(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-197340(P2017-197340A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】スライダーボード及びスライダーボードを用いた荷物の運搬方法
(51)【国際特許分類】
B65G 7/02 20060101AFI20171006BHJP
B64F 1/32 20060101ALN20171006BHJP
【FI】
B65G7/02 Z
B64F1/32
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-89529(P2016-89529)
(22)【出願日】2016年4月27日
(11)【特許番号】特許第6142944号(P6142944)
(45)【特許公報発行日】2017年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】511043909
【氏名又は名称】株式会社Kグランドサービス
(71)【出願人】
【識別番号】591206500
【氏名又は名称】株式会社 ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】石田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小寺 久志
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
(57)【要約】
【課題】荷物の運搬の簡易化及び低コスト化を実現することができるスライダーボード及びスライダーボードを用いた荷物の運搬方法を提供する。
【解決手段】表面に荷物搬送方向へ直線リブ16が並列配置されたスライダーボード10に設けられた平坦なスライドボード部12を荷物室62の入口64の床面62Aに載置し、スライドボード部12に対して架橋部30を介して段違いとなるように連接された平坦な支持部34をベルトローダ50の端部50Aに載置し、ベルトローダ50上を流れる荷物Nを架橋部30に乗上げさせ、スライドボード部12上を摺動させて荷物室62の奥方向へ搬入する、もしくは、荷物室62の奥方向にある荷物Nをスライドボード部12上及び架橋部30上を摺動させてベルトローダ50上へ搬出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に荷物搬送方向に沿って突状リブが並列配置された平坦なスライドボード部と、
前記スライドボード部と段違いとなるように設けられた平坦な支持部と、
一端部が前記スライドボード部の荷物搬送方向一端部に連接され、他端部が前記支持部に連接され、表面に前記スライドボード部の前記突状リブに平行な突状リブが並列配置された架橋部と、
を有するスライダーボード。
【請求項2】
前記架橋部は、前記スライドボード部の裏面側へ湾曲しており、
前記スライドボード部の裏面には滑止め部材が接着されている、
請求項1に記載のスライダーボード。
【請求項3】
表面に荷物搬送方向へ突状リブが並列配置されたスライダーボードに設けられた平坦なスライドボード部を荷物室の入口の床面に載置し、
前記スライドボード部に対して架橋部を介して段違いとなるように連接された平坦な支持部を搬送装置の端部に載置し、
前記搬送装置上を流れる荷物を前記架橋部に乗上げさせ、更に前記スライドボード部上を摺動させて前記荷物室の奥方向へ搬入する、もしくは、前記荷物室の奥方向にある荷物を前記スライドボード部上及び前記架橋部上を摺動させて前記搬送装置上へ搬出する、
スライダーボードを用いた荷物の運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の運搬時に用いられるスライダーボード及びスライダーボードを用いた荷物の運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を航空機の荷物室内から積み降ろす際、又は荷物室内へ積み込む際(いわゆる搭降載の際)には、航空機の側面に設けられた荷物室の入口近傍にベルトローダ等の搬送装置を配置し、荷物室内から搬送装置又は搬送装置から荷物室内へ荷物を移動させて搬出又は搬入を行っている。
【0003】
搭降載時に搬送装置を航空機の近傍に配置した際、航空機の機体に最も接近する搬送装置の先端(例えば、ベルトローダのローラコンベア部先端)が機体にぶつかって機体が損傷することを防ぐため、通常、航空機の荷物室の入口と搬送装置の先端との間に、ある程度の隙間を空ける必要がある。
【0004】
