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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194170(P2017-194170A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】パイロット式電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/42 20060101AFI20170929BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20170929BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
   F16K31/42 B
   F16K27/02
   F16K31/06 305A
   F16K31/06 305K
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-152223(P2017-152223)
(22)【出願日】2017年8月7日
(62)【分割の表示】特願2014-159780(P2014-159780)の分割
【原出願日】2014年8月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末松 修
(72)【発明者】
【氏名】岸 亮
【テーマコード(参考)】
3H051
3H056
3H106
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB01
3H051BB10
3H051CC06
3H051CC15
3H051FF01
3H051FF07
3H056AA01
3H056BB32
3H056BB33
3H056CA08
3H056CB03
3H056CC12
3H056CD04
3H056CD06
3H056CE01
3H056DD02
3H056GG02
3H056GG12
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD05
3H106EE34
3H106EE35
3H106GC27
3H106JJ03
3H106JJ04
3H106KK04
(57)【要約】
【課題】厚みが10mm程度のコンパクトなパイロット式電磁弁を提供すること。
【解決手段】流路ブロック体3が、一対の広い対向面を備える直方体形状であって、一対の広い対向面を除く4面のうち、第1面に、パイロット弁部2が取り付けられ、第2面に、入力ポート49と出力ポート50が形成されており、流路ブロック体3は、ブロック本体40と平板状の平蓋体30とを備え、ブロック本体40は、略円筒形状の弁室43と、弁室43の第1底面の中央に形成された弁座55と、弁座55の中心に形成され、第2底面を備える弁孔室41と、入力ポート49と弁室43とを連通する入力流路44と、弁孔室41と出力ポート50とを連通する出力流路42を有すること、入力流路44が、弁室43に対して接線方向に形成されていること、出力流路42が、第2底面の弁孔室41を挟んで入力流路44と反対側に位置する端部に連通していること、を特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定鉄心及び可動鉄心を有するパイロット弁部と、弁体が当接離間する弁座が形成された流路ブロック体と、を備えるパイロット式電磁弁において、
前記流路ブロック体が、一対の広い対向面を備える直方体形状であって、前記一対の広い対向面を除く4面のうち、第1面に、前記パイロット弁部が取り付けられ、第2面に、入力ポートと出力ポートが形成されていること、
前記弁体はダイアフラム弁であって、前記一対の広い対向面に平行に配置されていること、
前記流路ブロック体は、ブロック本体と平板状の平蓋体とを備えていること、
前記ブロック本体は、
前記ダイアフラム弁により隔離されている略円筒形状の弁室と、
前記弁室に対し、前記平蓋体が位置する側と反対側に位置する第1底面の中央に形成された弁座と、
前記弁座の中心に形成され、前記平蓋体が位置する側の反対側に第2底面を備える弁孔室と、
前記入力ポートと前記弁室とを連通する入力流路と、
前記弁孔室と前記出力ポートとを連通する出力流路を有すること、
前記入力流路が、前記弁室に対して接線方向に形成されていること、
前記出力流路が、前記第2底面の前記弁孔室を挟んで前記入力流路と反対側に位置する端部に連通していること、
を特徴とするパイロット式電磁弁。
【請求項2】
請求項1に記載するパイロット式電磁弁において、
前記出力流路は、偏平断面形状をなし、
