特開2017-199448(P2017-199448A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-199448電子材料用表面処理剤及び電子材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-199448(P2017-199448A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】電子材料用表面処理剤及び電子材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/84 20060101AFI20171006BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20171006BHJP
   C11D 1/34 20060101ALI20171006BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20171006BHJP
   C11D 1/44 20060101ALI20171006BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
   G11B5/84 Z
   C11D1/06
   C11D1/34
   C11D1/10
   C11D1/44
   B08B3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-74399(P2017-74399)
(22)【出願日】2017年4月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-86949(P2016-86949)
(32)【優先日】2016年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹田 拓馬
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
5D112
【Fターム(参考)】
3B201AA03
3B201BA08
3B201BB01
3B201BB21
3B201BB82
3B201BB83
3B201BB92
3B201BB94
3B201BB96
3B201CC01
3B201CC13
3B201CC21
4H003AB05
4H003AB08
4H003AB39
4H003AE02
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA09
4H003DA15
4H003DB01
4H003EA21
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB24
4H003ED02
4H003FA07
4H003FA16
4H003FA28
4H003FA36
5D112AA02
5D112AA24
5D112BA03
5D112BA06
5D112BA09
5D112GA08
(57)【要約】
【課題】砥粒や研磨屑などのパーティクルや、梱包容器などから発生する異物の強固な付着を長期的に防ぎ、後の洗浄工程で基板上の異物の残留を著しく減少させることが可能となる電子材料用表面処理剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物(a1)、下記一般式(2)で表される化合物(a2)及び下記一般式(3)で表される化合物(a3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(A)を含有する電子材料用表面処理剤であって、さらに水を必須成分として含有する電子材料用表面処理剤(B)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物(a1)、下記一般式(2)で表される化合物(a2)及び下記一般式(3)で表される化合物(a3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(A)を含有する電子材料用表面処理剤であって、さらに水を必須成分として含有する電子材料用表面処理剤(B)。
【化1】
[式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、Mは水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表す。mはAOの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい。]
【化2】
[式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基を表し、Xは水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表し、tは1又は2の整数を表す。tが1の場合、[RO(AO)]は同一でも異なっていてもよい。kはAOの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、kが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい。]
【化3】
[式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Qは、−(CH−COO又は水素原子を表す。Yは、水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表す。Zは、水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表す。rは1〜8の整数であり、pは1〜8の整数であり、uは0〜8の整数である。]
【請求項2】
電子材料用表面処理剤(B)が、さらに下記一般式(4)で表される化合物(a4)を含有する請求項1に記載の電子材料用表面処理剤。
【化4】
[式中、Lはs個の活性水素を持つアミンからs個の活性水素を除いた残基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基を表す。nはAOの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、nが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい。sは1〜40の整数である。sが2以上の場合、[(AO)H]は同一でも異なっていてもよい。]
【請求項3】
電子材料用表面処理剤(B)が添加剤(C)を構成成分として含む表面処理剤であって、前記添加剤(C)が、キレート剤(D)、化合物(A)以外の界面活性剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤及び防腐剤からなる群から選ばれる1種以上の添加剤である請求項1または2に記載の電子材料用表面処理剤。
【請求項4】
該電子材料が磁気ディスク基板である請求項1〜3のいずれかに記載の電子材料用表面処理剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の電子材料用表面処理剤(B)を用いて電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以上とする工程を有する電子材料の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の製造方法であって、(B)を用いて電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以上とする工程以降に、洗浄剤(E)を用いて電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で30°以下にする洗浄工程を有する電子材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料用表面処理剤及び電子材料の製造方法に関する。さらに詳しくは、電子材料中間体を研磨する研磨工程を有する電子材料の製造方法において、研磨砥粒、研磨屑パーティクルなどの異物が電子材料表面に強固に付着することを防止することができる表面処理剤及びこの表面処理剤を使用した電子材料の製造方法に関する。また、電子材料中間体を乾燥する乾燥工程を有する電子材料の製造方法において、大気中のパーティクルなどの異物が電子材料表面に強固に付着することを防止することができる表面処理剤及びこの表面処理剤を使用した電子材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子材料、とりわけ磁気ディスクは、年々小型化、高容量化の一途をたどっており、磁気ヘッドと磁気ディスク基板間の距離がますます小さくなってきている。
そのため、磁気ディスク基板の製造での研磨工程直後の洗浄工程で、研磨に使用した砥粒や発生した研磨屑等のパーティクルの残留が極力残存しない基板が求められている。また、表面粗さ、微少うねりの低減、及びスクラッチ、ピット等の表面欠陥の低減も求められている。
【0003】
磁気ディスク製造工程には、(1)平坦化した基板を作成する工程であるサブストレート工程と、(2)磁性層を基板に形成する工程であるメディア工程を含む。
これらのうち、サブストレート工程では、基板の平坦化のためにアルミナ、酸化セリウム、コロイダルシリカ等の砥粒を含むスラリーによる研磨を行い、洗浄工程で基板表面の砥粒や研磨屑等のパーティクルを除去した後、乾燥工程を経て、所定の容器に梱包され輸送される。
【0004】
ここでサブストレート工程中の研磨工程と洗浄工程はそれぞれの設備、装置が全く別個であるため、洗浄設備、装置の稼動状況によって、研磨工程後の基板をすぐに洗浄工程に移行できず、5時間〜10時間程度待機せざるを得ない場合がある。研磨工程後の基板は、空気中で放置して乾燥させてしまうと、基板上に残留したパーティクルが基板に強固に付着し、洗浄工程で容易に除去できなくなるため、このように待機せざるを得ない場合、基板が乾燥しないように純水中に基板を浸漬させた状態で保管することがおこなわれている。しかし、純水に浸漬してもなお、時間の経過とともにパーティクルが基板表面に強固に付着する問題がある。
【0005】
