【解決手段】少なくとも1つのコンタクト19を保持するコンタクト保持部13を有し基板6に取り付けられる内側ハウジング12と、内側ハウジング12と別体に構成され基板6が取り付けられた筐体2と内側ハウジング12との間に設けられて筐体2に固定されるように構成され、筐体2に対する内側ハウジング12のがたつきを抑制する外側ハウジング31と、を備えたコネクタ10を構成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されるコネクタの場合、筐体の設計変更等に伴って該コネクタが取り付けられる筐体の間口部分の形状が変更となった場合、コネクタハウジング全体の形状を見直す必要が生じる。そうすると、これに伴ってコネクタ性能の評価及び検証を再度行う必要が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、コネクタが取り付けられる筐体の間口部分の形状変更に対して容易に形状変更可能なコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタは、相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、少なくとも1つのコンタクトを保持するコンタクト保持部を有し、基板に取り付けられる内側ハウジングと、前記内側ハウジングと別体に構成され、前記基板が取り付けられた筐体と前記内側ハウジングとの間に設けられて前記筐体に固定されるように構成され、前記筐体に対する前記内側ハウジングのがたつきを抑制する外側ハウジングと、を備えている。
【0007】
この構成では、コンタクトを保持した状態の内側ハウジングが基板に取り付けられた後、該基板が筐体内に収容されて固定される。そして、その状態における内側ハウジングと筐体との間に外側ハウジングが設けられる。これにより、筐体に対する内側ハウジングのがたつきを抑制した状態で、コネクタを筐体及び基板に取り付けることができる。
【0008】
そして、この構成によれば、例えば筐体の設計変更等に伴ってコネクタが取り付けられる筐体の間口部分の形状が変更されても、コネクタにおける外側の部分(外側ハウジング)の形状のみを変更して、コンタクトを有するコネクタの本体部分(コンタクト及び内側ハウジング)をそのまま使用できる。そうすると、コネクタの本体部分に用いられる多くの個品をそのまま流用でき、且つ、そのコネクタの本体部分については、改めて性能評価実験を行う必要がなくなる。よって、この構成によれば、筐体側の設計変更により必要となるコネクタの改造費用を低減でき、且つ追加で行うべき性能評価実験の工数を低減できる。
【0009】
従って、この構成によると、コネクタが取り付けられる筐体の間口部分の形状変更に対して容易に形状変更可能なコネクタを提供できる。
【0010】
(2)好ましくは、前記内側ハウジングは、前記筐体及び前記基板の双方に対して締結部材によって締結される締結用孔部を有し、前記内側ハウジングが取り付けられた前記基板が前記締結部材によって前記筐体に締結された状態において、前記内側ハウジングと前記筐体との間には隙間が形成されており、前記外側ハウジングは、前記隙間に設けられている。
【0011】
例えば、従来から知られているコネクタでは、該コネクタが実装された基板を筐体に対して固定する際に、以下のような問題があった。具体的には、コネクタが実装された基板を筐体に収容して固定する際、例えばコネクタのハウジングの外周側に設けられたシールリングを筐体の間口部分に押しつけて密着させながら、基板及びコネクタを適切な位置に配置した後、基板をねじ止め等で筐体に固定していた。しかしこのように、コネクタを筐体の間口部分に対して押しつけつつ基板を筐体内における所定位置に収容して固定すると、シールリングの弾性変形具合によっては、基板全体が歪んだ状態で筐体に固定されてしまう場合がある。そうすると、基板上の実装部品にも歪みが生じてしまう。
【0012】
この点につき、上述した構成によれば、まず、内側ハウジングが取り付けられた状態の基板を筐体内に収容し、その後、締結用孔部を、筐体及び基板の双方に対して締結部材によって締結することができる。この際、内側ハウジングと筐体との間には隙間が形成されているため、基板には歪みが生じない。
【0013】
