【解決手段】抽気装置70と、抽気装置70の貯室タンク71の内部圧力を検出するタンク圧力センサ76と、制御装置51とを備え、制御装置51は、貯室タンク71の内部圧力の変化が所定範囲にあり、かつ、貯室タンク71の内部圧力変化の傾きが所定値以下である場合に、吸収液のサンプリングを行うことなく、インヒビター濃度およびインヒビター濃度の低下傾向を判断する。
前記制御装置は、前記貯室タンクの内部圧力の変化が所定範囲にあり、かつ、前記貯室タンクの内部圧力変化の傾きが所定値以下であると判断した場合、報知部によりインヒビター濃度が低下している旨の予報発報を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の吸収式冷凍機。
前記制御装置は、前記貯室タンクの内部圧力変化の傾きが所定値より大きいと判断した場合、インヒビター濃度が低下している旨の予報発報を解除するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸収式冷凍機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、高温再生器、低温再生器、蒸発器、凝縮器および吸収器を備え、これらを配管接続して吸収液および冷媒の循環経路をそれぞれ形成してなる吸収式冷凍機において、抽気装置と、前記抽気装置の貯室タンクの内部圧力を検出するタンク圧力センサと、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記貯室タンクの内部圧力の変化が所定範囲にあり、かつ、前記貯室タンクの内部圧力変化の傾きが所定値以下である場合に、吸収液のサンプリングを行うことなく、インヒビター濃度およびインヒビター濃度の低下傾向を判断することを特徴とする吸収式冷凍機である。
【0012】
これにより、貯室タンクの圧力変化が生じた場合に、インヒビター濃度の低下による圧力変化なのか、真空漏れによる圧力変化なのかを正確に判断することができる。
【0013】
第2の発明は、前記制御装置は、前記貯室タンクの内部圧力の変化が所定範囲にあり、かつ、前記貯室タンクの内部圧力変化の傾きが所定値以下であると判断した場合、報知部によりインヒビター濃度が低下している旨の予報発報を行うように制御することを特徴とする吸収式冷凍機である。
【0014】
これにより、インヒビター濃度の低下による圧力変化が発生した場合に、その旨を外部に知らせることができる。
【0015】
第3の発明は、前記制御装置は、前記貯室タンクの内部圧力変化の傾きが所定値より大きいと判断した場合、インヒビター濃度が低下している旨の予報発報を解除するように制御することを特徴とする吸収式冷凍機である。
【0016】
これにより、貯室タンクの内部圧力変化傾きが所定値より大きい場合は、インヒビター濃度の低下に起因するものではなく、真空漏れが発生している可能性が高いため、インヒビター濃度が低下している旨の予報発報を解除することで、真空漏れの発報を行うことができる。
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施形態に係る吸収式冷凍機の概略構成図である。吸収式冷凍機100は、冷水または温水を図示しない負荷に循環供給することのできる吸収冷温水機であり、冷媒に水を、吸収液に臭化リチウム(LiBr)水溶液を使用したものである。
【0018】
吸収式冷凍機100は、
図1に示すように、蒸発器1と、この蒸発器1に並設された吸収器2と、これら蒸発器1および吸収器2を収納した蒸発器吸収器胴3と、ガスバーナ(加熱手段)4を備えた高温再生器5と、低温再生器6と、この低温再生器6に並設された凝縮器7と、これら低温再生器6および凝縮器7を収納した低温再生器凝縮器胴8とを備える。
また、吸収式冷凍機100は、低温熱交換器12と、高温熱交換器13と、冷媒ドレン熱回収器17と、稀吸収液ポンプ45と、濃吸収液ポンプ47と、冷媒ポンプ48とを備え、これらの各機器が吸収液管21〜25および冷媒管31〜35などを介して配管接続されて循環経路が構成されている。
【0019】
蒸発器1には、蒸発器1内で冷媒と熱交換したブラインを、図示しない熱負荷(例えば、空気調和装置)に循環供給するための冷水管14が設けられており、この冷水管14の一部に形成された伝熱管14Aが蒸発器1内に配置されている。
