特開2017-196310(P2017-196310A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-196310(P2017-196310A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20171006BHJP
【FI】
   A63F7/02 315Z
   A63F7/02 316B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-91681(P2016-91681)
(22)【出願日】2016年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 純一
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088AA33
2C088EB24
(57)【要約】
【課題】遊技の単調化を抑制し、遊技者の遊技への注目度を高くできる遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、小当たり当選に応じて玉が入賞できない第1状態から玉が入賞可能な第2状態に切り替わる大入賞部16、及び第2始動入賞部12に玉を誘導することで大入賞部16への玉の入賞を抑制する誘導状態と、第2始動入賞部12に玉を誘導しない非誘導状態と、に切り替わる電動チューリップ122を備え、電動チューリップ122は、第1確変状態下の確変昇格抽選に応じて発生する第2確変状態よりも第1確変状態において高頻度で誘導状態に切り替わる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域を流下した玉が入賞可能な入賞部と、
玉が前記入賞部に入賞した場合に予め定められた特別抽選を実行する抽選手段と、
予め定められた図柄を変動表示した後に前記特別抽選の結果に対応した図柄を停止表示する図柄変動手段と、
前記特別抽選の結果が第1抽選結果であった場合に、玉が入賞できない第1状態から玉が入賞可能な第2状態に切り替わる特別入賞部と、
前記特別入賞部に玉が入賞した場合に遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
予め定められた発生条件が成立した場合に遊技者に有利な第1特別遊技状態を発生させると共に、当該第1特別遊技状態において前記特別抽選の結果が第2抽選結果であった場合に、当該第1特別遊技状態を終了して、前記第1特別遊技状態よりも遊技者に有利な第2特別遊技状態を発生させる遊技状態発生手段と、
前記入賞部及び前記特別入賞部よりも前記遊技領域の上流側に設けられ、前記入賞部に玉を誘導することで前記特別入賞部への玉の入賞を抑制する誘導状態と、当該誘導状態よりも前記入賞部に玉を誘導しにくい、又は前記入賞部に玉を誘導しない非誘導状態と、に切り替わり可能であり、前記第2特別遊技状態よりも前記第1特別遊技状態において高頻度で前記誘導状態に切り替わる誘導手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記入賞部及び前記特別入賞部は、当該入賞部が上側に設けられた状態で上下に並んでおり、
前記誘導手段は、前記誘導状態に切り替わっている場合、前記特別入賞部の上流側の玉流路を遮蔽しつつ前記入賞部に玉を誘導することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記抽選手段は、前記第1特別遊技状態と前記第2特別遊技状態とで、前記特別抽選の結果が前記第1抽選結果になる期待度を同一にしていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技状態発生手段は、前記第1特別遊技状態を発生させてから前記図柄変動手段が予め定められた回数の図柄の変動表示を実行した場合に、当該第1特別遊技状態、又は当該第1特別遊技状態において前記特別抽選の結果が前記第2抽選結果であったことに基づいて発生させた前記第2特別遊技状態を終了させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記特別抽選の結果が第3抽選結果であった場合に、前記第1特別遊技状態及び前記第2特別遊技状態とは異なった遊技状態であり、遊技者に有利な遊技状態である大当たり状態を発生させる大当たり状態発生手段を備え、
前記遊技状態発生手段は、前記第1特別遊技状態及び前記第2特別遊技状態のいずれかにおいて前記大当たり状態が発生した場合、当該大当たり状態の終了の後に前記第1特別遊技状態を新たに発生させることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置されたパチンコ遊技機では、玉が大入賞部に入賞した場合に複数の玉を遊技者に付与している。大入賞部には大当たり状態において玉が入賞可能であり、大当たり状態は、所定の態様で大入賞部が開放する1回のラウンドを所定回数繰り返すことで終了する。そして、大当たり状態が終了した後には大当たり当選の確率が高くなる確変状態が発生する。
【0003】
また、遊技機によっては、大当たり状態とは別に小当たり状態が発生する。小当たり状態においては少量の玉を大入賞部に入賞させることが可能であり、大当たり状態が発生していない場合に遊技者に付与する玉数を増加させている(例えば下記の特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−083290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の遊技機では、小当たり状態の発生によって得られる玉数の期待度が一定になっていた。このため、遊技に慣れてくると単に玉を発射するだけの遊技になってしまい、遊技が単調化して遊技者の遊技への注目度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、遊技の単調化を抑制し、遊技者の遊技への注目度を高くできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遊技機は、入賞部に玉を誘導することで特別入賞部への玉の入賞を抑制する誘導状態と、誘導状態よりも入賞部に玉を誘導しにくい、又は入賞部に玉を誘導しない非誘導状態と、に切り替わり可能な誘導手段を備えている。この誘導手段は、第2特別遊技状態よりも第1特別遊技状態において高頻度で誘導状態に切り替わる。
