【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の組成物は、(A)大麦の茎及び/又は葉と、(B)乳酸菌と、(C)カルシウムと、(D)キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する。以下、これらの成分についてそれぞれ説明する。なお、本明細書では、「葉及び/又は茎」を、葉、茎又はその両方を表わす用語として茎葉ともよぶことがある。
【0018】
(A)大麦の茎及び/又は葉
大麦は通常知られているとおりの中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本である大麦(Hordeum vulgare L.)であれば特に限定されない。
【0019】
大麦の茎葉は、茎葉から得られる各種の加工物であってもよい。そのような加工物としては、例えば、大麦の茎葉の乾燥粉末、大麦の茎葉の細片化物及びその乾燥粉末、大麦の茎葉の搾汁及びその乾燥粉末、大麦の茎葉の抽出物及びその乾燥粉末などが挙げられるが、これらに限定されない。ただし、加工、貯蔵、運搬などの容易性や使用形態の汎用性や、食物繊維を豊富に含むといった観点から、大麦の茎葉の乾燥粉末であることが好ましい。
【0020】
例えば、大麦の茎葉を乾燥粉末化するには従来公知の植物体を乾燥粉末化する方法を用いることができる。そのような方法としては、大麦の茎葉に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。乾燥粉末化は、この方法に、さらに必要に応じてブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。
【0021】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、遠赤外線乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の植物体を乾燥する方法により行われ得る。加熱による乾燥は、例えば、40℃〜140℃、好ましくは低温乾燥時の温度は40℃〜70℃程度にて、高温乾燥時の温度は70℃〜100℃程度にて、加温により茎葉が変色しない温度及び時間で行われ得る。また、乾燥処理の回数は1回又は2回以上としてもよく、例えば、遠赤外線などを用いて40〜70℃程度にて数時間〜数十時間で低温乾燥処理に供した後に、80℃〜100℃程度にて数時間〜数十時間で高温乾燥処理に供することなどが挙げられる。
【0022】
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、手作業やクラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された大麦の茎葉は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30〜250メッシュを通過するものを大麦の茎葉の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、さらなる加工時に大麦の茎葉の粉末が取り扱いやすくなり、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、大麦の茎葉の粉末と他の素材との均一な混合が容易になる。また、粉砕処理の回数は1回又は2回以上としてもよく、例えば、手作業などで粗粉砕処理に供した後に、粉砕機などを用いてより細かく粉砕する微粉砕処理に供することなどが挙げられる。
【0023】
具体的な大麦の茎葉の乾燥粉末化の方法としては、例えば、大麦の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる(特開2004−000210号公報を参照)。この他にも、例えば、大麦の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法(特開2002−065204号公報、特許第3428956号公報を参照);大麦の茎葉を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法(特開2003−033151号公報、特許第3277181号公報を参照)などが挙げられる。
【0024】
大麦の茎葉を細片化する方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。細片化の一例として、スラリー化してもよい。スラリー化は、大麦の茎葉をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、大麦の茎葉をどろどろした粥状(液体と固体との懸濁液)にすることにより行う。このようにスラリー化することにより、茎葉は、細片の80質量%以上が、好ましくは平均径1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下、なおさらに好ましくは0.05mm以下となるように細片化され、流動性を有するようになる。
【0025】
大麦の茎葉を搾汁する方法は特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉又はその細片化物を圧搾する方法、該細片化物を遠心やろ過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。より具体的には、特開平08−245408号公報、特開平09−047252号公報、特開平5−7471号公報、特開平4−341153号公報などに記載の方法が挙げられ、これらの公知の方法を当業者が適宜選択して実施できる。