吸収器2および凝縮器7には、吸収器2および凝縮器7に順次冷却水を流通させるための冷却水管15が設けられており、この冷却水管15の一部に形成された各伝熱管15A、15Bがそれぞれ吸収器2および凝縮器7内に配置されている。
【0020】
吸収器2は、蒸発器1で蒸発した冷媒蒸気を吸収液に吸収させ、蒸発器吸収器胴3内の圧力を高真空状態に保つ機能を有する。この吸収器2の下部には、冷媒蒸気を吸収して稀釈された稀吸収液が溜る稀吸収液溜り2Aが形成され、この稀吸収液溜り2Aには、稀吸収液ポンプ45を有する稀吸収液管21の一端が接続されている。稀吸収液管21は、稀吸収液ポンプ45の下流側で分岐する分岐稀吸収液管21Aを備える。
この分岐稀吸収液管21Aは冷媒ドレン熱回収器17を経由した後に、稀吸収液管21の低温熱交換器12の下流側で再び稀吸収液管21に合流する。この稀吸収液管21の他端は、高温熱交換器13を経由した後、高温再生器5内に形成された熱交換部5Aの上方に位置する気層部5Bに開口している。
稀吸収液管21は、低温熱交換器12の下流側で第2分岐管21Bに分岐され、第2分岐管21Bは低温再生器6内に開口している。
【0021】
高温再生器5は、シェル60内にガスバーナ4を収容して構成され、このガスバーナ4の上方に当該ガスバーナ4の火炎を熱源として吸収液を加熱再生する熱交換部5Aが形成されている。この熱交換部5Aには、ガスバーナ4で燃焼された排気ガスが流通する排気経路40が接続され、この排気経路40には、排ガス熱交換器41が設けられている。また、ガスバーナ4には、燃料ガスが供給されるガス管61と、ブロワ62からの空気が供給される吸気管63とが接続され、これらガス管61および吸気管63には、燃料ガスおよび空気の量を制御する制御弁64が設けられている。
【0022】
熱交換部5Aの側方には、この熱交換部5Aで加熱再生された後に当該熱交換部5Aから流出した中間吸収液が溜る中間吸収液溜り5Cが形成されている。この中間吸収液溜り5Cの下端には第2中間吸収液管23の一端が接続され、この第2中間吸収液管23には高温熱交換器13が設けられている。この高温熱交換器13は、中間吸収液溜り5Cから流出した高温の中間吸収液の温熱で第1中間吸収液管22を流れる吸収液を加熱するものであり、高温再生器5におけるガスバーナ4の燃料消費量の低減を図っている。
第2中間吸収液管23の他端は、低温再生器6と吸収器2とを繋ぐ濃吸収液管25に接続されている。また、第2中間吸収液管23の高温熱交換器13上流側と吸収器2とは開閉弁V1が介在する吸収液管24により接続されている。
【0023】
低温再生器6は、高温再生器5で分離された冷媒蒸気を熱源として、低温再生器6内に形成された吸収液溜り6Aに溜った吸収液を加熱再生するものであり、吸収液溜り6Aには、高温再生器5の上端部から低温再生器6の底部に延びる冷媒管31の一部に形成される伝熱管31Aが配置されている。この冷媒管31に冷媒蒸気を流通させることにより、伝熱管31Aを介して、冷媒蒸気の温熱が吸収液溜り6Aに溜った吸収液に伝達され、この吸収液が更に濃縮される。
低温再生器6の吸収液溜り6Aには、濃吸収液管25の一端が接続され、この濃吸収液管25の他端は、吸収器2の気層部2B上部に設けられる濃液散布器2Cに接続されている。濃吸収液管25には濃吸収液ポンプ47および低温熱交換器12が設けられている。この低温熱交換器12は、低温再生器6の吸収液溜り6Bから流出した濃吸収液の温熱で稀吸収液管21を流れる稀吸収液を加熱するものである。
【0024】
また、濃吸収液管25には、濃吸収液ポンプ47および低温熱交換器12をバイパスするバイパス管27が設けられている。
濃吸収液ポンプ47の運転が停止した場合には、低温再生器6の吸収液溜り6Aに溜った吸収液は、濃吸収液管25およびバイパス管27を通じて吸収器2内に供給される。
【0025】
前述のように、高温再生器5の気層部5Bと凝縮器7の底部に形成された冷媒液溜り7Aとは、冷媒管31により接続される。この冷媒管31は、低温再生器6の吸収液溜り6Aに配管された伝熱管31Aおよび冷媒ドレン熱回収器17を備え、この冷媒管31の伝熱管31Aの上流側と吸収器2の気層部2Bとは開閉弁V2が介在する冷媒管32により接続されている。
また、凝縮器7の冷媒液溜り7Aには、この冷媒液溜り7Aから流出した冷媒が流れる冷媒管34の一端が接続され、この冷媒管34の他端は、下方に湾曲したUシール部34Aを介して蒸発器1の気層部1Aに接続されている。
