特開2017-194042(P2017-194042A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-194042ターボ圧縮機、これを備えたターボ冷凍装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194042(P2017-194042A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】ターボ圧縮機、これを備えたターボ冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/056 20060101AFI20170929BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20170929BHJP
   F04D 29/063 20060101ALI20170929BHJP
   F04D 29/059 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 35/063 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 33/32 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 33/62 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20170929BHJP
   F16C 37/00 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
   F04D29/056 A
   F04D29/58 Q
   F04D29/063
   F04D29/059
   F16C35/063
   F16C19/06
   F16C33/32
   F16C33/62
   F16C32/06 Z
   F16C32/04 Z
   F16C33/66 Z
   F16C37/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-86202(P2016-86202)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 泰士
(72)【発明者】
【氏名】大村 真太郎
【テーマコード(参考)】
3H130
3J102
3J117
3J701
【Fターム(参考)】
3H130AA14
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC01
3H130AC11
3H130BA24E
3H130BA33E
3H130BA56E
3H130BA98E
3H130DA02Z
3H130DB01X
3H130DB06Z
3H130DB08X
3H130DB10Z
3H130DD01Z
3H130DG07X
3H130DH06X
3H130EC16E
3H130EC18E
3J102AA01
3J102AA02
3J102AA09
3J102BA03
3J102BA17
3J102CA04
3J102CA10
3J102CA14
3J102EA02
3J102EB14
3J102GA06
3J117AA02
3J117DA02
3J117DB10
3J117FA01
3J117GA01
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701AA83
3J701BA10
3J701BA53
3J701BA54
3J701BA55
3J701BA70
3J701DA05
3J701EA41
3J701EA47
3J701EA53
3J701EA78
3J701EA80
3J701FA31
3J701FA44
3J701GA29
(57)【要約】
【課題】ターボ圧縮機のロータ軸を支持する非接触軸受に隣接して設けられる、タッチダウン用の補助軸受の低コスト化および長寿命化を図る。
【解決手段】ターボ圧縮機2は、ロータ軸15と、このロータ軸15の中間部に同軸的に設けられて該ロータ軸15を回転駆動する電動機14と、ロータ軸15の一端に固定されて冷媒を圧縮する冷媒圧縮部7を構成するインペラ16と、電動機14とインペラ16との間、およびロータ軸15の他端を軸支する非接触軸受である主軸受18a,18bと、この主軸受18a,18bに隣接し、主軸受18a,18bの機能停止時に主軸受18a,18bに代わってロータ軸15を軸支する補助軸受19a,19bと、主軸受18a,18bの機能停止時に、補助軸受19a,19bの内部に冷媒を潤滑剤として供給する潤滑冷媒供給部25とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ軸と、
