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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-19561(P2017-19561A)
(43)【公開日】2017年1月26日
(54)【発明の名称】包装容器及びそれを用いた調理方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20170105BHJP
【FI】
   B65D81/34 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-201628(P2015-201628)
(22)【出願日】2015年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-137333(P2015-137333)
(32)【優先日】2015年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】397028511
【氏名又は名称】東京食品機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186864
【弁理士】
【氏名又は名称】尾関 眞里子
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】秦 哲志
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BB08
3E013BB09
3E013BB11
3E013BC04
3E013BC14
3E013BD06
3E013BD07
3E013BD11
3E013BD13
3E013BE01
3E013BE05
3E013BF74
3E013BG02
(57)【要約】
【課題】揚げ物や焼き物等のお惣菜を、簡便に、一番おいしい状態で、喫食でき、しかも、食品衛生上安全であり、食材や調理器具の準備や始末をする手間と時間が不必要となる包装容器及びそれを用いた調理方法を提供する。
【解決手段】包装容器は、上辺にフランジ部を有する側壁と、底板とからなる包装容器本体の、底板に波状に凸凹部を設け、凸部の頂部で包装容器本体に収容する食材を支承し、凹部を流通部とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上辺にフランジ部を有する側壁と、底板とからなる包装容器本体の、底板に波状に凸凹部を設け、凸部の頂部で包装容器本体に収容する食材を支承し、凹部を流通部として構成したことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
凸凹部は、底板に包装容器本体と一体成形してなる請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
凸凹部は取り外し可能な中敷である請求項1記載の包装容器。
【請求項4】
底板の凸部の頂部と凹部の底辺部の間隔は5mm〜30mmとする請求項1乃至請求項3記載の包装容器。
【請求項5】
底板の凸部の頂部と頂部のピッチ寸法は、3mm〜30mmとする請求項1乃至請求項4記載の包装容器。
【請求項6】
フランジ部には、蓋材を加熱シールして密封する請求項1乃至請求項5記載の包装容器。
【請求項7】
包装容器本体に、蓋材をはめた請求項1乃至請求項6記載の包装容器。
【請求項8】
包装容器本体は、外包装体を設けた請求項1乃至請求項7記載の包装容器。
【請求項9】
包装容器本体は、ガスを封入する請求項1乃至請求項8記載の包装容器。
【請求項10】
食材は、下味又は/及び衣をつけ油脂を噴霧した請求項1乃至請求項9記載の包装容器。
【請求項11】
上辺にフランジ部を有する側壁と、底板とからなる包装容器本体の、底板に波状に凸凹部を設け、凸部の頂部で包装容器本体に収容する下味又は/及び衣をつけ油脂を噴霧した食材を支承し、凹部を流通部として構成した包装容器の、前記フランジ部に蓋材を加熱シールし又ははめ、冷凍又は/及び冷蔵保存し、前記蓋材を除去した包装容器本体を加熱調理機器に入れて食材を焼成する包装容器を用いた調理方法。
【請求項12】
包装容器本体は、ガスを封入する請求項11記載の包装容器を用いた調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器及びそれを用いた調理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
