが埋め込まれた構造のほか、立上構造体の一部を成すRC構造の梁−スラブ構造で、この梁−スラブ構造にガセットプレートなどが埋め込まれた構造などが挙げられる。
【0023】
たとえば、球面滑り支承にて軽量な屋根架構を支持しただけの免震構造体では、屋根架構を構成する庇部が吹き上げの風を受けた際に、球面滑り支承を構成する上沓が浮き上がったり、風で上下の沓ががたつき、場合によっては球面滑り支承が破損する恐れがあるが、本発明の免震構造体では、所定の張力が付与されたテンション材にて基礎と屋根架構を繋いでいることから、球面滑り支承を採用した場合でも上記課題は生じ得ない。
【0024】
また、本発明による免震構造体の他の実施の形態は、テンション材が直列バネを備えているものである。
【0025】
テンション材が皿バネ等からなる直列バネを備えている場合、エネルギー一定則に従うと、従来の球面滑り支承のみを採用した際の免震層の地震時の最大変位量が大きく低減されることに加えて、テンション材の導入軸力を直列バネで調整することが可能となり、免震層の復元力特性を制御し易くなる。そのため、たとえば、球面滑り支承が変形して上沓に浮き上がり荷重が作用した際の大きな張力を直列バネで緩和することができる。
【0026】
なお、テンション材が直列バネを備えていない形態では、直列バネを設けていないことによるコストダウンが図られる。また、直列バネがないことで、二次剛性はテンション材の変位量に依存し、免震層の復元力特性は非線形の強い履歴特性となるが、テンション材の長さがたとえば6m以上と長い場合には、免震層の変形抑制効果が大きく期待できる。
【発明の効果】
【0027】
以上の説明から理解できるように、本発明の免震構造体によれば、基礎と立上構造体の間に球面滑り支承が介在している、もしくは、立上構造体と該立上構造体上の屋根架構の間に球面滑り支承が介在している免震構造体において、基礎と立上構造体、もしくは基礎と屋根架構が、所定の張力が付与されたテンション材で繋がれていることにより、球面滑り支承で支持された立上構造体もしくは屋根架構の見かけの重量をテンション材による張力で増加させることができ、この見かけの重量増加によって免震層の摩擦係数を増加でき、当該免震層の地震時の変位量を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の免震構造体の実施の形態1の模式図である。
図2】本発明の免震構造体の実施の形態2の模式図である。
図3】本発明の免震構造体の実施の形態3の模式図である。
図4】免震層の最大変位、免震層の降伏せん断係数(摩擦係数)、ベースシア係数、および免震建物固有周期の相関グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の免震構造体の実施の形態1〜3を説明する。なお、図3で示す免震構造体の実施の形態3は、図2で示す免震構造体の実施の形態2のテンション材が直列バネを備えている形態であるが、図1で示す免震構造体の実施の形態1のテンション材が直列バネを備えている形態であってもよいことは勿論のことである。
【0030】
(免震構造体の実施の形態1)
図1は本発明の免震構造体の実施の形態1の模式図である。
【0031】
図示する免震構造体10は、基礎1と、立上構造体2と、基礎1と立上構造体2の間に介在する複数の球面滑り支承3と、基礎1と立上構造体2を繋ぐテンション材4とから大略構成されている。
【0032】
基礎1は、不図示の鉄筋を内部に埋設する土間コンクリートにガセットプレート1aが埋め込まれて構成されている。
【0033】
立上構造体2は、軽量鉄骨の柱2aと梁2bから構成されたフレーム構造体であり、フレーム構造体に不図示の壁が取り付けられ、さらに、フレーム構造体の上端から外側に張り出した張り出し部2cを有している。
【0034】
なお、図示する立上構造体2は2階建て構造であるが、平屋建て〜3階建て程度の低層で全重量が数百トン程度の軽量な構造体の全般を含んでいる。
【0035】
球面滑り支承3は、曲率を有するSUS製の摺動面を備えた鋼製の上沓3aと、同様に曲率を有するSUS製の摺動面を備えた鋼製の下沓3bと、上沓3aと下沓3bの間で、上沓3aおよび下沓3bと接してそれぞれの摺動面と同じ曲率を有する上面および下面を備えた鋼製で柱状の摺動体3cと、から構成されている。また、図示を省略するが、下沓3bの摺動面の周囲には環状のストッパーが固定されており、上沓3aの摺動面の周囲にも同様に環状のストッパーが固定されている。そして、上沓3a,下沓3bと摺動体3cはともに、溶接鋼材用圧延鋼材(SM490A,B,C、もしくはSN490B,C、もしくはS45C)から形成され、面圧60MPaの耐荷強度を有している。
【0036】
なお、摺動体3cの上面と下面にはそれぞれ、二重織物層が接着固定されているのが好ましい。この二重織物層は、たとえばPTFE繊維とPTFE繊維よりも引張強度の高い繊維である、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン4・6などのポリアミドやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等からなる二重織物層である。
【0037】
球面滑り支承3は、立上構造体2を構成する柱2aの直下に配設され、免震層となる立上構造体2を支持している。