前記出力流路と直交する面であって、前記弁孔室の中心軸を通る面で切ったときに、前記出力流路と前記弁孔室は、重なり合って形成されていること、
を特徴とするパイロット式電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定鉄心及び可動鉄心を有するパイロット弁部と、弁体が当接離間する弁座が形成された流路ブロック体と、を備えるパイロット式電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を制御するパイロット式電磁弁は、例えば、工作機械、溶接機械、溶断機械、輸送機械、空調設備等の一般産業機械の内部に使用されている。
従来のパイロット式電磁弁には、主弁体にダイアフラム弁を用いて、ダイアフラム弁の背室の圧力を電磁弁で制御することにより、ダイアフラム弁の開閉を行わせるものがある。一般的にダイアフラム弁を水平に配置しているため、パイロット式電磁弁の設置スペースが大きくなる問題があった。
産業界では、厚みが10mm程度で複数個を並列配置可能なパイロット式電磁弁が要望されていたが、実現することが困難であった。
一方、本発明者は、特許文献1において、4個のダイアフラム弁体を垂直に配置して、全体の設置スペースをコンパクト化する発明を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5546034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のダイアフラム弁を水平に配置するパイロット式電磁弁に対して、特許文献1のダイアフラム弁を垂直に配置するだけでは、コンパクトなパイロット式電磁弁を完成することは困難であった。
その理由は、特許文献1の技術では、2対のパイロット式電磁弁により挟まれた本体ブロック、及びパイロット式電磁弁の蓋体とが、大きなブロックであり、内部に流路を形成するのが容易であったが、本体ブロックと蓋体との合計厚みを10mm程度とすると、本体ブロック及び蓋体の厚みが薄いため、内部流路を形成することが困難であったからである。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、厚みが10mm程度のコンパクトなパイロット式電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のパイロット式電磁弁は、次のような構成を有している。
(1)固定鉄心及び可動鉄心を有するパイロット弁部と、弁体が当接離間する弁座が形成された流路ブロック体と、を備えるパイロット式電磁弁において、前記流路ブロック体が、一対の広い対向面を備える直方体形状であって、前記一対の広い対向面を除く4面のうち、第1面に、前記パイロット弁部が取り付けられ、第2面に、入力ポートと出力ポートが形成されていること、前記弁体はダイアフラム弁であって、前記一対の広い対向面に平行に配置されていること、前記流路ブロック体は、ブロック本体と平板状の平蓋体とを備えていること、前記ブロック本体は、前記ダイアフラム弁により隔離されている略円筒形状の弁室と、前記弁室に対し、前記平蓋体が位置する側と反対側に位置する第1底面の中央に形成された弁座と、前記弁座の中心に形成され、前記平蓋体が位置する側の反対側に第2底面を備える弁孔室と、前記入力ポートと前記弁室とを連通する入力流路と、前記弁孔室と前記出力ポートとを連通する出力流路を有すること、前記入力流路が、前記弁室に対して接線方向に形成されていること、前記出力流路が、前記第2底面の前記弁孔室を挟んで前記入力流路と反対側に位置する端部に連通していること、を特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載するパイロット式電磁弁において、前記出力流路は、偏平断面形状をなし、前記出力流路と直交する面であって、前記弁孔室の中心軸を通る面で切ったときに、前記出力流路と前記弁孔室は、重なり合って形成されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパイロット式電磁弁は、次のような作用、効果を奏する。