忙しい日常生活の中でも、手間と時間をかけずに、手間暇かけたおいしいものを食べたいという需要は高まり、それの声に応えるべく、食品小売店のデパート、スーパー等では、すでに調理した惣菜を、ショーケースや、包装容器に入れて、店頭で販売している。
【0003】
しかし、惣菜の中でも、から揚げ、肉や魚のフライ、メンチカツ、コロッケ等の揚げ物は、揚げたての場合は、衣はカリッ、サクッとして、肉や野菜、それらと他の素材とを混ぜ合わせた中身の部分はふわっとジューシーで、その食感のコントラストも、味わいと共に人気のおいしさを作り上げているが、時間の経過と共に中身の水分が外に滲みわたり、衣の揚げ油と一体化して、べたつき、おいしくなくなってしまうという問題があった。
【0004】
下記特許文献1は、蓋体の内面の曇りを防止でき、付着した水滴も効率よく外部に放出でき、常に蓋体を通して収納された食品の状態が容易に視認できる包装容器を開示する。
【0005】
具体的には、図21のとおり、包装容器内に収納された食品等から発生する水蒸気を多く含んだ空気が、吸気口34から入り蓋部33の通気孔32から外方に流れる気流の流れにより容器外に効率的に放出されるため、蓋体31の内面に曇りや水滴の付着を防止でき、付着した水滴も効率より外部に放出でき、常に蓋体31を通して収納された食品の状態が容易に視認できる。
【0006】
また、下記特許文献2は、揚げ物や惣菜が発する熱や蒸気を確実に発散させ、しかも容器本体に対する蓋体の嵌合もしっかりと行うことのできる包装用容器を開示する。
【0007】
具体的には、図22図23のとおり、フランジ43自体に上下方向にうねる縦波44を形成するとともに、フランジ43の外端面に内外方向にうねる横波45を形成し、かつ、蓋体42の外端縁を直線状にした包装容器である。これにより、揚げ物や惣菜が発する熱や蒸気を、通気孔46及び通気路47から確実に発散させることができ、しかも容器本体41に対する蓋体42の嵌合もしっかりと行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−2536号公報
【特許文献2】特開2005−41520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記特許文献1及び特許文献2の発明は、揚げたての一番おいしい状態で包装容器に入れて蓋をしてしまうため、包装容器内の空気の流通が可能で、熱や蒸気が容器内から発散できたとしても、揚げ物自体の中身から衣への水分の浸透を止めることができない。したがって、調理済み食品を包装容器に入れて蓋をして店頭に陳列したものを喫食しなければならないという問題があった。
【0010】
さらに、消費者が揚げたてのおいしいトンカツやコロッケ、照り焼き、スペアリブ、ステーキ等を食べたい場合には、自分で複数の食材を購入して一から作るか、自分で揚げる、焼く必要のある冷凍食品や、消費期限の短いチルドの商品を都度購入する必要があり、自宅で長期間おいしく、食品衛生上安全な状態で保存でき、かつ簡便においしい揚げ物等を食することができないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、前記従来例の不都合を解消し、揚げ物、焼き物等の惣菜を、簡便に、一番おいしい状態で消費者が喫食でき、しかも、食品衛生上安全であり、後片付けも容易な、包装容器及びそれを用いた調理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、上辺にフランジ部を有する側壁と、底板とからなる包装容器本体の、底板に波状に凸凹部を設け、凸部の頂部で包装容器本体に収容する食材を支承し、凹部を流通部として構成したことを要旨とするものである。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、通常の包装容器の底板のリブは包装容器の強度を確保するために設けられているものであるが、本発明の包装容器本体に底板の凸部の頂部及び凹部の底辺部を設けることにより、頂部で食材を支承することのできる包装容器とすることができる。この包装容器に食材を収容して保管流通後、加熱調理機器で包装容器本体ごと食材を加熱調理することにより、出来立ての食品を食することができるため、従来の包装容器に入れて蓋をして店頭に陳列された、調理後時間の経過した調理済み食品を喫食する必要がなくなる。
【0014】
