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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194877(P2017-194877A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0485 20130101AFI20170929BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170929BHJP
【FI】
   G06F3/0485
   G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-85717(P2016-85717)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝彦
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA26
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC08
5E555CA12
5E555CB16
5E555CB19
5E555CC26
5E555DB03
5E555DB20
5E555DC03
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザーにとって適切な位置に自然な動きで停止するスクロール動作を実現することができる。
【解決手段】フリック操作に基づいて表示対象をスクロールさせて表示操作パネルの表示枠内に表示させる画像生成装置(表示制御装置)であって、停止位置算出部905が、フリック操作を検知したときに、検知されたフリック操作の初速度とスクロールを停止する下限速度と加速度とに基づいて、表示対象の停止位置を算出停止位置として算出し、所定間隔で定められた複数の停止候補位置から、算出停止位置に最も近い停止候補位置を目標停止位置として決定し、表示制御部906が、停止位置における下限速度まで連続的に減速するようにボタンをスクロール表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリック操作に基づいて表示対象をスクロールさせて表示操作パネルの表示枠内に表示させる表示制御装置であって、
前記フリック操作を検知したときに、前記検知されたフリック操作の初速度と前記スクロールを停止する下限速度と加速度とに基づいて、前記表示対象の停止位置を算出停止位置として算出し、所定間隔で定められた複数の停止候補位置から、前記算出停止位置に最も近い停止候補位置を目標停止位置として決定する停止位置算出手段と、
前記決定した目標停止位置における前記下限速度まで連続的に減速するように前記表示対象をスクロール表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記表示対象が前記決定した目標停止位置で停止するように、前記初速度と前記下限速度とに基づいて前記加速度を補正し、前記補正した加速度を用いて前記表示対象をスクロール表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記表示対象が前記決定した目標停止位置で停止するように、前記加速度と前記下限速度とに基づいて前記初速度を補正し、前記補正した初速度を用いて前記表示対象をスクロール表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記停止位置算出手段は、前記表示対象の目標停止位置を前記スクロールの方向における前記表示対象の端部から所定範囲だけ前記表示枠内に表示させる位置に決定し、前記算出した算出停止位置が前記目標停止位置の前後に所定範囲内である場合に、前記算出停止位置に最も近い停止候補位置を前記目標停止位置として決定する
ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリック操作により、適切な位置に、自然な動きで停止するスクロール動作を実現する表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末においては、指で画面を押してからはじくように動かすフリック操作により表示画面のスクロールなどを可能にしたものがある。
【0003】
最近では、多機能プリンターにおいても、このフリック操作による入力を可能したものがある。フリック操作が可能になることにより、画面遷移を伴わないので、ユーザーにとって目的の機能を探しやすく、また少ない操作で目的の機能ボタンなどを表示させることができるというメリットがある。
【0004】
このようなフリック操作について、特許文献1には、タッチパネルへの接触による座標入力がなくなる直前の入力座標の変化ベクトルに基づいて、変化ベクトルに等しい又は比例したベクトルで画面をスクロールさせる制御(慣性スクロール)を行う画面のスクロール制御装置に関する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、スクロール中に停止指示が伝達されると、その際のデータの位置からその際のスクロール速度に応じて算出された調整量分だけ逆スクロールする携帯端末の関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−161628号公報