(1)固定鉄心及び可動鉄心を有するパイロット弁部と、弁体が当接離間する弁座が形成された流路ブロック体と、を備えるパイロット式電磁弁において、前記流路ブロック体が、一対の広い対向面を備える直方体形状であって、前記一対の広い対向面を除く4面のうち、第1面に、前記パイロット弁部が取り付けられ、第2面に、入力ポートと出力ポートが形成されていること、前記弁体はダイアフラム弁であって、前記一対の広い対向面に平行に配置されていること、前記流路ブロック体は、ブロック本体と平板状の平蓋体とを備えていること、前記ブロック本体は、前記ダイアフラム弁により隔離されている略円筒形状の弁室と、前記弁室に対し、前記平蓋体が位置する側と反対側に位置する第1底面の中央に形成された弁座と、前記弁座の中心に形成され、前記平蓋体が位置する側の反対側に第2底面を備える弁孔室と、前記入力ポートと前記弁室とを連通する入力流路と、前記弁孔室と前記出力ポートとを連通する出力流路を有すること、前記入力流路が、前記弁室に対して接線方向に形成されていること、前記出力流路が、前記第2底面の前記弁孔室を挟んで前記入力流路と反対側に位置する端部に連通していること、を特徴とするので、ブロック本体に必要な流路を形成することができるため、ブロック本体と平蓋体とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
また、パイロット式電磁弁を小型化したことにより、直動弁しか配置できなかったスペースに、パイロット式電磁弁を配置できるため、大流量に対応可能となる。
また、本発明のパイロット式電磁弁は、低圧で大容量が得られるため、従来高圧をかけていた装置の圧力全体を下げることができ、加圧ポンプ等の小型化が可能となり、装置全体の消費電力を低減することができる。
【0009】
(2)(1)に記載するパイロット式電磁弁において、前記出力流路は、偏平断面形状をなし、前記出力流路と直交する面であって、前記弁孔室の中心軸を通る面で切ったときに、前記出力流路と前記弁孔室は、重なり合って形成されていること、を特徴とするので、出力流路の断面積を確保しつつ、ブロック本体の厚みを薄くすることができるため、ブロック本体と平蓋体とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態であるパイロット式電磁弁の正面図である。
図2図1の右側面図である。
図3図1の底面図である。
図4図3のBB断面図である。
図5図1のAA断面図である。
図6図1のCC断面図である。
図7】パイロット弁が閉じた状態におけるパイロット弁部2の構造を示す断面図である。
図8】パイロット弁が開いた状態におけるパイロット弁部2の構造を示す断面図である。
図9】第2実施の形態のパイロット式電磁弁の正面図及び底面図である。
図10】第3実施の形態のパイロット式電磁弁の正面図及び底面図である。
図11】第4実施の形態のパイロット式電磁弁の正面図及び底面図である。
図12】第5実施の形態のパイロット式電磁弁の正面図及び右側面図である。
図13】第6実施の形態のパイロット式電磁弁の正面図である。
図14】第7実施の形態のパイロット式電磁弁の正面図である。
図15】第8実施の形態のパイロット式電磁弁マニホールドの正面図である。
図16図15の左側面図である。
図17図15の底面図である。
図18】第8実施の形態のパイロット式電磁弁マニホールド回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化したパイロット式電磁弁1について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に、パイロット式電磁弁1の正面図を示す。図2に、図1の右側面図を示す。図3に、図1の底面図を示す。図4に、図3のBB断面図を示す。図5に、図1のAA断面図を示す。図6に、図1のCC断面図を示す。
図1に示すように、パイロット式電磁弁1は、パイロット弁部2と、流路ブロック体3により構成されている。
【0012】
次に、流路ブロック体3の構造について、図4図5を用いて説明する。
図5に示すように、流路ブロック体3は、ブロック本体40と平蓋体30を有する。先に、ブロック本体40の構造を説明する。ブロック本体40の中心に、略円筒形状の凹部である弁室43が形成されている。
弁室43の中央底面には、弁座55が形成されている。弁座55の中心には、弁孔が形成され、弁孔は底面を備え、弁孔室41を形成している。弁孔室41の底面左端には、スリット形状の出力流路42が連通している。図5に示すように、出力流路42の一端は、ブロック本体40の端面に開口している。
【0013】
図4に示すように、弁室43の右端には、断面が正方形形状の入力流路44が連通している。入力流路44の一端は、ブロック本体40の端面に開口している。入力流路44の他端には、NO連通路45が開口されている。NO連通路45の他端は、ブロック本体40の上端面に開口している。
ブロック本体40の下端面には、取付板56が、2本のネジ72により固設されている。取付板56には、入力流路44と連通する入力ポート49、出力流路42と連通する出力ポート50が形成されている。取付板56の両端部には、取付ネジ用孔51、52が形成されている。パイロット式電磁弁1は、入力ポート49及び出力ポート50に対応する各ポートが形成されたマニホールドブロックに対して、取付ネジ用孔51、52を用いて取りつけられる。