【0026】
大麦の茎葉の抽出物を得る方法は特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉又はその細片化物に、エタノール、水、含水エタノールなどの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて攪拌や加温して抽出する方法などを挙げることができる。抽出物は、必要に応じて濃縮してもよい。
【0027】
(B)乳酸菌
乳酸菌は、代謝によって乳酸を生成する細菌類のことを指す。
乳酸菌は通常知られているとおりのものであれば特に限定されず、例えば、Streptococcus faecalis(Enterococcus faecalisと称されることがある)、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Streptococcus thermophilus及びBacillus coagullansなどが用いられるが、人由来で安全性が高いといった観点から、Streptococcus faecalisが特に好ましい。これらの乳酸菌は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの乳酸菌の入手方法としては、特に制限はなく、例えばヨーグルトや野菜などの食品から単離された乳酸菌や市販品を用いてもよい。
【0028】
(C)カルシウム
カルシウムは、元素記号Caで表される金属元素であり、カルシウム単体だけでなく、カルシウムと他の元素や陰イオンが結合した化合物のことも指す。
カルシウムは通常知られているとおりのものであれば特に限定されず、例えば、市販の炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウムなどの無機塩又は有機塩が用いられる。これらの中でも、炭酸カルシウムが安定性や風味の観点から好ましい。炭酸カルシウムを用いる場合、その由来は特に限定されないが、卵殻カルシウム、ホタテ貝殻カルシウム、サンゴカルシウムなどが好ましく、安全性が高いといった観点から、サンゴカルシウムが特に好ましい。これらのカルシウムは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
(D)キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種
以下、(D)成分についてそれぞれ説明する。
【0030】
(1)キャベツ発酵エキス
キャベツ発酵エキスは、キャベツを発酵させることにより得られる。キャベツは通常知られている通りのアブラナ科に属する一年生又は越年生草本であるキャベツ(Brassica Oleracea L.)であれば特に限定されない。
【0031】
キャベツの発酵に用いる菌の種類は特に限定されず、乳酸菌、酵母菌、麹菌、納豆菌などを用いることができるが、発酵物の味が良く、安全性が高いという点から、乳酸菌を用いることが特に好ましい。これらの菌は、単独でキャベツの発酵に用いてもよいし、複数の菌を同時に添加して発酵に用いてもよいし、段階的に異なる菌を添加して発酵に用いてもよい。キャベツを発酵させる方法には、例えば、キャベツに乳酸菌を添加して発酵する方法、乳酸菌は添加せず、キャベツに付着している乳酸菌を利用する方法などがあるが、本発明においてはそれらに限定されない。
【0032】
乳酸菌を添加し、キャベツを発酵させる方法としては、例えば、先ずキャベツを水洗いし、カッターで粉砕し、水および植物性乳酸菌(例えば、ラクトバチルス・プランタラム:乾燥粉末でも良い)を添加し、よく攪拌して、適切な温度で所定時間保持する方法がある。キャベツを発酵させた後には、発酵物をそのまま発酵エキスとしても良い。または、遠心分離して上清を回収し、減圧濃縮して発酵エキスとして用いても良いし、濃縮後、凍結乾燥などの手段で乾燥粉末(エキス末)としても良い。あるいは、これらのエキスをさらに加熱殺菌し、デキストリンを加えてスプレードライすることにより乾燥粉末(エキス末)とすることもできる。本発明に用いられるキャベツ発酵エキスには、これらの例示したキャベツ発酵エキス、乾燥粉末(エキス末)、ペーストなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0033】
(2)葛花処理物
葛花処理物の葛は、通常知られている通りのマメ科に属する越年生草本である葛であれば特に限定されない。葛の種類としては、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)、プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)、プエラリア・ミリフィカ(Pueraria mirifica)などが挙げられるが、花に含まれる有効成分が多い点から、プエラリア・トムソニイが特に好ましい。葛花処理物とは、葛花に乾燥処理、粉砕処理、および抽出処理のうちの少なくとも1種の処理を施して得られるものをいう。葛花とは、蕾から全開した花までの段階で採取した葛の花をいう。
【0034】
葛花の乾燥処理としては、例えば、葛花、好ましくは蕾の段階の葛花を、日干し、熱風乾燥などにより乾燥する方法が挙げられる。
