(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194402(P2017-194402A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】腕時計
(51)【国際特許分類】
G04B 39/00 20060101AFI20170929BHJP
【FI】
G04B39/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-85913(P2016-85913)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】509350446
【氏名又は名称】田中 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 佳子
(57)【要約】
【課題】視認性を犠牲にせずに装飾効果を高めた腕時計を提供する。
【解決手段】腕時計11は、ダイヤルを覆って、1つの頂点26から外縁に向かって下る線形の稜線27a、27b、27c、27dを有し、隣接する稜線27a、27b、27c、27d同士の間で広がる平面28a、28b、28c、28dを有する風防17を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤルと、
前記ダイヤルを覆って、1つの頂点から外縁に向かって下る線形の稜線を有し、隣接する稜線同士の間で広がる平面を有する風防と
を備えることを特徴とする腕時計。
【請求項2】
請求項1に記載の腕時計において、前記頂点は針の支軸の延長線上に位置することを特徴とする腕時計。
【請求項3】
請求項1または2に記載の腕時計において、前記風防は、12時の方向、3時の方向、6時の方向および9時の方向に、前記ダイヤルに投影される前記稜線の投影線を重ねるピラミッド形状に形成されることを特徴とする腕時計。
【請求項4】
請求項3に記載の腕時計において、前記風防は、前記投影線に対角線を重ねる正方形の輪郭を有することを特徴とする腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は腕時計を開示する。腕時計は風防を備える。風防には多面カットが施される。反射光の多様化に基づき装飾効果の向上が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−308702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の腕時計では円形の風防の中央に平面域が形成され、平面域の周囲で風防の輪郭に沿って多面カットが施される。多面カットの部位ではダイヤルの視認性が落ちることから、インデックスは環状の多面カットの内側に配置されなければならない。したがって、時計ケースの大きさに比べてインデックスの配置や針の長さは縮小されてしまう。時間を知りたいときに視認性が落ちてしまう。しかも、特定の角度で風防に光が入射すると、いちどに平面域全体の視認性が光の反射に応じて悪化してしまう。針の位置を確認することができない。
【0005】
本発明は、視認性を犠牲にせずに装飾効果を高めた腕時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、ダイヤルと、前記ダイヤルを覆って、1つの頂点から外縁に向かって下る線形の稜線を有し、隣接する稜線同士の間で広がる平面を有する風防を備える腕時計は提供される。
【0007】
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記頂点は針の支軸の延長線上に位置する。
【0008】
第3側面によれば、第1または第2側面の構成に加えて、前記風防は、12時の方向、3時の方向、6時の方向および9時の方向に、前記ダイヤルに投影される前記稜線の投影線を重ねるピラミッド形状に形成される。
【0009】
第4側面によれば、第3側面の構成に加えて、前記風防は、前記投影線に対角線を重ねる正方形の輪郭を有する。
【発明の効果】
【0010】
第1側面によれば、個々の平面は頂点から放射状に広がり、風防全体で視認性は確保される。平面ごとに光の反射方向は相違することで、1つの平面で光の反射に応じて視認性が悪化しても、他の平面で針の位置は確認されることができる。しかも、光の反射が多様化することで、時計の装飾効果は高められる。
【0011】
第2側面によれば、頂点は針の支軸の延長線上に位置する。風防の稜線は針を横切らないので、針の視認性は良好に維持される。針および稜線ともに支軸から放射状に延びることから、デザインの統一性が生み出され、風防の装飾効果は高められる。
【0012】
第3側面によれば、稜線に応じてダイヤルは見やすい位置で4等分される。したがって、針の位置は簡単に特定されることができる。時刻は簡単に読み取られることができる。しかも、装飾効果は高められると同時に針の視認性は良好に維持される。
【0013】
第4側面によれば、風防の輪郭に基づき12時の方向、3時の方向、6時の方向および9時の方向は簡単に特定されることができる。針の位置は簡単に特定されることができる。時刻は簡単に読み取られることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る腕時計を概略的に示す平面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る腕時計を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
