【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2016年1月6日、CES2016 JANUARY 6−9 Las Vegas,Nevada において公開
【解決手段】画像を表示するタッチパネルディスプレイを備えたノートPCは、複数色からなる背景41と、背景41の色に対応する混同色線上で色が変化するキャラクターパッチ42とを、タッチパネルディスプレイに表示する。そして、ノートPCは、背景41とキャラクターパッチ42に対するユーザの視認結果に基づいて、ユーザの色覚を判定する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る情報処理装置、色覚検査方法、及びプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るノートPC1の概略外観図である。
【0014】
ノートPC1は、
図1に示すように一例として、いずれも略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備える。
【0015】
本体側筐体2は、入力部4を備える。入力部4は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド、マウス、又はトラックポイント等を備えている。
【0016】
ディスプレイ側筐体3は、画像を表示するタッチパネルディスプレイ7を備える。
タッチパネルディスプレイ7は、入力される表示データをビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示すると共に、ユーザの指及びタッチペン等の指示体を用いて行われる各種操作を検出する。
【0017】
本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右一対の連結部8a,8bによって連結されている。連結部8a,8bは、ヒンジであり、本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を開閉自在に支持している。
【0018】
図2は、ノートPC1のハードウェアの構成を示す概略図である。
ノートPC1は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、メモリ22、LCD(Liquid Crystal Display)23、グラフィクスアダプタ24、タッチセンサ25、入力コントローラ26、フラッシュメモリ27、通信デバイス28、及び電源回路29を備えており、各部はバス30を介して直接または間接的に接続されている。なお、タッチパネルディスプレイ7は、LCD23とタッチセンサ25を含んで構成される。
【0019】
CPU20は、フラッシュメモリ27に格納されたOS(Operating System)によりノートPC1全体の制御を行うと共に、フラッシュメモリ27に格納された各種のプログラムに基づいて、入力部4やタッチパネルディスプレイ7等を介したユーザの操作に応じた処理を実行する機能を有する。
【0020】
ROM21は、BIOS(Basic Input/Output System)や各種データ等を格納している。
【0021】
メモリ22は、キャッシュメモリやRAM(Random Access Memory)で構成されており、CPU20の実行プログラムの読み込み、及び実行プログラムによる処理データの書き込みを行う作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。
【0022】
LCD23は、CPU20の制御に従って、グラフィクスアダプタ24からのビデオ信号を画像として表示する。
【0023】
グラフィクスアダプタ(Graphics Processing Unit:「GPU」ともいう。)24は、CPU20の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をLCD23に出力する。
【0024】
タッチセンサ25は、LCD23に対するユーザの指及びタッチペン等のタッチ位置を検出して、入力コントローラ26に出力する。そして、タッチセンサ25は、LCD23の画面に表示される各種メニュー、アイコン、ボタン、及びキーボード等の画面オブジェクトを選択して入力操作を行ったり、テキストの入力操作や、スクロールやスワイプ等の画面操作がユーザの指やタッチペン等により行われる。
【0025】
入力コントローラ26は、プロセッサがROM21等に格納されたプログラムを実行することにより各種処理を行い、タッチセンサ25の動作を制御する。