このため、荷物室の入口と搬送装置の先端との隙間では、作業員が人力で荷物を持ち上げて荷物室内から搬送装置又は搬送装置から荷物室内へ移動させる必要があり、重労働であるとともに搭降載に時間がかかる原因となっていた。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば特許文献1には、地上側の搬送装置のコンベヤーベルトと航空機側の貨物室扉口エリアとの間に中間搬送手段が架渡されるように設けられたシステムが開示されている。また、特許文献2には、地上側の搬送装置の第1コンベアと航空機側の貨物室扉口エリアとの間に第2コンベアが架渡されるように設けられたコンベア装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−507386号公報
【特許文献2】特表2013−534881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のシステムでは、搬送装置と航空機の間に架渡される中間搬送手段は、搬送装置に連結されており、第1搬送モジュール、第2搬送モジュール、及び第3搬送モジュールを備えている。また、特許文献2のコンベア装置では、搬送装置と航空機の間に架渡される第2コンベアは、第1コンベアに連結されており、テレスコープ式に伸張可能とされている。
【0008】
しかし、特許文献1のシステム及び特許文献2のコンベア装置では、中間搬送手段及び第2コンベアの構造が多くの可動部及び駆動部を含むことにより複雑であるため、システムや装置自体が高価である。また、可動部や駆動部に起因する故障が避けられず、保守コストがかかるために資金や保守設備に余裕のある空港以外には普及が困難であるという問題がある。
【0009】
さらに、実際の搭降載の作業においても、中間搬送手段や第2コンベアが搬送装置に固定されているため、機体を損傷しないように航空機側へ架渡すために搬送装置全体を移動させて位置調節を行う必要がある。このため、搭降載に時間がかかり、時間短縮のために多くの人員配置を要したり、フライトスケジュールに影響を及ぼしたりする問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点を考慮し、荷物の運搬の簡易化及び低コスト化を実現することができるスライダーボード及びスライダーボードを用いた荷物の運搬方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載のスライダーボードは、表面に荷物搬送方向に沿って突状リブが並列配置された平坦なスライドボード部と、前記スライドボード部と段違いとなるように設けられた平坦な支持部と、一端部が前記スライドボード部の荷物搬送方向一端部に連接され、他端部が前記支持部に連接され、表面に前記スライドボード部の前記突状リブに平行な突状リブが並列配置された架橋部と、を有する。
【0012】
上記構成によれば、例えばスライダーボードのスライドボード部を荷物室の入口の床面に置き、入口の前に所定の隙間を開けて配置された搬送装置のフレーム部にスライダーボードの支持部が位置するように配置することで、架橋部を橋渡しとして搬送装置上を流れる荷物を荷物室内のスライドボード部へ乗上げさせることができる。
【0013】
このとき、先ずスライダーボードの架橋部に荷物が乗上げるため、荷物はスライドボード部の端部の側断面に直接突き当たることなくスムーズにスライドボード部へ移動する。また、スライドボード部及び架橋部の表面には荷物搬送方向に沿って突状リブが並列配置されているため、載置された荷物を摺動させる場合の摺動抵抗が小さくなる。このため、荷物が重量物であっても、比較的小さい力で荷物室の奥方向へ摺動させて押し込むことができる。
【0014】
請求項2に記載のスライダーボードは、請求項1に記載のスライダーボードであって、前記架橋部は、前記スライドボード部の裏面側へ湾曲しており、前記スライドボード部の裏面には滑止め部材が接着されている。
【0015】
上記構成によれば、架橋部がスライドボード部の裏面側へ湾曲した湾曲斜面形状とされているため、荷物の荷重に対して湾曲方向からの抗力が生じる。このため、架橋部が荷物の荷重によって下方に沈み込んだり、荷物がスライドボード部の端部の側断面に直接突き当たったりする虞が少ない。
【0016】
さらに、スライドボード部の裏面に滑止め部材が接着されているため、荷物がスライドボード部へ乗上げた際に、荷物室の床面上でスライダーボードがずれ動くことを抑制することができる。
【0017】
請求項3に記載のスライダーボードを用いた荷物の運搬方法は、表面に荷物搬送方向へ突状リブが並列配置されたスライダーボードに設けられた平坦なスライドボード部を荷物室の入口の床面に載置し、前記スライドボード部に対して架橋部を介して段違いとなるように連接された平坦な支持部を搬送装置の端部に載置し、前記搬送装置上を流れる荷物を前記架橋部に乗上げさせ、更に前記スライドボード部上を摺動させて前記荷物室の奥方向へ搬入する、もしくは、前記荷物室の奥方向にある荷物を前記スライドボード部上及び前記架橋部上を摺動させて前記搬送装置上へ搬出する。
