特開2017-198246(P2017-198246A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-198246(P2017-198246A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】センサ付き電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20171006BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20171006BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
   F16K31/06 320A
   F16K31/06 320Z
   F16K37/00 F
   F16K37/00 D
   H01F7/16 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-87617(P2016-87617)
(22)【出願日】2016年4月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
【テーマコード(参考)】
3H065
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H065AA01
3H065BB11
3H065CA03
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DD03
3H106EE28
3H106FB08
5E048AB01
5E048AD02
(57)【要約】
【課題】電磁弁の故障の確認を行うと同時に、流体を流したり止めたりすることを確実に検出することができるセンサ付き電磁弁を提供する。
【解決手段】固定鉄心8、可動鉄心9、及び励磁コイル7を有するアクチュエータ部4と、弁シート13が当接離間する弁座21が形成された弁部5とを備える電磁弁本体2と、励磁コイル7によって発生する磁束Rを検出する磁気センサ3とを備えるセンサ付き電磁弁1において、可動鉄心9が固定鉄心8に吸着するときの衝撃音Sを検出するコンデンサマイク12を、電磁弁本体2の上面に設けること、磁気センサ3は、磁束Rの変化を検出することにより、可動鉄心9の動きを検出すること、衝撃音Sのタイミングと磁束Rの変化のタイミングにより、電磁弁本体2の異常を検出する異常検出手段を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定鉄心、可動鉄心、及び励磁コイルを有するアクチュエータ部と、前記可動鉄心に設けられた弁体が当接離間する弁座が形成された弁部とを備える電磁弁本体と、前記励磁コイルによって発生する磁束を検出する磁気センサとを備えるセンサ付き電磁弁において、
前記可動鉄心が前記固定鉄心に吸着するときに発生する衝撃音を検出するコンデンサマイクを、前記電磁弁本体の上面に設けること、
前記磁気センサは、磁束の変化を検出することにより、前記可動鉄心の動きを検出すること、
前記磁束の変化のタイミングと前記衝撃音のタイミングにより、前記電磁弁本体の異常を検出する異常検出手段を有すること、
を特徴とするセンサ付き電磁弁。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ付き電磁弁において、
前記磁束が増加するタイミングと一致するタイミングの前記衝撃音が存在しているとき、前記電磁弁本体は正常であると判断され、前記磁束が増加するタイミングと一致するタイミングの前記衝撃音が存在しないとき、前記電磁弁本体は異常であると判断されること、
を特徴とするセンサ付き電磁弁。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ付き電磁弁において、
前記コンデンサマイクは前記可動鉄心が前記固定鉄心に離脱するときに発生する衝撃音を検出し、前記磁束が減少するタイミングと一致するタイミングの前記衝撃音が存在しているとき、前記電磁弁本体は正常であると判断され、前記磁束が減少するタイミングと一致するタイミングの前記衝撃音が存在していないとき、前記電磁弁本体は異常であると判断されること、
