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特開2017-198823光学異方性高分子膜、有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-198823(P2017-198823A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】光学異方性高分子膜、有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20171006BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20171006BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171006BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20171006BHJP
   C08G 65/18 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
   G02B5/30
   H05B33/10
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   C08G65/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-89011(P2016-89011)
(22)【出願日】2016年4月27日
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】河村 丞治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 治
(72)【発明者】
【氏名】奥野 晴美
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 厚
(72)【発明者】
【氏名】久野 恭平
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4J005
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB02
2H149DA02
2H149DA12
2H149DB06
2H149DB15
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2H149FA52Y
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2H149FD25
2H149FD48
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC32
3K107CC45
3K107EE26
3K107FF14
3K107FF15
3K107FF17
3K107GG26
4J005AA07
4J005BB01
(57)【要約】
【課題】周囲雰囲気に影響されることなく空気中でも光重合反応を行うことができ、しかも未硬化及び白濁化が起こり難い光学異方性高分子膜の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光学異方性高分子膜の製造方法は、メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物と、2官能性オキセタン化合物及び/又は界面活性剤とを含む光重合性組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜に対して露光部を連続的に変化させながら光照射する工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物と、2官能性オキセタン化合物及び/又は界面活性剤とを含む光重合性組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に対して露光部を連続的に変化させながら光照射する工程と
を含むことを特徴とする光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項2】
前記光重合性組成物が光カチオン重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項3】
前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項4】
前記光重合性組成物における前記単官能性オキセタン化合物と前記2官能性オキセタン化合物との質量比が100:0〜85:15であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項5】
前記光重合性組成物は、前記単官能性オキセタン化合物100質量部に対して0.01〜1質量部の前記界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項6】
前記光照射時の照射強度が5mW/cm超過であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項7】
前記露光部の連続的な変化が、フォトマスクを連続的に移動させることによって行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項8】
前記フォトマスクが、0.1〜3mmの幅をもつスリットを有することを特徴とする請求項7に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項9】
前記フォトマスクの移動速度が、0.01〜8mm/sであることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項10】