【0026】
フラッシュメモリ27は、ノートPC1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル等を格納する機能を有する。なお、ノートPC1は、フラッシュメモリ27に替わる記憶手段としてHDD(Hard Disk Drive)等、他の記憶手段を備えてもよい。
【0027】
通信デバイス28は、他のデバイスとの間との通信を行う。
【0028】
電源回路29は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、及びDC/DCコンバータ等を備えており、CPU20の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。
【0029】
本実施形態に係るノートPC1は、ユーザを被験者とし、ユーザの色覚を判定するCVDテストを実行するCVDテスト機能を有する。
【0030】
図3は、CVDテストを行う場合にタッチパネルディスプレイ7に表示されるCVD判定画像40である。
図4は、
図3の領域Aで示される部分の拡大図である。
【0031】
CVD判定画像40は、背景41とキャラクターパッチ42とによって構成され、タッチパネルディスプレイ7に表示される。なお、矢印線や、キャラクターパッチ42や後述の背景パッチ43の輪郭を示す破線等は、便宜的に記したものであって、実際の画面上には表示されない。
【0032】
背景41とキャラクターパッチ42とは、相対的に移動する。本実施形態では一例として背景41は移動せずに、キャラクターパッチ42が画面の左から右方向へ移動する。本実施形態に係るキャラクターパッチ42は、輪郭がカメレオンの形状をしているが、これは一例であり、キャラクターパッチ42は詳細を後述するように色覚の判定に用いる判定画像であるため、動物等のキャラクターの形状である必要はなく、円形や矩形等の他の形状であってもよい。
【0033】
背景41は、複数色からなり、
図3の例では、隣接する他の背景パッチ43とは異なる色とされた複数の背景パッチ43が表示されることで縞模様が形成されている。本実施形態では、背景パッチ43は、一例として、各々菱形の形状とされ、横方向(矢印線で示される斜め方向の列毎)に緑、黄、橙、赤、紫、青、紺の順番で色が設定され、この列内の背景パッチ43は同系色で彩度(濃淡)が異なる色とされている。
【0034】
キャラクターパッチ42は、CVDテストの判定対象であり、詳細を後述するように、重なり合う背景41(背景パッチ43)の色に対応する混同色線上で色がリアルタイムで変化する。このため、被験者であるユーザがCVDであると、キャラクターパッチ42と背景パッチ43とを区別し難いため、キャラクターパッチ42を視認できない。
【0035】
キャラクターパッチ42は、背景41を構成する各背景パッチ43よりも大きく表示されるので、複数の背景パッチ43と重なり合うこととなる。すなわち、
図4の部分拡大図に示されるように、キャラクターパッチ42の色は、重なり合う複数の背景パッチ43の色毎に混同色線上でペアが形成される。このため、キャラクターパッチ42は、複数の色によって表示されることとなる。そして、キャラクターパッチ42は、背景41に対して移動するため、重なる背景パッチ43が変わると、背景パッチ43に対応してキャラクターパッチ42の色がリアルタイムで変化することとなる。
【0036】
なお、キャラクターパッチ42が画面上に同時に表示される数は、複数であっても、一つであってもよい。また、キャラクターパッチ42が表示されるタイミングは、規則的であってもランダムであってもよい。また、キャラクターパッチ42の表示の開始位置も、画面の左側であれば、必ずしも左端に限らず、中央よりであってもよいし、表示の開始位置はランダムな位置であってもよい。
【0037】
そして、CVD判定テストは、背景41に重なって表示されたキャラクターパッチ42に対するユーザ(被験者)の視認結果に基づいて、ユーザのCVDの有無及び度合いを判定する。
ユーザによるキャラクターパッチ42の視認の有無は、例えば、ユーザがマウス等を用いてキャラクターパッチ42上にカーソルを移動し、クリックすることで判定される。キャラクターパッチ42が画面上を左から右へ移動している所定時間内に、キャラクターパッチ42がクリックされない場合は、ユーザはキャラクターパッチ42を視認できなかったと判定される。
【0038】
ここで、
図5に示されるxy色度図(CIE 1931表色系)で定義される色空間を参照して、キャラクターパッチ42の色の変化を説明する。
【0039】
図5に示されるxy色度図には、一例として、Protan(1型色覚)に対応する混同色中心Oを通る混同色線L(
