(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194885(P2017-194885A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】水中センサ
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20170929BHJP
G01S 15/74 20060101ALI20170929BHJP
G08C 17/02 20060101ALI20170929BHJP
H04R 1/44 20060101ALI20170929BHJP
G01S 15/96 20060101ALN20170929BHJP
【FI】
G08C19/00 Q
G01S15/74
G08C19/00 301B
G08C17/02
H04R1/44 330Z
G01S15/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-85809(P2016-85809)
(22)【出願日】2016年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】505261955
【氏名又は名称】株式会社環境シミュレーション研究所
(71)【出願人】
【識別番号】395014851
【氏名又は名称】株式会社村山電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】510152633
【氏名又は名称】フュージョン有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 喜代志
(72)【発明者】
【氏名】柳 新一郎
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 豊喜
【テーマコード(参考)】
2F073
5D019
5J083
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA19
2F073AB01
2F073BB07
2F073BB11
2F073BC02
2F073BC05
2F073CC03
2F073CC12
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD01
2F073DD06
2F073DE08
2F073EE11
2F073EF07
2F073EF09
2F073FF20
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG07
2F073GG08
5D019EE02
5D019EE06
5D019FF02
5J083AA03
5J083AB01
5J083AD02
5J083AD06
5J083AD22
5J083AE07
5J083AF15
5J083BA07
5J083CA10
5J083CB01
5J083DB02
5J083DB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水中センサの消費電力の低減を実現する。
【解決手段】センサ部と、センサ部の測定データを水中超音波として送信する送信信号処理部と、水中超音波を受信し、受信信号の周波数が所定の周波数とほぼ一致するかどうかを判定する周波数弁別回路を有する受信信号処理部と、受信信号処理部の判定結果が供給され、受信信号の周波数が所定の周波数とほぼ一致する場合に送信信号処理部を起動するような制御を行う制御部とを備える水中センサである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部と、前記センサ部の測定データを水中超音波として送信する送信信号処理部と、
水中超音波を受信し、受信信号の周波数が所定の周波数とほぼ一致するかどうかを判定する周波数弁別回路を有する受信信号処理部と、
前記受信信号処理部の判定結果が供給され、前記受信信号の周波数が所定の周波数とほぼ一致する場合に前記送信信号処理部を起動するような制御を行う制御部と
を備える水中センサ。
【請求項2】
前記受信信号処理部は、受信信号のレベルがしきい値レベルを超える場合に、前記周波数弁別回路の電源をONとする請求項1に記載の水中センサ。
【請求項3】
前記受信信号処理部は、受信信号の個数及び/又は間隔が所定の場合に、前記周波数弁別回路の電源をONとする請求項1又は2に記載の水中センサ。
【請求項4】
前記所定の周波数が魚群探知機の探知ビームの周波数とほぼ一致するようにした請求項1乃至3の何れかに記載の水中センサ。
【請求項5】
測定データ又は測定データを処理したデータを記憶するメモリを有する請求項1乃至4の何れかに記載の水中センサ。
【請求項6】
前記送信信号処理部は前記センサ部からの測定データに応じて識別信号の時間間隔を変調するようにした請求項1乃至5の何れかに記載の水中センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に設置され、水質、水深等を測定するのに適用される水中センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば海水の水温、水深等を測定するための装置として、回収形の大型の装置として、CTD(電気伝導度(塩分)、水温、水深計)が知られている。CTDは、観測船(調査船)からケーブルにつないで海中に投下され、塩分と水温の深さ方向の分布を測定する。測定データによって海水の特性、流れなどが解析される。
【0003】
CTDは、大型で高価なため、漁船などではより小型で安価な水中センサが使用されている。水中センサは、筒状のケース内に各種センサを搭載し、測定データを内蔵のメモリに蓄え、回収後にメモリの測定データを専用のリーダによって読み取るものである。
