本発明の実施形態に係る電話通信システムは、発信先の電話との電話通信の管理を行うシステムであり、制御装置と制御装置と接続する複数の電話発信装置とを備える。制御装置は、要求登録部と発信要求記憶部と振分処理部と状態記憶部と受信部と発信結果記憶部と第1の状態取得部と登録部とを備え、接続される複数の電話発信装置へ発信要求を振り分けるとともに電話発信装置の状態監視を行う。電話発信装置は、発信キュー記憶部と音声発信応答部と結果送信部と第2の状態取得部とを備え、制御装置から発信要求に基づいて、ネットワークを介して発信先電話へ電話の発信を行う。また、各電話発信装置は自身の装置の状態情報を制御装置に送信する。
複数の回線からなるネットワークを介して複数の発信要求に元づいて電話を行う複数の電話発信装置と、前記複数の発信要求を前記複数の電話発信装置に振り分ける制御装置とを備える電話通信システムであって、
前記制御装置は、
前記発信要求の識別子と、発信先電話の電話番号と、前記電話発信装置に送信済みであるかどうかを示す送信済みフラグとを対応づけた発信要求を記憶する発信要求記憶部と、
前記電話発信装置の識別子、状態フラグ、全回線数、空き回線数、未発信数、および未応答数を含む前記電話発信装置の状態情報を記憶する状態情報記憶部と、
前記状態情報記憶部に前記電話発信装置の状態情報を登録する登録部と、
前記状態情報記憶部に記憶された状態情報のうち、前記状態フラグが正常である電話発信装置3の状態情報を取得し、前記状態情報に含まれる前記回線数、前記空き回線数、前記未発信数、および前記未応答数に基づいて、電話発信装置ごとに前記発信要求を振り分ける件数振分発信要求を作成する振分部と、
前記電話発信装置による発信が行われた前記発信要求の識別子と応答結果とが対応付けられた発信結果を受信する受信部と、
前記発信結果と前記状態情報に基づいて、状態が異常である電話発信装置に送信された前記発信要求のうち、未応答の発信要求の前記送信済みフラグを未送信の状態に更新する第1の状態取得部と、を備え、
前記電話発信装置は、
前記電話番号に基づいて、前記複数の回線を介して自動音声による電話発信を行う音声発信応答部と、
発信済みの前記振分発信要求と、当該振分発信要求に対する応答結果とを含む発信結果を制御装置に送信する送信部と、
前記ネットワークの空き回線数と、未発信および未応答の前記振分発信要求の件数と、前記電話発信装置の状態を取得し、取得したデータを前記制御装置に送信する第2の状態取得部と、を備え、
前記登録部は、前記第2の状態取得部から送信されたデータに基づいて前記状態情報記憶部の前記状態フラグ、前記空き回線数、前記未発信数、および前記未応答数を更新する電話通信システム。
複数の回線からなるネットワークを介して複数の電話に発信を行う複数の電話発信装置と、前記複数の電話発信装置に発信要求の振分を行う制御装置とを備える電話通信システムの電話通信方法であって、
前記発信要求の識別子と、発信先電話の電話番号と、前記電話発信装置に送信済みであるかどうかを示す送信済みフラグとを対応づけて記憶する過程と、
前記電話発信装置の識別子、状態フラグ、全回線数、空き回線数、未発信数、および未応答数を含む前記電話発信装置の状態情報に基づいて、前記電話発信装置ごとに発信要求を振り分けた振分発信要求を作成する過程と、
前記電話発信装置による発信が行われた前記発信要求の識別子と応答結果とが対応付けられた発信結果を受信する過程と、
前記発信結果と前記状態情報とに基づいて、状態が異常である電話発信装置に送信された前記発信要求のうち、未応答の発信要求の前記送信済みフラグを未送信の状態に更新する過程と、
前記電話番号に基づいて、前記複数の回線を介して自動音声による電話発信を行う過程と、
発信済みの前記振分発信要求と当該振分発信要求に対する応答結果とを含む発信結果を前記制御装置に送信する過程と、
前記ネットワークの空き回線数と、未発信および未応答の前記振分発信要求の件数と、前記電話発信装置の状態を取得し、取得したデータを前記制御装置に送信する過程と、