図4に示すように、ブロック本体40の右上端面の開口と、右側面上部の開口とを連通する大気流路47が形成されている。
【0014】
次に、平蓋体30の構造、及びダイアフラム弁体60の取り付け構造について説明する。図5に示すように、平蓋体30の内側面の中心部には、凹部35が形成されている。凹部35が、ダイアフラム弁体60の背室を構成している。
ダイアフラム弁体60は、円板状で外周部が薄く中心部に厚みのあるダイアフラム61と、ダイアフラム61の中心部に一体に成形された樹脂本体62により構成されている。ダイアフラム61の外周部が、ブロック本体40と平蓋体30とで挟持されて保持されると共に、シールされている。ダイアフラム弁体60は、弁室43と、凹部35とを隔離している。樹脂本体62の上面中央部には、凹部が形成され、その凹部にコイルバネ63が取り付けられている。コイルバネ63は、ダイアフラム弁体60が弁座55に当接する方向に付勢している。図5の状態では、ダイアフラム弁体60は、弁座55に当接した状態である。後述するが、コイルバネ63の付勢力は大きくなく、ダイアフラム弁体60が弁座55に当接しているのは、背室である凹部35に供給される圧縮空気の力とコイルバネ63の合力による。
【0015】
図5に示すように、平蓋体30の凹部35の側面(一部底面)には、平蓋体連通路32を形成するための貫通路の一端が開口している。平蓋体連通路32を形成するための貫通路の他端は、平蓋体30の側面に開口している。すなわち、その貫通路は、平蓋体30の側面から凹部35の内壁に向けて開口されている。平蓋体30の側面の開口には、金属ボール33が圧入され、開口を塞いでいる。平蓋体30の厚みは、3mm程度であり、平蓋体連通路32の直径は、1mm程度である。
図5に示すように、ブロック本体40の上面の右端には、遮蔽壁58が形成されており、平蓋体連通路32の金属ボール33が挿入されている開口を遮蔽している。これにより、金属ボール33の圧入状態が緩んでも金属ボール33は開口から飛び出ることがなく、シール性が担保される。
【0016】
平蓋体30の平蓋体連通路32の途中の下面には、連通孔34が開口している。連通孔34には、ブロック本体40の突出部が挿入され接続されている。突出部には、連通路57が形成されている。連通路57は、ブロック本体40に形成されたコモン連通路46の一端と連通している。コモン連通路46の他端は、ブロック本体40の上端面に開口している。連通路57は、ダイアフラム61に一体に成形された2つのシールリング61a、61bのうち、シールリング61bによりシールされている。
図1に示すように、平蓋体30は、3本のネジ71により、ブロック本体40のネジ孔53にネジ止めされている。平蓋体30が、ブロック本体40にネジ止めされた状態では、図2に示すように、流路ブロック体3の厚みは、10mmである。ここで、パイロット弁部2の厚みも、10mmである。
【0017】
次に、パイロット弁部2の構造を説明する。図7にパイロット弁部2の構造を示す。図7は、パイロット弁が閉じた状態を示している。
左側に、中空状のコイル17が配置されている。コイル17の中空部の左端に、固定鉄心22が固設されている。コイル17の中空部の右端には、可動鉄心18が、直線方向に移動可能に保持されている。可動鉄心18の右端には、ゴム製のパイロット弁体19が付設されている。パイロット弁体19は、弁座20に当接している。弁座20は、円錐状の凸部の頂点に形成されている。可動鉄心18には、鍔部が形成され、鍔部に付勢バネ21が取り付けられている。付勢バネ21は、パイロット弁体19が弁座20に当接する方向へ、可動鉄心18を付勢している。図7では、コイル17に電流が流れていないので、パイロット弁体19は、付勢バネ21の付勢力により弁座20に当接している。
【0018】
パイロット弁室16は、コモン流路14、及びNO流路13に連通している。すなわち、コモン流路14とNO流路13とは、常に連通する状態にある。弁座20の中心にある弁孔は、NC流路15に連通している。
パイロット弁部2のコモン流路14は、流路ブロック体3のコモン連通路46を介して連通路57と連通している。同様に、NO流路13は、NO連通路45と連通している。同様に、NC流路15は、大気流路47と連通している。
一方、パイロット弁部2の上端面には、2本の配線11、12が接続されている。配線11、12は、コイル17に接続されている。
【0019】
次に、パイロット式電磁弁1の作用を説明する。
コイル17に通電されていない状態について説明する。図7に示すように、パイロット弁体19は、付勢バネ21により付勢され、弁座20に当接している。したがって、コモン流路14とNC流路15とは遮断されている。