また、サブストレート工程からメディア工程に基板を搬送する際に、基板を乾燥状態で保管しなければならない期間があり、この保管期間において、空気中の塵、埃やサブストレート工程で除去できなかったパーティクルなどの異物が基板に強く付着する問題がある。このパーティクルなどの異物も上記同様、洗浄で一層除去しづらくなる。
このように、基板上に強固に異物が付着した基板は、一度の洗浄では十分に満足する清浄度を得ることができず、洗浄工程を再度行われ、それでも目標とする清浄度が満足できない場合は廃棄されるなど、著しく生産効率を落とすため、問題になっている。
そのため、これらの固着しやすい異物の除去性を高めるために、各洗浄工程で用いる洗
浄剤の高性能化や洗浄時間の長時間化が検討されている(特許文献1)。
また、パーティクルや塵、埃等の異物が基板表面に強固に付着する前に、基板表面に吸着し、これらの異物の強固な付着を防ぐ表面保護剤の使用により、後の洗浄工程での基板上の異物残留を減少させる検討がされている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−280802号公報
【特許文献2】特開2012−252772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において、基板を繰り返し洗浄することや長時間洗浄は、生産性を落とすだけでなく、基板の表面荒さやピットの発生など、新たな欠陥が発生するといった問題がある。また、洗浄剤の高性能化は前記と同様に基板の表面荒さやピットの発生などの問題がある。
また、特許文献2では、表面保護剤の使用により基板表面に対するパーティクルなどの異物の付着が抑制されているが、表面保護剤を基板表面により緻密に吸着させることでさらなる基板品質改善の余地がある。表面保護剤が基板表面に緻密に吸着していない場合、基板を長期保管した時の異物付着抑制効果が低下し、磁気ディスクの容量低下を引き起こすといった問題がある。
そこで、とりわけ異物が基板表面に強固に付着する前に、基板表面に緻密に吸着し、これらのパーティクルなどの異物の強固な付着を長期的に防ぎ、後の洗浄工程で基板上の異物の残留を著しく減少させることが可能となる電子材料用表面処理剤、及び電子材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(a1)、下記一般式(2)で表される化合物(a2)及び下記一般式(3)で表される化合物(a3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(A)を含有する電子材料用表面処理剤であって、さらに水を必須成分として含有する電子材料用表面処理剤;及びこの表面処理剤を用いた電子材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子材料用表面処理剤は、砥粒や研磨屑などのパーティクルや、梱包容器などから発生する異物が電子材料基板上に強固に固着することを防ぎ、電子材料の製造方法高記録密度化で要求される清浄度の高い電子材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における電子材料とは、製造工程中に研磨工程とそれに続く洗浄工程を含む電子材料であれば特に限定するものではない。
例えば、(1)磁気ディスク用ガラス基板及び表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされた磁気ディスク用アルミ基板等の磁気ディスク用基板、(2)半導体素子及びシリコンウェハ等用の半導体基板、(3)SiC基板、GaAs基板、GaN基板、AlGaAs基板等の化合物半導体基板及び(4)LED等用のサファイヤ基板等が挙げられる。
【0011】
これらのうち、生産効率向上の観点で好ましくは磁気ディスク用基板であり、具体的に磁気ディスク用ガラス基板及び表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされた磁気ディスク用アルミ基板である。
【0012】
本発明における電子材料中間体とは、製造工程中の電子材料を表し、具体的には、研磨された後のガラス基板、研磨された後のNi−Pメッキされたアルミ基板等、もしくは、乾燥前のガラスサブストレート基板、乾燥前のアルミサブストレート基板のことを指す。
【0013】
本発明の電子材料用表面処理剤(B)は、下記一般式(1)で表される化合物(a1)、下記一般式(2)で表される化合物(a2)及び下記一般式(3)で表される化合物(a3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有する電子材料用表面処理剤であって、さらに水を必須成分として含有する。
【化1】
[式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、Mは水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表す。mはAOの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい。]
【化2】
[式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基を表し、Xは水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表し、tは1又は2の整数を表す。tが1の場合、[RO(AO)]は同一でも異なっていてもよい。kはAOの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、kが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい。]
【化3】
[式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Qは、−(CH−COO又は水素原子を表す。Yは、水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表す。Zは、水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンを表す。rは1〜8の整数であり、pは1〜8の整数であり、uは0〜8の整数である。]
【0014】
一般式(1)中のRは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。異物の固着防止性の観点から好ましくは炭素数8〜20であり、更に好ましくは10〜18である。炭素数6〜24の範囲にない場合、パーティクルなどの異物の固着防止性が悪化する。
【0015】
炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基の具体例としては、ラウリル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、オクタデセニル基及びオクタデカジエニル基等が挙げられる。
【0016】
一般式(1)中のAで示される炭素数2〜8のアルキレン基としては、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基及び1−フェニル−1,2−エチレン基等が挙げられる。
これらのうち、溶媒への溶解性の観点から、好ましくはエチレン基及び1,2−プロピレン基である。
【0017】
一般式(1)におけるmは、AOの付加モル数を表し、1〜100の数であり、好ましくは1〜50の数であり、より好ましくは1〜30の数である。mが100を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる場合もある。mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
【0018】
一般式(1)中のRは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。
炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、ブチレン基及び2−メチルブチレン基等が挙げられる。
これらのうち、溶媒への溶解性の観点から、メチレン基、エチレン基及び1,2−プロピレン基が好ましい。
【0019】
は水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンである。また、各カチオンは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0020】
アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン及びカリウムイオン等が挙げられる。
有機カチオンとしては、1級アミン(メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン並びにグアニジン等);2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等のジアルキルアミン並びにジエタノールアミン等);3級アミン{トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン並びに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等};アミジン{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(以下、DBUと略記する)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1H−イミダゾール、2−メチル−1H−イミダゾール、2−エチル−1H−イミダゾール、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン、1,6(4)−ジヒドロピリミジン等}、アンモニウム及び第4級アンモニウム(テトラアルキルアンモニウム等)が挙げられるメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム等が挙げられる。
