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特開2017-196682工作機械および工作機械用の構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-196682(P2017-196682A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】工作機械および工作機械用の構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/12 20060101AFI20171006BHJP
   B23C 3/00 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
   B23Q11/12 E
   B23C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-87864(P2016-87864)
(22)【出願日】2016年4月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新家 秀規
(72)【発明者】
【氏名】川口 廣晃
(72)【発明者】
【氏名】松尾 圭一郎
【テーマコード(参考)】
3C011
3C022
【Fターム(参考)】
3C011FF05
3C022AA10
(57)【要約】
【課題】摺動面上に潤滑油を保持し易い工作機械、および、そのような摺動面を備えた工作機械用の構造体の製造方法、を提供する。
【解決手段】工作機械は、移動可能に構成されるサドルと、潤滑油が供給され、サドルが摺動する摺動面12を有し、サドルの重量を受けるベッド11とを備える。摺動面12には、サドルの移動方向に沿って連続的に延びる凹部13が形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能に構成される第1構造体と、
潤滑油が供給され、前記第1構造体が摺動する摺動面を有し、前記第1構造体の重量を受ける第2構造体とを備え、
前記摺動面には、前記第1構造体の移動方向に沿って連続的に延びる凹部が形成される、工作機械。
【請求項2】
前記第2構造体を前記第1構造体の移動方向に直交する平面により切断した場合に、前記凹部は、円弧状の断面を有する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記第2構造体を前記第1構造体の移動方向に直交する平面により切断した場合に、前記凹部は、前記第1構造体の移動方向にかかわらず同一の断面形状を有する、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記第1構造体は、前記摺動面上の第1移動端および第2移動端の間で移動可能に構成され、
前記凹部は、少なくとも、前記第1移動端と前記第2移動端との間で延びる、請求項1から3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記凹部は、前記第1構造体の移動方向における前記摺動面の一方端と他方端との間で延びる、請求項4に記載の工作機械。
【請求項6】
前記第1構造体は、前記摺動面と対向する対向面を有し、
前記対向面は、前記凹部の凹形状に対応する凸形状に形成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記摺動面は、前記第1構造体の移動方向に直交する幅方向において、水平方向に対して傾斜する、請求項1から6のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項8】
摺動面を有する工作機械用の構造体の製造方法であって、
平面加工のための回転工具を準備する工程と、
前記摺動面と前記回転工具の回転軸とが斜めに交わるとともに、前記回転工具および前記構造体の相対移動方向と、前記回転工具の回転軸とが、斜めに交わるように、前記回転工具および前記構造体の姿勢を固定したまま、前記回転工具および前記構造体を相対移動させることによって、前記摺動面に凹部を形成する工程とを備える、工作機械用の構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械および工作機械用の構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の工作機械に関して、たとえば、特開平4−122501号公報には、Y軸のストロークが大きく、構造が簡単かつ故障の少ないY軸機構付き対向主軸旋盤を安価に供給し、さらに、ツーリングにかかる費用を低減することを目的とした、対向主軸旋盤が開示されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された対向主軸旋盤においては、スラントベッドの傾斜面上に、Z軸方向の主軸台用摺動面および刃物台用摺動面が、削設されている。