【解決手段】特定の態様において、本方法は、細胞に患者由来セグメントを導入する工程(ここで前記細胞または前記患者由来セグメントは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む);様々な濃度のHCV阻害剤の存在下で指標遺伝子の発現を測定する工程;感受性の標準曲線を決定する工程;およびHCV集団のIC95倍率変化、傾き、または最大阻害百分率を対照HCV集団のそれらと比較する工程を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえに、HCVポリペプチドを標的化する薬物に対する感受性を効率的かつ正確に決定するための方法および組成物への必要性がある。望ましい方法および組成物は、(a)HCV阻害剤感受性における自然の変動、および/または(b)HCV阻害剤耐性集団の出現および存続または衰退の指標となる処置前、処置中、および処置後の阻害剤感受性の差の評価を容易にすると予想される。また、HCV集団の相対的な複製能(RC)を評価するのに使用できる方法も必要である。これらおよびその他の必要は、本発明によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願は、HCV阻害剤に対する混成型のC型肝炎ウイルス(HCV)集団の感受性を効率的かつ正確に決定するための方法および組成物を提供する。
【0011】
C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、細胞に、HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;HCV阻害剤の非存在下で、またはHCV阻害剤の濃度を高めながら、細胞中の指標遺伝子の発現を測定する工程;HCV阻害剤に関する薬物感受性の標準曲線を作成する工程であって、IC
95倍率変化値は、標準曲線で検出される工程;HCV集団のIC
95倍率変化値を、対照HCV集団のIC
95倍率変化値と比較する工程;およびHCV集団のIC
95倍率変化が、対照HCV集団のIC
95倍率変化よりも大きい場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、HCV集団は、部分集団を含み、開示された方法は、HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する。特定の実施形態において、本方法は、HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する。特定の態様において、HCV阻害剤は、HCVポリメラーゼを標的とする。HCV阻害剤は、例えば、ヌクレオシド阻害剤(NI)または非ヌクレオシド阻害剤(NNI)であってもよい。いくつかの実施形態において、HCVは、ポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする非ヌクレオシド阻害剤(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)である。特定の態様において、HCV阻害剤は、NS5Aを標的とする。いくつかの実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1を含む。特定の実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1aまたは1bを含んでいてもよい。特定の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、Con1 HCVまたはH77 HCVを含む。特定のその他の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、HCV阻害剤で処置する前の患者に由来するHCV集団である。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントと指標核酸とを含む。いくつかの実施形態において、患者由来セグメントは、HCVのNS5B領域を含む。特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子を含む。これらの方法の特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。特定の実施形態において、本方法は、患者にとって適切な処置レジメンの決定を容易にするために使用される。特定の実施形態において、本方法はさらに、IC
50倍率変化値を決定すること、および検出されたIC
50倍率変化値に対するIC
95倍率変化値の比率を決定することを含み、ここで上記比率の変化は、阻害剤に対するHCVの感受性の変化の指標である。
【0012】
また、C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、細胞に、HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;HCV阻害剤の非存在下で、またはHCV阻害剤の濃度を高めながら、細胞中の指標遺伝子の発現を測定する工程;HCV阻害剤に対するHCV集団の薬物感受性の標準曲線を決定する工程;HCV集団の標準曲線の傾きを、対照HCV集団の標準曲線の傾きと比較する工程;およびHCV集団の標準曲線の傾きが、対照集団の標準曲線と比較して減少している場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程を含む、方法も提供される。いくつかの実施形態において、HCV集団は、部分集団を含み、開示された方法は、HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する。特定の実施形態において、本方法は、HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する。特定の態様において、HCV阻害剤は、HCVポリメラーゼを標的とする。HCV阻害剤は、例えば、ヌクレオシド阻害剤(NI)または非ヌクレオシド阻害剤(NNI)であってもよい。いくつかの実施形態において、HCVは、HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする非ヌクレオシド阻害剤(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)である。特定の態様において、HCV阻害剤は、NS5Aを標的とする。いくつかの実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1を含む。特定の実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1aまたは1bを含んでいてもよい。特定の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、Con1 HCVまたはH77 HCVを含む。特定のその他の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、HCV阻害剤で処置する前の患者に由来するHCV集団である。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含む。いくつかの実施形態において、患者由来セグメントは、HCVのNS5B領域を含む。特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子を含む。これらの方法の特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。特定の実施形態において、本方法は、患者にとって適切な処置レジメンの決定を容易にするために使用される。
【0013】
また、C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、細胞に、HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;HCV阻害剤の非存在下で、またはHCV阻害剤の濃度を高めながら、細胞中の指標遺伝子の発現を測定する工程;HCV阻害剤に対するHCV集団の薬物感受性の標準曲線を決定する工程;HCV集団の最大阻害百分率と、対照HCV集団の最大阻害百分率とを比較する工程;およびHCV集団の最大阻害百分率が、対照集団の最大阻害百分率と比較して減少している場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程を含む、方法も提供される。いくつかの実施形態において、HCV集団は、部分集団を含み、開示された方法は、HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する。特定の実施形態において、本方法は、HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する。特定の態様において、HCV阻害剤は、HCVポリメラーゼを標的とする。HCV阻害剤は、例えば、ヌクレオシド阻害剤(NI)または非ヌクレオシド阻害剤(NNI)であってもよい。いくつかの実施形態において、HCVは、HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする非ヌクレオシド阻害剤(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)である。特定の態様において、HCV阻害剤は、NS5Aを標的とする。いくつかの実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1を含む。特定の実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1aまたは1bを含んでいてもよい。特定の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、Con1 HCVまたはH77 HCVを含む。特定のその他の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、HCV阻害剤で処置する前の患者に由来するHCV集団である。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含む。いくつかの実施形態において、患者由来セグメントは、HCVのNS5B領域を含む。特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子を含む。これらの方法の特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。特定の実施形態において、本方法は、患者にとって適切な処置レジメンの決定を容易にするために使用される。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、
(a)細胞に、前記HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;
(b)前記HCV阻害剤の非存在下で、または前記HCV阻害剤の濃度を高めながら、前記細胞中の前記指標遺伝子の発現を測定する工程;
(c)前記HCV阻害剤に関する薬物感受性の標準曲線を作成する工程であって、IC
95倍率変化値が、前記標準曲線で検出される、工程;
(d)前記HCV集団の前記IC
95倍率変化値を、対照HCV集団のIC
95倍率変化値と比較する工程;および
(e)前記HCV集団の前記IC
95倍率変化が、前記対照HCV集団の前記IC
95倍率変化よりも大きい場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程
を含む、方法。
(項目2)
前記HCV集団が、部分集団を含み、前記方法が、前記HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記HCV阻害剤が、HCVポリメラーゼを標的とする、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記HCV阻害剤が、ヌクレオシド阻害剤(NI)である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記HCV阻害剤が、非ヌクレオシド阻害剤(NNI)である、項目4に記載の方法。(項目7)
前記HCV阻害剤が、前記HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1aを含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記対照HCV集団が、Con1 HCVを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1bを含む、項目8に記載の方法。
(項目12)
前記対照HCV集団が、H77 HCVを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記対照HCV集団が、前記HCV阻害剤で処置する前の前記患者のHCV集団を含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記耐性テストベクターが、前記患者由来セグメントと前記指標遺伝子とを含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記患者由来セグメントが、HCVのNS5B領域を含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記指標遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子を含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記細胞が、Huh7細胞である、項目1に記載の方法。
(項目18)
工程(e)の感受性の決定に基づいて、前記患者にとって適切な処置レジメンを決定する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、
(a)細胞に、前記HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;
(b)前記HCV阻害剤の非存在下で、または前記HCV阻害剤の濃度を高めながら、前記細胞中の前記指標遺伝子の発現を測定する工程;
(c)前記HCV阻害剤に対する前記HCV集団の薬物感受性の標準曲線を決定する工程;
(d)前記HCV集団の前記標準曲線の傾きを、対照HCV集団の標準曲線の傾きと比較する工程;および
(e)前記HCV集団の前記標準曲線の前記傾きが、前記対照集団の前記標準曲線と比較して減少している場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程
を含む、方法。
(項目20)
前記HCV集団が、部分集団を含み、前記方法が、前記HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記HCV阻害剤が、HCVポリメラーゼを標的とする、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記HCV阻害剤が、ヌクレオシド阻害剤(NI)である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記HCV阻害剤が、非ヌクレオシド阻害剤(NNI)である、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記HCV阻害剤が、前記HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1を含む、項目19に記載の方法。
(項目27)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1aを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記対照HCV集団が、Con1 HCVを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1bを含む、項目26に記載の方法。
(項目30)
前記対照HCV集団が、H77 HCVを含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記対照HCV集団が、前記HCV阻害剤で処置する前の前記患者のHCV集団を含む、項目19に記載の方法。
(項目32)
宿主細胞への耐性テストベクターが、前記患者由来セグメントと前記指標遺伝子とを含む、項目19に記載の方法。
(項目33)
前記患者由来セグメントが、HCVのNS5B領域を含む、項目19に記載の方法。
(項目34)
前記指標遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子を含む、項目19に記載の方法。
(項目35)
宿主細胞が、Huh7細胞である、項目19に記載の方法。
(項目36)
工程(e)の感受性の決定に基づいて、前記患者にとって適切な処置レジメンをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目37)
C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、
(a)細胞に、前記HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;