前記データに基づいて、前記状態フラグ、前記空き回線数、前記未発信数、および前記未応答数を更新する過程と、を備える電話通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の電話通信システムの一例について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る電話通信システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。電話通信システム1は、発信先の電話5との電話通信の管理を行うシステムであり、制御装置2と、制御装置2と接続する複数の電話発信装置3と、を備える。本実施形態の電話通信システム1は、N台(Nは2以上の整数)の電話発信装置3(電話発信装置3−1〜電話発信装置3−N)を備えるとする。
【0014】
制御装置2は、接続される複数の電話発信装置3へ発信要求を振り分ける。また、制御装置2は、電話発信装置3の状態監視を行う。
【0015】
電話発信装置3は、制御装置2によって制御され、制御装置2から発信要求に基づいて、ネットワーク4を介して発信先電話5へ電話の発信を行う。また、電話発信装置3は、発信先電話5からの応答を受け付ける。すなわち、電話発信装置3は発信先電話5との通信を行う装置である。
【0016】
ネットワーク4は、例えば、電話回線やインターネット回線である。本実施形態ではネットワーク4は複数の電話回線で構成される。
【0017】
制御装置2および電話発信装置3は、例えばPCサーバなどのサーバ機能を備えるコンピュータ装置によって実現する。なお、
図1に示していないが、制御装置2および電話発信装置3は、HDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置を備える。なお、記憶装置は、装置ごとに備えてもよいし、複数の装置が1つの記憶装置を共有してもよい。
【0018】
図2は、電話通信システム1の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、電話発信システム1は、電話発信装置3をN台備えるが、ここでは代表の1台のみブロック図に示す。
【0019】
図2に示すように、制御装置2は、要求登録部201と、発信要求記憶部202と、振分処理部203と、発信装置状態記憶部204と、結果受信部205と、発信結果記憶部206と、第1の状態取得部207と、発信装置状態登録部208とを備える。発信要求記憶部202と、発信装置状態記憶部204と、発信結果記憶部217とは、1つの記憶装置によって実現してもよいし、複数の記憶装置によって実現してもよい。このような構成により、制御装置2は発信要求を電話発信装置3に振り分ける。
【0020】
要求登録部201は、発信要求を発信要求記憶部202に記憶する。発信要求は、例えば発信要求ファイル209として制御装置2に入力される。要求登録部201は、発信要求ファイル209が入力されると、発信要求テーブル22を作成し、作成した発信要求テーブル22を発信要求記憶部202に記憶する。
【0021】
図3は、発信要求テーブル22の一例を示す図である。
図3に示すように、発信要求テーブル22は、発信要求ごとに、識別子である発信要求No221と、発信を行う日時である発信要求日時222と、発信先電話5の電話番号223と、発信要求が振分先の電話発信装置3に送信済みであるかを示す要求送信済フラグ224(未送信:0、送信済:1とする)と、発信要求の振分先の電話発信装置3の識別子である要求送信先装置ID225と、を格納する。
【0022】
制御装置2は、発信要求日時222に発信要求記憶部202に格納される日時を登録する。
【0023】
振分処理部203は、発信要求と、電話発信装置3毎の状態情報(以下、発信装置状態情報という)とに基づいて振分数の算出を行う。振分数は、各電話発信装置3に振り分ける発信要求の件数である。
【0024】
振分処理部203は電話発信装置3毎の振分数に応じて、発信要求テーブル22の要求送信済フラグ224が未送信の発信要求先装置ID225に振分先の電話発信装置のIDを登録する。
【0025】
発信装置状態情報は、発信装置状態記憶部204に記憶されている。発信装置状態情報は、各電話発信装置3における状態取得処理において取得され、制御装置2に送信される。状態取得処理については後述する。
【0026】
図4に発信装置状態記憶部204に記憶された発信装置状態テーブル24の一例を示す。
【0027】
電話発信装置状態テーブル24は、発信要求先の電話発信装置3の識別子である装置ID241と、電話発信装置3が異常かどうかを示す装置状態フラグ242と、装置ごとの全回線数243と、空き回線数244と、未発信の発信要求の件数を示す待ち件数245と、発信先電話5からの応答がない発信要求の件数を示すリトライ待ち件数246と、を格納する。
