【課題】タッチパネル等で使用されるアンチニュートンリング性フイルムであって、ニュートンリングが発生せず、かつギラツキも発生しないアンチニュートンリング性フイルムを提供する。
【解決手段】本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、プラスチックフイルム上にニュートンリング防止層、及び前記ニュートンリング防止層の屈折率よりも屈折率が低い光学調整層が順次積層されたものであって、ニュートンリング防止層が下記(A)〜(C)の条件全てを満足することを特徴とする。(A)ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)が、0.03〜0.22μmの範囲である。(B)ニュートンリング防止層表面のRy(最大高さ)が0.2〜1.8μmの範囲である。(C)ニュートンリング防止層表面のSm(凹凸の平均間隔)が2.5〜10.0μmの範囲である。
プラスチックフイルム上に、樹脂と微粒子とを少なくとも含むニュートンリング防止層、及び前記ニュートンリング防止層の屈折率よりも屈折率が低い光学調整層が順次積層されたハードコートフイルムであって、ニュートンリング防止層が下記(A)〜(C)の条件全てを満足することを特徴とするアンチニュートンリング性フイルム。
(A)ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)が、0.03〜0.22μmの範囲である。
(B)ニュートンリング防止層表面のRy(最大高さ)が0.2〜1.8μmの範囲である。
(C)ニュートンリング防止層表面のSm(凹凸の平均間隔)が2.5〜10.0μmの範囲である。
機能層が、ニュートンリング防止層、及び光学調整層が積層されている側とは反対側のプラスチックフイルム上に積層されている請求項1、または請求項2記載のアンチニュートンリング性フイルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載のニュートンリング防止シートに代表される一般的なアンチニュートンリング性フイルムは、プラスチックフイルム上にニュートンリング防止層のみが積層されたものであり、ニュートンリング防止層に使用する微粒子の粒径、微粒子の量、及びニュートンリング防止層の厚さを調整し、ニュートンリング防止層表面に凹凸を形成することで、ニュートンリング発生を防止するものであった。
【0009】
しかしながら一般的なアンチニュートンリング性フイルムは、ニュートンリング防止層表面の凹凸の状態により、下記問題のいずれかが発生していた。
(1)ガラス板等上にアンチニュートンリング性フイルムを直接載置した場合に、部材間のすき間で光の干渉が生じることなくニュートンリングの発生を防止することは可能であるが、ニュートンリング防止層表面に形成された凹凸がレンズのように作用して光が拡散するレンズ効果現象やニュートンリング防止層に使用した微粒子自体が輝点となる外観不具合(以下、この外観不具合をギラツキという)が発生しやすいものとなる問題があった。特に解像度の高い(画素の小さい)液晶パネル等のディスプレイ上に該アンチニュートンリング性フイルムを載置した場合に、ディスプレイの画素よりも微粒子の粒径が大きくなることがある為、ギラツキがより顕著に発生していた。
(2)上記レンズ効果現象や微粒子自体が輝点となる外観不具合であるギラツキの発生を抑えることができるが、ガラス板等上にアンチニュートンリング性フイルムを直接載置した場合に、部材間のすき間が狭くなり、部材間のすき間で光の干渉が生じやすくニュートンリングが発生しやすいものとなる問題があった。
【0010】
上記のように、ニュートンリングの発生とギラツキの発生とはトレードオフの関係にあり、ニュートンリング防止層のみが積層されている従来のアンチニュートンリング性フイルムは、ニュートンリング防止層表面に形成された凹凸の状態により、ニュートンリングの発生を防止すること、またはギラツキの発生を抑えることのいずれかの効果しか発揮できず、ニュートンリングが発生せず、かつギラツキも発生しないアンチニュートンリング性フイルムを得ることがとても困難であった。
【0011】
尚、本明細書では、ギラツキとニュートンリングの発生の有無は、それぞれ下記の確認方法で行ない、該方法で確認した結果を記載している。
ギラツキの確認方法:液晶パネル上にアンチニュートンリング性フイルムを、アンチニュートンリング性フイルムのニュートンリング防止層が積層されている側の面と液晶パネルとを接するようにして載置し、アンチニュートンリング性フイルム側からレンズ効果現象や輝点の発生の有無を目視で確認する。
アンチニュートンリングの確認方法:ガラス板上にアンチニュートンリング性フイルムを、アンチニュートンリング性フイルムのニュートンリング防止層が積層されている側の面とガラス板とを接するようにして載置し、アンチニュートンリング性フイルム側からニュートンリングの発生の有無を目視で確認する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1]本発明は、プラスチックフイルム上に、樹脂と微粒子とを少なくとも含むニュートンリング防止層、及び前記ニュートンリング防止層の屈折率よりも屈折率が低い光学調整層が順次積層されたアンチニュートンリング性フイルムであって、ニュートンリング防止層が下記(A)〜(C)の条件全てを満足することを特徴とするアンチニュートンリング性フイルムである。
(A)ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)が、0.03〜0.22μmの範囲である。
