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特開2017-197171自動車両用の光学センサを洗浄するための装置及び関連する光学検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-197171(P2017-197171A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】自動車両用の光学センサを洗浄するための装置及び関連する光学検出システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/60 20060101AFI20171006BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
   B60S1/60 Z
   B60R1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-43120(P2017-43120)
(22)【出願日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】1651935
(32)【優先日】2016年3月8日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ、ブロズニオウスキー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン、グエン
【テーマコード(参考)】
3D025
【Fターム(参考)】
3D025AA04
3D025AB01
3D025AC02
3D025AC06
3D025AC07
3D025AD11
3D025AF07
3D025AF15
3D025AF19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動車両用の光学センサを洗浄するための装置であって洗浄装置が光学部を洗浄するための部材を含み、該洗浄部材が摺擦によって光学部の外表面を洗浄するための洗浄位置と、洗浄部材が光学センサの視野を開放する引き込み位置との間で移動できる装置に関し、良好に洗浄することができる車載光学センサ洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄部材(9)が複数の剛毛(91)を備える洗浄ブラシ(9)の形態を成しこの洗浄ブラシ(9)は該洗浄ブラシ(9)が洗浄位置にあるときに光学センサ(3)の光学部(7)の前方に突出されて光学センサ(3)の光学部(7)の外表面を掃き取るべく空気流(F)により動かされるように構成される。剛毛の摺擦は、全ての汚れを引き離すとともに光学部の外表面を光学部のその外表面又はその任意の処理を損傷させることなく洗浄するのに十分な洗浄作用を与える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の光学センサ(3)を洗浄するための装置(5)であって、前記光学センサ(3)が光学部(7)を含み、前記洗浄装置(5)が前記光学部(7)を洗浄するための部材(9)を含み、前記洗浄部材(9)が、
摺擦によって前記光学部(7)の外表面を洗浄するための洗浄位置と、
前記洗浄部材(9)が前記光学センサ(3)の視野を開放する引き込み位置と、
の間で移動でき、
前記洗浄部材(9)が複数の剛毛(91)を備える洗浄ブラシ(9)の形態を成し、前記剛毛(91)は、前記洗浄ブラシ(9)が前記洗浄位置にあるときに前記光学センサ(3)の前記光学部(7)の前方に突出されて前記光学センサ(3)の前記光学部(7)の外表面を掃き取るべく空気流(F,F’)により動かされるように構成されることを特徴とする洗浄装置(5)。
【請求項2】
前記洗浄ブラシ(9)が複数の前記剛毛(91)を部分的に受けるフェルール(92)を含み、前記フェルール(92)は、前記洗浄ブラシ(9)の位置がいずれの位置であっても前記光学センサ(3)の視野外に配置されるようになっている請求項1に記載の洗浄装置(5)。
【請求項3】
前記洗浄ブラシ(9)の前記剛毛(91)は、前記光学部(7)の外表面を掃き取るべく前記光学部(7)の表面に対して接線方向に突出されるように構成される請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置(5)。