【特許文献2】特開2010−55417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された慣性スクロールの技術では、タッチパネルへの接触による座標入力がなくなる直前の入力座標の変化ベクトルに基づいて、スクロールを制御するので、ユーザーにとって適切ではない中途半端な位置でスクロールが停止してしまう場合があった。
【0008】
ユーザーが操作可能なように操作ボタンが表示されている状態でスクロールが停止する場合は問題なく、また、操作ボタンの端部が少しだけ操作不可な程度に表示されている状態でスクロールが停止する場合も、ユーザーはスクロール可能なことを認識できるので問題ない。
【0009】
その一方、操作不可能な範囲内で操作ボタンが大きく表示されている場合、ユーザーはその操作ボタンを操作できないにもかかわらず、表示パネルの表示領域を無駄に使用していることになる。多機能プリンターの表示画面の場合、比較的小さい表示パネルに操作ボタンを表示する必要があるので、表示パネルの表示領域を無駄に使用すると、ユーザーはさらにフリック操作が必要になるなど操作性が低下する。
【0010】
また、特許文献2に開示された技術によると、停止する際、スクロール速度に応じて算出された調整量分だけ逆スクロールするので、ユーザーにとって、逆スクロールの動きが不自然に感じることがあった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フリック操作により、適切な位置に、自然な動きで停止するスクロール動作を実現する表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示制御装置の第1の特徴は、フリック操作に基づいて表示対象をスクロールさせて表示操作パネルの表示枠内に表示させる表示制御装置であって、
前記フリック操作を検知したときに、前記検知されたフリック操作の初速度と前記スクロールを停止する下限速度と加速度とに基づいて、前記表示対象の停止位置を算出停止位置として算出し、所定間隔で定められた複数の停止候補位置から、前記算出停止位置に最も近い停止候補位置を目標停止位置として決定する停止位置算出手段と、
前記決定した目標停止位置における前記下限速度まで連続的に減速するように前記表示対象をスクロール表示させる表示制御手段と、を備えたことにある。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示制御装置の第2の特徴は、
前記表示制御手段は、前記表示対象が前記決定した目標停止位置で停止するように、前記初速度と前記下限速度とに基づいて前記加速度を補正し、補正した加速度を用いて前記表示対象をスクロール表示させることにある。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示制御装置の第3の特徴は、
前記表示制御手段は、前記表示対象が前記決定した目標停止位置で停止するように、前記加速度と前記下限速度とに基づいて前記初速度を補正し、補正した初速度を用いて前記表示対象をスクロール表示させることにある。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示制御装置の第4の特徴は、
前記停止位置算出手段は、前記表示対象の目標停止位置を前記スクロールの方向における前記表示対象の端部から所定範囲だけ前記表示枠内に表示させる位置に決定し、前記算出した算出停止位置が前記目標停止位置の前後に所定範囲内である場合に、前記算出停止位置に最も近い停止候補位置を目標停止位置として決定することにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る表示制御装置の第1の特徴によれば、先に目標停止位置を算出した後に、停止位置における下限速度まで連続的に減速するように表示対象をスクロール表示させるので、ユーザーにとって適切な位置に自然な動きで停止するスクロール動作を実現することができる。
【0017】
本発明に係る表示制御装置の第2の特徴によれば、表示対象が決定した目標停止位置で停止するように、初速度と下限速度とに基づいて加速度を補正し、補正した加速度を用いて表示対象をスクロール表示させる。
【0018】
そのため、初速度はフリック操作の速度に応じて一定となるので、ユーザーがフリック操作したときの初速度から自然な動きで停止するスクロール動作を実現することができる。
【0019】
本発明に係る表示制御装置の第3の特徴によれば、表示対象が決定した目標停止位置で停止するように、加速度と前記下限速度とに基づいて初速度を補正し、補正した初速度を用いて表示対象をスクロール表示させる。
【0020】
そのため、加速度は常に一定となるので、より自然にスクロール速度を減速させることができる。
【0021】
