【構成】 電動アクチュエータ(10)は、弁体(130)の変位により送水を制御する送水制御装置(104)の開閉制御を行う装置である。この電動アクチュエータの制御部は、弁体の全閉動作を行うとき、モータ電流値が予め設定した第1電流値以上(S29でYES)となり、かつ弁体の位置が予め設定された全閉区間内(S21でYES)であるときに、弁体が正常な全閉状態であると判定してモータを停止させる(S31)。
前記制御部は、前記全閉動作を行うとき、前記位置検出部によって検出された前記弁体の位置が前記全閉区間の下限位置に到達しても、前記電流値検出部によって検出されたモータ電流値が前記第1電流値に達しない場合は、前記モータを停止し、エラー通知を実行する、請求項1記載の電動アクチュエータ。
前記制御部は、前記全閉動作を行うとき、前記位置検出部によって検出された前記弁体の位置が前記全閉区間内に入る前に、前記電流値検出部によって検出されたモータ電流値が予め設定した第2電流値以上になった場合は、前記モータを停止後、所定量だけ開動作を行い再度閉動作に戻る復帰動作を実行する、請求項1または2記載の電動アクチュエータ。
(C)前記全閉位置設定ステップの後、前記全閉位置を基準とした所定量開側の位置と所定量閉側の位置との間の区間を全閉区間として設定する全閉区間設定ステップをさらに含む、請求項5記載の学習方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術のように、モータの駆動時間(つまり弁体位置)だけで給水栓が全閉状態であるかどうかを判断すると、弁体の経年劣化などによって止水できる位置がずれた場合に、漏水してしまう恐れがある。
【0006】
また、従来の電動アクチュエータには、動力部に生じているトルクを検出するトルク検出機構およびトルクスイッチを有するものがあり、検出したトルク値が所定値以上となったときに全閉状態と判断して、モータを停止する方法が公知である。しかしながら、トルク検出機構は一般的に高価であり、構造も複雑となる。また、トルク値だけで全閉状態であるかどうかを判断すると、ゴミ等が噛んでトルク値が上がった場合も全閉状態と判断され、止水されていないにも係わらずモータが停止されてしまう場合がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電動アクチュエータおよび学習方法を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、弁体による止水を確実に行うことができる、電動アクチュエータおよび学習方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、弁体の変位により送水を制御する送水制御装置の開閉制御を行う電動アクチュエータであって、本体ケース、本体ケース内に設けられるモータ、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を制御する制御部、本体ケース内に設けられ、モータからの駆動力によって回転するギア、ギアと共に回転する回転軸、モータの駆動時に流れるモータ電流値を検出する電流値検出部、および弁体の位置を検出する位置検出部を備え、制御部は、弁体の全閉動作を行うとき、電流値検出部によって検出されたモータ電流値が予め設定した第1電流値以上となり、かつ、位置検出部によって検出された弁体の位置が予め設定された全閉区間内であるときに、弁体が正常な全閉状態であると判定して、モータを停止させる、電動アクチュエータである。
【0010】
第1の発明では、電動アクチュエータは、本体ケース、モータ、制御部、ギアおよび回転軸などを含み、弁体の変位により送水を制御する送水制御装置に取り付けられて、送水制御装置の開閉制御を行う。また、電動アクチュエータは、モータの駆動時に流れるモータ電流値を検出する電流値検出部と、モータまたはギア等の動作に基づいて送水制御装置の弁体の位置を検出する位置検出部とを備える。この電動アクチュエータでは、全閉位置を基準とした前後の区間が全閉区間として予め設定される。そして、電動アクチュエータの制御部は、弁体の全閉動作を行うとき、モータ電流値が予め設定した第1電流値以上となり、かつ、弁体の位置が全閉区間内であるときに、弁体が正常な全閉状態であると判定して、モータを停止させる。
【0011】
第1の発明によれば、弁体が全閉状態にあることを正確に判定できるので、弁体による止水を確実に行うことができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、制御部は、全閉動作を行うとき、位置検出部によって検出された弁体の位置が全閉区間の下限位置に到達しても、電流値検出部によって検出されたモータ電流値が第1電流値に達しない場合は、モータを停止し、エラー通知を実行する。
【0013】
第2の発明によれば、弁体の止水ゴムが経年劣化する等して適切に止水できていない状態を自動的に検出して、ユーザに知らせることができる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、制御部は、全閉動作を行うとき、位置検出部によって検出された弁体の位置が全閉区間内に入る前に、電流値検出部によって検出されたモータ電流値が予め設定した第2電流値以上になった場合は、モータを停止後、所定量だけ開動作を行い再度閉動作に戻る復帰動作を実行する。