(b)前記HCV阻害剤の非存在下で、または前記HCV阻害剤の濃度を高めながら、前記細胞中の前記指標遺伝子の発現を測定する工程;
(c)前記HCV阻害剤に対する前記HCV集団の薬物感受性の標準曲線を決定する工程;
(d)前記HCV集団の最大阻害百分率と、対照HCV集団の最大阻害百分率とを比較する工程;および
(e)前記HCV集団の前記最大阻害百分率が、前記対照集団の前記最大阻害百分率と比較して減少している場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程
を含む、方法。
(項目38)
前記HCV集団が、部分集団を含み、前記方法が、前記HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記HCV阻害剤が、HCVポリメラーゼを標的とする、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記HCV阻害剤が、ヌクレオシド阻害剤(NI)である、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記HCV阻害剤が、非ヌクレオシド阻害剤(NNI)である、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記HCV阻害剤が、前記HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする、項目40に記載の方法。
(項目44)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1を含む、項目37に記載の方法。
(項目45)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1aを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記対照HCV集団が、Con1 HCVを含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記対照HCV集団が、HCV遺伝子型1bを含む、項目44に記載の方法。
(項目48)
前記対照HCV集団が、H77 HCVを含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記対照HCV集団が、前記HCV阻害剤で処置する前の前記患者のHCV集団を含む、項目37に記載の方法。
(項目50)
前記耐性テストベクターが、前記患者由来セグメントと前記指標遺伝子とを含む、項目37に記載の方法。
(項目51)
前記患者由来セグメントが、HCVのNS5B領域を含む、項目37に記載の方法。
(項目52)
前記指標遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子を含む、項目37に記載の方法。
(項目53)
宿主細胞が、Huh7細胞である、項目37に記載の方法。
(項目54)
工程(e)の感受性の決定に基づいて、前記患者にとって適切な処置レジメンを決定する工程をさらに含む、項目37に記載の方法。
【0014】
以下の図で本発明の方法の非限定的な実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、特に、抗HCV薬に対するHCV集団の感受性を決定するための方法または患者に感染しているHCVの複製能を決定するための方法を提供する。本方法、および本方法の実行において有用な組成物を以下でさらに説明する。
【0017】
定義および略語
以下の用語は、本明細書では、本出願においてそれらが使用されている通りに定義される。
【0018】
「PCR」は、「ポリメラーゼ連鎖反応」の略語である。
【0019】
「HCV」は、C型肝炎ウイルスの略語である。特定の実施形態において、HCVは、HCV遺伝子型1を指す。特定の実施形態において、HCVは、HCV遺伝子型1aまたは1bを指す。
【0020】
20種の遺伝学的にコードされたL−アミノ酸についての本明細書で使用されるアミノ酸の表記法は慣例的なものであり、以下の通りである。
【0021】
【表1】
特に他の既定がない限り、ポリペプチド配列が一連の1文字および/または3文字略記として示される場合、その配列は、一般的な実施に従ってNからC方向で表記される。配列中の個々のアミノ酸は、本明細書ではANのように表示され、この場合、Aは、配列中のアミノ酸の標準的な1文字記号であり、Nは、配列中の位置である。変異は、本明細書ではA
1NA
2のように表示され、この場合、A
1は、参照タンパク質配列中のアミノ酸の標準的な1文字記号であり、A
2は、変異タンパク質配列中のアミノ酸の標準的な1文字記号であり、Nは、アミノ酸配列中の位置である。例えば、G25M変異は、アミノ酸25位におけるグリシンからメチオニンへの変化を表す。また変異は、本明細書では、NA
2のように表示されることもあり、この場合、Nは、アミノ酸配列中の位置であり、A
2は、変異タンパク質配列中のアミノ酸の標準的な1文字記号である(例えば、アミノ酸25位において野生型アミノ酸からメチオニンに変化している場合、25Mである)。加えて、変異はまた、本明細書では、A
1NXのように表示され、この場合、A
1は、参照タンパク質配列中のアミノ酸の標準的な1文字記号であり、Nは、アミノ酸配列中の位置であり、Xは、変異したアミノ酸がどのようなアミノ酸であってもよいことを示す(例えば、G25Xは、アミノ酸25位におけるグリシンからあらゆるアミノ酸への変化を表す)。この表記法は、典型的には、変異タンパク質配列中のアミノ酸が未知のときに使用されるか、変異タンパク質配列中のアミノ酸が、参照タンパク質配列中で見出されるものを除くあらゆるアミノ酸であり得る場合に使用されるか、または変異した位置のアミノ酸が、その位置で2つ以上のアミノ酸の混成であることが観察されている場合に使用される。アミノ酸の位置は、変異を包含する領域が誘導されるタンパク質の全長配列に基づいて番号付けされる。DNA配列中のヌクレオチドおよび点変異の表示も同様である。加えて、変異はまた、本明細書では、例えばA
1NA
2A
3A
4のように表示され、例えば、A
1は、参照タンパク質配列中のアミノ酸の標準的な1文字記号であり、Nは、アミノ酸配列中の位置であり、A
2、A
3、およびA
4は、変異タンパク質配列中に存在する可能性があるアミノ酸の標準的な1文字記号である。
【0022】
特定の核酸塩基配列を含む核酸を指し示すために明細書全体で使用される略語は、慣例的な1文字略語である。従って、天然に存在するコーディング核酸塩基は、核酸中に包含される場合、以下のように、すなわちアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)と略記される。特に他の規定がない限り、一連の1文字略語として表示される一本鎖核酸配列、および二本鎖配列の上の鎖は、5’から3’方向で表記される。
【0023】
成句「表現型アッセイ」は、本明細書で使用される場合、例えばHCVなどの特定のウイルスの表現型、または例えば被検体に感染しているHCV集団などのウイルス集団を測定するテストである。測定することができる表現型としては、これらに限定されないが、特異的な化学物質または生物学的な抗ウイルス剤に対するウイルスもしくはウイルス集団の耐性もしくは感受性が挙げられ、またはウイルスの複製能を測定することも挙げられる。
【0024】
「遺伝子型アッセイ」は、本明細書で使用される場合、生物、生物の一部、生物集団、遺伝子、遺伝子の一部、または遺伝子集団の遺伝子型を決定するアッセイである。典型的には、遺伝子型アッセイは、1種または複数の関連遺伝子の核酸配列の決定を含む。このようなアッセイは、HCVにおいて、例えば、所定の変異が、減少した薬物感受性(耐性)もしくは感受性過度の減少と関連があるかどうか、または変更された複製能が存在するかどうかを確定するためによく行われている。
【0025】
用語「変異」は、本明細書で使用される場合、参照核酸またはポリペプチドと比べて、アミノ酸配列またはそれに対応する核酸配列における変化を指す。本発明の特定の実施形態について、参照核酸は、HCV遺伝子型1b集団と比較する場合はCon1 HCVの核酸、またはHCV遺伝子型1a集団と比較する場合はH77 HCVの核酸である。同様に、参照ポリペプチドは、Con1またはH77 HCV核酸配列によってコードされたポリペプチドである。あるいは、参照核酸またはポリペプチドは、HCV阻害剤で処置する前の患者集団由来であってもよい。ペプチドのアミノ酸配列は、例えばエドマン分解または質量分析によって直接決定することができるが、より典型的には、ペプチドのアミノ配列は、そのペプチドをコードする核酸のヌクレオチド配列から推測される。当該分野において公知のあらゆる核酸配列の決定方法を使用することができ、例えば、マクサム−ギルバートの配列決定法(Maxamら、1980年、Methods in Enzymology 65巻:499号)、ジデオキシ配列決定法(Sangerら、1977年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74巻:5463号)またはハイブリダイゼーションベースのアプローチ(例えば、Sambrookら、2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、第3版、NY;およびAusubelら、1989年、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing AssociatesおよびWiley Interscience、NYを参照)。用語「位置」および「コドン」は、本明細書で使用される場合、交換可能に用いられ、配列中の特定のアミノ酸を指す。特定の実施形態において、変異は、薬物感受性の変化に関連することがわかっている。例えば、所定のNS5B変異は、部位A(NNI−A;例えばL392I、およびP495A/L変異体)、部位B(NNI−B;例えばM423T)、部位C(NNI−C;例えばC316YおよびY448H)または部位D(NNI−D;例えばC316Y)を標的とする、ヌクレオシド阻害剤(NI;例えばS282T変異体)または非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤に対する感受性の減少と関連する。
【0026】
用語「変異体」は、本明細書で使用される場合、参照ウイルス、遺伝子、またはタンパク質と比べて1つまたは複数の変化を有する配列を有するウイルス、遺伝子、またはタンパク質を指す。用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、全体を通して交換可能に使用される。同様に、用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」も全体を通して交換可能に使用される。
【0027】
用語「野生型」は、本明細書では、薬物感受性の変化(減少または増加)に関連することが公知の変異を含まないウイルスの遺伝子型を指すものとして使用される。用語「薬物感受性」および「阻害剤感受性」は、本明細書で使用される場合、交換可能に使用される。
【0028】
用語「感受性」は、本明細書で使用される場合、特定の薬物に対するウイルスの応答を指す。薬物に対して感受性が低減または減少したウイルスは、その薬物に対して耐性を有する場合もあるし、またはその薬物による処置の作用を受けにくい場合もある。それに対して、薬物に対して増加したまたは増強された感受性(感受性過度)を有するウイルスは、その薬物による処置の作用を受けやすい。特定の実施形態において、開示された感受性決定方法は、医療提供者によって患者にとって適切な処置レジメンの決定を容易にするために使用することができる。
【0029】
用語「IC
95」は、疾患の原因となる微生物(例えばHCV)の繁殖を95%抑制するのに必要なサンプル中の薬物濃度を指す。用語「IC
50」は、疾患の原因となる微生物の繁殖を50%抑制するのに必要なサンプル中の薬物濃度を指す。
【0030】
用語「倍率変化」は、本明細書で使用される場合、患者のウイルスの薬物感受性と参照ウイルスの薬物感受性との数値的な比較である。例えば、薬物感受性参照HCVのIC
50に対する変異体HCVのIC
50の比率が、倍率変化である。1.0の倍率変化は、患者のウイルスが、薬物感受性参照ウイルスと同程度の薬物感受性を示すことを表す。1未満の倍率変化は、患者のウイルスが、薬物感受性参照ウイルスよりも感受性が高いことを表す。1より大きい倍率変化は、患者のウイルスが、薬物感受性参照ウイルスよりも感受性が低いことを表す。臨床上のカットオフ値に等しいかまたはそれより大きい倍率変化は、患者のウイルスが、その薬物に対して応答する確率が低いことを意味する。臨床上のカットオフ値よりも小さい倍率変化は、患者のウイルスが、その薬物に対して感受性を有することを意味する。
【0031】
成句「臨床上のカットオフ値」は、薬物感受性がなくなる特異的なポイントを指す。これは、特定の薬物を用いた患者の処置が失敗する確率が有意に増加する薬物感受性レベルと定義される。臨床研究で決定される場合、カットオフ値は抗ウイルス剤ごとに異なる。臨床上のカットオフ値は、臨床試験で耐性および転帰のデータを評価することにより決定される。表現型の薬物感受性は、処置開始時に測定される。処置の経過全体にわたり予め決められた時点でウイルス量の変化などの処置応答をモニターする。薬物感受性と処置応答とは相関していることから、臨床上のカットオフ値は、処置の失敗に関連する感受性レベルによって決定される(試験結果全体の統計的分析)。
【0032】
抗ウイルス処置に対する感受性の減少と相関している特性、例えば変異をウイルスが有する場合に、そのウイルスは、抗ウイルス処置に対する「感受性が減少する尤度の増加」を示し得る。ある特性を有するウイルス集団が、平均して、その特性は有さないが他の点では類似したウイルス集団と比べて抗ウイルス処置の作用を受けにくい場合、そのウイルスの特性は、感受性の減少と相関している。従って、特性の存在と感受性の減少との相関は絶対である必要はないし、感受性の減少を付与するのにその特性が必須である(すなわちその特性が、感受性の減少を引き起こす役割を果たす)または十分である(すなわちその特性が存在するだけで十分である)という要件もない。
【0033】
用語「%配列相同性」は、本明細書では、用語「%相同性」、「%配列同一性」、および「%同一性」と交換可能に使用され、配列アライメントプログラムを使用して並べた場合、2つ以上のペプチド配列間におけるアミノ酸配列の同一性のレベルを指す。例えば、80%の相同性は、本明細書で用いられる場合、定義されたアルゴリズムによって決定された80%配列同一性と同じことを意味し、従って所定の配列のホモログは、その所定の配列の長さにわたり80%より高い配列同一性を有する。配列同一性の例示的なレベルとしては、これらに限定されないが、所定の配列に対して、60、70、80、85、90、95、98%またはそれより高い配列同一性が挙げられる。
【0034】
2つの配列間の同一性を決定するのに使用可能なコンピュータプログラムの例としては、これらに限定されないが、インターネットでhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において公共的に利用可能な一連のBLASTプログラム、例えばBLASTN、BLASTX、ならびにTBLASTX、BLASTP、およびTBLASTNが挙げられる。また、Altschulら、1990年、J. Mol. Biol. 215巻:403〜10頁(特に、公開されたデフォルト設定、すなわちパラメーターw=4、t=17に関連する)およびAltschulら、1997年、Nucleic Acids Res.、25巻:3389〜3402頁も参照されたい。典型的には、GenBankタンパク質配列およびその他の公開データベースのアミノ酸配列と比べて所定のアミノ酸配列を評価する場合、配列の検索はBLASTPプログラムを使用して実行される。GenBankタンパク質配列およびその他の公開データベースのアミノ酸配列に対して、全てのリーディングフレームですでに翻訳された核酸配列を検索する場合には、BLASTXプログラムが好ましい。BLASTPおよびBLASTXはいずれも、11.0のオープンギャップペナルティー、および1.0の伸長ギャップペナルティーのデフォルトパラメーターを使用して実行され、さらにBLOSUM−62マトリックスを利用する。Altschulら、1997年を参照されたい。
【0035】
2つ以上の配列間の「%同一性」を決定するための、選択された配列の好ましいアライメントは、例えばMacVectorバージョン6.5のCLUSTAL−Wプログラムを使用して行われ、10.0のオープンギャップペナルティー、0.1の伸長ギャップペナルティー、およびBLOSUM30類似マトリックスを含むデフォルトパラメーターで操作される。
【0036】
用語「極性アミノ酸」は、生理学的なpHで電荷を有さない側鎖を有するが、2つの原子が共有する電子対が、それら原子のうち一方により近接して保持される結合を少なくとも1つ有する親水性アミノ酸を指す。遺伝学的にコードされた極性アミノ酸としては、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)、およびThr(T)が挙げられる。
【0037】
