【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、歯科用インプラントにおいてはインプラント体とアバットメント間における接合部の微小な動揺、いわゆるマイクロムーブメントが原因となる骨吸収が発生するために、
図24のように接合方式が面と面を合わせるバットジョイントではなく、
図27のようなテーパージョイントのインプラントシステムが増加してきている。テーパージョイントのインプラントシステムの場合、インプラント体とアバットメントとがくさびの様に強固に嵌合するため、マイクロムーブメントを抑制できる。
【0010】
図27に示すテーパージョイントのインプラントシステムも、基本的にはインプラント体49、アバットメント52、そしてネジ55からなる。インプラント体49とアバットメント52にはそれぞれ、六角や八角を有する回転防止の接続部50、54と、テーパー嵌合による接続部51、53がある。
【0011】
テーパージョイントのインプラントシステムの場合、テーパーの角度が小さければ小さいほど、嵌合は強固になる。しかしながらその一方、インプラント体からアバットメントを外す際に、ネジを外してもアバットメントがインプラント体にくさびの様に食い込んだままで、容易に外すことができない場合がある。逆にテーパーの角度が大きい場合、アバットメントの取り外しは容易になるが、マイクロムーブメントを抑制する効果を失う。
【0012】
また上部補綴物においては、メンテナンス性や、口腔内でアバットメントに上部補綴物を接着した際に生じる余剰セメントの取り残しによるインプラント周囲炎が問題となるため、術者可撤式の上部補綴物が好まれ始めてきている。
術者可撤式の上部補綴物は、患者自身でも着脱可能なインプラントオーバーデンチャーを除くと、アバットメントと上部補綴物が一体化したもの、又はアバットメントに装着するフレームに歯冠形態を構築して、テーパー嵌合やネジ固定によって装着されるものに分類される。
【0013】
テーパージョイントのインプラントシステムで術者可撤式の上部補綴物を選択する場合、インプラント体へアバットメントに挿入する角度に著しく制限があるため、複数のインプラント体を連結して上部補綴物を構築する症例においては、アバットメントと上部補綴物が一体化したものでは、全てのインプラント体とアバットメントとのテーパー嵌合を確立した状態を実現することが困難であるため、アバットメントに、フレームを介して上部補綴物を装着する方式を選択する方が現実的である。
【0014】
そのような場合、特許文献2に示す方法であれば、接着剤やネジによる固定では無く、テーパー嵌合にてアバットメントに上部補綴物が装着できるため、テーパージョイントのインプラントシステムにおいて術者可撤式で複数歯を連結する上部補綴物として適しているように思われる。しかしながら、複数のインプラントを平行性を保って埋植することは難しく、ほとんどの場合数度〜十数度のずれが生じる。アバットメントとフレームとを接続するテーパー嵌合は、テーパー角度がある程度小さくないとテーパー嵌合が成立せず、またその小さいテーパー角度のアバットメントとフレームの場合、連結フレームを作製しようとすると、アンダーカット状態が生じやすく、連結フレームが作製できないことが多々ある。その場合においては、角度付のアバットメントを使用することである程度は対応できるが、全ての角度に対応したアバットメントを取り揃えることは難しく、現実的には対応できない症例が多い。
【0015】
本発明では前記の問題に鑑み、マイクロムーブメントを抑制できるがアバットメントの取り外しが難しい、テーパー角度の小さいテーパー嵌合のインプラントシステムにおいて、単純かつ加工が容易な構造で、単独でも連結でも使用可能である、フレームを自在に着脱可能なアバットメント及びフレームの構造及び原理を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記問題を解決すべく鋭意検討した結果、アバットメントとフレームとは互いにテーパー嵌合により着脱自在に密着し、フレーム天井部にはネジの頭部径よりも小さく、かつネジを締結するドライバーが通過する径の貫通穴が備えられており、その貫通穴を通じてドライバーを挿入し、インプラント体とアバットメントとを締結するネジを緩めていくとネジがインプラント体から解放される前にネジ頭部がフレームの内天井に突き当たり、そこからさらにネジを緩めることでネジの頭部がアバットメントに圧接してアバットメントを押し上げることにより、アバットメントとフレームとのテーパー嵌合が解放されて、アバットメントからフレームを容易に取り外すことが可能となる体内インプラント構造を提供するものである。