【0015】
第3の発明によれば、ゴミ詰り等を自動的に解消できる。ただし、復帰動作を1または数回実行しても異常が解消されない場合は、モータを停止してエラー通知を実行してもよい。これによって、ごみが詰まる等して適切に止水できていない状態を自動的に検出して、ユーザに知らせることができる。
【0016】
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属し、送水制御装置は、圃場への給水または圃場からの排水を制御するための給水装置または排水装置であって、本体ケースに取り付けられる太陽電池パネル、および本体ケース内に設けられ、太陽電池パネルによって発電された電力を蓄電可能な蓄電池をさらに備える。
【0017】
第4の発明では、送水制御装置は、圃場への給水を制御する給水バルブ等の給水装置、または圃場からの排水を制御する落水口などの排水装置である。そして、電動アクチュエータは、本体ケースに取り付けられる太陽電池パネルと、太陽電池パネルによって発電された電力を蓄電可能な蓄電池をさらに備える。
【0018】
第4の発明によれば、商用電源が確保し難い圃場においても、電動アクチュエータを適用可能となる。
【0019】
第5の発明は、弁体の変位により送水を制御する送水制御装置の開閉制御を行う電動アクチュエータの制御部が実行する、弁体の全閉位置および全開位置の学習方法であって、(A)モータを駆動させて弁体の閉動作を行い、閉動作中にモータ電流値が予め設定した第1設定値以上になったとき、モータを停止し、このときの弁体の位置を当該弁体の全閉位置として設定する全閉位置設定ステップと、(B)全閉位置設定ステップの後、モータを駆動させて弁体の開動作を行い、モータ電流値が予め設定した第2設定値になったとき、モータを停止し、このときの弁体の位置から所定量閉側の位置を当該弁体の全開位置として設定する全開位置設定ステップとを含む、学習方法である。
【0020】
第5の発明によれば、モータの回転数または駆動時間と弁体の移動距離との関係が分かっていない場合であっても、電動アクチュエータ自身が自動でかつ正確に、弁体の全閉位置および全開位置を設定できる。また、弁体の全閉位置および全開位置を正確に設定できることから、弁体による止水を確実に行うことができる。
【0021】
第6の発明は、第5の発明に従属し、(C)全閉位置設定ステップの後、全閉位置を基準とした所定量開側の位置と所定量閉側の位置との間の区間を全閉区間として設定する全閉区間設定ステップをさらに含む。
【0022】
第6の発明によれば、全閉区間も電動アクチュエータ自身が自動でかつ正確に設定できる。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、弁体が全閉状態にあることを正確に判定できるので、弁体による止水を確実に行うことができる。
【0024】
第5の発明によれば、弁体の全閉位置および全開位置を正確に設定できるので、弁体による止水を確実に行うことができる。
【0025】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および
図2を参照して、この発明の一実施例である電動アクチュエータ10(以下、単に「アクチュエータ10」と言う。)は、モータ38、メインギア40および回転軸50などを備え、送水制御装置の開閉制御を行う。この実施例では、アクチュエータ10は、圃場用給水システム100(以下、単に「システム100」と言う。)に用いられ、送水制御装置の一例である給水装置104に取り付けられる。
【0028】
先ず、システム100について説明する。
図1に示すように、システム100は、圃場102の水管理を遠隔操作または予め記憶されたプログラムに基づく自動制御などによって行うための圃場用設備であり、給水装置104が設置される水田などの圃場102に適用される。なお、圃場102は、畦畔によって複数の耕作区に区画されており、給水装置104は、各耕作区に対して設置される。
【0029】
給水装置104は、耕作区(圃場102)への給水を制御するための装置であって、弁体(仕切体)の変位によって管路を開閉する。この実施例では、給水装置104として、一般的に広く普及しているR&R方式(軸回転に伴い軸が上下動する方式)のアルファルファ形の給水バルブを用いている。
【0030】
図1および
図2を参照して簡単に説明すると、給水装置104は、円筒状の弁箱120を備える。弁箱120の上半部は、ドーム状のキャップ122によって覆われており、弁箱120の側壁上部には、複数の出水窓124が周方向に並ぶように形成される。また、弁箱120の上端部には、内周面に雌ねじが形成された軸受126が設けられ、この軸受126には、キャップ122を貫通するように、外周面に雄ねじが形成された弁軸128が螺合されている。この弁軸128の下端には、下面に止水ゴム130aを有する円板状の弁体130が設けられる。また、弁箱120内の略中央部には、通水口132aを有する弁座132が設けられる。そして、弁軸128に対して軸線回りの回転力が加えられると、送りねじ機構によって弁軸128および弁体130が上下動し、弁座132の通水口132aが開閉される。
【0031】
このような給水装置104は、たとえば給水桝108内に配置され、用水パイプライン110または用水路などから分岐する分岐管112の下流側端部に取り付けられる。そして、給水装置104には、後述するアダプタ60を介してアクチュエータ10が取り付けられ、このアクチュエータ10によって給水装置104の弁体130が開閉制御される。