【請求項4】
前記洗浄ブラシ(9)の前記剛毛(91)は、前記光学部(7)の表面の硬度よりも低い硬度の材料から形成される請求項1から3のいずれか一項に記載の洗浄装置(5)。
【請求項5】
前記洗浄ブラシ(9)が並進移動できる請求項1から4のいずれか一項に記載の洗浄装置(5)。
【請求項6】
前記洗浄ブラシ(9)は、前記光学センサ(3)の光軸(A)に対して実質的に傾けられる並進方向(D)で並進移動するように適合されるようになっている請求項5に記載の洗浄装置(5)。
【請求項7】
前記並進方向(D)に延在するガイドレール等の前記洗浄ブラシ(9)を案内するための手段(13)を含む請求項5又は請求項6に記載の洗浄装置(5)。
【請求項8】
洗浄流体を噴射するための装置(17)を更に含み、前記装置(17)が好ましくは前記洗浄部材(9)に組み込まれる請求項1から7のいずれか一項に記載の洗浄装置(5)。
【請求項9】
前記洗浄流体噴射装置(17)は、前記フェルール(92)の内側に、好ましくは前記フェルール(92)のほぼ中心に噴射ノズル(171)を含む請求項8と組み合わせた請求項2に記載の洗浄装置(5)。
【請求項10】
前記光学センサ(3)の前方に強制空気流(F’)を吐出させるようになっている少なくとも1つの空気吐出装置(19)と、
自動車両の速度を測定するとともに測定された速度が例えば30km/h程度の所定の閾値を下回る場合に強制空気流(F’)の吐出を命じるように構成される測定ユニットと、
を含む請求項1から9のいずれか一項に記載の洗浄装置(5)。
【請求項11】
光学センサ(3)と、前記光学センサ(3)を洗浄するための請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(5)とを含む自動車両用の光学検出システム(1)。
【請求項12】
前記光学センサ(3)の近傍に前記洗浄ブラシ(9)のためのハウジング(11)を含み、前記洗浄ブラシ(9)の複数の前記剛毛(91)は、
前記洗浄ブラシ(9)の前記引き込み位置で、前記洗浄ブラシ(9)の前記剛毛(91)が前記ハウジング(11)内に収容される、及び、
前記洗浄位置で、前記洗浄ブラシ(9)の前記剛毛(91)が前記ハウジング(11)から延出して空気流(F,F’)の作用により前記光学部(7)の外表面を掃き取ることができる、
ようになっている請求項11に記載の光学検出システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援の分野に関し、特に、何らかの車両に設置されるビデオカメラ等の光学検出システムに関する。本発明は、とりわけ、ドライバーに供給される情報の質が最適であるようにするべく特に運転を支援するためのこの種の光学検出システムを洗浄するための装置に関する。また、本発明は、前述した類の光学センサ及び洗浄装置を含む後方確認システム等の光学検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学検出システムは、人の目に見える又は見えないスペクトルの光、特に赤外線スペクトルの光の放射及び/又は検出に基づいてビデオカメラ、レーザセンサ(一般にLIDARと称される)センサ又は他のセンサなどの光学センサを含む任意のシステムである。
【0003】
今日、ビデオカメラ、特に後方確認カメラは、多くの自動車両に取り付けられており、特に、方向転換することなく駐車スペース内により容易に駐車できるようにするとともに車両の背後に位置される障害物を検出できるようにする駐車支援システムの一部を成す。
【0004】
車両のリヤウインドウに対して車室の内側に設置されてリヤウインドウから後方を向くビデオカメラが知られている。これらのビデオカメラは、外部の気候効果から良好に保護されるとともに、例えば、リヤウインドウを除氷して洗浄するためのシステム、例えばリヤウインドウのガラスに組み込まれる加熱ワイヤの利点を有する場合がある。
【0005】
しかしながら、視角が駐車を支援するのに最適ではなく、このため、ビデオカメラが車両のリヤバンパーの位置に或いはリヤナンバープレートの位置にあることが好ましい。したがって、この場合、ビデオカメラは、その光学部(optic)上に堆積されることにより光学部の効果を低下させ或いは更には光学部を動作不能ならしめる場合があるしぶきや汚れにかなり晒される。特に、雨が降っている場合、雨や汚れの飛散は、この種のカメラを含む後方確認システムなどの光学検出システムの操作性に大きな影響を与え得る。ビデオカメラの光学部の表面は、それらが正しく機能することを保証するために洗浄されなければならない。