前記光照射の際に50〜120℃の温度に加熱されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学異方性高分子膜の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる光学異方性高分子膜を、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム及び輝度向上フィルムからなる群から選択される少なくとも1つのフィルムとして用いることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる光学異方性高分子膜を、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム及び輝度向上フィルムからなる群から選択される少なくとも1つのフィルムとして用いることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置、液晶表示装置などの表示装置に用いられる光学異方性高分子膜の製造方法、並びにこの光学異方性高分子膜を用いた有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置、液晶表示装置などの表示装置では、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどの光学異方性高分子膜(「光学異方性フィルム」とも称される)が用いられている。このような光学異方性高分子膜の製造方法としては、従来、延伸法、ラビング法、光配向法などの様々な配向制御方法が一般に利用されてきた。
【0003】
延伸法では、ポリカーボネート樹脂などの高分子材料を延伸することにより、高分子鎖が延伸方向に配向した高分子膜を得ることができる。延伸法は、製造が容易であるものの、高分子鎖の配向方向と延伸方向とが一致しないことがある。
ラビング法では、ポリイミドなどの配向膜をラビング処理した後、この配向膜上に重合性液晶化合物を塗布して重合させることにより、高分子鎖が一方向に配向した高分子膜を得ることができる。しかしながら、ラビング法は、ラビング処理した配向膜が必要であり、ラビング処理に起因する問題(例えば、埃が発生したり、静電気の発生によって高分子膜に異物が付着し易くなったり、配向欠陥が生じたりすることがある)も生じ易い。
光配向法では、光反応性化合物(光照射によって光異性化、光二量化、光分解などを起こす化合物)を用いて光配向膜を形成した後、この光配向膜上に重合性液晶組成物を塗布して重合させることにより、高分子鎖が一方向に配向した高分子膜を得ることができる。光配向法は、ラビング処理に起因する問題が生じないものの、光配向膜を用いる必要がある。
【0004】
そこで、上記の配向制御方法の問題を解決する方法として、近年、動的な光重合を行うことによって高分子鎖の配向を制御する技術(以下、「動的光重合法」という)が提案されている(例えば、特許文献1)。動的光重合法は、配向膜を用いる必要がないため、ラビング法及び光配向法に比べて、高分子鎖が一方向に配向した高分子膜を簡易且つ効率良く製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/038260号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、動的光重合法に用いられる材料(光重合性組成物)は、光重合反応時に周囲空気中の酸素の影響を受け易いため、セル内で光重合反応を行うか、又は不活性雰囲気下で光重合反応を行う必要があった。また、動的光重合法は、露光部を連続的に変化させながら行うため、光重合性組成物の硬化(光重合反応)が不十分となることがあり、高分子膜が白濁化してしまうこともあった。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、周囲雰囲気に影響されることなく空気中でも光重合反応を行うことができ、しかも未硬化及び白濁化が起こり難い光学異方性高分子膜の製造方法、並びに当該特性を有する光学異方性高分子膜を用いた有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物と、2官能性オキセタン化合物及び/又は界面活性剤とを含む光重合性組成物が、動的光重合法に用いられる材料として特に適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物と、2官能性オキセタン化合物及び/又は界面活性剤とを含む光重合性組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜に対して露光部を連続的に変化させながら光照射する工程とを含むことを特徴とする光学異方性高分子膜の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、前記製造方法によって得られる光学異方性高分子膜を、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム及び輝度向上フィルムからなる群から選択される少なくとも1つのフィルムとして用いることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法である。
さらに、本発明は、前記製造方法によって得られる光学異方性高分子膜を、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム及び輝度向上フィルムからなる群から選択される少なくとも1つのフィルムとして用いることを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周囲雰囲気に影響されることなく空気中でも光重合反応を行うことができ、しかも未硬化及び白濁化が起こり難い光学異方性高分子膜の製造方法、並びに当該特性を有する光学異方性高分子膜を用いた有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に用いられる動的光重合法を説明するための概略縦断面図である。