【0017】
また本発明に係る体内インプラント構造によると、インプラント体とアバットメントとを締結するネジの頭部に雌ネジと、HEX穴等のネジを締結するドライバーに相対する形状の両方を備え、さらにフレームの穴径を2段階にして座面を設けることで、インプラント体とアバットメントとをネジで締結した後に上部補綴物となったフレームをアバットメントに載置し、ネジの頭部に設けられた雌ネジとフレーム内の座面に適合するフレーム設置用ネジを挿入し締結することで、その締結する力加減によってアバットメントとフレームの嵌合の度合いを制御することが可能である。フレーム設置用ネジは締結後取り外し、アクセスホールを綿球等で保護した後にレジン等で封鎖する。
【0018】
このことにより、テーパー嵌合における嵌合の度合いを締結トルク値で管理することができ、従来テーパー嵌合のフレームにおいては困難であった、上部補綴物の技工所の模型上と患者の口腔内とにおける装着状態の再現が可能となる。
【0019】
アバットメントとフレームのテーパー角度は片側15度以下、好ましくは10度以下、さらに好ましくは2度から8度程度がよい。また確実なテーパー嵌合を確保するため、アバットメントとフレームとを接続した際、アバットメントの天井とフレームの内天井の間に0.1mm以上の空間が確保されることが望ましい。
【0020】
インプラントを単独で使用する場合においては上記の方法で対応できるが、複数のインプラントを連結して上部補綴物を構築する場合においては、お互いのアバットメントの平行性を保持し、アンダーカット状態とならないようにする必要があり、上記のアバットメントとフレームの組み合わせではアンダーカット状態が発生する確率が高く、連結の上部補綴物を作製できない恐れがある。
【0021】
そのような場合、本発明に係る体内インプラント構造によると、アバットメントの内1つ〜複数を、相対するフレームのテーパー角度と比較してテーパー角度が大きいアバットメントを使用することで、アンダーカット状態を防ぐことができ、またテーパー嵌合は成立しないが、アバットメントの最大豊隆部にフレームが食い込むことで、上部補綴物の固定を得ることができる。
【0022】
このことは、本発明の一部であるフレーム設置用ネジを用いることで実現可能である。即ち、フレーム設置用ネジを用いることで、本来であれば接続位置を固定することが困難である、テーパー角度の合わないアバットメントとフレームとの接続位置を中心軸に合わせて固定できると共に、アバットメントの最大豊隆部とフレームとの食い込み具合においてもフレーム設置用ネジによるトルク管理が可能なことにより、上部補綴物の技工所の模型上と患者の口腔内とにおける装着状態の再現が可能となり、また複数のアバットメントとフレームとの食い込みでお互いに干渉しあい、上部補綴物はアバットメントに強固に固定される。
【0023】
以下に、本発明に係る体内インプラント構造の一実施例における使用形態を、
図1〜
図12に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1及び
図2に示す様に、本発明の一実施例の構造は、骨内に埋植されるインプラント体1、その上部に接続するアバットメント2、その二つを締結するネジ3、及びアバットメント2と接続する上部補綴物5が築盛されたフレーム4より構成される。
【0025】
インプラント体1とアバットメント2とは、テーパー部6、7でテーパー嵌合している。ネジ3の頭部には、HEX穴8と雌ネジ穴9が設けられている。本実施例ではHEX穴の上に雌ネジがあるが組み合わせは逆でも構わない。また、HEXでは無くその他の螺進させるための形状(例えば四角、八角、プラスやマイナス等のドライバーで使用されている形状等)でも構わない。
【0026】
アバットメント2とフレーム4は、テーパー部10、11でテーパー嵌合している。フレーム4及び上部補綴物5には、フレームをアバットメントに着脱するためのアクセスホール12が設けられており、アクセスホール12の内径は二段階で、上部の方が径が大きく、座面13を備えている。アクセスホール12は、上部補綴物を患者の口腔内に設置後、綿球等で保護した後にレジン等で封鎖する。