蒸発器1の下方には、液化した冷媒が溜る冷媒液溜り1Bが形成され、この冷媒液溜り1Bと蒸発器1の気層部1Aの上部に配置される散布器1Cとは冷媒ポンプ48が介在する冷媒管35により接続されている。
【0026】
図2は、本実施形態の吸収式冷凍機を示す正面図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態の吸収式冷凍機100は、抽気装置70を備えており、抽気装置70は、貯室装置74を備えている。
抽気装置70の上部には、吸収器2の気層部2Bに連通する抽気管72が接続されている。抽気装置70の底部には、吸収器2の下方に連通する戻り管73が接続されている。
稀吸収液管21には、稀吸収液ポンプ45の流出口側から分岐する吸収液管75が接続されており、この吸収液管75は、途中、エジェクター77を介して、抽気装置70の上部に接続されている。
また、抽気装置70の上部には、貯室タンク71が接続されており、貯室タンク71には、貯室タンク71の内部圧力を検出するためのタンク圧力センサ76が設けられている。
そして、エジェクター77により、吸収液管75を介して稀吸収液管21の稀吸収液を抽気装置70の貯室装置74に取り込む。吸収液管75により流れ込んだ稀吸収液により、貯室装置74の内部が負圧となり、これにより、吸収器2の上部に貯留されている不凝縮ガスのみならず冷媒蒸気、気化した吸収液などが抽気管72を通って貯室タンク71の上方に導かれる。
【0027】
貯室装置74に導かれたガスのうち、冷媒蒸気と気化した吸収液は、貯室装置74の下方に溜まっている吸収液に溶け込んで吸収されるが、不凝縮ガスは吸収液に溶け込むことができないので、貯室装置74の上方に溜められる。そして、貯室装置74の下方に溜まった吸収液は、戻り管73を通って吸収器3に戻される。
【0028】
次に、本実施形態の制御構成について説明する。
図2は、本実施形態の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の吸収式冷凍機100は、コントローラ50を備えており、コントローラ50は、制御装置51を備えている。制御装置51は、吸収式冷凍機100の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPU、このCPUによって実行可能な基本制御プログラムや所定のデータ等を不揮発的に記憶するROM、RAMなどのメモリ52、その他の周辺回路などを備えている。
また、制御装置51には、タンク圧力センサ76の検出信号が入力されるように構成されている。
また、コントローラ50は、タイマ53と、操作部54と、報知部55とをそれぞれ備えている。
【0029】
コントローラ50の制御装置51は、吸収式冷凍機100のガスバーナ4の燃料制御弁64を制御することで、ガスバーナ4による燃焼制御を行うとともに、稀吸収液ポンプ45、濃吸収液ポンプ47および冷媒ポンプ48の駆動制御を行うように構成されている。さらに、コントローラ50の制御装置51は、稀吸収液ポンプ45、濃吸収液ポンプ47および冷媒ポンプ48のインバータ制御を行うことで、稀吸収液ポンプ45、濃吸収液ポンプ47および冷媒ポンプ48による流量制御を行うように構成されている。また、制御装置51は、各弁28,V1,V2の開閉制御を行うように構成されている。
【0030】
また、本実施形態においては、制御装置51は、タンク圧力センサ76により貯室タンク71の内部圧力Pを検出し、内部圧力が、例えば、7kPa/h〜10kPa/hで維持されるように抽気装置70を制御するように構成されている。例えば、貯室タンク71の内部圧力が、10kPa/hになった場合には、抽気装置70を動作させ、貯室タンク71の内部圧力を低下させ、7kPa/hになった場合には、抽気装置70を停止させるように制御するものである。
また、制御装置51は、貯室タンク71の内部圧力の変化を求める。具体的には、制御装置51は、一定時間毎(例えば、30分毎)に貯室タンク71の内部圧力を検出し、前に検出した内部圧力P1と現在の内部圧力P2とを取得し、内部圧力P1と内部圧力P2との差を求めることで、内部圧力の1時間当たりの変化を求める。
制御装置51は、内部圧力の変化が、以下の式で示すように、所定の範囲内にあるか否かを判断する。
1.0(kPa/h)≦内部圧力変化(kPa/h)≦1.6(kPa/h)
なお、この1.0kPa/h〜1.6kPa/hの範囲は、任意に設定することができ、ここで示す数値には限定されない。