そしてその後、その隙間に外側ハウジングが押し込まれながら嵌め込まれ、筐体に固定される。このとき、基板における、内側ハウジングが基板及び筐体の双方に対して締結された箇所付近の領域(以下、締結箇所近傍領域と称する)、に応力が集中するため、該締結箇所近傍領域に歪みが生じる。しかし、その締結箇所近傍領域は比較的狭い領域であるため、その締結箇所近傍領域に実装されている実装部品はごく僅かであるか、或いはその締結箇所近傍領域には実装部品は実装されていない。すなわち、基板上におけるほとんどの実装部品或いは全ての実装部品は、基板上における歪みが生じていない領域(締結箇所近傍領域以外の領域)に実装されている。すなわち、この構成によれば、コネクタ付きの基板を筐体に固定する際に、基板上の実装部品に歪みが生じることを抑制できるため、実装部品が破損等するリスクを大きく低減できる。
【0014】
(3)更に好ましくは、前記コネクタは、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間に設けられた環状の内側シールリングを更に備えている。
【0015】
この構成によれば、内側ハウジングと外側ハウジングとの間の防水性能を、内側シールリングによって適切に確保することができる。
【0016】
(4)更に好ましくは、前記コネクタは、前記外側ハウジングと前記筐体との間に設けられた環状の外側シールリングを更に備えている。
【0017】
この構成によれば、外側ハウジングと筐体との間の防水性能を、外側シールリングによって適切に確保することができる。
【0018】
更に、この構成によれば、2つのシールリングを径方向において2重構造とすることができる(具体的には、内側シールリングと外側シールリングとが同心状に配列される)。そうすると、例えば各シールリングがリップを有する場合、そのリップの高さを従来のおよそ半分に設定することができる。そうすると、リップ高さが要因で発生しうる嵌合時のシールリングの噛み込み(具体的には、製品組立時にリップ部分がハウジング間或いはハウジングと筐体との間等で挟まってしまうこと)を抑制できる。
【0019】
(5)好ましくは、前記外側ハウジングは、前記筐体にねじによって取り付けられる外側ハウジング取付部を有している。
【0020】
この構成によれば、ねじを用いて、外側ハウジングを筐体に適切且つ強固に固定することができる。
【0021】
(6)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタ付きユニットは、筐体と、前記筐体に取り付けられる基板と、前記基板に取り付けられる上述したいずれかのコネクタと、を備えている。
【0022】
この構成によれば、コネクタが取り付けられる筐体の間口部分の形状変更に対して容易に形状変更可能なコネクタを備えたコネクタ付きユニットを提供することができる。
【0023】
(7)好ましくは、前記コネクタの内側ハウジングは、前記筐体及び前記基板の双方に対して締結部材によって締結される締結用孔部を有し、前記内側ハウジングが取り付けられた前記基板が前記筐体に締結された状態において、前記内側ハウジングと前記筐体との間には隙間が形成されており、前記コネクタの外側ハウジングは、前記隙間に設けられている。
【0024】
この構成によれば、コネクタ付きの基板を筐体に固定する際に、基板上の実装部品に歪みが生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コネクタが取り付けられる筐体の間口部分の形状変更に対して容易に形状変更可能なコネクタを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、コネクタ、及びこのコネクタを備えたコネクタユニットに広く適用できる。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る車載用機器1(コネクタ付きユニット)の一部を示す断面図である。また、
図2は、
図1に示すオスコネクタ10を前側から視た斜視図である。また、
図3は、
図1に示すオスコネクタ10を後側から視た斜視図である。
【0029】
また、各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方と称する。前方から後方へ向かう方向は、相手側コネクタとしてのメスコネクタ(図示省略)をオスコネクタ10へ嵌合する際の方向(嵌合方向)であり、後方から前方へ向かう方向は、メスコネクタをオスコネクタ10から抜去する際の方向(抜去方向)である。
【0030】
[車載用機器の全体構成]
車載用機器1は、筐体2と、各実装部品(図示省略)が実装された基板6と、基板6に接続された状態で筐体2に対して固定されるオスコネクタ10と、を備えている。車載用機器1は、自動車等の車両に搭載される機器である。車載用機器1では、箱状に形成された筐体2内に、オスコネクタ10が実装された基板6が収容されて固定された状態となっている。オスコネクタ10は、その先端側(前側)の部分が、筐体2に形成された間口部3から外部へ露出している。そして、車載用機器1では、該車載用機器1が有するオスコネクタ10の先端側にメスコネクタが嵌合することにより両者が電気的に接続される。