【0027】
図3はアバットメント2にフレーム4を設置するためのツールであるフレーム設置用ネジ14の斜視図である。当該ツールは雄ネジ部15と座面16、及び螺進部17を備えている。本実施例で螺進部17がラチェットレンチに接続する四角の凸形状になっているが、形状を制限するものではなく、直接手指にて螺進させる形状や、ドライバーやハンドピース等の回転器具に接続可能な形状等、他の形状でも構わない。
【0028】
フレーム設置用ネジ14を用いて、アバットメント2に上部補綴物5が築盛されたフレーム4を設置する方法を
図4及び
図5で示す。
【0029】
図4はフレーム設置用ネジ14を使用し、アバットメント2に上部補綴物5が築盛されたフレーム4を設置しているところを示す斜視断面図である。インプラント体1とアバットメント2は、ネジ3を別途用意したHEXドライバーにて、通法通り接続している。アバットメント2のテーパー部10にフレーム4のテーパー部11が相対するようにフレーム4を載置し、アクセスホール12からフレーム設置用ネジ14を挿入する。フレーム設置用ネジ14を螺進させることで、雄ネジ部15がネジの雌ネジ穴9に螺入していく。
【0030】
そのままフレーム設置用ネジ14を螺進させていくことで、座面16と座面13が接触し、さらに螺進することで座面16が座面13を圧接して押し下げていき、アバットメント2のテーパー部10とフレーム4のテーパー部11とが
図5のようにテーパー嵌合する。このとき、フレーム設置用ネジ14の締結トルクを制御することにより、テーパー嵌合の度合いを自在に調節可能である。
図5ではフレーム設置用ネジ14にラチェットレンチ18を取り付けて螺進、締結を行っているが、特に使用する器具に制限は無く、手指やドライバー等でも構わないが、ある一定の力で締結することで、技工所の模型上と患者の口腔内とで同等の設置具合を再現できるため、トルク管理のできる器具を用いることが望ましい。
【0031】
フレーム取付後は
図6のように、フレーム設置用ネジ14を逆回転させて取り外し、アクセスホール12内を綿球19等で保護した後、レジン20等で封鎖することで患者の咬合が回復する。
【0032】
メンテナンス等で、上部補綴物5を取り外す必要が生じた際の取り外し方法を
図7〜
図8に示す。まず初めに、上部補綴物5のアクセスホール12を封鎖しているレジン20や綿球19を取り除き、アクセスホール12をあらわにする。
【0033】
図7左はHEXドライバー21をアクセスホール12に挿入し、ネジ3のHEX穴8に嵌合させたところを示す断面図である。そのままHEXドライバー21を緩める方向へ螺進させることで、ネジ3が緩み始め、インプラント1から離れる方向へと移動していく。
図7右は、ネジ3の頭部がフレーム4の内天井22に接したところを示す断面図である。この時点で、ネジ3の雄ネジ部23は、インプラント体1のネジ穴から解放されていない。
【0034】
図8は、さらにネジを緩める方向へ螺進させていくことで、ネジ3の頭部がフレーム4の内天井22を圧接し、アバットメント2のテーパー部10とフレーム4のテーパー部11とが解放され、フレーム4を取り外したところを示す断面図及びその拡大図である。
【0035】
しかしながらまれに、ネジ3の頭部がフレーム4の内天井22を圧接した際、アバットメント2のテーパー部10とフレーム4のテーパー部11では無く、
図9左のようにインプラント体1とアバットメント2との、テーパー部6、7のテーパー嵌合が先に解放されてしまうことがある。その際は
図9右のようにアバットメント2、上部補綴物5が築盛されたフレーム4とネジ3が一体化した状態で外れてくる。
【0036】
そのような場合においては、
図10で示すような、アバットメント2からフレーム4を取り外すためのジグ24を利用することでフレーム4を確実に取り外すことができる。ジグ24にはアバットメント径よりも太く、かつフレーム径よりも細い穴25の底に、ネジ3の雄ネジ部23に相対する雌ネジ穴26が設けられている。本実施例においては、円柱に万力等で把持するための面取りを施した構造となっているが、特に形状に制限はない。
【0037】