本発明に係る表示制御装置の第4の特徴によれば、表示対象の目標停止位置をスクロールの方向における表示対象の端部から所定範囲だけ表示枠内に表示させる位置に決定し、前記算出した算出停止位置が前記目標停止位置の前後に所定範囲内である場合に、前記算出停止位置に最も近い停止候補位置を目標停止位置として決定することにある。
【0022】
そのため、操作不可能な範囲内でボタンが大きく表示されることを防止するので、表示パネルの表示領域を無駄に使用することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像生成装置を有するプリンターネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る画像生成装置が有するCPU上に仮想的に構築される内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る画像生成装置が有する表示操作パネルの表示画面の一例を示した図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像生成装置の処理手順を示したフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る画像生成装置における所定範囲を説明した図である。
図6】(a)は、距離X0の停止位置が停止目標位置を超えた場合の位置と速度の関係を示しており、(b)は、距離X0の停止位置が停止目標位置を超えた場合の表示画面例を示している。(c)は、距離X0の停止位置が停止目標位置に未達で停止した場合の位置と速度の関係を示しており、(d)は、距離X0の停止位置が停止目標位置に未達で停止した場合の表示画面例を示している。(e)は、距離X0を補正距離X1に補正したときの位置と速度の関係を示しており、(f)は、距離X0を補正距離X1に補正したときの表示画面例を示している。
図7】本発明の実施形態に係る画像生成装置におけるフリック操作によるスクロール動作を説明した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明に係る表示制御装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
[第1実施形態]
(表示制御装置の構成)
以下に添付図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る表示制御装置を詳細に説明する。
【0026】
(プリンターネットワークシステムの全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示制御装置を有するプリンターネットワークシステムの概略構成を示す説明図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係る画像生成装置2が有するCPU上に仮想的に構築される内部構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態のプリンターネットワークシステムは、印刷処理等の各処理機能を有すると共に、請求項の表示制御装置としても機能する画像生成装置2と、ネットワークLANを介して画像生成装置2と接続される複数のクライアント端末1(図1中では、代表して1つのクライアント端末1についてのみ図示。)とを有している。
【0028】
ネットワークLANは、通信プロトコルTCP/IPを用いた10BASE−Tや100BASE−TX等によるローカルネットワーク(LAN)や無線LAN(WLAN)等の無線ネットワークであり、例えば、ピア・トゥー・ピアによる家庭内ネットワークなどの簡易的なネットワークなども含まれる。
【0029】
各クライアント端末1は、PC(パーソナルコンピュータ)等の汎用コンピュータによって構成されるものである。このクライアント端末1は、制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16を備えている。また、CPU16には、ワーキングエリアとして機能するRAM18や、データを格納するROM17等が接続されているとともに、各種インターフェイスを介して種々のデバイスと接続されている。具体的にはCPU16は、各種インターフェイスを介して、キーボードやマウス等から構成される入力部19や、液晶ディスプレイ等から構成される出力部20、大容量の記憶装置などの外部記憶装置21、外部記録媒体50内に記録されたデータを読み取るとともに外部記録媒体50に所定のデータを書き込むディスクドライブ22などが接続されている。
【0030】
外部記憶装置21には、文書、画像等の印刷画像を含む原稿データを生成するためのアプリケーションプログラムの格納領域、画像生成装置2のプリンタードライバープログラムの格納領域、その他各種アプリケーションプログラムの格納領域が確保されている。
【0031】
CPU16は、プロセッサーやメモリその他の周辺装置によって構成される演算装置であり、入力部19から入力される起動要求に従って外部記憶装置21のアプリケーションプログラムを起動させる。また、CPU16は、入力部19からのパラメータ入力等により指示された画像を示す画像データを、起動されたアプリケーションプログラム上において生成する。生成された画像データは出力部20において表示出力され、また、入力部19から保存要求が入力された場合には、外部記憶装置21のデータベース領域に記憶される。