前記ロータ軸の中間部に同軸的に設けられて前記ロータ軸を回転駆動する電動機と、
前記ロータ軸の一端に固定されて冷媒を圧縮する冷媒圧縮部を構成するインペラと、
前記電動機と前記インペラとの間、および前記ロータ軸の他端を軸支する非接触軸受と、
前記非接触軸受に隣接し、該非接触軸受の機能停止時に該非接触軸受に代わって前記ロータ軸を軸支する補助軸受と、
前記非接触軸受の機能停止時に、前記補助軸受の内部に前記冷媒を潤滑剤として供給する潤滑冷媒供給部と、
を備えたターボ圧縮機。
【請求項2】
前記潤滑冷媒供給部は、
液相状の前記冷媒が貯留された液冷媒貯留部と、
前記補助軸受と前記液冷媒貯留部との間を接続する液冷媒供給通路と、
前記液冷媒供給通路に接続され、通電された状態で閉となる電磁弁と、
を備えて構成されている請求項1に記載のターボ圧縮機。
【請求項3】
前記液冷媒貯留部は、前記冷媒圧縮部により圧縮された前記冷媒が凝縮される凝縮器の底部である請求項2に記載のターボ圧縮機。
【請求項4】
前記液冷媒貯留部は、前記電動機を収容するケーシングに設けられた、前記電動機冷却用の液冷媒ジャケットである請求項2に記載のターボ圧縮機。
【請求項5】
前記液冷媒貯留部は、液相状の前記冷媒を、前記補助軸受の周辺圧力よりも高い圧力を付与しながら貯留する圧力付与容器である請求項2に記載のターボ圧縮機。
【請求項6】
前記補助軸受は転がり軸受であり、その外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかの材質としてセラミック材を採用した請求項1から5のいずれかに記載のターボ圧縮機。
【請求項7】
前記補助軸受は転がり軸受であり、その外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかに、低粘度流体による潤滑でも潤滑膜が形成される材質をコーティングした請求項1から5のいずれかに記載のターボ圧縮機。
【請求項8】
前記補助軸受は転がり軸受であり、その外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかにダイヤモンドライクカーボンをコーティングした請求項1から5のいずれかに記載のターボ圧縮機。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のターボ圧縮機と、
前記ターボ圧縮機によって圧縮された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
凝縮した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
を具備してなるターボ冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ圧縮機、これを備えたターボ冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地域冷暖房の熱源用等に使用されているターボ冷凍装置は、周知のように、電動機で駆動される遠心タービン型のターボ圧縮機を備えている。このようなターボ圧縮機において、特許文献1に開示されているように、ロータ軸の軸受として磁気軸受や気体軸受(エア軸受)等の非接触軸受を使用することにより、軸受における回転抵抗を無くすと同時に、軸受の潤滑を不要にしたものがある。非接触軸受は、軸受に対してロータ軸を浮上させながら支持するため、回転抵抗を非常に小さくすることができる。
【0003】
この場合、停電等により電源が遮断されて非接触軸受の機能が停止した時に、非接触軸受に代わってロータ軸を支持する補助軸受(タッチダウン軸受)が設けられる。この補助軸受としては転がり軸受が用いられる。補助軸受のラジアル方向の隙間は非接触軸受よりも小さく設定されているため、電源遮断時においてロータ軸は非接触軸受に接触するよりも先に補助軸受によって支持(タッチダウン)され、非接触軸受の破損が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−218708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