実際にフレーム4をアバットメント2から取り外す様子を
図11〜
図12で示す。
図11左は、フレーム4、アバットメント2、及びネジ3が一体化したものをジグ24の穴26に挿入し、HEXドライバー21でネジ3を螺進していくところを示す図である。
図11右は、ネジ3の先端が雌ネジ穴26に螺進し、ネジ3の座面27がアバットメント2の座面28に接したところを示す図である。この時点で、フレーム4は穴25よりも太いため、ジグ24にこれ以上入らない状態になっている。
【0038】
図12は、そこからさらにネジ3を螺進させることで、アバットメントの座面28がネジの座面27に圧接され、アバットメント2とネジ3のみがジグ24の雌ネジ穴26にさらに入り込み、アバットメント2とフレーム4とのテーパー嵌合が解放され、フレーム4が取り外せたところを示す断面図及びその拡大図である。アバットメント2、ネジ3、及びフレーム4は、必要な調整等が終了後、初回設置時と同様の操作で患者に設置する。
【0039】
次に、本発明に係る体内インプラント構造の、連結時における一実施例における使用形態を、
図13〜
図19に基づいて詳細に説明する。
【0040】
複数のインプラントに対し連結した上部補綴物(以下、連結上部補綴物という)を作製、装着しようとした場合、
図1〜
図12で示したアバットメント2とフレーム4との組み合わせでは、全てのインプラント体同士に平行性があり、アバットメントにアンダーカット状態が生じていないことが求められる。角度付アバットメントを使用してアンダーカット状態を回避することも可能ではあるが、様々な角度のアバットメントを取りそろえておくことは現実的でなく、実際の臨床では上記の組み合わせを連結上部補綴物に適用できないことが多い。
【0041】
そのため、本実施例においては、アバットメント2ではなく、
図13に示す連結用アバットメント29を使用する。連結用アバットメント29は、アバットメント2のテーパー部10と比較して支台部のテーパー部30のテーパー角度が大きく設定されているため、フレーム4の装着方向の自由度が大幅に向上している。また、通常のアバットメントにはインプラント体との接合部にHEX等の回転防止機構が設けられているが、連結用アバットメント29においては、その用途上不要なため存在しないが、その有無を制限するものではない。
【0042】
図14は本発明の連結時の一実施例における全てを接続した状態の構造を示す斜視図及びその断面図である。連結用アバットメント29のテーパー部30は、フレーム42のテーパー部11と比較して傾斜角度が大きくなっており、図の様にインプラント体1同士の平行性が取れない場合においても連結用アバットメント29のテーパー部30がアンダーカット状態とならず、連結上部補綴物31を着脱することが可能である。
【0043】
図15は
図14右の、連結用アバットメント29とフレーム4との接合部分の拡大図である。連結用アバットメント29のテーパー部30は、フレーム4のテーパー部11とはテーパー嵌合が成立せずに、連結用アバットメント29の最大豊隆部32にフレーム4の縁33が食い込んでいる状態である。連結時は、複数の連結用アバットメント29とフレーム4同士がこのような状態となるため、連結上部補綴物31は、アバットメント29に強固に接続され、固定されている。
【0044】
図16は本発明の連結時の一実施例における全てを分解した状態の構造を示す斜視図及びその断面図である。骨内に埋植されるインプラント体1、その上部に接続する連結用アバットメント29、その二つを締結するネジ3、及び連結用アバットメント29と接続する、連結上部補綴物31が築盛されたフレーム4に分解できる。
【0045】
フレーム設置用ネジ14を用いて、連結用アバットメント29に連結上部補綴物31が築盛されたフレーム4を設置する方法を
図17〜
図19で示す。
【0046】
図17は連結用アバットメント29に連結上部補綴物31が築盛されたフレーム4を設置しているところを示す斜視断面図である。インプラント体1と連結用アバットメント29は、ネジ3を別途用意したHEXドライバーにて、通法通り接続している。連結用アバットメント29のテーパー部30にフレーム4のテーパー部11が相対するようにフレーム4を載置する。その際、テーパー部30とテーパー部11とは傾斜角度が異なるため、フレーム4同士の正確な位置を固定できない可能性がある。