【0032】
外部記憶装置21のデータベース領域に記憶された画像データは、アプリケーションプログラムの起動中に入力部19からの読み出し要求が入力された場合に、外部記憶装置21から読み出される。読み出された画像データの印刷画像は、出力部20に表示出力することができ、また、アプリケーションプログラム上において加工して新たな画像データに生成し直すこともできる。
【0033】
そして、CPU16は、原稿アプリケーションプログラム等で生成した原稿データの印刷要求が入力された場合に、プリンタードライバープログラムをCPU16上で実行させることでCPU上にプリンタードライバー11を仮想的に構築する。そして、プリンタードライバー11によって画像生成装置2に印刷ジョブを出力させる。プリンタードライバー11は、クライアント端末1に接続された画像生成装置2を制御するために、クライアント端末1上で実行されるデータ変換プログラムである。このプリンタードライバー11は、ユーザーにより、印刷を要求する操作が行われた場合、原稿アプリケーション等が生成した印刷画像を有する画像データを取得し、所定の印刷設定情報に従って印刷ジョブを生成する。そして、生成した印刷ジョブを外部インターフェース部15から画像生成装置2に出力する。
【0034】
一方、画像生成装置2は、多数のノズルが形成されたインクヘッドを複数備え、それぞれのインクヘッドから黒又はカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行い、搬送ベルト上の記録用紙上に複数の画像を互いに重なり合うように形成するインクジェット方式のカラープリンターである。
【0035】
本実施形態において、この画像生成装置2には、ローカルエリアネットワークLANを介して、複数のクライアント端末1における外部インターフェース部15がそれぞれ接続された外部インターフェース部94と、原稿上の画像情報を印刷画像として読み取って画像信号を出力するスキャナー部98と、スキャナー部98から出力された画像信号に基づいて印刷用紙(片面又は両面)に印刷画像を印刷(記録)するプリンター部96と、画像生成装置2に対する操作に関する情報を表示する表示部である表示操作パネル97と、表示操作パネル97の表示制御を行うとともに、画像生成装置全体の制御を行う制御ユニット90とを備える。
【0036】
各クライアント端末1から制御ユニット90は、印刷画像の印刷ジョブを受け取る。制御ユニット90は、受け取った印刷ジョブにより印刷画像のラスターデータを生成する。画像生成装置2は、印刷ジョブにおいて指定された条件で、印刷画像の印刷用紙への印刷をプリンター部96において実行する。
【0037】
また、制御ユニット90には、操作画面とこれを覆うタッチパネルとで構成された表示操作パネル97が接続されている。図2に示すように、この表示操作パネル97は、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネル97aと、このタッチパネル97aの裏面に配置され、各種表示画面を表示する液晶表示パネル97bとを有している。利用者は、液晶表示パネル97bの表示画面を見ながら、タッチパネル97aの表面を指などで直接触れることで、表示画面上に表示された各種ボタンの押下操作を行うことができる。また、表示操作パネル97は、表示画面を指で押してからはじくように動かすフリック操作や、表示画面を指で押した状態のまま一定方向へ掃くように動かすスワイプ操作を検知する。
【0038】
図3は、本発明の第1実施形態に係る画像生成装置2が有する表示操作パネル97の表示画面の一例を示した図である。
【0039】
図3に示すように、表示操作パネル97には、液晶表示パネル97bに重なり合ってタッチパネル97aが設けられている。
【0040】
液晶表示パネル97bに表示される表示画面には、機能ボタンスクロール領域97b1が設けられている。この機能ボタンスクロール領域97b1には、例えば、原稿セット方向を指定するためのボタンや、原稿サイズを指定するためのボタンなど複数のボタンが左右方向にスクロール可能に表示されている。
【0041】
ユーザーは、フリック操作を行うことにより、機能ボタンスクロール領域97b1内に表示されているボタンを左右方向にスクロールさせることができる。このとき、後述するように、ボタンが自然な動きでスクロールされて、適切な位置で停止するスクロール動作を実現する。
【0042】
プリンター部96に印刷動作を行わせる画像生成装置2の制御ユニット90は、CPU95を備える。このCPU95は、CPUやDSP(Digital Signal ProceSSor)等のプロセッサー、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算処理装置である。CPU95は、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行う。また、CPU95は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、表示操作パネル97から入力設定される内容に応じたスキャナー部98やプリンター部96の動作を制御する。