「非極性アミノ酸」は、生理学的なpHで電荷を有さない側鎖を有し、2つの原子が共有する電子対が、通常2つの原子それぞれによって等しく保持される結合を有する(すなわち側鎖が極性ではない)疎水性アミノ酸を指す。遺伝学的にコードされた無極性アミノ酸としては、Ala(A)、Gly(G)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、およびVal(V)が挙げられる。
【0038】
「親水性アミノ酸」は、Eisenbergら、1984年、J. Mol. Biol. 179巻:125〜142頁の正規化コンセンサス疎水性尺度(normalized consensus hydrophobicity scale)に従ってゼロ未満の疎水性を示すアミノ酸を指す。遺伝学的にコードされた親水性アミノ酸としては、Arg(R)、Asn(N)、Asp(D)、Glu(E)、Gln(Q)、His(H)、Lys(K)、Ser(S)、およびThr(T)が挙げられる。
【0039】
「疎水性アミノ酸」は、Eisenbergら、1984年、J. Mol. Biol. 179巻:125〜142頁の正規化コンセンサス疎水性尺度に従ってゼロより大きい疎水性を示すアミノ酸を指す。遺伝学的にコードされた疎水性アミノ酸としては、Ala(A)、Gly(G)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、Phe(F)、Pro(P)、Trp(W)、Tyr(Y)、およびVal(V)が挙げられる。
【0040】
「酸性アミノ酸」は、7未満の側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を指す。酸性アミノ酸は、典型的には、水素イオンの損失により生理学的なpHで負電荷を有する側鎖を有する。遺伝学的にコードされた酸性アミノ酸としては、Asp(D)およびGlu(E)が挙げられる。
【0041】
「塩基性アミノ酸」は、7より大きい側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を指す。塩基性アミノ酸は、典型的には、ヒドロニウムイオンとの会合により生理学的なpHで正電荷を有する側鎖を有する。遺伝学的にコードされた塩基性アミノ酸としては、Arg(R)、His(H)、およびLys(K)が挙げられる。
【0042】
用語「耐性テストベクター」は、本明細書で用いられる場合、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有する1つまたは複数の核酸を指す。耐性テストベクターが1個より多くの核酸を含む場合では、患者由来セグメントが1つの核酸に含有され、指標遺伝子が異なる核酸に含有されていてもよい。例えば、指標遺伝子および患者由来セグメントは、単一のベクター中に存在していてもよいし、または別のベクター中に存在していてもよい。従って耐性テストベクターのDNAまたはRNAは、1つまたは複数のDNAまたはRNA分子に含有されていてもよいし、1つまたは複数のDNAまたはRNA分子として宿主細胞に導入されてもよい。用語「患者由来セグメント」は、本明細書で用いられる場合、患者に感染しているHCVの核酸配列に相当するHCV核酸配列を含む1つまたは複数の核酸であって、その核酸配列が、抗HCV薬の標的であるHCVの遺伝子産物をコードする上記核酸を指す。「患者由来セグメント」は、例えば、感染患者の細胞(例えば末梢血単核細胞、PBMC)、血清、またはその他の体液中に存在する、ウイルスDNAまたはウイルスRNAから調製された相補的DNA(cDNA)からの分子クローニングまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの当業者に公知の適切な技術によって調製することができる。「患者由来セグメント」は、好ましくは、患者から単離された後、患者に感染しているHCVを培養しない技術を使用して単離されるか、またはウイルスが培養される場合、培養中の変異の選択を低減させるかまたは本質的になくすようにするために継代を最小限にした技術を使用して単離される。用語「指標」、「指標核酸」、または「指標遺伝子」は、本明細書で用いられる場合、直接的にまたは反応を介して、測定可能なもしくは顕著な側面、例えば測定可能な波長の色または光を発生させるか、またはDNAまたはRNAが指標として使用されるケースでは、特異的なDNAまたはRNA構造の変化もしくは発生を引き起こす、タンパク質、DNA構造、またはRNA構造をコードする核酸を指す。好ましい指標遺伝子は、ルシフェラーゼである。例えばβ−ガラクトシダーゼなどのその他の指標遺伝子が当該分野において周知である。
【0043】
HCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法
C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、細胞に、HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;HCV阻害剤の非存在下で、またはHCV阻害剤の濃度を高めながら、細胞中の指標遺伝子の発現を測定する工程;HCV阻害剤に関する薬物感受性の標準曲線を作成する工程であって、IC
95倍率変化値は、標準曲線で検出される工程;HCV集団のIC
95倍率変化値を、対照HCV集団のIC
95倍率変化値と比較する工程;およびHCV集団のIC
95倍率変化が、対照HCV集団のIC
95倍率変化よりも大きい場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、HCV集団は、部分集団を含み、開示された方法は、HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する。特定の実施形態において、本方法は、HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する。特定の態様において、HCV阻害剤は、HCVポリメラーゼを標的とする。HCV阻害剤は、例えば、ヌクレオシド阻害剤(NI)または非ヌクレオシド阻害剤(NNI)であってもよい。いくつかの実施形態において、HCVは、ポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする非ヌクレオシド阻害剤(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)である。特定の態様において、HCV阻害剤は、NS5Aを標的とする。いくつかの実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1を含む。特定の実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1aまたは1bを含んでいてもよい。特定の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、Con1 HCVまたはH77 HCVを含む。特定のその他の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、HCV阻害剤で処置する前の患者に由来するHCV集団である。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントと指標核酸とを含む。いくつかの実施形態において、患者由来セグメントは、HCVのNS5B領域を含む。特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子を含む。これらの方法の特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。特定の実施形態において、本方法は、患者にとって適切な処置レジメンの決定を容易にするために使用される。特定の実施形態において、本方法はさらに、IC
50倍率変化値を決定すること、および検出されたIC
50倍率変化値に対するIC
95倍率変化値の比率を決定することを含み、ここで上記比率の変化は、阻害剤に対するHCVの感受性の変化の指標である。
【0044】
また、C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、細胞に、HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;HCV阻害剤の非存在下で、またはHCV阻害剤の濃度を高めながら、細胞中の指標遺伝子の発現を測定する工程;HCV阻害剤に対するHCV集団の薬物感受性の標準曲線を決定する工程;HCV集団の標準曲線の傾きを、対照HCV集団の標準曲線の傾きと比較する工程;およびHCV集団の標準曲線の傾きが、対照集団の標準曲線と比較して減少している場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程を含む、方法も提供される。いくつかの実施形態において、HCV集団は、部分集団を含み、開示された方法は、HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する。特定の実施形態において、本方法は、HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する。特定の態様において、HCV阻害剤は、HCVポリメラーゼを標的とする。HCV阻害剤は、例えば、ヌクレオシド阻害剤(NI)または非ヌクレオシド阻害剤(NNI)であってもよい。いくつかの実施形態において、HCVは、HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする非ヌクレオシド阻害剤(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)である。特定の態様において、HCV阻害剤は、NS5Aを標的とする。いくつかの実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1を含む。特定の実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1aまたは1bを含んでいてもよい。特定の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、Con1 HCVまたはH77 HCVを含む。特定のその他の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、HCV阻害剤で処置する前の患者に由来するHCV集団である。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含む。いくつかの実施形態において、患者由来セグメントは、HCVのNS5B領域を含む。特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子を含む。これらの方法の特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。特定の実施形態において、本方法は、患者にとって適切な処置レジメンの決定を容易にするために使用される。
【0045】
また、C型肝炎ウイルス(HCV)集団のHCV阻害剤に対する感受性を決定するための方法であって、細胞に、HCVウイルス集団からの患者由来セグメントを含む耐性テストベクターを導入する工程であって、前記細胞または前記耐性テストベクターは、HCV依存性の検出可能なシグナルを生産する指標核酸を含む、工程;HCV阻害剤の非存在下で、またはHCV阻害剤の濃度を高めながら、細胞中の指標遺伝子の発現を測定する工程;HCV阻害剤に対するHCV集団の薬物感受性の標準曲線を決定する工程;HCV集団の最大阻害百分率と、対照HCV集団の最大阻害百分率とを比較する工程;およびHCV集団の最大阻害百分率が、対照集団の最大阻害百分率と比較して減少している場合、前記HCV集団は、前記HCV阻害剤に対して感受性が減少したHCV粒子を含むと決定する工程を含む、方法も提供される。いくつかの実施形態において、HCV集団は、部分集団を含み、開示された方法は、HCV集団のうち少数種の部分集団における感受性の減少を検出する。特定の実施形態において、本方法は、HCV集団の約20%〜約60%である部分集団における感受性の減少を検出する。特定の態様において、HCV阻害剤は、HCVポリメラーゼを標的とする。HCV阻害剤は、例えば、ヌクレオシド阻害剤(NI)または非ヌクレオシド阻害剤(NNI)であってもよい。いくつかの実施形態において、HCVは、HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする非ヌクレオシド阻害剤(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)である。特定の態様において、HCV阻害剤は、NS5Aを標的とする。特定の態様において、HCV阻害剤は、NS3を標的とする。いくつかの実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1を含む。特定の実施形態において、HCV集団および対照HCV集団は、HCV遺伝子型1aまたは1bを含んでいてもよい。特定の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、Con1 HCVまたはH77 HCVを含む。特定のその他の具体的な実施形態において、対照HCV集団は、HCV阻害剤で処置する前の患者に由来するHCV集団である。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含む。いくつかの実施形態において、患者由来セグメントは、HCVのNS5B領域を含む。特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子を含む。これらの方法の特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。特定の実施形態において、本方法は、患者にとって適切な処置レジメンの決定を容易にするために使用される。
【0046】
表現型の感受性解析
特定の実施形態において、特定のウイルスのHCV阻害剤感受性を決定するための方法は、HCV阻害剤の存在下で、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有する宿主細胞を培養する工程、宿主細胞中の指標遺伝子の活性を測定する工程;および測定された指標遺伝子の活性を、指標遺伝子の参照活性と比較する工程を含み、ここで、測定された指標遺伝子の活性が参照活性に比べて異なっていることが、そのHCV阻害剤に対するHCVの感受性と相関するため、HCV阻害剤に対するHCVの感受性が決定される。特定の実施形態において、指標遺伝子の活性は、患者由来セグメントによってコードされたポリペプチドの活性に依存する。好ましい実施形態において、患者由来セグメントは、NS5Bをコードする核酸配列を含む。その他の実施形態において、患者由来セグメントは、HCVプロテアーゼNS3またはNS5Aタンパク質をコードする。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、HCVから得られる。
【0047】
特定の実施形態において、指標遺伝子の参照活性は、HCV阻害剤の非存在下で指標遺伝子の活性を決定することによって決定される。特定の実施形態において、指標遺伝子の参照活性は、NIまたはNNIに対する参照HCVの感受性を決定することによって決定される。特定の実施形態において、参照活性は、標準的な実験用ウイルスのセグメントを用いて本発明の方法を行うことによって決定される。特定の実施形態において、標準的な実験用ウイルスのセグメントは、HCV株Con1またはH77由来の核酸配列を含む。
【0048】
特定の実施形態において、HCVは、HCV阻害剤に対して感受性が減少していると決定される。特定の実施形態において、HCVは、HCV阻害剤に対して感受性が増加していると決定される。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、逆転写とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)反応とで、またはPCR反応単独で調製されたものである。
【0049】
特定の実施形態において、本方法は、宿主細胞を培養する前に、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有するウイルス粒子で宿主細胞を感染させる工程をさらに含む。
【0050】
特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子である。特定の実施形態において、指標遺伝子は、lacZ遺伝子である。特定の実施形態において、宿主細胞は、ヒト細胞である。特定の実施形態において、宿主細胞は、ヒト肝細胞癌細胞である。特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。その他の実施形態において、宿主細胞は、Huh7誘導体(例えばHuh7.5、Huh7.5.1)である。Huh7.5細胞、すなわちヒト肝細胞の細胞株は、安定して選択されるHCVレプリコン含有細胞株をIFNで矯正することにより作製された。(Blight KJら、J Virol 76巻:13001〜13014頁、2002年)。所定のその他の実施形態において、宿主細胞は、HepG2細胞、Hep3B細胞、またはそれらの誘導体である。特定の実施形態において、宿主細胞は、ヒト肝癌細胞株から誘導される。特定の実施形態において、宿主細胞は、初代肝細胞(例えば、胎児、成人、または再生肝由来)である。さらにその他の実施形態において、宿主細胞は、リンパ球(例えば、B細胞、B細胞リンパ腫)である。
