【解決手段】粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂のペレットであって、ペレットの平均短径が1.5mm以上、真球度(長径/短径)が1〜1.6であり、嵩密度が0.710g/ml以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレット、並びに、粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂を押出機で溶融混練した後に、水と空気のミスト状態にあって温度が95〜140℃の範囲にある冷却媒体中に押出しカッティングするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂の球状ペレットであって、ペレットの平均短径が1.5mm以上、真球度が1〜1.6であり、嵩密度(JIS K5101−12−1に準拠して測定)が0.710g/ml以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレット。
粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂を押出機で溶融混練した後に、水と空気のミスト状態にあって温度が95〜140℃の範囲にある冷却媒体中に押出しカッティングすることを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について実施形態および例示物を示して詳細に説明するが、本発明は当該実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
なお、本願明細書において、「〜」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0014】
本発明のポリカーボネート樹脂ペレットは、粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂の球状ペレットであって、ペレットの平均短径が1.5mm以上、真球度が1〜1.6であり、嵩密度が0.710g/ml以上であることを特徴とする。
また、本発明のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法は、粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂を押出機で溶融混練した後に、水と空気のミスト状態にあって温度が95〜140℃の範囲にある冷却媒体中に押出しカッティングすることを特徴とする。
【0015】
本発明に使用するポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられ、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂であり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
【0016】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルなど公知のものが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂の好ましい例としては、ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とを併用したポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0017】
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に制限はないが、通常、界面重合法(ホスゲン法)または溶融法(エステル交換法)の方法で製造される。
【0018】
界面重合法における重合反応は、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)および芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。分子量調節剤の添加は、ホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は、例えば、0〜40℃で、反応時間は、例えば、数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
【0019】
ここで、反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
【0020】
分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノールおよびp−長鎖アルキル置換フェノールなどが好ましく挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは50〜0.5モル、より好ましくは30〜1モルである。
【0021】
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0022】
溶融法について説明すると、この方法における重合反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネートおよびジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示される。炭酸ジエステルは、好ましくはジフェニルカーボネートまたは置換ジフェニルカーボネートであり、より好ましくはジフェニルカーボネートである。
【0023】
溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量および末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。通常、溶融エステル交換反応においては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用い、中でも1.001〜1.3モル、特に1.01〜1.2モル用いることが好ましい。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
【0024】
本発明で使用するポリカーボネート樹脂は、上記界面重合法および溶融法のいずれで製造されたものでもよい。
【0025】