【0018】
上記構成によれば、スライダーボードを荷物室の入口と搬送装置との間に架渡すことにより、荷物室の入口と搬送装置との間で容易に荷物を運搬することができる。また、スライドボードの表面には荷物搬送方向へ突状リブが並列配置されているため、載置された荷物を摺動させる場合の摺動抵抗が小さくなる。このため、荷物が重量物であっても、比較的小さい力で摺動させることができる。
【0019】
さらに、スライダーボードの荷物が最初に乗上げる部分を、上側に凸となる湾曲斜面形状や平面斜面形状の架橋部とすることにより、スライダーボード全体を平坦形状とする構成と比較して、架橋部が荷物の荷重によって荷物室と搬送装置との隙間部分で下方に沈み込んだり、荷物がスライドボードの端部の側断面に直接突き当たったりする虞が少ない。このため、荷物をスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、荷物の運搬の簡易化及び低コスト化を実現することができるスライダーボード及びスライダーボードを用いた荷物の運搬方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)は本発明の実施形態に係るスライダーボードの斜視図であり、(B)はそのB−B線断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスライダーボードを荷物室の入口と搬送装置との間に架渡した状態を示す斜視図である。
【
図3】(A)は
図2における荷物室の入口を正面から見た状態を示す正面図であり、(B)は
図2における荷物室の入口を横から見た状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るスライダーボード及びスライダーボードを用いた荷物の運搬方法の一例について、
図1〜
図3を参照して説明する。
【0023】
(スライダーボード)
本実施形態のスライダーボード10は、射出成形されたポリアセタール(POM)等の樹脂材料から成り、
図1に示すように、スライドボード部12と、スライドボード部12の長手方向一端部に接合されたガイドボード部14と、を備えている。
【0024】
スライドボード部12は矩形の平坦な薄板状部材であり、表面側(
図1(B)における上面側)及び裏面側(
図1(B)における下面側)にそれぞれ突出する断面三角形形状の複数の直線リブ16、及び斜めリブ18が形成されている。また、直線リブ16は、スライドボード部12の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並列配置されている。
【0025】
一方、斜めリブ18は、直線リブ16に対して斜めに交差するよう互いに間隔をあけて並列配置されている。なお、スライドボード部12の表面側及び裏面側における斜めリブ18の突出高さは、直線リブ16の突出高さより低くされている。
【0026】
また、直線リブ16と斜めリブ18との間は、スライドボード部12の表面から裏面へと貫通している。すなわち、直線リブ16及び斜めリブ18によって、スライドボード部12がメッシュ状(網目状)とされている。
【0027】
なお、
図1(A)に示すように、スライドボード部12には、スライドボード部12の中央部から端部へと放射状に延びる放射状リブ19が形成されている。このため、スライドボード部12の射出成形時に、図示しない金型へ射出した樹脂が交差部(合流部)で滞留せずに、樹脂流路の末端部まで全体に亘って満遍なく流れる。
【0028】
スライドボード部12の長手方向一端部(
図1(B)における右端部)には、補強部20が設けられている。補強部20はメッシュ状(網目状)とされておらず、補強部20の表面及び裏面には、直線リブ16に平行な縦リブ22と縦リブ22に直交する横リブ24とが格子状に形成されている。このため、補強部20はスライドボード部12と比較して強度が高くなっている。
【0029】
なお、縦リブ22及び横リブ24は、断面が三角形形状とされており、補強部20の表面側及び裏面側における横リブ24の突出高さは、縦リブ22の突出高さより低くされている。また、補強部20は、スライドボード部12に対して裏面側に一段低くされた段差部26と、段差部26に形成され、スライドボード部12の長手方向に沿って間隔をあけて配置された複数(本実施形態では5箇所)の貫通孔28と、を備えている。
【0030】
また、スライドボード部12の裏面には、接着剤によって滑止め用のシート44が接着されている。シート44はウレタン樹脂から成り、スライドボード部12の裏面の段差部26以外の部分を全面にわたって覆っている。
【0031】