図2】光学異方性高分子膜を位相差フィルムとして用いた有機EL表示装置の概略縦断面図である。
図3】光学異方性高分子膜を位相差フィルムとして用いた液晶表示装置の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の光学異方性高分子膜の製造方法は、光重合性組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜に対して露光部を連続的に変化させながら光照射する工程とを含む。
光重合性組成物は、メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物と、2官能性オキセタン化合物及び/又は界面活性剤とを含む。ここで、本明細書において「単官能性オキセタン化合物」とは、分子中にオキセタン基を1つ有する化合物のことを意味し、「2官能性オキセタン化合物」とは、分子中にオキセタン基を2つ有する化合物のことを意味する。
【0013】
メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。ここで、本明細書において「メソゲン基」とは、液晶性を発現するための剛直性を有する官能基を意味し、一般的には、シクロヘキサン骨格やベンゼン骨格等の環構造を有する。メソゲン基の例としては、特に限定されないが、安息香酸フェニル、ビフェニル、シアノビフェニル、ターフェニル、シアノターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼン、ジアゾベンゼン、アニリンベンジリデン、アゾメチン、アゾキシベンゼン、スチルベン、フェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニル、ベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエート、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、ベンゾイルアニリン、トラン及びこれらの誘導体などが挙げられる。
【0014】
メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物は、オキセタン基とメソゲン基とがアルキレン鎖などのスペーサーを介して接続された構造を有することが好ましい。その中でも、メソゲン基を有する単官能性オキセタン化合物は、下記の一般式(1)によって表される化合物が好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】
式中、Rは、水素、メチル基又はエチル基を表し、Lは、−(CH−(nは1〜12の整数)を表し、Xは、単結合、−O−、−S−、OCH−、−CHO−、−CO−、CHCH−、−CFCF−、−OCO−、COO−、−CH=CH−、CF=CF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は−C≡C−を表し、Mは、式(2)から選択される基を表し、Lは、単結合、−O−、−S−、OCH−、−CHO−、−CO−、CHCH−、−CFCF−、−OCO−、COO−、−CH=CH−、CF=CF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は−C≡C−を表し、Mは、式(3)から選択される基を表す。
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
式(2)及び(3)において、Me、Et、nPr、iPr、nBu及びtBuは、それぞれメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基及びターシャルブチル基を表す。
上記のような構造を有する単官能性オキセタン化合物は、当該技術分野において公知の方法によって製造することができる。また、このような単官能性オキセタン化合物は市販されているため、市販品を用いてもよい。
【0020】
2官能性オキセタン化合物としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。2官能性オキセタン化合物は、単官能性オキセタン化合物と同様に、配向制御性の観点から、液晶性を示すことが好ましい。したがって、2官能性オキセタン化合物もまた、メソゲン基を有することが好ましい。メソゲン基を有する2官能性オキセタン化合物は、オキセタン基とメソゲン基とがアルキレン鎖などのスペーサーを介して接続された構造を有することが好ましい。その中でも、メソゲン基を有する2官能性オキセタン化合物は、下記の一般式(4)によって表される化合物が好ましい。
【0021】
【化4】
【0022】
式中、R、L、L、X、M、Mは上記で定義した通りであり、Mは、式(5)から選択される基を表す。
【0023】
【化5】
【0024】
上記のような構造を有する2官能性オキセタン化合物は、当該技術分野において公知の方法によって製造することができる。また、このような2官能性オキセタン化合物は市販されているため、市販品を用いてもよい。
光重合性組成物における単官能性オキセタン化合物と2官能性オキセタン化合物との質量比は、特に限定されないが、好ましくは100:0〜85:15、より好ましくは99:1〜86:14、さらに好ましくは98:2〜87:13、特に好ましくは97:3〜88:12である。単官能性オキセタン化合物の割合が少なすぎる場合、配向制御性が低下することがある。
【0025】