これらのうち、Mとしては、溶解性の観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオン、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アンモニウム及び第4級アンモニウムが好ましい。
【0021】
化合物(a1)の具体例としては、(2−ラウリルオキシエトキシ)酢酸、[2−(2−ラウリルオキシエトキシ)エトキシ]酢酸、[2−(2−(2−ラウリルオキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ]酢酸、[2−(2−(2−(2−ラウリルオキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ]酢酸、(2−テトラデシルオキシエトキシ)酢酸、(2−オクタデシルオキシエトキシ)酢酸、(2−イコシルオキシエトキシ)酢酸及び[2−(2−ラウリルオキシエトキシ)エトキシ]プロピオン酸、[2−(2−(2−(2−ヘキシルオキシプロポキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ]酢酸、[2−(2−(2−(2−オレイルオキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ]酢酸、[(2−ラウリルオキシ)−2−トリアコンタエトキシ]酢酸、[2−(2−(2−(2−ラウリルオキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ]プロピオン酸;及びこれらの塩等が挙げられる。これらのうち2種以上を組み合わせてもよい。
【0022】
これらのうち、化合物(a1)としては、溶媒への溶解性及び異物の固着防止性の観点から、[2−(2−ラウリルオキシエトキシ)エトキシ]酢酸、[2−(2−(2−ラウリルオキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ]酢酸、[(2−ラウリルオキシ)−2−トリアコンタエトキシ]酢酸、[2−(2−(2−(2−ラウリルオキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ]プロピオン酸及び[2−(2−(2−(2−ラウリルオキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ]酢酸が好ましい。
【0023】
化合物(a1)の含有量はハンドリング性の観点から、電子材料用表面処理剤の重量に基づいて、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜25重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%である。
【0024】
化合物(a1)は、触媒存在下、モノヒドロキシル化合物とモノハロゲン低級カルボン酸塩とを縮合反応させることによって製造される。触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ触媒、三フッ化硼素や四塩化錫等のルイス酸触媒等が挙げられる。これらの中で好ましくはアルカリ触媒であり、より好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0025】
化合物(a1)の製造方法としては任意の製造方法で良い。例えば、反応系を30℃〜200℃で乾燥させ、触媒を投入し、系中を脱水(好ましくは水分500ppm以下)までしたのち、モノヒドロキシル化合物とモノハロゲン低級カルボン酸塩を好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜70℃で反応させることができる。反応時間は好ましくは4〜48時間、さらに好ましくは6〜40時間である。反応の終点は液体クロマトグラフィーによって管理することができる。
【0026】
一般式(2)中のAは、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。炭素数2〜8のアルキレン基の具体例としてはエチレン基、1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基及び1−フェニル−1,2−エチレン基等が挙げられる。
これらのうち、溶媒への溶解性の観点から、好ましくはエチレン基及び1,2−プロピレン基である。
【0027】
一般式(2)中のkは、AOの付加モル数を表し、1〜100の数であり、好ましくは1〜50の数であり、より好ましくは1〜30の数である。kが100を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる場合もある。kが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
【0028】
一般式(2)中のtは1又は2の整数である。tが1のとき、[RO(AO)]部分は同じでも異なっていても良い。
【0029】
一般式(2)中のRは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。異物の固着防止性の観点から好ましくは炭素数8〜20であり、更に好ましくは10〜18である。炭素数6〜24の範囲にない場合、パーティクルなどの異物の固着防止性が悪化する。
【0030】
炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基の具体例としては、ラウリル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、オクタデセニル基及びオクタデカジエニル基等が挙げられる。
【0031】
は水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンである。また、各カチオンは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0032】
アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン及びカリウムイオン等が挙げられる。
有機カチオンとしては、1級アミン(メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン並びにグアニジン等);2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等のジアルキルアミン並びにジエタノールアミン等);3級アミン{トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン並びに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等};アミジン{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(以下、DBUと略記する)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1H−イミダゾール、2−メチル−1H−イミダゾール、2−エチル−1H−イミダゾール、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン、1,6(4)−ジヒドロピリミジン等}、アンモニウム及び第4級アンモニウム(テトラアルキルアンモニウム等)が挙げられるメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム及びジメチルエチルアンモニウム等が挙げられる。
これらのうち、Xとしては、溶解性の観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオン、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アンモニウム及び第4級アンモニウムが好ましい。
【0033】
化合物(a2)の具体例としては、オクチルアルコールのEO2モル付加物リン酸エステルカリウム塩、デシルアルコールのEO2.5モル付加物のリン酸エステルナトリウム塩、ラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩、トリデシルアルコールのEO5モル付加物のリン酸エステルカリウム塩、イソトリデシルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩、ラウリルアルコールEO3モル付加物のリン酸エステル、ラウリルアルコールEO2モル付加物のリン酸エステルトリエチルアンモニウム塩及びペンタデシルラウリルアルコールEO5モル付加物のリン酸エステルカリウム塩等が挙げられる。これらのうち2種以上を組み合わせてもよい。
【0034】
これらのうち、溶媒への溶解性及び異物の固着防止性の観点から、デシルアルコールのEO2.5モル付加物のリン酸エステルナトリウム塩、ラウリルアルコールEO3モル付加物のリン酸エステル、ラウリルアルコールEO2モル付加物のリン酸エステルトリエチルアンモニウム塩及びラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩が好ましい。
【0035】
化合物(a2)の含有量はハンドリング性の観点から、電子材料用表面処理剤の重量に基づいて、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜25重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%である。
【0036】
化合物(a2)の製造方法としては任意の製造方法で良い。例えば、化合物(a2)は、無機リン酸(例えば、五酸化リンなど)に対して、アルコールを反応させて得られる。
この反応は、合成条件(反応温度、原料のモル比等)を調整することにより、一般式(2)におけるtが2であるモノ体とtが1であるジ体のモル比が任意である有機リン酸エステル化合物を得ることができるが、一般的には、モノ体とジ体の混合物が得られる。
【0037】
<ジ体/モノ体のモル比率の測定方法>
化合物(a2)0.5gを100mlビーカーに精秤し、変性アルコール・キシレン(容量比で2/1)混合溶液50mlを加え、溶解する。この溶解液を攪拌しながら、電位差滴定測定装置にかけ、0.1N水酸化カリウム・メチルアルコール滴定液で滴定し、次式でモノ体とジ体のモル比率を計算する。