図5の破線)が示されている。1型色覚を有する被験者は、この混同色線L上に位置する個々の色同士を見分けることが困難であり、同じ色として認識する。
そこで、本実施形態に係るCVDテストでは、上述した様に、キャラクターパッチ42の色を、重なり合う背景パッチ43の色に対応する混同色線L上で変化させる。
【0040】
また、CVD判定画像40には、背景パッチ43の色に対応する混同色線L上での色差ΔE
n(色の距離)が異なる複数のキャラクターパッチ42が表示される。
図5の例では、第1色差ΔE
1、第2色差ΔE
2、第3色差ΔE
3とのように大きさが異なる3種類の色差ΔE
nが模式的に表されている。キャラクターパッチ42は、予め色差ΔE
nが設定され、設定された色差ΔE
nに応じて変化する色が決定される。例えば、第2色差ΔE
2が設定されたキャラクターパッチ42では、
図5に示すように、背景パッチ43の色がA
bの場合、これに重なるキャラクターパッチ42の色がA
cに変換され、背景パッチ43の色がB
bの場合、これに重なるキャラクターパッチ42の色がB
cに変換され、背景パッチ43の色がC
bの場合、これに重なるキャラクターパッチ42の色がC
cに変換される。
【0041】
図5に示されるように第3色差ΔE
3、第2色差ΔE
2、第1色差ΔE
1の順に色差は大きい。最も色差が小さい第3色差ΔE
3は、CVDがないとされる人が識別可能な色差を若干超えた値とされる。すなわち、第3色差ΔE
3が設定されたキャラクターパッチ42を視認できたユーザは、CVDではないと判定される。一方、第1色差ΔE
1が設定されたキャラクターパッチ42を視認できなかったユーザは、CVDの度合いが最も高いと判定される。
キャラクターパッチ42に設定する色差ΔE
nの範囲は、例えば、日本工業規格のJIS L 0804、JIS L 0805、JIS Z 8721等を参照して決定される。
このように、設定される色差ΔE
nの大きさが異なる複数のキャラクターパッチ42がCVD判定画像40に表示され、ユーザによるキャラクターパッチ42の視認の有無を判定することで、ユーザのCVDの度合いが判定可能となる。
【0042】
なお、キャラクターパッチ42に対して設定する色差ΔE
nの種類を多くするほど、ユーザのCVDの度合いをより詳細に判定できる。
【0043】
図5の例では、10本の混同色線Lが示されているが、実際には、混同色中心Oを通る無数の直線が混同色線Lとなる。また、混同色中心Oは、Protan(1型色覚)、Duetan(2型色覚)、又はTritan(3型色覚)等、色覚の種類に応じて位置が異なり、これに伴い、混同色線Lも異なるものとなる。
そこで、各色覚の種類に応じた混同色線Lに基づいた色差ΔE
nをキャラクターパッチ42に設定し、CVDテストを行うことで、CVDを有するユーザのCVD型を判定することができる。
【0044】
この判定方法としては、例えば、各CVD型(Protan,Deutan,Tritan)毎に、被験者が視認できなくなる最大色差を求め、そのうち最大の値をとる型、すなわち最も識別がし難い型を被験者のCVD型とする方法がある。実際はCVDの被験者群と非CVDの被験者群とから得られた、各型のCVD/非CVD臨界点を基に、その距離からの乖離をCVD度合いにすることで、より判定は緻密に行なわれる。一例としてロジスティック回帰を用いた、各CVD型毎のCVD度合いを確率値として求め、その確率値を比較する方法等がある。
【0045】
このように、本実施形態に係るCVDテストは、キャラクターパッチ42の色が複数の背景パッチ43の色とペアとなって混同色線L上で変化するため、同時に複数の色に対する色覚を判定することとなるので、この判定に要する時間を短縮できる。
より具体的には、本実施形態に係るCVDテストでは、隣接する背景パッチ43は各々異なる色であるため、背景パッチ43とキャラクターパッチ42とでペアとなる色の境界(
図4の一点鎖線で示される境界)が複数存在することとなる。CVDのないユーザは、この複数の境界(異なるペア)を区別できる一方、CVDのあるユーザは、複数の境界の何れも区別できない。このため、本実施形態に係るCVDテストは、複数の色に対するCVDを一つのキャラクターパッチ42で同時に検査することとなり、色覚の判定に要する時間を短縮できる。
【0046】
また、本実施形態に係るCVDテストを行う被験者であるユーザは、背景41上を移動するキャラクターパッチ42を見つけ出してクリックすることでCVDテストを受ける。このため、ユーザは、ゲーム感覚でCVDテストを行い、CVDテストという意識が薄らぐため、心理的負担が軽減する。