【0043】
なお、制御ユニット90にはRAM92が設けられており、RAM92には、CPU95が各処理を実行する上で必要なデータを一時的に記憶される。
【0044】
さらに、制御ユニット90には外部記憶装置93が設けられており、この外部記憶装置93はCPU95に接続されている。
【0045】
(CPU95上の構成)
次に、CPU95上の内部ブロックについて説明する。
【0046】
図2に示すように、制御ユニット90は、外部インターフェース部94、表示操作パネル97、プリンター部96と接続され、CPU95と、印刷ジョブ記憶部93aとを備える。ここで、印刷ジョブ記憶部93aは、外部記憶装置93の記憶領域として設けられており、印刷ジョブ受信部901により受信された印刷ジョブを記憶する。なお、本実施形態中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせ等によって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0047】
印刷ジョブ記憶部93aは、印刷ジョブ受信部901により受信された印刷ジョブを記憶する。
【0048】
CPU95上には、印刷ジョブ受信部901と、操作信号取得部903と、印字制御部911と、停止位置算出部905と、表示制御部906とを備えられている。
【0049】
印刷ジョブ受信部901は、印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部93aに記憶させるモジュールである。例えば、外部インターフェース部94を通じて接続されたユーザー端末(図示しない)から画像データを含む印刷ジョブが入力され、印刷ジョブ記憶部93aに記憶させる。
【0050】
操作信号取得部903は、ユーザーがタッチパネル97a上で表示されたボタンの押下操作やフリック操作を行った場合、タッチパネル97aにより検知された操作信号を取得し、その操作信号を印字制御部911や停止位置算出部905に送信する。
【0051】
印字制御部911は、各色のインクジェットヘッドの駆動や、搬送経路の駆動手段の動作を制御し、画像形成処理全体を制御するモジュールであり、スケジューリングに従ったタイミング及び印字速度で画像形成を行う。より具体的には、印字制御部911は、操作信号取得部903により取得された操作信号と印刷ジョブ記憶部93aに記憶された印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて、搬送される用紙に対して、インクジェットヘッド96C,96M,96Y,96Kから0ドロップ〜7ドロップのいずれかのドロップ数でインクを吐出することによりライン単位で印刷する。
【0052】
停止位置算出部905は、フリック操作を検知したときに、検知されたフリック操作の初速度とスクロールを停止する下限速度と加速度とに基づいて、表示対象の停止位置を算出停止位置として算出し、所定間隔で定められた複数の停止候補位置から、算出停止位置に最も近い停止候補位置を目標停止位置として決定するモジュールである。
【0053】
表示制御部906は、停止位置算出部905により決定された目標停止位置における下限速度まで連続的に減速するようにボタンをスクロール表示させるモジュールである。
【0054】
<画像生成装置の作用>
次に、本発明の実施形態に係る画像生成装置2の作用について説明する。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る画像生成装置2の処理手順を示したフローチャートである。
【0056】
図4に示すように、ユーザーがタッチパネル97a上でフリック操作を行った場合(ステップS101;YES)、タッチパネル97aにより検知された操作信号を取得し、その操作信号を停止位置算出部905に送信する。
【0057】
停止位置算出部905は、受信した操作信号に基づいて初速度V0を決定する(ステップS103)。ここで、初速度V0は、ユーザーのフリック操作において、表示画面を指で押してからはじくように動かす際に、指が表示画面から離れる瞬間の速度のことである。
【0058】
次に、停止位置算出部905は、ステップS103において決定したフリック操作の初速度V0と、スクロールを停止する下限速度Vとに基づいて、例えば、下記の(数式1)を用いて、スクロールする左右方向におけるフリック操作された位置から停止位置までの距離X0を算出する(ステップS105)。
【0059】
X0=(V―V0)/2a (数式1)
【0060】
ここで、aはデフォルトの加速度であり、例えば、−10(mm/s)など予め定められた値が用いられる。また、加速度aにより減速していき、完全に停止するまでの距離をX0とするとき、下限速度Vを0(mm/s)と設定してもよいし、加速度aにより減速していき、完全に停止する前に強制的にスクロールの速度を0(mm/s)とする速度を下限速度Vとして、例えば10(mm/s)など設定してもよい。
