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特開2017-194973ゲーミングマーカーの定量的ミスプライシングを認識する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-194973(P2017-194973A)
(43)【公開日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】ゲーミングマーカーの定量的ミスプライシングを認識する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/34 20120101AFI20170929BHJP
【FI】
   G06Q50/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-98578(P2017-98578)
(22)【出願日】2017年5月18日
(62)【分割の表示】特願2016-38491(P2016-38491)の分割
【原出願日】2011年1月28日
(31)【優先権主張番号】61/300,013
(32)【優先日】2010年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512196747
【氏名又は名称】ウルフ、カール、ジー.
(71)【出願人】
【識別番号】517173499
【氏名又は名称】スティーブンス、ジェームス、アール.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ、カール、ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マストロ、ライアン、シー.
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ゲーミングマーカーの定量的ミスプライシングを認識及び評価する、システム及び方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2つのエンティティを定義する工程と、測定されるマーカーを定義する工程と、2つのエンティティの事象の累積期間を定義する工程と、少なくとも2つのエンティティが累積期間中に各事象について測定されるマーカーに達成するかまたは達成しないに基づいて、測定されるマーカーに数値を割当てる工程と、累積期間中の測定されるマーカーの数値の発散を測定する工程と、発散を定量化する工程とを含む。システムは、インターフェース経由でユーザから情報を受信し、ユーザが入力した情報に基づいて来たるべき事象の発散値及び/又はグラフを計算し、発散値及び/又はグラフをユーザに提供する。発散値は、その数値の強さを評価するために、発散スケールと比較することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定義されたマーカーを評価する方法であって、
少なくとも2つのエンティティを定義する工程と、
測定されるマーカーを定義する工程と、
前記2つのエンティティの事象の累積期間を定義する工程であって、各事象は前記測定されるマーカーを有するものである、前記定義する工程と、
前記少なくとも2つのエンティティが前記累積期間中に各事象について前記測定されるマーカーに達成するかまたは達成しないかに基づいて、前記測定されるマーカーに数値を割当てる工程と、
前記累積期間中の前記測定されるマーカーの前記数値の発散を測定する工程と、
前記発散を定量化する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記測定されるマーカーに割当てる前記数値は、整数、実際の数値、およびパーセンテージから成る群のうちの少なくとも1つである方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記測定されるマーカーに割当てられた前記数値の合計により発散スプレッドを定義するものである方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記発散は、前記発散スプレッドを前記累積期間中に起こった事象の数で除算することにより定量化されるものである方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、さらに、
前記累積期間中に起こった1若しくはそれ以上の前記事象の前記測定されるマーカーに割当てられた前記数値を重み付けする工程を有するものである方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記重み付けする工程は、前記累積期間中に起こった前記事象の時系列順に基づくものである方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、さらに、
前記定量化された発散強度を評価するスケールを実行する工程を有するものである方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、さらに、
前記定量化された発散強度について、当該方法を利用するユーザに警告する工程を有するものである方法。
【請求項9】
ゲーミングマーカーのミスプライシングを定量化するデータをユーザに提供するために利用されるシステムであって、前記データは電子的形態で要求者に提供されるものであり、
少なくとも1つの来たるべき事象について、前記ゲーミングマーカーのミスプライシングを定量化する前記データを取得するための情報を、前記要求者によって入力可能にするインターフェースであって、前記情報は、少なくとも2つのエンティティ、測定されるマーカー、および前記2つのエンティティの事象の累積期間を定義するものであり、各事象は前記測定されるマーカーを有するものである、前記インターフェースと、
過去の事象の履歴データを受信するデータベースと、
前記要求者により入力された前記情報を受信し、前記要求者から受信した情報および前記履歴データに基づいて前記少なくとも1つの来たるべき事象の発散を計算する工程、履歴データの少なくとも1つのグラフを作成する工程、およびこれらの工程の組合せから成る群のうち少なくとも1つを実行する処理装置であって、前記発散を計算する工程は、前記少なくとも2つのエンティティが前記累積期間中に前記測定されるマーカーに達成するかまたは達成しないかに基づいて、前記測定されるマーカーに数値を割当てる工程を含むものである、前記処理装置と、
前記少なくとも1つの来たるべき事象の発散、前記少なくとも1つのグラフ、およびそれらの組合せから成る群のうち少なくとも1つを前記要求者に表示する表示装置と
を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権に関する通告
本特許明細書の開示の一部は、著作権保護の対象となるデータを含む。著作権所有者は、本特許明細書または特許開示を米国特許商標庁の包袋または記録に記載されている通りに複製することについては異議を唱えないが、それ以外については一切全ての著作権を保留する。
【0002】
関連出願クロスリファレンス
本出願は、2010年1月31日付で出願された「Methods and Systems to Recognize Quantitative Mispricing of Gaming Markers(ゲーミングマーカーの定量的ミスプライシングを認識する方法およびシステム)」と題する米国仮特許出願第61/300,013号に対して利益を主張し、同出願明細書を、ここに全体が記載されたごとく、この引用によって本明細書に組み込む。
【0003】
コンパクトディスクに入れて提出したデータの引用による組込み
本明細書に添付した付録をリスト化したコンピュータプログラムは、SMFRQMGMComputerProgramListing.txtという名称で、2011年1月27日付で作成されており、サイズは186KBであり、ここに全体が記載されたごとく、引用によって本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0004】
本発明の実施形態は一般的に、ゲーミングマーカーの定量的ミスプライシングを認識するシステムおよび方法に関する。本発明は特に、真の価値からのゲーミングマーカーの発散を計算することにより、ゲーミングマーカーの定量的ミスプライシングを認識するシステムおよび方法に関する。
【0005】
有価証券の公正価格は、「呼値」スプレッドの中間価格として算出され、この値は、一般大衆の有価証券に対する知覚価値に基づいている。換言すれば、有価証券の売呼値(すなわち、所有者が有価証券を売りたい価格)が買呼値(すなわち、買手が価証券を買いたい価格)と等しい場合にのみ取引が成立する。これにより、「マーケットメーカー」(例えば、株式仲買人)が無リスクで利益を得ることができる。マーケットメーカーが存在する理由は、市場に流動性を与えるためであることに留意されたい。すなわち、マーケットメーカーは、一般大衆からの買注文および売注文が実行される確率を増加させるように機能する。マーケットメーカーは方向性リスクに曝されたくないため、買い圧力を高めて有価証券の価格を上昇させ、売手あるいは買手の動機付けを高める。買手と売手の数は等しいので、この行為において、マーケットメーカーは無リスクで収益を上げる。要するに、価格は買手による有価証券の知覚価格に基づいて設定されるのであって、ファンダメンタル分析による価値に基づくのではない。
【0006】