【0051】
その他の態様において、本発明は、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有するベクターを提供する。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、HCV NS3、NS5A、またはNS5Bをコードする核酸配列を含む。所定の好ましい実施形態において、患者由来セグメントは、HCV NS5Bをコードする核酸配列を含む。特定の実施形態において、指標遺伝子の活性は、HCV NS5Bの活性に依存する。
【0052】
特定の実施形態において、指標遺伝子は、機能的な指標遺伝子である。特定の実施形態において、指標遺伝子は、非機能的な指標遺伝子である。特定の実施形態において、指標遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子である。
【0053】
その他の態様において、本発明は、本発明のベクターを含むパッケージング宿主細胞を提供する。特定の実施形態において、パッケージング宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞である。特定の実施形態において、パッケージング宿主細胞は、ヒト宿主細胞である。特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。その他の実施形態において、宿主細胞は、Huh7誘導体(例えばHuh7.5、Huh7.5.1)である。Huh7.5細胞、すなわちヒト肝細胞の細胞株は、安定して選択されるHCVレプリコン含有細胞株をIFNで矯正することによりによって作製された。(Blight KJら、J Virol 76巻:13001〜13014頁、2002年)。所定のその他の実施形態において、宿主細胞は、HepG2細胞、Hep3B細胞、またはそれらの誘導体である。特定の実施形態において、宿主細胞は、ヒト肝癌細胞株から誘導される。特定の実施形態において、宿主細胞は、初代肝細胞(例えば、胎児、成人、または再生肝由来)である。さらにその他の実施形態において、宿主細胞は、リンパ球(例えば、B細胞、B細胞リンパ腫)である。
【0054】
その他の態様において、本発明は、患者に感染しているHCVが、HCV阻害剤に対して感受性であるかまたは耐性であるかを決定するための方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、本発明の方法に従ってHCV阻害剤に対するHCVの感受性を決定する工程、および決定されたHCV阻害剤に対するHCVの感受性を、HCV阻害剤に対するHCVの感受性の標準曲線と比較する工程を含む。特定の実施形態において、標準曲線と比べてHCV阻害剤に対するHCVの感受性が低減していることは、そのHCVが、そのHCV阻害剤に対して耐性であることの指標である。特定の実施形態において、HCV阻害剤に対するHCVの感受性の低減量は、そのHCVがHCV阻害剤に対して感受性が低いことの指標である。特定の実施形態において、HCV阻害剤は、ヌクレオシド阻害剤(NI)である。その他の実施形態において、HCV阻害剤は、ポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とする非ヌクレオシド阻害剤(NNI)である(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)。所定のその他の態様において、HCV阻害剤は、NS5Aを標的とする。所定のその他の態様において、HCV阻害剤は、NS3を標的とする。いくつかの実施態様において、HCV阻害剤は、以下に示すもののうち1つまたは以下に示すもののうち1つもしくは複数の組み合わせであってもよい:
NS3:
BILN−2061、VX−950、SCH−503,034、SCH−900,518、TMC−435,350、R−7227 (ITMN−191)、MK−5172、MK−7009、BI−201,335、BMS−650,032、BMS−824,393、PHX−1766、ACH−1625、ACH−2684、VX−985、BMS−791,325、IDX−320、GS−9256、GS−9451、ABT−450、VX−500、BIT−225
NS5A:
BMS−790,052、GSK−2336805、PPI−461、ABT−267、GS−5885、ACH−2928、AZD−7295
NS5B:
NM−283、RG−7128、R−1626、PSI−7851、IDX−184、MK−0608、PSI−7977、PSI−938、GS−6620、TMC−649,128、INX−189、VX−759、VCH−916、VX−222、ANA−598、HCV−796、GS−9190、GS−9669、ABT−333、PF−4878691、IDX−375、ABT−837,093、GSK−625,443、ABT−072。
【0055】
その他の態様において、本発明は、HCV阻害剤に対する患者に感染しているHCVの耐性の進行または発生を決定するための方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、本発明の方法に従って、第一の時点でHCV阻害剤に対するHCVの感受性を決定する工程;その後の第二の時点で、本発明の方法に従って、HCV阻害剤の有効性を評価する工程;および第一および第二の時点で評価されたHCV阻害剤の有効性を比較する工程を含む。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、およそ第一の時点で患者から得られる。特定の実施形態において、第一の時点と比較して、その後の第二の時点におけるHCV阻害剤に対するHCVの感受性が減少していることは、患者に感染しているHCVにおいてHCV阻害剤耐性が発生または進行していることの指標である。
【0056】
その他の態様において、本発明は、HCV阻害剤に対する患者に感染しているHCVの感受性を決定するための方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、様々な濃度のHCV阻害剤の存在下で、HCVから得られた患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有する宿主細胞を培養する工程、様々な濃度のHCV阻害剤について宿主細胞中の指標遺伝子の活性を測定する工程;およびHCV阻害剤に対するHCVのIC
50、IC
95、またはそれらの比率を決定する工程を含み、ここで、HCV阻害剤に対するHCVのIC
50、IC
95、またはそれらの比率は、HCV阻害剤に対するHCVの感受性の指標である。特定の実施形態において、指標遺伝子の活性は、患者由来セグメントによってコードされたポリペプチドの活性に依存する。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、NS5B、NS5A、および/またはNS3をコードする核酸配列を含む。特定の実施形態において、HCVのIC
50、IC
95、またはそれらの比率は、抗HCV薬濃度の対数に対して観察された指標遺伝子の活性をプロットすることによって決定することができる。あるいは、HCV阻害剤に対するHCVの感受性は、曲線で確認されたHCVの傾きまたは最大阻害を、参照ウイルスの曲線と比較することによって決定される。
【0057】
さらにその他の態様において、本発明は、HCV阻害剤に対する患者に感染しているHCV集団の感受性を決定するための方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、HCV阻害剤の存在下で、HCV集団から得られた複数の患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有する宿主細胞を培養して、宿主細胞中の指標遺伝子の活性を測定する工程;および測定された指標遺伝子の活性を、指標遺伝子の参照活性と(IC
50、IC
95、もしくはそれらの比率、または傾きもしくは最大阻害百分率によって)比較する工程を含み、ここで、測定された指標遺伝子の活性が参照活性に比べて異なっていることが、そのHCV阻害剤に対するHCVの感受性と相関するため、HCV阻害剤に対するHCVの感受性が決定される。特定の実施形態において、指標遺伝子の活性は、複数の患者由来セグメントによってコードされた複数のポリペプチドの活性に依存する。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、NS5B、NS5A、またはNS3をコードする核酸配列を含む。特定の実施形態において、複数の患者由来セグメントは、患者からのサンプルから得られた複数の核酸から、患者由来セグメントを増幅することによって調製される。
【0058】
さらにその他の態様において、本発明は、HCV阻害剤に対する患者に感染しているHCV集団の感受性を決定するための方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、様々な濃度のHCV阻害剤の存在下で、HCV集団から得られた複数の患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有する宿主細胞を培養して、様々な濃度のHCV阻害剤について宿主細胞中の指標遺伝子の活性を測定する工程;および抗ウイルス薬に対するHCV集団のIC
50、IC
95、またはそれらの比率を決定する工程を含み、ここで、HCV阻害剤に対するHCV集団のIC
50、IC
95、またはそれらの比率は、HCV阻害剤に対するHCV集団の感受性の指標である。特定の実施形態において、宿主細胞は、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含む。特定の実施形態において、指標遺伝子の活性は、複数の患者由来セグメントによってコードされた複数のポリペプチドの活性に依存する。特定の実施形態において、複数の患者由来セグメントは、NS5B、NS5A、またはNS3をコードする核酸配列を含む。特定の実施形態において、HCV集団のIC
50、IC
95、またはそれらの比率は、抗HCV薬濃度の対数に対して観察された指標遺伝子の活性をプロットすることによって決定することができる。特定の実施形態において、複数の患者由来セグメントは、患者からのサンプルから得られた複数の核酸から、患者由来セグメントを増幅することによって調製される。所定のその他の実施形態において、HCV阻害剤に対するHCVの感受性は、曲線で確認されたHCVの傾きまたは最大阻害を、参照ウイルスの曲線と比較することによって決定される。
【0059】
耐性テストベクターの構築
特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントを指標遺伝子ウイルスベクターに挿入することによって作製することができる。一般的に、このような実施形態において、耐性テストベクターは、完全な感染性ウイルス粒子を生産するのに必要な全ての遺伝子を含まない。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントをパッケージングベクターに挿入することによって作製することができ、一方で指標遺伝子は、第二のベクター、例えば指標遺伝子ウイルスベクターに含有される。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、患者由来セグメントをパッケージングベクターに挿入することによって作製することができ、一方で指標遺伝子は、耐性テストベクターで感染させようとする宿主細胞のゲノムに組み込まれる。
【0060】
薬物が、1種より多くの機能的なウイルス配列またはウイルス遺伝子産物を標的とするような場合、機能的なウイルス配列またはウイルス遺伝子産物それぞれを含有する患者由来セグメントは、耐性テストベクターに導入されてもよい。同じまたは2つ以上の異なる機能的なウイルス配列またはウイルス遺伝子産物を標的とする2つ以上の抗HCV薬が評価される併用療法の場合では、このような機能的なウイルスコード配列またはウイルス遺伝子産物それぞれを含有する患者由来セグメントは、耐性テストベクターに挿入されてもよい。患者由来セグメントは、選択された特定の構築に応じて指標遺伝子ウイルスベクターまたは例えばパッケージングベクター中の、特有の制限部位または患者配列アクセプター部位(patient sequence acceptor site)と称される特定の場所に挿入されてもよい。
【0061】
患者由来セグメントは、制限なく当業者に公知の適切なクローニング技術のいずれかを使用して耐性テストベクターに取り込ませることもできる。例えば、プラスミド主鎖と患者由来セグメントの両方にクラスII制限部位を導入することによるクローニングが好ましく、またはウラシルDNAグリコシラーゼプライマーによるクローニングによってなされる。
【0062】
患者由来セグメントは、あらゆる分子クローニングまたは遺伝子増幅方法、またはそれらの改変法によって得てもよいし、以下で説明されるように、耐性テストベクターに導入しようとする患者由来セグメントの端部に患者配列アクセプター部位を導入することによって得てもよい。好ましい実施形態において、PCRなどの遺伝子増幅方法を使用して、PCR反応で使用されるプライマーの端部に患者配列アクセプター部位に対応する制限部位を取り入れることもできる。同様に、cDNAクローニングなどの分子クローニング方法では、第一または第二鎖のcDNA合成に使用されるプライマーの端部に制限部位を取り入れることもでき、またはDNAのプライマー修復などの方法では、クローニングされたDNAかまたはクローニングされていないDNAかにかかわらず、修復反応に使用されるプライマーに制限部位を取り入れることもできる。患者配列アクセプター部位およびプライマーは、患者由来セグメントの提示が改善されるように設計することができる。設計された患者配列アクセプター部位を有する耐性テストベクターのセットにより、1つの耐性テストベクター単独では過少に提示される可能性がある患者由来セグメントの提示が可能になる。
【0063】
耐性テストベクターは、指標遺伝子ウイルスベクターに患者配列アクセプター部位を導入して、患者由来セグメントを増幅またはクローニングして、増幅またはクローニングされた配列を、患者配列アクセプター部位で指標遺伝子ウイルスベクターに正確に導入することによって指標遺伝子ウイルスベクターを改変することによって調製することができる。特定の実施形態において、耐性テストベクターは、指標遺伝子ウイルスベクターから構築することができ、この指標遺伝子ウイルスベクターは、ゲノムウイルスベクターまたはサブゲノムウイルスベクターおよび指標遺伝子カセットから誘導することができ、これらはそれぞれ以下で説明される。耐性テストベクターは続いて、宿主細胞に導入することができる。あるいは、特定の実施形態において、耐性テストベクターは、パッケージングベクターに患者配列アクセプター部位を導入して、患者由来セグメントを増幅またはクローニングして、増幅またはクローニングされた配列を、患者配列アクセプター部位でパッケージングベクターに正確に挿入して、このパッケージングベクターと指標遺伝子ウイルスベクターとを共にトランスフェクトすることによって調製することもできる。
【0064】
1つの好ましい実施形態において、耐性テストベクターを、以下で定義されるようなパッケージング発現ベクターと共にパッケージング宿主細胞に導入して、本明細書では「粒子ベースのテスト」と称される薬物耐性および感受性テストで使用される耐性テストベクターのウイルス粒子を生産することもできる。その代わりの実施形態において、耐性テストベクターを、パッケージング発現ベクターの非存在下で宿主細胞に導入して、本明細書では「非粒子ベースのテスト」と称される薬物耐性および感受性テストを実行してもよい。「パッケージング発現ベクター」は、本明細書で用いられる場合、例えばパッケージングタンパク質(例えば、コアおよびエンベロープポリペプチドなどの構造タンパク質)、トランス作用因子、または複製欠損型HCVに必要な遺伝子などの因子を提供する。このような状況では、複製能のあるウイルスのゲノムは、それ自体で複製できないような方式で弱体化される。これは、パッケージング発現ベクターは、弱体化したゲノムを含有する細胞に存在する欠陥ウイルスゲノムをレスキューするのに必要なトランス作用性または失われた(missing)遺伝子を生産することが可能であるが、弱体化したゲノムは、それ自体をレスキューすることはできないことを意味する。このような実施形態は、完全な感染性ウイルス粒子を生産するのに必要な全てのウイルス遺伝子を含まない耐性テストベクターを含むウイルス粒子を調製するのに特に有用である。
【0065】