凸凹部7は、波状に並列するように形成してもよく、その並列は底板に対して縦方向でも横方向でもよい。また、凸凹部が、底板に2列以上の複数列で並列してもよい。さらに、直線状の凸凹部が平行に並列してもよく、弧を描いた形状の凸凹部が並列してもよい。また、同心円状に底板の中心を囲むように設けてもよい。したがって、凸凹部の形状や配置、数は限定されない。
【0015】
請求項2記載の本発明は、凸凹部は、底板に包装容器本体と一体成形したことを要旨とするものである。
【0016】
請求項2記載の本発明によれば、包装容器本体のみの使用で、底板の凸凹部の頂部で食材を支承する包装容器とすることができる。この底板の凸凹部は包装容器本体と一体成形したことにより、包装容器本体の強度を増加することもできる。
【0017】
請求項3記載の本発明は、凸凹部は取り外し可能な中敷としたことを要旨とするものである。
【0018】
請求項3記載の本発明によれば、凸凹部のない底板を有する包装容器に、凸凹部を有する中敷を設置することにより、凸凹部を設けた底板を有する包装容器とすることができる。
【0019】
また、包装容器本体より中敷を取り出すことにより、加熱調理した食材を食器に盛り付けやすく、中敷ごと食器に盛り付けたり、中敷を食器として使用することができる。さらに、包装容器本体より加熱調理済み食品を中敷ごと取り出し、中敷を外した底板の上に本食品のみ盛り付けることにより、不要な油脂等を取り除いた状態で食することができる。
【0020】
さらに、包装容器本体より加熱調理済み食品を中敷ごと取出し、汚れのない底板の上に本食品のみを収容した後、たれやドレッシング、香辛料等の調味料や他の具材を、かけたり、あえたり、マリネ等して、喫食者の好みに本食品をアレンジして食することができる。そして喫食者は、包装容器本体1ごと本調味済み食品を食することもでき、また、皿に盛り付けてもよい。
【0021】
請求項4記載の本発明は、底板の凸部の頂部と凹部の底辺部の間隔は5mm〜30mmとすることを要旨とするものである。
【0022】
請求項4記載の本発明によれば、通常の包装容器の強度を保つための底の高低の間隔が2mmから3mmのリブと比べて、包装容器本体の底板の凸凹部の凸部の頂点部と凹部と底辺部の高低を5mm以上と大きく有し、流通部を大きく設けることにより、空気の流通をスムースにできるため、加熱調理機器からの熱を効率良く食材に伝達でき、また、加熱調理により食材から発生する蒸気を効率よく除去することができる。
【0023】
さらに、食材から流出した不要な脂肪分は、凹部や底縁部に流れ落ち、喫食する食品に接することなく仕上がるため、さっぱりとした食味となり、余分なカロリーをカットすることができる。
【0024】
請求項5記載の本発明は、底板の凸部の頂部と頂部のピッチ寸法は、3mm〜30mmとすることを要旨とするものである。
【0025】
請求項5記載の本発明によれば、底板の凸部の頂部と頂部のピッチ寸法を、3mm〜30mmとすることにより、流通部を大きく設けることができ、空気の流通をスムースにできるため、加熱調理機器からの熱を効率良く食材に伝達でき、また、加熱調理により食材から発生する蒸気を効率よく除去することができる。
【0026】
請求項6記載の本発明は、フランジ部は、蓋材を加熱シールし密封することを要旨とするものである。
【0027】
請求項6記載の本発明によれば、包装容器本体に食材を収容した後、蓋材、例えばシート状の蓋材をフランジ部に加熱シールすることにより、包装容器本体と外界との遮断をするため、包装容器内への外気の流入を止め、空気中の細菌やカビ、異物の混入を防ぐことができ、包装容器本体内に収容する食材の保存性を高めることができる。
【0028】
請求項7記載の本発明は、包装容器本体に、蓋材をはめたことを要旨とするものである。
【0029】
請求項7記載の本発明によれば、包装容器本体に食材を収容した後、包装容器本体側壁上辺のフランジ部に、蓋材をはめることにより、包装容器本体と外界との遮断をするため、包装容器内への外気の流入を止め、空気中の細菌やカビ、異物の混入を防ぐことができ、包装容器本体内に収容する食材の保存性を高めることができる。
【0030】
請求項8記載の本発明は、包装容器本体は、外包装体を設けたことを要旨とするものである。
【0031】
請求項8記載の本発明によれば、食材を収容した包装容器本体を外包装体で包装することにより、包装容器本体と外界との遮断をするため、包装容器内への外気の流入を止め、空気中の細菌やカビ、異物の混入を防ぐことができ、包装容器本体内に収容する食材の保存性を高めることができる。
【0032】
請求項9記載の本発明は、包装容器本体は、ガスを封入することを要旨とするものである。