主軸台用摺動面上には、第1主軸台および第2主軸台が、Z軸方向に移動可能に載置されている。刃物台用摺動面上には、第1刃物台を搭載する往復台が、Z軸方向に移動可能に載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−122501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されるように、工作機械における構造体の移動は、摺動面を摺動させることによって行なわれる。また、構造体の円滑な移動を可能とするため、摺動面には潤滑油が供給される必要がある。
【0006】
しかしながら、摺動面に供給された潤滑油は、その粘性により、ある程度は摺動面上に留まっているものの、工作機械の稼動に伴って摺動面上から流出してしまう。この場合、摺動面上において潤滑油が不足し、構造体を円滑に摺動させることができないという懸念が生じる。このような懸念は、特に、特許文献1に開示されるスラントベッドのように、摺動面が傾斜面からなる場合に顕著となる。
【0007】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、摺動面上に潤滑油を保持し易い工作機械、および、そのような摺動面を備えた工作機械用の構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った工作機械は、移動可能に構成される第1構造体と、潤滑油が供給され、第1構造体が摺動する摺動面を有し、第1構造体の重量を受ける第2構造体とを備える。摺動面には、第1構造体の移動方向に沿って連続的に延びる凹部が形成される。
【0009】
なお、きさげ加工による複数の窪みは、第1構造体の移動方向において不連続に(ランダムに)設けられるため、本発明における凹部に含まれない。
【0010】
このように構成された工作機械によれば、凹部が、摺動面に供給された潤滑油の油溜まりとして機能するため、摺動面上に潤滑油を保持し易くなる。
【0011】
また好ましくは、第2構造体を第1構造体の移動方向に直交する平面により切断した場合に、凹部は、円弧状の断面を有する。
【0012】
このように構成された工作機械によれば、潤滑油をより確実に摺動面上に保持することができる。
【0013】
また好ましくは、第2構造体を第1構造体の移動方向に直交する平面により切断した場合に、凹部は、第1構造体の移動方向にかかわらず同一の断面形状を有する。
【0014】
このように構成された工作機械によれば、潤滑油を摺動面上に保持し易くなる効果を、第1構造体の移動方向にかかわらず安定して奏することができる。
【0015】
また好ましくは、第1構造体は、摺動面上の第1移動端および第2移動端の間で移動可能に構成される。凹部は、少なくとも、第1移動端と第2移動端との間で延びる。
【0016】
このように構成された工作機械によれば、少なくとも第1構造体の移動範囲において、潤滑油を摺動面上に保持し易くなる。
【0017】
また好ましくは、凹部は、第1構造体の移動方向における摺動面の一方端と他方端との間で延びる。
【0018】
このように構成された工作機械によれば、第1構造体の移動方向における摺動面の一方端と他方端との間において、潤滑油を摺動面上に保持し易くなる。
【0019】
また好ましくは、第1構造体は、摺動面と対向する対向面を有する。対向面は、凹部の凹形状に対応する凸形状に形成される。
【0020】
このように構成された工作機械によれば、摺動面上における第1構造体の摺動性を良好にすることができる。
【0021】
また好ましくは、摺動面は、第1構造体の移動方向に直交する幅方向において、水平方向に対して傾斜する。
【0022】
このように構成された工作機械によれば、潤滑油が摺動面上から摺動面の幅方向に流れ落ちることを抑制できる。
【0023】
この発明に従った工作機械用の構造体の製造方法は、摺動面を有する工作機械用の構造体の製造方法である。工作機械用の構造体の製造方法は、平面加工のための回転工具を準備する工程と、摺動面と回転工具の回転軸とが斜めに交わるとともに、回転工具および構造体の相対移動方向と、回転工具の回転軸とが、斜めに交わるように、回転工具および構造体の姿勢を固定したまま、回転工具および構造体を相対移動させることによって、摺動面に凹部を形成する工程とを備える。
【0024】