特定の実施形態において、耐性テストベクターは、指標遺伝子を含むが、上述したように、指標遺伝子は、耐性テストベクター中に必ずしも存在していなくてもよい。指標遺伝子の例としては、これらに限定されないが、ベータ−ガラクトシダーゼをコードするE.coliのlacZ遺伝子、例えばPhotonis pyralis(ホタル)またはRenilla reniformis(ウミシイタケ)のいずれか由来のルシフェラーゼをコードするluc遺伝子、アルカリホスファターゼをコードするE.coliのphoA遺伝子、緑色蛍光タンパク質、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする細菌のCAT遺伝子が挙げられる。好ましい指標遺伝子は、ホタルルシフェラーゼである。指標遺伝子のさらなる例としては、これらに限定されないが、ラジオイムノアッセイ(RIA)または蛍光活性化セルソーティング(FACS)などのアッセイによって容易に測定される分泌タンパク質または細胞表面タンパク質、例えば増殖因子、サイトカイン、および細胞表面抗原(例えば、それぞれ成長ホルモン、Il−2またはCD4)が挙げられる。さらにその他の例示的な指標遺伝子としては、選択マーカーとも称される選択遺伝子が挙げられる。哺乳動物細胞に適した選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシン、ネオマイシン、ゼオシンまたはE.coliのgptである。前述した指標遺伝子の例のケースでは、指標遺伝子と患者由来セグメントとは分かれており、すなわち異なる別個の遺伝子である。いくつかのケースでは、患者由来セグメントは、指標遺伝子として使用されることもある。患者由来セグメントが、抗HCV剤の標的である1つまたは複数のHCV遺伝子に相当するこのような1つの実施形態において、HCV遺伝子の1つが、指標遺伝子として役立つものであってもよい。例えば、ウイルス性プロテアーゼ遺伝子は、発色性基質を切断し、呈色反応を起こす能力、または不活性な酵素原を活性化し、この酵素原が発色性基質を切断し、呈色反応を起こす能力により、指標遺伝子として役立つ可能性がある。
【0066】
上記で考察したように、耐性テストベクターは、指標遺伝子ウイルスベクターから組み立てることもできる。本明細書で用いられる場合、「指標遺伝子ウイルスベクター」は、指標遺伝子およびその制御エレメント、ならびに1つまたは複数のウイルス遺伝子またはコード領域を含有するベクター(複数可)を指す。指標遺伝子ウイルスベクターは、以下で定義される指標遺伝子カセットおよび「ウイルスベクター」から組み立てることができる。指標遺伝子ウイルスベクターはさらに、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリアデニル化配列、転写ターミネーター、またはその他の調節配列を包含していてもよい。加えて指標遺伝子ウイルスベクター中の指標遺伝子は、機能的であってもよいし、または非機能的であってもよい。抗ウイルス薬の標的であるウイルスセグメントが指標遺伝子ウイルスベクター中に包含されない場合、このようなウイルスセグメントは、第二のベクターに提供されてもよい。「指標遺伝子カセット」は、指標遺伝子と制御エレメントとを含み、任意選択で、ウイルスベクターへのカセットの導入が容易になるようにその端部に制限酵素切断部位とともに構成されてもよい。「ウイルスベクター」は、以下:遺伝子産物をコードするウイルス遺伝子、制御配列、ウイルスのパッケージング配列、およびレトロウイルスのケースでは組み込み配列(integration sequence)のいくつかまたは全部を含有するベクターを指す。ウイルスベクターはさらに、1つまたは複数のウイルスセグメントを包含していてもよく、そのうち1つまたは複数は、抗ウイルス薬の標的であってもよい。ウイルス遺伝子を含むウイルスベクターの2つの例は、本明細書では、「ゲノムウイルスベクター」および「サブゲノムウイルスベクター」と称する。「ゲノムウイルスベクター」は、ウイルス複製を不能にする、例えば完全な感染性ウイルス粒子を生産するのに必要な全てのタンパク質の発現を不可能にするような1つまたは複数のウイルス遺伝子の欠失を含み得るが、その他の点では完全なウイルスのmRNA発現およびプロセシング特性は保持しているベクターである。HCV薬物感受性および耐性テストに関する一実施形態において、ゲノムウイルスベクターは、NS5B、NS5A、およびNS3コード領域を含む。「サブゲノムウイルスベクター」は、抗ウイルス薬の標的(複数可)であるタンパク質をコードする可能性がある1つまたは複数のウイルス遺伝子のコード領域を含有するベクターを指す。好ましい実施形態において、サブゲノムウイルスベクターは、HCVポリメラーゼのコード領域、またはそれらの一部を含む。特定の実施形態において、ウイルスのコード遺伝子は、天然型のエンハンサー/プロモーターの制御下にあってもよい。特定の実施形態において、ウイルスのコード領域は、外来ウイルスまたは細胞のエンハンサー/プロモーターの制御下にあってもよい。好ましい実施形態において、ゲノムまたはサブゲノムウイルスのコード領域は、天然型のエンハンサー/プロモーター領域またはCMV前初期(IE)エンハンサー/プロモーターの制御下にあってもよい。1つまたは複数の抗ウイルス薬の標的であるか、または1つまたは複数の抗ウイルス薬の標的であるタンパク質コードする1つまたは複数のウイルス遺伝子を含む指標遺伝子ウイルスベクターの特定の実施形態において、ベクターは、患者配列アクセプター部位を含んでいてもよい。患者由来セグメントは、指標遺伝子ウイルスベクター中の患者配列アクセプター部位に挿入されてもよく、この場合、このようなベクターは、上述したように耐性テストベクターと称される。
【0067】
「患者配列アクセプター部位」は、患者由来セグメントの挿入のためのベクター中の部位である。特定の実施形態において、このような部位は、1)部位特異的変異誘発によってベクターに導入される特有の制限部位;2)ベクター中の天然に存在する特有の制限部位;または3)オルタナティブクローニング法(例えばUDGクローニング)を使用して患者由来セグメントを挿入することができる、選択された部位であってもよい。特定の実施形態において、患者配列アクセプター部位は、部位特異的変異誘発によって指標遺伝子ウイルスベクターに導入される。患者配列アクセプター部位は、抗ウイルス薬の標的であるウイルスタンパク質のコード領域内またはその近傍に配置してもよい。患者配列アクセプター部位の導入に使用されたウイルス配列は、好ましくはその位置で見出されるアミノ酸コード配列に変化が生じないように選ばれる。その位置でアミノ酸コード配列に変化が生じる場合、その変化は、好ましくは保存的変化である。好ましくは、患者配列アクセプター部位は、患者由来セグメントの導入を容易にするために、ウイルスゲノムの比較的保存された領域内に配置されてもよい。あるいは、患者配列アクセプター部位は、機能的に重要な遺伝子または調節配列の間に配置されてもよい。患者配列アクセプター部位は、対応する制限部位を患者由来セグメントに導入するために使用されるプライマーによるプライミングを可能とするように、比較的保存されたウイルスゲノム中の領域に、またはその近傍に配置されてもよい。患者由来セグメントの提示をさらに改善するために、このようなプライマーは、ウイルス配列の不均質さを順応させるために縮重プールとして設計されてもよいし、または多重塩基対形成能を有するデオキシイノシン(I)などの残基を取り入れてもよい。薬物耐性および感受性テストにおいて、同じまたは重複する制限部位間の間隔を決める患者配列アクセプター部位を有する耐性テストベクターのセットを共に使用することにより、所定の患者配列アクセプター部位と同一の内部制限部位を含み、そのためどちらかの耐性テストベクター単独では過少に提示され得る患者由来セグメントの提示をもたらすことができる。
【0068】
本発明のベクターの構築は、当該分野でよく理解されている標準的なライゲーションおよび制限技術を使用する。例えば、Ausubelら、2005年、Current Protocols in Molecular Biology Wiley−−InterscienceおよびSambrookら、2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、N.Y.を参照されたい。単離されたプラスミド、DNA配列、または合成されたオリゴヌクレオチドは、所望の形態で切断し、調整させ、分類する(relegated)ことができる。合成DNAを取り込んだ全てのDNAコンストラクトの配列は、DNA配列解析によって確認することができる。例えば、Sangerら、1977年、P.N.A.S. USA 74巻:5463〜5467頁を参照されたい。
【0069】
上記で考察されたエレメントに加えて、本明細書において使用されるベクターはまた、選択マーカーとも称される選択遺伝子を含んでいてもよい。特定の実施形態において、選択遺伝子は、ベクターで形質転換した宿主細胞の生存または成長に必要なタンパク質をコードする。哺乳動物細胞に適した選択マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)、オルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子、多剤耐性遺伝子(mdr)、アデノシン−デアミナーゼ遺伝子、およびグルタミン合成酵素遺伝子が挙げられる。このような選択マーカーが成功裏に哺乳動物宿主細胞に移行する場合、形質転換した哺乳動物宿主細胞は、選択圧力下に置かれた場合に生存することができる。選択レジメンには2つの広く使用されている別個のカテゴリーがある。第一のカテゴリーは、細胞の代謝と、補充された培地に依存せずに成長する能力を欠く変異体細胞株の使用とに基づくものである。第二のカテゴリーは、優性選択と称されるものであり、これは、あらゆる細胞型で使用される選択スキームを指し、変異体細胞株の使用を必要としない。これらのスキームは、典型的には、宿主細胞の成長を阻止するために薬物を使用する。新規の遺伝子を有する細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を発現し得、選択を生き抜き得る。このような優性選択の例は、ネオマイシン(SouthernおよびBerg、1982年、J. Molec. Appl. Genet. 1巻:327頁を参照)、マイコフェノール酸(MulliganおよびBerg、1980年、Science 209巻:1422頁を参照)、またはハイグロマイシン(Sugdenら、1985年、Mol. cell. Biol. 5巻:410〜413頁を参照)という薬物を使用する。上記で示した3つの例は、真核性の制御下で細菌遺伝子を使用することにより、それぞれ適切な薬物ネオマイシン(G418またはジェネティシン(genticin))、xgpt(マイコフェノール酸)またはハイグロマイシンに対する耐性を付与する。
【0070】
宿主細胞
特定の実施形態において、本発明の方法は、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含む宿主細胞を培養することを含む。特定の実施形態において、宿主細胞は、哺乳動物細胞であってもよい。特定の実施形態において、宿主細胞は、ウイルス感染の主要な標的であるヒト組織および細胞から誘導することができる。ヒト由来の宿主細胞は、抗ウイルス薬を細胞に効率的に侵入させ、細胞の酵素機構によって抗ウイルス阻害剤の代謝的に関連する形態に変換される。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、本明細書では、「パッケージング宿主細胞」、「耐性テストベクター宿主細胞」、または「標的宿主細胞」とも称される。「パッケージング宿主細胞」は、耐性テストベクターのウイルス粒子を生産するために、例えば耐性テストベクターなどの本明細書において使用される複製欠損型ウイルスベクターが必要とするトランス作用因子およびウイルスのパッケージングタンパク質を提供する宿主細胞を指す。パッケージングタンパク質は、耐性テストベクターそれ自体、パッケージング発現ベクター(複数可)、またはその両方に含有されるウイルス遺伝子の発現を提供し得る。パッケージング宿主細胞は、1つまたは複数のパッケージング発現ベクターでトランスフェクトされる宿主細胞であってもよく、耐性テストベクターでトランスフェクトされた場合は、本明細書では、「耐性テストベクター宿主細胞」と称され、場合によってはパッケージング宿主細胞/耐性テストベクター宿主細胞とも称される。
【0071】
特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。その他の実施形態において、宿主細胞は、Huh7誘導体(例えばHuh7.5、Huh7.5.1)である。Huh7.5細胞、すなわちヒト肝細胞の細胞株は、安定して選択されるHCVレプリコン含有細胞株をIFNで矯正することにより作製された。(Blight KJら、J Virol 76巻:13001〜13014頁、2002年)。所定のその他の実施形態において、宿主細胞は、HepG2細胞、Hep3B細胞、またはそれらの誘導体である。特定の実施形態において、宿主細胞は、ヒト肝癌細胞株から誘導される。特定の実施形態において、宿主細胞は、初代肝細胞(例えば、胎児、成人、または再生肝由来)である。さらにその他の実施形態において、宿主細胞は、リンパ球(例えば、B細胞、B細胞リンパ腫)である。
【0072】
他に示されない限り、本発明において宿主細胞の形質転換に使用される方法は、Grahamおよびvan der Eb、1973年、Virology 52巻:456〜457頁のリン酸カルシウム共沈法である。トランスフェクションの代替法としては、これらに限定されないが、エレクトロポレーション、DEAE−デキストラン法、リポフェクション、および遺伝子銃(biolistics)が挙げられる。例えば、Kriegler、1990年、Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual、Stockton Pressを参照されたい。
【0073】
宿主細胞を本発明の発現ベクターでトランスフェクトして、プロモーターの誘導、形質転換体の選択または遺伝子の増幅に適するように改変された従来の栄養培地で培養してもよい。宿主細胞は、グルタミン添加および抗生物質非含有の50:50のF12:DMEM(Gibco)で培養される。温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択された宿主細胞でこれまでに使用された条件であり、通常の当業者には明らかであると予想される。
【0074】
薬物感受性および耐性テスト
薬物感受性および耐性テストは、1つまたは複数の宿主細胞で行うことができる。ウイルスの薬物感受性は、指標遺伝子発現の所定の百分率が阻害される抗ウイルス剤の濃度として決定される(例えば、抗ウイルス剤のIC
50は、指標遺伝子発現の50%が阻害される濃度である)。所定の抗ウイルス薬の薬物感受性の標準曲線は、標準的な実験用ウイルスのセグメントであるか、または薬物にナイーブな患者(すなわち、いかなる抗ウイルス薬も投与されていない患者)由来のウイルスセグメントに関して本発明の方法を使用して開発してもよい。それに対して、ウイルスの薬物耐性は、薬物感受性とこのような所定の標準とを比較することか、または指標遺伝子発現阻害の増加(すなわち指標遺伝子発現の減少)によって決定されるような、同じ患者で時間をわたって逐次的な測定を行うことのいずれかによって、所定の患者についてウイルスの薬物感受性の低減を検出することにより決定することができる。
【0075】
特定の実施形態において、耐性テストベクターのウイルス粒子は、パッケージング宿主細胞を耐性テストベクターおよびパッケージング発現ベクター(複数可)でトランスフェクトすることによって調製される第一の宿主細胞(耐性テストベクター宿主細胞)によって生産される。耐性テストベクターのウイルス粒子は、指標遺伝子の発現が測定される第二の宿主細胞(標的宿主細胞)を感染させるのに使用することができる。従って耐性テストベクターでトランスフェクトされるパッケージング宿主細胞(したがって耐性テストベクター宿主細胞と称される)を含有するこのような2つの細胞系および標的細胞が、機能的または非機能的な指標遺伝子のどちらかのケースで用いられる。機能的な指標遺伝子は、パッケージング宿主細胞がトランスフェクトされると効率的に発現されるため、薬物感受性を正確に決定するには耐性テストベクター宿主細胞上清を用いた標的宿主細胞の感染が必要である。並べ替えられたプロモーター、並べ替えられたコード領域、または逆転したイントロンを有する非機能的な指標遺伝子は、パッケージング宿主細胞がトランスフェクトされても効率的に発現されないため、標的宿主細胞の感染は、耐性テストベクター宿主細胞と標的宿主細胞とによる共培養、または耐性テストベクター宿主細胞上清を使用した標的宿主細胞の感染どちらかによって達成してもよい。
【0076】
第二のタイプの薬物感受性および耐性テストでは、単一の宿主細胞(耐性テストベクター宿主細胞)も、標的宿主細胞として役立つ。パッケージング宿主細胞がトランスフェクトされると、耐性テストベクターのウイルス粒子を生産し、そのパッケージング宿主細胞のうち一部がさらに耐性テストベクター粒子による感染の標的になる。単一の宿主細胞型を使用する薬物感受性および耐性テストは、並べ替えられたプロモーター、並べ替えられたコード領域、または逆転したイントロンを有する非機能的な指標遺伝子を含有するウイルスの耐性テストベクターを用いて可能となる。このような指標遺伝子は、第一の細胞がトランスフェクトされても効率的に発現されないが、第二の細胞に感染したときだけ効率的に発現されるため、評価対象の抗ウイルス剤の作用を測定する機会を提供する。機能的な指標遺伝子を含有する耐性テストベクターを使用する薬物感受性および耐性テストのケースでは、共培養手順も単一の細胞型を使用する耐性および感受性テストも、標的細胞の感染に使用することができない。機能的な指標遺伝子を含有する耐性テストベクターは、耐性テストベクター宿主細胞からの濾過された上清を使用する2つの細胞系を使用して、標的宿主細胞を感染させることができる。
【0077】