を特徴とするセンサ付き電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定鉄心、可動鉄心、及び励磁コイルを有するアクチュエータ部と、弁体が当接離間する弁座が形成された流路ブロック体とを備える電磁弁と、励磁コイルによって発生する磁束を検出する磁気センサとを備えるセンサ付き電磁弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流体制御用の汎用電磁弁において、流体を流したり止めたりすることが確実に行われているかどうかの確認を行うため、特許文献1に示す電磁弁が用いられていた。特許文献1の電磁弁では、配管上に音検出器を取付けている。音検出器により、可動鉄心が固定鉄心に吸着されるときと離脱するときの音を検出して、電源のON−OFF信号から、規定の時間内に動作確認信号を出力することにより、流体を流したり止めたりすることを確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−180182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電磁弁では、流体を流したり止めたりすることを確認するためには、並列に表示ランプを取り付け、コイルに通電されたかどうか確認する程度であった。そのため、電磁弁自体が故障しても通電のための表示ランプは点滅するため、故障を確認できない恐れがあった。
また、実際に流体を流したり止めたりすることで問題となるのは可動鉄心の作動である。しかし、従来の電磁弁では、弁開状態、弁閉状態、半開状態を検知するのみであって、可動鉄心自体の作動を検出していない。そのため、流体を流したり止めたりすることを確実に検出することは困難だった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、電磁弁の故障の確認を行うと同時に、流体を流したり止めたりすることを確実に検出することができるセンサ付き電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のセンサ付き電磁弁は、次のような構成を有している。
(1)固定鉄心、可動鉄心、及び励磁コイルを有するアクチュエータ部と、可動鉄心に設けられた弁体が当接離間する弁座が形成された弁部とを備える電磁弁本体と、励磁コイルによって発生する磁束を検出する磁気センサとを備えるセンサ付き電磁弁において、可動鉄心が固定鉄心に吸着するときの衝撃音を検出するコンデンサマイクを、電磁弁本体の上面に設けること、磁気センサは、磁束の変化を検出することにより、可動鉄心の動きを検出すること、衝撃音のタイミングと磁束の変化のタイミングにより、電磁弁本体の異常を検出する異常検出手段を有すること、を特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載のセンサ付き電磁弁において、磁束が増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在しているとき、電磁弁本体は正常であると判断され、磁束が増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在しないとき、電磁弁本体は異常であると判断されること、を特徴とする。
【0008】
(3)(2)に記載のセンサ付き電磁弁において、コンデンサマイクは可動鉄心が固定鉄心に離脱するときに発生する衝撃音を検出し、磁束が減少するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在しているとき、電磁弁本体は正常であると判断され、磁束が減少するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在していないとき、電磁弁本体は異常であると判断されること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記特徴を有する本発明のセンサ付き電磁弁は、以下のような作用効果を奏する。
(1)固定鉄心、可動鉄心、及び励磁コイルを有するアクチュエータ部と、可動鉄心に設けられた弁体が当接離間する弁座が形成された弁部とを備える電磁弁本体と、励磁コイルによって発生する磁束を検出する磁気センサとを備えるセンサ付き電磁弁において、可動鉄心が固定鉄心に吸着するときの衝撃音を検出するコンデンサマイクを、電磁弁本体の上面に設けること、磁気センサは、磁束の変化を検出することにより、可動鉄心の動きを検出すること、衝撃音のタイミングと磁束の変化のタイミングにより、電磁弁本体の異常を検出する異常検出手段を有すること、を特徴とするので、励磁コイルに通電後、磁束が変化したタイミングと衝撃音の発生するタイミングをみて電磁弁本体の異常を検出することができるため、電磁弁本体が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体を流したり止めたりすることを確実に検出することができる。
【0010】