ゲーミング(賭博)のオッズ屋もマーケットメーカーと同じ立場にある。活動する環境が単に異なるだけである。ポイントスプレッド、オッズ、および期待値合計は、オッズ屋/マーケットメーカーが最初に設定するという点で、株式などの有価証券の価格と同様である。彼らは次いで、賭けの両サイドで等しいアクションが確実に行われるようにするため、需要と供給や、一般大衆のこれらの項目に対する知覚価値に関連して動的に調節を行い、その結果、オッズ屋/マーケットメーカーにとって無リスクの利益となる。
【0007】
この解釈に基づき、「平均回帰」の理論および相対的な過剰買い/過剰売り平均状態を理解して、これらの2つの概念が賭博をする一般大衆の心理学により予測される、ゲーミングマーカーの価値の不適切な知覚から発生する定量的ミスプライシングとどのような関連性があるかを認識する必要がある。
【0008】
平均回帰は、価格やリターンはやがては平均値に向かって戻ることを示唆する理論である。この平均値は、価格やリターンの過去の平均である場合もあれば、業界や株式の平均リターンなど、別の実際的な平均値である場合もある。これと関連性のある過剰買い平均の概念は、所定の資産に対する需要が不当に原資産の価格をその真の価値をはるかに上回るレベルまで押上げる状態である。これは一般的に、資産の価格が過大評価されており、価格の後退が起こるかもしれない兆候であると解釈される。同様に、過剰売り平均の概念は、原資産の価格がその真の価値を下回るレベルまで急落した状態である。この状態は通常、市場の過剰反応すなわち狼狽売りの結果である。これは一般的に、資産の価格が過小評価されており、投資家にとって買いの機会を示す兆候と解釈される。
【0009】
この「レンジによって決まる価格の動き」は株式、通貨、金属、商品、およびゲーミングにおいて継続的なものである。市場心理学はスポーツ賭博業界において常に存在し、一方のサイドが大幅に過剰買い(過大評価)され、相手側サイドが大幅に過剰売り(過小評価)されると言う、マッチアップにおける短期ミスプライシングにつながる。
【0010】
オッズ屋は、一般大衆が特定のチーム(またはその他の賭けの選択肢)をいつ過大評価したり過小評価するかを知っており、これに従ってゲーミングマーカーを調節する。一般大衆の知覚に基づいてチームが過大評価されればされるほど、平均回帰(例えば、その「価格」でチームを「売る」ことにより利益を得ること)の可能性が大きくなり、その反対についても同様のことが言える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
簡略的に言うと、本発明の一観点において、定義されたマーカーの評価方法を提供する。この方法は、少なくとも2つのエンティティを定義する工程と、測定されるマーカーを定義する工程と、前記2つのエンティティの事象の累積期間を定義する工程であって、各事象は前記測定されるマーカーを有するものである、前記定義する工程と、前記少なくとも2つのエンティティが前記累積期間中の各事象について前記測定されるマーカーに達成するかまたは達成しないかに基づいて、前記測定されるマーカーに数値を割当てる工程と、前記累積期間中の前記測定されるマーカーの前記数値の発散を測定する工程と、前記発散を定量化する工程とを含む。
【0012】
本発明の別の観点において、ゲーミングマーカーのミスプライシングを定量化するデータをユーザに提供するために利用されるシステムであって、前記データは電子的形態で要求者に提供されるものである、前記システムを提供する。このシステムは、少なくとも1つの来たるべき事象について、前記ゲーミングマーカーのミスプライシングを定量化する前記データを取得するための情報を、前記要求者によって入力可能にするインターフェースであって、前記情報は、少なくとも2つのエンティティ、測定されるマーカー、および前記2つのエンティティの事象の累積期間を定義するものであり、各事象は前記測定されるマーカーを有するものである、前記インターフェースと、過去の事象の履歴データを受信するデータベースと、前記要求者により入力された前記情報を受信し、前記要求者から受信した前記情報および前記履歴データに基づいて前記少なくとも1つの来たるべき事象の発散を計算する工程、履歴データの少なくとも1つのグラフを作成する工程、およびこれらの工程の組合せから成る群のうち少なくとも1つを実行する処理装置であって、前記発散を計算する工程は、前記少なくとも2つのエンティティが前記累積期間中に前記測定されるマーカーに達成するかまたは達成しないかに基づいて、前記測定されるマーカーに数値を割当てる工程を含むものである、前記処理装置と、前記少なくとも1つの来たるべき事象の発散、前記少なくとも1つのグラフ、およびそれらの組合せから成る群のうち少なくとも1つを前記要求者に表示する表示装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上記の概要および以下の本発明の好適な実施形態の詳細な説明は、添付図面を参照しながら読むと、より良く理解できよう。本発明を説明する目的で、現時点で最良である実施形態を図面に示してある。しかしながら、本発明は図示した厳密な配置・手段のみに制限されるものではないことを理解されたい。
図1図1は、本発明の1実施形態による、真の価値からのマーカーの発散を定量化する方法の工程のフロー図である。
図2図2は、本発明の様々な実施形態を実施できるコンピューティング環境の例のブロック図である。
図3図3は、本発明の1実施形態による、定義された1対のエンティティの発散、測定されるマーカー、および事象の累積期間を自動的に計算および表示する方法の工程のフロー図を示す。
図4図4は、図3の方法のユーザからの情報を受信するウェブページを示す。
図5図5は、発散情報をユーザに表示するウェブページを示し、累積期間中の測定されるマーカーに割当てられた数値のグラフを含む。
図6図6は、本発明の代替実施形態による、累積試合勝/敗グラフを示す。
図7図7は、オーバー/アンダー発散情報をユーザに表示するウェブページを示し、累積期間中の測定されるマーカーに割当てられた割当てオーバー/アンダー値のグラフを含む。
図8図8は、本発明の代替実施形態による、累積オーバー/アンダー・グラフを示す。
図9図9は、本発明の代替実施形態による、オーバー/アンダー実際値のグラフを示す。
図10図10は、特定のスポーツにおける来たるべき事象の発散の有意性のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では所定の用語を用いるが、これは便宜上のためだけであり、制限するものではない。用語を単数形で用いている場合、発明者らはその用語の複数形で説明される発明の態様も考えている。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる単数形の"a"、"an"、および"the"は、文脈において明記されていない限り、例えば、「マーカー(a marker)」は複数のマーカーなど、複数についても言及する。従って、例えば、「方法(a method)」に言及している箇所は、1若しくはそれ以上の方法、および/または本明細書で説明した種類の工程、および/または本開示を通読することにより当業者に自明になるものを含む。
【0015】
特に定義されていない限り、本明細書で用いる全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する技術の通常の当業者の一人が通常理解するものと同じ意味を持つ。本明細書で説明するものと同様または同等な任意の方法や素材を本発明の実施や試験に用いることができるが、ここでは好適な方法、構造、および素材を説明する。本明細書で言及した全刊行物は、引用によって、その全体をここに加える。引用によって加える参考文献で用いられている用語および定義に矛盾がある場合、本出願書で用いている用語はここで挙げた定義を持つものとする。
【0016】
定義
平均回帰:価格やリターンはやがては平均値に向かって戻ることを示唆する理論。この平均値は、価格やリターンの過去の平均である場合もあれば、業界や株式の平均リターンなど、別の実際的な平均値である場合もある。
【0017】
過剰買い平均:所定の資産に対する需要により原資産の価格をその真の価値をはるかに上回るレベルまで不当に押上げる状態。これは一般的に、資産の価格が過大評価されており、価格の後退が起こるかもしれない兆候であると解釈される。
【0018】
過剰売り平均:原資産の価格がその真の価値を下回るレベルまで急落した状態。この状態は通常、市場の過剰反応すなわち狼狽売りの結果である。これは一般的に、資産の価格が過小評価されており、投資家にとって買いの機会を示す兆候と解釈される。
【0019】
ファンダメンタル分析:真の経済要因およびこれらの要因が特定の金融商品の価値や価格(例えば、金利、企業の予想市場占有率、石油価格、四半期収益報告、予測支出など)に及ぼす影響の研究。この種の分析は、容易にスポーツ賭博の市場に反映され、各プレイヤーのマッチアップ、スケジュールの強度(strength of schedule)、ディフェンスのランク、オフェンスのランク、ホームフィールドまたはホームコートの利点、故障、天気などを含めることができる。
【0020】
オーバー/アンダー:延長戦のポイントを含め、両チームが競技で得点するものとオッズ屋が予想するポイントの総数。
【0021】
ポイントスプレッド:本命が弱者を破る、とオッズ屋が予想するポイント差の数。
【0022】
プッシュ:賭けが勝・敗どちらでもない、引分けの賭け。
【0023】
テクニカル分析:過去の価格および出来高のデータに基づいて将来の市場の動きを予測するためにトレーダーが用いる分析のモード。テクニカル分析を用いるトレーダーは、価格の相関、価格サイクル、群集の売買活動、そして最も重要なものとしてパターン認識ツールを用いて、可能性が最も高いトレンド反転のシナリオを、さまざまなグラフやアルゴリズムを用いて決定する。
【0024】