界面活性剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。その中でも、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。ここで、本明細書において「フッ素系界面活性剤」とは、アルキル鎖中の水素原子をフッ素原子で置換した界面活性剤であり、一般的にはパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤のことを意味する。フッ素系界面活性剤は市販されているため、DIC株式会社製のメガファックシリーズ(例えば、メガファックR40、F−554、F−563)などの市販品をフッ素系界面活性剤として用いることができる。
【0026】
光重合性化合物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、単官能性オキセタン化合物100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜1質量部、より好ましくは0.02質量部〜0.9質量部、さらに好ましくは0.03質量部〜0.8質量部、特に好ましくは0.04質量部〜0.7質量部である。界面活性剤の含有量が0.01質量部未満であると、界面活性剤による効果が十分に得られないことがある。一方、界面活性剤の含有量が1質量部を超えると、配向制御性が低下することがある。
【0027】
光重合性組成物は、光重合を効率良く進行させる観点から、光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。光重合開始剤の例としては、サンアプロ株式会社製のCPI−100P、CPI−101A、CPI−200K;ダウ・ケミカル日本株式会社製のサイラキュア光硬化開始剤UVI−6990、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6992、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6976;株式会社ADEKA製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172、アデカオプトマーSP−300;三新化学工業株式会社製のサンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−180L、サンエイドSI−110、サンエイドSI−180;アイジーエムレジン社製のエサキュア1064、エサキュア1187(以上、ランベルティ社製)、オムニキャット550;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のイルガキュア250などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールスルホニウム塩タイプの光酸発生剤(光カチオン重合開始剤)であるCPI−100P及びCPI−101Aが好ましい。
【0028】
光重合性組成物が光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、単官能性オキセタン化合物及び任意の2官能性オキセタン化合物の合計100質量部に対して外割で、好ましくは0.1質量部〜25質量部、より好ましくは0.3質量部〜22質量部、さらに好ましくは0.5質量部〜20質量部、特に好ましくは1.0質量部〜18質量部である。光重合開始剤の含有量が0.1質量部未満であると、光重合開始剤による効果が十分に得られないことがある。一方、光重合開始剤の含有量が25質量部を超えると、配向制御性が低下することがある。
【0029】
光重合性組成物は、上記の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、溶媒、粘度調整剤、可塑剤、重合禁止剤などの当該技術分野において公知の成分を含むことができる。
上記の成分を含む光重合性組成物は、当該技術分野において周知の方法に準じて調製することができる。具体的には、上記の成分を混合することによって光重合性組成物を調製すればよい。
このようにして得られる光重合性組成物は、光重合反応時に空気中の酸素の影響を受け難いため、空気中でも光重合反応を行うことができる。したがって、セル内で光重合反応を行なったり、不活性雰囲気下で光重合反応を行ったりする必要がない。
【0030】
本発明の光学異方性高分子膜の製造方法では、まず、上記の光重合性組成物を基材に塗布して塗膜を形成する。
基材としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。基材の例としては、ガラス基材、プラスチック基材などを用いることができる。特に、本発明では、下記で説明する動的光重合法によって配向制御を行うため、配向規制力を持たせるための前処理(例えば、配向膜の形成、配向膜のラビング処理など)を行わなくてもよい。
【0031】
光重合性組成物の塗布方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。塗布方法の例としては、スクリーン印刷、ロールコーター又はカーテンコーターによる塗布、スプレー塗布、スピンコーティングなどを用いることができる。
基材に形成する塗膜の厚さとしては、特に限定されず、目的の設計に応じて適宜設定すればよい。塗膜の一般的な厚さは、0.1μm〜200μmである。
塗膜の形成後、必要に応じて、塗膜を加熱して乾燥させてもよい。乾燥条件は、特に限定されず、使用する光重合性組成物の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0032】