【0031】
また、制御装置51は、貯室タンク71の内部圧力変化の傾き{Δ(Δp/Δt)}(kPa/h)を求める。
出願人らの研究によれば、貯室タンク71の内部圧力変化の傾きは、インヒビターの濃度が低下する場合と、真空漏れが発生する場合とでは、インヒビターの濃度が低下する場合には傾きが小さく、真空漏れが発生する場合には傾きが大きくなることがわかった。
そのため、制御装置51は、前述のように、貯室タンク71の内部圧力変化が1.0kPa/h〜1.6kPa/hの範囲にある場合において、以下の式に示すように、内部圧力変化の傾きが所定値である0.3kPa/h以下であるか否かを判断する。
貯室圧力変化の傾き{Δ(Δp/Δt)}(kPa/h)≦0.3(kPa/h)
なお、この所定値である0.3kPa/hの値は、任意に設定することができ、ここで示す数値には限定されない。
【0032】
制御装置51は、内部圧力変化の傾きが0.3kPa/h以下であると判断した場合は、報知部により、貯室タンク71の内部におけるインヒビターの濃度が低下した旨の予報発報を行うように制御する。
また、制御装置51は、内部圧力変化の傾きが0.3kPa/hより大きいと判断した場合は、報知部により、貯室タンク71の内部におけるインヒビターの濃度が低下した旨の予報発報を解除するように制御する。これは、内部圧力変化の傾きが0.3kPa/hより大きい場合は、インヒビターの濃度が低下しているのではなく、真空漏れが発生していると考えられるためであり、この場合には、報知部により真空漏れが発生している旨の発報を行うようにすればよい。
なお、本実施形態においては、コントローラ50の報知部55により予報発報を行うようにしているが、例えば、コントローラ50と有線または無線により通信可能とされた遠隔監視システムなどの外部システムにより予報発報を行うようにしてもよい。
【0033】
図4は、貯室タンク71の内部圧力と内部圧力の変化との関係を示すグラフである。
貯室タンク71の内部圧力が7kPa/h〜10kPa/hとなるように制御している場合、10kPa/h付近における内部圧力の変化が1.0kPa/h〜1.6kPa/hとなる領域が、
図4に斜線で示すように、予報発報を行う領域となる。
また、貯室タンク71の内部圧力が7kPa/h付近における内部圧力の変化が2.0kPa/h以上および貯室タンク71の内部圧力が10kPa/h以上となる領域は、真空漏れがあるとして点検発報を行う領域となる。
【0034】
次に、本実施形態の動作について説明する。
冷房などの冷却運転時においては、冷水管14を介して図示しない熱負荷にブライン(例えば、冷水)が循環供給される。制御装置51は、ブラインの蒸発器1の出口側温度(冷水出口温度センサ36にて検出される温度)が所定の設定温度、例えば7℃になるように吸収式冷凍機100に投入される熱量が制御される。
具体的には、制御装置51は、全てのポンプ45,47,48を起動し、かつ、ガスバーナ4におけるガスの燃焼制御を行うことで、冷水出口温度センサ36が計測するブラインの温度が所定の7℃となるようにガスバーナ4の火力を制御する。
【0035】
この場合、吸収器2からの稀吸収液は、稀吸収液管21を介して稀吸収液ポンプ45により低温熱交換器12および高温熱交換器13または排ガス熱交換器41を経由して加熱され高温再生器5に送られる。
高温再生器5に送られた吸収液は、この高温再生器5でガスバーナ4による火炎および高温の燃焼ガスにより加熱されるため、この吸収液中の冷媒が蒸発分離する。高温再生器5で冷媒を蒸発分離して濃度が上昇した中間吸収液は、高温熱交換器13を経由して濃吸収液管25に送られ、低温再生器6を経由した吸収液と合流する。
【0036】
一方、低温再生器6に送られた吸収液は、高温再生器5から冷媒管31を介して供給されて伝熱管31Aに流入する高温の冷媒蒸気により加熱され、さらに冷媒が分離して濃度が一段と高くなり、この濃吸収液が高温再生器5を経由した上記吸収液と合流し、濃吸収液ポンプ47により低温熱交換器12を経由して吸収器2に送られ、濃液散布器2Cから散布される。
【0037】
低温再生器6で分離生成した冷媒は、凝縮器7に入って凝縮して冷媒液溜り7Aに溜る。そして、冷媒液溜り7Aに冷媒液が多く溜まると、この冷媒液は冷媒液溜り7Aから流出し、冷媒管34を経由して蒸発器1に入り、冷媒ポンプ48の運転により揚液されて散布器1Cから冷水管14の伝熱管14Aの上に散布される。