本明細書では所定の用語を用いるが、これは便宜上のためだけであり、本発明を限定するものと解釈してはならない。用語は、具体的に言及した単語、その派生語、および同様な意味の単語を含む。本明細書で説明した実施形態は、網羅的であるとか、発明を開示した厳密な形態に限定することを意図するものではない。これらの実施形態は、発明の原理およびその適用および実際的な使用を最も良く説明し、他の当業者が発明を最も良く利用できるようにするために選択および記載されるものである。
【0025】
前述のように、本発明は、様々な分析状況で用いることが可能なゲーミングマーカーの定量的ミスプライシングを決定および評価するシステムおよび方法に関する。本発明の方法は、マーカーの数値を分析して、例えば、売買の影響、および/またはマーカーの真の価値のファンダメンタル分析とはほとんどまたは全く関係のない複数の有形および無形の問題の影響によってマーカーの数値が実際値から逸脱した時点を決定する。特に、本発明は、定量的データを定量化して、利益を生み出す短期のトレンドの反転を特定するのに役に立つ情報を事情に詳しいトレーダーや投機家に提供することにより、スポーツ賭博市場におけるテクニカル分析を提供する。平均回帰の概念に基づき、本発明の主な考え方は、定義されたエンティティ(例えば、チーム、馬など)に対する期待が高すぎるか低すぎる場合を捉えることである。高すぎる場合、定義されたエンティティは過剰買い平均となっている可能性が高い。逆に、低すぎる場合、定義されたエンティティは過剰売り平均となっている可能性が高い。平均回帰の理論は、価格やリターンはやがては平均値に向かって戻ると仮定する。
【0026】
ここで図1を参照すると、本発明の1実施形態による、定義されたマーカーの評価方法が示されている。まず、方法はステップ10で少なくとも2つのエンティティを定義する。定義するエンティティは、例えば、スポーツチーム、馬などを含む(これらに限定されるものではない)、来たるべき事象における直接の対戦相手とすることができる。
【0027】
次に、ステップ12で、少なくとも1つの測定されるマーカーを定義する。測定されるマーカーは、両方のエンティティに適用される、来たるべき事象の様々な態様の任意の1つとすることができる。例えば、マーカーはフットボールの試合におけるポイントスプレッドであったり、競馬におけるベイヤー指数(すなわち、馬に割当てられる数字であって、その馬の過去の成績を定量化するものである数字)であったりする。
【0028】
ステップ14で、2つのエンティティの事象の累積期間を定義する。この場合、各事象は測定されるマーカーを有する。累積期間は、定義されたマーカーを定義されたエンティティについて評価する対象期間である。例えば、定義されたエンティティがフットボールチームである場合、事象の累積期間は、それらのフットボールチームがプレイした過去の5回の試合となるかもしれない。
【0029】
次にステップ16で、方法は、少なくとも2つのエンティティの各々がステップ14で定義した累積期間中に測定されるマーカーに達する(または達しない)能力に基づいて、測定されるマーカーに数値を割当てる。割当てる数値は、数値0からの等しい偏差を示す、予め定められた数字に基づく。本実施形態においては、累積期間中に発生する各事象について整数を各マーカーに割当てるが、前記整数は、少なくとも2つのエンティティの各々が各事象についてマーカーに達する(または達しない)能力に基づく。マーカーに割当てた整数の合計を用いて、発散スプレッドを定義することができる。最も一般的には、整数は各事象について−1、0、または+1である。しかし、アルゴリズムにより計算したものなど、より複雑な数値を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で代替させても良い。
【0030】
例えば、定義されたマーカーが、フットボールチームがポイントスプレッドを克服するか否かに関する、本発明の1実施形態においては、事象には+1など、正の数字を割当てる。対照的に、チームがポイントスプレッドを克服(すなわちカバー)しない各事象については、事象に−1など、負の数字を割当てる。このように、定義された累積期間中にエンティティによりプレイされた各事象に数値を割当てる。この同じ方法を用いて、所定の期間中に発生する事象について任意のマーカーに数値を割当てることができ、これにより、フットボールの試合のポイントスプレッドを克服すること以外のマーカーについて本発明の方法を利用できる。
【0031】
また、本発明の幾つかの実施形態においては、測定されるマーカーに割当てる数値は、事象にとってより大きな有意性を表すために重み付けをすることができる。例えば、測定されるマーカーに割当てる数値は、定義された累積期間中の最新の事象がそれよりも遠い過去に発生した事象よりも高い有意性を持てるようにするために、時系列順に基づいて重み付けをすることができる。
【0032】
方法は、累積期間中の測定されるマーカーの数値の発散スプレッドを測定するステップ18に続く。発散スプレッドは、本発明の具体的な実施例に関して以下により詳しく説明したように、ステップ16の測定されるマーカーに割当てられた数値に関する1若しくはそれ以上の計算により測定することができる。発散スプレッドは、単一のエンティティについて測定することができる。あるいは、発散スプレッドは、2つのエンティティについて測定することもでき、これにより、本明細書で説明したように2つのエンティティの発散スプレッドを比較したり操作して、1つのエンティティが第2のエンティティに対する対戦で特定のマーカーに達する(または達しない)将来の能力を決定することができる。
【0033】
その後、ステップ20で、累積期間中に発生した選択された数の事象に基づいて発散を定量化する。まず、ステップ18で測定した発散スプレッドを、発散強度数(divergence strength number:DSN)(すなわち、累積期間中に発生した事象の数であって、ユーザがチームの強さの評価に含めると決定した前記事象の数)で除算する。DSNは、ユーザの判断により異なる。例えば、5回の試合の期間における発散が8である場合、8を5で割り、最近の5試合におけるチームの成績に基づいて、計算による定量値1.6を算出する。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態においては、次いで、計算による定量値を定量値のスケールと比較して、マーカーの定量値の有意性を決定することができる。幾つかの実施形態においては、定量値の有意性により、平均回帰理論の故に、次の対戦または事象において定義されたマーカーに達するか達しないかの可能性についてユーザに警告を発する。
【0035】
本発明の追加の選択的工程において、図1の方法を用いて、来たるべき事象の予想されるマーカー(例えば、来たるべきフットボールの試合のポイントスプレッド)により所定の計算された定量値が発生し、これが統計的に有意であると決定される(すなわち、マーカーのミスプライシングの可能性が高いことを数値が示す)場合、ユーザに警告を発することができる。本発明のこのような実施形態においては、1若しくはそれ以上のマーカーの定量値を、様々な来たるべきスポーツイベントについて計算する。次いで、アルゴリズムにより、計算された定量値を1若しくはそれ以上の予め定められた閾値(このような閾値は、スケールから導いたり、ユーザがカスタマイズすることができる)と比較し、どの数値が統計的に有意である(すなわち、マーカーがミスプライシングされた可能性が高い)と考えられるかを決定する。統計的有意性のスケールは、当業者なら理解できるように、相対力指数(relative strength indicators:RSI)の理論に基づいて作成することができる。
【0036】
統計的に有意であると決定された1若しくはそれ以上の定量値がある場合、次いで、本発明のユーザに警告が送信される。例えば、本発明の方法は、関心のあるエンティティを定義する複数のクライアントへのサービスとして提供することができる。クライアントが関心のあるエンティティの定量値が統計的に有意であると決定された場合、サービスプロバイダ、またはサービスプロバイダのシステムは次いで、クライアントに定量値について警告を発し、クライアントがその情報を、エンティティの次の対戦において指定マーカーを達成するか達成しないエンティティの能力を予測するツールとして用いることができるようにすることができる。このようにして、本発明は、ユーザが特定のマーカーの将来値を予測することを支援するテクニカル分析を通して、ファンダメンタル(例えば、数値に影響を及ぼす要因)を特定し、分析する。
【0037】
ここで図2を参照すると、本発明の実施形態のシステム250の例が示されている。このシステムの例は、とりわけ、コンピューティング装置200などのコンピューティング装置を含む。その最も基本的な構成において、コンピューティング装置200は少なくとも1つの処理装置202とメモリ204とを有する。コンピューティング装置の厳密な構成および種類により、メモリ204は揮発性(ランダムアクセスメモリ(randam access memory:RAM)など)、不揮発性(読出し専用メモリ(read−only memory:ROM)、フラッシュメモリなど)、またはこの2つのいずれかの組合せとなる。この最も基本的な構成を、図2に鎖線206で示す。コンピューティング装置200は追加の特徴/機能を持つことができる。例えば、コンピューティング装置200は、これに限定されるものではないが、磁気または光学ディスクまたはテープ、サムドライブ、および外付けハードドライブを含む、追加の記憶装置(取外し可能および/または取外し不能)を含むことができる。このような追加の記憶装置は、図2において取外し可能記憶装置208および取外し不能記憶装置210で示されている。