【0031】
[オスコネクタの全体構成]
オスコネクタ10は、オスコネクタ本体部11と、シールカバーアッシー30とを有している。オスコネクタ10では、詳しくは後述するが、基板6に固定された状態のオスコネクタ本体部11と筐体2との間の隙間G(
図9参照)がシールカバーアッシー30によって封止される。これにより、筐体2に対するオスコネクタ10のがたつきを抑制できるとともに、オスコネクタ10の防水性能を確保できる。
【0032】
[オスコネクタ本体部の構成]
図4は、オスコネクタ本体部11を前側から視た斜視図である。また、
図5は、オスコネクタ本体部11を後側から視た斜視図である。オスコネクタ本体部11は、ハウジング12(内側ハウジング)と、複数のオス型コンタクト19と、内側シールリング20とを有している。
【0033】
ハウジング12は、樹脂成型により形成された部材であって、複数のオス型コンタクト19を保持するように構成されている。ハウジング12は、底壁部13と、周壁部14と、筒壁部15と、締結用孔部16とを有し、これらが一体に形成されている。
【0034】
底壁部13は、前後方向に所定の厚みを有する底壁状の部分であって、左右方向に延びる略楕円形状に構成されている。前後方向から視た底壁部13の中央部分には、その部分を前後方向に貫通する複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。各貫通孔には、オス型コンタクト19が圧入されている。すなわち、底壁部13は、オス型コンタクト19を保持するコンタクト保持部として設けられている。
【0035】
周壁部14は、底壁部13の外周縁部から前方へやや延びるように形成された環状の壁部である。周壁部14の外周面には環状溝14a(
図1参照)が形成されている。この環状溝14aには、詳しくは後述する内側シールリング20が嵌め込まれている。
【0036】
筒壁部15は、底壁部13における周壁部14よりも内側の部分から前方へ延びるように形成された筒状の壁部である。筒壁部15は、周壁部14よりも前方まで延びている。筒壁部15は、前方から視て左右方向に細長い長方形状に形成されていて、その四隅はR状に形成されている。筒壁部15の内側には、複数のオス型コンタクト19における先端側(前側)の部分が収容されている。
【0037】
締結用孔部16は、底壁部13における後面に、左右方向に間隔を空けて2つ形成されている。締結用孔部16は、筐体2及び基板6に取り付けられる部分として設けられていて、ネジ止め等によって筐体2及び基板6に固定される。また、締結用孔部16の後側には、該締結用孔部16から上方へ突出する円柱状の突起部17が形成されている。オスコネクタ本体部11を基板6に対して固定する際、この突起部17が、基板6に形成された貫通孔(図示省略)に挿通させられることにより、基板6に対するオスコネクタ本体部11の位置決めを行うことができる。
【0038】
オス型コンタクト19は、L字状に形成された金属製の部材によって構成されている。各オス型コンタクト19は、
図1を参照して、その先端側(前側)の部分が、ハウジング12の底壁部13に形成された貫通孔に圧入されている。これにより、各オス型コンタクト19の先端部分は、筒壁部15内に配置される。
【0039】
内側シールリング20は、環状に形成されたリング本体部21と、該リング本体部21から径方向外側に膨出するように設けられた部分としてのリップ部22とを有し、これらが一体に形成されている。内側シールリング20は、
図1を参照して、リング本体部21が周壁部14の環状溝14aに嵌まり込んだ状態において、リップ部22の先端部(外周部)が、詳しくは後述するシールカバーアッシー30のカバーハウジング31によって径方向内側に押しつぶされた状態で、該カバーハウジング31に密着している。これにより、ハウジング12とカバーハウジング31との間の防水性能を確保できる。
【0040】
[シールカバーアッシーの構成]
図6は、シールカバーアッシー30を前側から視た斜視図である。また、
図7は、シールカバーアッシー30を後側から視た斜視図である。シールカバーアッシー30は、カバーハウジング31(外側ハウジング)と、外側シールリング40とを有している。
【0041】
カバーハウジング31は、枠部32と、フランジ部35と、内側張り出し部36と、カバーハウジング取付部37(外側ハウジング取付部)と、を有している。
【0042】
枠部32は、前後方向に厚みを有する略枠状に形成された部分である。枠部32の内側には、略楕円形状に形成された開口穴部33が形成されている。この開口穴部33には、