【0006】
また、例えばサイドミラーを補完する及び/又はサイドミラーに取って代わるためにビデオカメラが車両の前部に又は車両の側部に装着された自動車両も知られている。前部及び/又は側部にあるこれらのビデオカメラも、それらが正しく機能することを保証するために洗浄される必要がある。
【0007】
ビデオカメラ上の汚れの堆積に対抗するべく、ビデオカメラの光学部を洗浄するための装置、一般的には洗浄液ノズルをビデオカメラの近傍に設けて、経時的に堆積される汚染要素を排除することが知られている。
【0008】
従来技術の1つの例が本出願人名義の文献FR2841488であり、この文献では、ノズルが洗浄液を加圧下でビデオカメラの光学部上へ、具体的には例えばビデオカメラを保護する窓上へ噴射する。しかしながら、この視覚システムの動作を最適化できるのが分かる。実際に、洗浄液がカメラの光学部上に噴射された後、液滴が保護窓に付着されたままとなる場合があり、それにより、ビデオカメラによって生成される画像の質が低下して変形する。洗浄液の液滴の存在は、洗浄液がビデオカメラの光学部の表面上にわたって容易に流れないという事実に起因する。また、保護窓上の液滴の蒸発は、ビデオカメラにより生成される画像上で見ることができる痕跡を残す。また、噴射洗浄液がそれ単独で十分な機械的作用を与えないことから、ある種の汚れは完全に排除されず、そのため、ビデオカメラにより生成される画像の質が低下する。他の欠点は、この解決策が洗浄液の車載リザーバを車両に必要とすることであり、そのため、洗浄液リザーバが空の場合にはシステムが効果を奏しない。
【0009】
また、レンズを摺擦により洗浄するためにビデオカメラの視野に入ってくるようになっているとともに洗浄が行われた時点でビデオカメラの視野を開放するようになっているブラシを洗浄ユニットが含む解決策も知られている。ここで、洗浄は、所定の機械的なブラッシング作用によって、特に所定の動きにより所定の圧力で、一般的には光軸に対して垂直な方向で行われる。この解決策を用いると、ブラシは、レンズの形状と対を成す特定の形状を有さなければならない。動作時、ブラシは常に同じ態様でかつ同じ位置でレンズを擦る。また、この解決策は、それが多くの構成要素を必要とし、したがってその設置のために特定の体積を利用できるようにする必要があることから、比較的大きな車載作動装置を示唆する。したがって、この解決策は、高価であるとともに、搭載質量に起因して比較的非経済的であることが分かる。
【0010】
文献DE20 2009 008 219から知られる他の解決策によれば、1つの洗浄フィラメント又は2つの洗浄フィラメントが洗浄されるべき光学デバイスのレンズと対向する。1又は複数のフィラメントは、車両が移動しているときにレンズの外表面に擦り付くべく空気流によって動かされるようになっている。車両が停止されると、1又は複数のフィラメントは、光学デバイスの視野を妨げないように垂れ下がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】FR2841488
【特許文献2】DE20 2009 008 219
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、光学センサを洗浄するための代わりの装置、特に自動車両光学検出システムのための代わりの装置を提供することによって前述した欠点を少なくとも部分的に改善することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、自動車両用の光学センサを洗浄するための装置であって、光学センサが光学部を含み、洗浄装置が光学部を洗浄するための部材を含み、該洗浄部材が、
摺擦によって光学部の外表面を洗浄するための洗浄位置と、
洗浄部材が光学センサの視野を開放する引き込み位置と、
の間で移動できる装置に存する。
【0014】
本発明によれば、洗浄部材が複数の剛毛を備える洗浄ブラシの形態を成し、この剛毛は、該洗浄ブラシが洗浄位置にあるときに光学センサの光学部の前方に突出されて光学センサの光学部の外表面を掃き取るべく空気流により動かされるように構成される。