図1は第1実施形態に係る腕時計11を概略的に示す。腕時計11はケース12およびベルト13a、13bを備える。ベルト13a、13bはケース12にラグ14を介して連結される。ベルト13aにはバックル15が連結される。バックル15は一方のベルト13aに他方のベルト13bを結合する。こうして結合されたベルト13a、13bでケース12は使用者の腕に固定される。
【0017】
ケース12にはダイヤル16を覆う風防17が結合される。ダイヤル16は正方形の輪郭を有する。正方形の1対角線16aはベルト13a、13bの中心線18に重なる。ベルト13a、13bの中心線18に沿って12時の方向および6時の方向が規定される。バックル15からベルト孔まで中心線18の長さは手首周りの長さに相当する。
【0018】
ダイヤル16の中心(対角線の交点)には支軸19が配置される。支軸19には長針21aおよび短針21bが固定される。長針21aおよび短針21bは支軸19からダイヤル16の外縁に向かって線形に延びる。ダイヤル16には支軸19を中心に放射状にインデックス22が固定される。
【0019】
ダイヤル16は例えば金属板やプラスチック板その他の板材から形成される。ダイヤル16が透明な板材から形成されると、いわゆるスケルトン構造は確立されることができる。風防17はガラスやプラスチックといった透明な材料から成形される。こうして風防17は長針21aおよび短針21b並びにダイヤル16に覆い被さって長針21aおよび短針21b並びにダイヤル16を保護するとともに長針21aおよび短針21b並びにインデックス22の視認を許容する。インデックス22は時刻の読み取りを支援する。
【0020】
支軸19にはムーブメント(図示されず)が接続される。ムーブメントはダイヤル16の背後でケース12内に収容される。ムーブメントの働きで長針21aおよび短針21bは支軸19の軸心回りに回転する。
【0021】
ダイヤル16の周囲はベゼル23で囲まれる。ベゼル23に風防17は嵌め込まれる。ベゼル23にはリュウズ24が取り付けられる。リュウズ24の操作に応じて支軸19の軸心回りで長針21bの回転動作は引き起こされる。
【0022】
図2に示されるように、風防17は、1つの頂点26から外縁に向かって下る線形の稜線27a〜27dを有する。隣接する稜線27a〜27d同士の間にはそれぞれ1つの平面28a〜28dが広がる。風防17の頂点26は支軸19の延長軸上に位置する。頂点26は延長軸の軸内に配置されればよい。好ましくは、頂点26は支軸19の軸心上に位置することが望まれる。
【0023】
稜線27a〜27dの投影線は12時の方向、3時の方向、6時の方向および9時の方向にそれぞれ重なる。ここで、投影線は、支軸19の軸心に平行にダイヤル16に稜線27a〜27dを投影することで得られる。個々の平面28a〜28dは、稜線27a〜27dを等辺とする二等辺三角形の底辺上で風防17の外縁を区画する。こうして風防17は稜線27a〜27dを有するピラミッド形状に形成される。なお、ダイヤル16や風防17の輪郭は正方形といった多角形に形成されるものの、輪郭の角は曲線で丸められてもよく直線で面取りされてもよい。
【0024】
前述のように、風防17は、1つの頂点26から外縁に向かって下る線形の稜線27a〜27dを有する。隣接する稜線27a〜27d同士の間ではそれぞれ平面28a〜28dが広がる。個々の平面28a〜28dは頂点26から放射状に広がり、風防17全体で視認性は確保される。平面28a〜28dごとに光の反射方向は相違し、いずれか1つの平面で光の反射に応じて視認性が悪化しても、他の平面で長針21aや短針21bの位置は確認されることができる。しかも、光の反射が多様化することで、腕時計11の装飾効果は高められる。
【0025】
頂点26は長針21aおよび短針21bの支軸19の延長線上に位置する。風防17の稜線27a〜27dは長針21aや短針21bを横切らないので、長針21aや短針21bの視認性は良好に維持される。長針21aおよび短針21b並びに稜線27a〜27dはともに支軸19から放射状に延びることから、デザインの統一性が生み出され、風防の装飾効果は高められる。特に、頂点26が支軸19の軸心上に配置されると、支軸19周りで、風防17、ベゼル23およびダイヤル16に同心性が確立され、腕時計11のデザイン性が強調されることができる。
【0026】
風防17は、12時の方向、3時の方向、6時の方向および9時の方向に稜線27a〜27dの投影線を重ねるピラミッド形状に形成される。稜線27a〜27dに応じてダイヤル16は見やすい位置で4等分される。したがって、長針21aおよび短針21bの位置は簡単に特定されることができる。時刻は簡単に読み取られることができる。しかも、装飾効果は高められると同時に針の視認性は良好に維持される。
【0027】
風防17は、稜線27a〜27dの投影線に対角線を重ねる正方形の輪郭を有する。風防17の輪郭に基づき12時の方向、3時の方向、6時の方向および9時の方向は簡単に特定されることができる。長針21aおよび短針21bの位置は簡単に特定されることができる。時刻は簡単に読み取られることができる。
【0028】
図3は第2実施形態に係る腕時計31を概略的に示す。ダイヤル16は、長針21aおよび短針21bの回転軸線上で中心線18に45度の角度で交差する対角線32を有する正方形の輪郭を有する。したがって、正方形の2辺に平行に12時の方向および6時の方向は規定される。風防17は、正方形の対角線32に重なる線形の稜線27a〜27dを有する。線形の稜線27a〜27dは回転軸線上の頂点26から外縁に向かって下る。こうして風防17は4つの稜線27a〜27dを有するピラミッド形状に形成される。
【符号の説明】
【0029】
11…腕時計、16…ダイヤル、16a…対角線、17…風防、19…支軸、21a…針(長針)、21b…針(短針)、26…頂点、27a〜27d…稜線、28a〜28d…平面、31…腕時計。