【0061】
次に、表示制御部906は、算出した距離X0の停止位置(算出停止位置)が所定範囲d内か否かを判定する(ステップS107)。
【0062】
図5は、所定範囲dを説明した図である。
【0063】
図5に示すように、表示操作パネル97の液晶表示パネル97bに表示される機能ボタンスクロール領域97b1に表示されるボタン971〜974は、左右方向にスクロール可能に表示される。
【0064】
そして、スクロールして最終的に液晶表示パネル97bの機能ボタンスクロール領域97b1の枠の右端部に合わせて停止させたい目標となる位置の候補を停止候補位置Tとする。この停止候補位置Tは、ユーザーがスクロール可能なことを認識できるように、ボタン972とボタン973との境界より少しだけ右方向にずれた位置として、所定間隔ごとに複数設けられている。そして、後述するように、複数の停止候補位置Tのなかから算出停止位置に最も近い停止候補位置Tが目標停止位置Sとして決定される。そして、この目標停止位置Sから左右方向に所定の距離だけ離れた範囲が、所定範囲dとなる。
【0065】
表示制御部906は、算出した距離X0の停止位置(算出停止位置)がこの所定範囲d内にある場合、液晶表示パネル97bの表示画面の枠の右端部から操作不可能にもかかわらず、ボタンが大きく表示されていることになる。このようにボタンが表示されてしまうと、ユーザーはその操作ボタンを操作できないにもかかわらず、表示パネルの表示領域を無駄に使用していることになる。特に、画像生成装置2の液晶表示パネル97bの表示画面は、比較的小さいサイズであるので、液晶表示パネル97bの表示領域を無駄に使用すると、ユーザーはさらにフリック操作が必要になるなど操作性が低下してしまう。
【0066】
そこで、算出した距離X0の停止位置(算出停止位置)が所定範囲d内であると判定した場合(ステップS107;YES)、表示制御部906は、算出した距離X0の停止位置(算出停止位置)が目標停止位置Sとなるように、距離X0を補正して補正距離X1を算出する(ステップS109)。このとき、上述したように、停止候補位置Tは所定間隔ごとに複数設けられているので、複数の停止候補位置Tの中から算出停止位置に最も近い停止候補位置Tが目標停止位置Sとして決定される。そのため、表示制御部906は、スクロールする左右方向におけるフリック操作された位置からこの決定された目標停止位置Sまでの補正距離X1を算出する。
【0067】
図6は、距離X0の補正を説明した説明図である。(a)は、距離X0の停止位置(算出停止位置)が目標停止位置Sを超えた場合の位置と速度の関係を示しており、(b)は、距離X0の停止位置(算出停止位置)が目標停止位置Sを超えた場合の表示画面例を示している。(c)は、距離X0の停止位置(算出停止位置)が目標停止位置Sに未達で停止した場合の位置と速度の関係を示しており、(d)は、距離X0の停止位置(算出停止位置)が目標停止位置Sに未達で停止した場合の表示画面例を示している。(e)は、距離X0を補正距離X1に補正したときの位置と速度の関係を示しており、(f)は、距離X0を補正距離X1に補正したときの表示画面例を示している。
【0068】
図6(a),(b)に示したように、距離X0の停止位置(算出停止位置)R1が目標停止位置Sを超えており、かつ、算出停止位置R1がこの所定範囲d内にある場合、液晶表示パネル97bの機能ボタンスクロール領域97b1の枠の右端部からボタン973の左側の一部が大きく表示されていることになる。しかしながら、ボタン973の右側の一部は表示画面の枠外であるので、ユーザーはこのボタン973を操作することはできない。そのため、液晶表示パネル97bの機能ボタンスクロール領域97b1を無駄に使用していることになる。
【0069】
また、図6(c),(d)に示したように、距離X0の停止位置(算出停止位置)R2が目標停止位置Sに未達であり、かつ、算出停止位置R2がこの所定範囲d内にある場合、液晶表示パネル97bの機能ボタンスクロール領域97b1の枠の右端部からボタン972の左側の一部が大きく表示されていることになる。しかしながら、ボタン972の右側の一部は表示画面の枠外であるので、ユーザーはこのボタン972を操作することはできない。そのため、同様に、液晶表示パネル97bの機能ボタンスクロール領域97b1を無駄に使用していることになる。
【0070】
一方、図6(e),(f)に示したように、距離X0を補正距離X1に補正した場合、算出停止位置R3は目標停止位置Sに一致する。そのため、図6(f)に示したように、液晶表示パネル97bの機能ボタンスクロール領域97b1の枠の右端部からボタン973の左側の一部が少しだけ表示されていることになる。そのため、ユーザーは同じ方向に更にスクロールすることが可能であることを認識できるので、液晶表示パネル97bの機能ボタンスクロール領域97b1を有効に活用していることになる。
【0071】
次に、表示制御部906は、距離X0または補正距離X1に基づいて加速度aを算出する(ステップS111)。具体的には、算出した距離X0の停止位置(算出停止位置)が所定範囲d外である場合(ステップS107;NO)、表示制御部906は、下記の(数式2)を用いて加速度aを算出する。