【0004】
メモリに測定データを記憶させる構成の場合、リアルタイムに水温を知ることができない問題がある。例えば特許文献1には、ケーブルを不要とし、得られた測定データをリアルタイムで船上の本局に水中超音波によって送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−9709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される構成では、使用時には、船上の海上局と海中の水中センサ(送受信局)の間で連続的に相互通信しており、電池の消耗が激しい問題があった。使い捨てとされることを考慮すると、水中センサの使用可能期間は、1年以上のことが望ましい。節電の方法の一つとして非測定時には水中センサを休止状態とし、測定時のみ水中センサを動作させることが考えられる。しかしながら、水中センサが動作して自身の測定データを送信する場合に、その測定データを受信する海上局を積んだ船が付近にいるとは限らないので測定データを確実に収集することが難しい問題がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、水中センサの測定データの収集を確実に行うことができ、また、消費電力が少なく、使用可能期間を長くすることができる水中センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、センサ部と、センサ部の測定データを水中超音波として送信する送信信号処理部と、
水中超音波を受信し、受信信号の周波数が所定の周波数とほぼ一致するかどうかを判定する周波数弁別回路を有する受信信号処理部と、
受信信号処理部の判定結果が供給され、受信信号の周波数が所定の周波数とほぼ一致する場合に送信信号処理部を起動するような制御を行う制御部と
を備える水中センサである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定の水中超音波を受信した場合に送信信号処理部を起動して測定を行うので、消費電力を少なくすることができ、装置の使用可能期間を長くすることができる。さらに、漁船、調査船等の船舶が近くにいることを保証できるので、測定データの送信が無駄とならない利点があるなお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の測定システムの概略の説明に用いる略線図である。
【
図2】水中センサの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施の形態の説明に使用する波形図である。
【
図4】一実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
本発明の説明は、以下の順序にしたがってなされる。
<1.一実施の形態>
<2.変形例>
【0012】
<1.一実施の形態>
図1は、一実施の形態の測定システムの概略を示すものである。例えば海中に対して水中センサ1が設置されている。水中センサ1に錘を取り付けて水中センサ1の位置がなるべく変化しないようにされている。水中センサ1は、海底に置かれる以外に魚礁等の構造物、漁網、カニカゴ等の漁具に取り付けるようにしてもよい。水中センサ1は、水深、水温、水質(塩分濃度、酸素濃度等)等を測定するためのセンサ部と、船上の送受信装置との送受信のための通信部と、電池等の電源部と、測定データを記憶する記憶部等を備えている。
【0013】
水中センサ1により得られた測定データが水中音波信号として海上局に対して送信される。例えば漁船2上に海上局が積まれている。海上局は、水中音波を送信するための送波器と、水中音波を受信するための受波器と、通信部を備えている。海上局は、インターネット等の通信を介して陸上局と通信することが可能とされている。漁船2の代わりに観測船であってもよい。但し、観測船の数が限られており広範な海域における海洋データを取得するためには漁業従事者の協力を得て漁船2に対して海上局を設置することが実際的である。
【0014】
漁船2は魚群探知機を備えているのが普通である。魚群探知機は水中に超音波を発射してその反射波をとらえることによって魚群をの存在、水深、海底の地形等を知ることができる漁労用の電子機器である。魚群探知機では超音波の周波数の種類が何種類か使用されている。必要に応じて周波数を切り替えるようにされている。一例として、30〜400kHzの範囲の周波数の超音波が使用されている。
【0015】
漁船2の魚群探知機からの水中超音波(探知ビームと適宜称する)3を海底の水中センサ1が受信することが可能とされている。水中センサ1が探知ビーム3を受信していない状態(
図1Aに示す状態)では、水中センサ1が節電モードとされる。節電モードは魚群探知機の探知ビームを受信して水中センサ1を起動するための構成部分のみが動作している状態である。
【0016】
一方、
図1Bに示すように水中センサ1が探知ビームを受波する場合には節電モードから動作モードへ切り替えられる。動作モードは水温等の測定機能と、測定データを処理する機能と、海上局へ測定データを送信する通信機能と、測定データの送信完了後に節電モードとするための構成部分が動作している状態である。
【0017】
なお、水中センサ1の設置は、調査船、漁船によって前もってなされ、設置位置が記録、記憶されている。例えば漁船2の操業海域内の複数の場所に水中センサ1が錘を付けて投下され、投下直後の水中センサ1からの超音波を受波することによって設置位置を調べるようになされる。したがって、その後に漁船2が操業海域内で操業している場合に、魚群探知機の探知ビーム3が水中センサ1に到達することができる。さらに、探知ビーム3の代わりに海上局の所定の送信ビームに水中センサ1が応答して節電モードと動作モードとを切り替えるようにしても良い。但し、魚群探知機の探知ビーム3を水中センサ1の起動用に兼用することは実用的である。