【0033】
請求項9記載の本発明によれば、包装容器本体に食材を収容した後、蓋材をシール又ははめる前に、包装容器にNやCO等のガスを封入充填することにより、収容した食材を前記不活性ガス中に保持し、空気中の酸素があることによる好ましくない変化、例えば、栄養、味、色、香り等食材中の成分の酸化や、外界から付着、混入するカビや細菌、害虫等の生存及び増加を抑制することができる。これにより、冷凍状態でも進む脂肪酸化を抑制し、食材の新鮮さを保持することができるうえ、カビや害虫に対する食品衛生の安全を確保できる。
【0034】
請求項10記載の本発明は、食材は、下味又は/及び衣をつけ油脂を噴霧することを要旨とするものである。
【0035】
請求項10記載の本発明によれば、包装容器本体に収容する食材は、下味又は/及び衣をつけた後油脂を噴霧したものであり、食材への油脂の噴霧は、包装容器本体への収容前であっても収容後でもよい。喫食者は、包装容器本体のまま調理できるため、他の調理器具を用意する必要がなく、かつ、その器具に食材を移す手間が省け、手や調理器具を洗浄する必要もなく、簡便にできたてのおいしい食品を簡便に食することができる。
【0036】
具体的には、本発明の包装容器で包装された下調理済みの食材を、蓋材を取り外した後、加熱調理機器にかけることで、食材に噴霧した油脂により揚げたような本格的なおいしいトンカツやコロッケ、照り焼きやスペアリブ、ステーキ等の揚げ物や焼き物等を簡便に調理して、出来たてのお惣菜を食することができる。
【0037】
これにより、小売店の冷凍又は/及び冷蔵で流通・販売され、また、自宅でストックする本発明の食材を収容した包装容器の蓋材を外し調理機器で加熱するだけで、複数の食材を購入して一から調理したり、揚げ油や調理器具の始末に悩みながら料理する必要なく、自宅で簡便においしい揚げ物や焼き物等を、食品衛生上問題なく、誰でも食することができる。
【0038】
また、食材に油脂を噴霧するのは、下味又は/及び衣をつけた食材を、カリッと揚げたように、パリッと焼いたように加熱調理するためである。食材によっては、食材中の脂肪分が多量に流出するため、食材の上面のみ油脂を噴霧すればよい。食材自身から流出した脂肪が食材の表面を覆い、その脂肪分で十分カリッと、パリッと加熱調理することができる。これにより、揚げ油で食材を揚げるより、食材が吸収する油脂が少ないため、摂取エネルギーを低く抑えることができ、また、食材の節約することができる。
【0039】
請求項11記載の本発明は、上辺にフランジ部を有する側壁と、底板とからなる包装容器本体の、底板に波状に凸凹部を設け、凸部の頂部で包装容器本体に収容する下味又は/及び衣をつけ油脂を噴霧した食材を支承し、凹部を流通部として構成した包装容器の、前記フランジ部に蓋材を加熱シールし又ははめ、冷凍又は/及び冷蔵保存し、前記蓋材を除去した包装容器本体を加熱調理機器に入れて食材を焼成する包装容器を用いた調理方法を要旨とするものである。
【0040】
請求項11記載の本発明によれば、食材の下準備をせず、本発明の包装用器の蓋材を除去した後、最適な時間、適温の加熱調理機器に入れるだけで、出来立てのおいしい食品を食することができる。
【0041】
請求項12記載の本発明は、包装容器本体は、ガスを封入する包装容器を用いた調理方法を要旨とするものである。
【0042】
請求項12記載の本発明によれば、食材を収容した包装容器本体にガス封入するため、ガスを封入しない場合に比べて空気中の酸素があることによる好ましくない変化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0043】
以上のべたように、本発明の包装容器は、揚げ物、焼き物等の惣菜を、簡便に最もおいしい出来たての状態で消費者が喫食でき、しかも、食品衛生上安全であり、また、調味料、揚げ油、天板や網等の食材や調理器具の準備や、始末をする手間と時間が不必要となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の包装容器本体の1実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の包装容器本体の1実施形態を示す平面図である。
図3】本発明の包装容器本体の1実施形態を示すA−A断面図である。
図4】本発明の包装容器本体の1実施形態を示す底面図である。
図5】本発明の包装容器本体の1実施形態を示す正面図である。
図6】本発明の包装容器本体の1実施形態を示す右側面図である。