図1を参照して、オスコネクタ本体部11における前後方向中央部分が収容されている。
【0043】
枠部32における外周側の部分には、環状溝34(
図1参照)が形成されている。この環状溝34には、詳しくは後述する外側シールリング40が嵌め込まれている。
【0044】
フランジ部35は、枠部32における前側の外周縁部から外側へやや張り出すように形成されたフランジ状の部分である。フランジ部35は、
図1を参照して、オスコネクタ10が筐体2及び基板6に固定されている状態において、筐体2の間口部3における内周縁部を前側から覆っている。
【0045】
内側張り出し部36は、枠部32における前側の内周縁部から内側へやや張り出すように形成された部分である。内側張り出し部36は、
図1を参照して、フランジ部35よりもやや前側に形成されている。内側張り出し部36は、オスコネクタ10が筐体2及び基板6に固定されている状態において、オスコネクタ本体部11の周壁部14における径方向外側の部分を前側から覆っている。
【0046】
カバーハウジング取付部37は、枠部32における右側部分及び左側部分に、1つずつ形成されている。カバーハウジング取付部37は、筐体2に取り付けられる部分として設けられていて、ネジ止め等によって筐体2に固定される。
【0047】
外側シールリング40は、環状に形成されたリング本体部41と、該リング本体部41から径方向外側に膨出するように設けられた部分としてのリップ部42とを有し、これらが一体に形成されている。外側シールリング40は、
図1を参照して、リング本体部41が枠部32の環状溝34に嵌まり込んだ状態において、リップ部42の先端部(外周部)が筐体2によって径方向内側へ押しつぶされた状態で、該筐体2に密着している。これにより、カバーハウジング31と筐体2との間の防水性能を確保できる。
【0048】
[筐体及び基板に対するオスコネクタの取り付け工程]
図8は、オスコネクタ10を筐体2及び基板6に取り付ける際の取付工程を示すフローチャートである。以下では、
図8を用いて、筐体2及び基板6に対するオスコネクタ10の取り付け工程を説明する。
【0049】
まず、ステップS1では、オスコネクタ本体部11が基板6に取り付けられる。具体的には、ステップS1では、ハウジング12に形成された突起部17及び各オス型コンタクト19が、基板6における対応する孔部(図示省略)に挿通された状態で、オス型コンタクト19が基板6に半田付けされる。
【0050】
次に、ステップS2では、オスコネクタ本体部11が実装された基板6が、筐体2に対して締結される。具体的には、ステップS2では、まず基板6が、筐体2内における所定位置に配置される。この状態において、組立作業者が、締結用孔部16の貫通孔16aに締結部材としてのねじ(図示省略)が貫通するように、該締結用孔部16を、筐体2及び基板6に締結する。これにより、筐体2に対して、基板6及びオスコネクタ本体部11が取り付けられて固定される。
図9は、ステップS2が完了した状態における筐体2とコネクタ本体部11とを示す断面図である。この状態において、筐体2とコネクタ本体部11との間には、
図9に示すように、隙間Gが形成されている。
【0051】
最後に、ステップS3では、シールカバーアッシー30が筐体に取り付けられる。具体的には、シールカバーアッシー30の枠部32、及び該枠部32の環状溝34に嵌め込まれた外側シールリング40が、筐体2とコネクタ本体部11との間の隙間Gに押し込むようにして嵌め込まれる。そして、この状態において、カバーハウジング取付部37が、筐体2の間口部3に対してねじ止めされる。これにより、シールカバーアッシー30が、筐体2とコネクタ本体部11との間の隙間Gに嵌め込まれた状態で、筐体2の間口部3に対して締結される。このように、ステップS1からステップS3の工程を行うことにより、オスコネクタ10を筐体2及び基板6に対して取り付けることができる。
【0052】
[効果]
以上のように、本実施形態のオスコネクタ10では、オス型コンタクト19を保持した状態のハウジング12が基板6に取り付けられた後、該基板6が筐体2内に収容されてねじにより固定される。そして、その状態におけるハウジング12と筐体2との間にカバーハウジング31が設けられる。これにより、筐体2に対するハウジング12のがたつきを抑制した状態で、オスコネクタ10を筐体2及び基板6に取り付けることができる。
【0053】