【0018】
水中センサ1は、円筒状の樹脂製のケースの中にプリント基板に実装された回路部、電源としての一次電池例えばリチウムイオン一次電池が収納され、ケース内にエポキシ樹脂が充填される。ケースの一端からセンサ(例えば温度センサ、深度センサとしての圧力センサ)及び水中に超音波を出射すると共に水中超音波を受波するための超音波送受波器が突出されている。なお、一次電池の代わりに大容量キャパシタを使用しても良い。
【0019】
図2を参照して水中センサ1の一例の電気的構成を示す。水中センサ1の全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit )11が設けられている。CPU11は、図示しないが、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等と共にマイクロプロセッサを構成する。CPU11に対してメモリ12が接続されている。メモリ12には、水中センサ1が取得した測定データ又は測定データに対してノイズ除去等の処理を行ったデータが格納される。メモリ12のデータは、海中から水中センサ1が引き上げられた場合、海上局又は陸上局の装置によって有線インターフェース、又は無線インターフェースを通じて読み取られる。
【0020】
センサ13の検出信号がセンサアンプ14を介してA/Dコンバータ15に供給され、所定ビット数のデジタルデータに変換される。A/Dコンバータ15の出力データがCPU11に供給されて処理される。センサ13、センサアンプ14及びA/Dコンバータ15のそれぞれの電源供給をON/OFFするスイッチSW1、SW2及びSW3が設けられている。電源として電池(例えばリチウムイオン一次電池)16が使用される。これらのスイッチSW1〜SW3は、CPU11からの制御信号によって制御される。CPU11に対して送信信号処理部及び受信信号処理部が設けられている。
【0021】
送信信号処理部は、ゴールド符号信号発生器17、送信アンプ18及び送波器19により構成されている。ゴールド符号は、PN(Pseudorandom Noise)系列の一つである。一例として、ゴールド符号の所定数のビットでキャリア信号をそれぞれ位相変調した送信信号が形成される。ゴールド符号として複数種類例えば32種類のゴールド符号が使用されている。ゴールド符号は、送信データの種類及び水中センサ識別用のIDを表している。データの値は、例えば送信データの間隔によって表される。ゴールド符号発生器17、送信アンプ18及び送波器19のそれぞれの電源供給をON/OFFするスイッチSW4、SW5及びSW6が設けられている。これらのスイッチSW4〜SW6は、CPU11からの制御信号によって制御される。
【0022】
送信データが送信アンプ18を介して送波器19に供給される。送波器19は、圧電素子を積層したもので、圧電素子に対して交流電圧(駆動信号)を加えることによって、超音波を発生する。発生した超音波が海中に放射される。圧電素子の共振周波数の駆動信号を加えることによって強い超音波振動を生じさせることができる。送波器19からの超音波が漁船に搭載されている海上局の受波器によって受波される。このような送受信によって、リアルタイムに測定データを取得することができる。したがって、操業中の漁船では、水深、水温等の測定データと漁獲高との関係を知ることが可能となる。
【0023】
さらに、海中の超音波を受けるための受波器20が設けられている。受波器20からの受信信号が受信アンプ21を介して信号レベル識別回路22及び周波数弁別回路23に供給される。信号レベル識別回路22は、受信信号のレベルが識別するための回路である。受信信号のピーク値、平均値、又は包絡線に基づいて受信信号のレベルが予め設定されたしきい値を超えているかどうかが識別される。信号レベル識別回路22の識別結果がCPU11に供給される。
【0024】
周波数弁別回路23は、受信信号の周波数が所定の周波数例えば魚群探知機の探知ビーム3の周波数f(=1/T)と一致(又はほぼ一致)するかどうかが判定される。周波数弁別回路23の判別結果がCPU11に対して供給される。周波数弁別回路23の電源供給をON/OFFするスイッチSW7が設けられている。スイッチSW7は、CPU11からの制御信号によって制御される。後述するように、信号レベル識別回路22によって受信信号のレベルがしきい値を超えると判定される場合にスイッチSW7がCPU11からの制御信号によってONとされる。
【0025】
CPU11は、信号レベル識別回路22の識別結果と周波数弁別回路23の識別結果を受け取って受波した水中超音波が魚群探知機の探知ビーム3であるかどうかを決定する。CPU11は、受波した超音波を魚群探知機の探知ビーム3であると決定すると、スイッチSW1〜SW6をONする電源制御信号を出力する。スイッチSW1〜SW7がOFFしている状態が節電モードであり、これらがONしている状態が動作モードである。節電モードでは、動作モードに比して電力消費が低減される。なお、スイッチSW1〜SW7は半導体スイッチの構成とされ、共通に制御される複数のスイッチを集約して1つのスイッチの構成としても良い。
【0026】
図3は、信号波形の一例を説明するものである。
図3Aは、受信アンプ21からの受信信号例えば探知ビーム3に対応する受信信号を示す。
図1Bに示すように水中センサ1が探知ビームを受波する場合には、しきい値TH以上のレベルの受信信号が得られる。この識別結果に応答して、
図3Bに示すように周波数弁別回路23の電源がONとされる。
【0027】