【0008】
第1特別遊技状態では誘導手段が入賞部に玉を誘導するため、特別入賞部に玉が入賞しにくい。一方、第2特別遊技状態では、第1特別遊技状態よりも誘導状態になりにくいため、第1特別遊技状態よりも特別入賞部に玉を入賞させることができる。このため、特別入賞部への入賞を望む遊技者は、第1特別遊技状態において早く第2抽選結果になり第2特別遊技状態が発生することを期待して遊技を行う。つまり、本発明の遊技機によれば、第2特別遊技状態の発生タイミングに不規則性を持たせることで、遊技者に第1特別遊技状態において第2抽選結果になるか否かに注目させることができる。
【0009】
さらに、第2特別遊技状態においては、第1抽選結果になり誘導手段が非誘導状態に切り替わり特別入賞部に玉が入賞するか否かに遊技者が注目して遊技を行う。
以上のように本発明の構成によれば、従来にない遊技者に注目させる項目を設けることができ、遊技の単調化を抑制して遊技者の遊技への注目度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】パチンコ遊技機の正面図。
図2】非誘導状態の電動チューリップを示す説明図。
図3】誘導状態の電動チューリップを示す説明図。
図4】パチンコ遊技機の電気的な構成を示すブロック図。
図5】遊技状態の遷移を表す状態遷移図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、大当たり状態のほか、小当たり状態を発生させるパチンコ遊技機(遊技機)1に関する例である。この内容について、図1図5を用いて説明する。
【0012】
図1のパチンコ遊技機1は、遊技領域130を流下した玉が入賞可能な第1始動入賞部11及び第2始動入賞部12(入賞部に対応)に玉が入賞したとき、予め定められた特別抽選の一例である特図判定を実行し、予め定められた図柄を変動表示した後に特図判定結果に対応した図柄を停止表示させるセブン機である。このパチンコ遊技機1は、特図判定結果が特図当選(第3抽選結果)であったとき、遊技者に有利な大当たり状態が発生し玉が入賞できない閉鎖状態(第1状態)から玉が入賞可能な開放状態(第2状態)に切り替わる特別入賞部の一例をなす大入賞部16を備えている。
【0013】
このパチンコ遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、特図判定の当選確率が高く遊技者に有利な高確率状態(確変状態)が設定されている。確変状態としては、第1特別遊技状態の一例をなす第1確変状態と、第1確変状態よりもさらに有利な第2特別遊技状態の一例をなす第2確変状態と、が設定されている。大当り状態の終了という予め定められた発生条件が成立したときに第1確変状態が発生し、この第1確変状態における特図判定結果が確変昇格当選(第2抽選結果)であった場合に、第1確変状態が終了して第2確変状態が発生する。
【0014】
図1のパチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤の表面側に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の右側下部にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れて玉を貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135の収容限度を超える玉等を受け入れる受け皿である。上皿135の右下には、上皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
【0015】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
【0016】
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する表示装置19を中心として、第1及び第2始動入賞部11・12、スルーゲート141、特別入賞部の一例をなす大入賞部16等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。第1始動入賞部11は、表示装置19の下側に配置されている。表示装置19の向かって右側に配置されたスルーゲート141、第2始動入賞部12、及び大入賞部16は、遊技領域130の上流側から下流側に向かってこの順番で配置されている。
【0017】
第1及び第2始動入賞部11・12は、特別抽選の一例をなす特図判定の契機となる入賞部である。始動入賞部11、12に玉が入賞すると、特図判定の抽選用乱数が抽出され大当たり状態を発生させるか否かの特別抽選である特図判定が実行される。なお、第1始動入賞部11への玉の入賞に応じた玉の払出数は3個、第2始動入賞部12への玉の入賞に応じた玉の払出数は1個となっている。
【0018】
第1始動入賞部11は、入賞率が変動しないへそタイプの入賞部である。一方、第2始動入賞部12は、入賞率が変動する可変入賞部である。第2始動入賞部12の上流側には、一対の可動羽根121を備える電動チューリップ122(誘導手段)が設けられている。
【0019】
大入賞部16は、大当たり状態下で開放状態となるアタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。横長の大入賞部16には、開閉可能な蓋部材161が設けられている。大入賞部16は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置したとき、閉鎖状態(第1状態)となる。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞部16が開放状態(第2状態)となり、大入賞部16に玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。なお、大入賞部16に入賞したときの払出は15玉となっている。
