特開2017-193938(P2017-193938A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-193938(P2017-193938A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】雨水貯留装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 3/03 20060101AFI20170929BHJP
【FI】
   E03B3/03 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-97430(P2016-97430)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】507285784
【氏名又は名称】有限会社風大地プロダクツ
(71)【出願人】
【識別番号】512035871
【氏名又は名称】サンエービルドシステム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】芝 桃子
(72)【発明者】
【氏名】前田 嘉人
(57)【要約】
【課題】
[0001]
本発明は、建物の雨樋等から取水した雨水を一時貯留して利用するための、地上に設置する雨水貯留装置に関するもので、狭い場所でも設置できる、必要な貯留量や設置場所の寸法に対応できる、景観を配慮した設計に対応できる、等の課題を解決しようとするものである。
【解決手段】
[0002]
本発明では、任意の数の貯水タンクを水平方向に接続して貯水タンク列を形成し、任意の数の貯水タンク列を垂直方向に組み上げる構成にしているので、薄型で、望ましい幅と高さに設定することができる。併せて、設計を加えることが容易な構成なので、種々の材料のカバーを取り付けたり、プランター等と組み合わせたりすることや、外壁に沿って設置したり、塀の代用として設置したりすることで、景観との調和を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の雨樋等から取水した雨水を貯留して利用するために地上に設置する雨水貯留装置であって、
通気手段と側面に連通手段を備えた水密性の貯水タンクを水平方向に複数並べて、一端の前記貯水タンクから反対端の前記貯水タンクまで雨水が連通する貯水タンク列を形成し、前記貯水タンク列を垂直方向に複数段組み上げて、上段に位置する前記貯水タンク列内の貯水タンクと下段に位置する前記貯水タンク列内の貯水タンクとの間に上下の流路を設け、
任意の前記貯水タンクに建物の雨樋等から取水した雨水を取り入れる流入口を設け、
任意の前記貯水タンクに雨水を利用するための流出口を設けている雨水貯留装置。
【請求項2】
最上段の前記貯水タンク列内の一貯水タンクを第一貯水タンクとして、第一貯水タンクに建物の雨樋等から取水した雨水を取り入れる流入口を設け、
最下段の前記貯水タンク列内の最下流に当たる貯水タンクを最終貯水タンクとして、最終貯水タンクにオーバーフロー管への流出口を設け、
第一貯水タンクに流入した雨水が、最終貯水タンクを経てオーバーフロー管へ流出する過程で、全ての貯水タンクを通過することとする、請求項1に記載の雨水貯留装置。
【請求項3】
前記第一貯水タンクに、第一貯水タンク内の底部に溜まった雨水を排出するドレインを設けている、請求項1または2に記載の雨水貯留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の雨樋等から取水した雨水を一時貯留して、緑化散水や雑水用途、防災等に供するための、地上に設置する雨水貯留装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の雨樋等から取水した雨水を一時貯留するために、天水桶型の容器が、地上に設置する雨水貯留装置の主流品として供されている。
【0003】
天水桶型の容器が専用の設置場所を必要とする一方、狭い場所でも設置できるように奥行または幅を抑えた扁平型の雨水貯留装置も供されている。
【0004】
必要な貯留量に対応するために、容器を上下に積み重ねられる雨水貯留装置、横に並べて増設することができる雨水貯留装置も供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2695608号
【0006】
【特許文献2】特許第3405694号
【0007】
【特許文献3】特許第4301171号
【実用新案文献】
【0008】
【実用新案文献1】
実用新案登録第3200870号
【意匠登録文献】
【0009】
【意匠登録文献1】
意匠登録第1230460号
【0010】
【意匠登録文献2】
意匠登録第1414478号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】特許公開平7−229172号
【0012】
【非特許文献2】特許公開平8−326104号
【0013】
【非特許文献3】特許公開平11−241374号
【0014】
【非特許文献4】特許公開2003−193521号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