このように構成された工作機械用の構造体の製造方法によれば、摺動面に、摺動面に供給された潤滑油の油溜まりとして機能する凹部を簡易に形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上に説明したように、この発明に従えば、摺動面上に潤滑油を保持し易い工作機械、および、そのような摺動面を備えた工作機械用の構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の実施の形態1における工作機械を示す斜視図である。
図2図1中の矢印IIに示す方向から見た工作機械を示す側面図である。
図3図1中の工作機械が備えるベッドの摺動面を示す図である。
図4図1中の工作機械が備えるサドルの摺動面(対ベッド)を示す図である。
図5図1中の工作機械が備えるサドルの摺動面(対横送り台)を示す図である。
図6図1中の工作機械が備える横送り台の摺動面を示す図である。
図7図3中のVII−VII線上に沿ったベッドの摺動面を示す断面図である。
図8図4中のVIII−VIII線上に沿ったサドルの対向面を示す断面図である。
図9図3および図7中のベッドの摺動面に凹部を形成する工程を示す平面図である。
図10図3および図7中のベッドの摺動面に凹部を形成する工程を示す側面図である。
図11図7中の凹部の断面形状の第1変形例を示す断面図である。
図12図7中の凹部の断面形状の第2変形例を示す断面図である。
図13図7中の凹部の断面形状の第3変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における工作機械を示す斜視図である。図1中では、工作機械の外観をなすカバー体を透視することにより、工作機械の内部が示されている。図2は、図1中の矢印IIに示す方向から見た工作機械を示す側面図である。
【0029】
図1および図2を参照して、本実施の形態における工作機械10は、ワークを回転させ、そのワークに工具を接触させることによってワークの加工を行なう旋盤である。
【0030】
まず、工作機械10の全体構造について説明する。工作機械10は、ベッド11と、主軸台21と、サドル31と、横送り台41と、刃物台51とを有する。
【0031】
ベッド11は、主軸台21、サドル31、横送り台41および刃物台51を支持するためのベース部材であり、工場などの据え付け面に設置される。ベッド11は、鋳鉄などの金属から形成されている。ベッド11は、いわゆるスラントベッドタイプであり、主軸台21、サドル31、横送り台41および刃物台51を支持する支持面が水平方向に対して傾斜している。
【0032】
主軸台21は、主軸(不図示)と、チャック22とを有する。主軸は、水平方向に延びるZ軸に平行な中心軸101を中心に回転可能に設けられている。チャック22は、主軸の先端に設けられ、ワークを把持可能なように構成されている。主軸は、チャック22に把持されたワークを回転させる。
【0033】
刃物台51は、複数の工具を装着可能なように構成されている。刃物台51は、いわゆるタレットタイプであり、複数の工具が放射状に取り付けられ、旋回割り出しを行なう。より具体的には、刃物台51は、旋回部52を有する。旋回部52は、Z軸に平行な中心軸102を中心に旋回可能に設けられている。中心軸102を中心にその周方向に間隔を隔てた位置には、工具を保持するための工具ホルダが取り付けられている。旋回部52が中心軸102を中心に旋回することによって、工具ホルダに保持された工具が周方向に移動し、加工に用いられる工具が割り出される。
【0034】
サドル31は、Z軸方向に移動可能なように構成されている。サドル31は、ベッド11により支持されている。ベッド11は、サドル31の重量を受ける。横送り台41は、Z軸に直交し、鉛直方向に対して傾斜するX軸方向に移動可能なように構成されている。横送り台41は、サドル31により支持されている。サドル31は、横送り台41の重量を受ける。刃物台51は、横送り台41に固定されている。
【0035】
このような構成により、刃物台51は、サドル31および横送り台41を介して、ベッド11上に支持されている。刃物台51は、ベッド11、サドル31および横送り台41に設けられた各種の送り機構や案内機構、サーボモータなどにより、X軸方向およびZ軸方向に移動可能に設けられている。刃物台51が、X軸方向およびZ軸方向に移動することによって、刃物台51に装着された工具によるワークの加工位置が移動する。
【0036】
図3は、図1中の工作機械が備えるベッドの摺動面を示す図である。図4は、図1中の工作機械が備えるサドルの摺動面(対ベッド)を示す図である。
【0037】
図1から図4を参照して、ベッド11は、摺動面12mおよび摺動面12nを有する(以下、摺動面12mおよび摺動面12nを特に区別しない場合には、摺動面12という)。摺動面12は、Z軸方向に帯状に延びている。摺動面12mおよび摺動面12nは、Z軸方向に平行に延びている。摺動面12mおよび摺動面12nは、X軸方向に距離を隔てた位置で設けられている。摺動面12は、Z軸方向が長手方向となり、X軸方向が短手方向(幅方向)となる略矩形の平面視を有する。