次に、塗膜に対して露光部を連続的に変化させながら光照射して光重合反応を行う。この光照射方法は、動的光重合法と称される方法であり、特許文献1(国際公開第2014−038260号)に記載された方法に準じて行うことができる。ただし、本発明の光学異方性高分子膜の製造方法では、周囲雰囲気に影響されることなく空気中でも光重合反応を行うことができる光重合性組成物を用いているため、特許文献1のようにセル内で光重合反応を行ったり、不活性雰囲気下で光重合反応を行ったりする必要がない。動的光重合法を用いることにより、大面積に配向領域が形成された光学異方性高分子膜を効率良く形成することができる。
【0033】
以下、動的光重合法について図面を参照しながら説明する。
図1は、動的光重合法を説明するための概略縦断面図である。動的光重合法を行うにあたり、基材1上に形成された光重合性組成物の塗膜2に光Lを照射する光源3と、光源3から照射される光Lを遮断すると共に移動方向Dに移動させることが可能なフォトマスク4とを、光重合性組成物の塗膜2の上方に配置する。その後、フォトマスク4を移動方向Dに連続的に移動させながら光重合性組成物の塗膜2に対して光照射を行うことにより、露光部A1を連続的に変化させる。このようにして光Lを照射すると、フォトマスク4によって遮光された遮光部A2では重合反応が進行せずに未重合の状態のままであるけれども、露光部A1では重合反応が進行する。露光部A1では、単官能性オキセタン化合物の光重合が進行し、単官能性オキセタン化合物が消費されていくため、露光部A1と遮光部A2との間において、塗膜2中の単官能性オキセタン化合物の濃度に偏りが生じる。そして、塗膜2中の単官能性オキセタン化合物の濃度に偏りが生じた場合、物質の拡散現象により、濃度勾配を解消する方向に物質の拡散が生じる。そのため、露光部A1と遮光部A2との境界Sでは、濃度勾配を解消する方向に単官能性オキセタン化合物の拡散が誘起され、遮光部A2から露光部A1へと単官能性オキセタン化合物の流れが発生する。このようにして遮光部A2から露光部A1への単官能性オキセタン化合物の流れが生じると、その流れによって単官能性オキセタン化合物にずり応力が加わり、単官能性オキセタン化合物が露光部A1と遮光部A2との境界Sの近傍の領域において配向する。なお、単官能性オキセタン化合物の移動による流れが生じる方向は、露光部A1と遮光部A2との境界Sに対して略垂直な方向となるため、単官能性オキセタン化合物及びその重合物の分子鎖5の配向方向は、露光部A1と遮光部A2との境界Sに対して略垂直な方向となる。
【0034】
動的光重合法では、フォトマスク4を移動方向Dに連続的に移動させながら光重合性組成物の塗膜2に対して光照射を行うことにより、移動方向Dに連続的に移動する境界Sの近傍の領域において単官能性オキセタン化合物の拡散による配向と光重合とを連続的に生じさせることができる。単官能性オキセタン化合物の配向が一旦始まると、液晶に特有の自己組織化力によって配向が促進されるため、効率良く配向制御を行うことが可能となる。したがって、動的光重合法を用いることにより、配向及び光重合が行われた領域を連続的に増大させることができるため、光学異方性高分子膜を効率良く製造することができる。また、配向方向は、単官能性オキセタン化合物の流れによって決まるため、フォトマスク4の形状を制御することにより、所望の方向に配向を制御した光学異方性高分子膜を製造することができる。
【0035】
光照射に用いる光源としては、特に限定されず、光重合に利用可能な公知の光源を用いることができる。光源の例としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプなどが挙げられる。
【0036】
光照射時の照射強度は、塗膜2の種類及び厚さなどの条件に応じて設定すればよく、特に限定されないが、好ましくは5mW/cm超過、より好ましくは10mW/cm〜500mW/cm、さらに好ましくは30mW/cm〜400mW/cm、特に好ましくは60mW/cm〜300mW/cmである。照射強度が5mW/cm未満であると、反応速度が遅くなり、生産性が低下することがある。
【0037】
フォトマスク4の形状としては、特に限定されないが、複数の略長方形状のスリット(開口部)を有することが好ましい。ここで、本明細書において「略長方形状」とは、長方形の形状の他、長方形の四隅が円弧状となっている形状、長方形の長辺又は短辺に対応する部分が円弧状の辺となっている形状、平行四辺形の形状などを含む概念を意味する。
フォトマスク4のスリット幅は、特に限定されないが、好ましくは0.1mm〜3mm、より好ましくは0.15mm〜2.5mm、さらに好ましくは0.2mm〜2mmである。
【0038】
フォトマスク4の移動速度としては、単官能性オキセタン化合物が配向するような速度であれば特に限定されないが、好ましくは0.01mm/s〜8mm/s、好ましくは0.02mm/s〜7mm/s、さらに好ましくは0.03mm/s〜6mm/s、特に好ましくは0.05mm/s〜5mm/sである。フォトマスク4の移動速度が0.01mm/s未満であると、所望の生産性が得られないことがある。一方、フォトマスク4の移動速度が8mm/sを超えると、単官能性オキセタン化合物を十分に配向させることができない場合がある。
【0039】
光照射は、配向制御及び光重合を効率的に行う観点から、加熱条件下で行ってもよい。加熱温度は、使用する光重合性組成物の種類に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは50℃〜120℃、より好ましくは60℃〜110℃、さらに好ましくは70℃〜100℃である。加熱温度が50℃未満であると、加熱による効果が十分に得られない。一方加熱温度が120℃を超えると、光照射の前に熱による重合が進行してしまい、配向制御ができなくなることがある。
【0040】
なお、上記においては、フォトマスク4を用いて露光部A1を連続的に変化させる方法を説明したが、一部の領域のみに光照射が可能な光源を用いて露光部A1を連続的に変化させてもよい。
【0041】