【0028】
すなわち、振分処理部203は、発信装置状態情報テーブル24に格納された発信装置状態情報に基づいて、各電話発信装置3に振分数分の発信要求(以下、発信要求振分情報という)を発信要求記憶部202から抽出し、振分先の電話発信装置3に送信する。装置状態フラグ242に「1」が格納されている異常状態の電話発信装置3は振分処理の対象とはならず、振分数は算出されない。
図4に示すように、本実施形態の発信装置状態テーブル24では、装置ID241に格納されたIDが「3〜(N−1)」の電話発信装置3−3〜電話発信装置3−(N−1)は、装置状態フラグ242に「1」が格納されており、振分数は算出されない。
【0029】
発信結果受信部205は、電話発信装置3の電話発信に対する応答結果が格納された発信結果を受信する。結果受信部205は受信した発信結果を発信結果記憶部206に記憶する。
【0030】
発信結果記憶部206は、電話発信装置3による発信結果が格納された発信結果テーブル26を記憶する。
図5に示すように、発信結果テーブル26は、発信要求ごとに、識別子である発信要求No261と、電話発信日時262と、電話の音声を記憶する音声ファイルの識別子である音声ファイルID263と、電話発信の回数を示すリトライ回数264と、応答がある場合に格納される応答日時265と、切断日時266、を格納する。
【0031】
第1の状態取得部207は、電話発信装置3の発信結果および状態情報に基づいて、発信要求を更新する。すなわち、第1の状態取得部207は、発信結果テーブル26および発信装置状態テーブル24に基づいて、発信要求テーブル22を更新する。
【0032】
具体的には、第1の状態取得部207は、発信装置状態テーブル24に格納された発信装置状態に基づいて、異常が発生している電話発信装置3がないかを確認する。異常が発生している電話発信装置3があれば、第1の状態取得部207は、発信装置異常ファイル210に当該電話発信装置のIDを記憶する。
【0033】
第1の状態取得部207は、異常が発生している電話発信装置3がある場合、異常発生中の電話発信装置3に振り分けられた発信要求のうち、未応答の発信要求に対して、再度の振分処理が行われるように、発信要求の更新処理を行う。すなわち、異常発生中の電話発信装置3のIDが要求送信先装置ID225に格納された発信要求の発信要求のうち、発信結果テーブル26の応答日時265が格納されていない未応答の発信要求について、要求送信済みフラグ224を未送信の状態に戻す。これにより、異常発生中の電話発信装置3に振り分けられた発信要求のうち未応答の発信要求について、振分処理部203により再度の振分処理が行われる。
【0034】
発信装置状態登録部208は、電話発信装置3から送信された発信装置状態情報を発信装置状態記憶部204に記憶する。
【0035】
具体的には、発信装置状態登録部208は、電話発信装置3から受信した発信装置状態ファイル212よりデータを取得し、発信装置状態テーブル24に格納する。
【0036】
電話発信装置3は、取込処理部301と、発信キュー記憶部302と、音声発信応答部303と、応答結果記憶部304と、結果送信部305と、回線状態記憶部306と、第2の状態取得部307とを備える。
【0037】
取込処理部301は、制御装置2から受信した発信要求振分ファイル308に基づいて、発信キューを作成し発信キュー記憶部302に記憶する。発信要求振分ファイル308は、振分処理部203により振り分けられた発信要求が格納されたファイルである。
【0038】
音声発信応答部303は、発信キュー記憶部302に記憶された発信キューに基づいて、ネットワーク4を介して自動音声による電話を発信する。すなわち、音声発信応答部303は、制御装置2から振り分けられた発信要求に基づいて発信先電話5に電話発信を行い、自動音声による案内を行う。自動音声電話発信時に相手先が話中である場合は、発信キューの該当する発信要求データを、リトライ待ち状態として更新する。
【0039】
音声発信応答部303は、発信先電話3からの応答結果を応答結果記憶部304に記憶する。応答結果は、結果送信部305によって、制御装置2に送信される。
【0040】