【0038】
摺動面12は、鉛直上側(より具体的には、斜め上方向)に面している。摺動面12は、サドル31の移動方向に直交する幅方向(X軸方向)において、水平方向に対して傾斜している。
【0039】
サドル31は、対向面32mおよび対向面32nを有する(以下、対向面32mおよび対向面32nを特に区別しない場合には、対向面32という)。対向面32は、Z軸方向に帯状に延びている。対向面32mおよび対向面32nは、Z軸方向に平行に延びている。対向面32mおよび対向面32nは、X軸方向に距離を隔てた位置で設けられている。対向面32は、Z軸方向が長手方向となり、X軸方向が短手方向となる略矩形の平面視を有する。対向面32のZ軸方向における長さは、摺動面12のZ軸方向における長さよりも小さい。
【0040】
サドル31には、潤滑油供給部33および潤滑油供給部34が形成されている。潤滑油供給部33および潤滑油供給部34は、それぞれ、対向面32mおよび対向面32nに設けられている。潤滑油供給部33および潤滑油供給部34は、それぞれ、対向面32mおよび対向面32nの面内で溝状に延びて設けられている。
【0041】
サドル31は、ベッド11の摺動面12に載置されている。サドル31は、対向面32mおよび対向面32nが、それぞれ、摺動面12mおよび摺動面12nと対向するようにベッド11上に設けられている。サドル31は、摺動面12mおよび摺動面12nの間に跨るように設けられている。
【0042】
サドル31は、そのZ軸方向における移動に伴って、摺動面12を摺動する。この際、サドル31から潤滑油供給部33および潤滑油供給部34を通じて摺動面12に潤滑油が供給される。サドル31は、Z軸方向において、摺動面12上の第1移動端14および第2移動端16(図3を参照のこと)の間で移動する。すなわち、サドル31は、第1移動端14および第2移動端16の間のストローク範囲120において、摺動面12と摺接する。
【0043】
図5は、図1中の工作機械が備えるサドルの摺動面(対横送り台)を示す図である。図6は、図1中の工作機械が備える横送り台の摺動面を示す図である。
【0044】
図1から図6を参照して、サドル31は、摺動面36mおよび摺動面36nをさらに有する(以下、摺動面36mおよび摺動面36nを特に区別しない場合には、摺動面36という)。摺動面36は、X軸方向に帯状に延びている。摺動面36mおよび摺動面36nは、X軸方向に平行に延びている。摺動面36mおよび摺動面36nは、Z軸方向に距離を隔てた位置に設けられている。摺動面36は、X軸方向が長手方向となり、Z軸方向が短手方向(幅方向)となる略矩形の平面視を有する。
【0045】
摺動面36は、鉛直上側(より具体的には、斜め上方向)に面している。摺動面36は、対向面32の裏側において、対向面32と直交するように延びている。
【0046】
横送り台41は、対向面42mおよび対向面42nを有する(以下、対向面42mおよび対向面42nを特に区別しない場合には、対向面42という)。対向面42は、X軸方向に帯状に延びている。対向面42mおよび対向面42nは、X軸方向に平行に延びている。対向面42mおよび対向面42nは、Z軸方向に距離を隔てた位置に設けられている。対向面42は、X軸方向が長手方向となり、Z軸方向が短手方向となる略矩形の平面視を有する。対向面42のX軸方向における長さは、摺動面36のX軸方向における長さよりも小さい。
【0047】
横送り台41には、潤滑油供給部43および潤滑油供給部44が形成されている。潤滑油供給部43および潤滑油供給部44は、それぞれ、対向面42mおよび対向面42nに設けられている。潤滑油供給部43および潤滑油供給部44は、それぞれ、対向面42mおよび対向面42nの面内で溝状に延びて設けられている。
【0048】
横送り台41は、サドル31の摺動面36に載置されている。横送り台41は、対向面42mおよび対向面42nが、それぞれ、摺動面36mおよび摺動面36nと対向するようにサドル31上に設けられている。横送り台41は、摺動面36mおよび摺動面36nの間に跨るように設けられている。
【0049】
横送り台41は、そのX軸方向における移動に伴って、摺動面36を摺動する。この際、横送り台41から潤滑油供給部43および潤滑油供給部44を通じて摺動面36に潤滑油が供給される。横送り台41は、X軸方向において、摺動面36上の第1移動端37および第2移動端38(図5を参照のこと)の間で移動する。すなわち、横送り台41は、第1移動端37および第2移動端38の間のストローク範囲130において、摺動面36と摺接する。
【0050】
続いて、ベッド11の摺動面12およびサドル31の対向面32の形状について説明する。
