特開2017-200043(P2017-200043A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-200043(P2017-200043A)
(43)【公開日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】コンデンサマイクロホンユニット
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20171006BHJP
【FI】
   H04R19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-89071(P2016-89071)
(22)【出願日】2016年4月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】秋野 裕
【テーマコード(参考)】
5D021
【Fターム(参考)】
5D021CC19
(57)【要約】
【課題】 タッピングスクリューをねじ込むことで内蔵部品がユニットケース内に固定されるコンデンサマイクロホンユニットを提供する。
【解決手段】 本発明は、内蔵部品と、タッピングスクリューと、前記内蔵部品を嵌め込む第1孔部と、前記タッピングスクリューをねじ込む第2孔部と、を備えるユニットケースと、を備え、前記第1孔部と前記第2孔部の間に当接部が規定され、前記当接部の第1面が前記タッピングスクリューと当接し、前記当接部の第2面が前記内蔵部品と当接するコンデンサマイクロホンユニットに関する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵部品と、
タッピングスクリューと、
前記内蔵部品を嵌め込む第1孔部と、前記タッピングスクリューをねじ込む第2孔部と、を備えるユニットケースと、
を備え、
前記第1孔部と前記第2孔部の間に当接部が規定され、
前記当接部の第1面が前記タッピングスクリューと当接し、前記当接部の第2面が前記内蔵部品と当接する、
コンデンサマイクロホンユニット。
【請求項2】
前記当接部は、前記第2面側にたわんでいる、請求項1記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項3】
前記内蔵部品と前記内壁の間には隙間がある、請求項1又は2に記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項4】
前記タッピングスクリューの頭部は、前記内蔵部品と当接する、請求項1乃至3のいずれかに記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項5】
前記タッピングスクリューを複数備え、前記タッピングスクリューは、前記第1孔部を中心に放射状に配置されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項6】
前記タッピングスクリューの数は3個である、請求項1乃至5のいずれかに記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項7】
前記当接部は、前記タッピングスクリューに対応して3箇所規定され、3箇所の前記当接部の第2面それぞれと前記内蔵部品が当接することにより、前記内蔵部品が前記ユニットケース内に固定される、請求項6記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項8】
前記ユニットケースは、前記タッピングスクリューをねじ込む第2孔部に続いて、前記ユニットケースに弾性変形を許容する溝を有している、請求項1乃至7のいずれかに記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサマイクロホンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサマイクロホンユニットにおいて、筒状のユニットケースの中に振動板および固定極などの内蔵部品を組み込む技術が既に知られている。
【0003】
組み立てやすくするため、ユニットケースの内壁と内蔵部品の間には隙間が必要である。一方、組立後にも隙間があると内蔵部品間の偏心によってコンデンサマイクロホンユニットの性能がばらつく。すなわち、周波数応答が劣化し、歪みが増大する。
【0004】
そこで、組立時にはユニットケースと内蔵部品間に隙間が大きく、組立後には内蔵部品がユニットケース内に固定される技術が必要とされている。
【0005】