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、粘度平均分子量Mvが10000〜19000のものを用いる。Mvがこのような範囲にあるものは、ペレット同士が付着したり、互着ペレットが生成しやすく、またペレット内部に気泡が発生しやすい、さらには切粉が発生しやすいという問題があるが、本発明のペレット並びにその製造方法がこれらの問題を解決することが見い出された。Mvが10000を下回ると、ペレット形状が不定形となりやすく、また成形品の強度が低下しやすく、19000を超えるとカット性が悪くなりやすく、また流動性が不十分となり、薄肉成型品の成形が困難となる。粘度平均分子量Mvは、好ましくは10500以上であり、より好ましくは11000以上、さらに好ましくは11500以上であり、また、より好ましくは18000以下、さらに好ましくは17000以下、特に好ましくは16000以下である。
【0026】
ここで、粘度平均分子量Mvは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10
−4Mv
0.83 から算出される値である。また極限粘度[η]は、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[η
sp]を測定し、下記式により算出した値である。
【数1】
【0027】
なお、ポリカーボネート樹脂は、2種以上のポリカーボネート樹脂を併用しても良く、また、粘度平均分子量Mvが10000〜19000の範囲を外れるものを併用して全体として10000〜19000の分子量に調整したものを用いてもよい。
【0028】
本発明で使用するポリカーボネート樹脂は、透過率と色相を向上させるために、ポリアルキレングリコールを含有することが好ましい。
ポリアルキレングリコールは、直鎖アルキレンエーテル単位を有する重合体、分岐アルキレンエーテル単位を有する重合体、あるいはこれらの共重合体であってもよい。
【0029】
直鎖アルキレンエーテル単位を有する重合体としては、下記一般式(I)で表される直鎖アルキレンエーテル単位を有する重合体が挙げられる。
【化1】
(式中、nは3〜6の整数である。)
【0030】
また、分岐アルキレンエーテル単位を有する重合体としては、下記(II−1)〜(II−4)で表される単位から選ばれる分岐アルキレンエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体が挙げられる。
【化2】
(式(II−1)〜(II−4)中、R
1〜R
10は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、それぞれの式(II−1)〜(II−4)において、R
1〜R
10の少なくとも1つ以上は炭素数1〜3のアルキル基である。)
【0031】
直鎖アルキレンエーテル単位及び分岐アルキレンエーテル単位を有する共重合体としては、上記一般式(I)で表される直鎖アルキレンエーテル単位(B1)と上記一般式(II−1)〜(II−4)で表される単位から選ばれる分岐アルキレンエーテル単位を有する共重合体が挙げられる。共重合体(B)は、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0032】
上記一般式(I)で示される直鎖アルキレンエーテル単位としては、それをグリコールとして記載すると、nが3であるトリメチレングリコール、nが4であるテトラメチレングリコール、nが5のペンタメチレングリコール、nが6のヘキサメチレングリコールが好ましく挙げられ、より好ましくはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコールである。
【0033】
上記一般式(II−1)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(2−メチル)エチレングリコール、(2−エチル)エチレングリコール、(2,2−ジメチル)エチレングリコールなどが挙げられる。
【0034】
上記一般式(II−2)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(2−メチル)トリメチレングリコール、(3−メチル)トリメチレングリコール、(2−エチル)トリメチレングリコール、(3−エチル)トリエチレングリコール、(2,2−ジメチル)トリメチレングリコール、(2,2−メチルエチル)トリメチレングリコール、(2,2−ジエチル)トリメチレングリコール、(3,3−ジメチル)トリメチレングリコール、(3,3−メチルエチル)トリメチレングリコール、(3,3−ジエチル)トリメチレングリコールなどが挙げられる。
【0035】
上記一般式(II−3)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(3−メチル)テトラメチレングリコール、(4−メチル)テトラメチレングリコール、(3−エチル)テトラメチレングリコール、(4−エチル)テトラメチレングリコール、(3,3−ジメチル)テトラメチレングリコール、(3,3−メチルエチル)テトラメチレングリコール、(3,3−ジエチル)テトラメチレングリコール、(4,4−ジメチル)テトラメチレングリコール、(4,4−メチルエチル)テトラメチレングリコール、(4,4−ジエチル)テトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0036】
上記一般式(II−4)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(3−メチル)ペンタメチレングリコール、(4−メチル)ペンタメチレングリコール、(5−メチル)ペンタメチレングリコール、(3−エチル)ペンタメチレングリコール、(4−エチル)ペンタメチレングリコール、(5−エチル)ペンタメチレングリコール、(3,3−ジメチル)ペンタメチレングリコール、(3,3−メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(3,3−ジエチル)ペンタメチレングリコール、(4,4−ジメチル)ペンタメチレングリコール、(4,4−メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(4,4−ジエチル)ペンタメチレングリコール、(5,5−ジメチル)ペンタメチレングリコール、(5,5−メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(5,5−ジエチル)ペンタメチレングリコールなどが挙げられる。