図7】本発明の包装容器本体の1実施形態を示す断面図である。
図8】本発明の包装容器の深型中敷の1実施形態を示す断面図である。
図9】本発明の包装容器の中深型中敷の1実施形態を示す断面図である。
図10】本発明の包装容器本体の浅型中敷の1実施形態を示す断面図である。
図11】本発明の包装容器本体の凹凸状中敷の1実施形態を示す断面図である。
図12】本発明の包装容器本体にシート状の蓋体を設けた1実施形態を示す断面図である。
図13】本発明の包装容器本体に蓋体を設けた1実施形態を示す断面図である。
図14】本発明の包装容器本体に外包装体を設けた1実施形態を示す断面図である。
図15】本発明の包装容器本体の凸凹部の1形状パターンを示す説明図である。
図16】本発明の包装容器本体の凸凹部の1形状パターンを示す説明図である。
図17】本発明の包装容器本体の凸凹部の1形状パターンを示す説明図である。
図18】本発明の包装容器本体の凸凹部の1形状パターンを示す説明図である。
図19】本発明の包装容器本体の凸凹部の1形状パターンを示す説明図である。
図20】本発明の包装容器本体の凸凹部の1形状パターンを示す説明図である。
図21】従来例を示す斜視図である。
図22】従来例を示す平面図である。
図23】従来例を示す本体正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれに限定されたものでないことは、言うまでもない。
【0046】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。各図は本発明の包装容器本体の1実施形態を示すものであり、図1は斜視図、図2は平面図、図3はA−A断面図、図4は底面図、図5は正面図、図6は右側面図である。図中、1は包装容器本体、2はフランジ部、3は側壁、4は底板、5は底角部、6は底縁部、7は凸凹部、8は凸部、9は凹部、10は頂部、11は底辺部、12は流通部である。
【0047】
包装容器本体1は側壁3と、底板4と、側壁3の上辺にフランジ部2を有し、底板4に凸部8と凹部9を設け、凸部8の頂部10と凹部9の底辺部11は線状に並列し、凸部8と凹部9は流通部12を構成し、頂部10は食材を支承する。
【0048】
本実施例の包装容器本体1の底板4の形状は正方形であるが、調理機器の大きさ、形状、また、食材の形状、大きさにより、長方形や楕円形等の形状であってもよい。これに伴い、底板4に凸部8と凹部9を設け、凸部8の頂部10と凹部9の底辺部11は線状に並列させる方向も、底板4の形状によるため、限定されない。
【0049】
また、本実施例の凸凹部7の凸凹の数は限定はなく、また、凸凹の形状は、波状、半円状、くさび形等、空気、熱や蒸気の流通部12を構成することのできる形状であれば限定はないが、望ましくは、頂部10が食材と接する面積が狭いほど、加熱調理の際の食材の頂部10へのこびりつきを防ぐことができる。
【0050】
具体的に、図15から図20に、本発明の包装容器本体の凸凹部の形状パターン例を示す。図15及び図16のように、凸凹部7は、波状に並列するように形成してもよく、その並列は底板4に対して縦方向でも横方向でもよい。また、図17及び図18のように、凸凹部7が、底板4に2列以上の複数列で並列してもよい。さらに、図15から図18のように、直線状の凸凹部7が平行に並列してもよく、図19のように、弧を描いた形状の凸凹部7が並列してもよい。また、図20のように、同心円状に底板4の中心を囲むように設けてもよい。したがって、凸凹部7の形状や配置、数は限定されない。
【0051】
ここで、流通部12の空間が大きいほど空気の流通がよくなるため、食材への熱の伝達効率が良くなり、また、蒸気は除去されやすくなるため加熱時間が短縮でき、エネルギー消費が少なく加熱調理できる。
【0052】
さらに、底板4の面積は、底板4が平面状の場合に比して、底板4が凸部と凹部の間隔が大きい場合のほうが広くなるため、底板4からの熱の伝達量が大きくなる。これにより、加熱調理の熱量が多くなり、短時間に効率良く加熱調理ができる。
【0053】
底板4を凸凹状にした場合、食材が凸部8の頂部10で支持され、凹部9に面する食材は支持されていないが、凹部9への食材の落ち込みの心配はない。タンパク質が多い肉類等の食材の場合は、加熱によりタンパク質が凝集して筋繊維が縮み、適度に食材が硬化するためである。
【0054】
前記のとおり本発明の包装容器を用い食材を短時間に効率良く加熱調理するために、具体的には、底板の凸部の頂部と凹部の底辺部の間隔は5mm〜30mmとすることが望ましい。また、底板の凸部の頂部と頂部のピッチ寸法は、3mm〜30mmとすることが望ましい。