【0035】
葛花の粉砕処理としては、例えば、採取した葛花を、マスコロイダー、スライサー、コミトロールなどを用いて破砕して葛花破砕物を得、この葛花破砕物を乾燥する方法が挙げられる。
【0036】
葛花の抽出処理としては、例えば、葛花乾燥物に溶媒を添加し、必要に応じて加温して、抽出を行い、遠心分離または濾過により抽出液を回収する方法が挙げられる。
【0037】
(3)葉酸、ビタミンC及びビタミンD
葉酸、ビタミンC及びビタミンDは、ビタミン類として知られている。
葉酸、ビタミンC及びビタミンDとしては、特に限定されないが、化粧品や飲食品の原料として利用される市販のものを用いることができる。
【0038】
大麦の茎葉、乳酸菌、カルシウム、キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDは、その取得方法について特に限定されず、その種類に応じて、収穫したもの、天然物由来のもの、合成したもの、市販されているものなどを利用できる。これらの市販されているものとしては、例えば、実施例に記載のものが挙げられる。
【0039】
大麦の茎葉の含有量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されないが、例えば、本発明の組成物の固形分中、乾燥質量で、1質量%以上95質量%以下、好ましくは10質量%以上90質量%以下、より好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以上75質量%以下である。
【0040】
乳酸菌の含有量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されないが、例えば、本発明の組成物の固形分中、乾燥質量で、0.01質量%以上40質量%以下、好ましくは0.05質量%以上25質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
【0041】
カルシウムの含有量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されないが、例えば、本発明の組成物の固形分中、乾燥質量で、0.5質量%以上70質量%以下、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは2質量%以上30質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
【0042】
キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されないが、例えば、本発明の組成物の固形分中、乾燥質量で、0.01質量%以上30質量%以下、好ましくは0.05質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
【0043】
本発明の組成物において、(A)大麦の茎葉と(B)乳酸菌と(C)カルシウムと(D)キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種との配合比は本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されないが、例えば、(A):(B):(C):(D)は1:0.001〜1:0.01〜10:0.0001〜1であり、好ましくは1:0.005〜0.7:0.05〜5:0.0005〜0.7であり、より好ましくは1:0.01〜0.5:0.1〜3:0.001〜0.5である。
【0044】
また、(A)〜(D)の4成分の配合比は本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されないが、例えば、全体を100として、(A):(B):(C):(D)=70〜90:10〜20:0.1〜5:0.1〜5であり、好ましくは75〜85:12〜18:1〜3:1〜3である。
【0045】
本発明の組成物は、風味や色合いを向上させる目的や、種々の目的に応じて、大麦の茎葉、乳酸菌、カルシウム、キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンD以外のその他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。その他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば特に限定されず、組成物の剤形や品質などに応じて適宜選択することができ、例えば、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。
【0046】
例えば、本発明の組成物に、ローヤルゼリー、ポリフェノール、プロテイン、アミノ酸、キトサン、レシチンなどを含有させて、本発明の組成物に栄養補助としての機能を付与するようにしてもよい。また、本発明の組成物の味を整えることを目的として、糖液や調味料を含有させてもよい。その他の成分の使用量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜調整される。
【0047】