また、オスコネクタ10によれば、例えば筐体2の設計変更等に伴ってオスコネクタ10が取り付けられる間口部3の形状が変更されても、オスコネクタ10における外側の部分(カバーハウジング31)の形状のみを変更して、オス型コンタクト19を有するオスコネクタ本体部11をそのまま使用できる。そうすると、コネクタ本体部11に用いられる多くの個品をそのまま流用でき、且つ、そのコネクタ本体部11については、改めて性能評価実験を行う必要がなくなる。よって、オスコネクタ10によれば、筐体2側の設計変更により必要となるコネクタの改造費用を低減でき、且つ追加で行うべき性能評価実験の工数を低減できる。
【0054】
従って、オスコネクタ10によると、コネクタが取り付けられる筐体の間口部分の形状変更に対して容易に形状変更可能なコネクタを提供できる。
【0055】
ところで例えば、従来から知られているコネクタでは、該コネクタが実装された基板を筐体に対して固定する際に、以下のような問題があった。具体的には、コネクタが実装された基板を筐体に収容して固定する際、例えばコネクタのハウジングの外周側に設けられたシールリングを筐体の間口部分に押しつけて密着させながら、基板及びコネクタを適切な位置に配置した後、基板をねじ止め等で筐体に固定していた。しかしこのように、コネクタを筐体の間口部分に対して押しつけつつ基板を筐体内における所定位置に収容して固定すると、シールリングの弾性変形具合によっては、基板全体が歪んだ状態で筐体に固定されてしまう場合がある。そうすると、基板上の実装部品にも歪みが生じてしまう。
【0056】
この点につき、オスコネクタ10によれば、まず、ハウジング12が取り付けられた状態の基板6を筐体2内に収容し、その後、締結用孔部16を、筐体2及び基板6の双方に対してねじによって締結することができる。この際、ハウジング12と筐体2との間には隙間Gが形成されているため、基板6には歪みが生じない。
【0057】
そしてその後、その隙間Gにカバーハウジング31が押し込まれながら嵌め込まれ、筐体2に固定される。このとき、基板6における、ハウジング12が基板6及び筐体2の双方に対して締結された箇所付近の領域(以下、締結箇所近傍領域と称する)、に応力が集中するため、該締結箇所近傍領域に歪みが生じる。この締結箇所近傍領域は、基板6における、ハウジング12の締結用孔部16付近の領域、である。よって、その領域は比較的狭い領域であるため、その締結箇所近傍領域に実装されている実装部品はごく僅かであるか、或いはその締結箇所近傍領域には実装部品は実装されていない。すなわち、基板6上におけるほとんどの実装部品或いは全ての実装部品は、基板6上における歪みが生じていない領域(締結箇所近傍領域以外の領域)に実装されている。従って、この構成によれば、コネクタ10付きの基板6を筐体2に固定する際に、基板6上の実装部品に歪みが生じることを抑制できるため、実装部品が破損等するリスクを大きく低減できる。
【0058】
また、オスコネクタ10によれば、ハウジング12とカバーハウジング31との間の防水性能を、内側シールリング20によって適切に確保することができる。
【0059】
また、オスコネクタ10によれば、カバーハウジング31と筐体2との間の防水性能を、外側シールリング40によって適切に確保することができる。
【0060】
更に、オスコネクタ10によれば、2つのシールリング20,40を径方向において2重構造とすることができる(具体的には、内側シールリング20と外側シールリング40とが同心状に配列される)。そうすると、例えば各シールリング20,40のリップ部22,42の高さを従来のおよそ半分に設定することができる。そうすると、リップ高さが要因で発生しうる嵌合時のシールリング20,40の噛み込み(具体的には、製品組立時にリップ部22,42がハウジング12とカバーハウジング31との間、或いはカバーハウジング31と筐体2との間等で挟まってしまうこと)を抑制できる。
【0061】
また、オスコネクタ10によれば、ねじを用いて、カバーハウジング31を筐体2に適切且つ強固に固定することができる。
【0062】
また、車載用機器1によれば、オスコネクタ10が取り付けられる筐体2の間口部3の形状変更に対して容易に形状変更可能なコネクタ10を備えたコネクタ付きユニットを提供することができる。
【0063】
また、車載用機器1によれば、オスコネクタ10が実装された基板6を筐体2に固定する際に、基板6上の実装部品に歪みが生じることを抑制できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0065】
[変形例]
(1)
図10は、変形例に係る車載用機器1aの一部を示す断面図である。本変形例に係る車載用機器1aは、上記実施形態に係る車載用機器1と比べて、シールカバーアッシーと筐体との間のシール構造が異なっている。具体的には、本変形例では、シールカバーアッシー30aが有する外側シールリング40aの形状が、上記実施形態の場合と異なっている。また、本変形例では、カバーハウジング31aにおいて外側シールリング40aが配置される位置が、上記実施形態の場合と異なっている。以下では、上記実施形態と異なる箇所について説明し、その他の箇所については説明を省略する。