補助軸受としては、一般に転がり軸受が採用されるが、非接触軸受が潤滑や冷却を必要としないため、潤滑油系統は付設されず、転がり軸受である補助軸受はグリス潤滑もしくは無潤滑となるケースが多い。
このため、補助軸受の軸受寿命が短くなる、あるいはタッチダウン回数が限定されてしまうという課題があった。これを防止するためには補助軸受の材質として特殊鋼を採用したり、内外輪や転動部材に特殊な表面処理を施したりする必要があり、軸受システムとして高価格となってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ロータ軸を支持する非接触軸受に隣接して設けられる、タッチダウン用の補助軸受の低コスト化および長寿命化を図ることができるターボ圧縮機、これを備えたターボ冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用する。
本発明の第1態様に係るターボ圧縮機は、ロータ軸と、前記ロータ軸の中間部に同軸的に設けられて前記ロータ軸を回転駆動する電動機と、前記ロータ軸の一端に固定されて冷媒を圧縮する冷媒圧縮部を構成するインペラと、前記電動機と前記インペラとの間、および前記ロータ軸の他端を軸支する非接触軸受と、前記非接触軸受に隣接し、該非接触軸受の機能停止時に該非接触軸受に代わって前記ロータ軸を軸支する補助軸受と、前記非接触軸受の機能停止時に、前記補助軸受の内部に前記冷媒を潤滑剤として供給する潤滑冷媒供給部と、を備えたものである。
【0008】
上記構成のターボ圧縮機によれば、停電等により電源が遮断されて非接触軸受の機能が停止した時には、非接触軸受に代わって補助軸受がロータ軸を支持し、これと同時に潤滑冷媒供給部によって補助軸受の内部に冷媒が潤滑剤として供給される。このため、補助軸受の潤滑状態を向上させることができ、特殊で高価な軸受を用いることなく在来の軸受を使用可能とし、補助軸受の低コスト化および長寿命化を図ることができる。
【0009】
前記構成において、前記潤滑冷媒供給部は、液相状の前記冷媒が貯留された液冷媒貯留部と、前記補助軸受と前記液冷媒貯留部との間を接続する液冷媒供給通路と、前記液冷媒供給通路に接続され、通電された状態で閉となる電磁弁と、を備えた構成としてもよい。
【0010】
上記構成とすれば、電源遮断時において、通電された状態で閉となる電磁弁が開く。このため、液冷媒貯留部に貯留されている液相状の冷媒が、液冷媒供給通路を経て補助軸受に供給される。本構成によれば、制御部を設けることなく電源遮断時に電磁弁を開いて冷媒を補助軸受に供給することができ、軸受システムを低コスト化することができる。
【0011】
前記構成において、前記液冷媒貯留部は、前記冷媒圧縮部により圧縮された前記冷媒が凝縮される凝縮器の底部としてもよい。凝縮器の底部には、圧縮および凝縮された液相状の冷媒が貯留されており、この液相状の冷媒の圧力は補助軸受の周辺圧力よりも高いため、電磁弁が開くと同時に圧力差によって冷媒が補助軸受に迅速に供給される。このため、電源遮断時に素早く冷媒を補助軸受に供給して潤滑し、補助軸受の長寿命化を図ることができる。
【0012】
前記構成において、前記液冷媒貯留部は、前記電動機を収容するケーシングに設けられた、前記電動機冷却用の液冷媒ジャケットとしてもよい。この液冷媒ジャケットは、補助軸受の近傍に位置するとともに、その内部に圧縮および凝縮された液相状の冷媒が循環している。このため、電源遮断時に電磁弁が開くと同時に、圧力差、または重力によって液冷媒ジャケットの冷媒を補助軸受に容易に供給することができる。本構成によれば、ターボ圧縮機と周辺の機器類との間を液冷媒供給通路で接続する必要がないため、軸受システムを簡素化することができる。
【0013】
前記構成において、前記液冷媒貯留部は、液相状の前記冷媒を、前記補助軸受の周辺圧力よりも高い圧力を付与しながら貯留する圧力付与容器としてもよい。こうすれば、電源遮断時に電磁弁が開くと同時に、圧力差によって圧力付与容器の冷媒が補助軸受に供給される。本構成によれば、ターボ圧縮機により圧縮された冷媒を抽出する系統を設ける必要がないため、軸受システムを簡素化することができる。また、冷凍装置の運転状態によらず、潤滑用冷媒供給圧力を必要規定値以上に保持することができ、潤滑用冷媒を確実に供給することができる。
【0014】
前記構成において、補助軸受を転がり軸受とし、その外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかの材質としてセラミック材を採用してもよい。セラミック材は熱膨張量が小さく、補助軸受の温度変化時における軸受隙間の変化量を小さくすることができるため、冷媒のように低粘度の流体でも補助軸受を良好に潤滑することができる。