また、音声発信応答部303は、電話発信の際に、ネットワーク4における各回線の状態を取得し、回線状態記憶部306に記憶する。回線状態は、例えば、使用中、未使用、および回線異常の3種類であり、各回線の識別子と対応付けられ、回線状態記憶部306に記憶される。
第2の状態取得部307は、電話発信装置3の状態情報を取得し、制御装置2に送信する。例えば、第2の状態取得部307は、電話発信装置3が異常かどうかを確認する。また第2の状態取得部307は、発信キュー記憶部302から残っている発信要求の件数である発信待ち件数と、発信したが応答がなかった発信要求の件数である発信リトライ件数とを取得する。また、第2の状態取得部307は、回線状態記憶部306から、未使用の電話回線数(空き回線数)を取得する。第2の状態取得部307は取得した発信待ち件数、発信リトライ件数、および空き回線数を格納した発信装置状態ファイル212を作成し、制御装置2に送信する。
【0041】
図6乃至
図10を参照して、本実施形態の電話通信システム1における動作の一例について説明する。本実施形態の電話通信システム1は電話発信処理および状態監視処理を行う。
【0042】
図6は、電話通信システム1における電話発信処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
制御装置2に発信要求として発信要求ファイル209が入力されると、要求登録部201は、発信要求ファイル209を発信要求記憶部202に登録する発信要求登録処理を行う(ステップS1)。
【0044】
振分処理部203は、発信要求記憶部202に記憶された各発信要求を各電話発信装置3に振り分ける発信要求振分処理を行う(ステップS2)。なお、この振分処理は、ステップS1の発信要求登録処理後に順次実行されてもよいし、あらかじめ設定された所定の時間が経過すると実行されてもよい。もしくはあらかじめ設定された件数の発信要求が登録された場合に実行されるようにすることも可能である。
【0045】
ここで、
図7を参照して、本実施形態の発信要求振分処理の一例について説明する。
図7は、電話通信システム1の振分処理部203による振分処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
振分処理部203は、発信装置状態テーブル24に格納された各電話発信装置3の状態を取得する(ステップS21)。続いて、振分処理部203は、異常が発生している電話発信装置3を確認する(ステップS22)。具体的には、振分処理部203は、第1の状態取得部207によって検出された異常状態の電話発信装置3の識別子が記載された発信装置異常ファイル210を取得する。もしくは、振分処理部203は、発信装置状態テーブル24の装置状態フラグ242に「1」が格納された電話発信装置3の装置ID241を抽出してもよい。
【0047】
振分処理部203は、全ての電話発信装置3に異常が発生している場合(ステップS23がYes)、発信要求振分処理を終了する。
【0048】
全ての電話発信装置3が異常状態でない場合(ステップS23がNo)、振分処理部203は、発信装置状態テーブル24にから、異常状態ではない電話発信装置3の装置ID241を取得する(ステップS24)。すなわち、N台の電話発信装置3のうち、識別子が発信装置異常ファイル210に記載されていない電話発信装置3を電話発信状態情報テーブル24から取得する。本実施形態では、発信装置状態テーブル24における装置ID241が「1」〜「N−1」である電話発信装置3−3〜電話発信装置3−(N−1)は、状態フラグ262に「1」が格納されており、電話発信装置3−3〜電話発信装置3−(N−1)の装置ID261は発信装置異常ファイル210に格納されているとする。
【0049】
振分処理部203は、振分先の電話発信装置3に送信済みではない発信要求を取得する(ステップS25)。すなわち、振分処理部203は、発信要求記憶部202の発信要求テーブル22の要求送信済フラグが「0」である発信要求を取得する。
【0050】
振分処理部203は、後述する振分数算出アルゴリズムに従い、ステップS25で取得した発信要求について、各電話発信装置3に対する振分数を算出する(ステップS26)。
【0051】