【0020】
第2始動入賞部12に設けられた電動チューリップ122は、第2始動入賞部12及び大入賞部16よりも遊技領域130の上流側に設けられている。誘導手段としての電動チューリップ122は、第2始動入賞部12に玉を誘導することで大入賞部16への玉の入賞を抑制する誘導状態と、第2始動入賞部12に玉を誘導しない非誘導状態と、に切り替わり可能に構成されている。
【0021】
電動チューリップ122は、第2始動入賞部12の上流側に配置された釘や役物等との組み合わせにより上記の誘導状態や非誘導状態を実現している。
図2のごとく、電動チューリップ122を構成する一対の可動羽根121が閉じて対面する隙間の真上には、この隙間への経路を塞ぐ阻害釘123が配置されている。一対の可動羽根121が閉じた状態の電動チューリップ122や阻害釘123により、第2始動入賞部12への玉の流入経路が封鎖されて上記の非誘導状態が実現されている。
【0022】
第2始動入賞部12の上流側には、第2始動入賞部12に向けて玉を集めるガイド釘125が末窄まりのラッパ状に配置されている。具体的には、第2始動入賞部12の上流の遊技領域においてガイド釘125が上下に並んで複数配置されており、下側のガイド釘125の方が第2始動入賞部12からの左右方向の距離が近くなるように配置されている。さらに、向かって左側のガイド釘125のうち最も第2始動入賞部12に近い下流側のガイド釘125の下側には、樹脂製の遊技機前後方向に延びる柱状(円柱状)の特別役物127が遊技盤の裏側からネジ固定されて立設されている。この特別役物127は、玉の流下方向に影響を与え、大入賞部16に玉を流下させるように作用する一方、ガイド釘125の下側に配置されていることで玉が接触する頻度が抑制され、変形のおそれが少なくなっている。具体的には、特別役物127と、当該特別役物127の上方のガイド釘125との隙間が玉1個分以下になっていることで特別役物127に玉が過度に接触することを抑制している。
【0023】
図3のごとく、電動チューリップ122の一対の可動羽根121が外側に開くと、向かって左側の可動羽根121が柱状の特別役物127に接触して第2始動入賞部12の左側を流下して大入賞部16に入賞する経路が封鎖される。このように大入賞部16の上流側の玉流路が遮蔽されると、ラッパ状のガイド釘125によって集められた玉のほとんどが開いた電動チューリップ122により誘導されて第2始動入賞部12に入賞する。
【0024】
このように一対の可動羽根121が開いた状態の電動チューリップ122やガイド釘125や特別役物127により、第2始動入賞部12に玉が誘導され、これにより大入賞部16への玉の入賞が抑制される誘導状態が実現される。つまり、誘導手段の一例をなす電動チューリップ122は、誘導状態に切り替わっている場合、大入賞部16の上流側の玉流路を遮蔽しつつ第2始動入賞部12に玉を誘導する。
【0025】
スルーゲート141は、玉を通過させるのみで賞球の払い出しが設定されていない役物である。スルーゲート141を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出されて普図判定が実行される。
【0026】
図1の表示装置19は、枠199の内側に液晶表示部190が配置された表示装置である。図柄変動手段の一例をなす液晶表示部190は、特図判定の結果を報知するための演出用の3桁の数字図柄(1〜9のいずれか)を液晶表示部190に表示する。
【0027】
液晶表示部190の下側に当たる枠199の前面には、4個のLEDが水平方向に配列された特図保留表示部195が配置されている。特図保留表示部195は、第1及び第2始動入賞部11・12への玉の入賞を契機とした特図保留(保留情報)の表示部である。特図保留表示部195としては、第1始動入賞部11への入賞に由来する第1特図保留を表示する向かって左側の第1特図保留表示部195Aと、第2始動入賞部12への入賞に由来する第2特図保留を表示する第2特図保留表示部195Bと、がある。第1及び第2特図保留表示部195A・Bは、それぞれ、LEDの点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0028】
液晶表示部190の上側に当たる枠199の前面には、普図表示部181及び普図保留表示部182が配置されている。普図表示部181は、上記の普図判定の当否の表示部である。普図表示部181は、○の点灯により普図判定の当選(普図当選)を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30〜60秒、確変状態で1秒となっている。普図保留表示部182は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLEDが連設された表示部である。普図保留表示部182は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0029】
普図判定による普図当選が表示されると、第2始動入賞部12の真上に設けられた電動チューリップ122が開放動作を実行する。開放時間は、通常状態及び第2確変状態では1秒×3回で1秒おきの開閉動作の3回繰り返しの通算3秒となっている一方、第1確変状態では6秒間となっている。上記のように電動チューリップ122が開くと誘導状態となるため、第2確変状態よりも第1確変状態において高頻度で誘導状態に切り替わることになる。
