特開2017-194249(P2017-194249A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194249(P2017-194249A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/053 20060101AFI20170929BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20170929BHJP
【FI】
   F24F11/053 G
   F24F11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-86191(P2016-86191)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】山本 泉
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA02
3L260BA26
3L260CA12
3L260CB62
3L260CB63
3L260DA11
3L260EA12
3L260FA03
3L260FA07
3L260FC04
3L260FC05
3L260FC15
(57)【要約】
【課題】
空気調和機が起床時刻に向けて室内の温度を徐々に上げていく際、空気調和機は冷房運転を停止させることがある。冷房運転が停止すると、例えば湿度の上昇を防止するためにメインファンが停止することがある。メインファンが停止すると、室内機から空気が吹き出されず、室内の空気が循環されない。そのため、床面付近の空気が第2目標温度にまで上昇せず、ユーザーが目覚めやすい状態にならないことがある。
【解決手段】
そこで、本発明は、冷房運転時におやすみモードが設定された場合、予め設定した起床時刻より所定時間前になった時、サイドファン制御手段は、サイドファンを駆動する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内熱交換器と、
前記室内熱交換器を通過させた調和空気を送風するメインファンを備えた本体ユニットと、
熱交換器を通過させない室内空気を送風するサイドファンを備えたファンユニットと、
前記サイドファンの風向を上下左右方向に変更できるサイドファン風向変更手段と、
前記サイドファンを駆動するサイドファン制御手段と、
室内の温度を検出する温度センサとを備える室内機を有し、
就寝時に室温が就寝時前に設定された設定温度より低い第1目標温度になるように室温を下げて、予め設定した起床時刻より所定時間前から室温が前記第1目標温度よりも高い第2目標温度になるように室温を上げるおやすみモードを備える空気調和機であって、
冷房運転時におやすみモードが設定された場合、前記予め設定した起床時刻より所定時間前になった時、
前記サイドファン制御手段は、前記サイドファンを駆動することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機において、
冷房運転時におやすみモードが設定された場合、前記予め設定した起床時刻より所定時間前になった時、
前記サイドファン制御手段は、前記サイドファンの風量を微風にし、
前記サイドファン風向変更手段は、前記サイドファンの風向を室内の床方向に向けることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気調和機において、
冷房運転時におやすみモードが設定された場合、
前記サイドファン制御手段は、前記サイドファンの風量を微風にし、
その後、前記温度センサが検出した温度が前記第1目標温度に達した時、前記サイドファンを停止することを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷房運転時に睡眠に適した制御を行う空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機には、人が快適に睡眠できるように室内を空調する、「おやすみモード」と呼ばれる制御モードがある。この「おやすみモード」は、初めに冷房運転の設定温度よりも所定値だけ低い温度(第1目標温度)を目標温度として室温を第1目標温度にまで下げる。次に、室温が第1目標温度に達した後は、空気調和機は室温を一定に保つ。この空調制御により、空気調和機はユーザーを眠り易い状態にすることを目的としている。
【0003】
おやすみモードにおいて起床時間が設定されている場合、空気調和機は、ユーザーが設定した起床時刻よりも所定時間前から第1目標温度よりも高い温度(第2目標温度)を目標温度として室温を徐々に上げる。そのために、空気調和機は冷房運転を止めたり、送風量を小さくしたりして、起床時刻まで室温を上昇させる。この空調制御により、空気調和機はユーザーを目覚めやすい状態にすることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−92918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、空気調和機が起床時刻に向けて室内の温度を徐々に上げていく際、空気調和機は冷房運転を停止させることがある。冷房運転が停止すると、例えば湿度の上昇を防止するためにメインファンが停止することがある。メインファンが停止すると、空気調和機の室内機から空気が吹き出されず、室内の空気が循環されない。そのため、床面付近の空気の温度が第2目標温度にまで上昇せず、ユーザーが目覚めやすい状態にならないことがある。
【0006】