(2)(1)に記載のセンサ付き電磁弁において、磁束が増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在しているとき、電磁弁本体は正常であると判断され、磁束が増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在しないとき、電磁弁本体は異常であると判断されること、を特徴とするので、磁束が増加するときと、衝撃音が発生したときが一致しているか、一致していないかにより電磁弁本体の異常を容易に検出することができる。
通常、電磁弁は、磁束が変化してから可動鉄心が動作するまで10ms以下の遅れがある。ここでいう磁束が増加するタイミングと一致するタイミングとは、数10msの範囲での一致をいい、ある程度の許容範囲を定めている。
【0011】
(3)(2)に記載のセンサ付き電磁弁において、コンデンサマイクは可動鉄心が固定鉄心に離脱するときに発生する衝撃音を検出し、磁束が減少するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在しているとき、電磁弁本体は正常であると判断され、磁束が減少するタイミングと一致するタイミングの衝撃音が存在していないとき、電磁弁本体は異常であると判断されること、を特徴とするので、磁束が減少するときと、衝撃音が発生したときが一致しているか、一致していないかにより電磁弁本体の異常を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】センサ付き電磁弁の正面図である。
図2】センサ付き電磁弁の平面図である。
図3】磁気センサ等の斜視図である。
図4図1のAA断面図であり、閉弁状態を示す。
図5図1のAA断面図であり、開弁状態を示す。
図6】電磁弁本体が正常であるときの衝撃音と磁束の変化を示したグラフである。
図7】可動鉄心が上がっていない状態のときの衝撃音と磁束の変化を示したグラフである。
図8】可動鉄心が上がった状態のままのときの衝撃音と磁束の変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のセンサ付き電磁弁1について、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。(センサ付き電磁弁の構成)
センサ付き電磁弁1の構造について図1から図5を用いて説明する。図1は、センサ付き電磁弁1の正面図である。図2は、センサ付き電磁弁1の平面図である。図3は、磁気センサ3等の斜視図である。図4、5は、図1のAA断面図であり、図4は閉弁状態を示し、図5は、開弁状態を示す。
センサ付き電磁弁1は、図1に示すように、電磁弁本体2と、磁気の大きさや向きを検知する磁気センサ3から構成される。電磁弁本体2は、アクチュエータ部4と弁部5を備える。
アクチュエータ部4には、図4に示すように、固定鉄心8と可動鉄心9が中空状のコイルボビン10に同軸上に設けられている。励磁コイル7がコイルボビン10の周りに巻回されている。固定鉄心8の一端面8aは磁極面となっており、この磁極面が可動鉄心9の他端面と対向するように同軸上に配設されている。固定鉄心8の外径は、コイルボビン10の内径とほぼ同じ径になっている。可動鉄心9の下端にはゴム製の弁シート13が嵌め込まれている。励磁コイル7の周囲は、ヨーク18、19が配設され、ヨーク18はモールド6に覆われている。
【0014】
弁部5は、アクチュエータ部4と連結する連結部材14と、流路22を備える流路ブロック体17を有する。流路ブロック体17の中央には、弁シート13と当接または離間する弁座21が形成されている。弁座21の内周部には弁孔16が形成されている。また、流路ブロック体17には、弁孔16と連通する流路22が形成されている。
弁シート13は可動鉄心9に設けられている。可動鉄心9の下端は外周に鍔部9aが形成されている。鍔部9aには、弁シート13を弁座21方向に付勢するバネ15の一端が当接されている。バネ15の他端は、連結部材14の内側に当接されている。
図4では、励磁コイル7に通電されていないので、可動鉄心9は、固定鉄心8と離間し、弁シート13は、バネ15の付勢力により弁座21に当接し、流路22と弁孔16は遮断されている。一方、励磁コイル7に通電すると、可動鉄心9が固定鉄心8に吸引されるため、図5に示すように、弁シート13は弁座21から離間し、流路22と弁孔16は連通される。
【0015】