【0037】
以上、アルキレンエーテル単位を便宜的にグリコールを例として記載したが、これらグリコールに限らず、これらのアルキレンオキシド、あるいはこれらのポリエーテル形成性誘導体も同様に記載したものと理解されたい。
【0038】
また、上記したポリアルキレングリコール重合体又は共重合体の末端基はヒドロキシル基であることが好ましい。しかし、その片末端あるいは両末端がアルキルエーテル、アリールエーテル、アラルキルエーテル等、あるいは脂肪酸エステル、アリールエステル等で封鎖されているものを配合しても、その性能発現に影響はなく、エーテル化物またはエステル化物が同様に使用できる。
【0039】
アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、炭素数1〜22のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等であり、ポリアルキレングリコールのメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ラウリルエーテル、ステアリルエーテル等が好ましく例示できる。
【0040】
アリールエーテルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6〜22、より好ましくは炭素数6〜12、さらに好ましくは炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。アラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜23、より好ましくは炭素数7〜13、さらに好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
【0041】
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1〜22の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、例えば、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸である。
【0042】
アリールエステルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6〜22、より好ましくは炭素数6〜12、さらに好ましくは炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。末端封止する基は、アラルキル基であってもポリカーボネート樹脂と良好な相溶性を示すことから、アリール基と同様の作用を発現でき、アラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜23、より好ましくは炭素数7〜13、さらに好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
【0043】
ポリアルキレングリコール重合体又は共重合体の数平均分子量としては、200〜5000であることが好ましく、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上であり、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3000以下である。上記範囲の上限を超えると、ポリカーボネート樹脂との相溶性が低下するので好ましくなく、また上記範囲の下限を下回ると成形時にガスが発生するので好ましくない。
なお、ここでいうポリアルキレングリコール重合体の数平均分子量は、JIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出される数平均分子量である。
【0044】
ポリアルキレングリコール重合体としては、中でも、テトラメチレンエーテル単位、トリメチレンエーテル単位または2−メチルエチレンエーテル単位からなる単独重合体、テトラメチレンエーテル単位と2−メチルエチレンエーテル単位からなる共重合体、テトラメチレンエーテル単位と3−メチルテトラメチレンエーテル単位からなる共重合体、テトラメチレンエーテル単位と2,2−ジメチルトリメチレンエーテル単位からなる共重合体が特に好ましい。
【0045】
ポリアルキレングリコール重合体または共重合体を含有する場合の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜4質量部である。より好ましい含有量は0.15質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、特に好ましくは2.5質量部以下、最も好ましくは2質量部以下である。含有量が0.1質量部を下回ると、色相や黄変の改善が不十分となりやすく、4質量部を超えると、ポリカーボネート樹脂の白濁により透過率が低下しやすくなるとともに、押出機による溶融混練の際にストランドの断線が多発しやすく、ペレットの作成が困難となりやすい。
【0046】
また、ポリカーボネート樹脂は、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤などの各種添加剤を含有することができる。これらの添加剤は一種または二種以上を配合してもよい。これらのうち、特に、熱安定剤と酸化防止剤を用いることが好ましい。
【0047】
熱安定剤としては、特に制限はないが、例えばリン系化合物が好ましく挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
【0048】
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイト化合物が好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
【0049】
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
【0050】
また、酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
【0051】