以下、本実施形態の振分数算出アルゴリズムの一例について説明する。振分数算出アルゴリズムの一例として、以下の式(1)に記載した振分率算出式に基づいて、各電話発信装置3の振分率を算出する方法を説明する。振分率は、各電話発信装置3の負荷度合に応じた割合である。算出された振分率を発信要求の合計値にかけた数値が振分数である。
【0052】
なお、振分数算出に用いる値は発信装置状態記憶部204の発信装置状態テーブル24から取得される。なお、以下の全電話発信装置3とは、ステップS24において振分対象として取得されたすべての電話発信装置3であり、ここでは、電話発信装置3−1、3−2、3−Nの3台である。
【0053】
電話発信装置3の振分率D
=電話発信装置3の余裕率の重みA×(電話発信装置3の余裕率a÷全電話発信装置3の余裕率a合計)+電話発信装置3の空き回線率の重みB×(電話発信装置3の空き回線率b÷全電話発信装置3の空き回線率b合計)…式(1)
電話発信装置3の余裕率aとは、電話発信装置3における発信待ちの発信要求の少なさである。
【0054】
余裕率aを算出する式の一例を以下の式(2)に示す。
【0055】
電話発信装置3の余裕率a
=1−(電話発信装置3の待ち件数245+電話発信装置3のリトライ待ち件数246)÷(全電話発信装置3の待ち件数245の合計+全電話発信装置3のリトライ待ち件数246の合計)…式(2)
本実施形態では、全電話発信装置3の待ち件数245の合計は10であり、全電話発信装置3のリトライ待ち件数246の合計は7である。
【0056】
電話発信装置3の空き回線率bは、電話発信装置3に接続するネットワーク4の全回線に対する空き回線の割合である。空き回線率bを算出する式の一例を以下の式(3)に示す。
【0057】
電話発信装置3の空き回線率b=電話発信装置3の空き回線数244÷全電話発信装置3の全回線数243の合計…式(3)
本実施形態では、全発信装置3の全回線数の合計は、「63」である。
【0058】
余裕率の重みAと、空き回線率の重みBとは、振分率の合計値を100%にするための係数である。余裕率の重みAを算出する式の一例を以下の式(4)に示す。
【0059】
余裕率の重みA=
(全電話発信装置3の待ち件数245の合計+全電話発信装置3リトライ待ち件数246の合計)÷(全電話発信装置3の待ち件数245の合計+全電話発信装置3リトライ待ち件数246の合計+全電話発信装置3の空き回線数244の合計)…式(4)
本実施形態では、全電話発信装置3の空き回線数244の合計は19である。
【0060】
空き回線率の重みBを算出する式の一例を以下の式(5)に示す。なお、
空き回線率の重みB=
(全電話発信装置3の空き回線数244の合計)÷(全電話発信装置3の待ち件数245の合計+全電話発信装置3リトライ待ち件数246の合計+全電話発信装置3の空き回線264数の合計)…式(5)
図8を参照して、本実施形態の振分数算出処理における余裕率について説明する。
【0061】
電話発信装置3−1の余裕率a
1は、以下の式(6)で算出される。
【0062】
電話発信装置3−1の余裕率a
1=1−(電話発信装置3−1の待ち件数245+電話発信装置3−1のリトライ待ち件数246)÷(全電話発信装置3の待ち件数の合計265+全電話発信装置3のリトライ待ち件数246の合計)…式(6)
電話発信装置3−2の余裕率a
2は、以下の式(7)で算出される。
【0063】
電話発信装置3−2の余裕率a
2=1−(電話発信装置3−2の待ち件数245+電話発信装置3−2のリトライ待ち件数246)÷(全電話発信装置3の待ち件数の合計265+全電話発信装置3のリトライ待ち件数246の合計)…式(7)
電話発信装置3−Nの余裕率a
Nは、以下の式(8)で算出される。
【0064】
電話発信装置3−Nの余裕率a
N=1−(電話発信装置3−Nの待ち件数245+電話発信装置3−Nのリトライ待ち件数246)÷(全電話発信装置3の待ち件数の合計265+全電話発信装置3のリトライ待ち件数246の合計)…式(8)
図9を参照して、本実施形態の振分数算出処理における空き回線率について説明する。
【0065】
電話発信装置3−1の空き回線率b
1は、以下の式(9)で算出される。
【0066】
電話発信装置3−1の空き回線率b
1=電話発信装置3−1の空き回線数244÷全電話発信装置3の全回線数243の合計…式(9)
電話発信装置3−2の余裕率b
2は、以下の式(10)で算出される。
【0067】
電話発信装置3−2の空き回線率b