【0015】
本発明は、ビデオカメラレンズなどの光学部の表面上にわたって洗浄ブラシの剛毛を掃きわたすことに存する。剛毛の摺擦は、全ての汚れを引き離すとともに光学部の外表面を光学部のその外表面又はその任意の処理を損傷させることなく洗浄するのに十分な洗浄作用を与える。
【0016】
また、この解決策は、小さな全体サイズを有するとともに、低コストで製造され得る。
【0017】
洗浄装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を別々に又は組み合わせて更に含んでもよい。
−洗浄ブラシが複数の剛毛を部分的に受けるフェルールを含み、該フェルールは、洗浄ブラシの位置が何であれ光学センサの視野外に配置されるようになっている;
−洗浄ブラシの剛毛は、光学部の外表面を掃き取るべく光学部の表面に対して接線方向に突出されるように構成される;
−洗浄ブラシの剛毛は、光学部の表面の硬度よりも低い硬度の材料から形成される;
−洗浄ブラシが並進移動できる;
−洗浄ブラシは、光学センサの光軸に対して実質的に傾けられる並進方向で並進移動するように適合されるようになっている;
−フェルールが並進移動できる;
−洗浄装置は、並進方向に延在するガイドレール等の洗浄ブラシを案内するための手段を含む;
−洗浄装置は、洗浄ブラシを洗浄位置と引き込み位置との間で作動させるための装置を含む;
−洗浄装置は、洗浄流体を噴射するための装置を更に含み、該装置が好ましくは洗浄部材に組み込まれる;
−洗浄流体噴射装置は、フェルールの内側に、好ましくはフェルールのほぼ中心に噴射ノズルを含む;
−洗浄装置は、光学センサの前方に強制空気流を吐出させるようになっている少なくとも1つの空気吐出装置を含む;
−空気吐出装置がブロワタービンを含む;
−洗浄装置は、自動車両の速度を測定するとともに測定された速度が例えば30km/h程度の所定の閾値を下回る場合に強制空気流の吐出を命じるように構成される測定ユニットを含む。
【0018】
また、本発明は、光学センサと、該光学センサを洗浄するための先に規定された装置とを含む自動車両用の光学検出システムに関する。
【0019】
本発明の1つの態様によれば、光学検出システムは、光学センサの近傍に洗浄ブラシのためのハウジングを含み、洗浄ブラシの複数の剛毛は、洗浄ブラシの引き込み位置で洗浄ブラシの剛毛がハウジング内に収容される、及び、洗浄位置で洗浄ブラシの剛毛がハウジングから延出して空気流の作用により光学部の外表面を掃き取ることができるようになっている。
【0020】
本発明の他の態様によれば、洗浄ブラシは、剛毛を部分的に受けるフェルールを含む。このフェルールは、剛毛を保持して、ハウジング内に移動可能に装着される。ハウジングは、フェルールのための移動当接端を含む。
【0021】
他の利点及び特徴は、添付図面から本発明の説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】動作状態における光学検出システムの光学センサを洗浄するための装置の第1の実施形態を示す光学検出システムの簡略化された概略図である。
図2図1からの洗浄装置の洗浄ブラシを表す。
図3】停止時における図1からの洗浄装置を示す光学検出システムの簡略化された概略図である。
図4】動作状態における光学検出システムの光学センサを洗浄するための装置の第2の実施形態を示す光学検出システムの簡略化された概略図である。
図5】停止時における図4からの洗浄装置を示す光学検出システムの簡略化された概略図である。
図6】動作状態における光学検出システムの光学センサを洗浄するための装置の第3の実施形態を示す光学検出システムの簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
先の図では、同一の要素が同じ参照数字を有する。
【0024】
以下の実施形態は例である。説明は1つ以上の実施形態に言及するが、これは、それぞれの言及が同じ実施形態にかかわること、又は、特徴が専ら1つの実施形態だけに当てはまることを必ずしも意味しない。他の実施形態をもたらすために異なる実施形態の簡単な特徴が等しく組み合わされ又は置き換えられてもよい。
【0025】
図1は、自動車両用の光学検出システム1を概略的に示す。