【0038】
コンピューティング装置200は典型的に、様々なコンピュータ読取り可能媒体を含むか、これが設けられている。コンピュータ読取り可能媒体は、コンピューティング装置200でアクセスできる任意の利用できる媒体とすることができ、揮発性および不揮発性媒体、取外し可能および取外し不能媒体の両方を含む。限定されるものではなく、例として、コンピュータ読取り可能媒体はコンピュータ記憶媒体および通信媒体を含む。
【0039】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読取り可能命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータなど、情報の記憶のための任意の方法または技術において実施される揮発性および不揮発性、取外し可能および取外し不能媒体を含む。メモリ204、取外し可能記憶装置208、および取外し不能記憶装置210は全てコンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、これに限定されるものではないが、RAM、ROM、電気的消去およびプログラム可能読出し専用メモリ(electrically erasable programmable read−only memory:EEPROM)、フラッシュメモリ、またはその他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(digital versatile disks:DVD)、またはその他の光学的記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、またはその他の磁気記憶装置、または好ましい情報を記憶するのに用いることができ、コンピューティング装置200でアクセスできるその他の媒体を含む。どのようなものであれ、このようなコンピュータ記憶媒体は、コンピューティング装置200の一部とすることができる。
【0040】
コンピューティング装置200はまた、装置が他の装置と通信できるようにする通信接続部212を含むことができる。このような各通信接続部212は、通信媒体の例である。通信媒体は典型的に、コンピュータ読取り可能命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータを搬送波などの変調データ信号またはその他の搬送メカニズムの中に含包し、任意の情報受渡し媒体を含む。「変調データ信号」の用語は、その1若しくはそれ以上の特性が信号内で情報をエンコードするように設定または変更された信号を意味する。制限としてではなく、例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続などの有線媒体、および音響、無線周波数(radio frequency:RF)、赤外線、およびその他のワイヤレス媒体などのワイヤレス媒体を含む。本明細書で用いる「コンピュータ読取り可能媒体」の用語は、記憶媒体および通信媒体の両方を含む。
【0041】
コンピューティング装置200はまた、キーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ入力装置などの入力装置214を有することができる。ディスプレイ、スピーカー、プリンタなどの出力装置216も含めることができる。これらの装置の全ては一般的に、実際的な一般大衆に公知であり、従って、記載した以外にここに詳細を説明する必要がない。
【0042】
注目に値することであるが、コンピューティング装置200は、ネットワーク218によって相互接続された複数のコンピューティング装置200の1つとすることができる。インターネット機能の備わったモバイル装置201は、ネットワーク218によって1若しくはそれ以上のコンピューティング装置200および/またはサーバ220に相互接続することができる複数のモバイル装置201の1つとすることができる。理解されるように、ネットワーク218は任意の適切なネットワークであって、各コンピューティング装置200および/またはインターネット機能の備わったモバイル装置201を接続部212経由で任意の方式でこれに接続することができ、各コンピューティング装置200および/またはインターネット機能の備わったモバイル装置201は、ネットワーク218内の1若しくはそれ以上のその他の各コンピューティング装置200および/またはインターネット機能の備わったモバイル装置201と任意の方式で通信することができる。例えば、ネットワーク218は組織または家庭など内の有線またはワイヤレスネットワークとすることができ、インターネットなどの外部ネットワークへの直接または間接カップリングを含むことができる。同様に、ネットワーク218はこのような外部ネットワークであっても良い。コンピューティング装置200および/またはインターネット機能の備わったモバイル装置201は、このような外部ネットワーク218経由でインターネット上のサーバ220に接続することができる。
【0043】
本明細書で説明した様々な技術は、ハードウェアまたはソフトウェア、または妥当な場合は両方の組合せに関して実施できることを理解されたい。従って、ここに開示した特許対象の方法および装置、またはその特定の態様や部分は、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD−ROM、ハードドライブ、またはその他の機械読取り可能記憶媒体などの有形の媒体に組込まれたプログラムコード(すなわち、命令、スクリプトなど)であって、前記プログラムコードをコンピュータなどの機械にロードして、機械で実行した時に、機械が本明細書に開示した特許対象を実施する装置になるものである、前記プログラムコードの形態をとることができる。
【0044】
プログラムコードをプログラム可能コンピュータ上で実施する場合、コンピューティング装置は一般的に、プロセッサと、プロセッサで読取り可能な記憶媒体(揮発性および不揮発性メモリおよび/または記憶要素を含む)と、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含む。例えば、アプリケーション−プログラム・インターフェース(application−program interface:API)、再利用可能なコントローラなどの使用により、1若しくはそれ以上のプログラムで、ここに開示した特許対象に関して説明した方法を実施または使用することができる。このようなプログラムは、高水準の手続型またはオブジェクト指向プログラム言語で実施され、コンピュータシステムと通信することができる。しかし、プログラムは好ましい場合、アセンブリまたはマシン言語で実施することもできる。いずれにせよ、言語はコンパイル型またはインタプリタ型言語とし、ハードウェアの実施と組合わせることができる。
【0045】
実施例は、ここに開示した特許対象の態様を1若しくはそれ以上のスタンダロン型コンピュータシステムの文脈で利用することに言及しているが、特許対象はそのように制限されるものではなく、むしろ、ネットワーク218や分散型コンピューティング環境など、任意のコンピューティング環境と関連して実施することができる。またさらに、ここに開示した特許対象の態様を複数の処理チップや装置において、またはこれらにわたって実施しても良く、記憶装置も同様にネットワーク218内の複数の装置にわたって実施することができる。このような装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、ネットワークサーバ、およびハンドヘルド装置を含むことができよう。
【0046】
システム250の例において、サーバ420はデータベース224を含む。図2で示した本発明の実施例において、データベース224は、リレーショナルデータベース管理システム、すなわち、一般的に知られ、業界で用いられているMySQLを有する、構造化照会言語(structural query language:SQL)データベースである。しかし、これに限定されるものではないが、PostgreSQLおよびオラクル(Oracle)データベースを含め、その他のデータベースを、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で代替させても良い。
【0047】
本発明をここで、以下の実施例により説明するが、これらの実施例は、何らかの形で制限するものと解釈してはならない。
【実施例1】
【0048】
本発明のシステムおよび方法は、様々なマーカーについてスポーツイベントの対戦に適用することができる。このようなマーカーの1つは、試合の勝/敗(すなわち、期待される本命が来たるべきスポーツイベントで勝つかどうか)である。
【0049】