動的光重合法を実施した後、塗膜2を十分に硬化させる観点から、塗膜2の全面に対して光照射を行ってもよい。このときの光照射条件は、塗膜2が硬化するような条件であればよく特に限定されない。例えば、動的光重合法と同じ光照射条件で光照射を行なえばよい。
【0042】
上記のようにして製造される光学異方性高分子膜は、周囲雰囲気に影響されることなく空気中でも光重合反応を行うことができる動的光重合法に適した光重合性組成物を用いているため、未硬化及び白濁化が起こり難く、配向制御も良好である。
【0043】
この光学異方性高分子膜は、有機EL表示装置、液晶表示装置などの表示装置において、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどとして用いることができる。例えば、光学異方性高分子膜が有機EL表示装置において位相差フィルムとして用いられる例を図2、光学異方性高分子膜が液晶表示装置において位相差フィルムとして用いられる例を図3に示す。図2に示されるように、一対の基板11の間に有機EL表示素子12が挟持され、且つ一方の基板11上に偏光フィルム13が設けられた構造を有する有機EL表示装置において、光学異方性高分子膜10は、基板11と有機EL表示素子12との間に設けられる(a)か、又は基板11と偏光フィルム13との間に設けられる(b)。また、図3に示されるように、一対の基板11の間に液晶表示素子14が挟持され、且つ両方の基板11上に偏光フィルム13が設けられた構造を有する両面表示型の液晶表示装置において、光学異方性高分子膜10は、基板11と液晶表示素子14との間に設けられる(a)か、又は基板11と偏光フィルム13との間に設けられる(b)。
【0044】
光学異方性高分子膜は、有機EL表示装置、液晶表示装置などの表示装置を製造する際に、各表示装置を構成する部材(例えば、基板11)上に直接形成することができる。また、光学異方性高分子膜を予め作製した後、各表示装置を構成する部材(例えば、基板11)上に貼り付けてもよい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<使用原料>
・単官能性オキセタン化合物
下記式(6)で表される単官能性オキセタン化合物を用いた。
【0046】
【化6】
【0047】
この単官能性オキセタン化合物は、先ず、下記の反応式に従って式(iii)で表される化合物を合成した後、この化合物を原料として用い、式(6)で表される単官能性オキセタン化合物を合成した。
【0048】
【化7】
【0049】
すなわち、式(i)で表される3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン51.8g、パラトルエンスルホニルクロリド(p−TsCl)119.2g、水酸化ナトリウム100g、テトラヒドロフラン(THF)400mL及びイオン交換水400mLを添加して0℃で4時間混合攪拌した後、得られた溶液を飽和食塩水で3回洗浄した。この溶液に1,4−ブタノール120.8g、水酸化カリウム43.8g及びジメチルスルホキシド(DMSO)116mLを添加して30℃で15時間混合攪拌した後、トルエン及び食塩水を加えて洗浄し、式(ii)で表される化合物を得た。このようにして得られた式(ii)で表される化合物(全量)に、メタンスルホニルクロリド(MsCl)65.3g、トルエン65.3g及びトリエチルアミン(TEA)78.0gを添加して0℃で2時間混合攪拌した後、得られた溶液を飽和食塩水で洗浄した。この溶液にパラヒドロキシ安息香酸エチル55.7g、炭酸カリウム60.7g及びN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)420gを添加して100℃で5時間混合攪拌した後、水で洗浄し、溶媒を減圧除去して116gの固体を得た。この固体に水酸化ナトリウム36g及びイオン交換水324gを加えて100℃で2時間反応させた。得られた溶液を水450mLで希釈した後、塩酸(濃度10質量%)をpH3になるまでゆっくりと添加した。得られたスラリー溶液を0℃で1時間攪拌した後、水で洗浄して式(iii)で表される化合物121gを得た。
【0050】
次に、式(iii)で表される化合物に、メタンスルホニルクロリド(MsCl)47.2g、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)52.0g及びトラヒドロフラン(THF)400mlを添加して0℃で1時間混合攪拌した後、BOC Sciences社製4−(トランス−4−ノルマルプロピルシクロヘキシル)フェノール270g、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)11.2g及びトリエチルアミン(TEA)53.2gをさらに添加して0℃で1時間混合攪拌した。その後、混合物をさらに3時間還流攪拌して式(6)で表される単官能性オキセタン化合物を得た。
【0051】
・2官能性オキセタン化合物
下記式(7)で表される2官能性オキセタン化合物を用いた。
【0052】
【化8】
【0053】
この2官能性オキセタン化合物は、上記と同様の方法で合成した式(iii)で表される化合物を原料として用い、式(7)で表される2官能性オキセタン化合物を合成した。
すなわち、式(iii)で表される化合物に、メタンスルホニルクロリド(MsCl)47.2g、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)52.0g及びトラヒドロフラン(THF)400mLを添加して0℃で1時間混合攪拌し、ヒドロキノン68g、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)11g及びトリエチルアミン(TEA)53gをさらに添加して0℃で1時間混合攪拌した。その後、混合物をさらに3時間還流攪拌して式(7)で表される化合物を得た。
【0054】
・界面活性剤