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、BASF社製「イルガノックス1010」(登録商標、以下同じ)、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
【0052】
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
【0053】
本発明のペレットは、上記した粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂の球状ペレットであって、ペレットの平均短径が1.5mm以上、真球度が1〜1.6であり、嵩密度(JIS K5101−12−1に準拠して測定)が0.710g/ml以上であることを特徴とする。
球状ペレットとは、完全な真球状でなくてもよく、略球体状、略楕円球体状、略卵形状等を意味する。
【0054】
ペレットの平均短径は1.5mm以上であるが、短径とはペレットの最も短い径を意味し、長径はペレットの最も長い径を意味する。平均短径が1.5mmに満たないペレットは比表面積が大きくなり吸湿し易く、成形時にヘーズが発生し易くなる。好ましい平均短径は1.8mm以上であり、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは2.1mm超であり、また好ましくは4mm以下、より好ましくは3.5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。
ペレットの平均長径は、真球度が1〜1.6にあることを条件に、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは4.5mm以下、さらに好ましくは4mm以下であり、特に好ましくは3.8mm以下であり、またその下限は好ましくは1.5mm、より好ましくは2mm、さらに好ましくは2.5mm、特に好ましくは3mmである。
平均短径と平均長径は、具体的には無作為に抽出したペレット100個について測定した短径の値または長径の値から求める平均値である。この際、球状のもの同士が連結した連球状のものを含む場合は、連結球を構成している複数の球の個々を1個のペレットとして取り扱って計算することとする。
【0055】
ペレットの真球度は1〜1.6である。ここで真球度は上記した平均長径を平均短径で除した平均長径/平均短径を意味する。真球度が1.6を超えると嵩密度が大きく成り易く、ペレット間に空気を多く含むようになり、成形時にヘーズを発生し易くなる。好ましい真球度は1.2以上であり、より好ましくは1.3以上であり、また好ましくは1.58以下である。
【0056】
本発明のペレットは、上記した短径と真球度を有するので嵩密度が高いことを特徴とし、嵩密度が0.710g/ml以上である。ここで嵩密度は、JIS K5101−12−1に準拠して測定され、その具体的な測定法の詳細は、実施例に記載されるとおりである。好ましい嵩密度は0.715g/ml以上であり、より好ましくは0.720g/ml以上であり、また好ましくは0.800g/ml以下、より好ましくは0.780g/ml以下、さらに好ましくは0.770g/ml以下、特に好ましくは0.760g/ml以下、最も好ましくは0.750g/ml以下である。
【0057】
上記したポリカーボネート樹脂ペレットは、好ましくは上記したポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂組成物を押出機で溶融混練した後に、水と空気のミスト状態にあって温度が95〜140℃の範囲にある冷却媒体中に押出しカッティングするホットカット法で製造される。
【0058】
以下、図面も参照しながら、説明する。
図1は、本発明で用いるホットカットシステムの一例を示す断面図であり、
図2は
図1のホットカットシステムを右側から見た側面図である。
【0059】
まず、ポリカーボネート樹脂は、フィーダー(定量供給機)によって、押出機上に設置されたホッパーシュートを介して押出機1に順次供給され、押出機1内で溶融混練される。押出機には一軸押出機、二軸押出機などが使用出来る。
ポリカーボネート樹脂以外の他の成分を配合する場合には、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、ブレンダーによって全成分を配合したのち、必要に応じてフィーダーを介してホッパーシュートに投入し、押出機1に供給してもよい。
溶融混練の温度は、220〜320℃の範囲であることが好ましく、240〜300℃の範囲であることが好ましい。
【0060】
溶融混練されたポリカーボネート樹脂は、押出機1の先端に設けられたダイス2から押し出され、ダイス前面に設けたカッター4でカットされる。
ダイスの好ましい形態は、
図2にも示すように、ダイプレート2の同一円周上に設けた多数の穴3を有しており、その穴径は、押出し圧、所望するペレットの寸法にもよるが、1〜5mm程度、個数は5〜200個程度である。
【0061】
ダイス2の前面には、好ましくはダイス穴3の円周中心に軸を持つ複数の刃を持つ回転カッター4が設けられ、カッター4によりカットされてペレット5となる。回転カッター4はその中心軸を通した軸に連結したモーター6によって回転駆動され、その回転数は通常100〜5000rpmの範囲である。
【0062】
本発明の方法では、ダイス2からのポリカーボネート樹脂の押し出しを、水と空気のミスト状態にあって温度が95〜140℃の範囲にある冷却媒体中に押出し、カッター4でカッティングする。ここで、ミスト状態とは水と空気の混合物が霧状(ミスト)となっている状態をいう。
ダイス2とカッターユニットはカッターフード(あるいはカッターケース)といわれるケーシング7に収容されているが、この内部を温度95〜140℃の水と空気のミスト状態とした上で押出しとカッティングを行う。ミストの温度が95℃を下回ると得られるペレットが変形して不定形になりやすく、ペレット中に気泡(ボイド)の発生が頻発し、また切粉の発生量が多くなってしまい、ミストの温度が140℃を超えると得られるペレットが互いに付着して連球状になりやすく、切粉の発生量が著しく多くなる。ミストの温度は好ましくは95〜135℃である。
【0063】
このようなミスト状態にするには、