【0032】
また、この実施例におけるシステム100は、複数の耕作区を含むシステムとなっており、各耕作区に設置される給水装置104のそれぞれに取り付けられるアクチュエータ10のうち、少なくとも1つのアクチュエータ10が親機とされ、残りのアクチュエータ10は子機とされる。親機となるアクチュエータ10は、インターネット等のネットワークを介して、ユーザが所有するスマートフォン、タブレット端末、PDAおよびPCのような遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。一方、子機となるアクチュエータ10は、特定小電力無線規格に従った無線通信方法によって、親機と直接、または他の子機を介して親機と無線通信可能に接続されており、親機を経由して、ユーザが所有する遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。
【0033】
なお、この無線通信においては、クラウドコンピューティングを利用するとよい。たとえば、各アクチュエータ10で取得された情報(弁体の開閉度などの給水装置104の状態に関する情報、および圃場水位や気温などのセンサ情報など)をクラウドサーバに随時送信して記憶しておく。ユーザは、遠隔操作端末からクラウドサーバにアクセスすることで、各アクチュエータ10で取得された情報を確認し、遠隔操作端末を用いて各アクチュエータ10を遠隔操作することで、圃場102の水管理を行う。
【0034】
ただし、システム100は、必ずしも複数の耕作区に亘るシステムとする必要はなく、システム100が適用される圃場102は、少なくとも1つの給水装置104が設置される圃場であればよい。
【0035】
続いて、アクチュエータ10の構成について具合的に説明する。ただし、以下に説明するアクチュエータ10の具体的構成(構造)は、単なる一例であり、適宜変更可能であることを予め指摘しておく。
【0036】
図3−
図5に示すように、アクチュエータ10は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される本体ケース20を備える。この本体ケース20は、円筒状の側壁22と側壁22の上端部を封止する天壁24とを含む。側壁22の下端部は、段差状に縮径されており、この縮径部分がアダプタ60の上部開口に嵌入される嵌合部26となる。本体ケース20の高さ寸法は、たとえば300mmであり、本体ケース20の外径は、たとえば200mmである。
【0037】
本体ケース20の天壁24上面には、太陽電池パネル28が取り付けられる。太陽電池パネル28は、複数の太陽電池セルが強化ガラスおよび封止材などによって方形状にパッケージ化されたものであり、保持体30によって支持される。保持体30は、金属または樹脂などによって形成され、たとえば、太陽電池パネル28の周囲を覆うように設けられる方形枠状のフレーム30aと、フレーム30aの下面に設けられて、所定角度で屈曲する支持板30bとを備える。
【0038】
本体ケース20の内部には、制御盤32、アンテナ34、蓄電池36、モータ38、およびメインギア40等が収容される。
【0039】
制御盤32には、図示は省略するが、CPUおよびメモリ等を含む制御部、他の機器と無線通信を行うための無線通信部、および主電源などのスイッチ等が配設される。制御部のCPUは、アクチュエータ10の全体制御を司り、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて、モータ38等の駆動を制御する。無線通信部は、アンテナ34を介して、上述のようにユーザが所有する遠隔操作端末および他のアクチュエータ10等の外部機器と無線通信を行う。
【0040】
蓄電池36は、太陽電池パネル28によって発電された電力を蓄電するものである。モータ38は、蓄電池36に蓄えられた電力、つまり太陽電池パネル28によって発電された電力によって駆動される。このモータ38の出力軸38aの先端部には、小ギア42が設けられており、メインギア40は、この小ギア42と連結されることで、モータ38からの駆動力を受けて軸線回りに回転する。
【0041】
この実施例では、モータ38としてエンコーダ付きのモータが用いられる。モータ38のエンコーダは、出力軸38aの回転方向および回転数に応じたパルス信号を制御部のCPUに出力する。制御部のCPUは、エンコーダから入力されたパルス信号、つまり出力軸38aの回転方向および回転数に基づいて、給水装置104の弁体130の位置を算出する。すなわち、エンコーダは、弁体130の位置を検出する位置検出部として用いられる。ただし、位置検出部として機能するエンコーダは、必ずしもモータ38に設けられる必要はなく、たとえば、エンコーダをメインギア40に設けて、メインギア40の回転方向および回転数に基づいて、弁体130の位置を算出することもできる。さらに、モータ38には、モータ電流値を検出する電流センサ(カレントトランス)等の電流値検出部が設けられており、電流値検出部における検出データは、制御部のCPUに入力される。
【0042】