ここで図3を参照すると、本発明の一実施形態による、発散の定量化を自動的にユーザに表示する方法が示されている。方法300は302でスタートし、ここで、ユーザは関心のある来たるべきスポーツイベントについて発散の定量化を見たいと考える。本発明のインターネット版の1実施例において、ユーザは、http://www.sportsactioncharts.comなどのユニフォームリソースロケータ(Uniform Resource Locator:URL)を介してインターネット上のウェブページにアクセスすることによりこの方法を開始する。ウェブページへは、コンピューティング装置200などのコンピューティング装置で実行するウェブブラウザ・プログラムにURLを入力することによりアクセスする。ウェブブラウザ・プログラムは、これに限定されるものではないが、マイクロソフト(Microsoft)のInternet Explorer(登録商標)およびMozillaのFirefox(登録商標)を含む、任意の公知のプログラムで良い。URLは、インターネット上に存在するリソースのアドレスであり、通信プロトコルに引き続いて、ネットワーク上のコンピュータの名前またはアドレスが付いた構成である。URLはまた、ディレクトリ、ファイル名などの追加的な位置情報も含むことができる。本実施例において、URLであるhttp://www.sportsactioncharts.comをコンピューティング装置200に入力すると、コンピューティング装置200は、ネットワーク218(本実施例においては、ネットワーク218はインターネット)経由で、http://www.sportsactioncharts.comのアドレスを有するコンピュータ(すなわち、この実施例においては、サーバ220)に接続する。この接続により、サーバ220は、ウェブページおよびウェブページのコンテンツをインターネット218経由で、方法300のユーザに対して、そのコンピューティング装置200上のウェブブラウザを介して提供できるようになる。方法300は次いで、304に進む。本発明の本実施例においてネットワーク218はインターネットであるが、インターネット以外のネットワーク(例えば、ローカルエリアLAN(Local Area Network)、イントラネットなど)を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で代替させても良い。
【0050】
次に、304で、サーバ220はユーザのウェブブラウザに対して、図4に示したウェブページなどの、ゲーミングマーカーの発散を定量化することができる、様々な来たるべきスポーツイベントを示すウェブページを提供する。このウェブページでは、ユーザが、これに限定されるものではないが、スポーツイベントの日付(プルダウンメニュー402)、スポーツイベントにおける対戦相手(プルダウンメニュー404)、ユーザが次のイベントのゲーミングマーカーの評価に含めたいと考える履歴に含まれる(既にプレイした)イベントの数(プルダウンメニュー406)、分析するゲーミングマーカーおよびゲーミングマーカーのグラフの形態(プルダウンメニュー408)を含む、複数のプルダウンメニューを介して、定量化する発散に関する様々な情報を選択することができる。図示したウェブページにおいて、ユーザは、2010年7月26日のボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)対ロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels)の野球の試合についてゲーミングマーカーの発散を定量化するために、プルダウンメニューの選択肢を選択した。ユーザはまた、プルダウンメニュー406で7という数字を選択することにより、両チームがプレイした最近の7試合のデータを発散の計算に使用することを要求した。プルダウンメニュー408で勝/敗を選択すると、ユーザが選択したゲーミングマーカーは試合の勝/敗(すなわち、どちらのチームが試合に勝つか負けるか)であり、各イベントについての実際の勝・敗がデータ値である、試合の勝/敗グラフをユーザが見たいと考えていることがシステムに通知される。図6に関して以下でより詳細に説明するように、プルダウンメニュー408で選択することができる代替のグラフの選択肢は、「累積試合勝/敗」オプションである。
【0051】
次に、方法300は306に進み、ここで、ユーザは利用可能なプルダウンメニューの全選択項目を入力した。次いで、ユーザは「グラフ化する」のリンク410をクリックし、試合の勝/敗グラフを生成し、ユーザが入力したデータに従って発散値を計算するようにシステムを実行する。
【0052】
次に、ステップ308で、サーバ220がデータベース224との接続を確立できるようにするデータベース接続および認証値が設定され、2つの選択されたエンティティの各々について(ユーザが選択した通りの)最近の7つのイベントについて試合の勝・敗の履歴データ(または、代替として、以下でより詳しく説明するように、以前割当てたデータ値)を検索できるようにする。この履歴データは、来たるべきイベントの発散の計算に必要である。本実施例における履歴情報は試合の勝/敗に関するものであるが、ポイントスプレッド、ポイントスプレッド勝/敗、オーバー/アンダー、オーバー/アンダー勝/敗などを含む(これに限定されるものではない)、その他の種類のデータを記憶および/または分析することもできることに留意されたい。
【0053】
データベース224は、方法300などの方法の実行に先立ち、自動的または手動で情報をプログラムすることができ、必ず最新情報を含むようにするために、定期的に(例えば、各イベント後、毎日、毎週など)自動更新しても良い。または、このような情報は、ユーザからの要求があり次第、更新しても良い。本発明の1実施形態において、データは、これに限定されるものではないが、第三者データフィード(例えば、拡張可能マークアップ言語(Extensible Markup Language:XML)によるデータフィードを含み、PHPハイパーテキスト・プリプロセッサ(PHP Hypertext Preprocessor:PHP)、簡易オブジェクト・アクセス・プロトコル(Simple Object Access Protocol:SOAP)スクリプト、アプリケーション・プログラム・インターフェース(Application Programming Interface:API)スクリプトなどを介して第三者データベースからデータを引出す方法により自動的に更新される。サーバ220は、このように、インターネット接続などを経由して、ゲーミングと関連する任意の1若しくはそれ以上の様々な商用情報源から情報を引出すことができる。このような実施形態において、ネットワーク218はインターネットであり、商用情報源は、典型的に、サーバ220および/またはコンピューティング装置200と同じ方式でこれに接続されたコンピューティング装置を介して利用できる。
【0054】
あるいは、データベース224内の情報は、手動で更新することもできる。本発明の1実施形態において、データエントリチームが、他のソース(例えば、新聞、テレビ、インターネットなど)から収集した情報を用いて、手動でデータベース224を更新する。しかし、データベース224内のデータを更新する代替の方法を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で代替させても良い。
【0055】
ステップ308でデータベース接続および認証値を設定した後、方法300は314に進み、ここで、2方向データベース接続が確立される。この接続により、サーバ220はデータベース224と通信し、必要な履歴データを検索できるようになる。方法300は次いで、316に進む。
【0056】
316で、方法300は、選択した過去7試合の累積期間中の各イベントについて測定されるマーカーに数値を割当てるのに必要なデータを検索する(あるいは、数値が以前割当てられた場合、以下により詳しく説明するように、割当てられた数値を検索することができる)。ユーザが選択したマーカーは試合の勝/敗であるので、サーバ220は、プレイした最近の7試合の各々について選択した各チームの試合勝/敗値のクエリを実行する。データを一旦検索したら、方法は次いで、ステップ318に進む。
【0057】
318では、プレイした最近の7試合について各チームの各イベントに数値を割当てる。本実施形態において、勝った各試合に+1の数値を割当て、負けた各試合に−1の数値を割当てる。本発明の幾つかの実施形態において、割当てられた数値は履歴に含まれる試合の勝/敗情報に関してデータベース224に記憶され、次回に同じ履歴に含まれる試合の勝/敗情報が必要となった場合に数値を割当て直す必要を回避するようにする。すなわち、ステップ318を2度目に反復した場合、数値が以前に割当てられている場合、以前に割当てたその数値を単に検索する(数値は再度割当てない)。
【0058】
次に、320で、各チームについて、過去7試合の各々の数値の全てを合計し、累計試合勝/敗値を生成する。322では、累計試合勝/敗値を比較し、より低い累計試合勝/敗値をより高い累計試合勝/敗値から減算し、発散スプレッドを計算する。図示した本発明の実施形態において、必要なデータ値のいずれかが利用できない場合、データは計算されない。例えば、ユーザが過去7試合について計算された発散を要求し、チームの1つ(または両方)が7試合プレイしていない場合、発散値は「ゼロ」としてユーザに返される。しかし、欠けているデータ値の代わりにダミーデータまたは見積値で代替させる、本発明の代替の実施形態も考えられる。
【0059】
次に、324で、発散スプレッドをDSNで除算するが、後者は単にデータを分析する過去の試合の数である。すなわち、DSNは、ユーザがチームの強さの評価に含めようと決めた過去の試合数であり、これは、ユーザの判断により異なる。本実施例において、DSNは7である。この計算の結果が発散値である。
【0060】
発散値を計算した後、方法300は326に進み、ここで、発散値は、図5に示したようなウェブページを介してユーザに表示される。図4および図5のウェブページは、図5のウェブページが、過去7試合における両チームの成績を示す試合の勝/敗発散数512およびグラフ514を含んでいることを除き、ほとんど同一である点に留意されたい。本実施例において、図5のグラフは、前述したように、ステップ318で各回の勝・敗に割当てた数値(すなわち、1回勝つと+1で示し、1回負けると−1で示す)に従った各試合の勝・敗を示す。
【0061】