ジ体/モノ体の比率= (X−Y)/Y
但し、Xは第一変曲点までに要した0.1N水酸化カリウム・メチルアルコール滴定液の滴定ml数、Yは第一変曲点から第二変曲点までに要した0.1N水酸化カリウム・メチルアルコール滴定液の滴定ml数を表す。
【0038】
一般式(3)中のRは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。炭素数6〜24の範囲にない場合、パーティクルなどの異物の固着防止性が悪化する。
【0039】
炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基の具体例としては、ラウリル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、オクタデセニル基及びオクタデカジエニル基等が挙げられる。
【0040】
Qは、−(CH−COO又は水素原子を表す。
【0041】
は水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンである。また、各カチオンは1種又は2種以上を併用してもよい。アルカリ金属イオン又は有機カチオンは、一般式(1)のMと同様の化合物が挙げられる。
これらのうち、溶解性の観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオン、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アンモニウム及び第4級アンモニウムが好ましい。
【0042】
は水素イオン、アルカリ金属イオン又は有機カチオンである。また、各カチオンは1種又は2種以上を併用してもよい。アルカリ金属イオン又は有機カチオンは、一般式(1)のMと同様の化合物が挙げられる。
これらのうち、溶解性の観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオン、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アンモニウム及び第4級アンモニウムが好ましい。
【0043】
一般式(3)におけるrは1〜8の整数であり、溶解性の観点から、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。
【0044】
一般式(3)におけるpは1〜8の整数であり、溶解性の観点から、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。
【0045】
一般式(3)におけるuは0〜8の整数であり、溶解性及びハンドリング性の観点から、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜3の整数である。
【0046】
化合物(a3)の具体例としては、1−(ヘキシルアミノ)酢酸、1−(オクチルアミノ)ジプロピオン酸二カリウム塩、1−(ラウリルアミノ)プロピオン酸ナトリウム塩、1−(ミリスチルアミノ)プロピオン酸ナトリウム塩、1−(オレイルアミノ)プロピオン酸ナトリウム塩、ラウリルアミノエチルアミノエチルグリシンナトリウム塩及びテトラデシルアミノエチルアミノエチルグリシンナトリウム塩、1−(ヘキシルアミノ)プロピオン酸カリウム塩、1−(ラウリルアミノ)ジプロピオン酸二カリウム塩、1−(ラウリルアミノ)プロピオン酸テトラエチルアンモニウム塩、[ラウリルアミノエチル−ジ(アミノエチル)]グリシンナトリウム塩等が挙げられる。これらのうち2種以上を組み合わせてもよい。
【0047】
これらのうち、化合物(a3)としては、溶媒への溶解性及び異物の固着防止性の観点から、1−(ラウリルアミノ)プロピオン酸ナトリウム塩、1−(オレイルアミノ)プロピオン酸ナトリウム塩、1−(ラウリルアミノ)プロピオン酸テトラエチルアンモニウム塩及びドデシルアミノエチルアミノエチルグリシンナトリウム塩が好ましい。
【0048】
化合物(a3)の含有量はハンドリング性の観点から、電子材料用表面処理剤の重量に基づいて、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜25重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%である。
【0049】
一般式(3)で示される化合物(a3)はモノカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物から成り、モノカルボン酸化合物とジカルボン酸化合物との重量比はパーティクルなどの異物の固着防止性の観点から、好ましくは100/0〜10/90であり、更に好ましくは100/0〜20/80である。
【0050】
化合物(a3)の製造方法としては任意の製造方法で良い。例えば、一般式(3)で表わされる化合物(a3)は、アルキルアミン又はアルケニルアミンをアクリル酸もしくはその塩又はアクリル酸エステルなどとマイケル付加反応させ、必要により得られた反応物を加水分解することにより製造することができる。このマイケル付加反応温度は好ましくは0〜100℃、更に好ましくは20〜90℃である。0℃以下では冷却にコストがかかり、100℃を越える場合、着色が著しくなる場合もある。このマイケル付加反応の際使用するアクリル酸エステルとしては、コスト面からメチルエステル又はエチルエステルが好ましい。マイケル付加反応において使用するアクリル酸又はその塩又はアクリル酸エステルの使用量は、アルキルアミン又はアルケニルアミンに対して好ましくは1.0〜5.0倍モルであり、更に好ましくは1.05〜2.1倍モルである。1.0倍未満の場合、未反応のアルキルアミン又はアルケニルアミンが残る。未反応のアクリル酸又はアクリル酸エステルは、減圧下除去することができる。減圧度は好ましくは0〜400mmHgであり、温度は好ましくは40〜150℃である。加水分解においては塩酸、硫酸などを用いる酸加水分解;金属ナトリウム、液体メチラート、NaOH、KOHなどを用いるアルカリ加水分解;水だけでの加水分解などいずれも使用可能である。加水分解温度は好ましくは50〜150℃、更に好ましくは70〜110℃である。50℃以下では時間がかかり、150℃を越える場合、着色が著しくなる場合もある。
【0051】
本発明の電子材料用表面処理剤(B)は化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(A)並びに水以外に、さらに下記一般式(4)で表される化合物(a4)を含有してもよい。化合物(a4)と化合物(a1)、(a2)及び(a3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(A)とを併用することで、化合物(a4)に含まれるアミノ基と、化合物(A)に含まれるカルボキシル基が静電的に相互作用することにより、表面処理剤の電子材料中間体表面に対する緻密な吸着を促進するため、長期的な異物付着抑制効果を高く出来ると推定される。
【0052】
【化4】
[式中、Lはs個の活性水素を持つアミンから活性水素を除いた残基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基を表す。nはAOの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、nが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい。sは1〜40の整数である。sが2以上の場合、[(AO)H]は同一でも異なっていてもよい。]
【0053】
一般式(4)中のAで示される炭素数2〜8のアルキレン基としては、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基及び1−フェニル−1,2−エチレン基等が挙げられる。
これらのうち、溶媒への溶解性の観点から、好ましくはエチレン基及び1,2−プロピレン基である。
【0054】
一般式(4)におけるnは、AOの付加モル数を表し、好ましくは1〜100の数であり、さらに好ましくは1〜50の数であり、特に好ましくは1〜30の数である。nが100を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる場合もある。nが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
【0055】
sは1〜40の整数である。好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜2である。sが40を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる場合もある。sが2以上の場合は[(AO)H]は同一でも異なっていてもよい。
【0056】
一般式(4)において、Lはs個の活性水素を持つアミンから活性水素を除いた残基を表すことができる。アミンは、分子中にアミノ基に由来する活性水素を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは分子中にアミノ基に由来する活性水素を1〜6個有する化合物であり、より好ましくは1〜2個有する化合物である。
【0057】
該アミンの具体例としては、例えば以下の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)脂肪族アミン化合物
(i)脂肪族モノアミン(好ましくは炭素数6〜48、官能基数1);
ラウリルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、n−トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、オクタデセニルアミン及びオクタデカジエニルアミンや、これらの混合物である牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン及び大豆油アミン等動植物油由来の脂肪族第1アミン等;ジオクチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン及びジオクタデシルアミン等の2級アミン等;
(ii)脂肪族ポリアミン(好ましくは炭素数2〜18、官能基数2〜7);