【0015】
前記構成において、補助軸受を転がり軸受とし、その外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかの材質として、低粘度流体による潤滑でも潤滑膜が形成される材質を採用してもよい。これにより、冷媒のように低粘度の流体でも補助軸受を良好に潤滑することができる。
【0016】
前記構成において、補助軸受を転がり軸受とし、その外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかにダイヤモンドライクカーボンをコーティングしてもよい。ダイヤモンドライクカーボンは、低粘度流体による潤滑でも潤滑膜が形成されるため、冷媒のように低粘度の流体でも補助軸受を良好に潤滑することができる。
【0017】
本発明の第2態様に係るターボ冷凍装置は、上記のいずれかに記載のターボ圧縮機と、前記ターボ圧縮機によって圧縮された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、凝縮した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、を具備してなるものであり、これによって上記の各作用および効果が奏される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係るターボ圧縮機、これを備えたターボ冷凍装置によれば、ターボ圧縮機のロータ軸を支持する非接触軸受に隣接して設けられる、タッチダウン用の補助軸受の低コスト化と長寿命化とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態を示すターボ冷凍装置の全体図である。
図2図1に示すターボ圧縮機の拡大縦断面図である。
図3】本発明の第2実施形態を示すターボ圧縮機の拡大縦断面図である。
図4】本発明の第3実施形態を示すターボ冷凍装置の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態を示すターボ冷凍装置の全体図である。このターボ冷凍装置1は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機2と、凝縮器3と、膨張弁4と、蒸発器5とを備えて構成されている。ターボ圧縮機2の冷媒圧縮部7と凝縮器3との間が吐出管8で接続され、凝縮器3と蒸発器5との間が冷媒管9で接続され、蒸発器5とターボ圧縮機2(冷媒圧縮部7)との間が吸入管10で接続されている。膨張弁4は冷媒管9に接続されている。
【0021】
このターボ冷凍装置1において、ターボ圧縮機2(冷媒圧縮部7)により圧縮された冷媒は吐出管8を経て凝縮器3に送給され、ここで冷却水と熱交換されることにより凝縮熱を冷却されて凝縮される。凝縮器3で加熱された冷却水は暖房空調等に利用される。
【0022】
凝縮器3にて凝縮された冷媒は、冷媒管9に設けられた膨張弁4を通過することにより断熱膨張して蒸発器5に給送される。蒸発器5の内部では、膨張弁4において断熱膨張した低温の冷媒が水と熱交換され、ここで冷却された冷水は冷房空調や工業用冷却水等として利用される。そして、冷却水との熱交換により気化した冷媒は吸入管10を経て再びターボ圧縮機2(冷媒圧縮部7)に吸入されて圧縮され、以下、このサイクルが繰り返される。
【0023】
図2にも示すように、ターボ圧縮機2は、その外殻を形成するケーシング13と、電動機14と、ロータ軸15と、冷媒圧縮部7を構成するインペラ16と、一対の主軸受18a,18bと、これらの主軸受18a,18bに隣接して設けられた一対の補助軸受19a,19bと、スラスト軸受20a,20bとを具備して構成されている。ケーシング13の内部は隔壁13aによって電動機室13Aと圧縮室13Bとに区画されており、電動機室13Aに電動機14が収容され、圧縮室13Bに冷媒圧縮部7(インペラ16)が収容されている。
【0024】
電動機14は、ケーシング13側に固定されたステータ14aと、ロータ軸15に固定されてステータ14aの内部で回転するロータ14bとを備えて構成されている。ロータ軸15の一端は隔壁13aを貫通して圧縮室13Bに突入しており、ここにインペラ16が一体回転するように設けられて冷媒圧縮部7が構成されている。
【0025】