ユーザのために作成した代替実施形態のグラフ514において、グラフは、イベント毎の試合の敗北ではなく、累積試合勝/敗を示している。このようなグラフ614を図6に示しており、グラフ514の代替としたり、グラフ514に追加して提供しても良い。本発明の1実施形態においては、上記でさらに詳しく説明したように、ユーザは単にプルダウンメニュー408から「累積試合勝/敗」オプションを選択する。
【0062】
図6に見られるように、各イベントの試合の勝/敗ラインは累積的なものである。例えば、フィラデルフィア(Philadelphia:PHI)のデータライン602を検討すると、グラフ614から、PHIは7回前の試合で負けたことがわかる。−1としてグラフ化されているからである。グラフ614からさらに、PHIは5回前および6回前の試合にも負けたことがわかる。1回負けるごとにデータラインが1ずつ減少しているからである。この結果として、過去5試合の累積試合勝/敗値は−3となる。データライン602から、PHIはその後の4試合に勝ったことがわかる。各試合についてデータラインが1ずつ増加しているからであり、過去1試合の累積試合勝/敗値は+1となる。
【0063】
同様に、コロラド(Colorado:COL)のデータライン604から、COLは7回前の試合で負けたことがわかる。−1としてグラフ化されているからである。グラフ614からさらに、COLは6回前の試合に勝ったことがわかる。y軸上でこの地点でデータラインが1だけ増加しているからである。この結果として、過去6試合の累積試合勝/敗値は0となる。データライン604から、COLはその後の5試合の全てに負けたことがわかる。各試合についてデータラインが1ずつ減少しているからであり、過去1試合の累積試合勝/敗値は−5となる。
【0064】
累積試合勝/敗グラフは、方法のユーザに好まれるであろう。また、発散の計算時に、累積試合勝/敗グラフにより、各イベントに割当てた数値を合計する必要性がなくなる。グラフがこの機能を実行するからである。累積期間中の全イベントの各合計は、(累積試合勝/敗グラフで示したように)単に過去1試合の数値と等しい。
【0065】
図5を再び参照すると、計算された発散512は0.29として示される。この数値は、前述したように、各チームについて各イベントの試合の勝/敗に割当てられた各数値を合計することによって導かれる。従って、ボストン・レッドソックスの試合の勝/敗の合計は、データライン502でグラフ化したデータポイントの合計、すなわち、+1、−1、−1、−1、−1、+1、および−1(すなわち、各々、過去7試合〜過去1試合の割当てられた数値)に等しく、合計は−3となる。ロサンゼルス・エンゼルスの試合の勝/敗の合計は、データライン504でグラフ化したデータポイントの合計、すなわち、−1、+1、−1、+1、+1、−1、および−1(すなわち、各々、過去7試合〜過去1試合の割当てられた数値)に等しく、合計は−1となる。発散スプレッドは、低い方の数値−3を高い方の数値−1から引いて計算し、合計は2となる。2という発散スプレッドを、7というDSN(ユーザが選択した通り)で割ると、発散は0.2857となり、これは0.29に切上げられる。
【0066】
最後に、ステップ328で、計算された発散をそのような発散のスケールと比較し、計算された発散が統計的に有意であるかどうかを決定する。このようなスケールの1つを以下に表1として挙げる。
【0067】
【表1】
【0068】
測定されるマーカーの計算された発散の統計的有意性が高ければ高いほど、平均回帰により、エンティティが予測されるマーカーに達しない可能性が高くなる。本実施例において、0.29という発散値は、表1のスケールでは「有意でない」の評価となる。従って、平均回帰により、来たるべきボストンとロサンゼルスとの対戦において予想に反する結果が出る可能性は低い。
【0069】
本発明の1実施形態において、システムまたは方法は、特定の測定されるマーカーの発散が、表1のスケールで決定されるように、予め設定されたレンジ(例えば、「非常に有意」または「極度に有意」)に該当する場合、ユーザに警告が送信される。
【0070】
本発明の1実施形態において、ユーザは、プルダウンメニュー408の「警告」を選択することにより、特定のスポーツの全ての来たるべき対戦の有意性について警告を受信する。これを選択することにより、図10に示したようなウェブページが作成される。図10は、列1002〜1018を有するグリッドを示しており、グリッドは左から右へ進む。
【0071】
列1002は、来たるべきスポーツイベントの日付を示す。グリッド1000に図示されたスポーツイベントはメジャーリーグ・ベースボール(Major League Baseball:MLB)のスポーツイベントであるが、これに限定されるものではないが、NFL(National Football League)、NCAA(National Collegiate Athletic Association)フットボール、NBA(National Basketball Association)、NCAAバスケットボール、NHL(National Hockey League)を含む、任意の種類の対戦について発散を分析し、および/または警告グリッドを作成することができる。列1004および1006は各々、各試合におけるホーム(H)およびアウェー(A)の対戦相手をリスト化している。
【0072】
列1008〜1012は各々、専用の列1008a、1010a、および1012aに示された、過去3試合、5試合、および7試合の履歴データを用いて来たるべき各対戦について計算された試合の勝/敗発散を表示している。発散は、前述したように計算する。各発散値はその右に、各々、列1008b、1010b、および1012bでリスト化した関連チームを有する。リスト化されたチームは、過剰売り、すなわち過小評価されていると予測されるチームである。
【0073】
同様に、列1014、1016、および1018は各々、過去3試合、5試合、および7試合の(下記の実施例2で説明したように計算することができる)オーバー/アンダー発散値をリスト化している。重要なのは、各発散値を表1(上記)および/または表2(下記)のスケールと比較し、データが含まれているセルの背景を各表に従って色分けすることである。例えば、発散値が「有意でない」のレンジに該当する場合、そのセルの背景は無色となる。逆に、発散値が「極度に有意」のレンジに該当する場合、そのセルの背景は赤となる。セルの例1020は、色のついた背景を有するセルを示す。これにより、グリッドの閲覧者は、有意性の高い発散値を素早く簡単に決定することができる。これらの数値から、平均回帰の故に、予測に反する結果となる可能性が高いことがわかるからである。グリッド1000は、過去3試合、5試合、および7試合の数値を示しているが、数値は過去の任意の試合数について計算することができる。
【0074】
本発明の別の実施形態において、サーバ220は、関心発散値が特定のカテゴリに該当する場合に自動的にユーザに警告するようにプログラムされる。例えば、ユーザは、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)が関与する試合が「極度に有意」な発散となった場合の自動通知を要求する。このシナリオでは、発散が1.6〜2.0のレンジ内に該当する場合、インターネットなどのネットワーク経由でサーバ220から、例えばユーザのコンピュータ、携帯電話、またはその他のモバイル装置(例えば、前述のように、インターネットの利用が可能なモバイル装置201)へ、自動的にユーザに警告が送られる。
【0075】
本明細書で説明したように、本発明の基本的前提は、オッズ屋が、常に50−50の確率を実現しようとするオッズを設定することである。一般大衆の知覚および/または賭けにより、オッズ屋により予測される測定されるマーカーは、真のファンダメンタル分析の結果として生じる数値から発散する可能性が高い。チームBが弱者であり、チームAがポイントスプレッドを克服すると予想される本命チームである状況において、チームAが履歴においてポイントスプレッドを何回も克服している一方で、チームBは履歴においてポイントスプレッドを克服していない場合、平均回帰により、チームAは来たるべき対戦でポイントスプレッドを克服できるほど十分得点しない、という予想になる。平均回帰により予想に反する結果となる可能性は、表1のスケールによる発散の有意性で示される。換言すれば、統計的有意性のカテゴリは、賭けをするユーザが、来たるべき対戦において平均回帰の起こる可能性を決定することにより、ユーザがこれに従って賭けられるようにする役に立つ。
【実施例2】
【0076】
実施例1と同様に、実施例2も、本発明のシステムおよび方法を様々なマーカーについてスポーツイベントの対戦に応用したものである。本実施例において、マーカーは、オーバー/アンダー(すなわち、来たるべきスポーツイベントの組合わせたポイントの合計が、オッズ屋が予想するオーバー/アンダー値を上回るかどうか)である。
【0077】
図3を再び参照すると、本発明の1実施形態による、発散を定量化したものを自動的にユーザに表示する方法が示されている。この方法は、以下で説明するように、オーバー/アンダー発散および試合勝/敗発散の計算に用いることができる。
【0078】
方法300は302でスタートし、ここで、ユーザは関心のある来たるべきスポーツイベントについてオーバー/アンダーの発散の定量化を見たいと考える。本発明のインターネット版の1実施例において、ユーザは、実施例1に関して上記でより詳しく説明したように、インターネット上のウェブページにアクセスすることによりこの方法を開始する。
【0079】
次に、304で、サーバ220はユーザのウェブブラウザに対して、図4に示したウェブページなどの、ゲーミングマーカーの発散を定量化することができる、様々な来たるべきスポーツイベントを示すウェブページを提供する。このウェブページでは、ユーザが、実施例1に関して上記でより詳しく説明したように、複数のプルダウンメニューを介して、定量化する発散に関する様々な情報を選択することができる。