(B)ニュートンリング防止層表面のRy(最大高さ)が0.2〜1.8μmの範囲である。
(C)ニュートンリング防止層表面のSm(凹凸の平均間隔)が2.5〜10.0μmの範囲である。
[2]本発明は、光学調整層の屈折率が、1.30〜1.45の範囲である上記[1]記載のアンチニュートンリング性フイルムである。
[3]本発明は、機能層が、ニュートンリング防止層、及び光学調整層が積層されている側とは反対側のプラスチックフイルム上に積層されている上記[1]、または[2]記載のアンチニュートンリング性フイルムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、プラスチックフイルム上に樹脂と微粒子とを少なくとも含むニュートンリング防止層、及び前記ニュートンリング防止層の屈折率よりも屈折率が低い光学調整層が順次積層されたアンチニュートンリング性フイルムであって、ニュートンリング防止層が下記(A)〜(C)の条件全てを満足することを特徴としている為、ニュートンリングが発生せず、かつギラツキも発生しないアンチニュートンリング性フイルムとなる。
(A)ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)が、0.03〜0.22μmの範囲である。
(B)ニュートンリング防止層表面のRy(最大高さ)が0.2〜1.8μmの範囲である。
(C)ニュートンリング防止層表面のSm(凹凸の平均間隔)が2.5〜10.0μmの範囲である。
【0014】
具体的には、本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、ニュートンリング防止層上に光学調整層を積層することにより、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの反射率を低下させることができる。
その為、本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、ガラス板等上にアンチニュートンリング性フイルムを直接載置した場合に、部材間のすき間で光の干渉が生じない為、ニュートンリングが発生せず、かつギラツキも発生しないものとなる。特に、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの光学調整層の屈折率を、1.30〜1.45の範囲とすれば、ニュートンリングの発生をより確実に防止することができるものとなる。
また、機能層が、ニュートンリング防止層、及び光学調整層が積層されている側とは反対側のプラスチックフイルム上に積層されている本発明のアンチニュートンリング性フイルムも、ニュートンリングが発生せず、かつギラツキの発生もないものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(プラスチックフイルム)
本発明のアンチニュートンリング性フイルム に使用するプラスチックフイルムは、特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリアミドフイルム等、各種従来公知のプラスチックフイルムが使用できる。
プラスチックフイルムは、無延伸、一軸延伸、二軸延伸の何れでもよく、また、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤等の各種添加剤を含んでいても構わない。
プラスチックフイルムの種類や厚さは、所望の用途、目的に応じて適宜選択すればよい。
また、プラスチックフイルムは、プラスチックフイルムとニュートンリング防止層との密着力を強くする目的で、プラスチックフイルム上に、易接着コート、コロナ処理等の表面処理がされたものでも構わず、これら表面処理がされたプラスチックフイルムも、本明細書のプラスチックフイルムに含まれる。
【0016】
プラスチックフイルムの厚さは、特に限定されないが、12〜250μmの範囲が好ましい。
プラスチックフイルムの厚さが12μmよりも薄いと、本発明のアンチニュートンリング性フイルムを製造する際に、カールやシワ等が発生しやすくなるおそれがあり好ましくなく、250μmよりも厚いと、本発明のアンチニュートンリング性フイルムを所望の大きさにカットする際にカットしづらい為、作業性が悪くなり、また本発明のアンチニュートンリング性フイルムを製造する際に製造コストも上がる為、好ましくない。
【0017】
(ニュートンリング防止層)
本発明のアンチニュートンリング性フイルムに積層されたニュートンリング防止層は、樹脂と微粒子とを少なくとも含む層であり、ニュートンリング防止層表面に特定の凹凸を形成し、本発明のアンチニュートンリング性フイルムを液晶パネル等のディスプレイ等上に載置した場合に、ギラツキの発生を抑える目的と、後述する光学調整層との組み合わせによりニュートンリングの発生を防止する目的で積層される層である。
【0018】
ニュートンリング防止層に使用する樹脂の種類は、特に制限なく使用することができ、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等、各種公知の樹脂が使用でき、これらのいずれか1種、または2種以上の混合樹脂としても構わず、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0019】
また、ニュートンリング防止層に使用する樹脂は、紫外線硬化型、または熱硬化型のいずれであってもよいが、紫外線硬化型の樹脂を使用することで、本発明のアンチニュートンリング性フイルムに所望のハードコート性を容易に付与することができる。