メインギア40は、両ボス型のギアであり、上下方向に延びる円筒状の軸部(ボス部)40aと、外周面にギア歯が形成される円板状のギア部40bとを有する。本体ケース20の側壁22の下端部には、本体ケース20の底壁にもなる円板状の第1軸受44が設けられており、また、第1軸受44の上方には、複数の支持部46によって支持される円板状の第2軸受48が設けられている。そして、メインギア40の軸部40aの両端部は、これら第1軸受44および第2軸受48によって回転可能に保持される。
【0043】
メインギア40の軸部40aには、略円柱状の回転軸50が挿通される。つまり、回転軸50は、メインギア40の軸中心を貫通するように設けられる。この回転軸50の下端部には、給水装置104の弁軸128の上端部などと回転不可に連結されるカップリング部50aが形成される。
【0044】
また、メインギア40の軸部40aの内周面には、軸方向に沿って延びるキー溝40cが形成されると共に、回転軸50の外周面には、キー溝40cと嵌合される滑りキー50bが軸方向に沿って延びるように形成される。このようなキー溝40cおよび滑りキー50bからなる滑りキー構造を有することによって、回転軸50は、メインギア40が回転すると共に回転し、かつメインギア40の軸部40aに対して軸方向に摺動可能となる。
【0045】
ただし、回転軸50は回転しながら上下動する、つまり回転軸50には捩りの力が作用するので、単に滑りキー構造を採用するだけでは、回転軸50の回転バランスが悪くなって回転軸50が適切に作動しなくなる恐れがある。
【0046】
そこで、この実施例では、メインギア40のギア部40bの下面と第1軸受44の上面との間に、第1スラストベアリング52を設け、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間に、第2スラストベアリング54を設けるようにしている。スラストベアリング52,54としては、公知のスラスト玉軸受などを用いるとよい。
【0047】
このようにスラストベアリング52,54を設けることによって、滑りキー構造を採用しながらも、回転軸50がバランスよく回転しながら上下動できるようになり、作動時の回転トルク、つまりモータ38に掛かる負荷を低減できる。これは特に、負荷が最大となる締め付け時(閉動作の最終)において効果を発揮する。したがって、モータ38の小型化および省電力化(節電)が可能となる。また、回転トルクが低減されることから、メインギア40、軸受44,48および回転軸50の耐久性も向上する。
【0048】
また、図示は省略するが、圃場102には、圃場水位を検出する超音波センサ等の水位センサ、気温を検出する温度センサ、気圧を検出する圧力センサ、土壌水分を検出する水分センサ等のセンサが適宜設けられる。各センサで検出された圃場水位や気温などのセンサ情報は、アクチュエータ10の制御部に入力される。
【0049】
さらに、図示は省略するが、本体ケース20の外面または本体ケース20の内部には、手動(電動手動)でモータ38を駆動させるための操作パネルを設けるようにしてもよい。操作パネルには、上昇ボタン、下降ボタン、およびアクチュエータ10の動作モード(遠隔モード、自動モード、手動モードまたは初期設定モード等)を切り替えるための選択ボタン等が設けられる。基本的には、アクチュエータ10は、遠隔操作または自動制御されるものであるが、この操作パネルは、アクチュエータ10の初期設定時やアクチュエータ10に異常が発生した場合など、ユーザがアクチュエータ10の近くにいるときに使用される。ただし、操作パネルを設ける代わりに、近距離用のリモートコントローラを用いて、アクチュエータ10を手動制御することもできる。
【0050】
次に、
図6を参照して、給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるためのアダプタ60の一例について説明する。
図6に示すように、アダプタ60は、円筒部62と、円筒部62の上端部から外方に突出する鍔状の第1接続部64と、円筒部62の下端部から内方に突出し、その中央部に通孔66aを有する円環板状の第2接続部66とを含む。第1接続部64には、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。また、第2接続部66にも、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。この第2接続部66のボルト孔は、周方向に長い長孔としてもよい。
【0051】
図2に戻って、アダプタ60を用いて給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるときには、アダプタ60の円筒部62に対して本体ケース20の嵌合部26が嵌め込まれると共に、アダプタ60の第1接続部64とアクチュエータ10の本体ケース20の底壁とがボルト止めされる。また、アダプタ60の第2接続部66と給水装置104のキャップ122および軸受126とがボルト止めされる。この際、第2接続部66に形成されるボルト孔を周方向に長い長孔としておくことによって、アダプタ60およびアクチュエータ10は、給水装置104に対して周方向に角度調整可能となる。さらに、給水装置104の弁軸128の上端部は、アダプタ60の第2接続部66に形成される通孔66aから上方に突出されて、アクチュエータ10の回転軸50のカップリング部50aに対して回転不可に連結される。
【0052】