フッ素系界面活性剤(DIC株式会社製メガファックR40)を用いた。
・光重合開始剤
光カチオン重合開始剤(サンアプロ株式会社製CPI−100P)、及びアルキルフェノン系光重合開始剤(BASF社製イルガキュア651)を用いた。
【0055】
・単官能性アクリレート(比較例用)
4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル(A6CB)を用いた。この化合物は、特許文献1(国際公開第2014/038260号)に記載の方法に従って合成した。
・2官能性メタクリレート(比較例用)
エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA、東京化成工業株式会社製)、及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA、東京化成工業株式会社製)を用いた。
【0056】
(実施例1)
単官能性オキセタン化合物と、界面活性剤と、光カチオン重合開始剤とを混合することによって光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物において、界面活性剤の配合量を単官能性オキセタン化合物100質量部に対して0.1質量部とし、光カチオン重合開始剤の配合量を単官能性オキセタン化合物100質量部に対して15質量部とした。
次に、光重合性組成物をスピンコーティング(500rpmで4秒、1200rpmで30秒)によってガラス基板(10cm×10cm)に塗布し、120℃で5分間乾燥させることで2.0μmの塗膜を形成した後、フォトマスクを用いた動的光重合法を行った。この動的光重合法では、光照射に用いる光源としてメタルハライドランプ(UVL−7000M−N)を用い、光照射時の照射強度を294mW/cmに設定し、大気雰囲気中、80℃の加熱条件下で光照射を行った。また、フォトマスクには、略長方形状のスリット(スリット幅0.25mm)を有するフォトマスクを用い、フォトマスクの移動速度を0.9mm/sに設定した。そして、その後、全面に対して動的光重合法と同じ光照射条件で1分間、光照射を行うことにより、高分子膜を作製した。
【0057】
(実施例2)
光カチオン重合開始剤の配合量を単官能性オキセタン化合物100質量部に対して2.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を281mW/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0058】
(実施例3)
実施例1と同じ光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を281mW/cm、フォトマスクの移動速度を1.8mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0059】
(実施例4)
光カチオン重合開始剤の配合量を単官能性オキセタン化合物100質量部に対して10質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、塗膜の厚さを2.5μm、光照射時の照射強度を281mW/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0060】
(実施例5)
界面活性剤の配合量を単官能性オキセタン化合物100質量部に対して0.05質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を101mW/cm、フォトマスクの移動速度を0.3mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0061】
(実施例6)
実施例1と同じ光重合性組成物を調製した。
次に、塗膜の厚さを1.5μm、光照射時の照射強度を101mW/cm、フォトマスクの移動速度を0.1mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0062】
(実施例7)
実施例1と同じ光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を31mW/cm、フォトマスクの移動速度を0.05mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0063】
(実施例8)
実施例1と同じ光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を31mW/cm、フォトマスクの移動速度を0.1mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0064】
(実施例9)
実施例1と同じ光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を31mW/cm、フォトマスクの移動速度を0.3mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0065】
(実施例10)
実施例1と同じ光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を31mW/cm、フォトマスクの移動速度を0.5mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0066】
(実施例12)
単官能性オキセタン化合物と、2官能性オキセタン化合物と、光カチオン重合開始剤とを混合することによって光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物において、単官能性オキセタン化合物と2官能性オキセタン化合物との質量比を85:15とし、光カチオン重合開始剤の配合量を単官能性オキセタン化合物100質量部に対して15.5質量部とした。