【0020】
また、ニュートンリング防止層に使用する微粒子は、特に制限なく使用することができ、酸化珪素微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、酸化インジウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸カルシウム微粒子、ケイ酸カルシウム微粒子等の無機微粒子や、メチルシルセスキオキサン微粒子等の有機無機ハイブリッド微粒子等の従来公知の微粒子を使用することができ、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0021】
ニュートンリング防止層は、前記のように、ニュートンリング防止層表面に特定の凹凸が形成された層であり、ニュートンリング防止層表面をレーザー顕微鏡でRa(算術平均粗さ)、Ry(最大高さ)、及びSm(凹凸の平均間隔)を測定し、下記(A)〜(C)の条件全てを満足する層である。
(A)ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)が、0.05~0.22μmの範囲である。
(B)ニュートンリング防止層表面のRy(最大高さ)が0.2〜1.8μmの範囲である。
(C)ニュートンリング防止層表面のSm(凹凸の平均間隔)が2.5〜10.0μmの範囲である。
【0022】
また、ニュートンリング防止層は、使用する微粒子の粒径、微粒子の量、及びニュートンリング防止層の厚さを調整することで、前記(A)〜(C)の条件全てを満足する層となる。
【0023】
ニュートンリング防止層が、前記(A)〜(C)の条件全てを満足する特定の凹凸が形成されていないと、液晶パネル等のディスプレイ等上に本発明のアンチニュートンリング性フイルムを載置した際に、後述する光学調整層をニュートンリング防止層上に積層した場合であっても、ニュートンリングが発生するものとなったり、または、ニュートンリング防止層表面に形成された凹凸によりギラツキが発生してしまい、本発明のアンチニュートンリング性フイルムをニュートンリングが発生せず、かつギラツキも発生しないものとすることができないものとなる。
【0024】
微粒子の粒径は、1.0〜2.5μmの範囲が好ましい。微粒子の粒径が、上記の範囲でないと、ニュートンリング防止層が前記(A)〜(C)の条件全て、またはいずれかを満足することができず、ニュートンリングが発生しやくすなる為、好ましくない。
また、微粒子の形状は、特に制限なく使用することができ、球状、針状及び楕円体状等目的に応じ適宜選択すればよい。尚、微粒子の形状が球状以外のものを使用する場合の微粒子の粒径は、形状が針状の場合であれば微粒子の長さ、また、形状が楕円状の場合は微粒子の長径等、当該微粒子の一番長い値をいう。
【0025】
ニュートンリング防止層の厚さは、1.0〜2.5μmの範囲が好ましい。
ニュートンリング防止層の厚さが、上記の範囲でないと、ニュートンリング防止層が前記(A)〜(C)の条件全て、またはいずれかを満足することができず、ニュートンリングが発生しやくすなる為、好ましくない。
【0026】
ニュートンリング防止層は、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの前記効果を損なわない範囲で必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、重合開始剤、硬化剤等の各種添加剤を1種類以上添加しても構わず、添加する各種添加剤の種類や添加量は、所望の目的に応じて適宜決定すればよい。
【0027】
ニュートンリング防止層の屈折率は、特に制限なく使用することができるが、ニュートンリング防止層の屈折率と後述する光学調整層の屈折率との差を0.1以上、具体的にはニュートンリング防止層の屈折率を1.40以上とすれば、光学調整層を積層した場合に、ニュートンリングの発生を確実に防止することができる為、好ましい。
【0028】
ニュートンリング防止層を積層する方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート(リバースグラビアコート)法、バーコート法等、従来公知のコーティング方法が使用でき、目的に応じて適宜選択すればよい
【0029】
(光学調整層)
本発明のアンチニュートンリング性フイルムに積層されている光学調整層は、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの反射率を低下させることにより、ニュートンリングの発生をも防止する目的でニュートンリング防止層上に積層される層であり、樹脂と無機微粒子とを少なくとも含む層である。
【0030】
光学調整層に使用する樹脂の種類は、特に制限なく使用することができ、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂等、各種公知の樹脂が使用でき、これらのいずれか1種、または2種以上の混合樹脂としても構わず、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0031】
また、光学調整層に使用する無機微粒子は、特に制限なく使用することができ、酸化珪素微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸カルシウム微粒子、ケイ酸カルシウム微粒子等の無機微粒子を使用することができ、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0032】