本発明は、床面付近の空気の温度が第2目標温度に上昇し、ユーザーが目覚めやすい状態になるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、室内熱交換器と、室内熱交換器を通過させた調和空気を送風するメインファンを備えた本体ユニットと、熱交換器を通過させない室内空気を送風するサイドファンを備えたファンユニットと、サイドファンの風向を上下左右方向に変更できるサイドファン風向変更手段と、サイドファンを駆動するサイドファン制御手段と、室内の温度を検出する温度センサとを備える室内機を有し、就寝時に室温が就寝時前に設定された設定温度より低い第1目標温度になるように室温を下げて、予め設定した起床時刻より所定時間前から室温が第1目標温度よりも高い第2目標温度になるように室温を上げるおやすみモードを備える空気調和機であって、冷房運転時におやすみモードが設定された場合、予め設定した起床時刻より所定時間前になった時、サイドファン制御手段は、サイドファンを駆動することを特徴とする。
【0008】
また、冷房運転時におやすみモードが設定された場合、予め設定した起床時刻より所定時間前になった時、サイドファン制御手段は、サイドファンの風量を微風にし、サイドファン風向変更手段は、サイドファンの風向を室内の床方向に向けることを特徴とする。
【0009】
また、冷房運転時におやすみモードが設定された場合、サイドファン制御手段は、サイドファンの風量を微風にし、その後、温度センサが検出した温度が目標温度に達した時、サイドファンを停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明の空気調和機により、床面付近の空気の温度を第2目標温度にまで上昇させ、ユーザーが目覚めやすい状態にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の空気調和機の室内機を示す概略図である。
図2】本実施形態の冷媒回路を示した概略図である。
図3】本実施形態の空気調和機のシステム構成図である。
図4】本実施形態のおやすみモードの運転を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる空気調和機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施例の空気調和機10の室内機100を示す図である。図2は、本実施例の空気調和機の冷媒回路400を示す図である。図3は、室内機100のうち一部の概略を示した構成図である。
【0014】
本実施例の空気調和機について、図1図2図3を基に説明する。空気調和機10は室内機100と室外機200と操作手段であるリモコン300を備える。室内機100は、本体ユニット110と、本体ユニット110の両側に右ファンユニット180と左ファンユニット190を備える。本体ユニット110は天面に空気が吸い込まれる吸込口111と、前面下部に空気が吹き出される吹出口112が配置される。また、本体ユニット110は内部に室内熱交換器120とメインファン130と温度センサ140を備える。メインファン130が駆動することで本体ユニット110にある吸込口111より吸込まれ室内熱交換器120で調和された調和空気は吹出口112より吹き出される。メインファン130はメインファン制御手段133により駆動され風量が調整される。また、温度センサ140は室内の温度を測定する。
【0015】
右ファンユニット180と左ファンユニット190は本体ユニット110の右側と左側に配置される。各ファンユニット180、190の前面には補助吹出口182、192があり、この補助吹出口182、192には吹き出される空気を左右方向に変えるサイドファン風向変更手段の一つである左右風向板185、195が配置されている。また、各ファンユニット180、190はサイドファン風向変更手段の一つである駆動部184、194によって水平軸線500回りでそれぞれ回転することで、補助吹出口182、192から吹き出される空気の風向が上下に変えられる。さらに、各ファンユニット180、190の内部にはサイドファン186、196がそれぞれ備えられ、サイドファン186、196が駆動することで、補助吸込口181、191より各ファンユニット180、190内に室内空気が吸込まれ、吸込まれた室内空気は各ファンユニット180、190の補助吹出口182、192より吹き出される。サイドファン186、196はサイドファン制御手段183、193により駆動され風量が調整される。
【0016】
室内機100には、上述した構成要素を含め室内機100内にある各構成要素を制御する制御部150が備えられ、上述の各構成要素間の信号の伝達および制御を行なっている。
【0017】
室外機200は、圧縮機210と、四方弁240と、室外熱交換器250と、室外ファン260と、膨張弁280を備え、冷媒配管で接続されている。
【0018】
リモコン300は、ユーザーが室内機100の運転モードを選択および設定するためのものであり、例えば就寝時に室温を下げて起床時に室温を上げるおやすみモードを設定することができる。
【0019】
空気調和機10が冷房運転を行なっている場合の冷媒回路400について以下に説明する。なお、冷房運転する際の四方弁240は、第1ポート240aと第4ポート240dが連通し、第2ポート240bと第3ポート240cが連通する。圧縮機210から吐出された高温高圧の冷媒は四方弁240を介して室外熱交換器250に流入する。室外熱交換器250に流入した冷媒は外気に放熱する。放熱した冷媒は膨張弁280に流入し、減圧される。減圧された冷媒は室内熱交換器120に流入する。室内熱交換器120に流入した冷媒は室内空気より吸熱する。吸熱した冷媒は四方弁240を介して圧縮機210に戻る。この時、冷媒によって冷却された調和空気はメインファン130と吹出口112に設けられる図示しない上下風向板により、室内の天井付近に向けて水平に吹き出され、室内の温度を下げている。右ファンユニット180と左ファンユニット190の両方のファンユニットは駆動され、サイドファン186、196の室内空気を下方に吹き出している。