これまでにも、電気部品を覆った樹脂層に取付部を一体成形し、この取付部に開設したセルフ孔にタッピング螺子を螺入して電気部品を基板に取り付ける電気部品の取付装置であって、樹脂層を耐薬品性樹脂で加工した電気部品の取付装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−62186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、タッピングスクリューをねじ込むことで内蔵部品がユニットケース内に固定されるコンデンサマイクロホンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるコンデンサマイクロホンユニットは、内蔵部品と、タッピングスクリューと、内蔵部品を嵌め込む第1孔部と、タッピングスクリューをねじ込む第2孔部と、を備えるユニットケースと、を備え、第1孔部と第2孔部の間に当接部が規定され、当接部の第1面がタッピングスクリューと当接し、当接部の第2面が内蔵部品と当接する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッピングスクリューをねじ込むことで内蔵部品がユニットケース内に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかるコンデンサマイクロホンユニットの実施の形態のうち、タッピングスクリューをねじ込む前の状態を示す断面図である。
図2】上記コンデンサマイクロホンユニットが備えるユニットケースおよび内蔵部品の一部を示す上面図である。
図3】上記ユニットケースおよび上記内蔵部品の一部を示す下面図である。
図4】上記ユニットケースにタッピングスクリューをねじ込んだ状態を示す断面図である。
図5】上記ユニットケースおよび上記内蔵部品の一部を示す上面図である。
図6】上記ユニットケースおよび上記内蔵部品の一部を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
●コンデンサマイクロホンユニット
以下、本発明にかかるコンデンサマイクロホンユニットの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1から図3に示すように、コンデンサマイクロホンユニット1は、ユニットケース10、タッピングスクリュー21および内蔵部品12を備える。なお、図2および図3では、タッピングスクリュー21の記載を省略している。
【0013】
また、コンデンサマイクロホンユニット1は、3本のタッピングスクリューを備える。3本のタッピングスクリューは、ユニットケース10の中心軸に対して略点対称に配置されている。3本のタッピングスクリューのそれぞれとユニットケース10との配置関係は、タッピングスクリュー21とユニットケース10との配置関係と同様である。
【0014】
ユニットケース10は、プラスチックにプラメッキされてなる有底の円筒形のケースである。プラメッキとは、プラスチックなどの樹脂に導電性のメッキを施す処理である。ユニットケース10は、第1孔部11および第2孔部31、32、33、溝41、42、43を備える。
【0015】
第1孔部11は、ユニットケース10の上面中央に位置している。第1孔部11には、内蔵部品12が嵌め込まれる。内蔵部品12とは、支持リング13、支持リング13に保持された振動板14、スペーサ15、固定極16、絶縁座17、円筒電極18、およびFET19等の電気部品が搭載された回路基板20である。
【0016】
なお、内蔵部品12は上記に限られず、第1孔部11に嵌め込まれるその他の部品を含んでもよい。
【0017】
溝41、42、43は、第2孔部31、32、33に続いて形成されている、偏平な楕円形の空隙である。
【0018】
ユニットケース10の第1孔部11の底部には、ユニットケース10の内部に音声を導き入れるための複数の孔が形成されている。ユニットケース10の底部に最も近い位置に、リング状の支持リング13と、外周縁部が支持リング13の一端面に張力を持って固着された振動板14が配置されている。
【0019】
固定極16は、リング状の部材であるスペーサ15を介して、振動板14に対向配置されている。振動板14と固定極16との間には、スペーサ15の厚さに相当する隙間が形成されている。
【0020】
振動板14と固定極16の少なくとも一方には、これらの対向面にエレクトレット素子、すなわち半永久的に電荷を蓄えた高分子化合物による薄層が形成されている。振動板14と固定極16は、コンデンサを構成している。振動板14は、ユニットケース10の第1孔部11の底部に形成された複数の孔から導き入れられる音声に従って振動する。コンデンサの静電容量は、振動板14の振動に伴って変化する。この静電容量の変化が、音声信号としてコンデンサマイクロホンユニット1から外部機器に出力される。
【0021】