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン等;
(iii)(ii)のアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体;
ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等;
(iv)脂環又は複素環含有脂肪族ポリアミン;
3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等;
(v)芳香環含有脂肪族アミン化合物(炭素数8〜15)
キシリレンジアミン等;
【0058】
(2)脂環式アミン化合物
(i)脂環式モノアミン(好ましくは炭素数6〜48、官能基数1);
シクロヘキシルアミン等;
(ii)脂環式ポリアミン(炭素数6〜15、官能基数2〜3);
1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等;
(3)複素環式アミン化合物(好ましくは炭素数4〜15、官能基数1〜3);
ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等;
(4)芳香族アミン化合物(好ましくは炭素数6〜20、官能基数1〜3);
(i)非置換芳香族アミン
アニリン等のモノアミン;1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4´−及び4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等のポリアミン等;
【0059】
(ii)核置換基〔メチル,エチル,n−又はi−プロピル、ブチル等の炭素数C1〜C4アルキル基;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等〕を有する芳香族アミン;
2,4−及び2,6−トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル等、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物等;
【0060】
(iii)2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記(i)〜(ii)の芳香族アミンの−NH2の一部又は全部が−NH−R´(R´はアルキル基例えばメチル、エチル等の低級アルキル基)で置き換ったもの〕;
4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等;
並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中で好ましいのは(1)の脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物であり、より好ましくは脂肪族モノアミン及び脂環式モノアミンである。特に好ましいのは、炭素数6〜36の脂肪族モノアミンである。炭素数6〜36では基板への吸着性が優れるため、パーティクルなどの異物の固着防止性の観点から好ましい。また、炭化水素基部分は直鎖状でも分岐状でもよく、飽和又は不飽和結合をもっていてもよい。
【0061】
化合物(a4)は、無触媒もしくは触媒存在下、アミンにアルキレンオキシド[エチレンオキシド(以下、エチレンオキシドをEOと略称する。)、1,2−プロピレンオキシド(以下、1,2−プロピレンオキシドをPOと略称する。)、1,2−ブチレンオキシド(以下、1,2−ブチレンオキシドをBOと略称する。)、1,4−ブチレンオキシド、1−フェニル−1,2−エチレンオキシド又はそれらの混合物等]を付加反応させることによって製造される。触媒を使用する場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ触媒、三フッ化硼素や四塩化錫等のルイス酸触媒等が挙げられる。これらの中で好ましくはアルカリ触媒であり、より好ましくは水酸化カリウムである。
【0062】
反応系を60℃〜200℃で乾燥させ、触媒を投入し、系中を脱水(好ましくは水分500ppm以下)までしたのち、アルキレンオキシドを好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃で反応させることができる。反応時間は好ましくは4〜48時間である。反応の終点は全アミン価で管理することができる。
【0063】
(全アミン価測定方法)
全アミン価とは1g中のアミンを中和するのに要する過塩素酸と等量の水酸化カリウムのmg数であり、サンプル中に含まれるアミンの含有量を表わす。測定方法は次の通りである。
ガラス瓶にサンプルを精秤する。サンプリング量は、予想全アミン価が0.5未満のときは7g、0.5以上2未満のときは4.5g、2以上のときは、2g又はそれ以下である。サンプリング後、酢酸50mLを加えて試料を溶解する。N/100過塩素酸標準溶液にて電位差滴定を行う。同時に空試験も行う。
全アミン価=(K’−B’)×Y’×0.5611/Z
K’:本試験に要したN/100過塩素酸標準溶液の滴定ml数
B’:空試験に要したNN/100過塩素酸標準溶液の滴定ml数
Y’:N/100過塩素酸標準溶液の力価
Z:試料採取量(g)
【0064】
一般式(4)におけるアルキレンオキシドの平均付加モル数nは、一般式(4)で表される化合物(a4)の全アミン価を測定することで求めることができる。
【0065】
化合物(a4)の具体例としては、ラウリルアミンEO8モル付加物、ヘキシルアミンEO8モル付加物、シクロヘキシルアミンEO8モル付加物、オクチルアミンEO8モル付加物、デシルアミンEO8モル付加物、ウンデシルアミンEO8モル付加物、n−トリデシルアミンEO8モル付加物、テトラデシルアミンEO8モル付加物、ペンタデシルアミンEO8モル付加物、ヘキサデシルアミンEO8モル付加物、ヘプタデシルアミンEO8モル付加物、オクタデシルアミンEO8モル付加物、ノナデシルアミンEO8モル付加物、イコシルアミンEO8モル付加物、ヘンイコシルアミンEO8モル付加物、ドコシルアミンEO8モル付加物、トリコシルアミンEO8モル付加物、テトラコシルアミンEO8モル付加物、オクタデセニルアミンEO8モル付加物、オクタデカジエニルアミンEO8モル付加物、牛脂アミンEO8モル付加物、硬化牛脂アミンEO8モル付加物、ヤシ油アミンEO1モル付加物、ヤシ油アミンEO8モル付加物、パーム油アミンEO8モル付加物、大豆油アミンEO8モル付加物、ヘキサデシルアミンEO25モルPO5モルランダム付加物、ココアミンEO8モル付加物、ココアミンEO30モル付加物等動植物油由来の脂肪族第1アミンEO8モル付加物、ジオクチルアミンEO12モル付加物、ジブチルアミンEO12モル付加物、ジヘキシルアミンEO12モル付加物、ジデシルアミンEO12モル付加物、ジウンデシルアミンEO12モル付加物、ジドデシルアミンEO12モル付加物、ジトリデシルアミンEO12モル付加物、ジテトラデシルアミンEO12モル付加物、ジペンタデシルアミンEO12モル付加物、ジヘキサデシルアミンEO12モル付加物、ジヘプタデシルアミンEO12モル付加物及びジオクタデシルアミンEO12モル付加物等が挙げられる。
これらのうち2種以上を組み合わせてもよい。また、アミンのPOとEO、BOとEO、BOとPO、又はPOとEOとBO等の混合物のアルキレンオキシド付加物であってもよい。
【0066】
これらのうち、化合物(a4)としては、溶媒への溶解性及び異物の固着防止性の観点から、好ましくはテトラデシルアミンEO8モル付加物、ヤシ油アミンEO8モル付加物、オクチルアミンEO8モル付加物、ヤシ油アミンEO1モル付加物、ココアミンEO8モル付加物及びヤシ油アミンEO8モル付加物である。
【0067】
化合物(a4)の含有量はハンドリング性の観点から、電子材料用表面処理剤の重量に基づいて、好ましくは0.1〜30重量%含有し、さらに好ましくは0.5〜25重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%である。
【0068】
化合物(a4)の2重量%水溶液における曇点は、ハンドリング性の観点から、好ましくは10℃以上であり、更に好ましくは30℃以上である。
【0069】
実使用時における表面処理剤(B)中に含まれる化合物(A)及び化合物(a4)の合計濃度は、0.001〜10重量%である。
【0070】
電子材料用表面処理剤(B)の水は、清浄度の観点から電気抵抗率が18MΩ・cm以上の純水、イオン交換水、逆浸透水(RO水)、蒸留水などが挙げられる。これらのうち、好ましくは電気抵抗率が18MΩ・cm以上の純水である。
【0071】
電子材料用表面処理剤(B)には化合物(A)及び水以外に、パーティクルなどの異物付着防止の観点で、さらに添加剤(C)を構成成分として含んでもよい。
前記添加剤(C)としては、キレート剤(D)、化合物(A)及び化合物(a4)以外の界面活性剤、pH調整剤(水酸化カリウム等の無機アルカリ、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノエチルアミノエタノール、エチレンジアミンテトラエタノール等の有機アルカリ)、ハイドロトロープ剤(p−トルエンスルホン酸塩及び安息香酸塩等)及び防腐剤等が挙げられる。
【0072】
キレート剤(D)としては、ホスホン酸系キレート剤(ホスホン酸(塩)基又はリン酸(塩)基を分子内に含有するキレート剤)(D1)、カルボン酸系キレート剤(カルボキシル基及び/又はカルボキシレート基を分子内に含有するキレート剤)(D2)、及びその他のキレート剤(D3)が挙げられる。ホスホン酸(塩)とは、ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩をいう。他の酸についても同様である。