【0051】
図7は、図3中のVII−VII線上に沿ったベッドの摺動面を示す断面図である。図3および図7を参照して、ベッド11の摺動面12(12m,12n)には、凹部13が形成されている。凹部13は、サドル31から遠ざかる方向に凹む凹形状を有する。
【0052】
凹部13は、サドル31の移動方向(Z軸方向)に沿って連続的に延びている。凹部13は、摺動面12の長手方向に沿って連続的に延びている。凹部13は、複数の窪みがサドル31の移動方向に沿ってランダムに並ぶ形態ではなく、サドル31の移動方向に沿って一続きに延びている。
【0053】
摺動面12の長手方向における凹部13の長さは、摺動面12の短手方向における凹部13の長さ(幅)よりも大きい。凹部13は、少なくとも、摺動面12上の第1移動端14と第2移動端16との間(ストローク範囲120)で延びている。本実施の形態では、凹部13が、サドル31の移動方向(Z軸方向)における摺動面12の一方端12pおよび他方端12qの間で延びている。
【0054】
ベッド11をサドル31の移動方向(Z軸方向)に直交する平面により切断した場合に(図7中に示す断面において)、凹部13は、円弧状の断面を有する。凹部13は、摺動面12の幅方向における両端に渡って、円弧状の断面を有している。
【0055】
凹部13は、サドル31の移動方向にかかわらず同一の断面形状を有する。すなわち、ベッド11をZ軸方向のいずれの位置で切断したかにかかわらず、凹部13は、同一の断面形状(一定の曲率半径を有する円弧状の断面)を有する。
【0056】
図8は、図4中のVIII−VIII線上に沿ったサドルの対向面を示す断面図である。図4および図8を参照して、対向面32は、ベッド11に向けて凸となる凸形状を有する。対向面32は、凹部13の凹形状に対応する凸形状(円弧形状)に形成されている。
【0057】
なお、図7および図8中では、それぞれ、摺動面12の凹形状および対向面32の凸形状が誇張して描かれている。
【0058】
このような構成によれば、摺動面12に形成された凹部13が、摺動面12に供給された潤滑油の油溜まりとして機能するため、摺動面12上に潤滑油を保持し易くなる。これにより、摺動面12上でサドル31を円滑に摺動させることができる。また、対向面32は、凹部13の凹形状に対応する凸形状に形成されている。これにより、摺動面12および対向面32の間の当たり面を増やして、サドル31の摺動性や、切削振動などに対する減衰性を良好にできる。
【0059】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における工作機械10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における工作機械10は、移動可能に構成される第1構造体としてのサドル31と、潤滑油が供給され、サドル31が摺動する摺動面12を有し、サドル31の重量を受ける第2構造体としてのベッド11とを備える。摺動面12には、サドル31の移動方向に沿って連続的に延びる凹部13が形成される。
【0060】
このように構成された、この発明の実施の形態1における工作機械10によれば、摺動面12に油溜まりとして機能する凹部13を形成することによって、潤滑油がより長時間に渡って摺動面12上に保持される。これにより、摺動面12上において潤滑油不足が生じ難い工作機械10を実現することができる。
【0061】
上記のような効果は、スラントベッドタイプでより顕著に奏されるが、摺動面12が水平面として設けられる工作機械に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、本発明における第1構造体および第2構造体が、それぞれ、サドル31およびベッド11である場合について説明したが、本発明は、このような場合に限られない。
【0063】
たとえば、本発明における第1構造体および第2構造体が、それぞれ、横送り台41およびサドル31である場合に、サドル31の摺動面36(36m,36n)に、凹部13と同様の凹部を形成してもよい。また、旋盤に限られず、たとえば、マシニングセンタのベッドおよびサドル間の摺動部や、サドルおよびテーブル間の摺動部に本発明を適用することも可能である。
【0064】
続いて、この発明の実施の形態1における工作機械用の構造体の製造方法について説明する。図9は、図3および図7中のベッドの摺動面に凹部を形成する工程を示す平面図である。図10は、図3および図7中のベッドの摺動面に凹部を形成する工程を示す側面図である。
【0065】