次に、本発明の主要な部分について説明する。図1に示すように、電磁弁本体2の上面には、ケース20が取り付けられている。ケース20は、L字型のアングル24の一端により電磁弁本体2に取り付けられている。アングル24の他端は、電磁弁本体2の側面と端子箱23の間で挟持されている。ケース20内には、基板11が配置しており、基板11と固定鉄心8の間には、固定鉄心8の同軸上にコンデンサマイク12が取り付けられている。コンデンサマイク12は、可動鉄心9が固定鉄心8に吸着するときと離脱するときに発せられる衝撃音Sを検出する。基板11には、図1中左側に磁気センサ3が取り付けられている。コンデンサマイク12を取り付ける基板11に磁気センサ3を取り付けているため、コストを抑えることができる。磁気センサ3には、磁気抵抗素子を用いている。電磁弁本体2においては、励磁コイル7、固定鉄心8、可動鉄心9により磁気回路Iが構成され、励磁コイル7への通電により、磁気回路Iの磁束が増大する。磁気センサ3は、磁気回路Iからの磁束を検出し、磁束の変化を捉える。
なお、磁気センサ3、基板11、コンデンサマイク12は、請求項の「異常検知手段」に相当する。
【0016】
(センサ付き電磁弁の作用効果)
次に、センサ付き電磁弁1の作用効果について図6から図8を用いて説明をする。図6から図8では、衝撃音の変化と磁束の変化の関係を示す。図6から図8の縦軸の上段は、可動鉄心9が固定鉄心8に吸着するときと離脱するときに発せられる衝撃音Sの変化を示し、下段は磁気回路Iにおける磁束Rの変化を示す。横軸は、時間を示す。図6は電磁弁が正常であるときを示し、図7は、電磁弁が故障状態にあるとき(可動鉄心9が上がっていない状態のとき)を、図8は、電磁弁が故障状態にあるとき(可動鉄心9が上がった状態のままのとき)を示す。
【0017】
まず、正常に可動鉄心9が作動しているときを、図6を用いて説明する。励磁コイル7に通電すると、タイミングT1において磁束Rの変化が生じ、磁束RはR1からR2に増加する。正常に作動しているとき、磁束Rが増加するタイミングT1時と一致するタイミングで、固定鉄心8に可動鉄心9が吸着する際、上下に大きく振られた所定の閾値Xを超える衝撃音S1が存在する。衝撃音S1が存在すると、電磁弁本体2は正常に開弁状態になったことが分かる。
ここで、通常の電磁弁では、磁束Rの変化から可動鉄心9の動作まで10ms以下の遅れがあり、数10msの範囲の一致は許容範囲を定めている。
【0018】
励磁コイル7に通電するのをやめると、タイミングT2において磁束RはR2から減少し、元の磁束レベルに戻る。正常に電磁弁本体2が作動しているとき、磁束Rが減少するタイミングT2時と一致するタイミングで、固定鉄心8から可動鉄心9が離間する衝撃音S2が存在する。衝撃音S2を存在すると、電磁弁本体2は正常に閉弁状態になったことが分かる。
【0019】
次に、可動鉄心9が正常に作動しないとき、すなわち、可動鉄心9が吸着されず移動しないときを、図7を用いて説明する。励磁コイル7に通電すると、タイミングT3において磁束Rの変化が生じ、磁束RはR3からR4に増加する。磁束Rが増加するタイミングT3時と一致するタイミングの衝撃音Sをみると、閾値Xを超えず大きな変化はない。タイミングT3において衝撃音Sがないため、電磁弁本体2が正常に作動していないことが分かる。
また、磁束R4は、所定の閾値Yよりも低い。磁束Rは、可動鉄心9が固定鉄心8に吸着しているときは増加する傾向があるが、閾値Yに達しおらず、低い値であるため、可動鉄心9は固定鉄心8に吸着していない状態であると判断することができる。これにより、可動鉄心9は固定鉄心8に吸着しておらず、可動鉄心9が上がっていない状態であることが分かる。
励磁コイル7に通電するのをやめると、タイミングT4において磁束RはR4から減少し、元の磁束レベルに戻る。磁束Rが減少するタイミングT4時と一致するタイミングの衝撃音Sをみると、衝撃音Sの変化はない。そもそも可動鉄心9が固定鉄心8に吸着しておらず、離間もしないため、衝撃音Sはなく、可動鉄心9が上がっていない状態であることが分かる。
【0020】
次に、可動鉄心9が正常に作動しないとき、すなわち、可動鉄心9が吸着位置付近で移動しないときを、図8を用いて説明する。励磁コイル7に通電すると、タイミングT5において磁束Rの変化が生じ、磁束はR5からR6に増加する。磁束Rが増加するタイミングT5時と一致するタイミングの衝撃音Sをみると、閾値Xを超えず大きな変化はない。タイミングT5において衝撃音Sがないため、電磁弁本体2が正常に作動していないことが分かる。
また、磁束R6は、閾値Yを超えている。磁束Rは、可動鉄心9が固定鉄心8に吸着しているときは増加する傾向があるが、閾値Yを超えているため、可動鉄心9は固定鉄心8に吸着した状態であると判断することができる。これにより、可動鉄心9は固定鉄心8に吸着したままである状態であることが分かる。
励磁コイル7に通電するのをやめると、タイミングT6において磁束RはR6から減少し、元の磁束レベルに戻る。磁束Rが減少するタイミングT6時と一致するタイミングの衝撃音Sをみると、衝撃音Sの変化はない。そもそも可動鉄心9が固定鉄心8に吸着したままであるため、固定鉄心8から可動鉄心9が離間する際の衝撃音Sはなく、可動鉄心9が上がったままの状態であることが分かる。