伝熱管14Aの上に散布された冷媒液は、伝熱管14Aの内部を通るブラインから気化熱を奪って蒸発するため、伝熱管14Aの内部を通るブラインは冷却され、こうして温度を下げたブラインが冷水管14から熱負荷に供給されて冷房などの冷却運転が行われる。
そして、蒸発器1で蒸発した冷媒は吸収器2に入り、低温再生器6より供給されて上方から散布される濃吸収液に吸収されて、吸収器2の稀吸収液溜り2Aに溜り、稀吸収液ポンプ45によって高温再生器5に搬送される循環を繰り返す。
【0038】
次に、本実施形態による制御について、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。
本実施形態においては、制御装置51は、所定時間毎(例えば、30分毎)に、タンク圧力センサ76により検出される貯室タンク71の内部圧力を取得する(ST1)。制御装置51は、取得した内部圧力に基づいて、内部圧力の変化を算出する(ST2)。
そして、制御装置51は、内部圧力変化が1.0kPa/h〜1.6kPa/hの範囲にあるか否かを判断する(ST3)。
内部圧力変化が1.0kPa/h〜1.6kPa/hの範囲にあると判断した場合には(ST3:YES)、続いて、内部圧力変化の傾きが0.3kPa/h以下であるか否かを判断する(ST4)。
【0039】
内部圧力変化の傾きが0.3kPa/h以下であると判断した場合には(ST4:YES)、制御装置51は、報知部により、貯室タンク71の内部におけるインヒビターの濃度が低下した旨の予報発報を行う(ST5)。
一方、内部圧力変化の傾きが0.3kPa/hより大きいと判断した場合には(ST6:YES)、制御装置51は、報知部により、貯室タンク71の内部におけるインヒビターの濃度が低下した旨の予報発報を解除する(ST7)。
【0040】
このように予報発報を行うことにより、吸収式冷凍機100のメンテナンスを行う技術者に対して、インヒビターの濃度が低下していることを認識させることができ、真空漏れによる内部圧力変化とを明確に区別することが可能となる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態においては、抽気装置70と、抽気装置70の貯室タンク71の内部圧力を検出するタンク圧力センサ76と、制御装置51とを備え、制御装置51は、貯室タンク71の内部圧力の変化が所定範囲にあり、かつ、貯室タンク71の内部圧力変化の傾きが所定値以下である場合に、吸収液のサンプリングを行うことなく、インヒビター濃度およびインヒビター濃度の低下傾向を判断する。
これによれば、貯室タンク71の圧力変化が生じた場合に、インヒビター濃度の低下による圧力変化なのか、真空漏れによる圧力変化なのかを正確に判断することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、制御装置51は、貯室タンク71の内部圧力の変化が所定範囲にあり、かつ、貯室タンク71の内部圧力変化の傾きが所定値以下であると判断した場合、報知部によりインヒビター濃度が低下している旨の予報発報を行うように制御する。
これによれば、インヒビター濃度の低下による圧力変化が発生した場合に、その旨を外部に知らせることができる。
【0043】
また、本実施形態においては、制御装置51は、貯室タンク71の内部圧力変化の傾きが所定値より大きいと判断した場合、インヒビター濃度が低下している旨の予報発報を解除するように制御する。
これによれば、貯室タンク71の内部圧力変化傾きが所定値より大きい場合は、インヒビター濃度の低下に起因するものではなく、真空漏れが発生している可能性が高いため、インヒビター濃度が低下している旨の予報発報を解除することで、真空漏れの発報を行うことができる。
【0044】
なお、本実施形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は前記実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態では、高温再生器にて吸収液を加熱する加熱手段として燃料ガスを燃焼させて加熱を行うガスバーナ4を備える構成について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、灯油やA重油を燃焼させるガスバーナを備える構成や、蒸気や排気ガスなどの温熱を用いて加熱する構成としてもよい。