一対の主軸受18a,18bは、その一方(18a)が電動機14とインペラ16との間を軸支し、他方(18b)がロータ軸15の他端(反インペラ16側の端部)を軸支している。これらの主軸受18a,18bとしては、磁気軸受や気体軸受(エア軸受)等、公知の非接触軸受が用いられており、これによって回転抵抗の低減と無潤滑化が図られている。
【0026】
主軸受18a,18bに隣接して設けられている一対の補助軸受19a,19bは転がり軸受であり、停電時等の電源遮断時における主軸受18a,18bの機能停止時に、主軸受18a,18bに代わってロータ軸15を軸支する、いわゆるタッチダウン軸受である。この補助軸受19a,19bの軸受隙間は、主軸受18a,18bの軸受隙間に対し、例えば半分程度と、十分に狭く設計されている。このため、主軸受18a,18bの機能が停止して補助軸受19a,19bがロータ軸15を支持する時でも主軸受18a,18bの軸受隙間が残され、主軸受18a,18bの破損が回避される。
【0027】
スラスト軸受20a,20bは、ロータ軸15の他端側先端に設けられた円板状のスラストプレート15aを挟んで設けられており、ロータ軸15の軸方向への動きを規制している。このスラスト軸受20a,20bは、主軸受18a,18bと同じく非接触軸受とされている。
【0028】
図1図2に示すように、ターボ圧縮機2には潤滑冷媒供給部25が備えられている。この潤滑冷媒供給部25は、停電等により電源が遮断されて非接触軸受である主軸受18a,18bの機能が停止した時に、上述のように主軸受18a,18bに代わってロータ軸15を支持する転がり軸受である補助軸受19a,19bの内部に冷媒を潤滑剤として供給するものである。潤滑冷媒供給部25は、液相状の冷媒Rが貯留された液冷媒貯留部26と、この液冷媒貯留部26と補助軸受19a,19bとの間を接続する液冷媒供給通路27と、液冷媒供給通路27に接続された電磁弁28とを備えている。
【0029】
本実施形態において、液冷媒貯留部26として凝縮器3の底部が利用されている。凝縮器3の底部には圧縮および凝縮された液相状の冷媒Rが常に貯留されており、この液相状の冷媒Rの液面よりも低い位置に液冷媒供給通路27の一端が接続されている。液冷媒供給通路27の他端は2本の分岐通路27a,27bに分岐しており、一方の分岐通路27aが一方の補助軸受19aに接続され、他方の分岐通路27bが他方の補助軸受19bに接続されている。電磁弁28は、液冷媒供給通路27の分岐前の区間に接続されている。この電磁弁28は、通電された状態で閉となる、即ちノーマルオープン形式である。
【0030】
以上のように構成されたターボ冷凍装置1およびターボ圧縮機2において、停電等により電源が遮断された場合には、非接触軸受である主軸受18a,18bの機能が停止する。このため、主軸受18a,18bに代わって補助軸受19a,19bがロータ軸15を支持する。これと同時に、通電された状態で閉となる電磁弁28が、電源が遮断されたことによって開かれる。
【0031】
凝縮器3の底部にある液冷媒貯留部26に貯留された液相状の冷媒Rは、その圧力が補助軸受19a,19bの周辺圧力(ケーシング13の内部圧力)よりも高いため、電磁弁28が開くと同時に圧力差により液冷媒供給通路27(分岐通路27a,27b)を経て補助軸受19a,19bに供給される。このため、補助軸受19a,19bの内部に液相状の冷媒Rが潤滑剤として供給され、補助軸受19a,19bが潤滑、冷却される。
【0032】
上記の通り、このターボ圧縮機2は、非接触軸受である主軸受18a,18bの機能停止時に、これに代わってロータ軸15を支持する補助軸受19a,19bの内部に液相状の冷媒Rを潤滑剤として供給する潤滑冷媒供給部25を備えている。これにより、電源遮断時における補助軸受19a,19bの潤滑状態を向上させることができ、特殊で高価な軸受を用いることなく在来の軸受を使用可能とし、補助軸受19a,19bの低コスト化と長寿命化とを両立させることができる。
【0033】
電源遮断時に液冷媒供給通路27を開く電磁弁28として、通電された状態で閉となるノーマルオープンの電磁弁を採用したことにより、専用の制御部を設けることなく電源遮断時に電磁弁28を開かせて冷媒Rを補助軸受19a,19bに供給することができる。このため、軸受システムとしての低コスト化を図ることができる。
【0034】