特定の実施形態において、粒子ベースの耐性テストは、ゲノムウイルスベクターから誘導された耐性テストベクターを用いて実行することができ、このゲノムウイルスベクターは、パッケージング発現ベクターで共にトランスフェクトされていてもよい。あるいは、粒子ベースの耐性テストは、パッケージング発現ベクターで共にトランスフェクトされたサブゲノムウイルスベクターから誘導された耐性テストベクターを用いて実行することができる。本発明のその他の実施形態において、非粒子ベースの耐性テストは、上述した耐性テストベクターそれぞれを使用して、パッケージング発現ベクターの非存在下で選択された宿主細胞をトランスフェクトすることにより実行することができる。
【0078】
粒子ベースの感受性および耐性テストのケースでは、耐性テストベクターのウイルス粒子は、パッケージング宿主細胞を上述のような耐性テストベクターおよびパッケージング発現ベクター(複数可)でトランスフェクトすることによって調製することができる第一の宿主細胞(耐性テストベクター宿主細胞)によって生産することができる。耐性テストベクターのウイルス粒子は、次に指標遺伝子の発現が測定される第二の宿主細胞(標的宿主細胞)を感染させるのに使用することができる。第二のタイプの粒子ベースの感受性および耐性テストでは、単一の宿主細胞型(耐性テストベクター宿主細胞)が両方の目的に役立つ:すなわち、所定の培養物中のパッケージング宿主細胞のうち一部がトランスフェクトされて、耐性テストベクターのウイルス粒子を生産することができ、加えて、同じ培養物中の宿主細胞のうち一部が、このようにして生産された耐性テストベクター粒子による感染の標的となることが可能である。単一の宿主細胞型を使用する耐性テストは、並べ替えられたプロモーターを有する非機能的な指標遺伝子を含有する耐性テストベクターを用いることにより可能となる。なぜなら、これは、このような指標遺伝子は許容宿主細胞に感染すると効率的に発現される可能性があるが、同じ宿主細胞型のトランスフェクションでは効率的に発現されず、従って、評価対象の抗ウイルス剤の作用を測定する機会を提供するからである。同様の理由で、2つの細胞型を使用する耐性テストは、第一の細胞型の上清から得られたウイルス粒子で第二の細胞型を感染させる代わりに2つの細胞型を共培養することによって実行することができる。
【0079】
非粒子ベースの感受性および耐性テストのケースでは、耐性テストは、パッケージング発現ベクターの非存在下で単一の宿主細胞を耐性テストベクターでトランスフェクトすることによって行うことができる。非粒子ベースの耐性テストは、並べ替えられたプロモーター、並べ替えられたコード領域または逆転したイントロンのいずれかを有する非機能的な指標遺伝子を含有する耐性テストベクターを使用して実行することができる。これらの非粒子ベースの耐性テストは、パッケージング発現ベクターの非存在下で単一の宿主細胞型を各耐性テストベクターでトランスフェクトすることにより行う。これらの耐性テストベクター内に含有される非機能的な指標遺伝子は、宿主細胞でトランスフェクトされても効率的に発現されないが、検出可能な指標遺伝子発現が、非ウイルス粒子ベースの逆転写により生じる。逆転写および鎖転移(strand transfer)により、並べ替えられた非機能的な指標遺伝子の、並べ替えられていない機能的な指標遺伝子への変換が起こる。逆転写は、各耐性テストベクター内に含有されるポリメラーゼ遺伝子の発現に完全に依存するため、抗ウイルス剤を、耐性テストベクターに含有される患者由来セグメントによってコードされたポリメラーゼ遺伝子産物を阻害するその能力についてテストすることができる。
【0080】
パッケージング宿主細胞を、耐性テストベクターおよび適切なパッケージング発現ベクター(複数可)でトランスフェクトして、耐性テストベクター宿主細胞を生産することができる。特定の実施形態において、個々の抗ウイルス剤は、それらのトランスフェクション時にパッケージング宿主細胞の個々のプレートに適切な範囲の濃度で添加されてもよい。トランスフェクションから24〜48時間後に、耐性テストベクター宿主細胞または濾過した耐性テストベクター宿主細胞の上清から得られた耐性テストベクターのウイルス粒子との共培養により、標的宿主細胞を感染させてもよい。各抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを、感染前または感染時に標的宿主細胞に添加して、トランスフェクション中に存在する、同じ最終濃度の1種または複数の所定の薬剤を達成してもよい。その他の実施形態において、抗ウイルス剤(複数可)をパッケージング宿主細胞の培養物から省き、標的宿主細胞にだけ感染前または感染時に添加してもよい。
【0081】
共培養により、または濾過されたウイルス上清を用いて感染された標的宿主細胞中の指標遺伝子の発現または阻害の決定は、指標遺伝子の発現または活性を測定することで行うことができる。例えば、指標遺伝子がホタルluc遺伝子であるケースでは、ルシフェラーゼ活性を測定することができる。抗ウイルス剤の非存在下での対照試行と比較した、1種または複数の所定の抗ウイルス剤の存在下で、所定の耐性テストベクターのウイルス粒子調合物で感染させた標的宿主細胞で観察されたルシフェラーゼ活性の減少は、一般的に、抗ウイルス剤濃度の対数とS字曲線様の関連を示す。この阻害曲線を使用して、耐性テストベクター中に存在する患者由来セグメントによってコードされたウイルス標的産物に関するその薬剤または薬剤の組み合わせの見かけの阻害濃度(IC)を計算することができる。
【0082】
1種の細胞の感受性および耐性テストのケースでは、宿主細胞を耐性テストベクターおよび適切なパッケージング発現ベクター(複数可)でトランスフェクトして、耐性テストベクター宿主細胞を生産することができる。個々の抗ウイルス剤、またはそれらの組み合わせは、それらのトランスフェクション時に、トランスフェクトされた細胞の個々のプレートに適切な範囲の濃度で添加されてもよい。トランスフェクションから24〜72時間後に、細胞を回収して、指標遺伝子、例えばホタルルシフェラーゼの活性に関してアッセイしてもよい。培養中のトランスフェクトされた細胞は指標遺伝子を効率的に発現しないため、培養中のトランスフェクトされた細胞、加えて培養中の重複感染した細胞は、指標遺伝子発現のための標的宿主細胞として役立つ可能性がある。抗ウイルス剤(複数可)の非存在下で行われた対照試行と比較した、1種または複数の所定の抗ウイルス剤の存在下でトランスフェクトされた細胞で観察されたルシフェラーゼ活性の減少は、一般的に、抗ウイルス剤の濃度の対数とS字曲線様の関連を示す。この阻害曲線を使用して、耐性テストベクター中に存在する患者由来セグメントによってコードされたウイルス標的産物に関する薬剤または薬剤の組み合わせの見かけの阻害濃度(IC)、傾き、および/または最大阻害百分率を計算することができる。
【0083】
抗ウイルス薬/薬物候補
テスト系に添加される抗ウイルス薬は、抗ウイルス薬の標的に応じて選択された時期に添加することができる。特定の実施形態において、HCV阻害剤は、ヌクレオシド阻害剤(NI)である。その他の実施形態において、HCV阻害剤は、非ヌクレオシド阻害剤(NNI)である。いくつかの実施形態において、HCV阻害剤は、HCVポリメラーゼの部位A、B、C、またはDを標的とするNNI(NNI−A、NNI−B、NNI−C、またはNNI−D)である。HCV阻害剤は、いくつかの実施態様において、NS3を標的とするもの(例えば、BILN−2061、VX−950、SCH−503,034、SCH−900,518、TMC−435,350、R−7227(ITMN−191)、MK−5172、MK−7009、BI−201,335、BMS−650,032、BMS−824,393、PHX−1766、ACH−1625、ACH−2684、VX−985、BMS−791,325、IDX−320、GS−9256、GS−9451、ABT−450、VX−500、BIT−225)、NS5Aを標的とするもの(例えば、BMS−790,052、GSK−2336805、PPI−461、ABT−267、GS−5885、ACH−2928、AZD−7295)、またはNS5Bを標的とするもの(例えば、NM−283、RG−7128、R−1626、PSI−7851、IDX−184、MK−0608、PSI−7977、PSI−938、GS−6620、TMC−649,128、INX−189、VX−759、VCH−916、VX−222、ANA−598、HCV−796、GS−9190、GS−9669、ABT−333、PF−4878691、IDX−375、ABT−837,093、GSK−625,443、ABT−072)、ならびにそれらの組み合わせであってもよく、これらは、耐性テストベクターのウイルス粒子での感染時に標的宿主細胞の個々のプレートにテスト濃度で添加されてもよい。あるいは、抗ウイルス薬は、アッセイを通して存在していてもよい。テスト濃度は、典型的には約0.1nM〜約100μM、約1nM〜約100μM、約10nM〜約100μM、約0.1nM〜約10μM、約1nM〜約10μM、約10nM〜約100μM、約0.1nM〜約1μM、約1nM〜約1μM、または約0.01nM〜約0.1μMの濃度範囲から選択される。
【0084】
特定の実施形態において、本発明の薬物感受性テストで候補の抗ウイルス性化合物をテストすることができる。候補の抗ウイルス性化合物は、候補の抗ウイルス剤のタンパク質標的に応じて適切な濃度で、選択された時期にテスト系に添加することができる。あるいは、1種より多くの候補の抗ウイルス性化合物をテストしてもよいし、または候補の抗ウイルス性化合物を抗ウイルス薬と組み合わせてテストしてもよい。候補の抗ウイルス性化合物の有効性は、指標遺伝子の活性を測定することによって評価することができる。候補化合物がウイルスのポリペプチド活性を阻害するのに効果的である場合、指標遺伝子の活性は、その候補化合物の非存在下で観察された活性と比べて、その候補化合物の存在下で減少する。この実施形態のその他の態様において、薬物感受性および耐性テストを使用して、ウイルスの変異体に関してスクリーニングすることができる。公知の抗ウイルス薬または候補の抗ウイルス薬のどちらかに耐性の変異体を同定した後、その耐性変異体を単離してDNAを解析することができる。このようにしてウイルスの耐性変異体ライブラリーを構築することができ、それにより候補の抗ウイルス剤を、単独で、またはその他の公知のまたは推定の抗ウイルス剤と組み合わせてスクリーニングすることが可能になる。
【0085】
HCVの複製能を決定するための方法
その他の態様において、本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製能を決定するための方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、患者由来セグメントと指標遺伝子とを含有する宿主細胞を培養する工程、宿主細胞中の指標遺伝子の活性を測定する工程を含み、この場合、参照活性と比較した、測定された指標遺伝子の活性間の指標遺伝子の活性は、HCVの複製能の指標であるため、HCVの複製能が決定される。特定の実施形態において、指標遺伝子の活性は、患者由来セグメントによってコードされたポリペプチドの活性に依存する。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、NS5B、NS3、および/またはNS5Aをコードする核酸配列を含む。
【0086】
特定の実施形態において、指標遺伝子の参照活性は、標準的な実験用ウイルスのセグメントを用いて本発明の方法を行うことによって決定された活性の量である。特定の実施形態において、標準的な実験用ウイルスのセグメントは、HCV株Con1またはH77由来の核酸配列を含む。その他の実施形態において、参照ウイルスセグメントは、阻害剤で処置する前の患者のHCV由来の核酸配列である。
【0087】
特定の実施形態において、HCVは、参照と比べて複製能が増加したと決定される。特定の実施形態において、HCVは、参照と比べて複製能が減少したと決定される。特定の実施形態において、宿主細胞は、Huh7細胞である。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、NS5B、NS3、および/またはNS5Aをコードする。
【0088】
特定の実施形態において、表現型解析は、組換えウイルスアッセイ(「RVA」)を使用して行うことができる。特定の実施形態において、RVAは、相同組換えによって、またはウイルスベクターと患者のウイルスから増幅したウイルス遺伝子配列とで作製したウイルスストックを使用する。特定の実施形態において、RVAウイルスストックは、患者のウイルスから増幅したウイルス遺伝子配列をウイルスベクターにライゲーションすることによって作製される。特定の実施形態において、患者由来セグメントは、NS5B、NS3、および/またはNS5Aをコードする。
【0089】
複製能を決定する方法は、例えば、増幅したウイルス遺伝子配列からの核酸と共に使用することができる。以下で考察されるように、このような核酸は、これらに制限されないが、ウイルス遺伝子配列を含むことが当業者に公知のあらゆるサンプルから増幅することができる。例えば、サンプルは、ウイルスに感染したヒトまたは動物からのサンプル、またはウイルス細胞の培養物からのサンプルであってもよい。特定の実施形態において、ウイルスのサンプルは、遺伝学的に改変された実験用の株を含む。特定の実施形態において、遺伝学的に改変された実験用の株は、部位特異的変異を含む。その他の実施形態において、ウイルスのサンプルは、野生型の分離株を含む。特定の実施形態において、野生型の分離株は、処置にナイーブな患者から得られる。特定の実施形態において、野生型の分離株は、処置を経験した患者から得られる。
【0090】
続いて耐性テストベクター(「RTV」)は、遺伝子配列をベクターに取り込む当該分野において公知のあらゆる方法により、増幅したウイルス遺伝子配列を複製欠損型ウイルスベクターに取り込むことにより構築することができる。一実施形態において、制限酵素および従来のクローニング法が使用される。Sambrookら、2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、第3版、NY;およびAusubelら、1989年、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing AssociatesおよびWiley Interscience、NYを参照されたい。好ましい実施形態において、ApaI、PinAI、およびXhoI制限酵素が使用される。好ましくは、複製欠損型ウイルスベクターは、指標遺伝子ウイルスベクター(「IGVV」)である。好ましい実施形態において、このようなウイルスベクターは、RTV複製を検出する手段を含む。好ましくは、このようなウイルスベクターは、ルシフェラーゼ遺伝子を含む。
【0091】
上記アッセイは、まず、宿主細胞を、RTVのDNAおよびその他のウイルス、例えば両栄養性マウス白血病ウイルス(MLV)のエンベロープタンパク質を発現するプラスミドと共にトランスフェクトすることによって行うことができる。トランスフェクション後、ウイルス粒子を細胞培養物から回収して、様々な量の抗ウイルス薬(複数可)の存在下で新しい標的細胞を感染させるのに使用することができる。新しい標的細胞での単回のウイルス複製の完了は、ベクターに含有される複製を検出するための手段によって検出することができる。好ましい実施形態において、複製を検出するための手段は、指標遺伝子である。好ましい実施形態において、指標遺伝子は、ホタルルシフェラーゼである。このような好ましい実施形態において、単回のウイルス複製が完了すると、ルシフェラーゼの生産が起こる。
【0092】
特定の実施形態において、評価されるHCV株は、HCVの野生型の分離株である。その他の実施形態において、評価されるHCV株は、HCVの変異体株である。特定の実施形態において、このような変異体は、患者から単離されてもよい。その他の実施形態において、変異体は、部位特異的変異誘発または他の等価な当業者に公知のその他の技術によって構築されてもよい。さらにその他の実施形態において、変異体は、細胞培養物から単離されてもよい。培養は、細胞培養の間中、抗ウイルス性化合物の存在下で複数回継代して、このような化合物の存在下での培養で蓄積する変異について選択することを含んでいてもよい。
【0093】
一実施形態において、ウイルス核酸、例えばHCVのRNAは、血漿サンプルから抽出され、ウイルスのコード領域の断片またはウイルスのコード領域の全体が、これに限定されないがPCRなどの方法によって増幅されてもよい。例えば、Hertogsら、1998年、Antimicrob. Agents Chemother. 42巻(2号):269〜76頁を参照されたい。一例において、患者由来セグメントを逆転写PCRで増幅して、宿主細胞にその配列の大部分が欠失したプラスミドと共にトランスフェクトしてもよい。次に相同組換えにより、キメラウイルスの生成が起こる。キメラウイルスの複製能を当該分野において公知のあらゆる細胞生存度アッセイで決定し、参照の複製能と比較することにより、ウイルスが変更された複製能を有するか、または抗ウイルス薬に対して耐性もしくは感受性過度であるかを評価することができる。特定の実施形態において、参照は、統計学的に有意な数の個別のウイルス分離株の複製能であってもよい。その他の実施形態において、参照は、Con1またはH77などの参照ウイルスの複製能であってもよい。例えば、MT4細胞−3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドベースの細胞生存度アッセイは、サンプルの高スループットを可能とする自動式システムで使用することができる。
【0094】
当業者に公知の抗ウイルス薬に対するウイルス表現型の感受性を評価するための他のアッセイを、複製能を決定するか、または抗ウイルス薬の感受性または耐性を決定するように適合させることもできる。