2=電話発信装置3−2の空き回線数244÷全電話発信装置3の全回線数243の合計…式(10)
電話発信装置3−Nの空き回線率b
Nは、以下の式(11)で算出される。
【0068】
電話発信装置3−Nの空き回線率b
N=電話発信装置3−Nの空き回線数244÷全電話発信装置3の全回線数243の合計…式(11)
電話発信装置3−1の振分率D
1を算出する式を以下の式(12)に示す。
【0069】
電話発信装置3−1の振分率D
1
=余裕率の重みA
1×{余裕率a
1÷(余裕率a
1+余裕率a
2+余裕率a
N)}+空き回線率の重みB×{空き回線率b
1÷(空き回線率b
1+空き回線率b
2+空き回線率b
N)}=0.32…式(12)
電話発信装置3−2の振分率D
2を算出する式を以下の式(13)に示す。
【0070】
電話発信装置3−2の振分率D
2
=余裕率の重みA
2×{余裕率a
2÷(余裕率a
1+余裕率a
2+余裕率a
N)}+空き回線率の重みB×{空き回線率b
2÷(空き回線率b
1+空き回線率b
2+空き回線率b
N)}=0.486…式(13)
電話発信装置3−Nの振分率D
Nを算出する式を以下の式(14)に示す。
【0071】
電話発信装置3−Nの振分率D
N
=余裕率の重みA
N×{余裕率a
N÷(余裕率a
1+余裕率a
2+余裕率a
N)}+空き回線率の重みB×{空き回線率b
N÷(空き回線率b
1+空き回線率b
2+空き回線率b
N)}=0.194…式(14)
各電話発信装置3の振分率Dを発信要求数にかけた数が、各電話発信装置3への振分数である。
【0072】
以上の算出結果から、例えば、未発信の発信要求が発信要求データテーブル26に200件存在した場合、電話発信装置3−1には64件、電話発信装置3−2には97件、電話発信装置3−Nには39件の発信要求が振り分けられ、各電話発信装置3の負荷状況に見合った要求件数が送信されることになる。
【0073】
図7の説明に戻る。振分処理部203は、ステップS26において、電話発信装置3ごとの振分数を算出すると、算出した電話発信装置3ごとの振分数に基づいて、発信要求テーブル22に格納された発信要求を抽出し、要求送信先装置ID225に振り分け先の電話発信装置3の識別子を格納する(ステップS27)。
【0074】
振分処理部203は、要求送信先装置ID225に基づいて、電話発信装置3ごとに発信要求日時22の古い順から発信要求ファイル(以下、発信要求振分ファイル308という)を作成する。この時、発信要求テーブル22の要求送信済フラグ224を「1:送信済」に更新する。作成された発信要求振分ファイル308は、振分処理部203により、振分先の電話発信装置3に送信される。これにより、
図6のステップS2における発信要求振分処理は終了する。
【0075】
図6の説明に戻る。ステップS2において、振分処理部203に作成された発信要求振分ファイル308は振分先の電話発信装置3に送信される。電話発信装置3の取り込み処理部306は、受信した発信要求振分ファイル308を取り込み、発信キューを作成して発信キュー記憶部302に記憶する(ステップS3)。
【0076】
音声発信応答部303は、発信キュー記憶部302に記憶された発信キューに基づいて、ネットワーク4の回線を通して自動音声電話を発信し、発信先からの応答結果を応答結果記憶部304に記憶する(ステップS4)。
【0077】
結果送信部305は、応答結果記憶部304に記憶された応答結果を制御装置2に送信する(ステップS5)。ステップS5の応答結果送信は、応答結果記憶部304が更新されたタイミングで行ってもよいし、あらかじめ設定した周期で行うようにしてもよい。
【0078】
制御装置2の結果受信部205は、電話発信装置3から応答結果が格納された発信結果ファイル211を受信すると、発信結果記憶部203に記憶する(ステップS6)。すなわち、結果受信部205は電話発信装置3から受信した応答結果に基づいて、発信結果テーブル26を更新する。具体的には、発信要求No261毎に、電話発信日時262、応答日時265、切断日時266を記憶する。発信先電話5から応答があった場合は、音声が記憶されたファ2イルのID263が記憶される。また、同一の発信要求No261が応答結果に含まれていた場合は、リトライ回数264を1増やす。
【0079】