次に、塗膜の厚さを3.0μm、光照射時の照射強度を9mW/cm、光照射時の加熱温度を90℃、フォトマスクのスリット幅を0.5mm、フォトマスクの移動速度を0.02mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0067】
(比較例1)
EGDMAと、A6CBと、アルキルフェノン系光重合開始剤とを混合することによって光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物において、EGDMAとA6CBとのモル比を2:98とし、アルキルフェノン系光重合開始剤の配合量をEGDMA及びA6CBの合計に対して外割で1モル%とした。
次に、スリットのないフォトマスクを用い、光照射時の照射強度を0.016mW/cm、光照射時の加熱温度を85℃、フォトマスクの移動速度を0.025mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0068】
(比較例2)
比較例1と同じ光重合性組成物を調製した。
次に、スリットのないフォトマスクを用い、塗膜の厚さを3.0μm、光照射時の照射強度を0.05mW/cm、光照射時の加熱温度を85℃、フォトマスクの移動速度を0.0025mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0069】
(比較例3)
EGDMAとA6CBとのモル比を4:96に変更したこと以外は比較例1と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、スリットのないフォトマスクを用い、塗膜の厚さを1.8μm、光照射時の照射強度を0.001mW/cm、光照射時の加熱温度を120℃、フォトマスクの移動速度を0.02mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0070】
(比較例4)
比較例3と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、光照射時の照射強度を0.001mW/cm、光照射時の加熱温度を120℃、フォトマスクのスリット幅を0.1mm、フォトマスクの移動速度を2mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0071】
(比較例5)
比較例3と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、塗膜の厚さを1.7μm、光照射時の照射強度を0.001mW/cm、光照射時の加熱温度を120℃、フォトマスクのスリット幅を0.1mm、フォトマスクの移動速度を0.002mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0072】
(比較例6)
比較例3と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、塗膜の厚さを1.9μm、光照射時の照射強度を0.001mW/cm、光照射時の加熱温度を120℃、フォトマスクのスリット幅を0.1mm、フォトマスクの移動速度を0.002mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0073】
(比較例7)
比較例3と同様にして光重合性組成物を調製した。
次に、スリットのないフォトマスクを用い、光照射時の照射強度を0.001mW/cm、光照射時の加熱温度を120℃、フォトマスクの移動速度を0.002mm/sに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子膜を作製した。
【0074】
上記の実施例及び比較例で調製した光重合性組成物の組成を表1にまとめる。
【0075】
【表1】
【0076】
上記の実施例で得られた高分子膜について、400〜700nmの透過率、ヘーズ値及びリタデーション(Δnd)を評価した。なお、上記の比較例で得られた高分子膜は、白濁が酷かったため、これらの評価を行うことができなかった。
400〜700nmの透過率及びヘーズ値は、JIS K7361−1及びJIS K7136に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製NDH4000)を使用して測定した。
屈折率差(Δn)と高分子膜の厚さ(d)との積であるリタデーション(Δnd)の計測は、入射光用及び透過光用の偏光子を透過軸が垂直になるように配置し、その間に高分子膜を配置して行った。
また、上記の実施例及び比較例で得られた高分子膜についてタック性(粘着性)の有無を指触にて評価した。
上記の各評価結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】
表2に示されているように、実施例で得られた高分子膜は、タック性が無く、光学異方性を示すと共に透明性が高かった。
これに対して比較例で得られた高分子膜は、白濁化し、タック性もあった。これは、比較例で用いた光重合性組成物に含まれるA6CBが、周囲雰囲気中の酸素によって影響を受け、光重合反応が十分に進行しなかったためであると考えられる。
【0079】
以上の結果からわかるように、本発明によれば、周囲雰囲気に影響されることなく空気中でも光重合反応を行うことができ、しかも未硬化及び白濁化が起こり難い光学異方性高分子膜の製造方法、並びに当該特性を有する光学異方性高分子膜を用いた有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 基材、2 塗膜、3 光源、4 フォトマスク、5 分子鎖、10 光学異方性高分子膜、11 基板、12 有機EL表示素子、13 偏光フィルム、14 液晶表示素子、A1 露光部、A2 遮光部、S 境界、L 光、D 移動方向。
図1
図2
図3