【0055】
本実施例の包装容器本体1は、食材を入れたまま、コンベクションオーブン、熱風オーブン、電子レンジ、オーブン付電子レンジ等の加熱調理機器に直接挿入して使用することのできるものである。
【0056】
このため、包装容器本体1の素材は、C−PET等の耐熱性に優れ、更にガスバリア性にも優れたものを使用することが望ましい。
【0057】
C−PET素材の場合は、220℃までの耐熱性があるため、包装容器本体1での食材の加熱調理において、フライパンで焼いたような焦げ目を付けることができる。また、ガスバリア性にも優れ、保存中の臭い移りの心配がない。さらに、蓋材を加熱シールする際に封入するガスが保存中保持され、食材の鮮度が保たれ、おいしさと安全性が確保できる。また、−20℃までの耐寒衝撃性を備えるため、冷凍保存時の衝撃にも耐え、包装容器本体1の破損はなく、焼却処理を行う場合、木材や紙と同程度の非常に小さい燃焼発熱量で済むため、調理後の包装容器を処分する際、環境にやさしい。
【0058】
ガスバリア性の測定方法は、JIS−K7126により、MOCON装置を使用し、等圧法を用いて測定する。ガスバリア性の有無は、JIS−Z1707の食品包装用プラスチックフィルム通則により、1級〜5級の5段階で評価する。5級は20ml/m2・24hr・atm以下、1級は5ml/m2・24hr・atm以下である。ここで、500μ厚のC−PET素材シートのガスバリア性は約3.2mlであるため、1級と評価される。
【0059】
耐寒衝撃強度の測定方法は、JIS−K7124−2により、あわせて、その温度環境下に測定装置を設置して行い、その比較により、強度の有無を評価する。チルド下で測定したA−PETシートの衝撃強度より、冷凍下で測定したC−PETシートの衝撃強度が同等もしくは上回る。
【0060】
耐熱性素材は、C−PET素材に限定されず、加熱調理機器での調理に耐えうるものであればよい。
【0061】
また、ガスバリア性素材は、NやCO等のガスを封入充填する場合に有効な包装容器素材であるが、のみならず、貯蔵配送中の外気の流入や包装容器内に収容された食材の風味を保持するためにも有用である。
【0062】
包装容器本体1の成形方法には、圧空成型(圧縮空気による熱成型)、真空成型(真空圧による熱成型)、圧空真空成型(圧縮空気と真空圧を使用した熱成型)、さらに、前記圧空成型、真空成型、又は圧空真空成型とプラグアシストを組み合わせた成型(プラグを併用した型押し成型)がある。一般的に熱成型には、直接加熱、間接加熱があるが、本実施例の包装容器本体の素材の性質により、間接加熱が望ましい。
【0063】
包装容器本体1の大きさは、原紙の厚み、材質、成型方法により、様々なものを製造することができる。
【0064】
本実施例では、包装容器本体1の強度を保つため、及び、包装容器本体1で食材を加熱調理する際に流出する焼汁等が食材に接しないように、底縁部6を設けているが、包装容器本体1の材質や大きさ、食材により設けなくともよい。
【0065】
凸凹部7を有する底板4は、包装容器本体1の成形時に一体として成形してもよく、また、底板が平面状の包装容器に凸凹状の中敷を敷いてもよい。
【0066】
図7は、本発明の包装容器本体の1実施形態を示す断面図である。本実施形態の底板4は平面状のものであるが、凸凹部を設けた中敷を、包装容器本体の平面状の底板の上に使用することにより、底板に凸凹部を一体成型した包装容器本体と同様の構成を有し効果を奏することができる。
【0067】
中敷の実施形態例として、図8は深型中敷、図9は中深型中敷、図10は浅型中敷、そして図11は凹凸状中敷を示す。中敷の深さは任意でよい。中敷は、包装容器本体1より取り出すことができ、これにより調理した食材を食器に盛り付けやすく、また、中敷ごと食器に盛り付けたり、さらに、中敷を食器として使用することができる。
【0068】
ここで、中敷の底の形状及び大きさは、包装容器本体の底板にぴったりはまるものでもよく、また、包装容器本体とずれたり外れなければ底板全面をおおうものでなくともよい。また、中敷の素材は、包装容器本体と同様、加熱調理機器での加熱調理可能な、耐熱性素材を使用して、前記成形方法で作成する。
【0069】
次に、図12は本発明の包装容器本体にシート状の蓋体17を設けた1実施形態を示す断面図である。包装容器本体1に外部から害虫や細菌・カビ等の混入を防ぐために、側壁3の上辺のフランジ部2にシート状の蓋体17を加熱シールした。加熱シールには、トレイシーラーを用いてもよい。シート状蓋体17の素材は、食材の保存性を高めるためにガスバリア性を有することが望ましい。