ガイドボード部14は、架橋部30と、架橋部30の一端部に設けられた平坦な接合部32と、架橋部30の他端部に設けられた平坦な支持部34と、を備えている。また、ガイドボード部14の表面には、補強部20と同様に、直線リブ16に平行な縦リブ36と縦リブ36に直交する横リブ38とが格子状に形成されている。
【0032】
このため、ガイドボード部14はスライドボード部12と比較して強度が高くなっている。なお、縦リブ36及び横リブ38は、断面が三角形形状とされており、ガイドボード部14の表面側における横リブ38の突出高さは、縦リブ36の突出高さより低くされている。
【0033】
架橋部30は、撓み変形可能な強度を有しており、スライドボード部12の表面側(上側)に凸となるように裏面側(下側)へ湾曲した湾曲斜面形状とされている。また、接合部32は、補強部20の貫通孔28に対応する位置に複数(本実施形態では5箇所)の貫通孔40を備えている。
【0034】
また、貫通孔28及び貫通孔40には、ブラインドリベット42が挿入されてかしめられている。つまり、ブラインドリベット42により補強部20と接合部32、すなわちスライドボード部12とガイドボード部14とが互いに連接するように接合されている。
【0035】
このとき、補強部20の縦リブ22及び接合部32の縦リブ36の高さがブラインドリベット42の頭の高さより高くされているため、ブラインドリベット42の頭はスライダーボード10の表面及び裏面から突出しない。また、スライドボード部12の表面とガイドボード部14の接合部32の表面とは、同じ高さ(同一平面上)とされる。
【0036】
支持部34は、接合部32に対して架橋部30を介して連接されており、接合部32(スライドボード部12)より一段(本実施形態では50mm〜100mm)低い位置とされている。なお、支持部34の位置や架橋部30の曲率等はスライダーボード10が配置される場所や用途によって適宜定められる。
【0037】
(荷物の運搬方法)
スライダーボード10は、
図2、
図3に示すように、ベルトローダ50を用いた航空機60の荷物室62への荷物Nの搭降載時に使用される。
【0038】
ベルトローダ50は、
図3(B)に示す駆動軸52A周りに回転駆動されるコンベア52を備えており、コンベア52の高さ及び角度は図示しない調節機構によって調節可能とされている。一方、航空機60は、機体60Aの側面に荷物室62の入口64が形成されており、機体60Aの内部の奥方向へと荷物室62の床面62Aが延出している。
【0039】
なお、
図3(A)に示すように、荷物室62の入口64の下端部64Aは、航空機60の機体60Aの曲線に沿って湾曲している。このため、本実施形態では、下端部64Aの
図3(A)における左側が右側と比較して約30mm高くなっている。
【0040】
航空機60の荷物室62内に荷物Nを搭載する場合には、まず、ベルトローダ50の端部50Aを航空機60の荷物室62の入口64近傍に配置する。このとき、ベルトローダ50が機体60Aにぶつかることを防ぐため、
図3(B)に示すように、ベルトローダ50の端部50Aは、航空機60の荷物室62の入口64の下端部64Aに対して斜め下方向に隙間を空けて配置される。
【0041】
次に、2枚のスライダーボード10A、10Bを荷物室62の入口64とベルトローダ50との間に架渡す。具体的には、スライダーボード10A、10Bのスライドボード部12を荷物室62の床面62Aに載置し、スライダーボード10A、10Bの支持部34をベルトローダ50の端部50Aに載置する。
【0042】
このとき、スライダーボード10(スライダーボード10A、10B)の長手方向が荷物Nの搬送方向とされる。なお、荷物室62の入口64の下端部64Aの
図3(A)における左右の高さが異なっているため、下端部64Aとベルトローダ50の端部50Aとの距離も異なっている。このため、スライダーボード10Aとスライダーボード10Bは異なる高さとされている。
【0043】
具体的には、
図3(A)における左側のスライダーボード10Aの高さL1は80mmとされており、
図3(A)における右側のスライダーボード10Bの高さL2は50mmとされている。
【0044】
次に、直線リブ46を備えた複数のボード48を、荷物Nの搬送経路に沿って航空機60の荷物室62の床面62Aに載置する。そして、荷物Nをベルトローダ50のコンベア52上に載置し、コンベア52を回転駆動することにより荷物Nをベルトローダ50の端部50Aまで搬送する。
【0045】
ベルトローダ50の端部50Aまで搬送された荷物Nは、
図3(B)に示すように、そのままスライダーボード10(スライダーボード10A、10B)の架橋部30に乗上げる。架橋部30はスライダーボード10の裏面側へ湾曲しているため、架橋部30に乗上げた荷物Nは、荷物Nの荷重によって撓み変形した架橋部30の抗力により押上げられる。
【0046】