図2に示すように、ケーシングに設けた冷却媒体注入口8、9から予め加熱した水と空気を矢印方向に注入して、得られたペレット5と共にケーシング下方の排出口10より排出させる。注入する加熱水の温度は好ましくは60〜95℃、より好ましくは65〜95℃、特には70〜95℃であることが好ましく、注入する加熱空気は好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上であり、また好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下、さらには300℃以下、特には250℃以下であることが好ましい。
また、水と空気のうち、水の割合は、注入時の水の体積割合が0.1%以上100%以下であることが好ましく、0.1%以上100%未満であることがより好ましく、さらには0.1%以上50%以下、中でも0.1%以上20%以下、とりわけ0.1%以上10%以下、特には0.1%以上7%以下であることが好ましい。
また、ミスト状の冷却媒体の圧力は常圧でもよく加圧状態にあってもよい。
【0064】
カッティングされて得られたペレット5は、冷却媒体と共にケーシング7の排出口10より排出され、脱水装置へ誘導し、乾燥してペレットを得る。
【0065】
本発明の方法で得られるポリカーボネート樹脂ペレットは、内部に気泡を発生することが極めて少ないという特徴を有する。ここで気泡とはペレット内部に内包された気泡(真空も含む)のことをいい、ボイドともいわれるものである。
気泡発生の程度は、得られたペレットから無作為に選んだ100個を目視観察して、気泡を含有しているペレットの個数nの割合%(n個/100個)として表すことができ、本発明ではこの気泡発生率(%)は好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特には5%以下が可能である。
【0066】
本発明のペレットあるいは本発明の方法によって得られたポリカーボネート樹脂ペレットは、任意の形状に成形して成形体として用いられる。成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
【0067】
特に、本発明のペレットあるいは本発明の方法で得られるポリカーボネート樹脂ペレットは、切粉の発生が少なく、内部ボイドがなく、嵩密度が高く、成形時には充填率が上がるので成形性に優れ、また流動性にも優れるので、これらの特長を生かして、特に薄肉の成形品として、電気電子機器やOA機器、カメラ等の部品に有用である。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
【0069】
[実施例1]
安定剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ADEKA社製、商品名「アデカスタブ2112」)を0.02質量%含有する粘度平均分子量Mvが13000のポリカーボネート樹脂を、東芝機械株式会社製二軸押出機「TEM37BS」で溶融混練し、株式会社シーティーイー製のホットカットシステムでペレット化した。
押出し条件は吐出量20kg/hr、スクリュー回転数200rpm、シリンダー設定温度と、フランジ、ダイス設定温度は240℃とした。ダイスの穴数は10穴、穴径3mm、2枚の刃を有する回転カッターを使用した。カッタースピードは1000rpmとした。ダイスから出てきた溶融樹脂を水と空気のミスト状態にある冷却媒体中に押出しカッティングした。
即ち、水は1l/minで蒸気配管を通し、90℃に加温して、ホットカットシステムに供給した。一方、空気はコンプレッサーで0.5MPaに昇圧し、レギュレーターで0.2MPaに下げ、200l/minの流量で株式会社八光電機製「ホットエアービーム タイプE」(9kW)に通し、180℃に昇温し、ホットカットシステムに供給した。水と空気はホットカットシステムの中でミスト状となりダイス、カッターを覆うことを確認した。そのミストの温度は熱電対で測定すると127℃であった。
【0070】
ホットカットシステムから出てきたペレットの形状は真球度の高い球状であった。得られたペレットの嵩密度を、JIS K5101−12−1に準拠された嵩密度測定装置にて測定した。具体的には株式会社セイシン企業製多機能型粉体物性測定器「マルチテスターMT−1001K」を用いて測定した。100gセルにペレットを静かに充填し、セルから出たペレットを摺り切り板にて摺り切り、容器に入ったペレット重量を求めて嵩密度とした。
【0071】
また、得られたペレットから無作為に選んだ100個を目視観察したが、気泡を含有しているペレットはなく、気泡含有ペレットの発生率は0%(0個/100個)であった。また、ペレット1個の平均重量は16mgであった。その100個のペレットについて短径と長径を測定し、平均短径と平均長径並びに真球度を求めた。平均短径が2.5mm、平均長径が3.5mm、真球度は1.40であった。
【0072】
また、得られたそのペレットを乾燥し、500gを2Lのポリエチレン製容器に入れ、株式会社誠和鉄工所製タンブラー「SKD50」に入れ、固定した後に、120分撹拌し、切粉を発生させた。容器内のペレットと切粉の全量を、水とエタノールの1/1混合溶媒1Lに入れ、軽く撹拌し濾過して、粒径が10μm〜1000μmの切粉を得た。その切粉発生量は11.5mgであった。つまりペレットに対して23ppmの切粉が発生していた。
【0073】
更に、得られたペレットをSodic社製「HSP100A」成形機を用いて61mm×112mm×0.6mmの薄板を成形した。成形条件は樹脂温度320℃、金型温度40℃、射出速度1000mm/秒、保圧40MPa、8秒、成形サイクル30秒で行った。目視でその成形板を確認したがヘーズは無かった。
通常ペレットに気泡がある場合、あるいはペレットの形状がいびつな場合に、ヘーズが発生することが知られている。それに対しヘーズは無く良好な結果であった。
評価結果を以下の表1に示す。
【0074】
[実施例2〜6]
実施例1において、供給する水の温度と量、供給する空気の温度と量を以下の表1に記載した値とした以外は実施例1と同様にして、ペレットを製造し、実施例1と同様にして、得られたペレットの形状、嵩密度、短径、長径、真球度、気泡発生率、切粉発生量、及び成形板のヘーズの有無の評価を行った。結果を以下の表1に示す。
【0075】
[実施例7〜10]
実施例1において、使用するポリカーボネート樹脂を表1に記載した粘度平均分子量(Mv)のものに変更し、供給する水の温度と量、供給する空気の温度と量を以下の表1に記載した値とした以外は実施例1と同様にして、ペレットを製造し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を以下の表1に示す。
【0076】