周波数弁別回路23が探知ビーム3の周波数を検出して
図3Cに示す検出出力を発生する。
図3Dは、探知ビーム3を拡大して示すものである。CPU11が信号レベル識別回路22の識別出力と周波数弁別回路23の検出出力を受け取ってスイッチSW1〜SW6をONとする。その結果、センサ13、センサアンプ14、A/Dコンバータ15、ゴールド符号信号発生器17、送信アンプ18、及び送波器19の電源がONとされ、
図3Eに示すように、ゴールド符号信号が送信される。
【0028】
図3Eに示すように、間欠的にゴールド符号信号を超音波として送信し、ゴールド符号信号の間隔で測定データを送信するので、連続的に通信を行う方式と比較して送信に要する電力を少ないものとでき、電源例えば一次電池の消耗を押さえることができる。さらに、ID信号を送ることができるので、複数の水中センサを使用する場合でも、水中センサの識別が可能となる利点がある。
【0029】
図4を参照して本発明の一実施の形態におけるCPU11の制御によってなされるモード切替動作について説明する。以下に述べる一連の処理は、例えば所定の周期でもってなされる。
ステップST1,ステップST2:信号レベル識別回路22から供給される信号がしきい値(THレベル)を超えているかどうかが判定される。受信信号の信号レベルがTHレベルを超えない場合には処理がステップST1に戻る。
【0030】
ステップST3,ステップST4:受信号号の信号レベルがTHレベルを超えると判定されると、周波数弁別回路23の電源をONとし、周波数を計測する。この周波数が魚群探知機の探知ビーム3の周波数f(=1/T)と一致するかどうかが判定される。なお、周波数が魚群探知機の探知ビーム3の周波数fとほぼ一致する場合も肯定の判定結果としても良い。
ステップST5:受信信号の周波数が探知ビーム3の周波数fと一致しないと判定される場合には、周波数弁別回路23の電源がOFFとされる。
【0031】
ステップST6:ステップST3及びST4において、受信信号の周波数が探知ビーム3の周波数fと一致すると判定されると、ゴールド符号信号発生器17、送信アンプ18及び送波器19の電源をONにし、ゴールド符号信号を送信する。
【0032】
ステップST7:送信が完了したかどうかが判定される。所定の信号の送信の終了後に所定時間経過したら送信完了としても良いし、海上局との間で双方向通信を可能として海上局からの正常受信の応答を受信することによって送信完了としても良い。
【0033】
ステップST8:送信が完了したと判定されると、ゴールド符号信号発生器17、送信アンプ18及び送波器19の電源をOFFとする。以上で起動処理が終了して節電モードに戻る。そして、ステップST1,ステップST2の判定処理を行う状態で待機する。
【0034】
図5を参照して水中センサ1からの水中超音波を受波する受信装置(例えば海上局)について説明する。水中マイクロホンなどの受波器31からの受信信号がバンドパスフィルタ32に供給され、必要な帯域の成分が分離される。バンドパスフィルタ32の出力信号がID検出部33に供給され、ID信号が検出される。
【0035】
ID検出部33で分離されたID信号がデータ判別部34に供給される。データ判別部34は、ID信号の時間間隔を調べ異なる測定データ例えば水温データ及び水深データを判別する。得られた測定データがデータ処理部35に供給される。データ処理部35は、測定データをメモリ36に蓄える。さらに、データ処理部35は、水深と水温との関係を示すグラフ、図表などを表示部37に表示する制御を行う。データ判別部34及びデータ処理部35は、CPUを含むマイクロコンピュータの構成とされる。
【0036】
なお、上述した水中センサ1を海上に引き上げた時に、水中センサ1とデータの送受信を行うための結合コイル及び通信部を備えるようにしても良い。さらに、受信装置は、スマートホン、タブレットなどの小型携帯端末の構成が好ましい。さらに、漁船の場合、受信装置と共に魚群探知機41が搭載されている。魚群探知機41は探知ビームを海中に送信する送波器42と反射ビームを受信する受波器43を有している。魚群探知機41は、海上局と連動する必要はないが、上述したように、水中センサ1が魚群探知機41の探知ビームに応答して起動されるので、魚群探知機41が探知ビームを放射する期間でのみ海上局が動作状態となるように連動させてもよい。
【0037】
本発明の一実施の形態によれば、水中センサ1が所定のレベル及び所定の周波数の水中超音波を受信した場合に、動作モードとされるので、電源(電池)の消耗を抑えることができる。しかも、水中センサ1が起動して測定データを送信する場合には海上局を積んだ漁船、調査船等の船舶が近くにいることが保証されるので、送信が無駄とならず、確実に測定データを取得できる利点がある。さらに、漁船の場合には、通常の操業を行うだけで水中センサ1に対する起動を行うことができるので、余計な手間がかからない利点があり、漁業従事者の協力を得やすい利点がある。
【0038】
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、周波数と共に、複数のパルス状の水中超音波を受信するようになし、その水中超音波の個数及び/又は間隔が所定の場合に送信信号処理部を起動するようにしてもよい。なお、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。例えば漁船に限らず、調査船が所定周波数の探知ビームを放射するようにしてもよい。さらに、淡水面における水質測定に対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 水中センサ
2 漁船
3 探知ビーム
11 CPU
13 センサ
22 信号レベル識別回路
23 周波数弁別回路