発信結果テーブル26が更新されると、第1の状態取得部207は、発信装置状態テーブル24を確認する(ステップS7)。なお、ステップS7の処理は、発信結果テーブルが更新されるたびに行うのではなく、あらかじめ設定したタイミングで行うようにしてもよい。
【0080】
発信装置状態テーブル24の装置状態フラグ262が「1(異常)」の電話発信装置3がある場合(ステップS8がYes)、第1の状態取得部207は、発信要求テーブル22を確認し、異常状態の電話発信装置3のIDが要求送信先装置ID225に格納されており、かつ、要求送信済みフラグ224が「1:送信済み」の発信要求を抽出する(ステップS9)。
【0081】
第1の状態取得部207は、抽出した発信要求の発信要求No221を用いて発信結果記憶部206の発信結果テーブル26を検索する。検索の結果、発信結果テーブル26の発信要求No261に、発信要求No221と一致するものがない場合に、抽出した発信要求No221に対応付けられた要求送信済みフラグ224を「0:未送信」にする(ステップS10)。これにより、電話通信システム1における電話発信処理は終了する。
【0082】
続いて、
図10を参照して電話通信システム1における状態監視処理の一例について説明する。
【0083】
音声発信応答部303は、ネットワーク4の回線状態情報を取得し回線状態記憶部306に保存する(ステップS31)。回線状態情報とは、例えば、回線状態の正常もしくは異常、全回線数、空回線数、使用中回線数、などである。ステップS31は、例えば、あらかじめ設定した周期が到来すると開始する。もしくは音声発信応答部303による電話発信が行われるたびに開始されてもよい。
【0084】
第2の状態取得部307は、発信キュー記憶部302から未発信の待ち件数、リトライ件数を含む発信キュー状態情報を取得し、回線状態記憶部306に記憶された回線状態情報とともに、制御装置2に送信する(ステップS32)
発信装置状態登録部208は、受信した発信キュー状態情報と回線状態情報が記載された発信装置状態ファイル212に基づいて、発信装置状態テーブル24を更新する(ステップS33)。
【0085】
第1の状態取得部207は、更新された発信装置状態テーブル24から装置状態フラグ242が「1:異常」の電話発信装置3のID241を抽出し、発信装置異常ファイル210に記憶する(ステップS34)。
【0086】
電話通信システム1における電話発信処理と状態監視処理は同時並行で行われてもよい。
【0087】
上述のように、本実施形態の電話通信システム1によると、各電話発信装置3の負荷状況に見合った件数の発信要求が振分られ、送信されるため、効率のよい電話発信処理を行うことが可能となる。
【0088】
すなわち、本実施形態の電話通信システム1は、複数回線を制御する自動音声応答部を備える電話発信装置3を複数備える構成において、各電話発信装置3の回線数、空回線数、待ち件数、リトライ件数に基づいて、発信待ちの発信要求を最適に振り分けることにより、電話発信業務を効率化することができる。
【0089】
また、本実施形態で電話通信システム1によると、回線障害などで発信できない状態になった電話発信装置3が確認されると、この電話発信装置3に振り分けられた未応答の発信要求を正常な電話発信装置3に再度振り分けることが可能である。すなわち、本実施形態の電話発信システム1によると、発信要求を電話発信装置3の負荷状態に合わせて分散させ、かつ発信に失敗もしくは応答がないなどにより、待ち状態となっている発信要求の再振分処理が可能となる。これにより、電話発信の効率化を可能とする電話通信システム1を実現できる。
【0090】
以上、本実施形態に係る電話通信システム1について説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0091】
例えば、電話発信装置3の空き回線率bは、振分率算出対象の電話発信装置3の全回線数243に対する電空き回線数244の割合としてもよい。
【0092】
また、振分率の算出式は以下の式(15)としてもよい。
【0093】
電話発信装置3の振分率D
=電話発信装置3の余裕率の重みA×(電話発信装置3の余裕率a÷全電話発信装置3の余裕率a合計)+電話発信装置3の空き回線率の重みB×(電話発信装置3の空き回線数c÷全電話発信装置3の空き回線数cの合計)…式(15)
また、電話発信処理のステップS7〜S10の処理は、ステップS6に続いて行うのでなく、所定のタイミングで行うようにしてもよい。