【0021】
なお、図8における衝撃音S3のように、周囲の雑音・騒音等の衝撃音が発生している場合がある。しかし、磁束Rの変化のタイミングT5、T6で衝撃音Sの存在の有無を確認し、磁束Rの変化との衝撃音の変化の両条件を要するため、誤検知することがない。そのため、振動や騒音が多い場所でも使用することが可能である。
また、通常の電磁弁では、磁束の変化から可動鉄心の動作まで10ms以下の遅れがあり、衝撃音のタイミングにおける一致について数10msの許容範囲を定めているが、それ以上に衝撃音のタイミングが遅くなると、電磁弁の寿命の予測をすることができる。
また、磁気センサ3、基板11、コンデンサマイク12等を保護するため、ケース20に覆われており、構造が強固である。
磁気センサ3・コンデンサマイク12等は、電磁弁本体2のON・OFFとは全く別の電源で作動が可能であるため、PLCなどの条件入力として使用することが可能である。
【0022】
以上、説明したように、本発明のセンサ付き電磁弁1によれば、
(1)固定鉄心8、可動鉄心9、及び励磁コイル7を有するアクチュエータ部4と、可動鉄心9に設けられた弁シート13が当接離間する弁座21が形成された弁部5とを備える電磁弁本体2と、励磁コイル7によって発生する磁束Rを検出する磁気センサ3とを備えるセンサ付き電磁弁1において、可動鉄心9が固定鉄心8に吸着するときの衝撃音Sを検出するコンデンサマイク12を、電磁弁本体2の上面に設けること、磁気センサ3は、磁束Rの変化を検出することにより、可動鉄心9の動きを検出すること、衝撃音SのタイミングTと磁束Rの変化のタイミングTにより、電磁弁本体2の異常を検出する異常検出手段(基板11、コンデンサマイク12、磁気センサ3)を有すること、を特徴とするので、励磁コイル7に通電後、磁束Rが変化したタイミングと衝撃音Sの発生するタイミングをみて電磁弁本体2の異常を検出することができるため、電磁弁本体2が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体を流したり止めたりすることを確実に検出することができる。
【0023】
(2)(1)に記載のセンサ付き電磁弁1において、磁束Rが増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音Sが存在しているとき、電磁弁本体2は正常であると判断され、磁束Rが増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音Sが存在しないとき、電磁弁本体2は異常であると判断されること、を特徴とするので、磁束Rが増加するときと、衝撃音Sが発生したときが一致しているか、一致していないかにより電磁弁本体2の異常を容易に検出することができる。
通常、電磁弁は、磁束が変化してから可動鉄心が動作するまで10ms以下の遅れがある。ここでいう磁束が増加するタイミングと一致するタイミングとは、数10msの範囲での一致をいい、ある程度の許容範囲を定めている。
【0024】
(3)(2)に記載のセンサ付き電磁弁1において、コンデンサマイク12は可動鉄心9が固定鉄心8に離脱するときに発生する衝撃音Sを検出し、磁束Rが増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音Sが存在しているとき、電磁弁本体2は正常であると判断され、磁束Rが増加するタイミングと一致するタイミングの衝撃音Sが存在していないとき、電磁弁本体2は異常であると判断されること、を特徴とするので、磁束Rが減少するときと、衝撃音Sが発生したときが一致しているか、一致していないかにより電磁弁本体2の異常を容易に検出することができる。
【0025】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、本実施形態では、磁気センサ3は電磁弁本体2の上面に位置しているが、磁束の変化を感知することができる位置にあれば良い。
また、本実施形態では、コンデンサマイク12は固定鉄心8の直上に接触して配置しているが、固定鉄心8と可動鉄心9による衝撃音を検知すれば良く、直接接触していなくても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 センサ付き電磁弁
2 電磁弁本体
3 磁気センサ
4 アクチュエータ部
5 弁部
7 励磁コイル
8 固定鉄心
9 可動鉄心
13 弁シート
21 弁座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8