一方、入力流路44には、例えば、常に圧縮空気が供給されているため、NO連通路45、NO流路13を介して、コモン流路14に圧縮空気が供給されている。さらに、圧縮空気は、コモン連通路46、連通路57、平蓋体連通路32を介して、背室である凹部35に供給されている。
【0020】
ダイアフラム弁体60は、圧縮空気の力を受けない状態では、弁座55に当接しない位置にあるが、コイルバネ63の力は大きくないので、その力のみでは、ダイアフラム弁体60に必要な閉止力が得られていない。
凹部35に圧縮空気が供給されると、ダイアフラム弁体60は、弁座55に当接する方向に力を受ける。この力とコイルバネ63の合力により、ダイアフラム弁体60は、弁座55に対して必要な閉止力が得られるため、弁室43と弁孔室41は遮断される。この状態で、パイロット式電磁弁1は、閉弁状態にある。
【0021】
次に、コイル17に通電した状態について説明する。図8において、コイル17に通電された場合を示す。
図8に示すように、可動鉄心18は、磁石化した固定鉄心22に吸引され付勢バネ21に抗して、固定鉄心22に当接している。これにより、パイロット弁体19は、弁座20から離間している。したがって、コモン流路14とNC流路15とは連通している。
一方、入力流路44には、常に例えば、圧縮空気が供給されているため、NO連通路45、NO流路13を介して、コモン流路14に圧縮空気が供給されている。しかし、コモン流路14とNC流路15が連通すると、NC流路15が連通する大気流路47が大気に開放されているため、圧縮空気が大気に放出され、背室である凹部35の空気圧は瞬時に低下する。
【0022】
ダイアフラム弁体60は、圧縮空気の力を受けない状態では、弁座55に当接しない位置にあるが、コイルバネ63の力は大きくないので、その力のみでは、ダイアフラム弁体60は、弁座55に必要な閉止力が得られていない。
凹部35から圧縮空気が放出されると、ダイアフラム弁体60は、ダイアフラム弁体60の復元力により、弁座55から離間する方向に変形する。さらに凹部35の圧力が放出されることにより、弁室43の圧力の方が大きくなるので、ダイアフラム弁体60は、弁座55から離間するのである。これにより、弁室43と弁孔室41は連通される。この状態で、パイロット式電磁弁1は、開弁状態にある。
【0023】
以上、詳細に説明したように、本実施の形態のパイロット式電磁弁1によれば、
(1)固定鉄心22及び可動鉄心18を有するパイロット弁部2と、ダイアフラム弁体60が当接離間する弁座55が形成された流路ブロック体3と、を備えるパイロット式電磁弁1であって、流路ブロック体3が、一対の広い対向面を備える直方体形状であって、一対の広い対向面を除く4面のうち、第1面に、パイロット弁部2が取り付けられ、第2面に、入力ポート49または出力ポート50の少なくとも一方が形成されていること、ダイアフラム弁体60はダイアフラム弁であって、一対の広い対向面に平行に配置されていること、流路ブロック体3は、ブロック本体40と平板状の平蓋体30とを備え、平蓋体30は、ダイアフラム弁の背室を構成する凹部35を備えること、平蓋体30には、凹部35とパイロット弁部のコモン流路14を連通する平蓋体連通路32が形成されていること、を特徴とするので、薄い平蓋体30に凹部35を利用して平蓋体連通路32を形成して、凹部35とパイロット弁部のコモン流路14とを接続できるため、ブロック本体40と平蓋体30とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
また、パイロット式電磁弁1を小型化したことにより、従来直動弁しか配置できなかったスペースに、パイロット式電磁弁1を配置できるため、大流量に対応可能となる。
また、パイロット式電磁弁1は、低圧で大容量が得られるため、従来高圧をかけていた装置の圧力全体を下げることができ、加圧ポンプ等の小型化が可能となり、装置全体の消費電力を低減することができる。
【0024】
(2)(1)に記載するパイロット式電磁弁1において、平蓋体連通路32は、平蓋体30の側面から凹部35の内壁に向けて開口された貫通路と、平蓋体30の内面から貫通路に向けて開口された連通孔34と、貫通路の側面側を塞ぐ金属ボール33を有すること、流路ブロック体3が、貫通路の金属ボール33を遮蔽する遮蔽壁58を有すること、を特徴とするので、3mm程度の薄い平蓋体30に平蓋体連通路32を確実かつ容易に形成することができるため、ブロック本体40と平蓋体30とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
【0025】