補助軸受19a,19bの内部に潤滑剤として供給される液相状の冷媒Rの供給源である液冷媒貯留部26は凝縮器3の底部となっている。凝縮器3の底部には、圧縮および凝縮された液相状の冷媒Rが貯留されており、この液相状の冷媒Rの圧力は補助軸受19a,19bの周辺圧力よりも高いため、電磁弁28が開くと同時に圧力差によって冷媒Rが補助軸受19a,19bに迅速に供給される。このため、電源遮断時に素早く冷媒Rを補助軸受19a,19bに供給して潤滑し、補助軸受19a,19bの長寿命化を図ることができる。
【0035】
ところで、転がり軸受である補助軸受19a,19bの外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかの材質としてセラミック材を採用してもよい。セラミック材は熱膨張量が小さく、補助軸受19a,19bの温度変化時における軸受隙間の変化量を小さくすることができるため、液相状の冷媒Rのように低粘度の流体でも補助軸受19a,19bを良好に潤滑することができる。
【0036】
また、補助軸受19a,19bの外輪、内輪、および転動体の少なくともいずれかの材質として、低粘度流体による潤滑でも潤滑膜が形成されやすい材質を採用したり、ダイヤモンドライクカーボン等の材質を外輪、内輪、転動体にコーティングしてもよい。これにより、液相状の冷媒Rのように低粘度の流体でも補助軸受19a,19bを良好に潤滑することができる。
【0037】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態を示すターボ圧縮機2Aの拡大縦断面図である。このターボ圧縮機2Aは、そのケーシング13の軸方向中間部分に、周方向に沿う液冷媒ジャケット31が形成されている点において第1実施形態のターボ圧縮機2と相違する。この液冷媒ジャケット31は、本来は電動機14(ステータ14a)を冷却するためのものであり、ここには圧縮および凝縮されて冷却された低温な液相状の冷媒Rが循環している。それ以外の構成は第1実施形態のターボ圧縮機2と同一であるため、各部に同一符号を付して説明は省略する。
【0038】
このターボ圧縮機2Aにおいても、停電等により電源が遮断されて非接触軸受である主軸受18a,18bの機能が停止した場合には、主軸受18a,18bに代わって補助軸受19a,19bがロータ軸15を支持する。そして、この補助軸受19a,19bの内部に冷媒を潤滑剤として供給する潤滑冷媒供給部32が設けられている。この潤滑冷媒供給部32においては、液相状の冷媒Rが貯留される液冷媒貯留部33として液冷媒ジャケット31が利用されている。
【0039】
さらに、この潤滑冷媒供給部32は、液冷媒ジャケット31と補助軸受19a,19bとの間を接続する一対の液冷媒供給通路34a,34bと、この液冷媒供給通路34a,34bの各々に接続された電磁弁35a,35bとを備えている。電磁弁35a,35bは、第1実施形態における電磁弁28を同じく通電された状態で閉となるノーマルオープン形式である。
【0040】
以上のように構成されたターボ圧縮機2Aにおいて、停電等により電源が遮断された場合には、非接触軸受である主軸受18a,18bの機能が停止し、これに代わって補助軸受19a,19bがロータ軸15を支持する。それと同時に、通電された状態で閉となる電磁弁35a,35bが、電源が遮断されたことによって開かれる。したがって、液冷媒ジャケット31に貯留されている液相状の冷媒Rが、圧力差、または重力により、液冷媒供給通路34a,34bを経て補助軸受19a,19bに供給される。このため、補助軸受19a,19bの内部に液相状の冷媒Rが潤滑剤として供給され、補助軸受19a,19bが潤滑、冷却される。
【0041】
このターボ圧縮機2Aでは、潤滑冷媒供給部32の液冷媒貯留部33として液冷媒ジャケット31が利用されており、この液冷媒ジャケット31は、補助軸受19a,19bの近傍に位置するとともに、その内部に圧縮および凝縮された液相状の冷媒Rが循環している。このため、電源遮断時に電磁弁35a,35bが開かれると同時に、液冷媒ジャケット31の冷媒Rを補助軸受19a,19bに容易に供給することができる。本構成によれば、ターボ圧縮機2Aと周辺の機器類との間を冷媒供給通路で接続する必要がないため、軸受システムを簡素化することができる。
【0042】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態を示すターボ冷凍装置の全体図である。このターボ冷凍装置1Aにおいて、ターボ圧縮機2自体の構成は第1実施形態(図1図2参照)に示すものと同一であるため、各部に同一符号を付して説明は省略する。
【0043】