このとき、荷物Nを押すことにより、架橋部30の縦リブ36上を摺動させて荷物Nをスライドボード部12に乗上げさせる。その後、さらに荷物Nを押すことにより、スライドボード部12の直線リブ16上、及びボード48の直線リブ46上を摺動させて荷物Nを荷物室62の奥方向へ搬入する。
【0047】
航空機60の荷物室62内から荷物Nを降載する場合には、荷物室62の奥方向の荷物Nを、ボード48の直線リブ46上、スライドボード部12の直線リブ16上、及び架橋部30の縦リブ36上を摺動させてベルトローダ50のコンベア52上へと搬出する。なお、荷物Nの降載後は、ベルトローダ50に設けられた図示しない収容容器にスライダーボード10を収容する。
【0048】
(作用、効果)
本実施形態によれば、スライダーボード10を荷物室62の入口64とベルトローダ50との間に架渡すだけで、荷物室62の入口64とベルトローダ50との間で容易に荷物Nを運搬することができる。
【0049】
このとき、スライダーボード10の表面には、荷物Nの搬送方向である長手方向に沿って直線リブ16及び縦リブ22、36が形成されており、荷物Nは直線リブ16上及び縦リブ22、36上を摺動する。このため、荷物Nの摺動抵抗が小さくなり、荷物Nが重量物である場合であっても小さい力で荷物Nを運搬することができる。
【0050】
また、本実施形態では、スライダーボード10の荷物Nが乗上がる架橋部30が湾曲斜面形状とされており、架橋部30を橋渡しとしてベルトローダ50上を流れる荷物Nをスライドボード部12へ乗上げさせる。
【0051】
このため、スライダーボード10全体が平坦形状とされている構成と比較して、架橋部30が荷物Nの荷重によって荷物室62とベルトローダ50との隙間部分で下方に沈み込んだり、荷物Nがスライダーボード10の端部の側断面に直接突き当たったりする虞が少ない。したがって、荷物Nをスムーズに運搬することができる。
【0052】
なお、航空機60は搭載された全ての荷物Nの合計荷重により高さが上下する。すなわち、荷物Nの合計荷重が多い場合には、荷物Nの合計荷重が少ない場合と比較して荷物室62の床面62Aの高さが低くなるため、荷物室62の入口64の下端部64Aとベルトローダ50の端部50Aとの距離も変化する。
【0053】
ここで、スライダーボード10は架橋部30が撓み変形可能とされているため、荷物室62の入口64の下端部64Aとベルトローダ50の端部50Aとの距離に応じて架橋部30が撓むことで、スライダーボード10のスライドボード部12と支持部34との間の高さを微調節することができる。
【0054】
なお、架橋部30が撓んだ場合であっても、スライダーボード10は支持部34によってベルトローダ50の端部50Aに支持されているため、荷物Nを安定した状態で運搬することができる。
【0055】
また、スライドボード部の裏面にシート44が接着されているため、荷物Nがスライドボード部12へ乗上げた際に、荷物室62の床面62A上でスライダーボード10がずれ動くことを抑制することができる。
【0056】
さらに、スライダーボード10は、不使用時にはベルトローダ50の収容容器に収容される。このため、スライダーボード10を荷物室62内に保管する必要がなく荷物室62でスペースがとられない。なお、スライダーボード10は樹脂製の薄板状部材であるため、持ち運びが容易であり、容易に荷物室62の入口64とベルトローダ50との間に架渡すことができる。
【0057】
(その他の実施形態)
なお、本発明について実施形態の一例を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0058】
例えば、上記の実施形態では、スライダーボード10のスライドボード部12とガイドボード部14とをブラインドリベット42により接合する構成としていたが、スライドボード部12とガイドボード部14とは一体形成されていてもよい。
【0059】
また、スライドボード部12とガイドボード部14との接合方法としては、蝶番によって互いの角度を調整可能な状態で接合する方法や、フックによって係止する方法等、様々な方法を挙げることができる。さらに、接合せずにスライドボード部12上にガイドボード部14を載置することによって、スライドボード部12とガイドボード部14とを連接することも可能である。
【0060】
また、上記の実施形態では、スライドボード部12の裏面の段差部26以外の部分がシート44で覆われていたが、スライドボード部12の段差部26を含めた裏面全体をシート44で覆う構成としてもよい。なお、荷物室62の床面62Aが滑り難い状態とされている場合には、スライドボード部12の裏面にシート44が設けられていなくてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、架橋部30が湾曲斜面形状とされていたが、撓み変形可能な強度を有し、段違いとされたスライドボード部12と支持部34とを繋ぐことができる形状であれば、平面斜面形状等とされていてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、直線リブ16、斜めリブ18、縦リブ22、36、及び横リブ24、38の断面がひし形形状又は三角形形状とされていたが、断面は円弧形状やエッジ形状等とされていてもよい。