【0072】
a=(V−V0)/2X0 (数式2)
【0073】
一方、算出した距離X0の停止位置(算出停止位置)が所定範囲d内であり、距離X0を補正して補正距離X1を算出する場合(ステップS107;YES,ステップS109)、表示制御部906は、下記の(数式3)を用いて加速度aを算出する。
【0074】
a=(V−V0)/2X1 (数式3)
【0075】
これにより、加速度aが算出されるので、表示制御部906は、初速度V0から加速度aに基づいて減速するように、液晶表示パネル97bの表示画面内dで、ボタンをスクロール動作させる(ステップS113)。
【0076】
図7は、本発明の実施形態に係る画像生成装置2におけるフリック操作によるスクロール動作を説明した説明図である。
【0077】
図7(a)に示すように、液晶表示パネル97bに表示される機能ボタンスクロール領域97b1に対して、ユーザーが表示画面を指で押してから矢印方向(左方向)にはじくように動かすフリック操作を行うと、図7(b)に示すように、機能ボタンスクロール領域97b1の表示枠内に表示されるボタンが左側へスクロール表示される。
【0078】
そして、図7(c)に示すように、スクロール動作が停止したとき、液晶表示パネル97bに表示される機能ボタンスクロール領域97b1の機能ボタンスクロール領域97b1の枠の右端部からボタン973の左側の一部が少しだけ表示されていることになる。これにより、ユーザーは同じ方向に更にスクロールすることが可能であることを認識できる。
【0079】
以上のように、本発明の実施形態に係る画像生成装置2によれば、停止位置算出部905が、フリック操作を検知したときに、検知されたフリック操作の初速度とスクロールを停止する下限速度と加速度とに基づいて、ボタンの停止位置を算出停止位置として算出し、所定間隔で定められた複数の停止候補位置Tから、算出停止位置に最も近い停止候補位置Tを目標停止位置Sとして決定し、表示制御部906が、決定した目標停止位置Sにおける下限速度まで連続的に減速するように表示対象をスクロール表示させる。
【0080】
このように、先に目標停止位置Sが決定され、その後、目標停止位置Sにおける下限速度まで連続的に減速するようにボタンをスクロール表示させるので、ユーザーにとって適切な位置に自然な動きで停止するスクロール動作を実現することができる。
【0081】
また、停止位置算出部905は、ボタンの目標停止位置をスクロール方向におけるボタンの端部から所定範囲だけ機能ボタンスクロール領域97b1の枠内に表示させるように決定し、算出した停止位置(算出停止位置)が目標停止位置Sの前後に所定範囲内である場合に、算出停止位置に最も近い停止候補位置Tを目標停止位置Sとして決定する。
【0082】
これにより、操作不可能な範囲内でボタンが大きく表示されることを防止するので、表示パネルの機能ボタンスクロール領域97b1を無駄に使用することを防止することができる。
【0083】
なお、本発明の実施形態に係る画像生成装置2では、フローチャートのステップS111に示したように、(数式2)または(数式3)を用いて加速度aを算出し、初速度V0から加速度aに基づいて減速するように、液晶表示パネル97bの表示画面内dで、ボタンをスクロール動作させた。
【0084】
しかしながら、これに限らず、表示制御部906は、下記の(数式4)を用いて初速度V1を算出し、算出した初速度V1からデフォルトの加速度aに基づいて減速するように、液晶表示パネル97bの表示画面内dで、ボタンをスクロール動作させるようにしてもよい。
【0085】
【0086】
なお、本発明の実施形態に係る画像生成装置2では、表示対象としてボタンを例に挙げて説明したが、表示対象はボタンに限らず、アイコンなどでももちろんよい。
【0087】
また、本発明の実施形態は、表示制御装置の一例として画像生成装置2としたが、これに限らず、表示操作パネルを備えたクライアント端末1を表示制御装置としてもよい。この場合、CPU16に印刷ジョブ受信部901と、操作信号取得部903と、印字制御部911と、停止位置算出部905と、表示制御部906とが備えられる。すなわち、本発明は、表示操作パネルを備え、ユーザーがタッチパネルからフリック操作が可能な全ての装置に適用できる。
【符号の説明】
【0088】
1…クライアント端末
2…画像生成装置
11…プリンタードライバー
15…外部インターフェース部
16,95…CPU
17,91…ROM
18,92…RAM
19…入力部
20…出力部
21,93…外部記憶装置
22…ディスクドライブ
50…外部記録媒体
90…制御ユニット
93a…印刷ジョブ記憶部
94…外部インターフェース部
96…プリンター部
96C…インクジェットヘッド
96K…インクジェットヘッド
96M…インクジェットヘッド
96Y…インクジェットヘッド
97…表示操作パネル
97a…タッチパネル
97b…液晶表示パネル
97b1…機能ボタンスクロール領域
98…スキャナー部
901…印刷ジョブ受信部
903…操作信号取得部
905…停止位置算出部
906…表示制御部
911…印字制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7