【0030】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、図4を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、玉を払い出す払出装置331を制御する払出制御回路33、玉の発射装置341を制御する発射制御回路34、遊技演出を制御する演出制御部35、液晶表示部190を制御する表示制御回路36、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311、312、314、315、電動チューリップ122や大入賞部16などの開放状態等を切り替えるソレノイド321、324、普図表示部181、普図保留表示部182、特図保留表示部195、外部に各種信号を出力する信号出力部392、電源回路391等が電気的に接続されている。また、演出制御部35には、スピーカ131を駆動するアンプ351や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、表示制御回路36が通信可能に接続されている。表示制御回路36には、液晶表示部190が電気的に接続されている。
【0031】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、第1始動入賞部11への入賞玉を検出する第1特図始動センサ311、第2始動入賞部12への入賞玉を検出する第2特図始動センサ312、スルーゲート141の通過玉を検出する普図始動センサ314、大入賞部16への入賞玉を検出する大入賞センサ315等がある。
開放状態を切り替えるソレノイドとしては、電動チューリップ122を開放させる電チューソレノイド321、大入賞部16を開放させる大入賞部ソレノイド324がある。
【0032】
払出制御回路33は、始動入賞部11・12、大入賞部16への玉の入賞が発生したとき、払出装置331を制御し、所定数の玉の払出を実行する。特典付与手段としての払出装置331は、特別入賞部の一例をなす大入賞部16に玉が入賞した場合に玉の払出(払出数15個)という特典を遊技者に付与する。
発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作量に応じて、上皿135の玉を発射する発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0033】
図4の主回路20は、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0034】
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない特図判定用の抽選テーブル、及び普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
特図判定用の抽選テーブルとしては、第1始動入賞部11での入賞時に適用される特図判定用の第1抽選テーブルと、第2始動入賞部12での入賞時に適用される特図判定用の第2抽選テーブルと、がある。
【0035】
特図判定用の第1抽選テーブルでは、通常状態での特図当選(第3抽選結果)の当選乱数、及び確変状態での特図当選の当選乱数のほか、確変昇格当選(第2抽選結果)の当選乱数が規定されている。特図判定用の第2抽選テーブルでは、通常状態での特図当選(第3抽選結果)の当選乱数、確変状態での特図当選の当選乱数、及び確変昇格当選(第2抽選結果)の当選乱数に加えて、小当たり当選(第1抽選結果)の当選乱数が規定されている。
【0036】
特図判定用の第1及び第2抽選テーブルでは、特図当選の当選乱数の仕様が同じになっている。これらの抽選テーブルでは、確変状態での特図当選の当選乱数の数の方が、通常状態での特図当選の当選乱数よりも多く設定され、これにより、通常状態下の当選確率1/320に対して確変状態下の当選確率が1/150という高確率になっている。なお、特図当選時に確変状態が発生する確変割合は100%となっている。
【0037】
特図判定用の抽選テーブルでは、確変状態での特図判定のハズレ乱数のうちの一部が確変昇格の当選乱数となっている。第1確変状態下で確変昇格当選が発生すると、第1確変状態の終了に応じて第2確変状態が発生する。なお、確変昇格の当選確率は、1/100となっている。
【0038】
特図判定用の第2抽選テーブルでは、さらに、小当たり当選の当選乱数が規定されている。小当たり当選の当選乱数は、確変状態下の当選乱数のみが規定され、通常状態については規定されていない。確変状態下の第2始動入賞部12の入賞に応じた小当たり当選の当選確率は、第1確変状態であるか第2確変状態であるかに関わらず1/1.1となっている。つまり、特図判定結果が第1抽選結果の一例をなす小当たり当選となる期待度は、第1確変状態と第2確変状態とで同一になっている。
【0039】
普図判定用の抽選テーブルでは、通常状態での普図当選の当選乱数と、確変状態での普図当選乱数の当選乱数と、が規定されている。通常状態での普図当選の当選乱数の数よりも、確変状態での普図当選の当選乱数の方が多く設定され、通常状態での普図当選1/10に対して、確変状態での普図当選の当選確率が1/1.01となっている。
【0040】
RAM24は、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、特図保留エリア241、普図保留エリア243、及び各1データ分の特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。RAM24は、始動入賞部12への始動入賞に応じた特図判定の結果を記憶する後述の記憶手段としての機能を実現している。
【0041】
特図保留エリア241は、特図判定の結果を表す保留乱数である特図保留の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定の結果を表す保留乱数である4データ分の普図保留の記憶領域である。特図保留エリア241には、第1始動入賞部11に対応する第1特図保留の4データ分の保留エリアと、第2始動入賞部12に対応する第2特図保留の4データ分の保留エリアと、が設けられている。
【0042】