このターボ冷凍装置1Aにも、電源遮断時に主軸受18a,18bに代わってロータ軸15を支持する補助軸受19a,19bの内部に冷媒Rを潤滑剤として供給する潤滑冷媒供給部40が備えられている。この潤滑冷媒供給部40は、液相状の冷媒Rが貯留された液冷媒貯留部41と、この液冷媒貯留部41と補助軸受19a,19bとの間を接続する液冷媒供給通路27と、液冷媒供給通路27に接続された電磁弁28とを備えている。液冷媒供給通路27は第1実施形態のものと同様に分岐通路27a,27bに分岐して補助軸受19a,19bに繋がっているが、液冷媒供給通路27の上流側端部が凝縮器3ではなく液冷媒貯留部41に接続されている点が異なっている。電磁弁28は、第1実施形態のものと同じく通電された状態で閉となるノーマルオープン形式である。
【0044】
液冷媒貯留部41としては、液相状の冷媒Rを、補助軸受19a,19bの周辺圧力よりも高い圧力を付与しながら貯留する圧力付与容器43が用いられている。この圧力付与容器43は、例えばシリンダ状の容器本体44と、その中を軸方向に摺動自在に設けられたピストン45と、このピストン45を容器本体44における液冷媒供給通路27の接続された端面(ここでは下側の端面)の方に付勢するスプリング46とを備えている。圧力付与容器43(容器本体44)の内部に貯留された液相状の冷媒Rは、ピストン45を介してスプリング46に押圧されることにより、補助軸受19a,19bの周辺圧力(ケーシング13の内部圧力)よりも高い圧力を付与されている。
【0045】
以上のように構成されたターボ冷凍装置1Aおよびターボ圧縮機2において、停電等により電源が遮断された場合には、非接触軸受である主軸受18a,18bの機能が停止し、これに代わって補助軸受19a,19bがロータ軸15を支持する。これと同時に、通電された状態で閉となる電磁弁28が、電源が遮断されたことによって開かれる。
【0046】
このため、液冷媒貯留部41を構成する圧力付与容器43の内部に貯留されてスプリング46の付勢力によって補助軸受19a,19bの周辺圧力よりも高い圧力を付与された液相状の冷媒Rが、電磁弁28の開弁と同時に圧力差によって液冷媒供給通路27(分岐通路27a,27b)を経て補助軸受19a,19bに供給される。このため、補助軸受19a,19bの内部に液相状の冷媒Rが潤滑剤として供給され、補助軸受19a,19bが潤滑、冷却される。
【0047】
本構成によれば、ターボ圧縮機2により圧縮された冷媒を抽出する系統を設ける必要がないため、軸受システムを簡素化することができる。また、ターボ冷凍装置1Aの運転状態によらず、潤滑用冷媒の供給圧力を必要規定値以上に保持することができ、潤滑用冷媒を確実に供給することができる。なお、圧力付与容器43の構造は、必ずしも上記の構成でなくてもよく、例えばスプリング46の付勢力に代えて錘の重量をピストン45に加えるようにしてもよい。あるいは、圧力付与容器43の内部をゴム膜で軸方向に2分割し、閉塞されている一方の部屋に窒素ガス等を封入し、冷媒供給通路27が接続されている他方の部屋に冷媒Rを貯留するようにした、いわゆるアキュムレータ構造に変更してもよい。
【0048】
以上に説明したように、上記の各実施形態に係るターボ圧縮機2,2Aおよびこれを備えたターボ冷凍装置1,1Aによれば、ターボ圧縮機2,2Aのロータ軸15を支持する非接触軸受である主軸受18a,18bの機能停止時に、この主軸受18a,18bに隣接して設けられるタッチダウン用の補助軸受19a,19bに液冷媒を潤滑剤として供給可能にし、補助軸受19a,19bの低コスト化および長寿命化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は上記の各実施形態の構成のみに限定されるものではなく、適宜変更や改良を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本発明の権利範囲に含まれるものとする。例えば、上記実施形態に記載したターボ冷凍装置1,1Aの全体構成や用途、あるいはターボ圧縮機2,2Aの構成等は、あくまでも一例であり、各部に変更を加えることもできる。
【符号の説明】
【0050】
1,1A ターボ冷凍装置
2,2A ターボ圧縮機
3 凝縮器
4 蒸発器
7 冷媒圧縮部
13 ケーシング
14 電動機
15 ロータ軸
16 インペラ
18a,18b 主軸受(非接触軸受)
19a,19b 補助軸受
25,32,40 潤滑冷媒供給部
26,33,41 液冷媒貯留部
27,34a,34b 液冷媒供給通路
28,35a,35b 電磁弁
31 液冷媒ジャケット
43 圧力付与容器
R 冷媒
図1
図2
図3
図4