図7図9および図10を参照して、工作機械用の構造体としてのベッド11の製造方法は、平面加工のための回転工具61を準備する工程と、ベッド11の摺動面12と、回転工具61の回転軸140とが、斜めに交わるとともに、回転工具61およびベッド11の相対移動方向と、回転工具61の回転軸140とが、斜めに交わるように、回転工具61およびベッド11を相対移動させることによって、ベッド11の摺動面12に凹部13を形成する工程とを有する。
【0066】
回転工具61は、平面可能が可能な工具であれば特に限定されないが、代表的な例としては、フライスが用いられる。また、回転工具61として、エンドミルなどの切削工具や、研削砥石などの研削工具を用いることも可能である。回転工具61の工具直径Dは、摺動面12の幅方向の長さLよりも大きい。
【0067】
ベッド11の摺動面12に凹部13を形成する工程時、回転工具61およびベッド11を相対移動させる。本実施の形態では、ベッド11を固定した状態で、回転工具61を摺動面12の長手方向に沿って移動させる。
【0068】
このとき、ベッド11の摺動面12と、回転工具61の回転軸140とが、斜めに交わり、回転工具61の移動方向と、回転工具61の回転軸140とが、斜めに交わる。
【0069】
本実施の形態では、回転工具61が、回転工具61の移動方向に対して前傾姿勢で設けられている。回転工具61において、回転移動するチップ先端の軌跡が配置される仮想平面62と、摺動面12とが、回転工具61の移動方向の後方側において、角度θをなしている。回転工具61は、回転工具61の移動方向における前方端において、摺動面12と接触し、回転工具61の移動方向における前方端から後方端に向かうほど、仮想平面62と摺動面12との距離が大きくなるように設けられている。回転工具61は、角度θを一定にしたまま、摺動面12の長手方向に沿って移動する。
【0070】
このような工程により形成される凹部13の深さHは、回転工具61の工具直径Dと、摺動面12の幅方向の長さLと、回転工具61の仮想平面62および摺動面12がなす角度θとを用いて、下記の式により算出される。
【0071】
H=(D/2−(D/2×D/2−L/2×L/2)1/2)×sinθ
凹部13の深さHは、1μm以上10μm以下であることが好ましい。さらに、凹部13の深さHが3μm以上5μm以下であると、顕著な効果が得られる。
【0072】
このような構成によれば、平面可能が可能な回転工具61を用いて、油溜まりとして機能する円弧断面の凹部13を摺動面12に簡易に形成することができる。
【0073】
(実施の形態2)
図11から図13は、図7中の凹部の断面形状の変形例を示す断面図である。本実施の形態では、図7中に示す凹部の断面形状の各種変形例について説明する。
【0074】
図11を参照して、本変形例では、ベッド11をサドル31の移動方向に直交する平面により切断した場合に、凹部13が、矩形形状の断面を有する。凹部13は、摺動面12の幅方向における両端に壁部18を形成するように設けられている。本変形例に一例を示すように、凹部13の断面形状は、矩形形状に限られない。
【0075】
図12を参照して、本変形例では、ベッド11をサドル31の移動方向に直交する平面により切断した場合に、凹部13が、凹部13の深さが摺動面12の幅方向における両端から中心に向かうほど大きくなる階段形状の断面を有する。このような構成によれば、実施の形態1において説明した円弧形状の断面を疑似的に得ることができる。
【0076】
図13を参照して、本変形例では、摺動面12に複数の凹部13が形成されている。複数の凹部13は、摺動面12の幅方向において互いに間隔を隔てて設けられている。ベッド11をサドル31の移動方向に直交する平面により切断した場合に、複数の凹部13の各々は、円弧状の断面を有する。本変形例において、凹部13の断面形状は、円弧に限られない。
【0077】
このように構成された、この発明の実施の形態2における工作機械によれば、実施の形態1に記載の作用効果を同様に奏することができる。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明は、旋盤やマシニングセンタ、旋削機能とミーリング機能とを備えた複合加工機、研削盤などの工作機械に適用される。
【符号の説明】
【0080】
10 工作機械、11 ベッド、12,12m,12n,36,36m,36n 摺動面、13 凹部、12p 一方端、12q 他方端、14,37 第1移動端、16,38 第2移動端、18 壁部、21 主軸台、22 チャック、31 サドル、32,32m,32n,42,42m,42n 対向面、33,34,43,44 潤滑油供給部、41 横送り台、51 刃物台、52 旋回部、61 回転工具、62 仮想平面、101,102 中心軸、120,130 ストローク範囲、140 回転軸。
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