主回路20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各機能を実現している。
(1)抽選手段:第1及び第2始動入賞部11・12への玉の入賞に応じた特図判定(特別抽選)、スルーゲート141での玉の通過に応じた普図判定等の抽選を実行する手段。抽選手段は、対応する抽選用乱数を抽出することで特図判定や普図判定を実行する。
(2)記憶手段:抽選手段による抽選結果である特図判定用の抽選用乱数を保留乱数(特図保留)として特図保留エリア241に記憶させる手段。第1始動入賞部11への始動入賞に応じた第1特図保留、第2始動入賞部12への始動入賞に応じた第2特図保留は、それぞれ、上限数である4データを限度として保留される。なお、上限である4データ分の保留乱数が保留された状態で対応する抽選用乱数が新たに抽出された場合、その抽選用乱数は保留されることなくそのまま消去される。このような抽選用乱数の保留処理は、普図判定についても同様である。
(3)読出手段:特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数を、特図読出エリア245あるいは普図読出エリア246に読み出す手段。読出手段は、特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数である特図保留あるいは普図保留を1つずつ読み出し、保留数を減少させる。なお、特図保留エリア241における第1特図保留及び第2特図保留については、第1特図保留に対して第2特図保留が優先され、第1特図保留の読み出しは、図柄変動が停止していると共に第2特図保留が無いときに限られる。
(4)大当たり状態発生手段:特図判定結果が特図当選(大当たり当選、第3抽選結果)であった場合に、上記の第1確変状態及び第2確変状態とは異なった遊技状態であり、遊技者に有利な遊技状態である大当たり状態を発生させる手段。
(5)遊技状態発生手段:第1確変状態、第2確変状態を発生させる手段。遊技状態発生手段は、大当たり状態の終了に応じて第1確変状態を発生させ、この第1確変状態下で確変昇格当選(第2抽選結果)が発生したとき、第1確変状態を終了させて第2確変状態を発生させる。
【0043】
次に、パチンコ遊技機1の遊技における遊技状態の遷移を表す状態遷移図(図5)を参照しながらパチンコ遊技機1の動作内容を説明する。
パチンコ遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、第2始動入賞部12等が配置された遊技領域130を流下する。第2始動入賞部12や大入賞部16等に入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
【0044】
主回路20は、スルーゲート141を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選を実行する。主回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブル(図示略)と照合し、普図判定の当否を決定する。普図判定に当選したとき、主回路20は、普図表示部181を構成するLEDの点滅動作(普図変動)の後、○印を点灯させる。ハズレの場合には、点滅動作の後、×印を点灯させる。普図当選の場合には、主回路20は、第2始動入賞部12の上流側に配設された一対の可動羽根121を外側に回動させて電動チューリップ122を開放させ、これにより、第2始動入賞部12の入賞率を高くする。なお、通常状態における電動チューリップ122の開放動作は、1秒間の開放動作を3回繰り返す動作である。
【0045】
第2始動入賞部12に玉が流入して第2始動入賞が発生した場合には、主回路20は、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで特図判定を実行する。主回路20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を第2特図保留として最大4つまで記憶する。第2特図保留の個数は、第2特図保留表示部195Bを構成するLEDの点灯個数により表示される。
【0046】
第2始動入賞部12の真上には上記のように阻害釘123が立設されており、一対の可動羽根121が対面するように閉じた電動チューリップ122の閉鎖状態では、第2始動入賞部12に至る経路が封鎖されて玉が入賞できないようになっている。第2始動入賞部12への入賞は、普図当選に応じて電動チューリップ122が開放状態になった場合にのみ発生する。
【0047】
一方、入賞率が変動しないへそタイプの第1始動入賞部11については、遊技領域130を流下する玉がいつでも入賞する可能性がある。第1始動入賞部11に玉が流入して第1始動入賞が発生すると、上記の第2始動入賞の場合と同様、主回路20が特図判定用の抽選用乱数を抽出し特図判定を実行する。主回路20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を第1特図保留として最大4つまで記憶する。第1特図保留の個数は、第1特図保留表示部195Aを構成するLEDの点灯個数により表示される。
【0048】
主回路20は、液晶表示部190による図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態の発生中でもないとき、特図保留エリア241に記憶された特図保留の読み出しを実行する。第1始動入賞部11への入賞に由来する第1特図保留よりも、第2始動入賞部12への入賞に由来する第2特図保留を優先し、記憶時点(入賞時点)が古いものから順番に1つずつ読み出す。第1特図保留については、第2特図保留が記憶されていないときに限って読み出しを実行する。主回路20は、読み出した特図保留を図示しない特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否を判定する。第1特図保留については、特図判定用の第1抽選テーブルと照合し、第2特図保留については、特図判定用の第2抽選テーブルと照合する。
