(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-196042(P2017-196042A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】リングピロー
(51)【国際特許分類】
A47G 29/08 20060101AFI20171006BHJP
【FI】
A47G29/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-88282(P2016-88282)
(22)【出願日】2016年4月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発明が特許法第29条第1項各号のいずれかに該当するに至った事由に関する情報 刊行物 北日本新聞 平成27年10月27日付朝刊 発行日 平成27年10月27日 発行所 北日本新聞社 該当ページ 第25面 公開のタイトル 「赤ちゃんの枕に使えます」
(71)【出願人】
【識別番号】516125657
【氏名又は名称】笹倉 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 美紀
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA19
3K100AF00
3K100AG08
3K100AJ09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】結婚式の備品としての機能、結婚式の記念品としての機能及び結婚と極めて関わりの深い二次的な用途に副う機能を確実に果たすリングピローを提供する。
【解決手段】柔軟性を有する上枕1及び下枕2を重ね合わせて備え、前記上枕1は、乳児の頭部と同程度の大きさを持つ立体であり、且つその中央部にリング保持部4を備え、前記下枕2は、内縁部に前記上枕1の下周縁部を保持する柔軟面を備える環状膨出部5を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する上枕及び下枕を重ね合わせて備え、
前記上枕は、乳児の頭部と同程度の大きさを持つ立体であり、且つその中央部にリング保持部を備え、
前記下枕は、内縁部に前記上枕の下周縁部を保持する柔軟面を備える環状膨出部を備えることを特徴とするリングピロー。
【請求項2】
前記環状膨出部は、前後左右のいずれか三方の幅に比べて一方の厚みが薄くされていることを特徴とする前記請求項1に記載のリングピロー。
【請求項3】
前記下枕は、表布と裏布との間に柔軟材を環状に介在し当該柔軟材の内縁及び外縁に沿って前記表布と裏布を縫着してなる前記環状膨出部、当該環状膨出部に囲まれた表凹部及び裏凹部並びに当該表凹部と裏凹部に挟まれた支持布を備える前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載のリングピロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結婚式において新郎新婦が指輪を交換する際に、当該指輪を載置する為に用いられるリングピローに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リングピローは、リボンやレース等で豪華に又は可愛らしく装飾が施された様々な材料からなる敷物又は台座(以下「敷物等」という)であって、指輪を交換する時までそれを置いておくものである。
リングピローは、結婚式のなかで最も重要で且つ厳粛なセレモニーとして位置付けられる指輪交換において、交換すべき指輪の敷物等となる事によって、当該指輪の重要性や結婚式の神聖さや厳かさを視覚的に演出するものである。
【0003】
欧米式の結婚式においては、指輪を載せたリングピローをリングベアラー(若しくはリングボーイ)と呼ばれる小さな男の子が花嫁と一緒に入場して運ぶこともあり、リングピローにあっては、ぎこちない子供の歩みにあっても、指輪が落ちない程度の安定した保持性と、小さい子供が持ちやすい形態や大きさでありながら、比較的高い装飾性を持っていることが求められる。
【0004】
また、リングピローは、単なる結婚式の備品としての地位に止まらず、近年、結婚式での役割を終えた後の二次的な用途に着目した商品(例えば下記特許文献参照)も紹介されている一方で、リングピローを結婚式の記念の品として長く持ち続けたいという考え方もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3041898号公報