【0047】
さらに、本実施形態に係るノートPC1は、CVDテストによる判定結果に基づいて、タッチパネルディスプレイ7の色域調整を行う色域調整機能を有する。
【0048】
図6は、本実施形態に係るノートPC1におけるCVDテスト機能及び色域調整機能に関する機能ブロック図である。なお、各機能は、ノートPC1に予めインストールされたプログラムによって実行される。
【0049】
CPU20は、画像表示部52、CVD判定部54、及び判定結果表示部56を備える。グラフィクスアダプタ24は、コンフュージョンシフト部58、及び色域調整部60を備える。
【0050】
画像表示部52は、グラフィクスアダプタ24を介して、複数色からなる背景41と判定対象であるキャラクターパッチ42をタッチパネルディスプレイ7(LCD23)に表示させる。本実施形態に係る画像表示部52は、キャラクターパッチ42を画面上で移動させる。なお、移動するキャラクターパッチ42の色変換は、コンフュージョンシフト部58で行われる。
【0051】
CVD判定部54は、キャラクターパッチ42に対するユーザの視認結果に基づいて、ユーザの色覚を判定する。
【0052】
判定結果表示部56は、グラフィクスアダプタ24を介して、CVD判定部54による判定結果をタッチパネルディスプレイ7に表示させる。
【0053】
コンフュージョンシフト部58は、キャラクターパッチ42に対する、重なり合う背景パッチ43の色に対応した混同色線L上での色変換(コンフュージョンシフト)を行う。
この色変換は、キャラクターパッチ42に対してピクセル単位で行われる。このため、移動するキャラクターパッチ42をリアルタイムで色変換するには、高い処理能力が求められるため、コンフュージョンシフト部58はグラフィクスアダプタ24に設けられている。
【0054】
色域調整部60は、CVD判定部54による判定結果に基づいて、タッチパネルディスプレイ7の色域調整を行う。
【0055】
次に、
図7を参照してCVDテスト処理、
図8を参照してキャラクターパッチ色変換処理について説明する。CVDテスト処理はCPU20で実行され、キャラクターパッチ色変換処理はグラフィクスアダプタ24で実行される。
【0056】
CVDテストの開始指示が入力されると、ステップ100では、背景41をタッチパネルディスプレイ7に表示する。
【0057】
次のステップ102では、背景41に重なるキャラクターパッチ42をタッチパネルディスプレイ7の所定位置(例えば左端)に表示する。キャラクターパッチ42には、色差ΔE
nが予め設定されている。
【0058】
ここで、表示されるキャラクターパッチ42は、
図8に示されるキャラクターパッチ色変換処理によって色変換が行われる。
【0059】
まず、ステップ200では、キャラクターパッチ42と重なり合う背景パッチ43の色を読み出す。
次のステップ202では、キャラクターパッチ42に設定されている色差ΔE
nに基づいて、混同色線L上で変換する色をピクセル単位で決定する。
次のステップ204では、ステップ202で決定されたピクセル単位の色でキャラクターパッチ42をレンダリングする。
【0060】
このようにして、色変換がされたキャラクターパッチ42がステップ102で表示される。
【0061】
次のステップ104では、キャラクターパッチ42を所定の方向(一例として右方向)へ移動させる。なお、キャラクターパッチ42は、移動する毎にキャラクターパッチ色変換処理によって色変換が行われる。
【0062】
次のステップ106では、ユーザがキャラクターパッチ42を視認したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ110へ移行する一方、否定判定の場合はステップ108へ移行する。なお、ユーザがキャラクターパッチ42を視認、すなわち、キャラクターパッチ42をクリックすると、クリックされたキャラクターパッチ42は画面上から消える。
【0063】
ステップ108では、キャラクターパッチ42が所定位置(一例として画面右端)に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ110へ移行し、否定判定の場合はステップ104へ戻る。なお、ユーザに視認されることなく所定位置に到達したキャラクターパッチ42は、画面上から消える。
【0064】
ステップ110では、視認したキャラクターパッチ42又は視認できなかったキャラクターパッチ42に設定された色差ΔE
nをメモリ22に記憶する。
【0065】