【0070】
具体的なシート状蓋材17の素材としては、耐寒衝撃強度を有し、かつ、高ガスバリア性を有するものは、NY/MX系NY/PET用シーラント、NY/バリア材コートNY/PET用シーラント、蒸着PET/NY/PET用シーラント、バリア材コートPET/NY/PET用シーラント等であり、前記バリア材は、Kコートや有機酸等である。そして、その総厚は、65μm〜80μmである。
【0071】
高ガスバリア性のみを有するシート状蓋材17の素材は、蒸着PET/PET用シーラント、MX系NY/PET用シーラント、バリア材コートNY/PET用シーラント、NY/EVOH/PET用シーラント、PET/EVOH/PET用シーラント、PET/EVOH系バリアNY/PET用シーラント等であり、前記バリア材は、Kコートや有機酸等である。そして、その総厚は、40μm〜60μmである。
【0072】
耐寒衝撃強度を有し、低ガスバリア性を有するシート状蓋材17の素材は、NY/NY/PET用シーラント、PET/NY/PET用シーラント等であり、その総厚は、65μm〜80μmである。
【0073】
耐寒衝撃強度を有さず、低ガスバリア性を有するシート状蓋材17の素材は、NY/PET用シーラント、PET/PET用シーラント等であり、その総厚は、40μm〜45μmである。
【0074】
前記素材で、PET外層を有しているものは、インクジェットプリンターにより品質保証期限やロットナンバー等の表記を、最も安定的にプリントする事ができる。
【0075】
図13は、本発明の包装容器本体に蓋体18を設けた1実施形態を示す断面図である。包装容器本体1に外部から害虫や細菌・カビ等の混入を防ぐために、側壁3の上辺のフランジ部2にはまる蓋体18を設けた。
【0076】
蓋体18は、包装容器本体と別個の部材でもよく、又は、一体に成形されるものでもよいが、加熱調理時に外せることが望ましい。一体に成形される蓋体の場合は、包装容器本体との間にミシン目等を設けることが望ましい。
【0077】
また、蓋体18の素材も、食材の保存性を高めるためにガスバリア性を有すること、さらに、強度のあるものが望ましい。蓋体18があることにより、安全に包装容器を積み重ねて輸送したり、保存することができる。蓋体18の表面の形状は特に限定されるものではなく、平面状であっても、窪みや、リブのあるものでもよい。
【0078】
図14は、本発明の包装容器本体に外包装体19を設けた1実施形態を示す断面図である。外部から害虫や細菌・カビ等の混入を防ぐために、包装容器本体1の外側に外包装体19で包装をした。外包装体19の素材も、食材の保存性を高めるためにガスバリア性を有すること、さらに、耐ピンホール性等強度のあるものが望ましい。
【0079】
次に、本発明の使用法について説明する。
【0080】
包装容器本体1に、小片に切った鶏肉にから揚げ粉をまぶし、凸凹部7の上に重ならないように並べ置き、肉片の表面に油脂を噴霧後、ガスを封入してシート状蓋体17を加熱シールするガス置換包装をし、冷凍又は/及び冷蔵で流通後、包装容器本体1のままオーブンにいれ加熱調理することにより、唐揚げが出来あがる。この場合、冷蔵保存したものを調理するには、コンベクションオーブン、熱風オーブンを使用する場合は、200℃、約10分で加熱調理できる。また、スチームオーブン付電子レンジのオーブンの場合は、唐揚げモードで約30分で加熱調理できる。
【0081】
包装容器本体1に、豚ヒレ肉のスライスに塩こしょう、小麦粉、溶き卵、パン粉の順につけたものを、凸凹部7の上に重ならないように並べ置き、表面に油脂をしっとりするくらいに噴霧後、ガスを封入してシート状蓋体17を加熱シールするガス置換包装をし、冷凍又は/及び冷蔵で流通後、包装容器本体1のままオーブンにいれ加熱調理することにより、ヒレカツが出来あがる。この場合、冷蔵保存したものを調理するには、コンベクションオーブン、熱風オーブンを使用する場合は、200℃、約8分で加熱調理できる。また、スチームオーブン付電子レンジのオーブンの場合は、唐揚げモードで約25分で加熱調理できる。
【0082】
包装容器本体1に、しょうゆやみりん、ショウガやにんにく等で下味をつけ、片栗粉や小麦粉をまぶした、鶏肉、豚バラ、イカゲソ等を、凸凹部7の上に並べ置き、これら食材の上面にのみ油を噴霧した後、トレイシーラーでシート状蓋体17を加熱シールし、あるいはガス置換後にシート状蓋体17を加熱シールし、冷凍又は/及び冷蔵流通後に、喫食者がシート状蓋体17を除去し、包装容器本体1ごと加熱調理機器に入れて焼成する。