【0049】
主回路20が特図判定の当否を判定したとき、液晶表示部190は、演出用の数字図柄を所定時間に亘って変動表示した後、左→右→中の順番で停止させて表示された3桁の数字図柄の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。特図判定の当否としては、大当たり状態の契機となる特図当選(大当たり状態を発生させる旨の第3抽選結果、大当たり当選)のほか、ハズレがある。
【0050】
特図当選の場合には、所定の図柄変動時間(図柄変動の実行時間)に亘る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字図柄の組み合わせである大当たり図柄が停止表示される。奇数図柄のゾロ目が15R大当たり状態の契機となる大当たり図柄であり、偶数図柄のゾロ目が5R大当たり状態の契機となる大当たり図柄である。
【0051】
大当たり図柄の停止表示によって特図当選が報知されると、まず、15秒間に亘ってオープニング演出が実行されて大当たり状態が開始され、通常状態から大当たり状態に遷移する(図5参照。)。なお、主回路20は、大当たり状態の発生中に、その旨を表す大当たり信号を出力する。
【0052】
大当たり状態では、大入賞部16が開放状態となって玉が入賞可能になるラウンドが繰り返し実行される。1回のラウンドは、大入賞部16に玉が10個入賞するか、30秒経過したときに終了する。上記のラウンドが15回繰り返し実行される15R大当たり状態の場合、出玉(差玉)が約1500玉となる。ラウンドの繰り返しが5回の5R大当り状態の出玉は約500玉となっている。
【0053】
15R大当たり状態であるか5R大当たり状態であるかによらず、大当たり状態の終了後には、特図当選の確率が高くなる確変状態が発生する。図5のように大当たり状態から移行する確変状態は第1確変状態である一方、この第1確変状態下の特図判定で、当選確率1/100の確変昇格当選が発生すれば、有利度合いの高い第2確変状態に移行できる。なお、第2確変状態に移行できた場合、再度、第1確変状態に戻ることはない。特図当選に応じて大当たり状態に移行するか、規定回数の図柄変動の消化に応じて通常状態に戻るのみである。
【0054】
第1確変状態であるか第2確変状態であるかに関わらず確変状態の発生中に特図当選が発生すると、大当たり状態が再度、発生する。そして、この大当たり状態の終了後には、第1特別遊技状態が新たに発生する。
一方、確変状態の発生中に特図当選が発生しなかった場合、第2確変状態に移行したか、第1確変状態のままかに関わらず、大当たり状態の終了に応じて第1確変状態が発生してから200回の図柄変動に応じて終了する。200回の図柄変動に応じて確変状態が終了すると、通常状態に移行する。つまり、大当たり状態の終了に応じて第1確変状態が発生してから予め定められた200回の図柄の変動表示が実行された場合に、この第1特別遊技状態、あるいはこの第1特別遊技状態下の確変昇格当選(第2抽選結果)に由来する第2確変状態が終了する。
【0055】
確変状態の発生中では、第1確変状態であるか第2確変状態であるかに関わらず、スルーゲート141での玉の通過を契機とした普図当選の確率が1/1.01と高確率に設定され、スルーゲート141を玉が通過すると、ほぼ必ず普図当選に応じて電動チューリップ122が開いて上記の誘導状態となる。電動チューリップ122が開くと特別役物127に接触し、大入賞部16側に玉が流下する確率が低下する。
【0056】
さらに、第2始動入賞部12への玉の入賞を契機とした特図判定においては、小当たり当選(当選確率1/1.1)が高頻度で発生する。特図判定により小当たり当選(第1抽選結果)であった場合、同じ図柄を含まない奇数の数字図柄の組み合わせにより当選が報知され、大入賞部16が2秒間に亘って、玉が入賞できない閉鎖状態(第1状態)から開放状態(第2状態)に切り替わる。それ故、パチンコ遊技機1の確変状態においては、スルーゲート141、第2始動入賞部12、大入賞部16が配置された表示装置19の右側の領域を狙って玉を発射する右打ちが推奨される。
【0057】
なお、小当たり状態が発生しても、その発生前後で遊技状態が変わることはない。小当たり状態の発生後には、小当たり状態の発生前の遊技状態がそのまま維持される。このため、確変状態が継続中の小当たり状態の発生回数に関わらず、特図当選が発生することなく図柄変動が200回実行されたとき、確変状態が終了することになる。
【0058】
小当たり状態が発生したときの有利度合いは、発生中の確変状態が第1確変状態であるか第2確変状態であるかに応じて大きく異なってくる。第1確変状態では、普図当選に応じた電動チューリップ122の開放時間が6秒間と長くなっている。電動チューリップ122が開いた誘導状態では、可動羽根121、特別役物127、ガイド釘125等によって右打ちされた玉の大部分が第2始動入賞部12に誘導される。第2始動入賞部12に入賞しなかった玉も可動羽根121や釘等により外側に弾かれるため、大入賞部16に向けて玉が流下する可能性が低くなっている。
【0059】
このため、第1確変状態下で小当たり当選が発生して大入賞部16が開放状態(第2状態)になっても、ほとんどの玉が第2始動入賞部12に入賞し、大入賞部16に玉を入賞させにくい。また、第2始動入賞部12に玉が入賞しても払出は1玉のみであり、第1確変状態においては出玉が増加する可能性が低くなっている。
【0060】
一方、第2確変状態においては、普図当選に応じて電動チューリップ122の1秒間の開放が3回繰り返される。これにより、第2始動入賞部12に玉が誘導されて大入賞部16に入賞しにくくなる上記の誘導状態と、大入賞部16に玉が入賞できる上記の非誘導状態と、が交互に切り替わる。非誘導状態においては、閉じた可動羽根121及び阻害釘123に弾かれて第2始動入賞部12に玉が入賞しない。閉じた可動羽根121の両外側を通過した玉は、第2始動入賞部12に入賞することなく下流に流れ、第2始動入賞部12の下流側に設けられた大入賞部16に向けて玉が流下する。小当たり状態の発生中につき大入賞部16が開放状態であれば、そのまま大入賞部16に玉が入賞可能である。