次のステップ112では、CVDテストの終了条件を満たしたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ114へ移行し、否定判定の場合はステップ102へ戻る。終了条件は、例えば、予め定められた複数種類の色差ΔE
n全てをキャラクターパッチ42に設定し、このキャラクターパッチ42が全てユーザによって視認又は所定位置に到達することや、ユーザが最小の色差ΔE
nのキャラクターパッチ42を全て視認することである。
【0066】
ステップ114では、ユーザの色覚を判定する。
具体的には、視認された又は視認されなかったキャラクターパッチ42に設定された色差ΔE
nの情報を用いて判定が行われる。
【0067】
最小の色差ΔE
nのキャラクターパッチ42を視認したユーザは、CVDを有さないと判定される。
【0068】
一方、視認できなかったキャラクターパッチ42が有るユーザに対しては、視認できなかったキャラクターパッチ42に設定された色差ΔE
nに基づいて、CVDの度合いが判定される。
例えば、Protan(1型色覚)に応じた混同色線Lに基づいた色差ΔE
nが設定されたキャラクターパッチ42を視認できなかったユーザは、1型色覚であり、設定されていた色差ΔE
nの大きさに応じてCVDの度合いが判定される。
また、Duetan(2型色覚)に応じた混同色線Lに基づいた色差ΔE
nが設定されたキャラクターパッチ42を視認できなかったユーザは、2型色覚であり、設定されていた色差ΔE
nの大きさに応じてCVDの度合いが判定される。
また、Tritan(3型色覚)に応じた混同色線Lに基づいた色差ΔE
nが設定されたキャラクターパッチ42を視認できなかったユーザは、3型色覚であり、設定されていた色差ΔE
nの大きさに応じてCVDの度合いが判定される。
【0069】
次のステップ116では、CVDの判定結果をタッチパネルディスプレイ7に表示した後に、CVDテストを終了する。
【0070】
次に、色覚の判定結果に基づいたタッチパネルディスプレイ7の色域調整について説明する。
【0071】
CVDテストによって、ユーザにCVDがあると判定された場合、色域調整部60は、ユーザの色覚に応じて、タッチパネルディスプレイ7(LCD23)の色域を伸張する調整を行う。一方、ユーザにCVDがないと判定された場合、色域調整部60は、色域の調整は行わない。
【0072】
色域調整としては、赤(R)、緑(G)、青(B)の頂点座標を有する三角形で表される色空間において、ユーザの色覚に応じてLCD23で表現する色空間を伸張する。
例えば、赤と緑の両方にユーザのCVDがある場合、色域調整部60は、
図9に示されるように、CVDがないユーザに対応して使用している色空間62Aからより広い色域を有する色空間62Bへ伸張することで、LCD23の色域を調整する。
なお、色空間62Aの規格はsRGBであり、色域調整後の色空間62Bの規格はAdobe RGBである。このように、色空間を伸張するために規格を変更することは一例であり、色域調整は、混同色線L上の色域を広げ、CVDと判定されたユーザが色をより判別可能となるのであれば、色空間の回転等、他の色域調整が行われてもよい。
【0073】
また、色域調整部60は、判定されたユーザのCVDの度合いに応じて自動的に色域調整を行うが、これに限らず、ユーザ自らが色域調整を行うためのスライドバーを画面に表示し、ユーザによるスライドバーの操作量に応じて色域調整が行われてもよい。
このスライドバーは、例えば、色域の調整可能な範囲を示すバー、及びバーに沿って移動するつまみを有する。そして、このつまみをユーザが操作することで色域の調整が可能とされている。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るノートPC1は、複数色からなる背景41と、背景41の色に対応する混同色線L上で色が変化するキャラクターパッチ42を、タッチパネルディスプレイ7に表示する。そして、ノートPC1は、背景41とキャラクターパッチ42に対するユーザの視認結果に基づいて、ユーザの色覚を判定する。
従って、ノートPC1によるCVDテストは、色覚の判定に要する時間を短縮し、かつ被験者の心理的負担を軽減できる。さらに、本実施形態に係るCVDテストは、被験者にゲーム性を用いた容易かつ楽しい体験を提供することで、色覚異常による不愉快さを軽減させる。
【0075】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0076】