このようにアクチュエータ10が取り付けられた給水装置104では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、メインギア40に伝達されて、メインギア40が回転すると共に、回転軸50が回転する。これにより、回転軸50に固定的に連結された弁軸128に対して、回転力が付与される。回転力が加えられた弁軸128は、自身と軸受126との送りねじ機構によって上下動され、弁体130が全開位置および全閉位置などに移動される。また、回転軸50は、弁軸128の上下動に伴い、メインギア40の軸部40aを貫通するように上下動する。これによって、上下方向に大きなスペースを要することなく、弁軸128の上下動が吸収される。
【0053】
ここで、弁体130の全閉動作を行うとき、位置検出部(エンコーダ)による検出結果に基づいて弁体130の位置が全閉位置にあることを判断するだけでは、弁体130の止水ゴム130aの経年劣化などによって止水できる位置がずれた場合に、漏水してしまう恐れがある。また、動力部に生じているトルクを検出するトルク検出機構を別途設け、トルク値だけで全閉状態にあることを判断すると、ゴミ等が噛んでトルク値が上がった場合も全閉状態と判断され、止水されていないにも係わらずモータが停止されてしまう場合がある。
【0054】
そこで、この実施例では、止水ゴム130aなどの弾性部材を有する弁体130においては、適切に止水できる状態に一定の範囲があることに鑑み、全閉位置を基準とした前後の区間を全閉区間として予め設定しておく。また、回転軸50等に生じるトルクは、モータ38に流れるモータ電流値(消費電力)に比例するので、トルク検出機構を別途設ける代わりに、モータ電流値を利用して発生トルクを推定する。そして、この実施例では、弁体130の全閉動作を行うときには、モータ電流値が予め設定した第1電流値以上となり、かつ、弁体130の位置が全閉区間内であるときに、弁体130が正常な全閉状態であると判定するようにしている。以下、具体的に説明する。
【0055】
先ず、全閉区間を設定するに際して、アクチュエータ10は、弁体130の全閉位置および全開位置を学習(設定)する学習動作を行う。これは、位置検出部(エンコーダ)からのパルス信号に基づいて弁体130の位置を算出するために、弁体130の全閉位置とエンコーダの信号とを対応付ける必要があるからである。また、給水装置104の種類(機種および大きさ等)などによって、全閉から全開までの動作ストローク或いは回転数が異なるため、弁体130の全開位置とエンコーダの信号とを対応付ける必要があるからである。この学習動作は、給水装置104にアクチュエータ10を取り付けた後、初期設定または動作テストを行うときに実施される。
【0056】
具体的には、先ず、
図7に示すように、弁体130の全閉位置の学習動作を行う。全閉位置の学習動作では、弁体130の状態を全閉位置でない状態(たとえば、全閉位置の近くに弁体130を配置する状態)にしておき、そこからアクチュエータ10のモータ38を駆動させて弁体130の閉動作を開始する。ただし、最初は全閉位置にしておいて、少しだけ開動作を実行してから閉動作を開始するようにしてもよい。
【0057】
そして、閉動作を実行している途中に、モータ電流値が所定の全閉トルクに対応する第1設定値となった時点でモータ38を自動的に停止して、このときの弁体130の停止位置を全閉位置(開度0%)に設定する。つまり、この停止位置を基準(ゼロ点)として、弁体130の位置とエンコーダの信号とを対応付けてメモリ等に記憶する。以降、アクチュエータ10の制御部は、この停止位置を基準とした位置検出部からのパルス信号(つまりモータ38の出力軸38aの回転方向および回転数に関する情報)に基づいて、弁体130の位置を算出(把握)する。
【0058】
また、全閉位置を設定すると、その後、全閉位置を基準とした所定量開側の位置と所定量閉側の位置を設定して、この間の区間を全閉区間としてメモリ等に記憶する。全閉区間は、弁体130の止水ゴム130aが適切に止水できる範囲内で適宜設定され、たとえば、全閉位置の±0.5mmの区間に設定される。
【0059】
全閉位置の学習動作が終了すると、続いて、
図8に示すように、全開位置の学習動作を実行する。全開位置の学習動作では、弁体130が全閉位置にある状態から、アクチュエータ10のモータ38を駆動させて弁体130の開動作を開始する。そして、開動作を実行している途中に、モータ電流値が予め設定した第2設定値となった時点でモータ38を自動的に停止して、このときの弁体130の停止位置を全開位置(開度100%)+α%の位置とする。つまり、弁体130の上面が軸受126の下面に当接する等してモータ38が回転できなくなる機械的な限界点を全開位置+α%とし、その機械的な限界点から所定量閉側の位置を弁体130の全開位置としてメモリ等に記憶する。これによって、全開動作を実行するときには、機械的な限界点からα%の余裕を持って停止できるようになるので、アクチュエータ10に余計な負荷が掛かることを防止でき、アクチュエータ10の耐久性が向上される。
【0060】
以上の学習動作によって、全閉位置、全閉区間および全開位置の設定が完了するが、その後、全閉位置まで弁体130を移動させることで、初期設定を完了させてもよい。
【0061】
なお、全開位置の学習動作において、開動作の開始から極端に早く(つまり少ない回転数で)モータ電流値が第2設定値に達した場合には、ごみ詰り等の異常があると判断して、エラー通知を発するようにしてもよい。また、全閉位置に再度戻って、全開位置の学習動作をやり直すようにしてもよい。