【0061】
このため、第2確変状態の発生中では、第2始動入賞部12に玉を入賞させつつ、電動チューリップ122が閉じて上記の非誘導状態にあれば、大入賞部16にも玉を入賞できる。上記の通り、第2始動入賞部12の入賞に応じた払出は1玉である一方、大入賞部16の入賞に応じた払出は15玉であるため、上記の第1確変状態とは異なり、第2確変状態では出玉(差玉)を増加できる。
【0062】
以上のように、本例のパチンコ遊技機1では、電動チューリップ122を備える第2始動入賞部12の下流側に大入賞部16が配置されている一方、電動チューリップ122が高頻度で開放される確変状態では、1/1.1という高確率で大入賞部16が開放される小当たり状態が発生する。
【0063】
第1確変状態においては、小当たり状態中に電動チューリップ122の開放状態が長く継続し、これにより大入賞部16への玉の入賞が阻害されてほとんどの玉が第2始動入賞部12に入賞する。一方、1/100の当選確率の確変昇格当選に応じて移行可能な第2確変状態であれば、小当たり状態中に電動チューリップ122の開閉が繰り返される。電動チューリップ122が閉じた非誘導状態であれば、玉が第2始動入賞部12に誘導されずに大入賞部16に入賞可能になる。
【0064】
このパチンコ遊技機1は、確変状態の発生中に小当たり状態が連続して発生し、大入賞部16への玉の入賞により確変状態下で持玉(獲得玉)を増加させることができるという新しい遊技性を備えている。このパチンコ遊技機1の遊技者は、第1確変状態において早く第2確変状態に移行することを期待しながら遊技を行うようになる。
【0065】
パチンコ遊技機1は、第2始動入賞部12及び大入賞部16よりも遊技領域130の上流側に設けられ、第2始動入賞部12に玉を誘導することで大入賞部16への玉の入賞を抑制する誘導状態と、第2始動入賞部12に玉を誘導しない非誘導状態と、に切り替わり可能な誘導手段である電動チューリップ122を備えている。この電動チューリップ122が誘導状態に切り替わる頻度は、第1確変状態と第2確変状態とで相違しており、第1特別遊技状態における方が高頻度である。
【0066】
このようにパチンコ遊技機1は、第1確変状態では、電動チューリップ122が第2始動入賞部12に玉を誘導する誘導状態の発生頻度が高いため、大入賞部16に玉が入賞しにくくなっている。一方、第2確変状態であれば、誘導状態になりにくく、第1確変状態よりも大入賞部16に玉を入賞させることができる。このため、大入賞部16への入賞を望む遊技者は、第1確変状態において早く確変昇格当選が発生し第2確変状態に移行できることを期待して遊技を行う。つまり、パチンコ遊技機1の遊技では、第2確変状態の発生タイミングに不規則性を持たせることで、遊技者に第1確変状態において確変昇格当選が発生するか否かに注目させることができる。さらに、第2確変状態が発生した後では、小当たり当選した際、電動チューリップ122が非誘導状態に切り替わって大入賞部16に玉が入賞するか否かに注目して遊技を行う。このような構成によれば、遊技者が遊技中に注目する項目として従来にない項目を設けることができ、遊技者の遊技への注目度を高くすることができる。
【0067】
第2始動入賞部12及び大入賞部16は、第2始動入賞部12を上にして上下に配置されている。電動チューリップ122は、第2始動入賞部12に玉を誘導する誘導状態に切り替わっている場合、大入賞部16の上流側の玉流路を遮蔽しつつ第2始動入賞部12に玉を誘導する。このように電動チューリップ122が誘導状態に切り替わっている場合には、第2始動入賞部12に玉が入賞する一方、大入賞部16への玉の入賞を抑制できる。
【0068】
パチンコ遊技機1では、第1確変状態と第2確変状態との間で、特図判定結果が小当たり当選になる期待度が同じになっている一方、電動チューリップ122の誘導状態と非誘導状態との切り替わり態様に違いが設けられている。このように電動チューリップ122の切り替わり態様に違いを設定すれば、第1確変状態と第2確変状態とで小当たり当選の確率を変化させなくとも大入賞部16への入賞頻度を変化させることができる。
【0069】
パチンコ遊技機1の遊技では、第1確変状態が発生してから予め定められた回数の図柄変動が実行されたとき、その第1確変状態あるいは第2確変状態が終了する。このため、第1確変状態において早いタイミングで確変昇格当選となり、第2確変状態が発生した方が大入賞部16への入賞に基づく特典を多く得ることができる。このため、第1確変状態において確変昇格当選になるか否かについて、遊技者が一層注目するようになる。
【0070】
パチンコ遊技機1の遊技では、特図判定結果が特図当選であった場合に、遊技者に最も有利な遊技状態である大当たり状態が発生する。特に、第1確変状態及び第2確変状態のいずれかにおいて大当たり状態が発生した場合には、この大当たり状態の終了の後に第1確変状態が新たに発生する。第2確変状態が長く継続した方が大入賞部16への入賞に基づく特典を得ることができるが、大当たり状態が発生することなく所定回数の図柄変動を実行すると第2確変状態が終了することになる。このため、遊技者にしてみれば所定回数の図柄変動の直前まで第2確変状態が継続し、終了する直前に大当たり状態が発生して新たな第1確変状態が発生することを期待して遊技を行う。つまり、遊技者は、第2確変状態の途中では、所定回数の図柄変動を消化して確変状態が終了してしまうことへの不安を特図当選によって解消したい気持ちと、第2確変状態を長く継続させて大入賞部16への入賞に基づく特典を多く得たい気持ちと、で葛藤することになる。パチンコ遊技機1の遊技では、このように遊技者を葛藤させることで遊技に注目させるという新たな効果を得ることができる。
【0071】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