【0026】
検出システム1は、例えば、自動車両の後部に、例えばバンパー又はナンバープレート(図示せず)の位置に装着されるようになっている自動車両用の後方確認システムである。また、検出システムは、例えばサイドミラーに加えて及び/又は代えて、車両の前部又は車両の側部に装着されてもよい。
【0027】
慣例により、この説明において、「前方」とは車両の通常の前進方向のことであり、また、「後方」とは反対の方向のことである。
【0028】
光学検出システム1は、光学センサ3と、光学センサ3を洗浄するための装置5とを含む。
【0029】
したがって、光学センサ3は、車両の前部に或いは代わりに車両の後部又は側部に配置され得る。
【0030】
光学センサ3は、特に、ビデオカメラなどの光学撮像センサである。光学センサ3は、例えば、CCD(電荷結合素子)センサ又は小型フォトダイオードのマトリクスから形成されるCMOSセンサである。他の変形によれば、光学センサがLIDAR(光検出及び測距)レーザセンサであってもよい。
【0031】
光学センサ3は、光軸Aを有する光学部7を含む。この光学部7は、例えば、いわゆる魚眼光学部など、光学センサ3の外側の方へ向けられる凸面を伴う凸状(ドーム状)を成す。光学部7は、一般に、光学センサ3の前部に配置されるレンズ及び/又は保護窓などの任意の光学要素から延在する。
【0032】
図2において更に良く分かるように、洗浄装置5は、光学部7を洗浄するための部材9を含む。
【0033】
洗浄部材9は、図1において見える洗浄位置と、図3において見える引き込み位置との間で移動できる。洗浄装置5が動作中のとき又は作業に入ると、洗浄部材9が引き込み位置から洗浄位置へ移動する。逆に、洗浄装置5が停止されると、洗浄部材9が洗浄位置から引き込み位置へ移動する。
【0034】
光学センサ3が動作していないときには、光学センサの視野を妨げないように洗浄装置5が作動される。洗浄装置5のこの作動は、自動車両の搭乗者によって、すなわち、手動で命じられてもよい。
【0035】
これに代えて又は加えて、洗浄装置5は、例えば光学センサ3の適切な手段により光学センサ3の光学部7上で汚れが検出されるときに作動され得る。例えば、監視アルゴリズムが使用される。汚れの検出時に洗浄装置5を自動的に作動させることができ、その場合には、これが「強制動作」と称され、及び/又は、汚れの検出は、ユーザが洗浄装置5を作動させる又は作動させないことを提案する車内のユーザの注意のためのメッセージの送信をもたらすことができる。
【0036】
更なる変形によれば又は付加的に、洗浄装置5は、好ましくは自動車両が動いている間に間欠的に作動され得る。
【0037】
車両が前進している場合であって、光学センサ3が前部に装着される場合には、前部に装着されるその光学センサ3と関連付けられる光学部7を洗浄するための装置5が作動されてもよい。逆に、車両が後進している場合であって、光学センサ3が後部に装着される場合には、後部にあるその光学センサ3と関連付けられる光学部7を洗浄するための装置5が作動される。
【0038】
作動が手動で及び/又は汚れの検出時に命じられるか及び/又はプログラミングされるかどうかにかかわらず、洗浄装置5は、所定の継続時間を伴う洗浄サイクルにわたって作動される。その継続時間は、好ましくは、車両の速度に応じて規定される。変形実施形態によれば、この継続時間を規定するために、最適な洗浄速度に中心付けられるガウス関数が計算されてもよい。例示的かつ非限定的な例として、この継続時間は、1秒以上30秒以下、好ましくは5秒以上30秒以下である。
【0039】
洗浄部材9は、図1に矢印S1で示される第1の方向に移動することにより引き込み位置から洗浄位置へ移動するとともに、図3に矢印S2で示される第1の方向と反対の第2の方向に移動することにより洗浄位置から引き込み位置へ移動する。
【0040】
洗浄位置(図1)において、洗浄部材9は、光学部に擦り付くことによって光学部7の外表面を洗浄するために、少なくとも一部が光学部7の前方に入ってくる。外表面とは、光学センサ3の反対側に配置される光学部7の表面を意味する。
【0041】
引き込み位置(図3)では、洗浄部材9が光学センサ3の視野を開放する。
【0042】
より具体的には、図2においてより良く分かるように、洗浄部材9は洗浄ブラシ9の形態を成す。「ブラシ」とは、共通の支持体92に組み付けられる複数の剛毛91を特徴とする部材を意味する。