【0095】
当業者であれば、上述のHCVの複製能を決定するための方法を、HCV阻害剤感受性を決定するための方法を行うように容易に適合させ得ることを理解しているであろう。同様に当業者であれば、上述の阻害剤感受性を決定するための方法を、HCVの複製能を決定するための方法を行うように容易に適合させ得ることを理解しているであろう。複製能を決定するための方法の適合は、一般的に、様々な濃度の抗ウイルス薬の存在下で本発明の方法を行うことを含んでいてもよい。そのようにすることによって、薬物に対するHCVの感受性を決定することができる。同様に、いかなる抗ウイルス薬も存在しない下で阻害剤感受性を決定するための方法を行うことにより、その方法で使用されたHCVの複製能の尺度を得ることができる。
【0096】
ウイルス中の変異の存在または非存在の検出
ウイルス中の変異の存在または非存在は、当該分野において公知の変異を検出するあらゆる手段によって決定することができる。変異は、特定のタンパク質をコードするウイルスのコード領域中、またはそのタンパク質それ自体の中、すなわちそのタンパク質のアミノ酸配列中で検出することができる。
【0097】
一実施形態において、変異は、ウイルスゲノム中に存在する。このような変異は、例えば、ウイルスタンパク質をコードする遺伝子中に存在していてもよいし、ウイルスタンパク質をコードする遺伝子のシスまたはトランス作用性調節配列、遺伝子間配列、またはイントロン配列などの遺伝学的エレメント中に存在していてもよい。変異は、その抗ウイルス処置に対する感受性および/またはその複製能を変化させる、ウイルスの構造、機能、複製または環境のあらゆる面に影響を与える可能性がある。一実施形態において、変異は、目下利用可能な抗ウイルス処置の標的であるウイルスタンパク質をコードする遺伝子中に存在する。その他の実施形態において、変異は、目下利用可能な抗ウイルス処置の標的ではない遺伝子またはその他の遺伝学的エレメント中に存在する。
【0098】
ウイルス遺伝子内の変異は、制限なく当業者に公知のあらゆる適切な技術によって検出することができる。ウイルスのDNAまたはRNAは、このようなアッセイ技術のための開始点として使用することができ、当業者周知の標準的手法に従って単離することもできる。
【0099】
特異的な核酸配列中、例えばウイルスのコード領域の特定の領域中の変異の検出は、様々な方法によって達成することができ、このような方法としては、これらに限定されないが、対立遺伝子特異的な制限エンドヌクレアーゼ切断に基づく制限断片長多型検出(KanおよびDozy、1978年、Lancet ii巻:910〜912頁)、ミスマッチ修復検出(FahamおよびCox、1995年、Genome Res 5巻:474〜482頁)、MutSタンパク質の結合(Wagnerら、1995年、Nucl Acids Res 23巻:3944〜3948頁)、変性濃度勾配ゲル電気泳動(Fisherら、1983年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80巻:1579〜83頁)、一本鎖コンフォメーション多型検出(Oritaら、1983年、Genomics 5巻:874〜879頁)、ミスマッチした塩基対におけるRNアーゼ切断(Myersら、1985年、Science 230巻:1242頁)、ヘテロ二本鎖DNAの化学的な(Cottonら、1988年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85巻:4397〜4401頁)または酵素的な(Youilら、1995年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92巻:87〜91頁)切断、オリゴヌクレオチド特異的なプライマー伸長に基づく方法(Syvanenら、1990年、Genomics 8巻:684〜692頁)、遺伝学的ビット解析(genetic bit analysis)(Nikiforovら、1994年、Nucl Acids Res 22巻:4167〜4175頁)、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(Landegrenら、1988年、Science 241巻:1077頁)、オリゴヌクレオチド特異的なライゲーション連鎖反応(「LCR」)(Barrany、1991年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88巻:189〜193頁)、ギャップ−LCR(Abravayaら、1995年、Nucl Acids Res 23巻:675〜682頁)、当該分野周知の標準的手法を使用した放射性または蛍光性のDNA配列決定法、およびペプチド核酸(PNA)アッセイ(Orumら、1993年、Nucl. Acids Res. 21巻:5332〜5356頁;Thiedeら、1996年、Nucl. Acids Res. 24巻:983〜984頁)が挙げられる。
【0100】
加えて、ウイルスのDNAまたはRNAをハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイで使用することにより、点変異、挿入、欠失、およびゲノム再配列などの遺伝子構造に関する異常を検出することができる。このようなアッセイとしては、これらに限定されないが、サザン解析(Southern、1975年、J. Mol. Biol. 98巻:503〜517頁)、一本鎖コンフォメーション多型解析(SSCP)(Oritaら、1989年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻:2766〜2770頁)、およびPCR解析(米国特許第4,683,202号;4,683,195号;4,800,159号;および4,965,188号; PCR Strategies、1995年、Innisら(編)、Academic Press, Inc.)が挙げられる。
【0101】
このような遺伝子特異的な変異を検出するための診断方法は、例えば、ウイルス核酸を、組換えDNA分子、クローニングしたコード領域、またはそれらの縮重改変体を含む1つまたは複数の標識された核酸試薬と、これらの試薬がそれらの相補的配列に特異的にアニールするのに好都合な条件下で接触させてインキュベートすることを含んでいてもよい。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは、少なくとも15〜30ヌクレオチドである。インキュベート後、核酸分子ハイブリッドからアニールしなかった全ての核酸を除去する。続いて、このような分子のいずれかが存在する場合、ハイブリダイズした核酸の存在が検出される。このような検出スキームを使用する場合、ウイルスからの核酸は、例えば、メンブレンなどの固体支持体、またはマイクロタイタープレートもしくはポリスチレンビーズ上の表面などのプラスチック表面に固定してもよい。このケースでは、インキュベート後、上述したタイプのアニールしない標識核酸試薬は容易に除去される。その残りのアニールした標識核酸試薬の検出は、当業者周知の標準的な技術を使用して達成される。核酸試薬がアニールしたコード領域配列と、正常な遺伝子配列から予測されるアニールパターンとを比較して、遺伝子の変異が存在するかどうかを決定することができる。
【0102】
これらの技術は、ウイルスゲノム中の変異を検出するためのハイスループット法になるように容易に適合することができる。例えば、アフィメトリックス(Affymetrix)(Affymetrix,Inc.、Sunnyvale、Calif.)からの遺伝子アレイを使用して、多数の個別のウイルスの遺伝子型を迅速に同定することができる。アフィメトリックス遺伝子アレイ、ならびにこのようなアレイの作製および使用方法は、例えば、米国特許第6,551,784号、6,548,257号、6,505,125号、6,489,114号、6,451,536号、6,410,229号、6,391,550号、6,379,895号、6,355,432号、6,342,355号、6,333,155号、6,308,170号、6,291,183号、6,287,850号、6,261,776号、6,225,625号、6,197,506号、6,168,948号、6,156,501号、6,141,096号、6,040,138号、6,022,963号、5,919,523号、5,837,832号、5,744,305号、5,834,758号、および5,631,734号で説明されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0103】
加えて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAusubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、2002年、4巻、ユニット25B、22章は、多数のウイルスの分離株の遺伝子型を決定するための遺伝子アレイの構築および使用についてさらなる指針を示している。最終的に、それぞれその全体が参照により組み込まれる米国特許第6,670,124号;6,617,112号;6,309,823号;6,284,465号;および5,723,320号は、当業者により多数のウイルス遺伝子型を迅速に同定するために容易に適合させることができる関連するアレイ技術を説明している。
【0104】
遺伝子特異的な核酸分子を検出する代替の診断方法は、例えばPCRによるそれらの増幅(米国特許第4,683,202号;4,683,195号;4,800,159号;および4,965,188号;PCR Strategies、1995年、Innisら(編)、Academic Press, Inc.)、続いて当業者に周知の技術を使用した増幅分子の検出を含んでいてもよい。得られた増幅配列を、増幅されている核酸が各遺伝子の正常なコピーのみを含有する場合に予測される配列と比較して、遺伝子の変異が存在するかどうかを決定することができる。
【0105】
加えて、核酸は、当該分野において公知のあらゆる配列決定法によって配列決定することができる。例えば、ウイルスDNAは、Sangerら、1977年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74巻:5463頁のジデオキシ法(この方法は、Messingら、1981年、Nuc. Acids Res. 9巻:309頁でさらに説明されている)によって、またはMaxamら、1980年、Methods in Enzymology 65巻:499頁の方法によって配列決定することができる。また、Sambrookら、2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、第3版、NY;およびAusubelら、1989年、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing AssociatesおよびWiley Interscience、NYで説明されている技術も参照されたい。
【0106】
ウイルス遺伝子産物、すなわちウイルスタンパク質またはウイルスのペプチド断片に対して向けられた抗体を使用して、ウイルスタンパク質中の変異を検出することもできる。あるいは、目的のタンパク質のアミノ酸配列を得るために、当該分野において公知のあらゆる配列決定法によって目的のウイルスタンパク質またはペプチド断片を配列決定することができる。このような方法の例は、小型のタンパク質またはポリペプチドを配列決定するのに使用することができるエドマン分解法である。より大型のタンパク質は、最初に当該分野において公知の化学試薬または酵素試薬、例えば臭化シアン、ヒドロキシルアミン、トリプシンまたはキモトリプシンによって切断してから、エドマン分解法で配列決定してもよい。
【0107】
感受性または複製能の決定するためのコンピュータにより実装される方法
その他の態様において、本発明は、コンピュータにより実装される、HCV阻害剤に対するHCVの感受性の決定方法またはHCVの複製能の決定方法を提供する。このような実施形態において、本発明の方法は、現代のコンピュータの処理能力を利用できるように適合される。当業者であれば、このような方式において本方法を容易に適合することができる。
【0108】
特定の実施形態において、本発明は、コンピュータにより実装されるHCV阻害剤に対するHCVの感受性の決定方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、コンピュータメモリに、本発明の方法に従って決定された指標遺伝子の活性および指標遺伝子の参照活性に関する情報と、本発明の方法に従って決定された指標遺伝子の活性を指標遺伝子の参照活性と比較するためのインストラクションとを入力する工程;およびコンピュータメモリで、本発明の方法に従って決定された指標遺伝子の活性を指標遺伝子の参照活性と比較する工程を含み、ここで、測定された指標遺伝子の活性が参照活性に比べて異なっていることが、そのHCV阻害剤に対するHCVの感受性と相関するため、HCV阻害剤に対するHCVの感受性が決定される。
【0109】
特定の実施形態において、本方法は、コンピュータのディスプレイにHCV阻害剤に対するHCVの感受性を表示する工程をさらに含む。特定の実施形態において、本方法は、紙に、HCV阻害剤に対するHCVの感受性を印刷する工程をさらに含む。
【0110】
その他の態様において、本発明は、本発明の方法に従って決定されたHCV阻害剤に対するHCVの感受性を表示する印刷物を提供する。さらにその他の態様において、本発明は、本発明の方法に従って決定されたHCV阻害剤に対するHCVの感受性を表示するデータを含有する、コンピュータで読取り可能な媒体を提供する。
【0111】
その他の態様において、本発明は、コンピュータにより実装されるHCVの複製能の決定方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、コンピュータメモリに、本発明の方法に従って決定された指標遺伝子の活性および指標遺伝子の参照活性に関する情報と、本発明の方法に従って決定された指標遺伝子の活性を指標遺伝子の参照活性と比較するためのインストラクションとを入力する工程;およびコンピュータメモリで、本発明の方法に従って決定された指標遺伝子の活性を指標遺伝子の参照活性と比較する工程を含み、ここで、測定された指標遺伝子の活性と参照活性との比較は、HCVの複製能の指標であるため、HCVの複製能が決定される。
【0112】
特定の実施形態において、本方法は、コンピュータのディスプレイにHCVの複製能を表示する工程をさらに含む。特定の実施形態において、本方法は、紙に、HCVの複製能を印刷する工程をさらに含む。
【0113】
その他の態様において、本発明は、HCVの複製能を表示する印刷物を提供し、この場合、複製能は、本発明の方法に従って決定される。さらにその他の態様において、本発明は、HCVの複製能を表示するデータを含有するコンピュータで読取り可能な媒体を提供し、この場合、複製能は、本発明の方法に従って決定される。
【0114】
さらにその他の態様において、本発明は、本発明の方法を行うためのコンピュータで読取り可能なインストラクションを含む製品を提供する。
【0115】
さらにその他の態様において、本発明は、本発明の方法を行うことができるように構成されたコンピュータシステムを提供する。
【0116】
ウイルスおよびウイルスサンプル
本発明の方法で使用するための患者由来セグメントまたはウイルス配列の供給源として、制限なく当業者に公知のあらゆるウイルスを使用することができる。特定の実施形態において、ウイルスは、HCVであり、遺伝子型1、遺伝子型2、遺伝子型3、遺伝子型4、遺伝子型5、または遺伝子型6であってもよい。本発明の一実施形態において、ウイルスは、HCV遺伝子型1である。特定の実施形態において、ウイルスは、HCV遺伝子型1aまたは1bである。
【0117】
患者由来セグメントまたはウイルス遺伝子配列が得られるウイルスは、ウイルスサンプルを得るための当該分野において公知のあらゆる手段により得られたウイルスサンプル中に見出されるものでもよい。このような方法は、これらに限定されないが、ウイルスに感染した個体からウイルスサンプルを得る工程、またはウイルス培養物からウイルスサンプルを得る工程を含む。一実施形態において、ウイルスサンプルは、ウイルスに感染したヒト個体から得られる。ウイルスサンプルは、感染個体の体のあらゆる部分、またはウイルスを含むと予測されるあらゆる分泌物から得てもよい。このような部分および分泌物の例としては、これらに限定されないが、血液、血清、血漿、痰、リンパ液、精液、膣粘液、肝臓生検材料、およびその他の体液サンプルが挙げられる。好ましい実施形態において、サンプルは、血液、血清、または血漿サンプルである。
【0118】
その他の実施形態において、患者由来セグメントまたはウイルスのコード領域の配列は、培養物から得ることができるウイルスから得ることができる。いくつかの実施形態において、培養物は、実験室から得ることができる。その他の実施形態において、培養物は、例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)などの収集物から得ることができる。
【0119】