【0063】
さらに、上記の実施形態では、航空機60への荷物Nの搭降載時にスライダーボード10を用いていたが、スライダーボード10はトラックへの荷積み、荷降ろし時等、様々な場所で様々な用途に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 スライダーボード
12 スライドボード部
14 ガイドボード部
16 直線リブ(突状リブ)
30 架橋部
34 支持部
36 縦リブ(突状リブ)
44 シート(滑止め部材)
50 ベルトローダ(搬送装置)
50A 端部
62 荷物室
62A 床面
64 入口
N 荷物
【手続補正書】
【提出日】2017年1月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項1に記載のスライダーボードは、表面に荷物搬送方向に沿って突状リブが並列配置された平坦なスライドボード部と
、一端部が前記スライドボード部の荷物搬送方向一端部に連接され、
荷物搬送方向に延出して前記スライドボード部の裏面側へ湾曲するとともに、表面に前記スライドボード部の前記突状リブに平行な突状リブが並列配置された
板状の架橋部と、
湾曲した前記架橋部の他端部に前記スライドボード部と段違いとなるように設けられた平坦な支持部と、を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、架橋部がスライドボード部の裏面側へ湾曲した湾曲斜面形状とされているため、荷物の荷重に対して湾曲方向からの抗力が生じる。このため、架橋部が荷物の荷重によって下方に沈み込んだり、荷物がスライドボード部の端部の側断面に直接突き当たったりする虞が少ない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項2に記載のスライダーボードは、請求項1に記載のスライダーボードであって、前記スライドボード部の裏面には、ウレタン樹脂から成る滑止め部材が接着されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記構成によれば、スライドボード部の裏面に
、ウレタン樹脂から成る滑止め部材が接着されているため、荷物がスライドボード部へ乗上げた際に、荷物室の床面上でスライダーボードがずれ動くことを抑制することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項3に記載のスライダーボードを用いた荷物の運搬方法は、表面に荷物搬送方向へ突状リブが並列配置されたスライダーボードに設けられた平坦なスライドボード部を荷物室の入口の床面に載置し、
荷物搬送方向に延出して前記スライドボード部の裏面側へ湾曲する板状の架橋部を介して前記スライドボード部に対し
て段違いとなるように連接された平坦な支持部を
、搬送装置の端部に載置し、前記搬送装置上を流れる荷物を前記架橋部に乗上げさせ、更に前記スライドボード部上を摺動させて前記荷物室の奥方向へ搬入する、もしくは、前記荷物室の奥方向にある荷物を前記スライドボード部上及び前記架橋部上を摺動させて前記搬送装置上へ搬出する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に荷物搬送方向に沿って突状リブが並列配置された平坦なスライドボード部と、
一端部が前記スライドボード部の荷物搬送方向一端部に連接され、荷物搬送方向に延出して前記スライドボード部の裏面側へ湾曲するとともに、表面に前記スライドボード部の前記突状リブに平行な突状リブが並列配置された板状の架橋部と、
湾曲した前記架橋部の他端部に前記スライドボード部と段違いとなるように設けられた平坦な支持部と、
を有するスライダーボード。
【請求項2】
前記スライドボード部の裏面には、ウレタン樹脂から成る滑止め部材が接着されている、請求項1に記載のスライダーボード。
【請求項3】
表面に荷物搬送方向へ突状リブが並列配置されたスライダーボードに設けられた平坦なスライドボード部を荷物室の入口の床面に載置し、
荷物搬送方向に延出して前記スライドボード部の裏面側へ湾曲する板状の架橋部を介して前記スライドボード部に対して段違いとなるように連接された平坦な支持部を、搬送装置の端部に載置し、
前記搬送装置上を流れる荷物を前記架橋部に乗上げさせ、更に前記スライドボード部上を摺動させて前記荷物室の奥方向へ搬入する、もしくは、前記荷物室の奥方向にある荷物を前記スライドボード部上及び前記架橋部上を摺動させて前記搬送装置上へ搬出する、
スライダーボードを用いた荷物の運搬方法。