【0043】
図1図3に示される第1の実施形態によれば、洗浄部材9の機能は、後述するように剛毛91の作用のみによって光学部7の表面を洗浄することである。
【0044】
洗浄ブラシ9の剛毛91は、図1に矢印Fで概略的に示される空気流により動かされるように構成される。
【0045】
第1の実施形態によれば、「空気流」とは、車両の前部における空気の空気力学的な流れ、及び、車両が例えば高速道路上を高速で前進しているときに車両の背後で生み出される空気圧の減少に起因して車両の後部で発生される摂動、乱流、又は、渦の両方を意味する。これら両方のケースでは、これが自然空気流と称される。図1において分かるように、自然空気流Fは、光学センサ3の光軸Aと略平行な方向に向けられる。光学センサ3が車両の前部にあるか又は後部にあるかどうかに応じて、これらの自然空気流の一方又は他方が、車両が移動しているときに作用して洗浄ブラシ9の剛毛91を動かす。
【0046】
自然空気流Fの作用により、剛毛91は、光学センサ3の光学部7の前方に、具体的には光学センサ3の光学部7の外表面の前方に突出される。空気流は、剛毛91を光学部7の外表面上へ無作為態様で吐出させることができるようにする。図1において分かるように、洗浄ブラシ9の剛毛91は、光学部7の表面に対する異なる接線方向で光学部7の表面上へ突出され得る。これは、光学部7の外表面の全てが掃かれて洗浄されるようにする。
【0047】
既知の従来技術の解決策とは対照的に、空気流Fが剛毛91を動かし、剛毛の任意の部分が光学部7の外表面を掃く。必ずしも剛毛91の自由端が洗浄ブラシ9の動きによって課される方向で光学部7の外表面に擦り付くとは限らない。また、剛毛91の最初の部分は、常に光学部7の表面上の同じ位置に入ってくるとは限らず、むしろ光学部7の表面上の異なるポイントに無作為に入ってくる。
【0048】
剛毛91は、洗浄ブラシ9が洗浄位置にあるときに剛毛91が空気流の作用に起因して光学部7の表面に達することができるように十分長く形成される。洗浄ブラシ9の剛毛91は、全てが同じ長さでないことが有益である。剛毛91の異なる長さにより、光学部7の異なる部分に達することができる。
【0049】
また、剛毛91の摺擦作用は、光学部7の表面又は光学部7の任意の表面処理を劣化させることなく全ての汚れを引き離して光学部7の表面を清浄ならしめるのに十分な洗浄作用を与える。この目的のため、剛毛91の材料は、光学部7の表面を劣化させることなく光学部7の表面上に存在する汚れを引き離すのに十分硬質又は堅いと同時に、剛毛91が空気流Fにより光学部7の表面に対して接する態様で移動されて偏向されるべく十分に柔軟である又は軽量であるように選択される。剛毛91の材料は、光学部7の表面のコーディング又は処理を破損させてはならず、この目的のために光学部7の外表面よりも軟らかくなければならない。光学センサ3は、好ましくは、レンズの前にガラス保護窓を有するビデオカメラであることが好ましく、この場合、剛毛91の材料は、ガラス保護窓のガラスや任意の表面処理よりも軟質でなければならない。剛毛91は例えば合成繊維である。
【0050】
洗浄ブラシ9の剛毛91は、好適には、付着を向上させることができるようにする、したがって光学部7上の任意の汚れをより効果的に引き離すことができるようにする複数のスケールを特徴として、毛髪と同様な態様で順応される。
【0051】
洗浄ブラシ9の剛毛91は例えば多分岐剛毛である。
【0052】
洗浄ブラシ9は、剛毛91のための支持体を形成して複数の剛毛91を部分的に受けるフェルール92を更に含む。図示の例において、剛毛91は、図2においてより良く分かるように、この洗浄ブラシ9の形状が絵筆の形状に類似するようにフェルール92の端部に固定される。
【0053】
例えばフェルール92の出口で自然空気流を光学部7へ向けて導くような構成が与えられてもよい。
【0054】
洗浄ブラシ9のフェルール92は、略長手方向の形状、例えばそれが円形断面を成す場合には円筒形状を有することができる。
【0055】
洗浄ブラシ9の位置(図1及び図3)が何であれ、フェルール92は、光学センサ3の視野外に配置される。
【0056】