その他の実施形態において、患者由来セグメントまたはウイルスのコード領域の配列は、遺伝学的に改変されたウイルスから得ることができる。このようなウイルスは、ウイルスを遺伝学的に改変するための当該分野において公知のあらゆる方法を使用して遺伝学的に改変することができる。例えば、ウイルスは、実験室での培養において望ましい世代数にわたり増殖させてもよい。一実施形態において、選択圧力は適用されず(すなわち、ウイルスは、所定の特徴を有するウイルスの複製に有利な処理を受けない)、ランダムな遺伝的浮動により新しい変異が蓄積する。その他の実施形態において、培養物中でウイルスが増殖するときに、ウイルスに選択圧力が適用される(すなわち、ウイルスは、1つまたは複数の特徴を有するウイルスの複製に有利な条件下で増殖する)。一実施形態において、選択圧力は、抗ウイルス処理である。選択圧力として、あらゆる公知の抗ウイルス処理を使用することができる。
【0120】
その他の態様において、患者由来セグメントまたはウイルスのコード領域の配列は、ウイルス、ウイルスゲノム、またはウイルスゲノムの一部に変異を誘発することにより作製することができる。この目的のために、当該分野において公知のあらゆる変異誘発方法を使用することができる。特定の実施形態において、変異誘発は、本質的にランダムである。特定の実施形態において、本質的にランダムな変異誘発は、ウイルス、ウイルスゲノムまたはウイルスゲノムの一部を変異誘発処理に晒すことによって行われる。その他の実施形態において、抗ウイルス療法の標的であるウイルスタンパク質をコードするコード領域または遺伝子に変異を誘発する。本質的にランダムな変異誘発処理の例としては、例えば、変異誘発物質(例えば、エチジウムブロマイド、エチルメタンスルホネート、エチルニトロソ尿素(ENU)など)への曝露、放射線(例えば紫外光)、転移因子(例えば、Tn5、Tn10)の挿入および/または除去、または高い変異誘発率を有する細胞、細胞抽出物、またはin vitroの複製系での複製が挙げられる。例えば、Russellら、1979年、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 76巻:5918〜5922頁;Russell, W.、1982年、Environmental Mutagens and Carcinogens:Proceedings of the Third International Conference on Environmental Mutagensを参照されたい。当業者であれば、これらの変異誘発法はそれぞれ、分子レベルで本質的にランダムであるが、それぞれ独自の好ましい標的を有することを理解しているであろう。
【0121】
その他の態様において、患者由来セグメントまたはウイルスのコード領域の配列は、部位特異的変異誘発を使用して作製することができる。当該分野において公知のあらゆる部位特異的変異誘発法を使用することができる(例えば、Sambrookら、2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory、第3版、NY;およびAusubelら、2005年、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing AssociatesおよびWiley Interscience、NY、ならびにSarkarおよびSommer、1990年、Biotechniques、8巻:404〜407頁を参照)。部位特異的変異誘発は、例えば、特定のコード領域、遺伝子、もしくはゲノム領域、コード領域、遺伝子、もしくはゲノム領域の特定の一部、またはコード領域、遺伝子、もしくはゲノム領域内の1つまたは数個の特定のヌクレオチドを対象にすることができる。一実施形態において、部位特異的変異誘発は、1つまたは複数の基準に基づくウイルスのゲノム領域、コード領域、遺伝子、遺伝子断片、またはヌクレオチドを対象とする。一実施形態において、コード領域もしくは遺伝子、またはコード領域もしくは遺伝子の部分が、抗ウイルス療法の標的であることが公知であるかまたは標的であると疑われるタンパク質をコードする(例えばHCVのRNA依存性RNAポリメラーゼまたはその部分をコードするNS5Bコード領域)ので、それらは部位特異的変異誘発に供される。その他の実施形態において、部位特異的変異誘発のために、コード領域もしくは遺伝子の部分、またはコード領域もしくは遺伝子内の1つまたは数個のヌクレオチドが選択される。一実施形態において、変異誘発されるヌクレオチドは、抗ウイルス性化合物と相互作用することが公知であるかまたは相互作用すると疑われるアミノ酸残基をコードする。その他の実施形態において、変異誘発されるヌクレオチドは、1つまたは複数の抗ウイルス剤に対して耐性であるか、または感受性であるか、または感受性過度であるウイルス株で変異されていることが公知であるかまたは変異されていると疑われるアミノ酸残基をコードする。その他の実施形態において、変異誘発されるヌクレオチドは、抗ウイルス性化合物と相互作用することが公知であるかまたは相互作用すると疑われる、または1つまたは複数の抗ウイルス剤に対して耐性であるか、または感受性であるか、または感受性過度であるウイルス株で変異されていることが公知であるかまたは変異されていると疑われるタンパク質残基の一次配列に隣接するかまたはその近傍にあるアミノ酸残基をコードする。その他の実施形態において、変異誘発されるヌクレオチドは、抗ウイルス性化合物と相互作用することが公知であるかまたは相互作用すると疑われる、または複製能が変更されたウイルス株で変異されていることが公知であるかまたは変異されていると疑われるタンパク質残基の二次、三次、または四次構造に隣接するかまたはその近傍にあるアミノ酸残基をコードする。その他の実施形態において、変異誘発されるヌクレオチドは、抗ウイルス性化合物に結合することが公知であるか結合すると疑われるタンパク質の活性部位中またはその近傍のアミノ酸残基をコードする。
【実施例】
【0122】
(実施例1)
表現型解析のためのサンプルの調製
サンプルの調製および増幅
ほとんどのサンプルを冷凍血漿として受け取り、それらにはHCVサブタイプ(すなわち、1aまたは1b)およびウイルス量などの情報が添付されていた。サンプルを解凍させ、必要に応じて冷凍したアリコートとして保存し、200μLのアリコートを処理した。カオトロピック剤を含有する溶解緩衝液の添加によりウイルス粒子を壊した。オリゴヌクレオチドが連結した磁気ビーズを使用して、ゲノムウイルスRNA(vRNA)をウイルス溶解産物から抽出した。精製したvRNAを、逆転写酵素(RT)反応での第一の鎖のcDNA合成用のテンプレートとして使用した。得られたcDNAを、全NS5B領域の増幅が起こる1回目のネステッドポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のテンプレートとして使用した。サブタイプ1aおよび1b間の配列の変動のために、特異的な1aおよび1bのRTおよび1回目および2回目のためのPCRプライマーを使用した。サブタイプ情報が得られない場合、両方のプライマーセットを、逐次的に、または並行して使用してもよい。
【0123】
耐性テストベクターへの患者由来セグメントのクローニング
2回目の(ネステッド)PCR増幅用プライマーセットは、表現型の薬物感受性解析のためのNS5B増幅産物のHCVレプリコン耐性テストベクター(RTV)へのクローニングを可能にする制限エンドヌクレアーゼ認識/切断部位を含んだ。アガロースゲル電気泳動、続いてカラムクロマトグラフィーによりPCR産物を精製し、残ったプライマー、プライマー二量体、および非特異的な反応生成物を除去し、次に制限エンドヌクレアーゼ消化に供した。カラムクロマトグラフィーを用いて消化反応物を精製し、次に、増幅産物をルシフェラーゼレポーターレプリコンRTVにライゲートした。ライゲーション反応を使用して、コンピテントE.coliを形質転換した。シリカカラムクロマトグラフィーを使用して細菌培養物からプラスミドDNAを精製し、分光測光法で定量した。
【0124】
RTVのRNAの調製
RTVをin vitroで転写する前に、プラスミドDNAのテンプレートを制限エンドヌクレアーゼ消化で線形にし、カラムで精製した。RTVは、in vitroでの転写後にレプリコンRNAを適切に停止させるための肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を含む。in vitroで転写されたRNAをカラムで精製し、定量し、電気泳動分離を使用して完全性を評価した。
【0125】
(実施例2)
HCV阻害剤感受性を決定するための表現型アッセイ
RTVのRNAをHuh7細胞株にエレクトロポレーションし、エレクトロポレーションした細胞を連続希釈した阻害剤の非存在および存在下でインキュベートした。エレクトロポレーションの4時間後にエレクトロポレーションした細胞で生産されたルシフェラーゼ活性の量を測定することによってRNAのインプットをモニターした。ルシフェラーゼ活性は、相対光単位(RLU)として示される。阻害剤の非存在下でのエレクトロポレーションの72〜96時間後のルシフェラーゼ活性を、RNAのインプットおよび対照参照レプリコンRTV(Con1)と比較して評価することによって複製能(RC)を決定した。複製欠損型Con1レプリコン(欠損型Con1ポリメラーゼ)を利用して、アッセイバックグラウンドを決定した(データ示さず)。エレクトロポレーションの72〜96時間後における、阻害剤の非存在および存在下におけるRTVの複製能力を評価することによって、阻害剤感受性を決定した。阻害剤の各連続希釈濃度における%阻害を以下のようにして得た:
[1−(阻害剤の存在下におけるルシフェラーゼ活性÷阻害剤の非存在下におけるルシフェラーゼ活性)]×100。
【0126】
これらの値から阻害剤感受性プロファイル(曲線)を得て、阻害データ(例えば、IC
50、ウイルス複製を50%減少させるのに必要な阻害剤濃度;およびIC
95、ウイルス複製を95%減少させるのに必要な阻害剤濃度)をフィットさせた曲線から外挿した。阻害データは、同じアッセイバッチで処理された参照RTVの阻害データ(例えば、参照からのIC
50倍率変化(FC))と比べて倍率変化として報告される(例えば、IC
50(サンプル)/IC
50(参照))。
図1に、PhenoSense(登録商標)HCV NS5Bアッセイのワークフローの例を示し、
図2に、代表的な阻害剤感受性曲線を示す。
【0127】
よく特徴付けられたサブタイプ1a(H77)および1b(Con1)参照配列、ならびにHCVのRdRpの阻害剤に対して減少した感受性を付与する変異が含まれるように部位特異的変異誘発(SDM)によって操作されたサブタイプ1aおよび1b参照配列のNS5B領域を含有するRTVのHCVポリメラーゼ阻害剤感受性を評価することによって、アッセイ精度を評価した(
図3)。科学文献で報告された表現型データに従って、阻害剤感受性データ(IC
50−FCおよびIC
95−FC)を解析した。目標とする承認基準によれば、SDMのRTVは、参照RTVと比べて、テストした阻害剤に対して、IC
50−FCについては多くとも2.5分の1になった感受性を示し、IC
95−FCについては3分の1になった感受性を示すべきであると規定されていた。評価した全てのSDMで、各ポリメラーゼ阻害剤に対する感受性における適切な減少が観察されたことから、このアッセイはアッセイ精度についてのバリデーションに合格した。NS5B変異を含有するレプリコンは、部位A(NNI−A;L392IおよびP495A/L変異体)、部位B(NNI−B;M423T)、部位C(NNI−C;C316YおよびY448H)および部位D(NNI−D;C316Y)を標的とするヌクレオシド(NI;S282T変異体)および非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤に対する感受性の予測された減少を示したことから、アッセイ精度が実証された(
図3)。
【0128】
阻害剤感受性測定におけるアッセイ内変動(intra−assay variation)の解析によれば、532個のペアワイズ比較より、再現性のIC
50FC値およびIC
95FC値の95%は、それぞれ1.32および1.4倍以内であった。再現性のRC値の95%は、108個のペアワイズ比較に基づき、0.22log
10だけ異なっていた(
図4)。阻害剤感受性測定におけるアッセイ内変動の解析によれば、それぞれ285個および260個のペアワイズ比較より、再現性のIC
50FC値およびIC
95FC値の95%は、1.75および1.7倍以内であった。再現性のRC値の95%は、55個のペアワイズ比較に基づき、0.27log
10だけ異なっていた(
図4)。3log
10の範囲にわたるウイルス量におけるアッセイの直線性の評価によれば、それぞれ243個のペアワイズ比較より、IC
50FC値およびIC
95FC値の95%は、1.62以下および1.75倍の変動を示したことが実証された。RC値の95%は、連続希釈した血漿サンプルの56個のペアワイズ比較に基づき、0.3log
10だけ異なっていた(
図4)。
【0129】
(実施例3)
IC
95FCの測定により阻害剤感受性検出に対する感度が増加した
薬物耐性改変体の部分集団を検出するPhenoSense(登録商標)HCV NS5Bアッセイの感度を評価するために、Con1またはH77参照ウイルス(野生型、WT)、および1つまたは複数のNS5B阻害剤に対して減少した感受性を付与する特異的なSDMを含有するCon1またはH77(変異体、MT)のNS5B領域を含有するRTVからのRNAを利用した。WTおよびMTのRTVを、別々に(100%WTまたは100%MT)評価するか、または所定のMT:WT混合物(20:80、40:60、60:40、および80:20%)として評価した。特定のNS5B阻害剤(複数可)、加えて対照としてINFに対する感受性についてサンプルを評価した(SDMは、INF感受性に影響を与えると予測されなかった)。テストした全てのサンプルについての阻害剤感受性データを得た。IC
50−FC値およびIC
95−FC値で観察された差を評価して、混合物中の各MTのRTVのパーセントと、IC−FC感受性パラメーターとの関係を明らかにした。予想した通りに、INF感受性は、混合物中のMTのRTVの割合の影響を受けなかった(
図6)。それに対して、混合物中のMTのRTVの百分率が、感受性減少の検出に必要な変異と評価される薬物とに応じて20%のMTのRTVから80%以上に増加するにつれ、NS5B阻害剤感受性(IC
50−FCおよびIC
95−FC)は減少した(
図6、データ示さず)。最大80%のS282T SDMでも、IC
50−FC値の減少を観察できないことは、公開された観察(Pogamら、JID 2010年:202巻、1510頁)と一致している(
図6A)。IC
95−FC値は、IC
50−FC値と比べて、S282Tを含むMTのRTV改変体の検出感度を改善した(
図6および7)。薬物耐性改変体の部分集団の検出は、SDMによって付与された特定の阻害剤に対する感受性減少の規模およびRCへのSDMの作用などの要因に可変的に依存していた。
【0130】
(実施例4)
傾きの測定は、阻害剤感受性検出に対する感度の増加をもたらす
上述したように、Con1またはH77参照ウイルス(野生型、WT)、および1つまたは複数のNS5B阻害剤に対して減少した感受性を付与する特定のSDMを含有するCon1またはH77(変異体、MT)のNS5B領域を含有するRTVからのRNAを使用して、薬物耐性変異体の部分集団を検出するPhenoSense(登録商標)HCV
NS5Bアッセイの感度を試験した。WTおよびMTのRTVを、別々に(100%WTまたは100%MT)評価するか、または所定のMT:WT混合物(20:80、40:60、60:40、および80:20%)として評価した。特定のNS5B阻害剤(複数可)(
図8は、阻害剤としてNNI−Aを示す)、加えて対照としてINFに対する感受性についてサンプルを評価した(SDMは、INF感受性に影響を与えると予測されなかった)。テストした全てのサンプルについての阻害剤感受性データを得た。
図8に、WTのCon1ウイルスまたはP495AまたはL392I変異SDMを有するCon1の集団(それぞれ
図8A〜Lおよび
図8M〜8X)に関するNNI−AおよびIFNに関するデータを示す。一連のグラフから、変異体ウイルスの部分集団の百分率が増加するにつれ、混成型の集団において、変異体ウイルスの部分集団の80%まで、感受性曲線の傾きが平坦になることが示される。
【0131】
(実施例5)
NS5A阻害剤感受性の検出に対する感度の増加
前の実施例で説明したような方法は、その他のHCVコード領域に対して有用であった。
図9は、耐性関連変異(RAM)を有する、および有さない遺伝子型1a分離株と1b分離株とのNS5Aコード領域の配列の変動性を示す系統樹である。
図10は、遺伝子型1a分離株(5、15、18、23、49、および50)および遺伝子型1b分離株(78および109)の8つの異なるHCVサンプルにおけるNS5Aコード領域中に存在するアミノ酸置換を示す。
【0132】
前の実施例で説明したようにしてNS5Bコード領域について表現型アッセイを行った(サンプル23、50、78、および109については、
図11A〜11J、サンプル5、15、18、23、49、50、78、および109については、追加のデータは示さず)。これらのデータから総合して、開示された方法は、HCV阻害剤に対するC型肝炎ウイルス(HCV)集団の感受性の効率的で正確な決定を提供することが実証される。
【0133】
本発明の特定の実施形態を参照しながら本発明を説明して例示したが、当業者であれば、本発明の本質および範囲から逸脱することなくそれらに様々な変化、改変、および置換をなすことができることを理解しているであろう。本明細書に記載された全ての特許、公開された特許出願、およびその他の非特許文献は、参照によりそれらの全体が取り込まれる。