ホスホン酸系キレート剤(D1)としては、メチルジホスホン酸(塩)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(塩)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(塩)(HEDP)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(塩)(NTMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トランス−1、2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)及びテトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)(塩)、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、トリポリリン酸(塩)及びヘキサメタリン酸(塩)等が挙げられる。
【0073】
カルボン酸系キレート剤(D2)としては、水酸基を有するヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩(D21)と水酸基を有しないカルボン酸及び/又はその塩(D22)がある。ヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩(D21)としては、クエン酸(塩)、乳酸(塩)、没食子酸(塩)等が挙げられる。水酸基を有しないカルボン酸及び/又はその塩(D22)としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)(塩)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)(塩)、ヒドロキシエチル−イミノ二酢酸(HIDA)(塩)、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸(DCTA)(塩)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(TTHA)(塩)、ニトリロ三酢酸(NTA)(塩)、β−アラニンジ酢酸(塩)、アスパラギン酸ジ酢酸(塩)、メチルグリシンジ酢酸(塩)、イミノジコハク酸(塩)、セリンジ酢酸(塩)、アスパラギン酸(塩)及びグルタミン酸(塩)、ピロメリット酸(塩)、ベンゾポリカルボン酸(塩)、シクロペンタンテトラカルボン酸(塩)等、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、マレイン酸誘導体、シュウ酸(塩)、マロン酸(塩)、コハク酸(塩)、グルタル酸(塩)及びアジピン酸(塩)等が挙げられる。
【0074】
その他のキレート剤(D3)としては、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−エタンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,3−プロパンジアミン及びN,N’−ビス(サリチリデン)−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
【0075】
実使用時におけるキレート剤(D)の濃度は、電子材料用処理剤の重量に基づいて、好ましくは0.001〜2重量%である。
また、化合物(A)及び化合物(a4)の合計重量に対する(D)の重量比(D)/{(A)+(a4)}は好ましくは0.01〜10である。
【0076】
本発明の電子材料用処理剤は、異物の固着防止性の観点から、磁気ディスク基板であることが好ましい。
【0077】
本発明の電子材料の製造方法は、電子材料用表面処理剤(B)を用いて電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以上とする工程、及び該工程以降に電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で30°以下にする洗浄工程を含むことができる。
電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以上である電子材料中間体は、表面処理され、電子材料中間体表面に直接的にパーティクルなどの異物の強固な付着を防ぐことができ、洗浄工程により保護層を除去することで、最終的に得られる電子材料の清浄度を向上できると推定される。
洗浄工程前の電子材料中間体は、パーティクルなどの異物の固着防止性の観点から、電子材料中間体表面に対する水の接触角が好ましくは25℃で35°以上であり、さらに好ましくは35°〜180°であり、より好ましくは50°〜180°、特に好ましくは60°〜180°である。
洗浄工程において、電子材料中間体は、電子材料の清浄度向上の観点から、電子材料中間体表面に対する水の接触角が好ましくは25℃で30°以下であり、さらに好ましくは0°〜30°であり、より好ましくは0°〜20°であり、特に好ましくは0°〜10°である。
なお、電子材料中間体表面に対する水の接触角は、全自動接触角計(協和界面科学製、「全自動接触角計DM700」)で25℃において測定した値である。
【0078】
電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以上である電子材料中間体を、洗浄剤(E)を使用して表面処理を施した電子材料中間体を洗浄して電子材料中間体表面に対する水の接触角を25℃で30°以下とする洗浄工程により、電子材料の清浄度がより向上した電子材料を製造することが可能となる。
【0079】
洗浄剤(E)は、水と添加剤(F)を構成成分として含む洗浄剤であることが好ましい。洗浄工程において、水だけで洗浄した場合と比較して、添加剤(F)を含有することで表面処理を施すために使用した薬剤の残留を著しく減少させることが可能となる。
【0080】
添加剤(F)としては、キレート剤(F1)、界面活性剤(F2)、有機アルカリ(F3)、安定化剤(F4)、pH調整剤(F5)及び防腐剤(F6)等が挙げられる。これらのうち2種以上を組み合わせてもよい。
【0081】
キレート剤(F1)はキレート剤(D)と同様のキレート剤が挙げられ、洗浄性向上の観点から、好ましくはカルボキシル基及び/又はカルボキシレート基を分子内に含有するキレート剤(F11)及びホスホン酸(塩)基又はリン酸(塩)基を分子内に含有するキレート剤(F12)であり、更に好ましくは、クエン酸(塩)、EDTA(塩)、DTPA(塩)、HIDA(塩)、NTA(塩)、NTMP(塩)、HEDP(塩)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(塩)、ピロリン酸(塩)等である。特に好ましくは、HEDP(塩)、NTMP(塩)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(塩)、クエン酸(塩)、DTPA(塩)、及びHIDA(塩)である。
【0082】
界面活性剤(F2)としては、ノニオン性界面活性剤及び化合物(A)以外のアニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0083】
ノニオン性界面活性剤としては、アルキレンオキサイド付加型ノニオン性界面活性剤及び多価アルコール型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加型ノニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルコールアルキレンオキサイド1〜30モル付加物、炭素数1〜12のアルキルフェノールエチレンオキサイド1〜30モル付加物、炭素数8〜18の脂肪酸エチレンオキサイド1〜30モル付加物及びポリプロピレングリコール(分子量200〜4000)エチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多価アルコール型ノニオン界面活性剤としては、グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、ラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。具体例としては、炭素数12のアルコールエチレンオキサイド9モル付加物、グリセリンモノオレート及びポリプロピレングリコールエチレンオキサイド30モル付加物等が挙げられる。
【0084】
アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸系界面活性剤(炭素数8のアルコールのスルホコハク酸ジエステル(塩)、ドデシルベンゼンスルホン酸(塩)等)、硫酸エステル系界面活性剤(炭素数14のアルコールエチレンオキサイド3モル付加物硫酸エステル(塩)、炭素数8のアルコールエチレンオキサイド2モル付加物硫酸エステル(塩)、炭素数12〜13のアルコールの硫酸エステル(塩)等)、脂肪酸系界面活性剤(炭素数10の脂肪酸(塩)等)、リン酸エステル系界面活性剤(炭素数8のアルコールのリン酸モノエステル(塩)等)、高分子型アニオン性界面活性剤(ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸/アクリルアミド共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジメチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等並びにこれらの塩、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート硫酸エステル}、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート硫酸エステル共重合体、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}の硫酸エステル化物等並びにこれらの塩、ポリ{(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸}、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸共重合体、ナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物等並びにこれらの塩、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートリン酸エステル}、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートリン酸エステル共重合体、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}のリン酸エステル化物並びにこれらの塩、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−イタコン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−フマル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/酢酸ビニル共重合体及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}のカルボキシメチル化物、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、安息香酸ホルムアルデヒド縮合物、安息香酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物及びこれらの塩等)が挙げられる。