[実施例11]
粘度平均分子量Mvが13000のポリカーボネート樹脂100質量部に対し、数平均分子量Mnが1000の(2−メチル)エチレンエーテル単位からなる単独重合体(ポリプロピレングリコール(PPG)、日油社製、商品名「ユニオールD−1000」)を0.7質量部、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)を0.05質量部含有したポリカーボネート樹脂を、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を以下の表2に示す。
【0077】
[実施例12]
粘度平均分子量Mvが13000のポリカーボネート樹脂100質量部に対し、数平均分子量Mnが1000のテトラメチレンエーテル単位からなる単独重合体(ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、三菱化学社製、商品名「PTMG1000」)を1.0質量部、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)を0.02質量部、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダイセル社製、商品名「セロキサイド2021P」)を0.03質量部含有したポリカーボネート樹脂を、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を以下の表2に示す。
【0078】
[実施例13]
粘度平均分子量Mvが13000のポリカーボネート樹脂100質量部に対し、数平均分子量Mnが1000のテトラメチレンエーテル単位と2−メチルエチレンエーテル単位からなる共重合体(PTMG−PPG共重合体、日油社製、商品名「ポリセリンDCB−1000」)を1.0質量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブAS2112」)を0.03質量部含有したポリカーボネート樹脂を、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を以下の表2に示す。
【0079】
[実施例14]
粘度平均分子量Mvが16000のポリカーボネート樹脂100質量部に対し、数平均分子量Mnが500の(2−エチル)エチレンエーテル単位からなる単独重合体(ポリブチレングリコール(PBG)、日油社製、商品名「ユニオールPB−500」)を0.6質量部、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)を0.02質量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブAS2112」)を0.1質量部、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダイセル社製、商品名「セロキサイド2021P」)を0.05質量部含有したポリカーボネート樹脂を、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を以下の表2に示す。
【0080】
[実施例15]
粘度平均分子量Mvが16000のポリカーボネート樹脂100質量部に対し、数平均分子量Mn700の(2−エチル)エチレンエーテル単位からなる単独重合体(ポリブチレングリコール(PBG)、日油社製、商品名「ユニオールPB−700」)を0.6質量部、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)を0.02質量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブAS2112」)を0.1質量部、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダイセル社製、商品名「セロキサイド2021P」)を0.05質量部含有したポリカーボネート樹脂を、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を以下の表2に示す。
【0081】
[比較例1]
水の温度を50℃、空気の温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして、ペレットを製造した。ミストの温度は62℃であった。実施例1と同様にして評価を行った。
得られたペレットは不定形であった。無作為に選んだ100個のペレットの内82個のペレットが気泡を含んでいた(気泡発生率:82%)。切粉発生量は128ppmであった。評価結果を以下の表3に示す。
【0082】
[比較例2〜3]
実施例1において、供給する空気の温度を以下の表2に記載した値に変更した以外は同様にして、ペレットを製造し、実施例1と同様の評価を行った。比較例3では連球状のものしか得られなかった。評価結果を以下の表3に示す。
【0083】
[比較例4]
実施例1において、使用するポリカーボネート樹脂を表2に記載した粘度平均分子量(Mv)のものに変更した以外は実施例1と同様にして、ペレットを製造し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を以下の表3に示す。
【0084】
[比較例5]
実施例1において、ダイスを穴径が1mmのものに変更した上で、押出し条件を吐出量5kg/hr、カッタースピードを3000rpmにした以外は実施例1と同様にして、ペレットを製造し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を以下の表3に示す。
【0085】
[比較例6(ストランドカット法)]
実施例1でダイスから押し出して出てきたストランドをそのまま温度52℃の冷却水槽に通して冷却したのち、ペレタイザーでストランドカットした。得られたペレットは円柱状であり、気泡発生率は100%であった。また切粉発生量は257ppmであった。
結果を以下の表3に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
粘度平均分子量が10000〜19000のポリカーボネート樹脂を押出機で溶融混練した後に、水と空気のミスト状態にあって温度が95〜140℃の範囲にある冷却媒体中に押出しカッティングすることを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。