光学調整層の屈折率は、ニュートンリング防止層の屈折率よりも低い屈折率であればよく、目的に応じて適宜選択すればよい。特に、光学調整層の屈折率を1.30〜1.45の範囲とすれば、本発明のアンチニュートンリング性フイルムがニュートンリングの発生を確実に防止することができる為、好ましい。
【0033】
光学調整層に使用する無機微粒子の粒径は、1.0μm以下が好ましい。無機微粒子の粒径が1.0μmよりも大きいと、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの反射率を低下させることができずニュートンリングが発生しやくすなる為、好ましくない。
また、無機微粒子の形状は、特に制限なく使用することができ、球状、針状及び楕円体状等目的に応じ適宜選択すればよい。尚、無機微粒子の形状が球状以外のものを使用する場合の無機微粒子の粒径は、形状が針状の場合であれば無機微粒子の長さ、また、形状が楕円状の場合は無機微粒子の長径等、当該無機微粒子の一番長い値をいう。
また、光学調整層に使用する無機微粒子は、粒径が小さく、光学調整層を積層した場合であっても、本発明のアンチニュートンリング性フイルムのギラツキの発生の有無に影響を与えるものではない。
【0034】
光学調整層の厚さは、0.05〜0.15μmの範囲が好ましい。
光学調整層の厚さが、上記の範囲でないと、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの反射率を低下させることができずニュートンリングの発生を防止することができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0035】
光学調整層は、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの前記効果を損なわない範囲で必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、重合開始剤、硬化剤等の各種添加剤を1種類以上添加しても構わず、添加する各種添加剤の種類や添加量は、所望の目的に応じて適宜決定すればよい。
【0036】
光学調整層を積層する方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート(リバースグラビアコート)法、バーコート法等、従来公知のコーティング方法が使用でき、目的に応じて適宜選択すればよい
【0037】
本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、ニュートンリング防止層、及び光学調整層が積層されている側とは反対側のプラスチックフイルム上に、必要に応じて、意匠性、ハードコート性、防汚性、反射防止性、導電性等の機能を付与する目的で、着色層、印刷層、ハードコート層、防汚層、反射防止層、透明導電層等の各種機能層が1層以上積層されたものとしても構わない。
ニュートンリング防止層、及び光学調整層が積層されている側とは反対側のプラスチックフイルム上に機能層が積層された本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、ニュートンリングが発生せず、かつギラツキが発生しない効果を当然発揮するものである。
【0038】
以上のように、本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、プラスチックフイルム上に樹脂と微粒子とを少なくとも含むニュートンリング防止層、及び前記ニュートンリング防止層の屈折率よりも屈折率が低い光学調整層が順次積層されたアンチニュートンリング性フイルムであって、ニュートンリング防止層が下記(A)〜(C)の条件全てを満足することを特徴とするアンチニュートンリング性フイルムである。
(A)ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)が、0.03〜0.2μmの範囲である。
(B)ニュートンリング防止層表面のRy(最大高さ)が0.2〜1.8μmの範囲である。
(C)ニュートンリング防止層表面のSm(凹凸の平均間隔)が2.5〜10.0μmの範囲である。
その為、本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、液晶パネル等のディスプレイ上に本発明のアンチニュートンリング性フイルムを載置した場合であっても、ニュートンリングが発生せず、かつギラツキが発生しない効果を発揮するものとなる。
更に、本発明のアンチニュートンリング性フイルムの光学調整層の屈折率を1.30〜1.45の範囲とすれば、上記効果を確実に発揮することができるものとなる。
【実施例】
【0039】
[ニュートンリング防止層に使用する塗料]
ニュートンリング防止層に使用する塗料として、下記(塗料A)〜(塗料E)を準備した。
(塗料A):紫外線硬化型アクリル系樹脂、及び微粒子として平均粒径1.0〜1.5μm酸化珪素微粒子からなる塗料(アイカ工業株式会社製 商品名:Z−759−4RL)
(塗料B):(塗料A)30重量部と、紫外線硬化型アクリル系樹脂のみからなる塗料(アイカ工業株式会社製 商品名:Z−759−4CL2)50重量部とを混合した混合塗料
(塗料C):(塗料A)90重量部と、紫外線硬化型アクリル系樹脂のみからなる塗料(アイカ工業株式会社製 商品名:Z−759−4CL2)40重量部とを混合した混合塗料