光学検出システム1は、好適には、少なくとも洗浄ブラシが引き込み位置にあるときに洗浄ブラシ9のためのハウジング11を特徴とする。このハウジング11は光学センサ3の近傍に配置される。洗浄ブラシ9のハウジング11は、光学センサ3よりも上側又は下側に並んで交換可能に位置されてもよい。洗浄ブラシ9のハウジング11は、好適には、光学センサ3の周囲に可能な限り近接して位置される。洗浄ブラシ9の剛毛91の長さは、光学センサ3と洗浄ブラシ9のハウジング11との間の距離に適合するようになっていてもよい。
【0057】
図3に示されるように、洗浄ブラシ9の引き込み位置では、言い換えると、洗浄装置5が停止されるときには、洗浄ブラシ9の剛毛91がハウジング11に収容される。このとき、洗浄ブラシ9の剛毛91は光学センサ3の視野を妨げない。洗浄装置5が作業に入った又は作動された時点で、言い換えると、洗浄ブラシ9が洗浄位置(図1)にあるときには、剛毛91がハウジング11から出てもよい。このとき、剛毛91は、ハウジング11から延出するとともに、空気流、例えば自然空気流Fの作用に起因して光学部7の外表面をブラッシングできる。洗浄サイクルの終わりに、剛毛91は再びハウジング11に入る。
【0058】
洗浄ブラシ9は、好適には、任意の適切な取り外しできる固定手段によってハウジング11内に着脱可能に固定される。非限定的な例として1/4回転システムによる及び/又はクリップ留めによる固定を挙げることができる。したがって、洗浄ブラシ9は、交換可能であり、特に、交換可能な予備部品となり得る。これは、特に洗浄ブラシ9の剛毛91が摩耗されたときに有益である。
【0059】
洗浄ブラシ9は並進方向Dに並進移動できる。具体的には、フェルール92が並進移動できる。この場合、フェルール92は、ハウジング11内で移動できるように装着される。このため、ハウジング11は、フェルール92のための移動当接端を特徴とする。
【0060】
並進方向Dは、例えば、光学センサ3の光軸Aに対して実質的に傾けられる。言い換えると、この実施形態によれば、洗浄ブラシ9、具体的にはハウジング11は、光軸Aと平行に配置されない。
【0061】
洗浄ブラシ9又は具体的にはハウジング11は、好適には、光軸Aに対して垂直に配置されない。
【0062】
洗浄ブラシ9、具体的にはハウジング11は、光軸Aに対して平行でも垂直でもないことが好ましい。したがって、光軸Aと洗浄ブラシ9の並進方向Dとの間の位置決め角度αは、厳格に0°よりも大きく厳格に90°未満である。1つの特定の非限定的な実施形態によれば、光軸Aと洗浄ブラシ9の並進方向Dとの間の位置決め角度αは30°〜60°程度である。
【0063】
特に、角度αが大きければ大きいほど、力Fをより小さくする必要がある。
【0064】
洗浄を最適化するために、洗浄装置5の動作中に角度αを変えるように構成される装置を付加することが想起されてもよい。
【0065】
また、洗浄装置5は、好適には、洗浄ブラシがその2つの位置間で移動する際にこの例では並進する洗浄ブラシ9を案内するための手段13を含む。洗浄ブラシ9を案内するための手段13は、例えば、光軸Aに対して傾けられる並進方向Dで示される例によれば、並進方向Dに延在するガイドレールを含む。
【0066】
洗浄ブラシ9をここでは並進移動させるために、洗浄装置5は、洗浄ブラシ9を洗浄位置と引き込み位置との間で作動させるための装置15を更に含む。
【0067】
図4及び図5には第2の実施形態が示される。図1図3に関連する第1の実施形態の説明が同一の構成要素に当てはまり、そのため、ここでは違いのみを説明する。
【0068】
この第2の実施形態は、洗浄流体、すなわち、洗い流体又は濯ぎ流体、好ましくは洗浄液の噴射をもたらすことによって洗浄装置5が更に改良されるという点において図1図3に関連して説明された第1の実施形態とは異なる。この場合、光学部7の表面は、光学部7の表面に対する剛毛91の作用と洗浄流体の噴射とを組み合わせることによって洗浄される。
【0069】
洗浄流体噴射装置17は、好適には、洗浄部材9に組み込まれてもよい。図示しない変形例によれば、洗浄流体噴射装置17を洗浄部材9と並んで配置することができ、この場合、噴射装置17は、剛毛が配備される及び/又は光学部7の外表面上にあるときに剛毛91の方向で洗浄流体を噴射するようになっていてもよい。
【0070】