内蔵部品12の外径は、第1孔部11の内径より小さい。すなわち、第1孔部11の内壁40と内蔵部品12との間には、隙間50がある。隙間50により、内蔵部品12は、第1孔部11の中に容易に挿入される。図1では、第1孔部11の内壁40と内蔵部品12との間に隙間50があるため、振動板14や固定極16、回路基板20などが偏心している様子を示している。
【0022】
第2孔部31〜33は、第1孔部11を中心として放射状に配置されている。第2孔部31〜33の中心軸は、第1孔部11の中心軸と略平行である。
【0023】
第1孔部11を形成するユニットケース10の内壁40のうち、第1孔部11と第2孔部31の間には、当接部51が規定される。当接部51は、第1面511と、第1面511の反対の面である第2面512を有する。第1面511は、第2孔部31の内壁の一部である。第2面512は、第1孔部11の内壁40の一部である。
【0024】
当接部は、3本のタッピングスクリューに対応して3箇所規定される。すなわち、内壁40のうち、第1孔部11と第2孔部32の間には、当接部52が規定される。当接部52の第1面は、第2孔部32の内壁の一部である。当接部51の第2面は、第1孔部11の内壁40の一部である。内壁40のうち、第1孔部11と第2孔部33の間には、当接部53が規定される。当接部53の第1面は、第2孔部33の内壁の一部である。当接部53の第2面は、第1孔部11の内壁40の一部である。
【0025】
図4から図6に示すように、タッピングスクリュー21は、第2孔部31にねじ込まれている。タッピングスクリュー21は、先端部211と円柱部212を備える。先端部211は、径が徐々に大きくなる円錐状である。円柱部212は、先端部211に連続する円柱形の部分である。
【0026】
タッピングスクリュー21が第2孔部31に挿入される際、まず先端部211が第2孔部31に挿入される。先端部211が第2孔部31にねじ込まれることにより、当接部51は変形する。すなわち、当接部51は、第2面512側、すなわち第1孔部11側にたわむ。当接部51が第1孔部11側にたわむことにより、当接部51の第2面512は内蔵部品12と当接する。第2面512が内蔵部品12と当接した後、なおも先端部211がねじ込まれると、当接部51は溝41に逃げて弾性変形する。溝41により、内蔵部品12に対する余分な押圧力を逃がすことができる。
【0027】
先端部211が第2孔部31に挿入された後、円柱部212が第2孔部31に挿入される。その際、円柱部212の当接部51に対する押圧力は一定である。すなわち、円柱部212は、当接部51を変形させることなく、当接部51と内蔵部品12の位置関係を維持する。
【0028】
タッピングスクリュー21は、挿入されている状態において、当接部51の第1面511と当接する。
【0029】
同様に、他の2本のタッピングスクリュー21は、第2孔部32および第2孔部33にそれぞれねじ込まれている。すなわち、3本のタッピングスクリュー21は、第1孔部11を中心に放射状に配置されている。他の2本のタッピングスクリュー21がそれぞれ第2孔部32および第2孔部33にねじ込まれることにより、当接部52および当接部53が変形する。当接部52および当接部53が第1孔部11側にたわむことにより、当接部52の第2面および当接部53の第2面は、内蔵部品12と当接する。
【0030】
当接部51〜53がそれぞれ内蔵部品12と当接することで、内蔵部品12は、第1孔部11内に径方向に固定される。当接部51〜53以外の内壁40と内蔵部品12の間には、隙間があってもよい。
【0031】
タッピングスクリューは、本実施の形態においては3個であったが、3個より少なくても多くてもよい。タッピングスクリューを3個備えることで、内蔵部品12は、より安定して固定される。
【0032】
タッピングスクリュー21が第2孔部31に挿入された状態において、タッピングスクリュー21の頭部213は、内蔵部品12に当接する。本実施の形態においては、頭部213は回路基板20と当接している。頭部213が内蔵部品12に軸方向の応力を与えることで、内蔵部品12は軸方向に固定される。
【0033】
同様に、他の2本のタッピングスクリュー21の頭部213は、内蔵部品12に当接する。他の2本のタッピングスクリュー21の頭部213が内蔵部品12に軸方向の応力を与えることで、内蔵部品12はより安定して軸方向に固定される。
【0034】
以上説明した実施の形態によれば、タッピングスクリューをねじ込むことで内蔵部品がユニットケース内に固定される。
【符号の説明】
【0035】
1 コンデンサマイクロホンユニット
10 ユニットケース
11 第1孔部
21 タッピングスクリュー
31 第2孔部
40 内壁
41 溝
51 当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6