本発明の組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。本発明の組成物の形態としては、例えば、飲食などの経口摂取に適した形態、具体的には粉末状、粒状、細粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。これらの形態の中でも、粉末状、粒状、細粒状、顆粒状であることが好ましく、カルシウム吸収促進作用及び皮膚バリア機能改善作用をより高めることができることから、粉末状であることが特に好ましい。本発明の組成物を粉末として用いる場合は、必要な時に調製でき、摂取しやすいことから、粉末飲料用組成物とすることが好ましい。なお、粉末飲料用組成物とは、組成物中の粉末状成分を水や乳などの液体中に分散又は溶解することにより液状物として摂取する形態のものをいう。
【0048】
また、本発明の組成物の形態としては、例えば、化粧料としての外用に適した形態、具体的には化粧水、美容液、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック、石鹸、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングミルク、洗顔料などの各形態が挙げられる。これらの形態の中でも、化粧水、美容液、乳液、クリームであることが好ましい。
【0049】
本発明の組成物の使用量は、1回使用量及び1日使用量ともに特に限定されない。
【0050】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、使用態様に応じて当業者に知られる一般的な製造方法に準じて製造され得る。例えば、顆粒状や固形状のものについては、大麦の茎葉と、乳酸菌と、カルシウムと、キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種と、上記のその他の成分とを同時又は数段階に分けて混和したものを、流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法などの造粒方法にしたがって造粒して顆粒状とし、さらに打錠機などを用いる常法にしたがって圧縮成形することによって錠状に成形できる。
【0051】
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【0052】
本発明の組成物は、後述する実施例において例証されるとおり、大麦の茎葉、乳酸菌、カルシウムのみを含有するものと比べて、カルシウム吸収を促進し、かつ、皮膚バリア機能を改善するものである。このような本発明の組成物は、大麦の茎葉に含まれる食物繊維及びカルシウムの種々の機能を同時に得ることを期待する使用者や、皮膚バリア機能を改善することを期待する使用者に対して、格別顕著に有用なものである。
【0053】
また、本発明の組成物は、大麦の茎葉及びカルシウムと組み合わせられる乳酸菌、キャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDなどを摂取することができるものであることから、これらに基づく副次的な効果を奏し、使用者の健康維持に資する。
【0054】
本発明の組成物は、生体に対して一定の機能性を有する飲食品である機能性飲食品の形態又は機能性飲食品に配合されるものとすることができる。機能性飲食品は、例えば、特定保健用飲食品、機能性表示飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品などのいわゆる健康飲食品;乳児用飲食品、妊産婦用飲食品、高齢者用飲食品などの特定者用飲食品を包含する。さらに機能性飲食品は、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示(Health claim)が適用される健康飲食品を包含する。
【0055】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0056】
[試験例1 カルシウム吸収試験]
(試験方法)
37℃、5%CO
2インキュベーター内で、75cm
2フラスコを用いて、ヒト大腸癌由来細胞(Caco−2)を培養した。培地はDMEM培地に10% FBS、1% MEM Non−essential Amino Acid Solution(通常培地) を添加したものを用いた。
トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm
2フラスコからインサートウェルに4.0×10
4cells/wellの細胞密度で播種した。
37℃、5%CO
2インキュベーター内で約10〜12日間培養し、monolayerを作製した。
【0057】
通常培地で後述の表1に示す各濃度に調製した被験物質を24wellプレート(基底膜側ウェル)に600μL、インサートウェル(粘膜側ウェル)に100μL添加し、CO
2インキュベーター内で72時間培養した。コントロールには通常培地を用いた。
インサートウェルをHBSS−Hepes Buffer(以下、Buffer)にて洗浄後、600μLのBufferが入った24wellプレートに移し、粘膜側ウェルに90μLのBufferを添加後、CO
2インキュベーター内で30分間順化した。
【0058】
順化後、10mg/mLに調製したサンゴ由来カルシウム(カルシウム濃度30%以上)を粘膜側ウェルに10μL添加しCO
2インキュベーター内で3時間培養した。
培養後、粘膜側ウェルのBufferを回収し、遠心分離し、上清550μLを遠心エバポレータを用いて乾固した。