【0080】
次に、方法300は306に進み、ここで、ユーザは利用可能なプルダウンメニューの全選択項目を入力した。次いで、ユーザは「グラフ化する」のリンク410をクリックし、オーバー/アンダー勝/敗グラフを生成し、ユーザが入力したデータに従って発散値を計算するようにシステムを実行する。オーバー/アンダー勝ちは、イベントで得点されたポイントの合計がそのイベントについてオッズ屋が予想したオーバー/アンダー値を上回った場合に起こり、オーバー/アンダー負けは、イベントで得点されたポイントの合計がそのイベントについてオッズ屋が予想したオーバー/アンダー値を下回る場合に起こり、オーバー/アンダー・プッシュは、イベントで得点されたポイントの合計がそのイベントについてオッズ屋が予想したオーバー/アンダー値と等しい場合に起こることに留意されたい。
【0081】
本実施例のために、ユーザの選択および後述するステップの計算に基づいて生成されるウェブページの例を図7に示す。この図において、ユーザは、2010年7月26日のニューヨーク・ヤンキース対クリーブランド・インディアンズ(Cleveland Indians)の野球の試合についてオーバー/アンダーのゲーミングマーカーの発散を定量化するために、プルダウンメニューの選択肢を選択したことがわかる。ユーザはまた、プルダウンメニュー406で7という数字を選択することにより、両チームがプレイした最近の7試合のデータを発散の計算に使用することを要求した。プルダウンメニュー408で「オーバー対アンダー」を選択すると、ユーザが選択したゲーミングマーカーはオーバー/アンダー(すなわち、試合で得点されたポイントの総数が、オッズ屋が予想したオーバー/アンダー値を上回るかどうか)であり、各イベントについての実際のオーバー/アンダー勝ちまたは負けがデータ値である、試合のオーバー/アンダー勝/敗グラフをユーザが見たいと考えていることがシステムに通知される。図8に関して以下でより詳細に説明するように、プルダウンメニュー408で選択することができる代替のグラフの選択肢は、「累積オーバー/アンダー勝/敗」オプションである。
【0082】
次に、ステップ308で、サーバ220がデータベース224との接続を確立できるようにするデータベース接続および認証値が設定され、2つの選択されたエンティティの各々について(ステップ304でユーザが選択した通りの)最近の7つのイベントについて試合のオーバー/アンダーの履歴データが検索できるようにする。この履歴データは、来たるべきイベントの発散の計算に必要である。
【0083】
ステップ308でデータベース接続および認証値を設定したら、方法300は314に進み、ここで、2方向データベース接続が確立される。この接続により、サーバ220はデータベース224と通信し、必要な履歴データを検索できるようになる。方法300は次いで、316に進む。
【0084】
316で、方法300は、選択した過去7試合の累積期間中の各イベントについて測定されるマーカーに数値を割当てるのに必要なデータを検索する。ユーザが選択したマーカーはオーバー/アンダーであるので、サーバ220は、プレイした最近の7試合の各々について選択した各チームのオーバー/アンダー値のクエリを実行する。データを一旦検索したら、方法は次いで、ステップ318に進む。
【0085】
318では、プレイした最近の7試合について各チームの各イベントに数値を割当てる。本実施形態において、イベントで得点されたポイントの総数が、そのイベントについてオッズ屋が予想したオーバー/アンダー値を上回った、各イベントに+1の数値を割当てる。イベントで得点されたポイントの総数が、そのイベントについてオッズ屋が予想したオーバー/アンダー値を下回った、各イベントに−1の数値を割当てる。イベントで得点されたポイントの総数が、そのイベントについてオッズ屋が予想したオーバー/アンダー値と等しい、各イベントに0の数値を割当てる。すなわち、ストレートなオーバー/アンダー勝・敗値が各イベントと関連している。
【0086】
数値の割当てについては、様々なその他の実施形態が考えられる。1つのシナリオにおいて、1若しくはそれ以上のイベントに割当てられる数値は、イベントの実際の結果とイベントの予想結果との数値差である。例えば、オーバー/アンダーの場合、チームがオーバー/アンダー値を上回るか、オーバー/アンダー値に達しなかった実際のポイント数の差が、割当てる数値となる。ポイントスプレッドに関する別の実施例において、チームがポイントスプレッドを上回るか、ポイントスプレッドに達しなかった実際のポイント数の差が、割当てる数値となる。
【0087】
別の実施形態において、1若しくはそれ以上のイベントに割当てられる数値は、イベントの実際の結果とイベントの予想結果との差のパーセンテージである。例えば、オーバー/アンダーの場合、チームがオーバー/アンダー値を上回るか、オーバー/アンダー値に達しなかった差のパーセンテージが、割当てる数値となる。ポイントスプレッドに関する別の実施例において、チームがポイントスプレッドを上回るか、ポイントスプレッドに達しなかった差のパーセンテージが、割当てる数値となる。本発明は数多くの形の割当て値をとるので、これらの実施例は、本発明を制限することを意図するものではない。
【0088】
次に、320で、各チームについて、過去7試合の各々の数値の全てを合計し、累積オーバー/アンダー勝/敗値を生成する。322では、累計オーバー/アンダー勝/敗値を比較し、低い方の累計オーバー/アンダー勝/敗値を高い方の累計オーバー/アンダー勝/敗値に加算し、発散スプレッドを計算する。
【0089】
次に、324で、発散スプレッドをDSNで除算する。本実施例において、DSNは7である。この計算の結果が発散値である。
【0090】
発散値を計算した後、方法300は326に進み、ここで、発散値および/または1若しくはそれ以上のグラフを、図7に示したようなウェブページを介してユーザに表示する。図4および図7のウェブページは、図7のウェブページが、過去7試合における両チームのオーバー/アンダーの成績を示すオーバー/アンダー発散数720およびグラフ714を含んでいることを除き、ほとんど同一である点に留意されたい。本実施例において、図7のグラフは、前述したように、ステップ318で各回の勝ち、負け、またはプッシュに割当てた数値(すなわち、1回勝つと+1で示し、1回負けると−1で示し、1回プッシュとなると0で示す)に従った各試合のオーバー/アンダー勝ち、負け、またはプッシュを示す。
【0091】
ユーザのために作成した代替実施形態のグラフ714において、グラフは、イベント毎のオーバー/アンダー負けではなく、累積オーバー/アンダー勝/敗を示している。このようなグラフ814を図8に示しており、グラフ714の代替としたり、グラフ714に追加して提供しても良い。本発明の1実施形態においては、ユーザは単にプルダウンメニュー408から「累積オーバー/アンダー」オプションを選択する。
【0092】
図8に見られるように、各イベントおよび両チームのオーバー/アンダー勝/敗ラインは累積的なものである。例えば、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees:NYY)およびクリーブランド・インディアンズ(Cleveland Indians:CLE)の両方について組合わせたデータラインであるデータライン802を検討すると、グラフ814から、過去5回の試合でNYYおよびCLEがプレイした両イベントは、各イベントについてオッズ屋が予想したオーバー/アンダー値を上回るポイント総数となったことがわかる。すなわち、NYYが5回前の試合でオーバー/アンダーを克服し(その結果、+1の数値を割当てることになった)、CLEが5回前の試合でオーバー/アンダーを克服し(その結果、+1の数値を割当てることになった)たので、従って、データ値はこれらの2つのイベントの合計、すなわち+2となるので、過去5回のデータ値は+2である。
【0093】
過去4試合では、グラフ814はデータ値が+2である。前回のデータ値からの変化はゼロである(すなわち、過去5試合から過去4試合まで、+2は+2のままである)。これにより、NYYおよびCLEの両方がプッシュとなった(0に0を加えると0になる)か、1チームがオーバー/アンダーを克服し、1チームがオーバー/アンダー負けした(+1に−1を加えると0になる)かのいずれかであることがわかる。
【0094】
同様に、過去3試合のデータ値0と過去2試合の−2から、両チームはオーバー/アンダーを克服しなかったことがわかる(−1に−1を加えると−2になる)。過去1試合では、データ値は−3であり、これは過去2試合のデータ値と比較して1だけ減少している。この変化から、1チームが負け、1チームがプッシュとなったことがわかる(−1に0を加えると−1になる)。
【0095】
累積オーバー/アンダー・グラフは、方法のユーザに好まれるであろう。このグラフにより、ユーザが両チームの成績を1つの累積グラフとして閲覧するのが容易になる。データライン802は、両チームの得点能力の総合的トレンドを示している。累積オーバー/アンダーのデータラインが非常に高いレベルおよび非常に低いレベルである場合は、各々、非常に有望(hot)か非常にさえない(cold)チームであることがわかる。すなわち、有望なチームは履歴上高いポイント数を得点しており、そのチームは有望であり続けるという知覚を駆立てる。同様に、さえないチームは履歴上低いポイント数を得点しており、そのチームはさえない状態を続けるという知覚を駆立てる。
【0096】