例えば、上記実施形態では、情報処理装置をノートPC1とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、情報処理装置は、デスクトップPC、タブレットPC、携帯電話、及びスマートフォン等、他の情報処理装置であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、背景41とキャラクターパッチ42とを2D(2次元)画像として表示しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、背景41とキャラクターパッチ42とを3D(3次元)画像として表示してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、背景41は移動せずにキャラクターパッチ42が画面上を移動する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、キャラクターパッチ42と共に背景41も画面上を移動する形態としてもよい。
この形態としては、例えば、背景41が背景パッチ43の配列の規則性を保ちながら、画面上を上方向から下方向へ移動する。または、背景パッチ43の輪郭が曲線とされ、背景41が波状に移動してもよい。
【0079】
背景41の色は、
図3のような背景パッチ43が固定して表示された縞模様であってもよいし、
図10,11のように、背景パッチ43のようなものはなく、背景41の縞模様が縞模様の形状を変化させながら動いてもよい。
図10,11の例では、背景41が
図10から
図11、
図11から
図10のように動くと共に、キャラクターパッチ42も移動する。
【0080】
また、背景41は、縞模様に限らず、複数色からなるものであれば、1枚の模様付の写真等であってもよく、等Saturationや等Brightnessの背景が用いられてもよい。
これらのいずれの模様の場合にも、例えば、F−M100 CVD test(Farnsworth Munsell 100 hue color vision test)等の既存の検査方法やその他の検査方法で採用されている色を用いる。
【0081】
また、上記実施形態では、背景41とキャラクターパッチ42とが相対的に移動する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、背景41及びキャラクターパッチ42の何れもが移動しない形態としてもよい。
この形態としては、例えば、キャラクターパッチ42が画面上のランダムな位置への表示、及び所定時間経過後(例えば10秒後)の消失を繰り返す。ユーザは、キャラクターパッチ42が表示されている間に視認すると、キャラクターパッチ42へカーソルを移動させてクリックする。
【0082】
また、上記実施形態では、キャラクターパッチ42へカーソルを移動させてクリックすることで、ユーザが視認したと判定する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の手法によってキャラクターパッチ42に対するユーザの視認判定を行う形態としてもよい。
この形態としては、例えば、人の眼球の動きを検出するアイトラッカーを用いてキャラクターパッチ42に対するユーザの視認判定を行う。
【0083】
また、上記実施形態で説明したCVDテスト処理及びキャラクターパッチ色変換処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、キャラクターパッチ色変換処理をグラフィクスアダプタ24で実行する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、CPU20がキャラクターパッチ色変換処理を実行する形態としてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、CVDテスト処理及びキャラクターパッチ色変換処理をノートPC1で実行する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ノートPC1と通信可能なサーバがCVDテスト処理及びキャラクターパッチ色変換処理を実行する形態としてもよい。
この形態の場合、ノートPC1はサーバが色変換したキャラクターパッチ42を画面上に表示させ、キャラクターパッチ42に対するユーザの視認結果をサーバに送信する。そして、サーバがユーザの視認結果に基づいてユーザの色覚を判定し、この判定結果をノートPC1へ送信する。
態様に係るプログラムは、画像を表示する画像表示装置を備えた情報処理装置が備えるコンピュータを、複数色からなる背景と、前記背景の色に対応する混同色線上で色が変化する判定対象とを、前記画像表示装置に表示させる画像表示手段と、前記背景と前記判定対象に対するユーザの視認結果に基づいて、ユーザの色覚を判定する判定手段と、して機能させる。