(3)(1)または(2)に記載するパイロット式電磁弁1において、ダイアフラム弁体60が、弁室43と凹部35を隔離していること、ブロック本体40には、弁室43と入力ポート49とを連通する入力流路44と、弁座55の開口である弁孔と出力ポート50とを連通する出力流路42が形成されていること、を特徴とするので、ブロック本体40に必要な流路を形成することができるため、ブロック本体40と平蓋体30とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
【0026】
(4)(3)に記載するパイロット式電磁弁1において、弁孔が弁孔室41を構成し、出力流路42が、弁孔室41の底面側にスリット形状で連通していること、を特徴とするので、出力流路42の断面積を確保しつつ、ブロック本体40の厚みを薄くすることができるため、ブロック本体40と平蓋体30とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
(5)(1)乃至(4)に記載するいずれか1つのパイロット式電磁弁1において、 第2面に入力ポート49と出力ポート50が形成されていること、を特徴とするので、取付面に入力ポート49と出力ポート50を配置できるため、取付スペースを小さくすることができる。
【0027】
(6)固定鉄心22及び可動鉄心18を有するパイロット弁部2と、ダイアフラム弁体60が当接離間する弁座55が形成された流路ブロック体3と、を備えるパイロット式電磁弁1であって、流路ブロック体3が、一対の広い対向面を備える直方体形状であって、一対の広い対向面を除く4面のうち、第1面に、パイロット弁部2が取り付けられ、第2面に、入力ポート49と出力ポート50が形成されていること、ダイアフラム弁体60はダイアフラム弁であって、一対の広い対向面に平行に配置されていること、流路ブロック体3は、ブロック本体40と平板状の平蓋体30とを備えていること、ブロック本体40は、ダイアフラム弁により隔離されている略円筒形状の弁室43と、弁室43に対し、平蓋体30が位置する側と反対側に位置する第1底面の中央に形成された弁座55と、弁座55の中心に形成され、平蓋体30が位置する側と反対側に位置する第2底面を備える弁孔室41と、入力ポート49と弁室43とを連通する入力流路44と、弁孔室41と出力ポート50とを連通する出力流路42を有すること、入力流路44が、弁室43に対して接線方向に形成されていること、出力流路42が、第2底面の弁孔室41を挟んで入力流路44と反対側に位置する端部に連通していること、を特徴とするので、ブロック本体40に必要な流路を形成することができるため、ブロック本体40と平蓋体30とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
【0028】
(7)(6)に記載するパイロット式電磁弁1において、出力流路42は、偏平断面形状をなし、出力流路42と直交する面であって、弁孔室41の中心軸を通る面で切ったときに、出力流路42と弁孔室41は、重なり合って形成されていること、を特徴とするので、出力流路42の断面積を確保しつつ、ブロック本体40の厚みを薄くすることができるため、ブロック本体40と平蓋体30とを重ね合わせた厚みを10mm程度とすることができる。
【0029】
次に、本発明の第2実施の形態のパイロット式電磁弁1について説明する。第2実施の形態のパイロット式電磁弁1の構成は、ほとんどが第1実施の形態のパイロット式電磁弁1と同じなので、同じ内容の構成は、同一の番号を付して説明を割愛し、相違する点のみ図面を用いて詳細に説明する。
図9(a)に、第2実施の形態のパイロット式電磁弁1の正面図を示す。(b)に、(a)の底面図を示す。第1実施の形態と相違しているのは、入力ポート、出力ポートにおける接続構造だけなので、その部分についてのみ説明する。
第1実施の形態では、マニホールドブロックに直接取り付ける場合を想定していたが、本実施の形態では、ワンタッチ継手81、82を流路ブロック体3に付設している。これにより、使用者は、チューブをワンタッチ継手81、82に接続して使用することができる。
【0030】
次に、本発明の第3実施の形態のパイロット式電磁弁1について説明する。第3実施の形態についても、第2実施の形態と同様である。
図10(a)に、第3実施の形態のパイロット式電磁弁1の正面図を示す。(b)に、(a)の底面図を示す。第1実施の形態と相違しているのは、入力ポート、出力ポートの位置だけなので、その部分についてのみ説明する。
本実施の形態では、入力ポート84と出力ポート83とは共に、パイロット弁部2が取り付けられている面と直交する面に付設されている。この構造にすれば、マニホールドを含めた全体高さを低くできる利点がある。
【0031】
次に、本発明の第4実施の形態のパイロット式電磁弁1について説明する。
図11(a)に、第4実施の形態のパイロット式電磁弁1を示す。(b)に、(a)の底面図を示す。第3実施の形態と相違しているのは、取付板85の形状だけなので、その部分についてのみ説明する。