建物の雨樋等から取水した雨水を一時貯留して利用するにあたり、専用の設置場所を設けることが困難な場合の解決方法として、狭い場所でも設置できるように奥行または幅を抑えた扁平型の雨水貯留装置が供されており、さらに必要な貯留量に対応するために、容器を上下に積み重ねたり、横に並べたりできる雨水貯留装置も供されているが、垂直水平両方向ともに容器の数を選択できるものは少なく、景観を配慮したものも少ない。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決すべく、設置場所や必要な貯留量に応じて垂直水平両方向ともに容器の数を選択でき、景観に調和した意匠へと設計を加えることが容易にできる雨水貯留装置を提供する。
【0017】
本発明では、雨水貯留装置の高さや、景観に調和させる設計次第で、雨水貯留装置内部の清掃を頻繁に行うことが困難になる可能性を鑑み、メンテナンスを容易にする課題も合わせて解決する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の雨水貯留装置は、任意の数の貯水タンクを水平方向に接続して貯水タンク列を形成し、任意の数の貯水タンク列を垂直方向に組み上げる構成にしているので、望ましい幅と高さに設定することができる。また、貯水タンク列を垂直方向に組み上げる際の設計により、種々の材料のカバーを取り付けたり、プランター等と組み合わせたりすることが容易にできるので、外壁に沿って設置したり、塀の代用として設置したりしても、景観との調和を図ることができる。
【0019】
本発明は、貯水タンクを先に水平方向に並べて直列に連通させ、後に貯水タンク列を垂直方向に組んで、貯水タンク列間の上下流路を設けているので、上下流路を設ける位置、高さ、流路の大きさの設定により、建物の雨樋等から取水した雨水を、最上流の雨水流入口から最下流に設けたオーバーフロー管へ流出する過程で、全ての貯水タンクを通過させることができ、雨水の滞留による雑菌の繁殖を抑えることができる。
【0020】
本発明は、雨水を取り入れる流入口を設けた第一貯水タンクに、第一貯水タンク内の底部に溜まった雨水を排出するドレインを設けているので、ドレインの開栓で第一貯水タンク内の汚れを排出することができ、他の貯水タンクへの汚れの拡散を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、設置場所や希望の貯留量に応じて望ましい幅と高さに設定することができ、種々の材料のカバーを取り付けたり、プランター等と組み合わせたりする設計アレンジが容易にできるので、犬走り上の小規模な設置から、外壁に沿った大規模な設置まで、また塀の代用としての設置など、バリエーション豊かに景観に調和した雨水貯留装置を提供することができる。
【0022】
本発明は、雨が降ってオーバーフローする度に雨水貯留装置内の雨水が循環するので、雨水の滞留による雑菌の繁殖を抑えることができ、ドレインの開栓で雨水貯留装置内の汚れを防ぐことができ、メンテナンスが容易であるため、様々な形態での設置が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図1図9に基づいて説明する。
【0024】
図1において、雨水貯留装置1の外観を表している。雨水貯留装置1は、背面を建物の壁に沿わせて設置し、前と左右の三面に木製カバー11を取り付け、上部がプランター15になった、腰壁型の雨水貯留装置である。右側面には、竪樋21に取り付けた雨水取水装置22からの雨水流入口7、貯めた雨水を利用するための雨水流出口8、オーバーフロー管9を設けている。
【0025】
図2において、図1に示す雨水貯留装置1で使用する組み立てフレーム14を表している。支柱用長ボルト17と、L型材をブレース17aでつないだ棚板17から成り、設置面の不陸をネジ調整でき、上下の貯水タンク列3をつなぐ流路6を通すための貫通部を棚板面に大きく設けている。
【0026】
図3及び図4において、図1に示す雨水貯留装置1の組み立て方法を、時間を追って表している。
【0027】
図3において、コンクリートアンカー16で固定した支柱用長ボルト17に棚板18を通して、ナットで高さ調整して固定する。予め側面に連通手段5であるワンタッチジョイント継手5aを取り付けた貯水タンク2を、片端から棚板18の上に載せ、次々と貯水タンク2をワンタッチジョイント継手5aでつなぎ載せ、下段の貯水タンク列3をつくる。貯水タンク列3の側面の片方には上段の貯水タンク列3との流路6であるホースを取り付け、もう片方の側面には、雨水利用のための流出口8とオーバーフロー管9をつなぐ継手を取り付けておく。
【0028】
図4において、下段の貯水タンク列3ができた後、支柱用長ボルト17に、カバー取り付け金物11aを通して下段の木製カバー11を取り付け、上段用の棚板18を通してナットで高さ調整して固定する。予め側面に連通手段5であるワンタッチジョイント継手5aを取り付けた貯水タンク2を、片端から棚板18の上に載せ、次々と貯水タンク2をワンタッチジョイント継手5aでつなぎ載せ、上段の貯水タンク列3をつくる。貯水タンク列3の側面の片方には下段の貯水タンク列3との流路6であるホースを取り付ける。もう片方の側面には、雨水流入口7とドレイン管10をつなぐ継手を取り付けておく。図1図3および図4に示す雨水貯留装置1では、木製カバー11がブレースの働きを兼ねている。