例えば噴射ジェット型の洗浄流体噴射装置17は、洗浄流体を噴射するようになっている少なくとも1つの噴射ノズル171を含んでもよい。この噴射ノズル171を洗浄ブラシ9に組み込むことができる。特に、噴射ノズル171を例えばフェルール92のほぼ中心でフェルール92の内側に配置できる。この結果として、流体、特に洗浄液は、洗浄ブラシ9の剛毛91上にわたって毛管作用により流れる。洗浄液中に浸される剛毛91は、それらが空気流Fにより動かされるときに光学部7の表面の洗浄を容易にする。
【0071】
洗浄流体噴射装置17は洗浄流体入口172を更に含む。この入口172は、例えば、噴射ノズル又はノズル171を洗浄流体タンク(図示せず)に接続する。この目的のためにポンプが設けられてもよい。これは、例えばワイパーシステムのタンク及びポンプであってもよい。
【0072】
洗浄装置5は、洗浄ブラシ9の作動に応じて洗浄流体の噴射を命じるように構成される制御ユニット(図示せず)を含んでもよい。
【0073】
洗浄流体噴射装置17が洗浄ブラシ9に組み込まれる場合、洗浄流体は、剛毛91がハウジング11の外側にある段階中に噴射されることが好ましい。
【0074】
図示しない変形例によれば、特に噴射装置17が洗浄ブラシ9の内側に配置されずに洗浄ブラシと並んで配置されるときには、洗浄流体は、光学部7の外表面上への剛毛91の突出の前、最中、又は、後に噴射されてもよい。
【0075】
洗浄液を加熱するための手段が更に設けられてもよい。これは、センサ3の凸状の光学部7を除氷するために特に有益である。
【0076】
図6には第3の実施形態が示される。図1図5に関連する第1の実施形態及び第2の実施形態の説明が同一の構成要素に当てはまり、そのため、ここでは違いのみを説明する。
【0077】
この第3の実施形態によれば、洗浄ブラシ9の剛毛91を動かすことができるようにする空気流は、特に先に言及された空気力学的現象をもたらすのに十分な速度で車両が走行していないときには、強制空気流F’、すなわち、命令時に吐出される流れであってもよい。例えば、洗浄装置5は、光学センサ3の前方に強制空気流を吐出させるようになっているブロワタービン19などの少なくとも1つの空気吐出装置19を含んでもよい。ブロワタービン19は、吐出される強制空気流F’が光学センサ3、特にその凸状の光学部7と同一平面内にあるように光学センサ3の一方側に配置され得る。これは、特に、圧縮された強制空気流F’である。強制空気流F’は好適には空気の層流である。
【0078】
加えて、洗浄装置5は、自動車両の速度を測定するとともに測定された速度が所定の閾値を下回るときに強制空気流F’の吐出を命じるように構成される測定ユニットを含んでもよい。したがって、ここではむしろ、街中で走行する都市車両の状況が論点である。非限定的な例として、所定の閾値が30km/h程度であってもよい。このように車両の速度が不十分であると分かれば、洗浄ブラシ9の剛毛91を動かすために強制空気流F’が自然空気流に取って代わる。
【0079】
また、ブロワタービン19は、第2の実施形態に関連して説明されたように光学部7の表面上へ及び/又は洗浄ブラシ9の剛毛91上へ洗浄液を噴射することを洗浄が含むときには、光学部7及び剛毛91の乾燥を促進させることができるようにもする。
【0080】
勿論、この第3の実施形態を第1又は第2の実施形態と組み合わせることができる。特に、強制空気流F’の吐出は、車両の速度が洗浄ブラシ9の剛毛91を動かすための自然空気流Fを生み出すのに十分である場合に命じられてもよい。この場合、この強制空気流F’は、洗浄を向上させるために自然空気流Fに対して付加的である。
【0081】
したがって、本発明に係る洗浄装置5は、車両が移動している段階中に空気力学的現象により引き起こされる自然空気流Fのおかげにより及び/又は例えば車両の速度が不十分であるときには強制空気流F’の助けにより、光学部7から任意の汚れを引き離すことができるようにする。洗浄ブラシ9の剛毛91が自然空気流又は強制空気流により動かされるため、この解決策は、車両に搭載する複雑な作動装置を必要としない。したがって、光学部7の有効な洗浄は、スペースの節約を伴って既知の従来技術の解決策よりも低いコストで得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
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