パチンコ遊技機について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば、玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機に対応させることも可能である。
【0072】
小当たり当選の当選確率は任意に変更しても良く、例えば、第1確変状態と第2確変状態とで当選確率が異なっていても良い。
電動チューリップ122が閉鎖状態(非誘導状態)の場合には第2始動入賞部12に玉が入賞できない(誘導しない)構成を例示したが、閉鎖状態において開放状態よりも低い頻度で第2始動入賞部12に玉が入賞する構成を採用しても良い。電動チューリップ122が開放状態にあるときよりも、閉鎖状態にあるときの方が玉を誘導しにくく入賞率が低くなる構成であれば良い。
誘導手段の一例として電動チューリップ122を例示したが、第2始動入賞部12に玉を誘導するか、大入賞部16の入賞経路に玉を誘導するか、を切り替える切替構造を誘導手段として採用することも良い。
【0073】
第2始動入賞部12、大入賞部16、及び電動チューリップ122の位置や形状は任意に変更しても良い。例えば、電動チューリップ122が開放状態の場合には第2始動入賞部12が設けられた第1方向に玉を誘導し、閉鎖状態の場合には大入賞部16が設けられた第2方向に玉を誘導する構成にしても良い。
【0074】
大入賞部16に玉が入賞した場合に付与する特典を変更しても良く、例えば大入賞部16に玉が入賞した場合に10個の玉を付与する構成にしても良いし、確変状態や大当たり状態とは異なる遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる構成にしても良い。
第1確変状態において第2確変状態の発生に当選(確変昇格当選)する確率を任意に変更しても良い。例えば、第1確変状態が発生してから消化した図柄変動の回数に応じて第2確変状態の発生に当選する確率を高くする構成が考えられる。この構成によれば、第1確変状態が発生した後、第2確変状態が発生することなく確変状態が終了する頻度を低下させることができる。また例えば、遊技者の有利度を複数段階の中から設定可能であり、設定に応じて第2確変状態の発生に当選する確率を変化させる構成が考えれる。この構成によれば、大当たり状態の発生確率を変化させることなく、遊技場の管理者が遊技機の出玉率の調整を行い易くすることができる。
【0075】
本例では、特図判定により確変昇格当選が発生する場合を設けたが、特図判定とは別に確変昇格抽選を実行しても良い。この場合には、特図判定が特別抽選の一態様をなすほか、確変昇格抽選が特別抽選の一態様をなすことになる。さらに、第1確変状態下で玉が入賞したときに第2確変状態への昇格契機となる入賞部を設け、この入賞部への玉の入賞をもって確変昇格当選として取り扱うことも良い。この場合には、この入賞部が設けられた遊技領域130への玉の打ち込みが確変昇格抽選の一態様となる。
【0076】
確変状態の終了条件を変更しても良く、例えば確変状態が発生してから大当たり状態が発生することなく100回の図柄変動を実行した場合に終了する構成にしても良いし、大当たり状態が発生するまで確変状態が継続する構成にしても良い。大当たり状態が発生するまで確変状態が継続する場合、終了した場合に確変状態が発生する大当たり状態と、終了した場合に通常状態が発生する大当たり状態とを設ける構成にすると良い。
【0077】
本例に代えて、第1確変状態と第2確変状態とで小当たり状態の発生に当選する確率が異なる構成にしても良い。
特別遊技状態として確変状態を設けたが、特別遊技状態は任意に変更しても良く、例えば、大当たり状態が発生する確率は変化せず、電動チューリップ122の開放パターンが変化するのみの遊技状態を特別遊技状態として採用することも可能である。
第1及び第2始動入賞部11・12に玉が入賞した場合に、大当たり状態及び小当たり状態の抽選(特図判定)を実行する構成としたが、大当たり状態の抽選の契機となる始動入賞部と、小当たり状態の抽選の契機となる始動入賞部と、を別々に設けることも良い。
【0078】
大当たり状態が終了すると必ず第1確変状態が発生する構成としたが、第1確変状態の発生条件を変更しても良い。例えば大当たり状態が終了した場合に所定の確率で大当たり状態が発生する構成や、通常状態において第1確変状態の発生抽選を大当たり状態の抽選とは別に実行する構成が考えられる。
また、第1確変状態において抽選に当選すると第2確変状態を発生させる構成にしたが、第1確変状態において所定回数の図柄変動を実行した場合に第2確変状態を発生させる構成にしても良い。例えば、奇数図柄が揃ったことに基づいて大当たり状態が発生した場合、第1確変状態において抽選に当選すると第2確変状態が発生し、偶数図柄が揃ったことに基づいて大当たり状態が発生した場合、100回の図柄変動を実行した場合に第2確変状態が発生する構成が考えられる。
【0079】
大入賞部16及び電動チューリップ122の動作を独立して実行する構成としたが、大入賞部16及び電動チューリップ122の動作を連動させる構成を採用することも可能である。例えば、第1確変状態において小当たり状態になり大入賞部16を開放している場合、電動チューリップ122も開放状態を維持する制御を実行する構成が考えられる。この構成においては、第1確変状態において小当たり状態が発生した場合に、大入賞部16に玉が入賞する頻度を一層低減できる。
【0080】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0081】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
11 第1始動入賞部(入賞部)
12 第2始動入賞部(入賞部)
121 可動羽根
122 電動チューリップ(誘導手段)
123 阻害釘
127 特別役物
130 遊技領域
141 スルーゲート
16 大入賞部(特別入賞部)
190 液晶表示部(図柄変動手段)
20 主回路(抽選手段、記憶手段、読出手段、大当たり状態発生手段、遊技状態発生手段)
331 払出装置(特典付与手段)
図1
図2
図3
図4
図5