【0047】
図18は、アクセスホール12にフレーム設置用ネジ14を挿入して、連結用アバットメント29に連結上部補綴物31が築盛されたフレーム4を設置しているところを示す斜視断面図である。フレーム設置用ネジ14を使用することで、フレーム4と連結用アバットメント29との位置関係が正確な状態に誘導され、フレーム4の縁33が連結用アバットメント29の最大豊隆部32に食い込み、固定される。このとき、規定トルクで締結することで、技工所の模型上と患者の口腔内とにおける装着状態の再現が可能となる。この図ではフレーム設置用ネジ14を2つ同時に使用しているが、必ずしもフレーム4ごとにフレーム設置用ネジ14が一つ必要なわけではない。ただし複数のフレーム設置用ネジ14を使用して少しずつ締結していくことにより、より簡便に正確な位置に連結上部補綴物31が築盛されたフレーム4を設置することができる。
【0048】
連結上部補綴物21取付後はフレーム設置用ネジ14を逆回転させて取り外し、
図19のように、アクセスホール12内を綿球19等で保護した後レジン20等で封鎖することで、患者の咬合が回復する。
【0049】
メンテナンス等で、連結上部補綴物31を取り外す必要が生じた際の取り外し方法を
図20〜
図22に示す。まず初めに、上部補綴物5のアクセスホール12を封鎖しているレジン20や綿球19を取り除き、アクセスホール12をあらわにする。
【0050】
図20左はHEXドライバー21をアクセスホール12に挿入し、ネジ3のHEX穴8に嵌合させたところを示す断面図である。そのままHEXドライバー21を緩める方向へ螺進させることで、ネジ3が緩み始め、インプラント1から離れる方向へと移動していく。
図19右は、ネジ3の頭部がフレーム4の内天井22に接したところを示す断面図である。この時点で、ネジ3の雄ネジ部23は、インプラント体1のネジ穴から解放されていない。
【0051】
図21は、さらにネジを緩める方向へ螺進させていくことで、ネジ3の頭部がフレーム4の内天井22を圧接し、連結用アバットメント29の最大豊隆部32に食い込んでいるフレーム4の縁33が解放されたところを示す断面図及びその拡大図である
【0052】
最終的に
図22の様に連結上部補綴物31が築盛されたフレーム4を外すことができる。その後、ネジ3は再度通法通り締結する。連結上部補綴物31が築盛されたフレーム4は、必要な調整等が終了後、初回設置時と同様の操作で患者に設置する。
【0053】
連結の場合においては発生する可能性は非常に低いが、
図9の様にインプラント体1と連結用アバットメントのテーパー嵌合が解放されてしまい、連結用アバットメント29とフレーム4が分解されなかった場合においては、
図11から
図12の手順を準用することで分解することが可能である。
【0054】
実施例ではストレートアバットメントを用いて説明したが、
図23に示すようなアングルアバットメントを用いても、本発明の構造は成立する。
図23左のアングルアバットメント34は単独、又はアンダーカット状態が生じなければ連結でも使用可能である。テーパー部35のテーパー角度は、アバットメント2のテーパー部10と等しく、フレーム4のテーパー部11とテーパー嵌合する。
図23右の連結用アングルアバットメント36は、テーパー部37のテーパー角度が連結用アバットメント29のテーパー部30と等しく、連複数のインプラント体を植立した際にアンターカット状態が生じにくい。連結用アングルアバットメント36のテーパー部37は、フレーム4のテーパー部11とはテーパー嵌合が成立せずに、連結用アングルアバットメント36の最大豊隆部38にフレーム4の縁33が食い込むことで固定される。
【0055】
本発明により、マイクロムーブメントを抑制できるがアバットメントの取り外しが難しい、テーパー角度の小さいテーパー嵌合のインプラントシステムにおいて、単純かつ加工が容易な構造で、単独でも連結でも使用可能である、フレームを自在に着脱可能な体内インプラント構造及び原理を提供する。
【0056】
また、本発明は使用時には決して緩まず、かつメンテナンス等必要が生じた場合には速やかに取り外すことができる接続部の構造なので、歯科領域に限らず、例えば、頭蓋、顎、顔面の復元外科、美容外科、形成外科、整形外科、口腔外科、耳鼻咽喉科等の分野においての治療に使用することができる。