(塗料D):紫外線硬化型アクリル系樹脂(中国塗料株式会社製 商品名:フォルシードNo.502C−882)100重量部と、微粒子として粒径2.0μmのメチルシルセスキオキサン微粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製 商品名:トスパール120)0.02重量部とを混合した塗料
(塗料E):紫外線硬化型アクリル系樹脂、及び微粒子としてとして粒径2.0μmの酸化珪素微粒子からなる塗料(大日精化工業株式会社製 商品名:セイカビームEXF−10A)10重量部と、紫外線硬化型アクリル系樹脂のみからなる塗料(大日精化工業株式会社製 商品名:セイカビームEXF−10A改)90重量部とを混合した混合塗料
【0040】
[実施例1]
以下の(工程1)、及び(工程2)を順に行い、プラスチックフイルムの片面に、ニュートンリング防止層、及び光学調整層が積層された実施例1の本発明のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
【0041】
(工程1)厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(東レ株式会社製 商品名:ルミラーU483)の片面に、(塗料A)をバーコート法でコーティングし、厚さ1.5μmのニュートンリング防止層を積層した。
尚、ニュートンリング防止層の屈折率は、1.55であった。
(工程2)上記ニュートンリング防止層上に、アクリル系樹脂、及び無機微粒子として酸化珪素微粒子からなる塗料(ケーエスエム株式会社製 商品名:RL−S1)を使用し、バーコート法で厚さ0.1μmの光学調整層を積層した。
尚、光学調整層の屈折率は1.36であった。
【0042】
[実施例2]
実施例1の(工程2)で使用した塗料にかえて、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、及び無機微粒子として酸化珪素微粒子からなる塗料(JSR株式会社製 商品名:オプスターTU2359)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の本発明のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、光学調整層の屈折率は1.37であった。
【0043】
[実施例3]
実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料B)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の本発明のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、ニュートンリング防止層の屈折率は、1.55であった。
【0044】
[実施例4]
実施例1の実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料B)を使用したこと、及び(工程2)で使用した塗料にかえて、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、及び無機微粒子として酸化珪素微粒子からなる塗料(JSR株式会社製 商品名:オプスターTU2359)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の本発明のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、ニュートンリング防止層の屈折率は、1.55であり、光学調整層の屈折率は1.37であった。
【0045】
[実施例5]
実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料C)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の本発明のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、ニュートンリング防止層の屈折率は、1.55であった。
【0046】
[実施例6]
実施例1の実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料C)を使用したこと、及び(工程2)で使用した塗料にかえて、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、及び無機微粒子として酸化珪素微粒子からなる塗料(JSR株式会社製 商品名:オプスターTU2359)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の本発明のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、ニュートンリング防止層の屈折率は、1.55であり、光学調整層の屈折率は1.37であった。
【0047】
[実施例7]
実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料D)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の本発明のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、ニュートンリング防止層の屈折率は、1.55であった。
【0048】
[比較例1]
実施例1の(工程2)行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、光学調整層が積層されていない比較例1のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