【0083】
また、包装容器本体1に、加熱調理済みのかき揚げ等加熱済みの食品を凸凹部7の上に並べ置き、トレイシーラーでトップシールし、あるいはガス置換後にシート状蓋体17を加熱シールし、冷凍又は/及び冷蔵流通後に、喫食者がシート状蓋体17を除去し、包装容器本体1ごと加熱調理機器に入れて再加熱する。
【0084】
包装容器本体に収容する食材は、鶏肉、豚肉、牛肉、これらの骨付き肉、魚、いか等でもよく、そのまま、又は、塩、しょうゆ、みそ等の塩味、砂糖、みりん等の甘味、こしょうやしょうが、にんにく等の香辛料で下味をつけたものでもよく、さらに、小麦粉、でん粉、ミックス粉、水分と混ぜ合わせた粉類、卵、パン粉等の衣をつけたものでもよい。
【0085】
前記のように調理した食材を、コンベクションオーブン、熱風オーブン、電子レンジ、オーブン付電子レンジ等の調理加熱機器で加熱する際に、食材の表面の乾燥を防ぐためには少量の、食材を油で揚げたように加熱するためには表面がしっとりする程度に油脂を噴霧する。仕上げる料理により、油脂の噴霧量は異なる。油脂は食材の表面に噴霧するが、食材の有する油脂分が多い場合には、表面にのみ噴霧すればよい。加熱調理により食材から染み出た油脂が表面以外の部分を覆うため、その油脂で焼成できる。
【0086】
このように、包装容器本体1から食材、食品を取り出さずに加熱調理することができるため、細菌のコンタミネーションがなく、加熱調理器具が汚れず、包装容器本体1を食器としてそのまま喫食することもできる。
【0087】
また、加熱調理済みの食品は、そのまま食することもできるが、包装容器に別添したり外包装体19内に同封した、又は、喫食者が用意した、たれやドレッシング、香辛料等の調味料や具材を、かけたり、あえたり、マリネ等して、喫食者の好みにアレンジして食することができる。
【0088】
この場合、中敷のある包装容器の場合は、加熱調理により不要な油脂等が凸凹部7にたまっているため、包装容器本体1より中敷ごと加熱調理済み食品を取出し、汚れのない底板4の上にその食品を収容した後、前記調味料であえたり、マリネしたりと食品を調味することができる。そして喫食者は、包装容器本体1ごと前記調味済みの食品を食することもでき、また、皿に盛り付けてもよい。
【0089】
以上のように、揚げ油を用いた加熱調理の場合は、食材が過熱され焦げたり、逆に、加熱が足りない等の火加減に注意を要し、油の過加熱や、油に火が入る等の火災の事故にガス台等の火元を常時気にしてそばにいる必要があるが、本発明を用いれば、食材を収容した包装容器本体1ごと調温したオーブン等に入れて、タイマーをセットすれば、他の作業をしながら加熱調理ができるため、付き切りになる必要がない。加熱調理機器で、モード設定、時間設定、温度設定等を行い、作動した後は自動で加熱調理が終了するため、調理者は並行して他の作業をすることができる。
【0090】
また、揚げ物を調理する場合の揚げ油を購入して鍋に入れ加熱調理後片付ける等の時間と手間が不要なため、一人暮らし、単身者、老人、食事時間がばらばらな家庭にも便利である。
【0091】
さらに、焼き物や、揚げ物の再加熱の場合、オーブンの金網や天板を使用しなくてよいので、使用後のこびりつきや油汚れをこすり落としたり、洗剤で洗浄しなくてよい。そして、食材が金網や天板にこびりつくという調理工程がないため、食材の形状がそのままきれいに加熱調理でき、盛り付けも美しく、見栄えよくおいしそうに仕上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の包装容器及びそれを用いた調理方法は、揚げ物、焼き物等の惣菜を、簡便に、最もおいしい出来たての状態で喫食でき、しかも、食品衛生上安全であり、また、調味料、揚げ油、天板や網等の食材や調理器具の準備や、始末をする手間と時間が不必要となる、生活に必要不可欠なものである。
【符号の説明】
【0093】
1 包装容器本体
2 フランジ部
3 側壁
4 底板
5 底角部
6 底縁部
7 凸凹部
8 凸部
9 凹部
10 頂部
11 底辺部
12 流通部
13 深型中敷
14 中深型中敷
15 浅型中敷
16 凸凹状中敷
17 シート状蓋体
18 蓋体
19 外包装体
31 蓋体
32 通気孔
33 蓋部
34 吸気口
41 容器本体
42 蓋体
43 フランジ
44 縦波
45 横波
46 通気孔
47 通気路
図1
図2
図3
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