【特許文献2】実用新案登録第3160746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、結婚式の備品としての機能、結婚式の記念品としての機能及び結婚と極めて関わりの深い二次的な用途に副う機能を確実に果たすリングピローの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明によるリングピローは、柔軟性を有する上枕及び下枕を重ね合わせて備え、前記上枕は、乳児の頭部と同程度の大きさを持つ立体であり、且つその中央部にリング保持部を備え、前記下枕は、内縁部に前記上枕の下周縁部(例えば、下面の周縁部及び側面の下縁部又は下方に面する傾斜面など)を保持する柔軟面を備える環状膨出部を備えることを特徴とする。
前記環状膨出部は、前後左右のいずれか三方の幅に比べて一方の厚みが薄くされていることをが望ましい。
【0008】
前記下枕は、表布と裏布との間に柔軟材を環状に介在し当該柔軟材の内縁及び外縁に沿って前記表布と裏布を縫着してなる前記環状膨出部、当該環状膨出部に囲まれた表凹部及び裏凹部並びに当該表凹部と裏凹部に挟まれた支持布を備える構成とすることができる。
尚、前記立体は、前記下枕が柔軟面を備えることで様々な形状を採用することができるが、乳児の頭部を置く下枕の構成に照らせば、球体状、球を上下に潰した回転楕円体状、楕円体状又は滑らかな面取りがされた円柱状が望ましい。
また、前記上枕が指輪を保持するステージである点に照らせば、水平長に対する鉛直長の比が80%から30%程度、例えば、中華饅から饅頭程度の扁平性を持った立体が望ましい。
前記柔軟材は、天然綿や合成樹脂製の柔軟性ある充填材や低反発素材などから、当該リングピローを扱う者の体質等に応じて適宜選択する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるリングピローは、結婚式においては上枕と下枕とを組み合わせて、挙式用のリングピローとして豪華な外観を呈する一方、家庭においては上枕と下枕とを分離して、小振りで場所をとらず可愛らしいリングピローと乳児用枕(ベビーピロー)として利用することができる。
【0010】
挙式用リングピローの面では、前記上枕及び下枕がともに柔軟性を持ち、且つ前記下枕は、内縁部に前記上枕の下周縁部を保持する柔軟面を備える環状膨出部を備えていることから、当該リングピローが複数部材を重ねた構造を有しているにも関わらず、振動や揺れにあっても安定した形態を保持し、たとえ、リングベアラーの歩みがぎこちなく、揺れが大きい場合であっても形崩れやそれに伴う指輪の落下を回避することができる。
殊に、
【0011】
また、ベビーピローの面では、上記上枕を下枕で安定保持できる構造によって、首の据りが十分ではない乳児の頭部下面の周囲を、耳を潰すことなく優しく且つ確実に保持することが可能となり、乳児の向き癖を緩和し頭蓋骨の変形を回避することができる。
更に、前記環状膨出部の前後左右の一方の幅及び厚みを他の側と比べて小さくすることによって、乳児の頚部に有害な圧力が加わることを回避することができる。
【0012】
前記環状膨出部は、布地と柔軟材を環状に縫製した構成を採ることによって、やさしく柔らかい印象を与える装飾などをはじめとする自由な装飾を施すことが可能となる他、表と裏に前記環状膨出部に囲まれた凹部、及び柔軟材を内包することなく表裏の凹部を仕切る表布と裏布(以下「支持布」と言う)を備える構成となることによって、前記支持布で、上枕又は乳児の頭部を優しく且つ満遍なく支持することができる。
【0013】
同時に、前記支持布は、裏側の凹部に向けて下向きに一定以上の加圧が加わると、前記環状膨出部の上部を当該支持布の中央部へ向けて引き寄せることから、乳児の頭部が表側の凹部へ過度に沈み込むことも回避することができる一方、一定未満の加圧にあっては、表側の凹部に向けて上向きの圧力が加わることもなく、上枕に対する高い定着性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるリングピローの一例を斜視した写真である。
【
図2】本発明によるリングピローの本体の一例を示す(A):平面図、(B):正面図、(C):A−A矢視断面図及び(D):背面図である。
【
図3】本発明によるリングピローの本体の一例を示す(A):側面図及び(B):
図2(B)のB−B矢視断面図である。
【
図4】本発明によるリングピローの一例を上から見た写真である。
【
図5】本発明によるリングピローの一例を正面から見た写真である。
【
図6】本発明によるリングピローの一例を後方から見たである。
【
図7】本発明によるリングピローの一例を右側方から見た写真である。
【
図8】本発明によるリングピローの一例を左側方から見た写真である。
【
図9】本発明によるリングピローを構成する下枕の一例を上から見た写真である。
【
図10】本発明によるリングピローを構成する下枕の一例を正面から見た写真である。
【
図11】本発明によるリングピローを構成する下枕の一例を後方から見た写真である。
【
図12】本発明によるリングピローを構成する下枕の一例を下から見た写真である。
【
図13】本発明によるリングピローを構成する上枕の一例を上から見た写真である。
【
図14】本発明によるリングピローを構成する上枕の一例を正面から見た写真である。
【
図15】本発明によるリングピローを構成する上枕の一例を右側方から見た写真である。