【0062】
このような方法で弁体130の全閉位置および全開位置を学習(設定)することによって、どのような給水装置104(送水制御装置)に対しても、つまりモータ38の回転数または駆動時間等と弁体130の移動距離との関係が分かっていない場合であっても、アクチュエータ10自身が自動でかつ正確に、弁体130の全閉位置および全開位置を設定できる。すなわち、従来では、現地で設置済みの送水制御装置に対してユーザがストロークの測定などを実施し、その数値をアクチュエータ10に設定しなければならず、非常に手間が掛かりかつ不正確な設定となる恐れがあった。しかし、上述の学習方法によれば、人手による全閉位置および全開位置の設定は不要または簡易となり、かつ正確な設定が可能となる。また、弁体130の全閉位置および全開位置を正確に設定できるので、弁体130による止水を確実に行うことができるようになる。また、全閉区間もアクチュエータ10自身が自動でかつ正確に設定できる。
【0063】
以上のような全閉位置、全閉区間および全開位置の学習動作(設定)が完了すると、以降、アクチュエータ10は、記憶した全閉位置、全閉区間および全開位置に基づいて、ユーザからの遠隔操作指示などに従ってモータ38を駆動させ、弁体130を全閉位置などに移動させる。そして、弁体130の全閉動作を行うときには、上述のように、位置検出部(エンコーダ)による検出結果およびモータ電流値の双方を利用して、弁体130が正常な全閉状態であるか否かを判定する。
【0064】
すなわち、この実施例では、弁体130の全閉動作を行うとき、電流値検出部によって検出されたモータ電流値が予め設定した第1電流値以上となり、かつ、位置検出部によって検出された弁体130の位置が予め設定された全閉区間内であるときに、弁体130が正常な全閉状態であると判定して、モータ38を停止させる。これによって、弁体130が全閉状態にあることを正確に判定できる。
【0065】
また、全閉動作を行うとき、位置検出部によって検出された弁体130の位置が全閉区間の下限位置(最も閉側の位置)に到達しても、電流値検出部によって検出されたモータ電流値が第1電流値に達しない場合は、止水ゴム130aの経年劣化などの異常があると判定して、モータ38を停止し、エラー通知を実行する。これによって、適切に止水できていない状態を自動的に検出して、ユーザに知らせることができる。
【0066】
さらに、全閉動作を行うとき、位置検出部によって検出された弁体130の位置が全閉区間内に入る前に、電流値検出部によって検出されたモータ電流値が予め設定した第2電流値以上になった場合は、ごみ詰り等の異常があると判断して、モータ38を停止後、所定量だけ開動作を行い再度閉動作に戻る復帰動作を実行する。これによって、ゴミ詰り等を自動的に解消できる。なお、復帰動作を1または数回実行しても、異常が解消されない場合は、エラー通知を実行するとよい。これによって、適切に止水できていない状態を自動的に検出して、ユーザに知らせることができる。
【0067】
このように、弁体130の全閉位置を基準とした全閉区間を予め設定しておき、弁体130の全閉動作を行うときには、位置検出部による検出結果およびモータ電流値の双方を利用して、弁体130が全閉状態であるか否か判定することで、弁体130の全閉状態を正確に判定できる。
【0068】
上述のようなアクチュエータ10における動作は、制御部のCPUが、メモリに記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。つまり、以下の
図9および
図10に示すフロー図は、制御部のCPUのためのプログラムとして、CPUがアクセスできるメモリに記憶されている。
【0069】
先ず、
図9に示すフロー図を用いて、アクチュエータ10における弁体130の全閉位置および全開位置の学習処理(学習方法)について説明する。
【0070】
図9に示すように、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、たとえば、本体ケース20に設けられた操作パネルまたはリモートコントローラ等を用いたユーザの手動操作により、初期設定モードが選択された状態で下降ボタンが押されると、学習処理を開始する。
【0071】
先ず、ステップS1では、弁体130の閉動作を実行する。すなわち、制御部は、モータ38に制御信号を送信してモータ38を駆動させ、弁体130を閉方向に移動させる。
【0072】
次のステップS3では、モータ電流値は、第1設定値以上であるか否かを判断する。すなわち、制御部は、電流値検出部から入力される検出データに基づき、モータ電流値が第1設定値以上に達したかどうかを判断する。ステップS3で“N0”のときは、ステップS1に戻って、そのまま弁体130の閉動作を続ける。一方、ステップS3で“YES”のときは、ステップS5に進む。
【0073】
ステップS5では、モータ38を停止して、そのときの弁体130の停止位置を全閉位置に設定する。すなわち、制御部は、モータ38に制御信号を送信してモータ38を停止させ、そのときの弁体130の停止位置を基準(ゼロ点)として、弁体130の位置とエンコーダの信号とを対応付けてメモリ等に記憶する。
【0074】