【0029】
図5において、図1に示す雨水貯留装置1と同じく図2の組み立てフレーム14を使用して、図1とは異なる状態で使用する雨水貯留装置1aを表している。雨水貯留装置1aをコンクリートアンカー16や木杭等で固定して塀として設置し、木製カバーに替えて、植物登攀できるメッシュカバー12とフェルトやヤシ皮等の遮光材12aで四面を覆っている。この場合は、遮光材12aの内側に、図4におけるカバー取り付け金物11aを利用した支柱用ブレース17aを設けている。
【0030】
図6において、図1に示す雨水貯留装置1の内部を表し、図7において、図1に示す雨水貯留装置1の右側面の配管部を表している。
【0031】
図6において、個々の貯水タンク2はフロートボール式の通気手段4を取り付けた広口密閉容器で、側面に連通手段5としてワンタッチジョイント継手5aを取り付けている。4個の貯水タンク2を連通して一段分の貯水タンク列3とし、上下2段の貯水タンク列3を組み立てフレーム14で組み上げている。向かって左端の上下の貯水タンクは、上下流路6のホースで通水している。向かって右上の貯水タンクには、第一貯水タンク2aとして雨水流入口7とドレイン10を設けている。向かって右下の貯水タンクには、最終貯水タンク2bとしてオーバーフロー管9と、雨水利用のための流出口8を設けている。竪樋から取水した雨水は、第一貯水タンク2aの雨水流入口7から入り、逆コの字を描いて最終貯水タンク2bに至り、全ての貯水タンクが満水になると、最終貯水タンク2bのオーバーフロー管9から押し出される。そのため、雨が降ってオーバーフローする度に全ての貯水タンク2を新鮮な雨水が通過して、滞留を防ぐことができる。
【0032】
さらに図6において、最も汚れの溜まる第一貯水タンク2aにドレイン10を設けているので、ドレイン10を開栓して第一貯水タンク2a内の底部に溜まった汚れを排出することができる。この実施例の場合、第一貯水タンク2aと次の貯水タンク2間の連通手段5の位置を高く設けているため、次に連なる貯水タンク2の水位20aが保たれ、雨水の流失を抑えることができる。
【0033】
図8において、図1とは異なる実施形態の雨水貯留装置1aを表している。図6の説明で示したように4個の貯水タンク2を連通して一段分の貯水タンク列3とし、上中下3段の貯水タンク列3を、L型材の支柱と棚板から成る組み立てフレーム14で組み上げている。貯水タンク列間の上下の流路6を、上段の貯水タンクの底面と下段の貯水タンクの上面の間に設け、ワンタッチジョイント継手で通水している。向かって右上の貯水タンクには、第一貯水タンク2aとして雨水流入口7とドレイン10を設けている。向かって右下の貯水タンクには、最終貯水タンク2bとしてオーバーフロー管9と、雨水利用のための流出口8を設けている。
竪樋から取水した雨水が、第一貯水タンク2aの雨水流入口7から入り最終貯水タンク2bに至る過程で、全ての貯水タンクを滞留なく通過するように、中段の貯水タンク列3と下段の貯水タンク列3との間には、径の太さと高さの異なる上下流路6aと上下流路6bを設けて、雨水の流れを調整している。
【0034】
図9において、図1及び図8と異なる実施形態の雨水貯留装置1bを、雨水の流れを示す矢印とともに表している。雨水貯留装置1bは中央に抜き窓があるため、中段2列の貯水タンク列が左右に分かれているが、図8で示したように、径の太さと高さの異なる上下流路6aと上下流路6bを設けて雨水の流れを調整することで、雨水を滞りなく循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態を示す雨水貯留装置1の外観斜視図。
図2図1に示す雨水貯留装置で使用する組み立てフレームの上面図。
図3図1に示す雨水貯留装置の組み立て方法を表す外観斜視図。
図4図1に示す雨水貯留装置の組み立て方法を表す外観斜視図。
図5図1に示す雨水貯留装置の図1とは異なる使用状態を表す外観斜視図。
図6図1に示す雨水貯留装置を正面から見た、貯水タンクの中心を通る縦断面図。
図7図1に示す雨水貯留装置の右側カバーを透過して見た右側面図。
図8図1とは異なる実施形態の雨水貯留装置1aを正面から見た、貯水タンクの中心を通る縦断面図。
図9図1とは異なる実施形態の雨水貯留装置1bと雨水の流れを表す外観正面図。
【符号の説明】
【0036】
1. 雨水貯留装置1
1a. 雨水貯留装置1a
1b. 雨水貯留装置1b
2. 貯水タンク
2a. 第一貯水タンク
2b. 最終貯水タンク
3. 貯水タンク列
4. 通気手段
5. 連通手段
5a. ワンタッチジョイント継手
6. 上下の流路
6a. 太い上下の流路
6b. 細い上下の流路
7. 雨水取水装置からの流入口
8. 雨水利用のための流出口
9. オーバーフロー管
10. ドレイン管
11. 木製カバー
11a.カバー取り付け金物
12. メッシュカバー
12a.遮蔽材
13. 壁型カバー
14. 組み立てフレーム
15. プランター
16. コンクリートアンカー
17. 支柱用長ボルト
17a.支柱用ブレース
18. 棚板
18a.棚板用ブレース
19. 支柱用L型材
19a.棚受け
20a.水位1
20b.水位2
20c.水位3
21. 竪樋
22. 雨水取水装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9