【0066】
図10を参照して、本変形例のオスコネクタ10aのカバーハウジング31aは、上述した実施形態のカバーハウジング31の枠部32に形成されている環状溝34が省略された構成となっている。その代わりに、カバーハウジング31aのフランジ部35における後面には、環状溝35aが形成されている。そして、その環状溝35aには、環状に形成された外側シールリング40aが嵌め込まれている。このシールリング40aは、断面形状が円形状となるように形成されている。本変形例に係る車載用機器1aでは、このシールリング40aがフランジ部35と筐体2の間口部3との間に設けられている。なお、
図10では、筐体2とカバーハウジング31aとの間で挟まれて変形した状態のシールリング40aが図示されている。
【0067】
以上のように、カバーハウジング31aと筐体2との間のシール構造を本変形例のように構成した場合であっても、上記実施形態の場合と同様、カバーハウジングと筐体との間の防水性能を確保できる。
【0068】
そして、上記実施形態と比べてシール構造が異なる本変形例に係るオスコネクタ10aでも、上記実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(2)
図11は、変形例に係る車載用機器1bの一部を示す断面図である。本変形例に係る車載用機器1bは、上記実施形態に係る車載用機器1と比べて、オスコネクタ本体部とシールカバーアッシーとの間のシール構造が異なっている。具体的には、本変形例では、オスコネクタ本体部11aが有する内側シールリング20aの形状が、上記実施形態の場合と異なっている。また、本変形例では、ハウジング12aにおいて内側シールリング20aが配置される位置が、上記実施形態の場合と異なっている。以下では、上記実施形態と異なる箇所について説明し、その他の箇所については説明を省略する。
【0070】
図11を参照して、本変形例のオスコネクタ10bのハウジング12aは、上述した実施形態のハウジング12の周壁部14に形成されている環状溝14aが省略された構成となっている。その代わりに、ハウジング12aの周壁部14における前側の外縁部分には、環状溝14bが形成されている。そして、その環状溝14bには、環状に形成された内側シールリング20aが嵌め込まれている。このシールリング20aは、断面形状が円形状となるように形成されている。なお、
図11では、カバーハウジング31とハウジング12aとの間で挟まれて変形した状態のシールリング20aが図示されている。
【0071】
以上のように、ハウジング12aとカバーハウジング31との間のシール構造を本変形例のように構成した場合であっても、上記実施形態の場合と同様、ハウジングとカバーハウジングとの間の防水性能を確保できる。
【0072】
そして、上記実施形態と比べてシール構造が異なる本変形例に係るオスコネクタ10bでも、上記実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(3)
図12は、変形例に係る車載用機器1cの一部を示す断面図である。本変形例に係る車載用機器1cは、上記実施形態に係る車載用機器1のオスコネクタ本体部11に設けられた内側シールリング20が省略された構成となっており、その代わりに、シールカバーアッシー30bのカバーハウジング31bの枠部32の内周面に形成された段差部38に、内側シールリング20bが設けられた構成となっている。このような構成であっても、上記実施形態の場合と同様、カバーハウジングと筐体との間の防水性能を確保できる。
【0074】
そして、上記実施形態と比べてシール構造が異なる本変形例に係るオスコネクタ10cでも、上記実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(4)上述した実施形態では、カバーハウジング31と筐体2との間に外側シールリング40を設けることで、カバーハウジング31と筐体2との間の防水性能を確保したが、これに限らない。具体的には、例えば一例として、カバーハウジング31と筐体2との間を接着剤で封止することで、両者を互いに固定するとともに、両者の間の防水性能を確保でき、且つオスコネクタ本体部をシールカバーアッシーに対して容易に取り換えることができる。
【0076】
(5)上述した実施形態では、コネクタ付きユニットの一例として車載用機器1を例に挙げて説明したが、これに限らず、コネクタ付きユニットは、その他のユニットであってもよい。