【0038】
テンション材4としては、タイロッド、PC鋼棒、スパイラルロープ、ストランドロープ、ロックドコイルロープなどを適用でき、その一端は立上構造体2の張り出し部2cに取り付けられ、その他端は基礎1に埋設されたガセットプレート1aに取り付けられ、所定の張力Tが付与されている。
【0039】
このように、基礎1と立上構造体2が、所定の張力Tが付与されたテンション材4で繋がれていることにより、球面滑り支承3で支持された立上構造体2の重量をテンション材4による張力Tで増加させることができる(見かけの重量増加)。
【0040】
球面滑り支承3で支持された立上構造体2の見かけの重量がテンション材4による張力Tで増加することにより、免震層である立上構造体2の摩擦係数(降伏せん断係数)が増加し、立上構造体2の摩擦係数の増加によって立上構造体2の地震時の最大変位量を低減することができる。たとえば、図4を参照すると、立上構造体2が固有周期4.5〜6秒程度となるように設計されている場合に、摩擦係数を0.12〜0.15程度まで高めることができ、このことにより、地震時の最大水平変位を10cm程度に制御することが可能になる。
【0041】
(免震構造体の実施の形態2)
図2は本発明の免震構造体の実施の形態2の模式図である。
【0042】
図示する免震構造体10Aは、基礎1と、立上構造体2Aと、立上構造体2A上の屋根架構5と、立上構造体2Aと屋根架構5の間に介在する球面滑り支承3と、基礎1と屋根架構5を繋ぐテンション材4とから大略構成されている。
【0043】
屋根架構5は、軽量鉄骨からなる上弦材5aと引張材である下弦材5b、束材5cから構成されたアーチ状の張弦梁構造体であり、全体として軽量な構造体である。
【0044】
立上構造体2Aも立上構造体2と同様、柱−梁のフレーム構造体であり、たとえば柱間のスパンが長い、体育館やアリーナが免震構造体10Aの対象となる。
【0045】
テンション材4の一端は屋根架構5の端部に取り付けられ、その他端は基礎1に埋設されたガセットプレート1aに取り付けられ、所定の張力Tが付与されている。
【0046】
このように、基礎1と屋根架構5が所定の張力Tが付与されたテンション材4で繋がれていることにより、球面滑り支承3で支持された屋根架構5の重量をテンション材4による張力Tで増加させることができ(見かけの重量増加)、免震層である屋根架構5の摩擦係数が増加し、屋根架構5の摩擦係数の増加によって屋根架構5の最大変位量を低減することができる。
【0047】
また、免震構造体10Aでは、所定の張力Tが付与されたテンション材4にて基礎1と屋根架構5を繋いでいることから、屋根架構5を構成する庇部が吹き上げの風を受けた際に、球面滑り支承3を構成する上沓3aが浮き上がったり、風で上沓3aおよび下沓3bががたつき、場合によっては球面滑り支承3が破損するといった問題は生じ得ない。
【0048】
(免震構造体の実施の形態3)
図3は本発明の免震構造体の実施の形態3の模式図である。
【0049】
図示する免震構造体10Bは、図2で示す免震構造体10Aを構成するテンション材4に対して、直列バネ6を介在させたものである。
【0050】
直列バネ6としては、皿バネが適用できる。
【0051】
テンション材4が直列バネ6を備えている場合、エネルギー一定則に従うと、免震層である屋根架構5の地震時の最大変位量が大きく低減されることに加えて、テンション材4の導入軸力を直列バネ6で調整することが可能となり、屋根架構5の復元力特性を制御し易くなる。
【0052】
そのため、たとえば、球面滑り支承3が変形して上沓3aに浮き上がり荷重が作用した際の大きな張力を直列バネ6で緩和することができる。
【0053】
なお、直列バネ6を具備しない免震構造体10,10Aでは、直列バネ6による上記効果を享受できない一方で、直列バネ6を設けていないことから免震構造体10Bに対してコストダウンが図られるという固有の利点がある。また、直列バネ6がないことで、二次剛性はテンション材4の変位量に依存し、免震層である立上構造体2や屋根架構5の復元力特性は非線形の強い履歴特性となるが、テンション材4の長さがたとえば6m以上と長い場合には、免震層の変形抑制効果が大きく期待できる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…基礎、1a…ガセットプレート、2,2A…立上構造体、3…球面滑り支承、4…テンション材、5…屋根架構、6…直列バネ、10,10A,10B…免震構造体
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2016年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基礎と立上構造体を有し、
基礎と立上構造体の間に球面滑り支承が介在している、もしくは、立上構造体と、該立上構造体上にある屋根架構の間に球面滑り支承が介在している、平屋建てや2階建て程度の低層で軽量の免震構造体であって、
基礎と立上構造体、もしくは基礎と屋根架構が、所定の張力が付与された直線状に延びる複数のテンション材で直接繋がれ、前記立上構造体もしくは前記屋根架構の見かけの重量増加が図られている、免震構造体。
【請求項2】
テンション材が直列バネを備えている請求項1に記載の免震構造体。