本実施の形態では、取付板85の取付部88、89が、互いに反対方向に突出している。取付部88、89には、各々取付ネジ用孔90が形成されている。入力ポート86と出力ポート87とは共に、パイロット弁部2が取り付けられている面と直交する面に付設されている。この構造にすれば、マニホールドを含めた全体高さを低くできる利点がある同時に、図11の左右方向の長さを短くすることができる利点がある。
【0032】
次に、本発明の第5実施の形態のパイロット式電磁弁1について説明する。
図12(a)に、第5実施の形態のパイロット式電磁弁1の正面図を示す。(b)に、(a)の右側面図を示す。第4実施の形態と相違しているのは、入力ポート、出力ポートにおける接続構造だけなので、その部分についてのみ説明する。
第4実施の形態では、マニホールドブロックに直接取り付ける場合を想定していたが、本実施の形態では、ワンタッチ継手91、92を流路ブロック体3に付設している。これにより、使用者は、チューブをワンタッチ継手91、92に接続して使用することができる。
【0033】
次に、本発明の第6実施の形態のパイロット式電磁弁1について説明する。
図13に、第6実施の形態のパイロット式電磁弁1を示す。第2実施の形態と相違しているのは、入力ポート、出力ポートの位置だけなので、その部分についてのみ説明する。
第6実施の形態では、入力用ワンタッチ継手94をパイロット弁部2の取付面と直交する面に付設し、出力用ワンタッチ継手93をパイロット弁部2の取付面に対向する面に付設している。
本実施の形態によれば、入力用ワンタッチ継手94の取付面と、出力用ワンタッチ継手93の取付面とが直交する面であること、を特徴とするので、他の機器との接続が容易となると共に、配管を分散できるため、配管が容易となり、メンテナンスのときの使い勝手を良くすることができる。
【0034】
次に、本発明の第7実施の形態のパイロット式電磁弁1について説明する。
図14に、第7実施の形態のパイロット式電磁弁1を示す。第6実施の形態と相違しているのは、入力ポート、出力ポートの位置だけなので、その部分についてのみ説明する。
第7実施の形態では、入力用ワンタッチ継手96をパイロット弁部2の取付面と直交する面に付設し、出力用ワンタッチ継手95を入力用ワンタッチ継手96の取付面に対向する面に付設している。
本実施の形態によれば、入力用ワンタッチ継手96の取付面と、出力用ワンタッチ継手95の取付面とが対向する面であること、を特徴とするので、残りの一面を取付面とすれば、従来のパイロット式電磁弁と同じに入力ポートと出力ポートを直線状に配置することができる。
【0035】
次に、本発明の第8実施の形態のパイロット式電磁弁1について説明する。第8実施の形態は、第3実施の形態のパイロット式電磁弁1を4個(1A、1B、1C、1D)用いて、マニホールドブロック101に接続したものである。
図15に、第8実施の形態の正面図を示し、図16に、図15の左側面図を示し、図17に、図15の底面図を示す。また、図18に、第8実施の形態の回路図を示す。
図18に示すように、入力ポート102から入った吸気は、2つに分岐されて、パイロット式電磁弁1Dとパイロット式電磁弁1Bに入力する。パイロット式電磁弁1Dの出力は、2つに分岐されて、パイロット式電磁弁1Cの入力ポート、第3出力ポート105に接続する。パイロット式電磁弁1Bの出力は、2つに分岐されて、パイロット式電磁弁1Aの入力ポート、第2出力ポート104に接続する。
【0036】
図15に示すように、マニホールドブロック101の上面には、上からパイロット式電磁弁1A、パイロット式電磁弁1B、パイロット式電磁弁1C、及びパイロット式電磁弁1Dが取り付けられている。
マニホールドブロック101の下側面には、入力ポート102、第1出力ポート103のワンタッチ継手が取り付けられている。
マニホールドブロック101の左側面には、第2出力ポート104、第3出力ポート105のワンタッチ継手が取り付けられている。
本実施の形態によれば、各パイロット式電磁弁1A、1B、1C、1Dの厚みが10mmと薄いので、マニホールド化したときに全体をコンパクトにすることができる。
【0037】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 パイロット式電磁弁
2 パイロット弁部
3 流路ブロック体
14 コモン流路
18 可動鉄心
22 固定鉄心
30 平蓋体
32 平蓋体連通路
33 金属ボール
34 連通孔
35 凹部
40 ブロック本体
41 弁孔室
42 出力流路
43 弁室
44 入力流路
55 弁座
58 遮蔽壁
60 ダイアフラム弁体
図1
図2
図3
図4
図5
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