乾固後、30μLの1N−HClに溶解し、メタロジェニクス製のメタロアッセイカルシウム(Ca) 測定LS (CPZ3)を用いてカルシウム濃度を測定した。
Bufferにて溶解した塩化カルシウム溶液550μLを乾固し、1N−HCl 30μLに溶解したものを用いて検量線を作製し、検量線を用いてカルシウム濃度の算出を行った。
【0059】
各試験物質によるカルシウム吸収率は下記の式にて算出した。
カルシウム吸収率(%)
% of control=(各試験物質を添加したサンプルのカルシウム濃度) /(コントロールのカルシウム濃度)×100
【0060】
また、コントロールのカルシウム吸収率からの変化値を下記の式にて算出した。
カルシウム吸収率(変化値)=(各試験物質を添加したサンプルのカルシウム吸収率)−100
【0061】
(測定結果)
各試験区の配合物質、カルシウム添加量、及び測定したカルシウム吸収率(変化値)を表1に示す。各試験区のカルシウム添加量及びカルシウム吸収率(変化値)以外の数値は各成分の最終濃度を示し、単位はいずれもμg/mLである。
【0062】
なお、表1に記載された大麦の茎葉は東洋新薬社製の大麦若葉末、乳酸菌は市販のEnterococcus faecalis、キャベツ発酵エキスは東洋新薬社製のキャベツ発酵エキス、葛花処理物は東洋新薬社製の葛の花エキス、葉酸はナカライテスク社製の葉酸、ビタミンCはWAKO社製のビタミンC、ビタミンDはナカライテスク社製のビタミンD3を用いた。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、大麦の茎葉及び乳酸菌を含む比較例1ではカルシウム吸収促進作用は見られなかったが、さらにキャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択されるいずれか1種を併用した実施例1〜実施例5では、カルシウム吸収率が相乗的に増加した。特に、実施例1及び実施例5については、相乗効果が顕著であった。したがって、本発明の組成物はカルシウム吸収に優れており、大麦の茎葉由来の食物繊維及びカルシウムの種々の機能を同時に得ることを目的として利用できることが分かる。
【0065】
[試験例2 皮膚バリア機能改善試験]
皮膚バリア機能改善試験は、各試験区で皮膚バリア関連遺伝子であるIVLの遺伝子発現量を測定することにより行った。
【0066】
(試験方法)
37℃、5%CO
2インキュベーター内で、75cm
2フラスコを用いて、正常ヒト表皮角化細胞(PromoCell製)をKeratinocyte growth medium(PromoCell製、以下、角化細胞増殖培地)にて培養した。
トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm
2フラスコから24 well plateに4.0×10
4cells/wellの細胞密度で播種した。
37℃、5%CO
2インキュベーター内で24時間前培養した。
【0067】
培養後、各wellより培地を除去し、角化細胞増殖培地にて後述の表2に示す各濃度に調製した被験物質含有培地を500μLずつ添加し、CO
2インキュベーター内で24時間培養した。コントロールには角化細胞増殖培地を用いた。
培養後、培地を除去しRneasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて細胞からRNAを回収し、RNAをQuantiTect Reverse Transcription Kit(QIAGEN社製)を用いてcDNAへと合成した。得られたcDNAを用いてIVL遺伝子のmRNA発現量を測定した。解析は相対定量により行い、GAPDH(ハウスキーピング遺伝子)を内部標準としてmRNA量を補正した。PrimerにはQIAGEN社製のQuantiTect Primer Assay(IVL:QT00082586、GAPDH:QT01192646)を用いた。
【0068】
各試験物質のIVLのmRNA発現率は下記の式にて算出した。
IVLのmRNA発現率(%)
% of control = (各試験物質を添加したサンプルのIVLのmRNA発現量) /(コントロールのIVLのmRNA発現量)×100
【0069】
また、コントロールのIVLのmRNA発現率からの変化値を下記の式にて算出した。
IVLのmRNA発現率(変化値)=(各試験物質を添加したサンプルのIVLのmRNA発現率)−100
【0070】
(測定結果)
各試験区の配合物質と、測定したIVLのmRNA発現率(変化値)を表2に示す。各試験区のIVLのmRNA発現率(変化値)以外の数値は各成分の最終濃度を示し、単位はいずれもμg/mLである。なお、表2に記載された各成分は、試験例1で用いたものと同じものを用いた。
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示すように、大麦の茎葉、乳酸菌及びカルシウムを含有する比較例7に対して、さらにキャベツ発酵エキス、葛花処理物、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択されるいずれか1種を併用した実施例6〜10は、IVLのmRNA発現率が相乗的に増加した。特に、実施例6、実施例7及び実施例9については、相乗効果が顕著であった。したがって、本発明の組成物はIVLのmRNA発現を促進し、それによって皮膚バリア機能を改善することが分かる。