【
図16】本発明によるリングピローを構成する上枕の一例を左側方から見た写真である。
【
図17】本発明によるリングピローを構成する上枕の一例を下から見た写真である。
【
図18】本発明によるリングピローの実施態様例を示す写真である。
【
図19】本発明によるリングピローを構成する上枕の実施態様例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるリングピローの実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図に示すリングピローの例は、柔軟性を有する上枕1及び下枕2を重ね合わせてなり、前記上枕1と下枕2が、挙式中などの移設時において分離しないように連結手段3を付設したものである。
【0016】
前記上枕1は、木綿生地の内側に柔軟材として弾力性のあるテトロン綿を充填し、乳児の頭部と同程度の平面形状を有する上下に潰れた回転楕円体状に縫製したものである。
この例は、その中央を表裏に糸を通すことによって、表裏中央部を陥没させてリング保持部4が形成されている。
当該リング保持部4へ指輪を載置することによって、当該上枕1から指輪が滑り落ちることなく保持されることとなる。
尚、前記リング保持部4は、容器として陥没させる手法に限らず、リングピローの所定の位置に、リングを狭持し、掛止する手法等を採ってもよい(例えば実用新案登録第3171010号又は実用新案登録第3127994号参照)。
【0017】
前記下枕2は、170mmから200mm程度の長辺と、140mmから160mm程度の短辺を有する長方形状であり、15mmから40mm程度の厚みを有するものである。
この例は、前記上枕1と同様に、木綿生地からなる方形状の表布と裏布との間に弾力性のあるテトロン綿を環状に充填すると共に、当該柔軟材の内縁及び外縁に沿って前記表布と裏布を逢着することによって環状膨出部5を形成し、当該下枕2の表裏に前記環状膨出部5に囲まれた表凹部6及び裏凹部6並びに表裏凹部6,6に挟まれた支持布7を設けたものである。
前記柔軟材の量は、木綿生地の縫着後も硬くならない程度に調整し、前記環状膨出部5が全体として丸みを帯びるように縫製する。
【0018】
この例の前記環状膨出部5は、外縁が方形状に縫われ、内縁は前記上枕1の平面形状より小さい円形又は楕円形に縫われている。
この例の環状膨出部5は、横辺を長辺とする直方体状であり、二つの短辺と一つの長辺が幅広厚肉とされ、一つの長辺が幅狭薄肉とされている。
その結果、前記環状膨出部5は、乳児の頭部を三辺で支持し、残る一つの長辺領域に頚部を通す構造となる。
【0019】
頚部が通過する長辺は、乳児の頚部と干渉しないことが求められる一方、頚部が通過する長辺は、他の辺と同程度の装飾領域が確保されているなど、リングピローとしての美観を損なわない程度の存在感を持つことが要請される。
よって、その幅は、大人の指一本から三本の幅とし、その厚みは、大人の指半本から二本の厚みとすることが望ましい。
この例は、以上の如く構成されることによって、前記環状膨出部5の内縁部の上位に前記上枕1の下面周縁部の傾斜面を覆い密着して保持する柔軟面が形成される。
【0020】
挙式時における前記上枕1と下枕2との一体性をより高めるべく、両者を繋ぐ前記連結手段3を付設することができる。
前記連結手段3は、着脱自在の機能に加えて、前記上枕1を前記下枕2から分離した際に、前記下枕2のベビーピローとしての機能を損なわない様にすることが要請される。
【0021】
この例では、前記下枕2の表凹部6の左右端部に糸で連結用のリボンを留め付けると共に(糸に装飾用のビーズ等を通してもよい)、前記上枕1の左右端部の対向する位置に糸、紐又はリボンで輪を作り、対となる輪にそれぞれ装飾用のリボンを通して前記連結手段3としてあるが、前記下枕2を使用する乳児に対して有害な構成を採らない限り他の手法を選択してもよい。
挙式後、ベビーピローとして用いられる前記下枕2については、例えば、連結手段3を数針の糸で縫着するなど、除去が容易な構成を採ることが望ましいが、挙式後、リングピローとして用いられる前記上枕1については、除去が困難な構成も許容される。
【0022】
この例は、前記下枕2の外観を方形状としたが、楕円形その他所望の形状を選択することが可能である。
また、この例は、白地の綿を主材とし、周縁にレース生地を縫着した前記下枕2と、周縁にレース生地を縫着し、表面に華やかな色彩の布を花柄に縫着し、中央にリボンをパールビーズで縫着した装飾が施されているが、かかる装飾は、新郎新婦や販売者の感性、意図又は方針等に応じて適宜デザインすればよくい。
殊に、前記上枕1にあっては、その機能上、布に柔軟材を充填した構成に限らず、アートフラワー、木、モスなどの自然素材又は紙やガラス等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 上枕,2 下枕,3 連結手段,4 リング保持部,
5 環状膨出部,6 凹部,7支持布,