アニオン性界面活性剤のうち好ましくは、パーティクルの再付着防止の観点から高分子型アニオン性界面活性剤である。高分子型アニオン性界面活性剤を使用する場合は、必要によりさらにスルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、脂肪酸系界面活性剤及びリン酸エステル系界面活性剤から選ばれる1種以上を併用してもよい。
【0085】
界面活性剤(F2)としては、その他にカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0086】
有機アルカリ(F3)としては、例えば、1級アミン(メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン並びにグアニジン等);2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等のジアルキルアミン並びにジエタノールアミン等);3級アミン{トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン並びに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等};アミジン{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(以下、DBUと略記する)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1H−イミダゾール、2−メチル−1H−イミダゾール、2−エチル−1H−イミダゾール、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン、1,6(4)−ジヒドロピリミジン等}、多価アミン(2−アミノエチルアミノエタノール、エチレンジアミンテトラエタノール等)、アンモニウム及び第4級アンモニウム(テトラアルキルアンモニウム等)が挙げられる。
前記キレート剤(F1)又は前記アニオン性界面活性剤が塩を形成している場合の塩として、基板への金属汚染防止の観点から好ましくは、1級アミン、2級アミン、3級アミン、多価アミン、アンモニウム及び第4級アンモニウムであり、特に好ましくは1級アミン、2級アミン、多価アミン、アミジン及びアンモニウム、最も好ましくはジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノエチルアミノエタノール、エチレンジアミンテトラエタノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5である。
【0087】
安定化剤(F4)として、パラトルエンスルホン酸塩及び安息香酸塩等が挙げられる。
【0088】
pH調整剤(F5)として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等が挙げられる。
【0089】
防腐剤(F6)として、市販の防腐剤を使用することができる。
【0090】
実使用時における洗浄剤(E)の重量に基づいて添加剤(F)の濃度は、0.001〜2重量%である。
【0091】
電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以上である電子材料中間体は、表面処理剤(B)で表面処理されてなる電子材料中間体であることがパーティクルなどの異物の固着防止性の観点から好ましい。電子材料中間体表面に対する接触角が25℃で35°以上とする方法としては、表面処理剤(B)に電子材料中間体を浸漬する方法及び表面処理剤(B)を電子材料中間体に噴霧する方法等が挙げられる。又は、表面処理剤(B)を用いて電子材料中間体を洗浄(浸漬(ディップ)洗浄、ポリビニルアルコール等を主成分とするスポンジを用いたスクラブ洗浄等)する方法でもよい。電子材料中間体に対して表面処理剤(B)を用いて前記方法による処理をした後、さらに水で電子材料中間体を洗ってもよく、水洗浄後に電子材料中間体を乾燥させてもよい。また、電子材料中間体に対して表面処理剤(B)を用いて前記方法による処理をした後に、電子材料中間体を乾燥させてもよい。
好ましくは、表面処理剤(B)に電子材料中間体を浸漬又は表面処理剤(B)を電子材料中間体に噴霧した後、さらに水で電子材料中間体を洗う方法である。
【0092】
洗浄工程において、電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以下にする電子材料中間体を洗浄する方法としては、電子材料中間体を、浸漬(ディップ)洗浄、超音波用いたディップ洗浄、洗浄用テープを用いたテープ洗浄及びポリビニルアルコール等を主成分とするスポンジを用いたスクラブ洗浄等の方法が挙げられる。
パーティクルなどの異物の固着防止性の観点から、好ましくは表面処理剤(B)に電子材料中間体を浸漬又は表面処理剤(B)を電子材料中間体に噴霧した後、さらに水で電子材料中間体を洗う方法である。表面処理を施すために使用した薬剤の除去性の観点から、好ましくは浸漬(ディップ)洗浄及び超音波用いたディップ洗浄である。
【0093】
本発明の別の実施態様は、電子材料中間体を研磨する研磨工程を有する電子材料の製造方法において、上記の表面処理剤(B)を使用して表面処理を施して電子材料中間体表面に対する水の接触角を25℃で35°以上とする工程を含む電子材料の製造方法である。研磨工程直後に、例えば表面処理剤(B)に電子材料中間体を浸漬又は表面処理剤(B)を電子材料中間体に噴霧することで、研磨粒子等の異物の付着を防止することができるため、その後工程において発生するスクラッチやピットなどの表面欠陥を低減した電子材料を製造することが可能となる。
さらに、表面処理を施した電子材料中間体を洗浄して電子材料中間体表面に対する水の接触角を25℃で30°以下とする洗浄工程により、電子材料中間体の清浄度がより向上した電子材料を製造することが可能となる。
【0094】
本発明の製造方法を用いた表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされた磁気ディスク用アルミ基板の製造工程(一部)の一例を以下に示す。
(1)サブストレート工程において、砥粒としてコロイダルシリカを用いてアルミ基板を研磨する。
(2)研磨後のアルミ基板を純水で軽くリンスした後、表面処理剤(B)にアルミ基板を浸漬する。
(3)アルミ基板を引き上げ、純水で軽くリンスした後、洗浄剤(E)を仕込んだ洗浄機にセットしてスクラブ洗浄又は超音波を用いたディップ洗浄をおこなう。
(4)洗浄後、純水でリンスし、スピン乾燥で乾燥させる。
(5)アルミ基板を容器に梱包し、メディア工程に搬送する。
【0095】
上記製造工程(2)における浸漬温度は好ましくは5〜100℃であり、さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0096】
上記製造工程(2)における浸漬時間は好ましくは3秒〜20時間であり、さらに好ましくは5分〜15時間であり、特に好ましくは10分〜10時間である。
【0097】
上記製造工程(3)における洗浄温度は好ましくは5〜100℃であり、さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0098】
上記製造工程(3)における洗浄時間は好ましくは1分〜20時間であり、さらに好ましくは5分〜15時間であり、特に好ましくは10分〜10時間である。
【0099】
本発明のもう一つの実施態様は、電子材料中間体を乾燥する乾燥工程を有する製造方法において、上記の表面処理剤(B)を使用して表面処理を施して電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で35°以上とする工程を含む電子材料の製造方法である。乾燥工程の前に、例えば表面処理剤(B)に電子材料中間体を浸漬する、表面処理剤(B)を電子材料中間体に噴霧する又は表面処理剤(B)を用いて電子材料中間体を洗浄することで、乾燥後の異物の付着を防止することができるため、清浄度の高い電子材料を製造することが可能となる。
さらに、表面処理を施した電子材料中間体を洗浄して電子材料中間体表面に対する水の接触角が25℃で30°以下とする洗浄工程により、基板の清浄度がより向上した電子材料を製造することが可能となる。
【0100】
本発明の製造方法を用いた表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされた磁気ディスク用アルミ基板の製造工程(一部)の一例を以下に示す。
(a)サブストレート工程において、砥粒としてコロイダルシリカを用いてアルミ基板を研磨する。
(b)研磨後のアルミ基板を引き上げ、純水で軽くリンスした後、洗浄機にセットしてスクラブ洗浄又は超音波を用いたディップ洗浄をおこなう。
(c)洗浄後、純水でリンスした後、表面処理剤(B)にアルミ基板を浸漬する。
(d)浸漬したアルミ基板を引き上げ、純粋でリンスした後、スピン乾燥で乾燥させる。
(e)アルミ基板を容器に梱包し、メディア工程に搬送する。
(f)搬送後、洗浄剤(E)を用いて超音波を用いたディップ洗浄等で受け入れ洗浄をおこなう。
【0101】
上記(c)における浸漬温度は、好ましくは5〜100℃であり、さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0102】