【0049】
[比較例2]
実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料B)を使用したこと、及び実施例1の(工程2)行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、光学調整層が積層されていない比較例2のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
【0050】
[比較例3]
実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料C)を使用したこと、及び実施例1の(工程2)行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、光学調整層が積層されていない比較例3のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
【0051】
[比較例4]
実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料D)を使用したこと、及び実施例1の(工程2)行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、光学調整層が積層されていない比較例4のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
【0052】
[比較例5]
実施例1の(工程2)で使用した塗料にかえて、アクリル系樹脂、及び無機微粒子として酸化ジルコニウム微粒子からなる塗料(JSR株式会社製 商品名:オプスターKZ6661)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例5のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、光学調整層の屈折率は1.68であった。
【0053】
[比較例6]
実施例1の(工程1)で使用した(塗料A)にかえて、(塗料E)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例6のアンチニュートンリング性フイルムを得た。
尚、ニュートンリング防止層の屈折率は、1.55であった。
【0054】
[ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)、Ry(最大高さ)、及びSm(凹凸の平均間隔)の測定]
試験試料として、実施例1〜7、及び比較例1〜6の(工程1)でプラスチックフイルム上にニュートンリング防止層が積層されたものを使用した。
各試験試料のニュートンリング防止層表面をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス社製 VK−X100) を使用して、Ra(算術平均粗さ)、Ry(最大高さ)、及びSm(凹凸の平均間隔)を測定した。
【0055】
(測定結果)
表1に示す。
【0056】
[アンチニュートンリング性評価]
実施例1〜7で得た本発明のアンチニュートンリング性フイルム、及び比較例1〜6で得たアンチニュートンリング性フイルムの光学調整層、またはニュートンリング防止層と、厚さ3mmのガラス板とを接するようにして載置した後、アンチニュートンリング性フイルム側から目視で観察し、ニュートンリングの発生の有無を確認した
評価方法は、ニュートンリングの発生が確認できなければ○とし、ニュートンリングの発生が確認できれば×とした。
【0057】
(評価結果)
表1に示す。
【0058】
[ギラツキ評価]
実施例1〜7で得た本発明のアンチニュートンリング性フイルム、及び比較例1〜6で得たアンチニュートンリング性フイルムの光学調整層、またはニュートンリング防止層と、液晶パネル(スマートフォン)のガラス板とを接するようにして載置した後、アンチニュートンリング性フイルム側から目視で観察し、輝点等の外観不具合(ギラツキ)の有無を確認した。
評価方法は、ギラツキが確認できなければ○とし、ギラツキが確認できれば×とした。
【0059】
(評価結果)
表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1のとおり、実施例1〜7で得た本発明のアンチニュートンリング性フイルムは、全てニュートンリングが発生せず、かつギラツキの発生もないものであった。
しかしながら、比較例1〜4で得たアンチニュートンリング性フイルムは、ギラツキの発生は確認できなかったものの、光学調整層が積層されていない為、アンチニュートンリング性フイルムの反射率を低下させることができず、ニュートンリングの発生が確認できるものであった。
また、比較例5で得たアンチニュートンリング性フイルムは、ニュートンリング防止層上に、ニュートンリング防止層の屈折率よりも屈折率が高い光学調整層が積層されている為、アンチニュートンリング性フイルムの反射率を低下させることができず、ニュートンリングの発生が確認できるものであった。
また、比較例6で得たアンチニュートンリング性フイルムは、ニュートンリング防止層表面のRa(算術平均粗さ)、Ry(最大高さ)、及びSm(凹凸の平均間隔)の値がいずれも、本発明のアンチニュートンリング性フイルムのニュートンリング防止層の前記範囲の上限よりも大きい値である為、ニュートンリングの発生は防止できるものの、ギラツキが発生するものであった。