続くステップS7では、全閉位置を基準として全閉区間を設定する。すなわち、制御部は、ステップS5で設定した全閉位置を基準とした所定量開側の位置と所定量閉側の位置との間の区間を全閉区間として設定して、メモリ等に記憶する。
【0075】
続くステップS9では、弁体130の開動作を開始する。すなわち、制御部は、モータ38に制御信号を送信してモータ38をステップS1とは逆向きに駆動させ、弁体130を開方向に移動させる。
【0076】
次のステップS11では、モータ電流値は、第2設定値以上であるか否かを判断する。すなわち、制御部は、電流値検出部から入力される検出データに基づき、モータ電流値が第2設定値以上に達したかどうかを判断する。ステップS11で“N0”のときは、ステップS9に戻って、そのまま弁体130の開動作を続ける。一方、ステップS11で“YES”のときは、ステップS13に進む。
【0077】
ステップS13では、モータ38を停止して、そのときの弁体130の停止位置の所定量閉側の位置を全開位置に設定する。すなわち、制御部は、弁体130の停止位置を全開位置+α%の位置とし、そのα%閉側の位置を弁体130の全開位置としてメモリ等に記憶する。ステップS13の処理が終了すると、この学習処理の全体処理を終了する。
【0078】
続いて、
図10に示すフロー図を用いて、アクチュエータ10における全閉判定方法について説明する。
【0079】
図10に示すように、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、たとえば、ユーザから全閉動作指示を受信すると、モータ38を駆動させて弁体130を閉方向に移動させると共に、この全閉判定処理を開始する。
【0080】
先ず、ステップS21では、弁体130の位置は全閉区間内であるか否かを判断する。すなわち、制御部は、位置検出部(エンコーダ)から入力されたパルス信号に基づいて弁体130の位置を算出し、その位置が全閉区間内であるかどうかを判断する。
【0081】
ステップS21で“N0”のときは、ステップS23に進む。ステップS23では、モータ電流値は、第2電流値以上であるか否かを判断する。すなわち、制御部は、電流値検出部から入力される検出データに基づき、モータ電流値が第2電流値以上に達したかどうかを判断する。ステップS23で“N0”のときは、ステップS21に戻る。一方、ステップS23で“YES”のとき、つまり、弁体130の位置が全閉区間内に入る前に、モータ電流値が第2電流値以上になった場合は、ステップS25に進む。
【0082】
ステップS25では、異常が発生していると判定してモータ38の駆動を停止し、ステップS27で復帰動作を実行する。すなわち、制御部は、モータ38を逆向きに駆動して弁体130を所定量だけ開側に移動させた後、再度モータ38の回転をさらに逆にして弁体130を閉側に移動させる。ステップS27の処理が終了すると、ステップS21に戻る。ただし、ステップS27の処理を実行した後に、再度ステップS27に戻ってきた場合、つまりステップS27の処理を実行しても異常が解消されない場合は、エラー通知を実行するとよい。
【0083】
一方、ステップS21で“YES”のときは、ステップS29に進む。ステップS29では、モータ電流値は、第1電流値以上であるか否かを判断する。すなわち、制御部は、電流値検出部から入力される検出データに基づき、モータ電流値が第1電流値以上に達したかどうかを判断する。ステップS21で“YES”のとき、つまり弁体130の位置が全閉区間内であって、かつモータ電流値が第1電流値以上になった場合は、ステップS31に進む。ステップS31では、正常な全閉状態であると判定してモータ38の駆動を停止し、そのままこの全閉判定処理の全体処理を終了する。
【0084】
一方、ステップS21で“NO”のときは、ステップS33に進む。ステップS33では、弁体130の位置が全閉区間の下限位置に到達したか否かを判断する。ステップS33で“NO”のときは、ステップS29に戻る。一方、ステップS33で“YES”のとき、つまり弁体130の位置が全閉区間の下限位置に到達しても、モータ電流値が第1電流値に達しない場合は、ステップS35に進む。
【0085】
ステップS35では、異常が発生していると判定してモータ38の駆動を停止し、ステップS37でエラー通知を実行する。たとえば、制御部は、ユーザが所有する遠隔操作端末に対して、エラーが発生していることを示すメッセージを送信する。ステップS37の処理が終了すると、この全閉判定処理の全体処理を終了する。
【0086】
以上のように、この実施例によれば、弁体130の全閉位置を基準とした全閉区間を予め設定しておき、弁体130の全閉動作を行うときには、電流値検出部によって検出されたモータ電流値が予め設定した第1電流値以上となり、かつ、位置検出部によって検出された弁体130の位置が予め設定された全閉区間内であるときに、弁体130が正常な全閉状態であると判定するので、弁体130が全閉状態にあることを正確に判定できる。したがって、弁体130による止水を確実に行うことができる。
【0087】
なお、上述の実施例では、アクチュエータ10を取り付ける送水制御装置として、R&R方式のアルファルファ形の給水バルブ(給水装置104)を例示しているが、これに限定されない。アクチュエータ10は、玉形弁、仕切弁および水門などの各種の送水制御装置に取り付けることができる。
【0088】
一例として、