また、発散の計算時に、累積オーバー/アンダー・グラフにより、各イベントに割当てた数値を合計する必要性がなくなる。グラフがこの機能を実行するからである。累積期間中の全イベントの各合計は、(累積オーバー/アンダー・グラフで示したように)単に過去1試合の数値と等しい。図8に示したように、オーバー・アンダー発散は−0.60である。この数値は、過去1試合のデータポイント(すなわち、−3)をDSNである5(本実施例において、ユーザは過去5試合の履歴データに基づいて発散データを見るよう選択した)で割ることにより計算する。
【0097】
ユーザのために作成した、さらに別の代替実施形態のグラフ714において、グラフは、本発明の代替実施形態による、実際のオーバー/アンダー値を示している。このようなグラフ914を図9に示しており、グラフ714の代替としたり、グラフ714に追加して提供しても良い。本発明の1実施形態においては、上記でさらに詳しく説明したように、ユーザは単にプルダウンメニュー408から「実際のオーバー/アンダー値」オプションを選択する。
【0098】
図9に見られるように、グラフ914の実際のオーバー/アンダーのラインは、各チームが特定の試合のオーバー/アンダーの予想値を克服した実際のポイント数差を示すデータを含む。例えば、データライン902は、NYYのオーバー/アンダーの履歴データを表す。過去7試合〜過去1試合では、データライン902から、NYYがオーバー/アンダーを各々8、10、9、9、10、11、および10ポイント分、克服したことがわかる。データライン904は、CLEのオーバー/アンダーの履歴データを表す。過去7試合〜過去1試合では、データライン904から、CLEがオーバー/アンダーを各々10、9、10、8、9、8、および9ポイント分、克服したことがわかる。
【0099】
図7を再び参照すると、計算されたオーバー/アンダー発散720は0.14である。この数値は、前述したように、各チームについて各イベントのオーバー/アンダーに割当てられた各数値を合計することによって導かれる。従って、NYYに割当てられたオーバー/アンダー値の合計は、+1、+1、+1、+1、−1、0、および+1(すなわち、各々、過去7試合〜過去1試合の割当てられた数値)の合計に等しく、合計は+4となる。CLEに割当てられたオーバー/アンダー値の合計は、−1、+1、−1、−1、−1、+1、および−1(すなわち、各々、過去7試合〜過去1試合の割当てられた数値)の合計に等しく、合計は−3となる。発散スプレッドは、これらの2つの合計を加算(+4+−3)することにより計算し、合計は1となる。1という発散スプレッドを、7というDSN(ユーザが選択した通り)で割ると、発散は0.1428となり、これは0.14に切下げられる。
【0100】
最後に、ステップ328で、計算された発散をそのような発散のスケールと比較し、計算された発散が統計的に有意であるかどうかを決定する。前記の表1のスケールを用いて、発散値の有意性を決定することができる。また、負のオーバー/アンダー発散値は、以下の表2に従って分類することができる。
【0101】
【表2】
【0102】
測定されるマーカーの計算された発散の統計的有意性が高ければ高いほど、平均回帰により、エンティティが予測されるマーカーに達しない可能性が高くなる。本実施例において、0.14という発散値は、表1のスケールでは「有意でない」の評価となる。従って、平均回帰により、来たるべきNYYとCLEとの対戦において予想に反する結果が出る可能性は低い。さらに、実施例1に関してより詳しく前述したように、有意な発散値があれば、ユーザに警告するようにプログラムすることもできる。
【実施例3】
【0103】
実施例1と同様に、実施例3も、本発明のシステムおよび方法を様々なマーカーについてスポーツイベントの対戦に応用したものである。本実施例において、マーカーはアゲンスト・ザ・スプレッド(against the spread:ATS)(すなわち、オッズ屋が予想したスプレッドよりも大きいポイント数差でチームが相手チームを破った場合、チームはスプレッドを克服する)である。
【0104】
図3を再び参照すると、本発明の1実施形態による、発散を定量化したものを自動的にユーザに表示する方法が示されている。この方法は、以下で説明するように、ATS発散および試合/勝・敗発散の計算に用いることができる。
【0105】
方法300は302でスタートし、ここで、ユーザは関心のある来たるべきスポーツイベントについてATSの発散の定量化を見たいと考える。本発明のインターネット版の1実施例において、ユーザは、実施例1に関して上記でより詳しく説明したように、インターネット上のウェブページにアクセスすることによりこの方法を開始する。
【0106】
次に、304で、サーバ220はユーザのウェブブラウザに対して、図4に示したウェブページなどの、ゲーミングマーカーの発散を定量化することができる、様々な来たるべきスポーツイベントを示すウェブページを提供する。このウェブページでは、ユーザが、実施例1に関して上記でより詳しく説明したように、複数のプルダウンメニューを介して、定量化する発散に関する様々な情報を選択することができる。
【0107】
次に、方法300は306に進み、ここで、ユーザは利用可能なプルダウンメニューの全選択項目を入力した。本実施例では、ユーザはプルダウンメニュー408で「アゲンスト・ザ・スプレッド」などのオプションを選択する。次いで、ユーザは「グラフ化する」のリンク410をクリックし、ATS勝/敗/プッシュのグラフを生成し、ユーザが入力したデータに従って発散値を計算するようにシステムを実行する。ATS勝ちは、オッズ屋がそのイベントについて予想したスプレッドよりも大きいポイント数差で勝ちチームが負けチームを破った(すなわち、チームはスプレッドを克服する)場合に起こり、ATS負けは、オッズ屋がそのイベントについて予想したスプレッドよりも大きいか等しいポイント数差で勝ちチームが負けチームを破らなかった(すなわち、チームはスプレッドを克服しない)場合に起こり、ATSプッシュは、オッズ屋がそのイベントについて予想したスプレッドと等しいポイント数差で勝ちチームが負けチームを破った(すなわち、プッシュ)場合に起こることに留意されたい。
【0108】
次に、ステップ308で、サーバ220がデータベース224との接続を確立できるようにするデータベース接続および認証値が設定され、2つの選択されたエンティティの各々について(ステップ304でユーザが選択した通りの)最近の数回のイベントについてATSの履歴データが検索できるようにする。この履歴データは、来たるべきイベントの発散の計算に必要である。
【0109】
ステップ308でデータベース接続および認証値を設定したら、方法300は314に進み、ここで、2方向データベース接続が確立される。この接続により、サーバ220はデータベース224と通信し、必要な履歴データを検索できるようになる。方法300は次いで、316に進む。
【0110】
316で、方法300は、選択した累積期間中の各イベントについて測定されるマーカーに数値を割当てるのに必要なデータを検索する。ユーザが選択したマーカーはATSであるので、サーバ220は、累積期間中の各試合について選択した各チームのATS値のクエリを実行する。データを一旦検索したら、方法は次いで、ステップ318に進む。
【0111】
318では、累積期間中の全試合について各チームの各イベントに数値を割当てる。本実施形態においては、チームがスプレッドを克服した各イベントに+1の数値を割当てる。チームがスプレッドを克服しなかった各イベントには、−1の数値を割当てる。プッシュとなった各イベントには、0の数値を割当てる。
【0112】
次に、320で、各チームについて、累積期間中の各試合の数値の全てを合計し、累計ATS値を生成する。322では、累計ATS値を比較し、低い方の累計ATS値を高い方の累計ATS値から減算し、発散スプレッドを計算する。
【0113】
次に、324で、発散スプレッドをDSNで除算する。この計算の結果が発散値である。
【0114】
発散値を計算した後、方法300は326に進み、ここで、これを、例えば、実施例1および実施例2で前述したグラフと同様なATS値のグラフあり、またはグラフなしのウェブページを介してユーザに表示する。
【0115】
最後に、ステップ328で、計算された発散をそのような発散のスケールと比較し、計算された発散が、上記表1に示したスケールのように統計的に有意であるかどうかを決定する。
【0116】
上述した実施形態は、その広い発明の概念から逸脱しない範囲で変形が可能であることが当業者には理解できよう。従って、本発明は開示した特定の実施形態のみに制限されるものではなく、添付の請求項で定義した本発明の趣旨と範囲内での改変を含むことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2017年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定義されたマーカーを評価する方法であって、
少なくとも2つのエンティティを定義する工程と、
測定されるマーカーを定義する工程と、
前記2つのエンティティの事象の累積期間を定義する工程であって、各事象は前記測定されるマーカーを有するものである、前記定義する工程と、
前記少なくとも2つのエンティティが前記累積期間中に各事象について前記測定されるマーカーに達成するかまたは達成しないかに基づいて、前記測定されるマーカーに数値を割当てる工程と、
前記累積期間中の前記測定されるマーカーの前記数値の発散を測定する工程と、
前記発散を定量化する工程と
を有する方法。
【外国語明細書】
2017194973000001.pdf
2017194973000002.pdf
2017194973000003.pdf
2017194973000004.pdf