【0020】
空気調和機10が暖房運転を行なっている場合の冷媒回路400について以下に説明する。なお、暖房運転する際の四方弁240は、第1ポート240aと第3ポート240cが連通し、第2ポート240bと第4ポート240dが連通する。圧縮機210から吐出された高温高圧の冷媒は四方弁240を介して室内熱交換器120に流入する。室内熱交換器120に流入した冷媒は室内空気に放熱する。放熱した冷媒は膨張弁280に流入し、減圧される。減圧された冷媒は室外熱交換器250に流入する。室外熱交換器250に流入した冷媒は外気より吸熱する。吸熱した冷媒は四方弁240を介して圧縮機210に戻る。この時、冷媒によって加熱された調和空気はメインファン130と吹出口112に設けられる図示しない上下風向板により、室内の床面付近に向けて吹き出され、室内の温度を上げている。右ファンユニット180と左ファンユニット190は駆動され、サイドファン186、196の室内空気を水平方向に吹き出している。
【0021】
次に、空気調和機10が冷房運転中に、ユーザーがおやすみモードを設定した場合について、図4のフローチャートを基に説明する。
【0022】
本実施例の空気調和機は、冷房運転時、メインファン130の風向を水平に、サイドファン186、196の風向を下方に向けている。冷房運転中に、ユーザーがリモコン300を操作しておやすみモードを選択する(S101)ことで、リモコン300が室内機100におやすみモードを設定する信号を送信する。信号を受信した室内機100の内部にある制御部150は、メインファン制御手段133を介して引き続きメインファン130を駆動させ、サイドファン制御手段183、193を介してサイドファン186、196の風量を「微風」にして駆動する(S102)。この「微風」は風速0.5〜1.5m/s程度である。制御部150はサイドファン186、196の風向をユーザーに向けるように駆動部184、194を制御する(S103)。次に、制御部150は、ユーザーが快適に就寝できる温度である第1目標温度を算出する(S104)。第1目標温度の算出方法としては、冷房運転時に設定された設定温度より予め実験などにより定めた所定値だけ温度を引いて算出する。例えば、冷房運転時の設定温度が28℃で所定値が2℃であった場合、第一目標温度は26℃になる。制御部150は第一目標温度で空調運転を実行する(S105)。なお、本実施例では所定値を2℃としているが、本発明はこれに限定したものではなく適宜変更してもよい。
【0023】
次に、温度センサ140が室内の温度を計測する(S106)。制御部150は、温度センサ140より室内の温度を取得し、第一目標温度に達したか否かを判断する(S107)。もし、室内の温度が第一目標温度に達していなかった場合(S107−No)、S106に戻る。もし、室内の温度が第一目標温度に達していた場合(S107−Yes)、制御部150はサイドファン制御手段183、193を介してサイドファン186、196を停止させる(S108)。
【0024】
制御部150は、時刻が起床時刻まで予め定めた所定時間(例えば1時間)以内になったか否かを判断する(S109)。もし、時刻が起床時刻まで1時間以内でなかった場合(S109−No)、制御部150は起床時刻まで1時間以内になるまでS109を繰り返す。もし、時刻が起床時刻まで1時間以内になった場合(S109−Yes)、制御部150はユーザーが快適に起床できる温度である第二目標温度を算出する(S110)。第二目標温度の算出方法としては、冷房運転時の設定温度と同じ温度を算出する。例えば、冷房運転時の設定温度が28℃の場合、第二目標温度は28℃になる。制御部150は第二目標温度で空調運転を実行する(S111)。室温をあげるために、制御部150は、冷房運転を継続してメインファン130の風量を小さくしたり、冷房運転を停止してメインファン130を停止したりする。これにより、室内の温度が徐々に上昇する。ここで、冷房運転停止時にメインファン130を停止させると室内の湿度の上昇を抑えることができる。なお、本実施例では起床時刻まで1時間以内になったか否かを判断しているが、本発明は1時間に限定したものではなく適宜変更してもよい。また、第二目標温度を設定温度と同じとしているが、本発明はこれに限定したものではなく適宜変更してもよい。
【0025】
制御部150は、サイドファン制御手段183、193を介してサイドファン186、196の風量を「微風」にし(S112)、サイドファン186、196の風向が床方向を向くように駆動部184、194が各ファンユニット180、190を下方に傾くように制御する(S113)。これにより、メインファン130が停止した場合でも、サイドファン186、196の空気で室内の空気が撹拌され、床面付近の空気の温度を第2目標温度にまで上昇させることができる。
【0026】
制御部150は、時刻が起床時刻になったか否かを判断する(S114)。もし、時刻が起床時刻でなかった場合(S114−No)、制御部150は起床時刻になるまでS114を繰り返す。もし、時刻が起床時刻になった場合(S114−Yes)、制御部150はおやすみモードを終了する(S115)。
【0027】
なお、本実施例ではサイドファンの風向を床方向に向けているが、本発明はこれに限定したものではなく、床面に近い室内の空気を撹拌できればよいため、他の角度にむけてもよい。
【0028】
以上より、本発明の空気調和機10では、就寝時は、室内の温度を下げることで、ユーザーを快適に就寝させることを目的としている。また、起床時は、床面付近の空気の温度上げることで、ユーザーを快適に起床させることを目的としている。
【符号の説明】
【0029】
10 空気調和機
100 室内機
150 制御部
200 室外機
300 リモコン
400 冷媒回路
図1
図2
図3
図4