図11には、内ねじ弁棒非上昇式の仕切弁150に対してアクチュエータ10を取り付けた様子を示す。簡単に説明すると、
図11に示す仕切弁150は、本管部と立上部とからなる弁箱152を備える。この弁箱152内には、弁棒154の回転に伴い上下動することによって弁箱152の本管部を開閉する弁体156が設けられる。また、弁箱152の本管部と弁体156との当接部分には、本管部の周方向に沿って延びる止水ゴム158が設けられる。
【0089】
このような仕切弁150にアクチュエータ10を取り付けるためのアダプタ200としては、上述のアダプタ60と同様のもの、すなわち、円筒部202と、円筒部202の上端部から外方に突出する鍔状の第1接続部204と、円筒部202の下端部から内方に突出し、その中央部に通孔する円環板状の第2接続部206とを含むものが用いられる。そして、仕切弁150の弁棒154の上端部に対して、アクチュエータ10の回転軸50が回転不可に連結される。アクチュエータ10の回転軸50から弁棒154に対して回転力が加えられると、弁棒154と弁体156との送りねじ機構によって弁体156が上下動して、弁箱152の本管部が開閉される。
【0090】
なお、
図11では、弁棒154が回転しても上下動しないタイプの仕切弁150を示しているが、仕切弁は、弁棒の回転に伴って弁棒自体も上下動するタイプ(弁棒上昇式)のものであってもよい。
【0091】
また、アクチュエータ10を取り付ける送水制御装置は、圃場102からの排水を制御するための排水装置であってもよく、アクチュエータ10は、圃場用排水システムに用いることもできるし、圃場用給排水システムに用いることもできる。さらに、アクチュエータ10は、圃場用以外の送水制御装置に取り付けることもできる。さらにまた、アクチュエータ10は、送水制御装置に後付けで取り付けられるものに限定されず、予め送水制御装置に一体的に組み込まれたものであってもよい。したがって、
図9に示す学習方法および
図10に示す全閉判定方法は、弁体の変位により送水を制御する送水制御装置の開閉制御を行うものであれば、各種の電動アクチュエータに適用可能である。
【0092】
なお、上述の実施例では、メインギア40の軸部40aの内周面にキー溝40cを形成し、回転軸50の外周面に滑りキー50bを形成したが、この配置は逆であってもよい。つまり、メインギア40の軸部40aの内周面に滑りキーを形成し、回転軸50の外周面にキー溝を形成してもよい。
【0093】
また、上述の実施例では、1つのキー溝(第1キー溝)40cと滑りキー(第1滑りキー)50bを形成するだけであったが、これと反対側の周方向位置に、もう1つのキー溝(第2キー溝)と滑りキー(第2滑りキー)を形成するようにしてもよい。すなわち、メインギア40および回転軸50は、軸を中心として対称位置に配置される2つの滑りキー構造を有していてもよい。このようにメインギア40および回転軸50が2つの滑りキー構造を有することで、製造コストは少し高くなるが、回転軸50の回転バランスがよくなる。したがって、回転軸50がより安定的に作動(回転しながら上下動)できるようになる。
【0094】
さらに、上述の実施例では、小型化を図りつつ、様々な形式の送水制御装置に適用できるように、メインギア40と共に回転しかつメインギア40の軸部40aに対して軸方向に摺動可能な回転軸50を、メインギア40を貫通するように配置したが、これに限定されない。回転軸50は、メインギア40と共に回転可能であれば、必ずしもメインギア40を貫通するように設けられる必要はない。また、回転軸50が上下方向の動きを吸収する必要がない場合は、回転軸50は、必ずしもメインギア40の軸方向に摺動可能である必要はない。
【0095】
さらにまた、上述の実施例では、メインギア40のギア部40bの下面と第1軸受44の上面との間に、第1スラストベアリング52を設け、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間に、第2スラストベアリング54を設けたが、これに限定されない。モータ38の負荷が最大となるのは、締め付け時(閉動作の最終)であり、この締め付け時に有効的に作用するのは第1スラストベアリング52である。したがって、第2スラストベアリング54は必ずしも設けられる必要はない。第2スラストベアリング54を設けない場合、たとえば、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間には、滑り軸受を設けておくこともできる。ただし、第1スラストベアリング52と共に第2スラストベアリング54を設けた方が、回転軸50がより安定的に作動(回転しながら上下動)できる。
【0096】
また、上述の実施例では、商用電源が確保し難い圃場102においてもアクチュエータ10を適用できるように、太陽電池パネル28および蓄電池36を備えるようにしたが、商用電源を使用できる環境に設置される場合には、必ずしも太陽電池パネル28および蓄電池36を備える必要はない。
【0097】
さらに、上述の実施例では、本体ケース20の天壁24上面に、フレーム30aと支持板30bとを備える保持体30を介して、太陽電池パネル28を取り付けるようにしたが、本体ケース20に太陽電池パネル28を取り付けるための保持体30の形状ないし構成は適宜変更可能である。
【0098】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。