上記(c)における浸漬時間は、好ましくは3秒〜20時間であり、さらに好ましくは5分〜15時間であり、特に好ましくは10分〜10時間である。
【0103】
上記(d)における回転数は、好ましくは1000〜6000rpmであり、さらに好ましくは2000〜5000rpmである。上記(d)におけるスピン乾燥時間は、好ましくは1〜10分である。
【0104】
上記(f)における洗浄温度は、好ましくは5〜100℃であり、さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0105】
上記(f)における洗浄時間は、好ましくは1分〜20時間であり、さらに好ましくは5分〜15時間、特に好ましくは10分〜10時間である。
【0106】
本発明の電子材料の製造方法で製造される電子材料は、前述したように、製造工程中に研磨工程とそれに続く洗浄工程を含む電子材料であれば特に限定するものではなく、例えば、磁気ディスク基板、シリコン半導体基板、化合物半導体基板及びサファイヤ基板等が挙げられる。
これらのうち、生産効率向上の観点から、好ましくは磁気ディスク用基板であり、具体的には磁気ディスク用ガラス基板及び表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされた磁気ディスク用アルミ基板である。
【実施例】
【0107】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
実施例1〜28、及び比較例1〜7
表1〜3に記載の組成となるように、各成分を配合し、25℃、マグネチックスターラーで40rpm、20分間攪拌して、本発明の表面処理剤(B−1)〜(B−28)、比較用の表面処理剤(B−29)〜(B−34)及び純水並びに洗浄工程で使用する洗浄剤(E)を得た。
なお、ブランクとして電気抵抗率が18MΩ・cmの純水を比較例5とした。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
性能評価試験は下記の方法で行った。
なお、本評価は大気からの汚染を防ぐため、クラス1,000(FED−STD−209D、米国連邦規格、1988年)のクリーンルーム内で実施した。
電子材料中間体として2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板又は磁気ディスク用のNi−Pメッキされたアルミ基板を用い、試験基板を表面処理した後の基板表面に対する水の接触角を測定した。パーティクルなどの異物の付着防止性については、試験基板上の異物数をカウントすることで行った。さらに、試験基板を洗浄した後の基板表面に対する水の接触角を測定した。洗浄工程後の基板の清浄度については、洗浄後基板上の2800〜3200cm−1の範囲に現れるC−H伸縮振動に由来するピークの有無を確認することで評価した。
【0113】
<表面処理後の接触角の測定>
(1)実施例1〜28(B−1)〜(B−28)及び比較例1〜6の水溶液(B−29)〜(B−34)を50倍希釈し、表面処理力評価用の試験液を得た。比較例7は純水をそのまま試験液とした。
(2)2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板又は磁気ディスク用のNi−Pメッキされたアルミ基板を、上記試験液が1000mL入ったビーカーに縦方向に浸漬し、10分間静置した。
(3)10分経過後、ガラス基板及びアルミ基板を引き上げ、純水の流水で10秒間軽く濯ぎ流し、窒素で乾燥し試験用基板を作成した。
(4)各基板に対するイオン交換水の接触角を全自動接触角計(協和界面科学製、「全自動接触角計DM700」)で測定した。結果を表4〜6に示す。
【0114】
<付着防止性の評価1(浸漬して一時保管する場合)>
(1)市販のコロイダルシリカスラリー(フジミインコーポレイテッド製「COMPOL80」粒径約80nm)(約30重量%)100mLを純水で10倍に希釈し、試験用のスラリー液を1000mL準備した。
(2)試験用のスラリー液が1000mL入ったビーカーに上記の試験用基板を作成した直後に縦方向に浸漬し、6時間静置した。
(3)6時間経過後、試験用基板を引き上げ、純水の流水で10秒間軽く濯ぎ流した後、窒素で乾燥させ表面保護性能評価用基板を作成した。
(4)表面検査装置(ビジョンサイテック社製、MicroMax VMX−6100SK)で基板表面を観察し、基板上のパーティクル数を数えた。
なお、ブランクの比較例7のガラス基板上パーティクル数は500個、ブランクの比較例5のアルミ基板上パーティクル数は300個であった。
【0115】
それぞれの基板上のパーティクル数をブランクの(比較例7)の基板上パーティクル数と比較し、下記の判断基準に従い、パーティクルが基板に付着することを抑える付着防止性効果を評価し、判定した。
結果を表4〜6に示す。
5:ブランクの10%未満
4:ブランクの10%〜40%未満
3:ブランクの40%〜60%未満
2:ブランクの60%〜80%未満
1:ブランクの80%以上
【0116】
<付着防止性の評価2(乾燥状態の場合)>
(1)市販の粉末シリカ(粒径約3μm)を作成した直後の試験用基板上に1g散布し、1週間静置した。
(2)1週間経過後、試験用基板を純水の流水で10秒間軽く濯ぎ流した後、窒素で乾燥させ表面保護性能評価用基板を作成した。
(3)表面検査装置(ビジョンサイテック社製、MicroMax VMX−6100SK)で基板表面を観察し、基板上のパーティクル数を数えた。
なお、ガラス基板の場合、ブランクの比較例5の基板上パーティクル数は100個、アルミ基板の場合、ブランクの比較例5の基板上パーティクル数は70個であった。
【0117】
それぞれの基板上のパーティクルなどの異物数をブランクの(比較例7)の基板上異物数と比較し、下記の判断基準に従い、パーティクルなどの異物が基板に付着することを抑える付着防止性効果を評価し、判定した。
結果を表4〜6に示す。
5:ブランクの10%未満
4:10%〜40%未満
3:40%〜60%未満
2:60%〜80%未満
1:80%以上
【0118】
<長期付着防止性の評価1(浸漬して一時保管する場合)>
(1)市販のコロイダルシリカスラリー(フジミインコーポレイテッド製「COMPOL80」粒径約80nm)(約30重量%)100mLを純水で10倍に希釈し、試験用のスラリー液を1000mL準備した。
(2)試験用のスラリー液が1000mL入ったビーカーに上記の試験用基板をクリーンルーム内で1週間放置した後に縦方向に浸漬し、6時間静置した。
(3)6時間経過後、試験用基板を引き上げ、純水の流水で10秒間軽く濯ぎ流した後、窒素で乾燥させ表面保護性能評価用基板を作成した。
(4)表面検査装置(ビジョンサイテック社製、MicroMax VMX−6100SK)で基板表面を観察し、基板上のパーティクル数を数えた。
なお、ブランクの比較例5のガラス基板上パーティクル数は500個、ブランクの比較例5のアルミ基板上パーティクル数は300個であった。
【0119】
それぞれの基板上のパーティクル数をブランクの(比較例7)の基板上パーティクル数と比較し、下記の判断基準に従い、パーティクルが基板に付着することを抑える付着防止性効果を評価し、判定した。
結果を表4〜6に示す。
5:ブランクの10%未満
4:ブランクの10%〜40%未満
3:ブランクの40%〜60%未満
2:ブランクの60%〜80%未満
1:ブランクの80%以上
【0120】
<長期付着防止性の評価2(乾燥状態の場合)>
(1)市販の粉末シリカ(粒径約3μm)をクリーンルーム内で1週間放置した後の試験用基板上に1g散布し、1週間静置した。
(2)1週間経過後、試験用基板を純水の流水で10秒間軽く濯ぎ流した後、窒素で乾燥させ表面保護性能評価用基板を作成した。
(3)表面検査装置(ビジョンサイテック社製、MicroMax VMX−6100SK)で基板表面を観察し、基板上のパーティクル数を数えた。
なお、ガラス基板の場合、ブランクの比較例5の基板上パーティクル数は100個、アルミ基板の場合、ブランクの比較例5の基板上パーティクル数は70個であった。
【0121】
それぞれの基板上のパーティクルなどの異物数をブランクの(比較例7)の基板上異物数と比較し、下記の判断基準に従い、パーティクルなどの異物が基板に付着することを抑える付着防止性効果を評価し、判定した。
結果を表4〜6に示す。
5:ブランクの10%未満
4:10%〜40%未満
3:40%〜60%未満
2:60%〜80%未満
1:80%以上
【0122】
<洗浄後の接触角の測定>
(1)実施例1〜28(C−1)〜(C−28)及び比較例5〜6の洗浄剤(C−29)〜(C−30)を50倍希釈し、表面処理に使用した薬剤の除去性評価用の試験液を得た。比較例1〜4及び7は純水をそのまま試験液とした。
(2)試験用基板を上記試験液が1000mL入ったビーカーに縦方向に浸漬し、10分間静置した。
(3)10分経過後、試験用基板を引き上げ、純水の流水で10秒間軽く濯ぎ流し、窒素で乾燥し除去性評価用基板を作成した。
(4)各基板に対するイオン交換水の接触角を全自動接触角計(協和界面科学製、「全自動接触角計DM700」)で測定した。結果を表4〜6に示す。
【0123】
<洗浄後の基板の清浄度の評価>
除去性評価用基板に対して、フーリエ変換赤外分光光度計(サーモエレクトロン株式会社製、Nicolet 6700)を用いて、2800〜3200cm−1の範囲に現れるC−H伸縮振動に由来するピークを測定した。
○:ピークは観察されず。
×:ピークが観察された。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
表4〜6より、実施例1〜28のガラス基板及びアルミ基板は、比較例1〜7のそれらと比較して、パーティクルなどの異物の付着を長期的に防ぐことができ、かつ洗浄後の基板の清浄度が高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の表面処理剤及び電子材料の製造方法は、砥粒や研磨屑のパーティクルなどの異物が基板表面に強固に付着することを抑制し、さらに基板表面の清浄度を従来の表面処理剤及び製造方法と比較して大幅に向上できる。そのため、製造工程中に研磨を必要とする電子材料、特にハードディスク等の磁気ディスク基板製造工程における基板の表面処理剤及び製造方法として使用することができる。